JP2004130374A - 回路基板はんだ付用フラックス、ソルダーペースト及び回路基板 - Google Patents

回路基板はんだ付用フラックス、ソルダーペースト及び回路基板 Download PDF

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中村 賢次
Mitsuhiro Matsumura
松村 光弘
Akira Seike
清家 晃
Mitsuru Iwabuchi
岩渕 充
Takao Ono
大野 隆生
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Abstract

【課題】無鉛はんだのめっきをしたリードを有するQFPのような電子部品を回路基板にはんだ付するときにも溶融はんだの濡れがよく、はんだ付性がよいフラックス、ソルダーペーストを提供する。
【解決手段】例えばプロリン系化合物のようなカルボキシル基を有するピロリジン誘導体を含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際用いる回路基板はんだ付用フラックス。そのフラックスを用いた回路基板はんだ付用ソルダーペースト。これらの残さ膜を有する電子部品搭載前又は後の回路基板。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いるフラックス、ソルダーペースト及びこれらの残さ膜を有する電子部品はんだ付前又は後の回路基板に係わり、特に回路基板のパターンとこれにはんだ付する電子部品のリード等のはんだ付部に対する溶融はんだのぬれ性を改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器には電子部品を搭載した回路基板が一つの機能を有する回路を構成する部品として用いられている。その回路基板として例えばプリント回路基板は、例えば銅張積層基板に回路配線のパターンを形成したものであって、その上に電子部品を搭載して一つの回路ユニットを形成できるようにしたものであるが、その電子部品としてコンデンサや抵抗体等を搭載するには、その回路配線パターンの銅箔ランド、すなわちはんだ付ランドにこれらの部品をはんだ付して接続、固着している。
このようにプリント回路基板に電子部品をはんだ付するには、プリント回路基板の所定の箇所に例えば両端に電極を有するチップ状の電子部品をその両端の電極がはんだ付ランドに位置するように配置して仮り止めをし、ついでこの仮り止めした電子部品を噴流する溶融はんだに接触させることによりはんだ付する、いわゆる噴流式はんだ付方法や、はんだ付ランドにソルダーペーストを塗布し、これに上記と同様に電子部品の電極を位置させて加熱し、ソルダーペーストのはんだ粉末を溶融してはんだ付する、いわゆるリフローはんだ付方法が行なわれており、最近では、リフローはんだ付方法を用いることが表面実装の小型化の利点があることから多くなっている。その小型化としては、近年、プリント回路基板における表面実装は、電子部品を小型化してその実装密度を高める、いわゆる高密度化の方向にあり、微小で軽量な例えば0603チップ(縦0.6mm、横0.3mm)も多数使用されているが、電子部品は小型化の上に多機能化され、狭い間隔で多数のリードが配設されている、例えばQFPやSOPのような集積回路部品では、リード数が100本以上、リード間隔が0.5mm以下であり、さらにリード間隔が0.3mmという細密なものも実用化されている。
【0003】
リフローはんだ付方法、噴流はんだ付方法のいずれのはんだ付方法を用いる場合でも、連続的に搬送されるプリント回路基板に電子部品を自動的に供給し、その電極あるいはリードをはんだ付ランドあるいはスルーホールにはんだ付する自動はんだ付が行われているが、通常はその前工程でフラックスをはんだ付ランドあるいはスルーホールに塗布してから溶融はんだを接触させたり、あるいははんだペーストを塗布することが行われており、はんだ付時の熱等によりはんだ付ランドの銅箔が酸化することによりはんだ付が良く行われなくなることを防止している。これは、プリント回路基板のはんだ付ランドは、はんだ付時に200℃〜300℃に加熱されるので、その表面が露出されている場合のみならずその表面に保護膜が形成されている場合でも、はんだ付時にフラックスが塗布されると、その膜が酸素を遮断して銅箔の酸化を防止するとともに、既に生じている酸化物を還元し、溶融したはんだを良く濡らすようになるからである。
このようなフラックスとしては、ロジン系フラックスが多く用いられており、その組成は、ロジン系樹脂を主成分とし、それにアミンハロゲン塩、有機酸などの活性剤、さらにその他目的に応じて、例えばはんだ付ランドにつや消し効果をもたらすつや消し剤や発泡性を良くしたりする発泡剤等の各種添加剤を加えたものをエチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコールを主成分とする溶媒に溶解したものが一般的に用いられている。このフラックスが自動はんだ付装置で用いられるときは、その装置内に設けられたフラクサーに収容されて、発泡式、噴流式あるいはスプレー式等の塗布手段により塗布される。
一般にロジンやロジン変性樹脂のロジン系樹脂は、電気絶縁性や耐湿性に優れ、高温ではんだ付する場合でもはんだ付ランドの酸化を防止し、しかも溶融はんだの熱により溶融して銅箔面に溶融はんだが接触することを可能にする、いわゆるはんだ付性能が良く、古くからはんだ付用フラックスとして用いられてきた。
【0004】
また、ソルダーペーストとしては、はんだ粉末とフラックスを含有するペースト状の組成物が用いられるが、そのフラックスとしては、ロジンあるいはロジン変性樹脂をベースとし、これに少量のアミン塩酸塩のようなアミンハロゲン塩や有機酸類等の活性剤、硬化ひまし油等のチクソ剤、さらにその他目的に応じて種々の材料を溶媒に溶解させたものが一般的に用いられている。これは、上述したように、ロジン系樹脂ははんだ付性能等に優れるからであり、一般にはんだ粉末とロジン系樹脂を用いたフラックスを混合してソルダーペーストを製造することが行われている。
ところで、電子機器が使用済等により廃棄される場合、分解されてその一部は回収されるものの、電子部品を搭載した実装基板ほとんどは回収されずに粉砕されて埋め立てられて処理されるか、地上に投棄されたままにされるので、電子部品の搭載のためにははんだ付による接合方法が用いられることから、そのはんだに鉛が含まれていると、酸性雨等により有毒な鉛が溶出し、自然界を汚染するのみならず、地下水等に混入し、その地下水を汚染し、その汚染された水が混入した飲料水や、その汚染水を取り込んだ動植物が人に摂取されることがあり、その毒性が強いことから、重大な公害の問題となりつつある。
また、例えばQFPなどのリードは、回路基板のはんだ付ランドにはんだ付し易いように、すなわち溶融はんだが濡れやすいようにはんだメッキがされることがあり、従来はSn−Pbの有鉛はんだによるメッキが施されていたが、この場合にも上記したように電子部品を搭載した実装基板が廃棄される場合には、同様な公害の問題を引き起こすことになる。
そこで、鉛を含む有鉛はんだの代わりに、例えばSn−Ag合金、Sn−Ag−Cu合金及びSn−Zn合金等のようなPbを含まない、いわゆるPbフリーの無鉛系はんだが開発され、用いられるようになってきており、他方、QFPなどのリードの有鉛はんだによるメッキの代わりに、その無鉛系はんだによるメッキが施されるようになり、例えばパラジウムを用いたメッキも行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このパラジウムやその他の無鉛系はんだのメッキを施されたリードや電極を上記のはんだ付ランドにはんだ付するときに、上記の従来のフラックスや、ソルダーペーストを使用してはんだ付する場合には、特にそのソルダーペースト中のはんだ粉末に無鉛系はんだ粉末を用いたときは、その溶融はんだはこのパラジウムのメッキを施されたリードに対してぬれが悪くなり、その結果、例えばはんだ付強度の不足をもたらし、これが起こるとはんだ付した部品が脱落し易くなるので、はんだ付不良として処理され、生産性が害されるという問題を生じる。
特に、Sn−Zn系、Sn−Zn−Bi系、あるいはSn−In−Bi−Ag系などの無鉛系はんだ合金粉末を用いたソルダーペーストを用いた場合には、Sn−Pb系はんだ合金に融点が近いことから、Sn−Pb系はんだ合金粉末を用いたソルダーペーストが使用できる既存の設備を用いてリフローはんだ付が可能であるが、これらの無鉛系はんだ合金は、無鉛系はんだの中でも酸化され易い金属であり、そのソルダーペーストを用いてリフローはんだ付を行うと、無鉛系はんだ合金の酸化により、その溶融性が悪化し、溶融はんだのはんだ付部に対するぬれ性が悪くなり、はんだボールが発生し易いというようにはんだ付性を悪くし、Sn−Pb系はんだ合金粉末を用いた場合よりも著しくはんだ付性が劣るという問題もある。
【0006】
また、最近益々、表面実装化の進展に伴い、さらに電子部品の高密度実装化の要求が高まり、プリント回路基板の表裏の両面に回路パターンを形成し、その表側にソルダーペーストを用いてリフローはんだ付を行い、次いでその裏側にも同様にリフローはんだ付を行い、さらにその両面の回路パターンを接続するスルーホール(プリント回路基板の貫通孔の内面に無電解メッキを施し、両面の回路パターンとの導体接続を可能としたもの)にも電子部品のリードを挿入して噴流はんだ付をすることが行われている。
このようないずれのはんだ付においても、フラックスが塗布された後に、リフローはんだ付や噴流はんだ付が行われるが、その都度はんだ付ランドやスルーホールの導体は加熱が繰り返されるので、酸化もし易く、後に行なうはんだ付ほどフラックス塗布後のはんだ付ランドやスルーホールに対する溶融はんだの濡れが悪くなる。特に最後に行なうスルーホールに対する噴流はんだ付では、プリント回路基板の両面に電子部品をリフローはんだ付した後、表側から電子部品のリードをスルーホールに挿入し、ついで裏面側にフラックスを塗布した後、噴流はんだ(噴流する溶融はんだ)をその裏面側に接触させるが、その際溶融はんだはスルーホールのメッキ膜に濡れて上昇する、いわゆるぬれ上がり性については、そのぬれ上がりがよいときは、図1(イ)に示すような合格品になるが、そのぬれ上がりが不十分であるときは同図(ロ)に示すような不合格品になる。図1中、「PTH」はプリント回路基板(網線部分)に設けたスルーホールの内壁とその周囲の表面及び裏面にメッキ膜を形成したメッキ膜付スルーホールであり、「はんだ」(黒ぬりの部分)は溶融はんだがぬれ上がった後あるいはぬれ上がろうとした後に固化した状態を示す。同図(イ)の合格品は、「はんだ」がそのスルーホールの内部とこれに続く表面及び裏面のメッキ膜に対して漏れなく盛られておれば、その表面及び裏面のメッキ膜全体にも盛られることが最善としても、そこまでは必要がない(同図左端から順次右側のもの)が、同図(ロ)の不合格品は、「はんだ」がそのスルーホールの内部にほぼ充填されていても、これに続く表面及び裏面に盛られるものに漏れがあるもの、その漏れが大きいもの、さらにスルーホールの内部に対する充填も段々と少なくなるもの、ついには裏面のメッキ膜にしか殆どが盛られなくなるようなものまで挙げられる(同図左端から順次右側のもの)。
【0007】
このように複数回のリフローはんだ付と最後の噴流はんだ付を行なうような場合に、最初のリフローはんだ付の場合はともかくとしても、その他の場合、特に最後の噴流はんだ付の場合には、上記の従来のフラックスやソルダーペーストを使用するだけでは、図1(ロ)に示すような不合格品を生じる危険を回避することができない。また、リフローはんだ付けにおいても、はんだ付ランドに対するソルダーペースト塗布膜の溶融による溶融はんだのぬれ性や、はんだ付しようとするチップ部品の両端の電極に対するぬれ上がり性が要求され、これが不十分であるときははんだ付強度が不足し、そのチップ部品が脱落し易い等のはんだ付不良を起こし易い。特に、無鉛系はんだを使用するときは、その溶融はんだは有鉛系はんだの溶融はんだより金属に対するぬれが悪くなるので、一層上記の問題が大きくなり、その改善のメリットが増大する。
以上のように、例えばパラジウム等の無鉛はんだメッキを行ったリードや電極の場合でも溶融はんだのぬれを良くしたり、また、複数回のリフローはんだ付工程を行う場合やその後に噴流はんだ付を行う場合において、後に行うリフローはんだ付や噴流はんだ付でも、溶融はんだのぬれ性やぬれ上がり性を良くすることが求められているが、例えば特開平5−392号公報に記載されているように、例えばイミダゾール等の単環式又は多環式アゾール類を活性剤として含有させたフラックスや、このフラックスを用いたクリームはんだ(ソルダーペースト)を用いた場合にもこれらの要求に応えることができない。
【0008】
【特許文献1】特開平5−392号公報
【0009】本発明の第1の目的は、例えばパラジウム等の無鉛はんだメッキを行ったリードや電極の場合でも溶融はんだの濡れがよく、回路基板のはんだ付ランドにそのリード等をよくはんだ付できる回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第2の目的は、回路基板の金属面の酸化物等の還元作用に優れ、溶融はんだのぬれ性が良い回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第3の目的は、複数回のリフローはんだ付工程を行う場合やその後に噴流はんだ付を行う場合において、後に行うリフローはんだ付や噴流はんだ付でも、溶融はんだのぬれ性やぬれ上がり性が良い回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第4の目的は、塗布性を損なわず、均一な塗布膜を形成でき、しかも低残渣膜ではんだ付性を害さない回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第5の目的は、はんだ付ランドの腐食性が少なく、電気絶縁性の良い信頼性の高い回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第6の目的は、上記目的を達成する回路基板はんだ付用フラックスを塗布してはんだ付ランドを保護した電子部品搭載前の回路基板を提供することにある。
本発明の第7の目的は、回路機能の信頼性を損なわず、しかも生産性が良く、安価に得られる電子部品搭載後の回路基板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、(1)、カルボキシル基を有するピロリジン誘導体を含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる回路基板はんだ付用フラックスを提供するものである。
また、本発明は、(2)、ロジン系樹脂を含有する樹脂成分と、溶剤成分を少なくとも含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いるフラックスにおいて、カルボキシル基を有するピロリジン誘導体を含有する回路基板はんだ付用フラックス、(3)、カルボキシル基を有するピロリジン誘導体がプロリン系化合物であり、該プロリン系化合物はプロリン、その誘導体及びこれらの塩の群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)又は(2)の回路基板はんだ付用フラックス、(4)、回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる、はんだ粉末と樹脂成分を少なくとも含有するソルダーペーストにおいて、カルボキシル基を有するピロリジン誘導体を含有する回路基板はんだ付用ソルダーペースト、(5)、回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる、はんだ粉末とソルダーペースト用フラックスを少なくとも含有するソルダーペーストにおいて、該フラックスは上記(1)又は(2)又は(3)の回路基板はんだ付用フラックスである回路基板はんだ付用ソルダーペースト、(6)、電子部品は無鉛系はんだによりメッキされたリード又は電極を有する上記(4)又は(5)の回路基板はんだ付用ソルダーペースト、(7)、上記(1)又は(2)又は(3)に記載の回路基板はんだ付用フラックスを用いてはんだ付ランドを被覆した電子部品をはんだ付する前又は後の回路基板、(8)、上記(4)又は(5)の回路基板はんだ付用ソルダーペーストを用いたはんだ付後の残さ膜を有する電子部品実装後の回路基板を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、「カルボキシル基を有するピロリジン誘導体」とは、ピロリジンは下記〔化1〕で表される化合物であるが、例えばこれにカルボキシル基を直接置換したもの又はカルボキシル基置換アルキル基で置換したもの等、さらにはそれぞれの塩( 有機又は無機の塩) が挙げられ、これらの場合例えばヒドロキシプロリンのようにさらに複素環に水酸基その他の置換基を有するものでもよい。これらのものは活性剤としての機能を有する。
【0012】
【化1】
Figure 2004130374
【0013】
「カルボキシル基を有するピロリジン誘導体」としては、「プロリン系化合物」を挙げることができ、「プロリン系化合物」としては、例えば「プロリン、その誘導体及びこれらの塩の群から選ばれる少なくとも1種」(以下、「プロリン等」ということがある。)が挙げられる。「プロリン」は、ピロリジン−α−カルボン酸であり、蛋白アミノ酸の一つで、D,Lプロリンは融点205℃(dec.)であるが、天然に得られるL体は融点220〜222℃(dec.)、〔α〕D −85℃を示す。) であり、アセトン、アルコールに溶ける物質である。また、「プロリン誘導体」はプロリンの置換基置換体であり、「これらの塩」とは上記プロリン、プロリン誘導体の「有機又は無機の塩」である。
プロリン及びプロリン誘導体としては、下記一般式〔化2〕で表される化合物を挙げることができる。
【0014】
【化2】
Figure 2004130374
(式中、Rは水素原子、有機酸又は無機酸のアニオン残基を表わし、該アニオン残基のときはNはカチオンを表わし、Mは水素原子又は塩基のカチオン残基を表わす。)
【0015】
上記の「有機又は無機の塩」とは、例えば上記一般式〔化2〕において、R1 及びR2 が水素原子のときは、プロリンであるが、これはアミノ酸であるので、アミノ基とカルボキシル基を有し、前者に対しては酸、後者に対しては塩基により塩を形成することができ、その酸は有機酸又は無機酸、その塩基は有機塩基又は無機塩基でもよく、R1 はその有機酸又は無機酸のアニオン残基を表わし、R2 はその有機塩基又は無機塩基のカチオン残基を表わす。
これらの有機酸又は無機酸としては、塩酸等のハロゲン化水素酸、硫酸等の鉱酸、リン酸、ホウフッ化水素酸その他の無機の酸や、カルボン酸、有機リン酸、有機硫酸等の有機の酸が挙げられ、一塩基酸、二塩基酸等の多塩基酸でもよく、これらの少なくとも1種を用いてもよいが複数を併用してもよい。
また、有機塩基又は無機塩基としては、有機アミン等の有機塩基や、アンモニア、アルカリ金属等の塩基成分を有する無機塩基が挙げられる。
【0016】
プロリン、その誘導体及びこれらの塩の少なくとも1種等のカルボキシル基を有するピロリジン誘導体は、フラックス中0.01〜10.0%(質量%、以下同様)、好ましくは0.1〜3.0%であり、添加量が少な過ぎる場合には、活性剤としての効果、すなわち溶融はんだの濡れをよくする効果が得られ難く、逆に添加量が多過ぎるとフラックス中において溶解し難くなる。
プロリン、その誘導体及びこれらの塩の少なくとも1種等のアミノ酸の機能については、このアミノ酸は、例えばパラジウム等の金属とキレート化合物を形成し易く、はんだの接合温度領域である200〜240℃ではそのキレート化合物と溶融はんだの馴染みがよくなり、その際有機物のアミノ酸が分解点に達しておれば、その分解過程で低分子化し溶融はんだの濡れを促進し、両金属がよく接触できると考えられる。また、プロリン、その誘導体及びこれらの塩の少なくとも1種等のアミノ酸の有機又は無機の塩は、その塩を構成するカチオンとアニオンの結合は比較的弱く、200℃以上のソルダーペースト膜中では両者は分離し易く、はんだの接合温度領域である200〜240℃ではアミノ酸と同様の反応を起こすと考えられるが、これらの考え方に限定されるものではない。
【0017】
本発明のフラックスには、「非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤」を含有させてもよく、非解離性のハロゲン化化合物としてはハロゲン原子が共有結合により結合した非塩系の有機化合物が挙げられる。このようにハロゲン原子が非解離性であると、回路基板の金属を腐食したり、フラックスに残留してもその電気絶縁性を害することも少なくできる。このような非解離性のハロゲン化化合物ははんだ付時に溶融はんだの200℃以上になる高温に曝されると、その一部が分解しハロゲンあるいはその簡単な化合物を生じ、これにより活性を示すことができ、その際その分解物が揮発性であればイオン性物質をフラックス膜に残留させないようにすることができる。
ハロゲン化化合物としては、塩素化物、臭素化物、フッ化物のように塩素、臭素、フッ素の各単独元素の共有結合による化合物でもよいが、その3者の任意の2つ又は全部のそれぞれの共有結合を有する化合物でもよい。これらの化合物は、水性溶媒に対する溶解性を向上させるために、例えばハロゲン化アルコールのように水酸基等の極性基を有することが好ましい。ハロゲン化アルコールとしては、例えば2,3−ジブロモプロパノール、2,3ジブロモブタンジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、トリブロモネオペンチルアルコール等の臭素化アルコール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−ジクロロ−2−ブタノール等の塩素化アルコール、3−フルオロカテコール等のフッ素化アルコール、その他のこれらに類する化合物が挙げられる。
他の活性剤を併用することもでき、これにはアミン類、アミン塩類(エチレンジアミン等のポリアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミン等のアミンの有機酸塩や無機酸塩(塩酸、硫酸等の鉱酸塩))、有機酸類、アミノ酸類(グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、バリン等)、アミド系化合物等が挙げられる。具体的にはジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、これらのアミンの臭化水素酸塩等が挙げられる。
活性剤は上記プロリン、その誘導体及びこれらの塩の少なくとも1種等を含めてフラックス中に0.1〜10%加えられることが好ましい。非解離型活性剤は上記プロリン、その誘導体及びこれらの塩の少なくとも1種等を含めてフラックス中0.1〜10%加えることが好ましい。これより少ないと、ブリッジ、つららなどのはんだ付不良を発生し易くなり、これより多いと溶解性の低下によるフラックスの液組成の安定性の低下を起こす場合がある。
【0018】
本発明において、「ロジン系樹脂を含有する樹脂成分」とは、ロジン系樹脂は必ず使用するが、その他の樹脂を併用してもよいことを示す。「ロジン系樹脂」としては、例えばガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、水素添加ロジン及びこれらの誘導体等のロジン類が挙げられるが、これらの変性物であるロジン系変性樹脂も挙げられ、そのロジン系変性樹脂としては、ディールス・アルダー反応の反応成分となり得る上記のロジン類の不飽和有機酸変性樹脂((メタ)アクリル酸等の脂肪族の不飽和一塩基酸、フマル酸、マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸等の脂肪族不飽和二塩基酸、桂皮酸等の芳香族環を有する不飽和カルボン酸等の変性樹脂)及びこれらの変性物等のアビエチン酸やその変性物を主成分とするものが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。これらの内、酸価が100より小さくなく、好ましくは酸価が180より小さくないロジン系変性樹脂は、アンモニアその他の揮発性アミン化合物(残渣に残留し難いように沸点が200℃より高くなく(ピラゾ−ル、その誘導体、これらの塩も含まれる場合がある)、フラックス中、0.1〜20重量%含有させ、フラックスのpH10以下、好ましくは7〜8にする。)とともに用いると水溶化(フラックス中、水が50%より少なくない)することができ、フラックスやこのフラックスを用いたソルダーペースト中の有機溶剤を無くすか、少なくすることができ、これらの製造や使用において有機溶剤の揮散による大気汚染の問題を回避することができる。これによれば、大気中に有機溶剤を排出する量を減らすことができ、その排出をほどんどないようにすることができる回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することができる。
「ロジン系樹脂」がフラックスやソルダーペーストの膜の樹脂成分としての性能を有するには、噴流はんだ付方法、リフローはんだ付方法のいずれの場合でも、そのはんだ付性を損なわないために、その軟化点(JISに定める環球法)は、噴流はんだ付方法の場合には60〜150℃が好ましく、リフローはんだ付する場合にははんだ付時の温度が高いので70〜150℃が好ましい。低過ぎるとフラックス膜に粘着性が生じ、高過ぎると溶融はんだに押し退けられる性質が損なわれ、溶融はんだのはんだ付ランドに対するぬれを害することがある。
【0019】
上記のロジン系樹脂は、フラックス中に0.1〜30%含有されてもよいが、例えばプロリン等を併用する場合にはフラックス中に0.1〜15%にも減らすことができ、それだけフラックスの残渣膜の洗浄をないようにできる点で好ましいが、少な過ぎると、フラックスとしての機能を有することができず、多すぎるとコスト高になるのみならず、フラックスの粘度が大きくなり、プリント回路基板に均一に塗布することができず、また、フラックス膜が厚くなりすぎ、溶融はんだのはんだ付ランドに対する濡れを害することがある。ソルダーペーストに使用するフラックスについても同様のことが言える。
ソルダーペーストに使用するフラックス中のロジン系樹脂は、0.1〜70%含有されてもよいが、例えばプロリン等を併用する場合には、フラックス中に0.1〜60%に減らすことができる。
【0020】
ロジン系樹脂と併用することができる、あるいは単独で使用できるその他樹脂としては、アクリル系樹脂が挙げられる。アクリル系樹脂としては、アルコール等の極性溶媒に溶解できるものが従来のロジン類を用いたフラックスやソルダーペーストと同様に製造し、使用し易い点から好ましい。アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系モノマー、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルを主成分としたホモポリマーやコポリマーが挙げられる。また、スチレン−水溶性不飽和二塩基酸系共重合体樹脂(スチレン系モノマーとマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の共重合体)もロジン系樹脂や、さらにアクリル系樹脂と併用できる。ロジン系樹脂と併用するこれらの樹脂は、フラックス中、2〜30%が挙げられる。
ロジン系樹脂、あるいはこれと上記のその他の樹脂、あるいは上記のその他の樹脂を含有するフラックス膜、このフラックスを用いて得られるソルダーペーストの残渣膜のガラス転移温度は、寒暖の差の激しい雰囲気下(−30℃と、+80℃に繰り返し曝す温度サイクル試験)におかれることによる衝撃である、いわゆる冷熱衝撃にも耐えるためにも重要であり、70℃(DSC(示差熱量計)による測定)より高くないことが好ましく、そのためには高沸点溶剤の併用も好ましい。
その高沸点溶剤としては、沸点が150℃より低くない、いわゆる可塑剤とすることができる、(メタ)アクリル酸エステル、フタル酸エステル、脂肪族二塩基酸エステルが挙げられる。この高沸点溶剤は、フラックス中、0.1〜15%が好ましい。
【0021】
フラックス及びソルダーペーストの成分として用いられる溶剤としては、アルコール系溶媒、セロソルブ類等が挙げられ、その内でもフラックスとして使用する場合には例えばイソプロピルアルコールが好ましく、ソルダーペーストのフラックスとしては例えばヘキシルカルビトール(沸点260℃)、ブチルカルビトール(沸点230℃)等が挙げられ、フラックス中30〜50%含有されることが好ましい。これら有機溶媒は単独あるいは複数混合して用いられるが、水性溶剤を用いてもよく、水性溶剤としては水及びこれと水に溶解性のある有機溶剤の混合溶剤が用いられる。
本発明のフラックス及びソルダーペーストに使用するフラックスには、つや消し剤、発泡剤、消泡剤を0.1〜10%、カオリン、エアロジール(日本エエロジール社製)、有機ベントナイト、硬化ひまし油等のチクソ剤を1〜10%加えてもよく、その他の添加剤を加えてもよい。
【0022】
本発明のフラックスを製造するには、ロジン系樹脂、これと併用するその他の樹脂、プロリン等、必要に応じて他の活性剤、その他の添加剤を有機溶剤に溶解すればよく、ここで樹脂を使用しないものでもよいが、上記のディールス・アルダー反応によるロジン系樹脂の不飽和有機酸変性樹脂のような酸価が100より小さくないロジン系変性樹脂を使用する場合には、この樹脂を水と上記のアンモニア等の塩基性剤の混合物に徐々に加え、撹拌しながら溶解させ、さらに活性剤や、必要に応じて他の樹脂や可塑剤を助剤として加えて完成する。この際、上記変性樹脂を有機溶剤に溶解させておき、これを水と塩基性剤の混合溶媒に溶解させ、ついで必要に応じて他の成分を加え、完成するようにしてもよい。その際、有機溶剤をフラックスに含有させる場合にはその有機溶剤を上記変性樹脂の溶剤に使用し、その不足分はさらにその溶液に加えてから以下同様に操作すれば良い。このようにすると上記変性樹脂の水と塩基性剤の混合溶媒に対する溶解の作業性を向上させることかできる。また、フラックスに有機溶剤をほとんど含ませたくない場合は、上記変性樹脂を水と塩基性剤の混合溶媒に溶解させるときの撹拌の際にその有機溶剤を揮発させるようにしても良く、その場合には有機溶剤としては揮発性の有機溶剤を用いることが好ましい。
【0023】
本発明のソルダーペーストを製造するには、本発明のフラックスとはんだ粉末を撹拌混合するのが好ましいが、使用するフラックスには、上述したようにロジン系樹脂や、これとそのほかにアクリル系樹脂等の他の樹脂成分、あるいはアクリル系樹脂等の他の樹脂成分、グリコールエーテル系、アルコール系、芳香族系、エステル系等の溶剤、その他の溶剤の中から選択した溶剤を用い、その他活性剤、チクソ剤、必要に応じてその他添加剤を撹拌混合して製造してもよい。
そのはんだ粉末としては、有鉛のはんだ粉末の他に無鉛のはんだ粉末も使用する事ができる。この場合には、はんだ粉末とフラックスの合計に占めるそのフラックスの割合が9〜60%である事が好ましい。
また、無鉛のはんだ粉末としては、Sn/ Ag、Sn/ Ag/ Cu、Sn/ Cu、Sn/ Ag/ Bi、Sn/ Bi、Sn/ Ag/ Cu/ Bi、Sn/ Sbや、Sn/ Zn/ / Bi、Sn/ Zn、Sn/ Zn/ Al、Sn/ Ag/ Bi/ In等が挙げられる。
【0024】
本発明のフラックスをプリント回路基板に塗布する塗布方法としては、ロールコーティング、浸漬法、スプレー法や、例えばフラックスに空気を吹き込む等によりバブリングさせて発泡させ、その泡をプリント回路基板に付着させるような塗布方法等、従来のフラックス塗布方法を同じようにして用いることができる。
このようにして塗布され、乾燥された本発明のフラックス膜は、有機溶剤や、水及び塩基性剤が揮発除去され、例えば上記ロジン系樹脂とプロリン等を含有する活性剤とからなるフラックス膜が形成される。そして噴流はんだ付方法、リフローはんだ付方法のいずれによってはんだ付を行っても、このロジン系樹脂は基本的にはロジンの性質を示すから、フラックス膜は溶融はんだが接触するまでははんだ付ランドに対する空気中の酸素を遮断してその表面の銅の酸化を防止し、溶融はんだが接触したときはその熱により溶融し、溶融はんだに押し退けられて塗布面のはんだ付ランドを露出させ、その際プロリン等の活性剤もはんだ付ランドのフラックス塗布前あるいははんだ付時に生じることのある銅酸化物を還元し、溶融はんだを金属銅のはんだ付ランドに良く濡らすことができる。
そして、そのはんだ付後は、揮発性塩基性剤を使用しているときは、この変性樹脂は塩基性剤が除去されているから水には溶解せず、したがって親水性の樹脂が疎水性の樹脂に変わり、電子部品を搭載した後の回路基板表面の絶縁性を害することがなく、回路をショートさせる等のことなくその信頼性を発揮することができる。
【0025】
本発明のフラックスは、このようにプリント回路基板に塗布され、はんだ付が行われた後も洗浄することなく、電子部品を搭載した回路基板に被覆されたままにされ、本発明はこのようなフラックス膜付の電子部品搭載後の回路基板を提供する。また、本発明のソルダーペーストについてもその残渣膜は洗浄することなく、電子部品を搭載した回路基板に被覆されたままにされ、本発明はこのようなソルダーペーストの残渣膜付の電子部品搭載後の回路基板を提供する。
また、本発明のフラックスは、銅張り積層板をエッチング処理して回路配線パターンを形成した後、あるいはさらにそのパターン表面の銅酸化物を除くソフトエッチング処理を行った後、そのパターンを形成したプリント回路基板に塗布し、そのパターンをはんだ付作業まで酸化から保護する保護膜としても用いることができ、このような保護膜付プリント回路基板も本発明は提供する。
【0026】
本発明のソルダーペーストの印刷膜は、溶融はんだの温度により押し退けられ、溶融はんだを金属面に接触させる事ができる。
この様にして電子部品がはんだ付されたプリント回路基板が得られるが、本発明に係わる本来の樹脂成分又はフラックスの残さ膜を洗浄しない場合でも、アクリル系樹脂が併用されておればロジン類のみの場合に比べてその膜は強靭であり、その強靭さの程度も分子量を変えて設計する事ができ、その選択幅を大きくできるので、寒暖の差が大きい場合でもマイクロクラックの発生を防止できる。
【0027】
【実施例】
次に本発明の実施例を説明する。
本発明のフラックス、ソルダーペーストは、通常のフラックス、ソルダーペーストのようにして製造、使用され、プリント回路基板にフラックス膜、ソルダーペースト膜が形成される。以下にそのフラックス、ソルダーペースト及びフラックス膜、ソルダーペーストの残渣膜を形成した回路基板の実施例を示す。
実施例1(フラックスの例)
以下の組成のフラックスを調製した。
水添ロジン            10.0g
アジピン酸             0.5g
マロン酸              0.5g
イソプロピルアルコール      88.5g
L−プロリン            0.5g
合計              100.0g
上記各成分を攪拌混合することによってフラックスを得た。このフラックスの粘度をレッドウッド粘度計で測定したところ4mPa・s(測定温度20℃)であった。
【0028】
実施例2〜4(フラックス)
実施例1において、表1に示す配合に変えたこと以外は同様にして実施例2〜4のフラックスを調製した。実施例1と同様に粘度を測定したところ、いずれもその粘度はほぼ同程度であった。
【0029】
比較例1(フラックス)
実施例1において、表1に示す配合に変えたこと以外は同様にして比較例1のフラックスを調製した。実施例1と同様に粘度を測定したところ、いずれもその粘度はほぼ同程度であった。
【0030】
上記実施例、比較例で得られたそれぞれのフラックスを用いて以下の試験を行った。
(a)ウエッティングバランス法によるぬれ上がり性(ぬれ作用力)の試験
15mm×7mm×0.2mmの銅板を11%硫酸、3.8%過酸化水素を含む水溶液中に20±1℃で60秒間浸漬してソフトエッチングを行った後取り出し、30秒間イオン交換水で洗浄する。この後、イソプロピルアルコール、酢酸エチルで順次洗浄し、表面を十分脱水した後、自然乾燥した。
この銅板の表裏両面の全面に上記実施例1〜5、比較例の1のそれぞれのフラックスを浸漬法により塗布した試験片を約250℃の溶融はんだ(Sn/Pb=63/37(質量比))の水平面に一端側から垂直に侵入させると、それとともに溶融はんだは断面略V字状に引き込まれるが、その侵入を停止すると、時間の経過とともに引き込まれた溶融はんだは徐々に上昇し、水平面に復帰したところで試験片がこの水平面に垂直になり、さらに溶融はんだは試験片の表面に沿って断面逆略V字状に上昇し、上昇し切る。この試験片の侵入から溶融はんだが水平面に復帰するまでの時間を「ぬれ時間(秒」として測定し、その時点では試験片には溶融はんだからは上下方向には何らの力も加わっていないが、溶融はんだが上記のように上昇するにつれて試験片は下側に引っ張られ、その上昇し切ったところでその引っ張り力は最大になるので、この最大の引っ張り力を「ぬれ作用力(mN)」として測定する。
ぬれ時間が短いほど、また、ぬれ作用力が大きいほど、試験片に対するぬれ性がよく、フラックス膜の銅板の銅酸化物等に対する還元作用や、銅板を空気による酸化から防止する機能が高く、フラックスの性能がよいことを示す。
【0031】
(b)スルーホール上がり率の試験
上記(a)項で用いたと同様のフラックスを、直径0.1〜1.0mmのスルーホール(内壁にメッキ膜を施した貫通孔)を180個形成した試験片(図1に示すものと同様のもの)にスプレー法により塗布した後、噴流はんだ付装置((株)タムラ・エフ・エーシステム製HC33−36SNX)により約250℃の噴流はんだを形成し、その溶融はんだに試験片の一方の主面側を水平に4秒接触させ、大気中に取り出す。そして、上記スルーホールに対して溶融はんだがどこまで上昇して固化したかを観察し、図1(イ)に示すいずれのものも「合格」、図1(ロ)に示すいずれかのものを「不合格」として判定し、「スルーホール上がり率(%)」として、全数のスルーホールの内「合格」の数を百分率(%)で表す。
(c)銅板腐食試験
上記のフラックス膜を形成した銅板の試験片について、JIS−Z−3197(1999)により試験を行った。「銅板腐食」のないものを「合格」、あるものを「不合格」として判定する。
上記(a)〜(c)の試験の結果を上記各実施例、各比較例のフラックスの組成とともに表1に示す。
なお、上記実施例のフラックス膜の絶縁抵抗は1013Ω以上であり、電圧印加後の抵抗も1013以上であり、電圧印加後の銅板の腐食も認められなかった。
【0032】
実施例5(ソルダーペースト)
以下の組成のソルダーペーストを調製した。
(ソルダーペーストの組成)
水添ロジン            55.0g
脂肪族アミド            8.0g
アジピン酸             3.0g
マロン酸              1.0g
ブチルカルビトール        32.0g
L−プロリン            1.0g
合計              100.0g
上記フラックス              10.0g
はんだ粉末(Sn/Pb=63/37)   90.0g
(アトマイズ法により製造)
合計                  100.0g
上記ソルダーペーストは上記フラックスとはんだ粉末(アトマイズ法により製造したはんだ粉末)の配合物を1時間混練して調整したが、その粘度を実施例1と同様に測定したところ、200Pa・sであった。
【0033】
実施例6〜9(ソルダーペースト)
実施例5において、表1に示す配合に変えたこと以外は同様にして実施例6〜9のそれぞれのソルダーペーストを調製した。実施例5と同様に粘度を測定したところ、いずれもその粘度はほぼ同程度であった。
【0034】
比較例2、3(ソルダーペースト)
実施例5において、表1に示す配合に変えたこと以外は同様にして比較例2、3のそれぞれのソルダーペーストを調製した。実施例5と同様に粘度を測定したところ、いずれもその粘度はほぼ同程度であった。
【0035】
上記実施例5〜9、比較例2、3で得られたそれぞれのソルダーペーストを用いて以下の試験を行なった。
(d)QFPリードへのぬれ性試験
回路パターンを表面に形成した基板を11%硫酸、3.8%過酸化水素を含む水溶液中に20±1℃で60秒間浸漬してソフトエッチングを行った後取り出し、30秒間イオン交換水で洗浄する。この後、イソプロピルアルコール、酢酸エチルで順次洗浄し、表面を十分脱水した後、自然乾燥した。
この基板に以下の条件で、上記実施例6〜9、比較例1のそれぞれのソルダーペースを印刷し、ついでマウント部品をはんだ付し、そのリードの溶融はんだに対するぬれ性を評価した。
(印刷条件)
メタルマスク:0.5mmピッチQFPピッチ使用可能(厚さ0.15mm)
スキージ  :メタルスキージ
スキージ速度:30mm/秒
版離れ速度 :0.2mm/秒
印圧    :100kPa
(マウント部品)
0.5mmピッチQFP(リードはパラジウムメッキのもの)
(はんだ付条件)
上記のソルダーペースト膜を形成した基板に上記部品を載せ、150℃60秒プリヒート後、200℃、30秒(ピーク温度230℃)加熱してそのソルダーペースト膜のはんだ粉末を溶融し、はんだ付する。
(ぬれ評価)
図1に示すように、基板1の回路パターンの銅パッド(はんだ付ランド)2にQFP部品3のリード4を接触させた状態で、そのリードの高さhを1として上記の溶融はんだがこのリードの表面に沿って上昇する高さxを測定する。
(e)銅板腐食試験 JIS Z 3284(1984)により試験を行なった。「銅板腐食」のないものを「合格」、あるものを「不合格」として判定した。上記(d)、(e)の試験の結果を上記各実施例、各比較例のソルダーペーストの組成とともに表2に示す。
【0036】
実施例10(電子部品搭載前の回路基板の例)
上記(a)、(b)の試験において、フラックス膜で被覆した銅板は、銅表面の保護機能からすれば、はんだ付ランドにフラックスの残渣膜の保護膜を形成した電子部品搭載前のプリント回路基板と見なすことができ、本発明の電子部品搭載前の回路基板の実施例と見なすことができる。
【0037】
実施例11(電子部品搭載後の回路基板の例(フラックス膜の場合)
上記(a)、(b)の試験において、フラックス膜を形成した銅板についてそれぞれの試験を行った後のものは、通常のはんだ付を行った後のものに相当し、はんだ付ランドにフラックスの残渣膜の絶縁膜を形成した電子部品搭載後のプリント回路基板と見なすことができ、本発明の電子部品搭載後の回路基板の実施例と見なすことができる。
なお、清浄化されたスルーホール基板(50×50×1.6mm 360穴/枚)にスプレーフラクサーで上記実施例のフラックスを塗布した後、自動はんだ付装置によりはんだ付を行ったが、良好であった。
【0038】
実施例12(電子部品搭載後の回路基板の例)(ソルダーペースト膜の場合)
上記(d)の試験において、ソルダーペースト膜を形成した銅板についてその試験を行った後のものは、通常のはんだ付を行った後のものに相当し、はんだ付ランドにソルダーペーストの残渣膜の絶縁膜を形成した電子部品搭載後のプリント回路基板と見なすことができ、本発明の電子部品搭載後の回路基板の実施例と見なすことができる。
【0039】
【表1】
Figure 2004130374
【0040】
【表2】
Figure 2004130374
【0041】
以上の結果から、本発明の実施例のフラックス膜は、ロジン系物質と、活性剤としてL−プロリン、L−プロリン有機酸塩及びL−プロリン無機酸塩のそれぞの添加により、これらのいずれも有しない比較例のものに比べ、いずれの性能も顕著に優れることがあっても、劣ることはないことがわかる。また、本発明の実施例のソルダーペースト膜については、ロジン系物質と、活性剤としてL−プロリン、L−プロリン有機酸塩及びL−プロリン無機酸塩のそれぞの添加により、QFPに対するぬれが顕著に優れることがわかる。
なお、単に「%」とあるは質量%を示す。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、例えばプロリン等を添加して使用したので、例えばパラジウム等の無鉛はんだメッキを行ったリードや電極の場合でも溶融はんだの濡れがよく、回路基板のはんだ付ランドにそのリード等をよくはんだ付できるとともに、回路基板の金属面の酸化物等の還元作用に優れ、溶融はんだのぬれ性が良く、複数回のリフローはんだ付工程を行う場合やその後に噴流はんだ付を行う場合において、後に行うリフローはんだ付や噴流はんだ付でも、溶融はんだのぬれ性やぬれ上がり性が良い回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することができる。
また、塗布性を損なわず、均一な塗布膜を形成でき、しかも低残渣膜ではんだ付性を害さず、はんだ付ランドの腐食性が少なく、電気絶縁性の良い信頼性の高い回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することができる。
そして、このような回路基板はんだ付用フラックスやソルダーペーストを塗布してはんだ付ランドを保護した電子部品搭載前の回路基板及び電子部品搭載後の回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリント回路基板のスルーホールに対する溶融はんだのぬれ上がり状態を示す説明図であり、(イ)は合格、(ロ)は不合格の場合を示す。
【図2】QFPリードのぬれ性試験の説明図である。
【符号の説明】
1 基板
2 銅パッド
3 QFP部品
4 リード

Claims (8)

  1. カルボキシル基を有するピロリジン誘導体を含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる回路基板はんだ付用フラックス。
  2. ロジン系樹脂を含有する樹脂成分と、溶剤成分を少なくとも含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いるフラックスにおいて、カルボキシル基を有するピロリジン誘導体を含有する回路基板はんだ付用フラックス。
  3. カルボキシル基を有するピロリジン誘導体がプロリン系化合物であり、該プロリン系化合物はプロリン、その誘導体及びこれらの塩の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の回路基板はんだ付用フラックス。
  4. 回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる、はんだ粉末と樹脂成分を少なくとも含有するソルダーペーストにおいて、カルボキシル基を有するピロリジン誘導体を含有する回路基板はんだ付用ソルダーペースト。
  5. 回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる、はんだ粉末とソルダーペースト用フラックスを少なくとも含有するソルダーペーストにおいて、該フラックスは請求項1又は2又は3に記載の回路基板はんだ付用フラックスである回路基板はんだ付用ソルダーペースト。
  6. 電子部品は無鉛系はんだによりメッキされたリード又は電極を有する請求項4又は5に記載の回路基板はんだ付用ソルダーペースト。
  7. 請求項1又は2又は3に記載の回路基板はんだ付用フラックスを用いてはんだ付ランドを被覆した電子部品をはんだ付する前又は後の回路基板。
  8. 請求項4又は5又は6に記載の回路基板はんだ付用ソルダーペーストを用いたはんだ付後の残さ膜を有する電子部品実装後の回路基板。
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