JP2004130473A - 衝撃工具の防振機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記目的は、衝撃工具のシリンダ15が軸方向摺動可能に弾性体28により保持され、かつピストン4、打撃子3、シリンダ15で構成される空気室19の空気ばねの荷重が最大になるときにシリンダ15が弾性体28を介してハウジング10を先端工具16方向に押し付けるように駆動されることにより達成される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電動機により駆動され,衝撃破砕等の作業を行う衝撃工具の低振動化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
衝撃破砕等の作業を行う衝撃工具は作業時の振動・騒音が大きく,人体への振動伝達による各種疾病,作業者および周辺への騒音公害,振動による各種部品の疲労破壊等が発生している。かかる問題の対策として例えば把握部と本体との間にゴム等の防振部材を配設することにより作業者への振動伝達を軽減させている。また,他の対策例としては中間子あるいは先端工具の往復動方向にダンパを配設し,往復動方向の衝撃を緩衝している例もある。
【0003】
以下,従来の衝撃工具の断面図を示した図4を用いて衝撃工具の基本動作と従来技術の概要を説明する。
【0004】
電動機9の回転により該電動機9と固着されている駆動軸8が回転し,該駆動軸8の一方の先端に配設されているピニオン7を介してギヤ6が取り付けられたクランクシャフト5が回転する。該クランクシャフト5の回転により該クランクシャフト5に取り付けられた連接棒11,ピストンピン12を介してピストン4がシリンダ15内を往復動する。前記ピストン4の往復動により,該ピストン4と打撃子3,および前記シリンダ15により構成される空気室19が空気圧変動し,該空気圧変動により打撃子3が往復動する。
【0005】
一方前記電動機9の回転は、第2のギヤ20、第3のギヤ21を介して、シャフト22に伝達される。さらに、該シャフト22の先端に配設された第2のピニオン23が、該第2のピニオン23と噛み合っているシリンダ回転用歯車24を回転させる。シリンダ15はキー25 を介してシリンダ回転用歯車24に固定されており、シリンダ15はその下部で先端工具16を保持する工具ホルダ(図示せず)と接続されているため、先端工具16が回転する。
なお、該打撃子3はシリンダ15内に配設されている中間子2に衝突し,さらに該中間子2は先端工具16に衝突し,該先端工具16が回転しながらコンクリート等の被削材の破砕等を行う。
【0006】
上記した衝撃工具において,空気室19の空気圧変動によりピストン4が荷重を受け、ピストンピン12、連接棒11,クランクシャフト5を介してハウジング10、ハンドル17に伝達される。作業者はコンクリートの破砕作業を行う際、ハウジング10に取り付けられたハンドル17を握って作業を行うため、直接空気圧変動の影響を受ける。この空気圧変動が振動の原因となっている。
【0007】
上記した振動の従来の低減対策としては,例えばハンドル17と該把握部17が取り付けられているハウジング10との間に防振部材を配設し,前記ハンドル17への振動の伝達を低減している。
【0008】
また、防振部材のかわりに動吸振器を設けたもの(特許文献1)や、バランサーを設けたもの(特許文献2)がある。
【特許文献1】特公昭58−24235
【特許文献2】実公昭58−31653
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術の場合,例えば前記防振部材によりハンドル17の振動絶縁を行うことによりハンドル17の振動を低減することが可能であるが,通常の作業の場合作業者は片手でハンドル17を握り,もう一方の手で本体シリンダケース13付近に取り付けられた図示しないサイドハンドルを握るか,直接本体を握って作業を行っているケースが多く,本体の振動が直接作業者に伝達している。
【0009】
本発明の目的は,製品全体の振動低減を図ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は,シリンダを往復駆動し、かつピストン、打撃子、シリンダで構成される空気ばねの圧力が最大になるときに、シリンダがハウジングを先端工具方向に押し付けるように駆動されることにより達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の一実施例を示す衝撃工具の断面図である図1および図1の主要部の拡大図である図2により発明の詳細を説明する。
【0012】
電動機9の回転がピストン4の往復動に変換され,該ピストン4と打撃子3,および前記シリンダ15により構成される空気室19が空気圧変動し,該空気圧変動により打撃子3が往復動する。このとき、ピストン4には空気室19の圧力変動により、図中上向きに圧力×断面積の大きさの荷重がかかる。この荷重は、ピストンピン12、連接棒11,クランクシャフト5を介してハウジング10に伝達され衝撃工具を作業者側に持ち上げるように作用する。この荷重が振動の原因となっている。
【0013】
なお、空気室19の圧力が最大になるのは、ピストン4が下死点から上死点へ移行するほぼ中間地点に達したときである。なお、上死点とはピストン4が最も先端工具側に位置したときのことで、下死点とはピストン4が最も反先端工具側に位置したときのことである。
一方、シリンダ15はシリンダ回転用歯車24を介して電動機9により回転される。シリンダ回転用歯車24は、シリンダ15に対してキー25で結合されており、回転方向は滑らないように結合されているが、軸方向は摺動可能に保持されている。
また、シリンダ15にはフランジ27が配設されており、該フランジ27は一方をハウジング10に支持された弾性体28により支持され、他方をクランクシャフト5に配設されたシリンダ駆動用カム26に押し付けられている。したがって、シリンダ15はクランクシャフト5の回転に伴い、シリンダ駆動用カム26の形状にしたがって往復移動する。
シリンダ駆動用カム26の形状つまりリフト特性は、ピストン4が下死点から上死点へ移行するほぼ中間地点に達したとき、シリンダ15が先端工具16方向に移動し、弾性体28を最も圧縮するように設定されている。圧縮された弾性体28はシリンダ15をハンドル17方向に加速させるとともに、ハウジング10を先端工具16の方向に加速させる働きを持つ。このとき、ハウジング10には弾性体28から先端工具16方向に荷重が働いている。この弾性体28からハウジング10に対する荷重は、空気室19の圧縮空気による荷重と反対向きである。この時、衝撃工具に作用する荷重は、空気室19の圧縮空気による作業者方向の荷重と、シリンダ15が弾性体28を介して先端工具16方向に押し付ける荷重の2種類である。したがって、両荷重はお互いを打ち消しあうことになり、ハウジング10ならびに、ハンドル17の振動を低減する効果を有する。
【0014】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば,シリンダを軸方向摺動可能に弾性体により支持し、ピストン,打撃子、シリンダによって構成される空気室の圧力が最大になるときに、シリンダとハウジングを支持する弾性体の荷重が最大になるようにシリンダを駆動し、且つ、シリンダが弾性体を介してハウジングを押し付ける荷重は、ピストンが空気より受ける荷重と逆方向であることで衝撃工具の振動を低減抑制でき,低振動である衝撃工具を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる衝撃工具の防振機構の一実施例を示した衝撃工具の断面図
【図2】図1の主要部を拡大した部分断面図
【図3】シリンダ回転用歯車の斜視図
【図4】従来の衝撃工具の一例を示す断面図
【符号の説明】
2は中間子,3は打撃子,4はピストン,5はクランクシャフト,6はギヤ,7はピニオン,8は駆動軸,9は電動機,10はハウジング,11は連接棒,12はピストンピン,13はシリンダケース,15はシリンダ,16は先端工具,17はハンドル,19は空気室、20は第2のギヤ、21は第3のギヤ、22はシャフト、23は第2のピニオン、24はシリンダ回転用歯車、25はキー、26はシリンダ駆動用カム、27はフランジ、28は弾性体、29はシリンダ上端面である。
Claims (2)
- 電動機からの回転伝達により回転するシリンダ内をピストンの往復運動により空気ばねを介し打撃子を駆動させ、その前方で工具ホルダに装着された先端工具に打撃を与える一方、工具ホルダをシリンダと連結し、シリンダの回転を先端工具に伝達するハンマドリルにおいて、前記シリンダは軸方向摺動可能に保持され、かつ前記空気ばねの荷重が最大になるときにシリンダが弾性体を介してハウジングを被削材方向に押し付けるように駆動されることを特徴とするハンマドリル。
- 上記空気ばねの荷重が最大になるときとは、上記ピストンが下死点から上死点へ移行するほぼ中間地点に達したときであることを特徴とする請求項1記載のハンマドリル。
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