JP2004152936A - 回路基板はんだ付用フラックス、ソルダーペースト及び回路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】無鉛はんだを用いたはんだ付によってもチップ部品立ちの現象を生ぜず、残さ膜の熱劣化を起こし難く、画像検査機による検査でも誤判定を生じないようなフラックス、ソルダーペーストを提供する。
【解決手段】ポリブタジエン系高分子化合物を含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる回路基板はんだ付用フラックス。そのフラックスを用いた回路基板はんだ付用ソルダーペースト。これらの残さ膜を有する電子部品搭載前又は後の回路基板。
【選択図】 図1
【解決手段】ポリブタジエン系高分子化合物を含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる回路基板はんだ付用フラックス。そのフラックスを用いた回路基板はんだ付用ソルダーペースト。これらの残さ膜を有する電子部品搭載前又は後の回路基板。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いるフラックス、ソルダーペースト及びこれらの残さ膜を有する電子部品はんだ付前又は後の回路基板に係わり、特に回路基板のパターンにチップ部品をリフローはんだ付する際にそのチップ部品の一方が立ち上がる、いわゆるチップ部品立ちの現象を抑制するとともに、高熱量下におけるはんだ付においても耐熱性があり、画像検査機によるはんだ付の検査にも適する上記の残さ膜を形成できるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器には電子部品を搭載した回路基板が一つの機能を有する回路を構成する部品として用いられている。その回路基板として例えばプリント回路基板は、例えば銅張積層基板に回路配線のパターンを形成したものであって、その上に電子部品を搭載して一つの回路ユニットを形成できるようにしたものであるが、その電子部品としてコンデンサや抵抗体等を搭載するには、その回路配線パターンの銅箔ランド、すなわちはんだ付ランドにこれらの部品をはんだ付して接続、固着している。
このようにプリント回路基板に電子部品をはんだ付するには、プリント回路基板の所定の箇所に例えば両端に電極を有するチップ状の電子部品をその両端の電極がはんだ付ランドに位置するように配置して仮り止めをし、ついでこの仮り止めした電子部品を噴流する溶融はんだに接触させることによりはんだ付する、いわゆる噴流式はんだ付方法や、はんだ付ランドにソルダーペーストを塗布し、これに上記と同様に電子部品の電極を位置させて加熱し、ソルダーペーストのはんだ粉末を溶融してはんだ付する、いわゆるリフローはんだ付方法が行なわれており、最近では、リフローはんだ付方法を用いることが表面実装の小型化の利点があることから多くなっている。その小型化としては、近年、プリント回路基板における表面実装は、電子部品を小型化してその実装密度を高める、いわゆる高密度化の方向にあり、微小で軽量な例えば1005チップ(縦1mm、横0.5mm)も多数使用されている。
【0003】
リフローはんだ付方法、噴流はんだ付方法のいずれのはんだ付方法を用いる場合でも、連続的に搬送されるプリント回路基板に電子部品を自動的に供給し、その電極あるいはリードをはんだ付ランドあるいはスルーホールにはんだ付する自動はんだ付が行われているが、通常はその前工程でフラックスをはんだ付ランドあるいはスルーホールに塗布してから溶融はんだを接触させたり、あるいははんだペーストを塗布することが行われており、はんだ付時の熱等によりはんだ付ランドの銅箔が酸化することによりはんだ付が良く行われなくなることを防止している。これは、プリント回路基板のはんだ付ランドは、はんだ付時に200℃〜300℃に加熱されるので、その表面が露出されている場合のみならずその表面に保護膜が形成されている場合でも、はんだ付時にフラックスが塗布されると、その膜が酸素を遮断して銅箔の酸化を防止するとともに、既に生じている酸化物を還元し、溶融したはんだを良く濡らすようになるからである。
このようなフラックスとしては、ロジン系フラックスが多く用いられており、その組成は、ロジン系樹脂を主成分とし、それにアミンハロゲン塩、有機酸などの活性剤、さらにその他目的に応じて、例えばはんだ付ランドにつや消し効果をもたらすつや消し剤や発泡性を良くしたりする発泡剤等の各種添加剤を加えたものをエチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコールを主成分とする溶媒に溶解したものが一般的に用いられている(例えば、特開平8−132282号公報参照)。このフラックスが自動はんだ付装置で用いられるときは、その装置内に設けられたフラクサーに収容されて、発泡式、噴流式あるいはスプレー式等の塗布手段により塗布される。
一般にロジンやロジン変性樹脂のロジン系樹脂は、電気絶縁性や耐湿性に優れ、高温ではんだ付する場合でもはんだ付ランドの酸化を防止し、しかも溶融はんだの熱により溶融して銅箔面に溶融はんだが接触することを可能にする、いわゆるはんだ付性能が良く、古くからはんだ付用フラックスとして用いられてきた。
【0004】
また、ソルダーペーストとしては、はんだ粉末とフラックスを含有するペースト状の組成物が用いられるが、そのフラックスとしては、ロジンあるいはロジン変性樹脂をベースとし、これに少量のアミン塩酸塩のようなアミンハロゲン塩や有機酸類等の活性剤、硬化ひまし油等のチクソ剤、さらにその他目的に応じて種々の材料を溶媒に溶解させたものが一般的に用いられている(例えば、特開平6−53645号公報参照)。これは、上述したように、ロジン系樹脂ははんだ付性能等に優れるからであり、一般にはんだ粉末とロジン系樹脂を用いたフラックスを混合してソルダーペーストを製造することが行われている。
ところで、はんだ粉末には、Sn−Pb系のいわゆる有鉛系はんだ粉末が多く用いられており、この有鉛系はんだ粉末を含有するソルダーペーストを用いて電子部品をはんだ付により実装した回路基板は、これが組み込まれる電子機器が廃棄される場合、分解され、その一部は回収されるものの、ほとんどは粉砕されて埋め立て処理されるか、地上に投棄される。その結果、有鉛系はんだに含まれる鉛が酸性雨等により可溶性化合物となって溶出し、環境汚染を引き起こすのみならず、地下水を通して汚染された水や動植物の食物が人体に摂取されることがあり、その毒性が強いことから重大な問題になりつつある。
そこで、鉛を含まないはんだ材料が開発され、Sn−Ag合金、Sn−Ag−Cu合金等のいわそる無鉛系はんだ合金粉末が用いられるようになってきた。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−132282号公報
【特許文献2】
特開平6−53645号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、小型のチップ部品を上記のはんだ付ランドにはんだ付するときには特に、上記の従来のフラックスや、ソルダーペーストを使用してはんだ付する場合には、特にそのソルダーペースト中のはんだ粉末に無鉛系はんだ粉末を用いたリフローはんだ付では、鉛を含有する従来の共晶はんだ粉末を用いたリフローはんだ付とは異なり、その溶融はんだははんだ付しよとうする部分に対するぬれが悪くなり、その結果、例えばはんだ付強度の不足をもたらすこともあるが、特にはんだ付部が溶融はんだに接触するはんだ付時に、チップ部品の片方が立ち上がる、いわゆるチップ部品立ちあるいはチップ部品浮きの現象を起こし易いという問題がある。
特に、最近では、電子機器の軽薄短小化が益々促進され、これに使用される電子部品を搭載した回路基板も一層の小型化、高機能化が要求され、その搭載する部品も0603サイズ(縦0.6mm、横0.3mm)等のように超小型化される一方で、回路基板に対する電子部品の搭載数を上げる、いわゆる実装密度を高めるために、チップ部品の下面に電極を配したフィレットレス部品も実装されるようになり、益々チップ部品立ちの現象は起こり易い状況になっている。
このように、チップ部品立ちの現象が生じると、その立ち上がった先端の電極は回路パターンのはんだ付ランドに接続できないため、所定の閉回路が形成できず、電子部品を搭載した回路基板の製品としては動作不良を起こす不良品として処理され、大量生産によりコストを低減しようとしている現場では生産性を害する致命的な問題を生じる。
【0007】
また、無鉛系はんだ粉末は、融点が200〜220℃であり、有鉛系のSn−Pb合金(Sn/Pb=63/37)の融点が183℃であるのに比べれば、融点が高く、そのため無鉛系はんだ粉末を用いたソルダーペーストを用いたリフローはんだ付方法では、はんだ付時のはんだ粉末の溶融時(リフロー時)のピーク温度を260〜270℃にしなければ流動性のよい溶融はんだが得られ難く、そのリフロー時のピーク温度が220〜230℃でよい後者の有鉛系はんだを用いる場合には、熱に弱い電子部品の損傷の危険を回避することができるのに対し、その熱損傷による機能劣化等の問題を避けにくいという問題もある。
この問題を解決するために、上記のはんだ付時のピーク温度を230〜240℃に低く設定し、その代わりにプリヒート時に従来の例えは150℃より高い温度、例えば190〜200℃で加熱し、その余熱ではんだ付時の加熱時の熱量を補充し、リフロー時のはんだ粉末の溶融が効率的に行えるようにする、いわゆるリフロープロファイルを変更することにより、電子部品の損傷を緩和する試みもなされている。しかし、この方法では、プリヒート時の加熱の熱量が増えるので、回路基板のはんだ付ランドに塗布されたソルダーペースト膜のはんだ粉末及びフラックス膜が過度に熱せられることになって、これらが酸化による熱劣化を起こし易く、リフロー時にはんだ粉末やフラックス膜に未溶融物が生じ、その結果、はんだ付後においてはんだ付強度を低下させる等のはんだ付性の特性を劣化させてしまうという、別の新たな問題を引き起こすことが知られるようになってきた。
【0008】
また、ソルダーペーストを用いたリフローはんだ付方法を用いる多くの工場生産ライン構成は、ソルダーペーストの印刷工程、チップ部品等の載置(マウント)工程及びリフローはんだ付工程からなっているが、このような生産ラインでは、最終製品の品質を確保するため、チップ部品等の載置工程以降では、各工程後に、画像検査機等によりチップ部品及び付着したはんだについての検査が行われる。
しかしながら、この画像検査は、各工程の処理を終えた回路基板に対し光を当てて、付着したはんだは金属光沢があることから光を反射し易く、他方チップ部品は光を反射し難いことを利用して、その反射光を解析することによって、はんだ及びチップ部品の有無とチップ部品の位置ずれ、さらにはブリッジ(はんだ付ランド間のはんだによる橋架け)やはんだボール(溶融はんだが千切れて散在するボール状のもの)の発生の有無の判定を行うものであるので、フラックスの残さ(ソルダーペースト中のフラックス等)が強く光を反射したり、その残さ中に亀裂が入って光を乱反射すると、はんだブリッジやはんだボールが発生しているものとして誤った判定がなされるという問題がある。
【0009】
本発明の第1の目的は、超小型チップ部品を無鉛系はんだによりはんだ付してもチップ部品立ちの現象を生じにくく、回路基板のはんだ付ランドにその電極をよくはんだ付できる回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第2の目的は、例えばリフローはんだ付において高熱量が付与されても無鉛系はんだやフラックス膜の熱劣化を起こし難い回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第3の目的は、例えばリフローはんだ付工程後の画像検査機による検査において光の反射について誤認が生じにくいフラックスの残さ膜を生じさせることができる回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第4の目的は、塗布性を損なわず、均一な塗布膜を形成でき、しかもはんだ付性を害さない回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第5の目的は、はんだ付ランドの腐食性が少なく、電気絶縁性の良い信頼性の高い回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第6の目的は、上記目的を達成する回路基板はんだ付用フラックスを塗布してはんだ付ランドを保護した電子部品搭載前の回路基板を提供することにある。
本発明の第7の目的は、回路機能の信頼性を損なわず、しかも生産性が良く、安価に得られる電子部品搭載後の回路基板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、(1)、ポリブタジエン系高分子化合物を含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる回路基板はんだ付用フラックスを提供するものである。
また、本発明は、(2)、ロジン系樹脂を含有する樹脂成分と、溶剤成分を少なくとも含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いるフラックスにおいて、分子量が6000より大きくないポリブタジエン系高分子化合物を含有する回路基板はんだ付用フラックス、(3)、ポリブタジエン系高分子化合物が分子量1000〜6000のポリブタジエンポリマー及びその変性物の少なくとも1種であり、該ポリブタジエンポリマーはポリブタジエンホモポリマーであってもよく、該変性物はポリブタジエンポリマーの水素添加物、アクリル変性物、水酸化物、カルボン酸化物、マレイン化物、エポキシ化物、エポキシ樹脂化物、ボイル化物又はウレタン変性化物である上記(1)又は(2)の回路基板はんだ付用フラックス、(4)、回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる、はんだ粉末と樹脂成分を少なくとも含有するソルダーペーストにおいて、分子量が6000より大きくないポリブテン系高分子化合物を含有する回路基板はんだ付用ソルダーペースト、(5)、回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる、はんだ粉末とソルダーペースト用フラックスを少なくとも含有するソルダーペーストにおいて、該フラックスは上記(1)又は(2)又は(3)の回路基板はんだ付用フラックスである回路基板はんだ付用ソルダーペースト、(6)、はんだ粉末は鉛を含まない無鉛系はんだ粉末である上記(4)又は(5)の回路基板はんだ付用ソルダーペースト、(7)、上記(1)又は(2)又は(3)の回路基板はんだ付用フラックスを用いてはんだ付ランドを被覆した電子部品をはんだ付する前又は後の回路基板、(8)、上記(4)又は(5)又は(6)の回路基板はんだ付用ソルダーペーストを用いたはんだ付後の残さ膜を有する電子部品実装後の回路基板を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、「ポリブタジエン系高分子化合物」とは、ブタジエンを主とした重合体(他の重合成分があってもよい)及びその変性物であって、ポリブタジエンポリマー及びその変性物の少なくとも1種であり、そのポリブタジエンポリマーはポリブタジエンホモポリマーであってもよく、その変性物はポリブタジエンポリマーの水素添加物、アクリル変性化物、水酸化物、カルボン酸化物、マレイン化物、エポキシ化物、エポキシ樹脂化物、ボイル化物又はウレタン変性化物であってもよく、いずれも分子量(GPC法)は6000より大きくなく(6000以下)、好ましくは1000〜6000であり、これらは単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。
分子量が小さ過ぎると、上記したチップ部品立ちの現象を抑制する効果を発揮し難く、また、高熱量下における残さ膜の耐熱性も得られ難く、また、画像検査機による検査に適する残さ膜の形成し難くなり、分子量が大き過ぎるとフラックスやソルダーペーストの粘度が高くなり、流動性が低くなり、印刷もし難いのみならず、その残さ膜は熱溶融し難くなり、はんだ付性が低下し易いので、分子量は1000〜6000がよい。
具体的には、ポリブタジエンポリマーとしては、例えばα,ω−ポリブタジエンホモポリマー(例えばNISSO PB B−1000、同B−2000、同B−3000(日本曹達株式会社製、以下括弧内は他社名がないときは同社製品でNISSO PBは省略されている))、ポリブタジエンポリマーの変性物としては、例えば上記α,ω−ポリブタジエンホモポリマーの水素添加物(GI−1000、GI−2000、GI−3000、CI−1000、BI−1000、BI−2000、BI−3000)、ポリブタジエンポリマーの水酸化物としてのα,ω−ポリブタジエングリコール(G−1000、G−2000、G−3000)、ポリブタジエンポリマーのカルボン酸化物としてのα,ω−ポリブタジエンカルボン酸(C−1000)、ポリブタジエンポリマーのアクリル変性化物としてのポリブタジエンポリマーのアクリル変性物(TEA−1000、TE−2000、TEAI−1000、いずれも末端アクリル変性)、ポリブタジエンポリマーのマレイン化物(BN−1015(酸価130〜155KOHmg/g))、ポリブタジエンポリマーのエポキシ化物(BF−1000(エポキシ当量200〜240))、ポリブタジエンポリマーのエポキシ樹脂化物(EPB−13(エポキシ当量600〜780))、ポリブタジエンポリマーのボイル化物(GQ−1000(水酸基価45〜54KOHmg/g、酸価4〜8KOHmg/g)、GQ−2000(水酸基価38〜45KOHmg/g、酸価3〜6KOHmg/g))、ポリブタジエンポリマーのウレタン変性化物(TP−1001(NCO含有量3.6〜4.5%)、TP−1002(NCO含有量3.6〜4.5%))が挙げられる。
また、エポリードPB−3600(ダイセル化学社製、エポキシ化ポリブタジエン)も挙げられる。
ポリブタジエンポリマーは下記一般式〔化1〕又は〔化2〕で表される構造を基本骨格とする高分子化合物(他の重合成分を有してもよいが〔化1〕又は〔化2〕でまとめられる)であり、二重結合を内蔵しているのでその反応性を利用し、あるいはこれに対する各種薬品による反応により、上記の各種変性物を得ることができる。
【0012】
【化1】
【化2】
(式中、m、nは1以上の整数を表す。)
例えば上記TEA−1000、TE−2000は下記〔化3〕、BN−1015は下記〔化4〕、BF−1000は下記〔化5〕、TP−1001、TP−1002は下記〔化6〕で示され、上記GQ−1000、GQ−2000は上記C−1000の空気酸化物で、分子内に−OH、−COOH、−COOR(Rはアルキル基等)を有するものであり、上記EPB−13、EPB−1054は上記C−1000とビスフェノール型エポキシ樹脂との反応物であるとされている(同社カタログ)。
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
ポリブタジエン系高分子化合物は、フラックス中40%以下が好ましい。これより多い添加量では残さ膜が厚くなり過ぎ、チップ部品をはんだ付したときに部品のずれが発生する恐れがある。また、このフラックスをソルダーペーストに用いた場合にははんだボールが生じ易くなる。その添加量が少な過ぎると、上記したチップ部品立ちの現象を抑制する効果を発揮し難く、また、高熱量下における残さ膜の耐熱性も得られ難く、また、画像検査機による検査に適する残さ膜が形成し難くなるので、2%以上にすることが好ましく、2〜40%が好ましい。 ポリブタジエン系高分子化合物を含有するソルダーペーストについて、リフローはんだ付工程後に、上記のチップ立ちの現象を生じにくいことについては、そのいずれの塗布膜あるいは残さ膜もポリブテン系高分子化合物を含有することにより常温では粘性が高く、高温では低くなるので、はんだが溶融するまでは高い粘性を有するためチップ部品の両端の電極ははんだ付ランド上のフラックスの残さ膜上ではその粘着力にも保持され、一端側が立ち上がること、あるいは浮くことを抑制されることと、はんだが十分に溶融する温度域においてはその残さ膜が粘着力を低下させ、流動性を増すことによりはんだから分離して流れ出し易く、溶融はんだがその残さ膜を残留させることなく、はんだ付ランドと電極のはんだ付部に供給されることによるものと考えられる。
また、ポリブタジエン系高分子化合物を含有するフラックス、あるいはこれを含有するソルダーペーストについて、特に高熱量下のリフローはんだ付においても、無鉛系はんだ粉末等のはんだ粉末及びフラックスの残さ膜の熱劣化を防止できる点については、その残さ膜がプリヒート時にははんだの表面を覆ってその表面を酸化から保護し、はんだが溶融するリフロー時にはポリブタジエン系高分子化合物が熱により分解して飛散することにより酸素の供給が抑制され、溶融はんだの酸化が防止され、酸化に対する耐熱性を持たせることができると考えられる。
また、ポリブタジエン系高分子化合物を含有するフラックス、あるいはこれを含有するソルダーペーストについて、リフローはんだ付工程後の画像検査において、誤判定を生じさせにくいのは、フラックスの残さ膜はポリブタジエン系高分子化合物の存在により柔軟性が付与されたため亀裂が発生し難いことと、リフローはんだ付後の自然冷却過程では、その残さ膜の収縮の際にポリブタジエン系高分子化合物の柔軟性によりその残さ膜にしわが入り易く、これにより画像検査時の光の反射を抑え、誤判定を少なくできると考えられる。
【0018】
本発明のフラックスには、「非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤」を含有させてもよく、非解離性のハロゲン化化合物としてはハロゲン原子が共有結合により結合した非塩系の有機化合物が挙げられる。このようにハロゲン原子が非解離性であると、回路基板の金属を腐食したり、フラックスに残留してもその電気絶縁性を害することも少なくできる。このような非解離性のハロゲン化化合物ははんだ付時に溶融はんだの200℃以上になる高温に曝されると、その一部が分解しハロゲンあるいはその簡単な化合物を生じ、これにより活性を示すことができ、その際その分解物が揮発性であればイオン性物質をフラックス膜に残留させないようにすることができる。
ハロゲン化化合物としては、塩素化物、臭素化物、フッ化物のように塩素、臭素、フッ素の各単独元素の共有結合による化合物でもよいが、その3者の任意の2つ又は全部のそれぞれの共有結合を有する化合物でもよい。これらの化合物は、水性溶媒に対する溶解性を向上させるために、例えばハロゲン化アルコールのように水酸基等の極性基を有することが好ましい。ハロゲン化アルコールとしては、例えば2,3−ジブロモプロパノール、2,3ジブロモブタンジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、トリブロモネオペンチルアルコール等の臭素化アルコール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−ジクロロ−2−ブタノール等の塩素化アルコール、3−フルオロカテコール等のフッ素化アルコール、その他のこれらに類する化合物が挙げられる。
他の活性剤を併用することもでき、これにはアミン類、アミン塩類(エチレンジアミン等のポリアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミン等のアミンの有機酸塩や無機酸塩(塩酸、硫酸等の鉱酸塩))、有機酸類、アミノ酸類(グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等)、アミド系化合物等が挙げられる。具体的にはジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等が挙げられる。
活性剤はフラックス中に0.1〜10%加えられることが好ましい。非解離型活性剤はフラックス中0.1〜10%加えることが好ましい。これより少ないと、ブリッジ、つららなどのはんだ付不良を発生し易くなり、これより多いと溶解性の低下によるフラックスの液組成の安定性の低下を起こす場合がある。
【0019】
本発明において、「ロジン系樹脂を含有する樹脂成分」とは、ロジン系樹脂は必ず使用するが、その他の樹脂を併用してもよいことを示す。「ロジン系樹脂」としては、例えばガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、水素添加ロジン及びこれらの誘導体等のロジン類が挙げられるが、これらの変性物であるロジン系変性樹脂も挙げられ、そのロジン系変性樹脂としては、ディールス・アルダー反応の反応成分となり得る上記のロジン類の不飽和有機酸変性樹脂((メタ)アクリル酸等の脂肪族の不飽和一塩基酸、フマル酸、マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸等の脂肪族不飽和二塩基酸、桂皮酸等の芳香族環を有する不飽和カルボン酸等の変性樹脂)及びこれらの変性物等のアビエチン酸やその変性物を主成分とするものが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。これらの内、酸価が100より小さくなく、好ましくは酸価が180より小さくないロジン系変性樹脂は、アンモニアその他の揮発性アミン化合物(残渣に残留し難いように沸点が200℃より高くなく(ピラゾ−ル、その誘導体、これらの塩も含まれる場合がある)、フラックス中、0.1〜20重量%含有させ、フラックスのpH10以下、好ましくは7〜8にする。)とともに用いると水溶化(フラックス中、水が50%より少なくない)することができ、フラックスやこのフラックスを用いたソルダーペースト中の有機溶剤を無くすか、少なくすることができ、これらの製造や使用において有機溶剤の揮散による大気汚染の問題を回避することができる。これによれば、大気中に有機溶剤を排出する量を減らすことができ、その排出をほどんどないようにすることができる回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することができる。
「ロジン系樹脂」がフラックスやソルダーペーストの膜の樹脂成分としての性能を有するには、噴流はんだ付方法、リフローはんだ付方法のいずれの場合でも、そのはんだ付性を損なわないために、その軟化点(JISに定める環球法)は、噴流はんだ付方法の場合には60〜150℃が好ましく、リフローはんだ付する場合にははんだ付時の温度が高いので70〜150℃が好ましい。低過ぎるとフラックス膜に粘着性が生じ、高過ぎると溶融はんだに押し退けられる性質が損なわれ、溶融はんだのはんだ付ランドに対するぬれを害することがある。
【0020】
上記のロジン系樹脂は、一般的にはフラックス中に0.1〜30%含有されてもよく、上記のポリブタジエン系高分子化合物を併用する場合にはその含有量を減らすことができるが、少な過ぎると、フラックスとしての機能を有することができないことがあり、多すぎるとコスト高になるのみならず、フラックスの粘度が大きくなり、プリント回路基板に均一に塗布することができず、また、フラックス膜が厚くなりすぎ、溶融はんだのはんだ付ランドに対する濡れを害することがある。ソルダーペーストに使用するフラックスについても同様のことが言える。一般的にはソルダーペーストに使用するフラックス中のロジン系樹脂は、40〜70%含有されてもよいが、上記のポリブタジエン系高分子化合物を併用する場合には、フラックス中に30〜50%に減らすことができる。
【0021】
フラックス及びソルダーペーストの成分として用いられる溶剤としては、アルコール系溶媒、セロソルブ類等が挙げられ、その内でもフラックスとして使用する場合にはイソプロピルアルコールが好ましく、ソルダーペーストのフラックスとして使用する場合にはブチルカルビトール、ヘキシルカルビトールが好ましく、これら有機溶媒は単独あるいは複数混合して用いられるが、水性溶剤を用いてもよく、水性溶剤としては水及びこれと水に溶解性のある有機溶剤の混合溶剤が用いられる。
本発明のフラックス及びソルダーペーストに使用するフラックスには、つや消し剤、発泡剤、消泡剤を0.1〜10%、カオリン、エアロジール(日本エアロジール社製)、有機ベントナイト、硬化ひまし油等のチクソ剤を1〜10%加えてもよく、その他の添加剤を加えてもよい。
【0022】
本発明のフラックスを製造するには、ポリブタジエン系高分子化合物、これと併用するロジン系樹脂その他の樹脂、活性剤、その他の添加剤を有機溶剤に溶解すればよいが、上記のディールス・アルダー反応によるロジン系樹脂の不飽和有機酸変性樹脂のような酸価が100より小さくないロジン系変性樹脂を使用する場合には、この樹脂を水と上記のアンモニア等の塩基性剤の混合物に徐々に加え、撹拌しながら溶解させ、さらに活性剤や、必要に応じて他の樹脂や可塑剤を助剤として加えて完成する。この際、上記変性樹脂を有機溶剤に溶解させておき、これを水と塩基性剤の混合溶媒に溶解させ、ついで必要に応じて他の成分を加え、完成するようにしてもよい。その際、有機溶剤をフラックスに含有させる場合にはその有機溶剤を上記変性樹脂の溶剤に使用し、その不足分はさらにその溶液に加えてから以下同様に操作すれば良い。このようにすると上記変性樹脂の水と塩基性剤の混合溶媒に対する溶解の作業性を向上させることかできる。また、フラックスに有機溶剤をほとんど含ませたくない場合は、上記変性樹脂を水と塩基性剤の混合溶媒に溶解させるときの撹拌の際にその有機溶剤を揮発させるようにしても良く、その場合には有機溶剤としては揮発性の有機溶剤を用いることが好ましい。なお、ポリブタジエン系高分子の内カルボン酸化等により極性基を導入したものは水性化には比較的有利である。
【0023】
本発明のソルダーペーストを製造するには、本発明のフラックスとはんだ粉末を撹拌混合するのが好ましいが、使用するフラックスには、上述したようにポリブタジエン系高分子や、これとそのほかのロジン系樹脂等の他の樹脂成分、グリコールエーテル系、アルコール系、芳香族系、エステル系等の溶剤、その他の溶剤の中から選択した溶剤を用い、その他活性剤、チクソ剤、必要に応じてその他添加剤を撹拌混合して製造してもよい。
そのはんだ粉末としては、有鉛のはんだ粉末の他に無鉛のはんだ粉末も使用する事ができる。この場合には、はんだ粉末とフラックスの合計に占めるそのフラックスの割合が9〜60%である事が好ましい。
また、無鉛のはんだ粉末としては、Sn/ Ag、Sn/ Ag/ Cu、Sn/ Ag/ Bi、Sn/ Bi、Sn/ Ag/ Cu/ Bi、Sn/ Sbや、Sn/ Zn/ Bi、Sn/ Zn、Sn/ Zn/ Al、Sn/ Ag/ Bi/ In、Sn/ Ag/ In等が挙げられる。
【0024】
本発明のフラックスをプリント回路基板に塗布する塗布方法としては、ロールコーティング、浸漬法、スプレー法や、例えばフラックスに空気を吹き込む等によりバブリングさせて発泡させ、その泡をプリント回路基板に付着させるような塗布方法等、従来のフラックス塗布方法を同じようにして用いることができる。このようにして塗布され、乾燥された本発明のフラックス膜は、有機溶剤や、水及び塩基性剤が揮発除去され、上記ポリブタジエン系高分子化合物、あるいはこれとロジン系樹脂等を含有する活性剤とからなるフラックス膜が形成される。そして噴流はんだ付方法、リフローはんだ付方法のいずれによってはんだ付を行っても、ロジン系樹脂は基本的にはロジンの性質を示すから、フラックス膜は溶融はんだが接触するまでははんだ付ランドに対する空気中の酸素を遮断してその表面の銅の酸化を防止し、溶融はんだが接触したときはその熱により溶融し、溶融はんだに押し退けられて塗布面のはんだ付ランドを露出させ、その際活性剤もはんだ付ランドのフラックス塗布前あるいははんだ付時に生じることのある銅酸化物を還元し、溶融はんだを金属銅のはんだ付ランドに良く濡らすことができるが、上記ポリブタジエン高分子化合物もロジン系樹脂と併用する場合は勿論のこと、それ単独で使用する場合にもロジン系樹脂と同様の機能を営むことができる。
そして、そのはんだ付後は、揮発性塩基性剤を使用しているときは、水性化した樹脂を使用しているときは、この樹脂は塩基性剤が除去されているから水には溶解せず、したがって親水性の樹脂が疎水性の樹脂に変わり、電子部品を搭載した後の回路基板表面の絶縁性を害することがなく、回路をショートさせる等のことなくその信頼性を発揮することができる。
【0025】
本発明のフラックスは、このようにプリント回路基板に塗布され、はんだ付が行われた後も洗浄することなく、電子部品を搭載した回路基板に被覆されたままにされ、本発明はこのようなフラックス膜付の電子部品搭載後の回路基板を提供する。また、本発明のソルダーペーストについてもその残渣膜は洗浄することなく、電子部品を搭載した回路基板に被覆されたままにされ、本発明はこのようなソルダーペーストの残渣膜付の電子部品搭載後の回路基板を提供する。
また、本発明のフラックスは、銅張り積層板をエッチング処理して回路配線パターンを形成した後、あるいはさらにそのパターン表面の銅酸化物を除くソフトエッチング処理を行った後、そのパターンを形成したプリント回路基板に塗布し、そのパターンをはんだ付作業まで酸化から保護する保護膜としても用いることができ、このような保護膜付プリント回路基板も本発明は提供する。
【0026】
本発明のソルダーペーストの印刷膜は、溶融はんだの温度により樹脂分が押し退けられ、溶融はんだを金属面に接触させる事ができる。
この様にして電子部品がはんだ付されたプリント回路基板が得られるが、本発明に係わる本来の樹脂成分又はフラックスの残さ膜を洗浄しない場合でも、ポリブタジエン系高分子化合物が併用されておればロジン類のみの場合に比べてその膜は強靭であり、その強靭さの程度も分子量を変えて設計する事ができ、その選択幅を大きくできるので、寒暖の差が大きい場合でもマイクロクラックの発生を防止できる。この点ではアクリル系樹脂も単独あるいは可塑剤ととも併用することもできる。
【0027】
【実施例】
次に本発明の実施例を説明する。
本発明のフラックス、ソルダーペーストは、通常のフラックス、ソルダーペーストのようにして製造、使用され、プリント回路基板にフラックス膜、ソルダーペースト膜が形成される。以下にそのフラックス、ソルダーペースト及びフラックス膜、ソルダーペーストの残渣膜を形成した回路基板の実施例を示す。
【0028】
実施例1(フラックスの例)
以下の組成のフラックスを調製した。
水添ロジン(ロジン系樹脂) 15.0g
ジエチルアミン塩酸塩(活性剤) 0.5g
アジピン酸 0.5g
イソプロピルアルコ−ル(溶剤) 76.0g
G−1000( α, ω− ポリブタジエングリコール) 8.0g
合計 100.0g
上記各成分を攪拌混合することによってフラックスを得た。このフラックスの粘度をレッドウッド粘度計で測定したところ5.3mPa・s(測定温度20℃)であった。
【0029】
実施例2〜6(フラックス)
実施例1において、表1に示す配合に変えたこと以外は同様にして実施例2〜6のフラックスを調製した。実施例1と同様に粘度を測定したところ、いずれもその粘度はほぼ同程度であった。
【0030】
比較例1〜3(フラックス)
実施例1において、表1に示す配合に変えたこと以外は同様にして比較例1のフラックスを調製した。
【0031】
上記実施例、比較例で得られたそれぞれのフラックスを用いて以下の試験を行った。
(a)ウエッティングバランス法によるぬれ上がり性(ぬれ作用力)の試験
15mm×7mm×0.2mmの銅板を11%硫酸、3.8%過酸化水素を含む水溶液中に20±1℃で60秒間浸漬してソフトエッチングを行った後取り出し、30秒間イオン交換水で洗浄する。この後、イソプロピルアルコール、酢酸エチルで順次洗浄し、表面を十分脱水した後、自然乾燥した。
この銅板の表裏両面の全面に上記実施例1〜6、比較例1〜2のそれぞれのフラックスを浸漬法により塗布した試験片を約250℃の溶融はんだ(Sn/Pb=63/37(質量比))の水平面に一端側から垂直に侵入させると、それとともに溶融はんだは断面略V字状に引き込まれるが、その侵入を停止すると、時間の経過とともに引き込まれた溶融はんだは徐々に上昇し、水平面に復帰したところで試験片がこの水平面に垂直になり、さらに溶融はんだは試験片の表面に沿って断面逆略V字状に上昇し、上昇し切る。この試験片の侵入から溶融はんだが水平面に復帰するまでの時間を「ぬれ時間(秒」として測定し、その時点では試験片には溶融はんだからは上下方向には何らの力も加わっていないが、溶融はんだが上記のように上昇するにつれて試験片は下側に引っ張られ、その上昇し切ったところでその引っ張り力は最大になるので、この最大の引っ張り力を「ぬれ作用力(mN)」として測定する。
ぬれ時間が短いほど、また、ぬれ作用力が大きいほど、試験片に対するぬれ性がよく、フラックス膜の銅板の銅酸化物等に対する還元作用や、銅板を空気による酸化から防止する機能が高く、フラックスの性能がよいことを示す。
【0032】
(b)スルーホール上がり率の試験
上記(a)項で用いたと同様のフラックスを、直径0.1〜1.0mmのスルーホール(内壁にメッキ膜を施した貫通孔)を180個形成した試験片(図1に示すものと同様のもの)にスプレー法により塗布した後、噴流はんだ付装置((株)タムラ・エフ・エーシステム製HC33−36SNX)により約250℃の噴流はんだを形成し、その溶融はんだに試験片の一方の主面側を水平に4秒接触させ、大気中に取り出す。そして、上記スルーホールに対して溶融はんだがどこまで上昇して固化したかを観察し、図1(イ)に示すいずれのものも「合格」、図1(ロ)に示すいずれかのものを「不合格」として判定し、「スルーホール上がり率(%)」として、全数のスルーホールの内「合格」の数を百分率(%)で表す。
(c)銅板腐食試験
上記のフラックス膜を形成した銅板の試験片について、JIS−Z−3197(1999)により試験を行った。「銅板腐食」のないものを「合格」、あるものを「不合格」として判定する。
(d)画像検査機による判定
回路パターンを形成した基板に上記(a)項で用いたと同様のフラックスを塗布して乾燥させた後、電子部品をフローはんだ付した場合について、フラックスの残さ膜に亀裂があった場合その他の原因により光の反射があったときにはんだ又ははんだ付ランドとして誤判定する割合を調べる試験を行った。
なお、画像検査機によに検査は、リフローはんだ付後のはんだフィレットにLED(発光ダイオード)のレーザー光を照射し、はんだ付欠陥があればその部分は黒っぽい画像となり、白っぽい部分ははんだ又ははんだ付ランドとして判定するもので、フラックスの残さ膜による乱反射はこれらのものと誤判定される。
上記(a)〜(d)の試験の結果を上記各実施例、各比較例のフラックスの組成とともに表1に示す。
なお、上記実施例のフラックス膜の絶縁抵抗は1013Ω以上であり、電圧印加後の抵抗も1013以上であり、電圧印加後の銅板の腐食も認められなかった。
【0033】
実施例7(ソルダーペースト)
以下の組成のソルダーペーストを調製した。
(ソルダーペーストの組成)
水添ロジン(ロジン系樹脂) 38.0g
ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩(活性剤) 0.5g
アジピン酸 0.5g
水添ヒマシ油(チクソ剤) 6.0g
ヘキシルカルビトール(溶剤) 35.0g
G−1000( α, ω− ポリブタジエングリコール) 20.0g
合計 100.0g
上記のフラックス 11.0g
はんだ粉末 89.0g
(Sn/Ag/Cu=96.5/3/0.5)
合計 100.0g
上記ソルダーペーストは上記フラックスとはんだ粉末の配合物を1時間混練して調製したが、その粘度をマルコム社製スパイラル方式粘度計で測定したところ、210Pa・s(測定温度25℃)であった。
【0034】
実施例8〜12(ソルダーペースト)
実施例7において、表2に示す配合に変えたこと以外は同様にして実施例8〜12のソルダーペーストを調製した。実施例7と同様に測定した粘度を表2に示す。
【0035】
比較例4〜6(ソルダーペースト)
実施例7において、表2に示す配合に変えたこと以外は同様にして比較例4〜6のソルダーペーストを調製した。実施例7と同様に測定した粘度を表2に示す。
【0036】
上記実施例7〜12、比較例4〜6で得られたそれぞれのソルダーペーストを用いて、以下の試験を行なった。
(e)印刷性試験
回路パターンを表面に形成した基板を11%硫酸、3.8%過酸化水素を含む水溶液中に20±1℃で60秒間浸漬してソフトエッチングを行った後取り出し、30秒間イオン交換水で洗浄する。この後、イソプロピルアルコール、酢酸エチルで順次洗浄し、表面を十分脱水した後、自然乾燥した。
この基板に以下の条件で、上記実施例7〜12、比較例4〜6のそれぞれのソルダーペースを0.15mm厚さのメタルマスクを用いて印刷し、はんだ付ランドの印刷面に「かすれ」や「にじみ」が目視されるか否かを目視により検査した。
(f)粘着性試験
上記(e)の試験で用いた基板のはんだ付ランドにおける塗布膜に対するチップ部品に対する粘着力(部品の固着性)(N)を調べるもので、JIS Z 3284による試験を行った。
(g)加熱時のだれ性試験
上記(e)の試験で用いたはんだ付ランドの塗布膜にチップ部品を保持した基板について、リフローはんだ付するときの加熱時の塗布膜の所定位置からのはみ出し(mm)を調べるもので、JIS Z 3284による試験を行った。
(h)絶縁性試験
上記(g)の試験を行なう際に得られたチップ部品をリフローはんだ付した基板について、はんだと分離したフラックス膜(残さ膜)の抵抗値(Ω)を測定するもので、JIS Z 3284による試験を行った。
(i)チップ部品の立ちあるいは浮き試験
上記(g)の試験を行なう際に得られたチップ部品をリフローはんだ付した基板について、リフローはんだ付後、搭載されたチップ部品が片側の電極だけ接合がなされ、他方の電極が接合されずに、立ち上がったり、浮いたりする現象が、回路基板に約300個のチップ部品をリフローはんだ付したときに生じる割合(%)を調べる試験を行った。
(j)はんだ付性試験
上記(g)の試験を行なうに当たって、チップ部品をリフローはんだ付した基板を得る際に、リフローはんだ付装置において、プリヒート温度を160℃、120秒の場合と、200℃、120秒の場合とのそれぞれにおいて、本加熱(リフロー)を240℃、30秒行ってリフローはんだ付したときのはんだ付状態を目視し、溶融後固化したはんだに未溶融物が全く見られないものを「5」、溶融していないものを「1」とし、その中間では「3」以上を実用性があるとする5段階により評価する試験を行った。
(k)画像検査機による判定
上記(g)の試験を行なう際に得られたチップ部品をリフローはんだ付した基板について、フラックスの残さ膜に亀裂があった場合その他の原因により光の反射があったときにはんだ又ははんだ付ランドとして誤判定する割合を調べる試験を行った。
なお、画像検査機によに検査は、上記(d)の場合と同様である。
上記(e)〜(k)の試験結果を表2に示す。
【0037】
実施例13(電子部品搭載前の回路基板の例)
上記(a)、(b)の試験において、フラックス膜で被覆した銅板は、銅表面の保護機能からすれば、はんだ付ランドにフラックスの残渣膜の保護膜を形成した電子部品搭載前のプリント回路基板と見なすことができ、本発明の電子部品搭載前の回路基板の実施例と見なすことができる。
【0038】
実施例14(電子部品搭載後の回路基板の例(フラックス膜の場合)
上記(a)、(b)の試験において、フラックス膜を形成した銅板についてそれぞれの試験を行った後のものは、通常のはんだ付を行った後のものに相当し、はんだ付ランドにフラックスの残渣膜の絶縁膜を形成した電子部品搭載後のプリント回路基板と見なすことができ、本発明の電子部品搭載後の回路基板の実施例と見なすことができる。
なお、清浄化されたスルーホール基板(50×50×1.6mm 360穴/枚)にスプレーフラクサーで上記実施例のフラックスを塗布した後、自動はんだ付装置によりはんだ付を行ったが、良好であった。
【0039】
実施例15(電子部品搭載後の回路基板の例)(ソルダーペースト膜の場合)上記(i)チップ部品の立ちあるいは浮き試験に用いたチップ部品はんだ付後の回路基板は、通常のはんだ付を行った後のものに相当し、はんだ付ランドにソルダーペーストの残渣膜の絶縁膜を形成した電子部品搭載後のプリント回路基板と見なすことができ、本発明の電子部品搭載後の回路基板の実施例と見なすことができる。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
以上の結果から、本発明の実施例のものは、上記(i)、(j)、(k)の試験において、比較例のものより優れ、その他の試験結果も劣ることはないと言えるが、これはポリブタジエン系高分子化合物を使用したか否かによることがわかる。
その実施例のものでも、実施例7、8のものは上記(i)の試験結果では優れており、チップ立ち・浮きを抑制するには、ポリブダジエン系高分子化合物でもα,ω−ポリブタジエングリコールを使用することが特に有効であり、また、実施例9、10のものは上記(j)の試験結果では優れており、ポリブタジエン系高分子化合物でもα,ω−ポリブタジエンホモポリマーの水素添加物を使用することが特に有効であり、また、実施例11、12のものは上記(k)の試験結果では優れており、ポリブタジエン系高分子化合物でもα,ω−ポリブタジエンホモポリマー、ポリブタジエンのアクリル変成物を使用することが特に有効であることがわかる。
なお、単に「%」とあるは質量%を示す。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、フラックスや、ソルダーペーストにポリブタジエン系高分子化合物を含有させたので、超小型チップ部品を無鉛系はんだによりはんだ付してもチップ部品立ちの現象を生じにくく、回路基板のはんだ付ランドにその電極をよくはんだ付でき、また、例えばリフローはんだ付において高熱量が付与されても無鉛系はんだやフラックス膜の熱劣化を起こし難く、また、例えばリフローはんだ付工程後の画像検査機による検査において光の反射について誤認が生じにくいフラックスの残さ膜を生じさせることができる回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することができる。
また、塗布性を損なわず、均一な塗布膜を形成でき、しかも低残渣膜ではんだ付性を害さず、はんだ付ランドの腐食性が少なく、電気絶縁性の良い信頼性の高い回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することができる。
そして、回路基板はんだ付用フラックスを塗布してはんだ付ランドを保護した電子部品搭載前の回路基板を提供することができるとともに、回路機能の信頼性を損なわず、しかも生産性が良く、安価に得られる電子部品搭載後の回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリント回路基板のスルーホールに対する溶融はんだのぬれ上がり状態を示す説明図であり、(イ)は合格、(ロ)は不合格の場合を示す。
【産業上の利用分野】
本発明は、回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いるフラックス、ソルダーペースト及びこれらの残さ膜を有する電子部品はんだ付前又は後の回路基板に係わり、特に回路基板のパターンにチップ部品をリフローはんだ付する際にそのチップ部品の一方が立ち上がる、いわゆるチップ部品立ちの現象を抑制するとともに、高熱量下におけるはんだ付においても耐熱性があり、画像検査機によるはんだ付の検査にも適する上記の残さ膜を形成できるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器には電子部品を搭載した回路基板が一つの機能を有する回路を構成する部品として用いられている。その回路基板として例えばプリント回路基板は、例えば銅張積層基板に回路配線のパターンを形成したものであって、その上に電子部品を搭載して一つの回路ユニットを形成できるようにしたものであるが、その電子部品としてコンデンサや抵抗体等を搭載するには、その回路配線パターンの銅箔ランド、すなわちはんだ付ランドにこれらの部品をはんだ付して接続、固着している。
このようにプリント回路基板に電子部品をはんだ付するには、プリント回路基板の所定の箇所に例えば両端に電極を有するチップ状の電子部品をその両端の電極がはんだ付ランドに位置するように配置して仮り止めをし、ついでこの仮り止めした電子部品を噴流する溶融はんだに接触させることによりはんだ付する、いわゆる噴流式はんだ付方法や、はんだ付ランドにソルダーペーストを塗布し、これに上記と同様に電子部品の電極を位置させて加熱し、ソルダーペーストのはんだ粉末を溶融してはんだ付する、いわゆるリフローはんだ付方法が行なわれており、最近では、リフローはんだ付方法を用いることが表面実装の小型化の利点があることから多くなっている。その小型化としては、近年、プリント回路基板における表面実装は、電子部品を小型化してその実装密度を高める、いわゆる高密度化の方向にあり、微小で軽量な例えば1005チップ(縦1mm、横0.5mm)も多数使用されている。
【0003】
リフローはんだ付方法、噴流はんだ付方法のいずれのはんだ付方法を用いる場合でも、連続的に搬送されるプリント回路基板に電子部品を自動的に供給し、その電極あるいはリードをはんだ付ランドあるいはスルーホールにはんだ付する自動はんだ付が行われているが、通常はその前工程でフラックスをはんだ付ランドあるいはスルーホールに塗布してから溶融はんだを接触させたり、あるいははんだペーストを塗布することが行われており、はんだ付時の熱等によりはんだ付ランドの銅箔が酸化することによりはんだ付が良く行われなくなることを防止している。これは、プリント回路基板のはんだ付ランドは、はんだ付時に200℃〜300℃に加熱されるので、その表面が露出されている場合のみならずその表面に保護膜が形成されている場合でも、はんだ付時にフラックスが塗布されると、その膜が酸素を遮断して銅箔の酸化を防止するとともに、既に生じている酸化物を還元し、溶融したはんだを良く濡らすようになるからである。
このようなフラックスとしては、ロジン系フラックスが多く用いられており、その組成は、ロジン系樹脂を主成分とし、それにアミンハロゲン塩、有機酸などの活性剤、さらにその他目的に応じて、例えばはんだ付ランドにつや消し効果をもたらすつや消し剤や発泡性を良くしたりする発泡剤等の各種添加剤を加えたものをエチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコールを主成分とする溶媒に溶解したものが一般的に用いられている(例えば、特開平8−132282号公報参照)。このフラックスが自動はんだ付装置で用いられるときは、その装置内に設けられたフラクサーに収容されて、発泡式、噴流式あるいはスプレー式等の塗布手段により塗布される。
一般にロジンやロジン変性樹脂のロジン系樹脂は、電気絶縁性や耐湿性に優れ、高温ではんだ付する場合でもはんだ付ランドの酸化を防止し、しかも溶融はんだの熱により溶融して銅箔面に溶融はんだが接触することを可能にする、いわゆるはんだ付性能が良く、古くからはんだ付用フラックスとして用いられてきた。
【0004】
また、ソルダーペーストとしては、はんだ粉末とフラックスを含有するペースト状の組成物が用いられるが、そのフラックスとしては、ロジンあるいはロジン変性樹脂をベースとし、これに少量のアミン塩酸塩のようなアミンハロゲン塩や有機酸類等の活性剤、硬化ひまし油等のチクソ剤、さらにその他目的に応じて種々の材料を溶媒に溶解させたものが一般的に用いられている(例えば、特開平6−53645号公報参照)。これは、上述したように、ロジン系樹脂ははんだ付性能等に優れるからであり、一般にはんだ粉末とロジン系樹脂を用いたフラックスを混合してソルダーペーストを製造することが行われている。
ところで、はんだ粉末には、Sn−Pb系のいわゆる有鉛系はんだ粉末が多く用いられており、この有鉛系はんだ粉末を含有するソルダーペーストを用いて電子部品をはんだ付により実装した回路基板は、これが組み込まれる電子機器が廃棄される場合、分解され、その一部は回収されるものの、ほとんどは粉砕されて埋め立て処理されるか、地上に投棄される。その結果、有鉛系はんだに含まれる鉛が酸性雨等により可溶性化合物となって溶出し、環境汚染を引き起こすのみならず、地下水を通して汚染された水や動植物の食物が人体に摂取されることがあり、その毒性が強いことから重大な問題になりつつある。
そこで、鉛を含まないはんだ材料が開発され、Sn−Ag合金、Sn−Ag−Cu合金等のいわそる無鉛系はんだ合金粉末が用いられるようになってきた。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−132282号公報
【特許文献2】
特開平6−53645号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、小型のチップ部品を上記のはんだ付ランドにはんだ付するときには特に、上記の従来のフラックスや、ソルダーペーストを使用してはんだ付する場合には、特にそのソルダーペースト中のはんだ粉末に無鉛系はんだ粉末を用いたリフローはんだ付では、鉛を含有する従来の共晶はんだ粉末を用いたリフローはんだ付とは異なり、その溶融はんだははんだ付しよとうする部分に対するぬれが悪くなり、その結果、例えばはんだ付強度の不足をもたらすこともあるが、特にはんだ付部が溶融はんだに接触するはんだ付時に、チップ部品の片方が立ち上がる、いわゆるチップ部品立ちあるいはチップ部品浮きの現象を起こし易いという問題がある。
特に、最近では、電子機器の軽薄短小化が益々促進され、これに使用される電子部品を搭載した回路基板も一層の小型化、高機能化が要求され、その搭載する部品も0603サイズ(縦0.6mm、横0.3mm)等のように超小型化される一方で、回路基板に対する電子部品の搭載数を上げる、いわゆる実装密度を高めるために、チップ部品の下面に電極を配したフィレットレス部品も実装されるようになり、益々チップ部品立ちの現象は起こり易い状況になっている。
このように、チップ部品立ちの現象が生じると、その立ち上がった先端の電極は回路パターンのはんだ付ランドに接続できないため、所定の閉回路が形成できず、電子部品を搭載した回路基板の製品としては動作不良を起こす不良品として処理され、大量生産によりコストを低減しようとしている現場では生産性を害する致命的な問題を生じる。
【0007】
また、無鉛系はんだ粉末は、融点が200〜220℃であり、有鉛系のSn−Pb合金(Sn/Pb=63/37)の融点が183℃であるのに比べれば、融点が高く、そのため無鉛系はんだ粉末を用いたソルダーペーストを用いたリフローはんだ付方法では、はんだ付時のはんだ粉末の溶融時(リフロー時)のピーク温度を260〜270℃にしなければ流動性のよい溶融はんだが得られ難く、そのリフロー時のピーク温度が220〜230℃でよい後者の有鉛系はんだを用いる場合には、熱に弱い電子部品の損傷の危険を回避することができるのに対し、その熱損傷による機能劣化等の問題を避けにくいという問題もある。
この問題を解決するために、上記のはんだ付時のピーク温度を230〜240℃に低く設定し、その代わりにプリヒート時に従来の例えは150℃より高い温度、例えば190〜200℃で加熱し、その余熱ではんだ付時の加熱時の熱量を補充し、リフロー時のはんだ粉末の溶融が効率的に行えるようにする、いわゆるリフロープロファイルを変更することにより、電子部品の損傷を緩和する試みもなされている。しかし、この方法では、プリヒート時の加熱の熱量が増えるので、回路基板のはんだ付ランドに塗布されたソルダーペースト膜のはんだ粉末及びフラックス膜が過度に熱せられることになって、これらが酸化による熱劣化を起こし易く、リフロー時にはんだ粉末やフラックス膜に未溶融物が生じ、その結果、はんだ付後においてはんだ付強度を低下させる等のはんだ付性の特性を劣化させてしまうという、別の新たな問題を引き起こすことが知られるようになってきた。
【0008】
また、ソルダーペーストを用いたリフローはんだ付方法を用いる多くの工場生産ライン構成は、ソルダーペーストの印刷工程、チップ部品等の載置(マウント)工程及びリフローはんだ付工程からなっているが、このような生産ラインでは、最終製品の品質を確保するため、チップ部品等の載置工程以降では、各工程後に、画像検査機等によりチップ部品及び付着したはんだについての検査が行われる。
しかしながら、この画像検査は、各工程の処理を終えた回路基板に対し光を当てて、付着したはんだは金属光沢があることから光を反射し易く、他方チップ部品は光を反射し難いことを利用して、その反射光を解析することによって、はんだ及びチップ部品の有無とチップ部品の位置ずれ、さらにはブリッジ(はんだ付ランド間のはんだによる橋架け)やはんだボール(溶融はんだが千切れて散在するボール状のもの)の発生の有無の判定を行うものであるので、フラックスの残さ(ソルダーペースト中のフラックス等)が強く光を反射したり、その残さ中に亀裂が入って光を乱反射すると、はんだブリッジやはんだボールが発生しているものとして誤った判定がなされるという問題がある。
【0009】
本発明の第1の目的は、超小型チップ部品を無鉛系はんだによりはんだ付してもチップ部品立ちの現象を生じにくく、回路基板のはんだ付ランドにその電極をよくはんだ付できる回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第2の目的は、例えばリフローはんだ付において高熱量が付与されても無鉛系はんだやフラックス膜の熱劣化を起こし難い回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第3の目的は、例えばリフローはんだ付工程後の画像検査機による検査において光の反射について誤認が生じにくいフラックスの残さ膜を生じさせることができる回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第4の目的は、塗布性を損なわず、均一な塗布膜を形成でき、しかもはんだ付性を害さない回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第5の目的は、はんだ付ランドの腐食性が少なく、電気絶縁性の良い信頼性の高い回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することにある。
本発明の第6の目的は、上記目的を達成する回路基板はんだ付用フラックスを塗布してはんだ付ランドを保護した電子部品搭載前の回路基板を提供することにある。
本発明の第7の目的は、回路機能の信頼性を損なわず、しかも生産性が良く、安価に得られる電子部品搭載後の回路基板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、(1)、ポリブタジエン系高分子化合物を含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる回路基板はんだ付用フラックスを提供するものである。
また、本発明は、(2)、ロジン系樹脂を含有する樹脂成分と、溶剤成分を少なくとも含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いるフラックスにおいて、分子量が6000より大きくないポリブタジエン系高分子化合物を含有する回路基板はんだ付用フラックス、(3)、ポリブタジエン系高分子化合物が分子量1000〜6000のポリブタジエンポリマー及びその変性物の少なくとも1種であり、該ポリブタジエンポリマーはポリブタジエンホモポリマーであってもよく、該変性物はポリブタジエンポリマーの水素添加物、アクリル変性物、水酸化物、カルボン酸化物、マレイン化物、エポキシ化物、エポキシ樹脂化物、ボイル化物又はウレタン変性化物である上記(1)又は(2)の回路基板はんだ付用フラックス、(4)、回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる、はんだ粉末と樹脂成分を少なくとも含有するソルダーペーストにおいて、分子量が6000より大きくないポリブテン系高分子化合物を含有する回路基板はんだ付用ソルダーペースト、(5)、回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる、はんだ粉末とソルダーペースト用フラックスを少なくとも含有するソルダーペーストにおいて、該フラックスは上記(1)又は(2)又は(3)の回路基板はんだ付用フラックスである回路基板はんだ付用ソルダーペースト、(6)、はんだ粉末は鉛を含まない無鉛系はんだ粉末である上記(4)又は(5)の回路基板はんだ付用ソルダーペースト、(7)、上記(1)又は(2)又は(3)の回路基板はんだ付用フラックスを用いてはんだ付ランドを被覆した電子部品をはんだ付する前又は後の回路基板、(8)、上記(4)又は(5)又は(6)の回路基板はんだ付用ソルダーペーストを用いたはんだ付後の残さ膜を有する電子部品実装後の回路基板を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、「ポリブタジエン系高分子化合物」とは、ブタジエンを主とした重合体(他の重合成分があってもよい)及びその変性物であって、ポリブタジエンポリマー及びその変性物の少なくとも1種であり、そのポリブタジエンポリマーはポリブタジエンホモポリマーであってもよく、その変性物はポリブタジエンポリマーの水素添加物、アクリル変性化物、水酸化物、カルボン酸化物、マレイン化物、エポキシ化物、エポキシ樹脂化物、ボイル化物又はウレタン変性化物であってもよく、いずれも分子量(GPC法)は6000より大きくなく(6000以下)、好ましくは1000〜6000であり、これらは単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。
分子量が小さ過ぎると、上記したチップ部品立ちの現象を抑制する効果を発揮し難く、また、高熱量下における残さ膜の耐熱性も得られ難く、また、画像検査機による検査に適する残さ膜の形成し難くなり、分子量が大き過ぎるとフラックスやソルダーペーストの粘度が高くなり、流動性が低くなり、印刷もし難いのみならず、その残さ膜は熱溶融し難くなり、はんだ付性が低下し易いので、分子量は1000〜6000がよい。
具体的には、ポリブタジエンポリマーとしては、例えばα,ω−ポリブタジエンホモポリマー(例えばNISSO PB B−1000、同B−2000、同B−3000(日本曹達株式会社製、以下括弧内は他社名がないときは同社製品でNISSO PBは省略されている))、ポリブタジエンポリマーの変性物としては、例えば上記α,ω−ポリブタジエンホモポリマーの水素添加物(GI−1000、GI−2000、GI−3000、CI−1000、BI−1000、BI−2000、BI−3000)、ポリブタジエンポリマーの水酸化物としてのα,ω−ポリブタジエングリコール(G−1000、G−2000、G−3000)、ポリブタジエンポリマーのカルボン酸化物としてのα,ω−ポリブタジエンカルボン酸(C−1000)、ポリブタジエンポリマーのアクリル変性化物としてのポリブタジエンポリマーのアクリル変性物(TEA−1000、TE−2000、TEAI−1000、いずれも末端アクリル変性)、ポリブタジエンポリマーのマレイン化物(BN−1015(酸価130〜155KOHmg/g))、ポリブタジエンポリマーのエポキシ化物(BF−1000(エポキシ当量200〜240))、ポリブタジエンポリマーのエポキシ樹脂化物(EPB−13(エポキシ当量600〜780))、ポリブタジエンポリマーのボイル化物(GQ−1000(水酸基価45〜54KOHmg/g、酸価4〜8KOHmg/g)、GQ−2000(水酸基価38〜45KOHmg/g、酸価3〜6KOHmg/g))、ポリブタジエンポリマーのウレタン変性化物(TP−1001(NCO含有量3.6〜4.5%)、TP−1002(NCO含有量3.6〜4.5%))が挙げられる。
また、エポリードPB−3600(ダイセル化学社製、エポキシ化ポリブタジエン)も挙げられる。
ポリブタジエンポリマーは下記一般式〔化1〕又は〔化2〕で表される構造を基本骨格とする高分子化合物(他の重合成分を有してもよいが〔化1〕又は〔化2〕でまとめられる)であり、二重結合を内蔵しているのでその反応性を利用し、あるいはこれに対する各種薬品による反応により、上記の各種変性物を得ることができる。
【0012】
【化1】
【化2】
(式中、m、nは1以上の整数を表す。)
例えば上記TEA−1000、TE−2000は下記〔化3〕、BN−1015は下記〔化4〕、BF−1000は下記〔化5〕、TP−1001、TP−1002は下記〔化6〕で示され、上記GQ−1000、GQ−2000は上記C−1000の空気酸化物で、分子内に−OH、−COOH、−COOR(Rはアルキル基等)を有するものであり、上記EPB−13、EPB−1054は上記C−1000とビスフェノール型エポキシ樹脂との反応物であるとされている(同社カタログ)。
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
ポリブタジエン系高分子化合物は、フラックス中40%以下が好ましい。これより多い添加量では残さ膜が厚くなり過ぎ、チップ部品をはんだ付したときに部品のずれが発生する恐れがある。また、このフラックスをソルダーペーストに用いた場合にははんだボールが生じ易くなる。その添加量が少な過ぎると、上記したチップ部品立ちの現象を抑制する効果を発揮し難く、また、高熱量下における残さ膜の耐熱性も得られ難く、また、画像検査機による検査に適する残さ膜が形成し難くなるので、2%以上にすることが好ましく、2〜40%が好ましい。 ポリブタジエン系高分子化合物を含有するソルダーペーストについて、リフローはんだ付工程後に、上記のチップ立ちの現象を生じにくいことについては、そのいずれの塗布膜あるいは残さ膜もポリブテン系高分子化合物を含有することにより常温では粘性が高く、高温では低くなるので、はんだが溶融するまでは高い粘性を有するためチップ部品の両端の電極ははんだ付ランド上のフラックスの残さ膜上ではその粘着力にも保持され、一端側が立ち上がること、あるいは浮くことを抑制されることと、はんだが十分に溶融する温度域においてはその残さ膜が粘着力を低下させ、流動性を増すことによりはんだから分離して流れ出し易く、溶融はんだがその残さ膜を残留させることなく、はんだ付ランドと電極のはんだ付部に供給されることによるものと考えられる。
また、ポリブタジエン系高分子化合物を含有するフラックス、あるいはこれを含有するソルダーペーストについて、特に高熱量下のリフローはんだ付においても、無鉛系はんだ粉末等のはんだ粉末及びフラックスの残さ膜の熱劣化を防止できる点については、その残さ膜がプリヒート時にははんだの表面を覆ってその表面を酸化から保護し、はんだが溶融するリフロー時にはポリブタジエン系高分子化合物が熱により分解して飛散することにより酸素の供給が抑制され、溶融はんだの酸化が防止され、酸化に対する耐熱性を持たせることができると考えられる。
また、ポリブタジエン系高分子化合物を含有するフラックス、あるいはこれを含有するソルダーペーストについて、リフローはんだ付工程後の画像検査において、誤判定を生じさせにくいのは、フラックスの残さ膜はポリブタジエン系高分子化合物の存在により柔軟性が付与されたため亀裂が発生し難いことと、リフローはんだ付後の自然冷却過程では、その残さ膜の収縮の際にポリブタジエン系高分子化合物の柔軟性によりその残さ膜にしわが入り易く、これにより画像検査時の光の反射を抑え、誤判定を少なくできると考えられる。
【0018】
本発明のフラックスには、「非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤」を含有させてもよく、非解離性のハロゲン化化合物としてはハロゲン原子が共有結合により結合した非塩系の有機化合物が挙げられる。このようにハロゲン原子が非解離性であると、回路基板の金属を腐食したり、フラックスに残留してもその電気絶縁性を害することも少なくできる。このような非解離性のハロゲン化化合物ははんだ付時に溶融はんだの200℃以上になる高温に曝されると、その一部が分解しハロゲンあるいはその簡単な化合物を生じ、これにより活性を示すことができ、その際その分解物が揮発性であればイオン性物質をフラックス膜に残留させないようにすることができる。
ハロゲン化化合物としては、塩素化物、臭素化物、フッ化物のように塩素、臭素、フッ素の各単独元素の共有結合による化合物でもよいが、その3者の任意の2つ又は全部のそれぞれの共有結合を有する化合物でもよい。これらの化合物は、水性溶媒に対する溶解性を向上させるために、例えばハロゲン化アルコールのように水酸基等の極性基を有することが好ましい。ハロゲン化アルコールとしては、例えば2,3−ジブロモプロパノール、2,3ジブロモブタンジオール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、トリブロモネオペンチルアルコール等の臭素化アルコール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−ジクロロ−2−ブタノール等の塩素化アルコール、3−フルオロカテコール等のフッ素化アルコール、その他のこれらに類する化合物が挙げられる。
他の活性剤を併用することもでき、これにはアミン類、アミン塩類(エチレンジアミン等のポリアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミン等のアミンの有機酸塩や無機酸塩(塩酸、硫酸等の鉱酸塩))、有機酸類、アミノ酸類(グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等)、アミド系化合物等が挙げられる。具体的にはジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等が挙げられる。
活性剤はフラックス中に0.1〜10%加えられることが好ましい。非解離型活性剤はフラックス中0.1〜10%加えることが好ましい。これより少ないと、ブリッジ、つららなどのはんだ付不良を発生し易くなり、これより多いと溶解性の低下によるフラックスの液組成の安定性の低下を起こす場合がある。
【0019】
本発明において、「ロジン系樹脂を含有する樹脂成分」とは、ロジン系樹脂は必ず使用するが、その他の樹脂を併用してもよいことを示す。「ロジン系樹脂」としては、例えばガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、水素添加ロジン及びこれらの誘導体等のロジン類が挙げられるが、これらの変性物であるロジン系変性樹脂も挙げられ、そのロジン系変性樹脂としては、ディールス・アルダー反応の反応成分となり得る上記のロジン類の不飽和有機酸変性樹脂((メタ)アクリル酸等の脂肪族の不飽和一塩基酸、フマル酸、マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸等の脂肪族不飽和二塩基酸、桂皮酸等の芳香族環を有する不飽和カルボン酸等の変性樹脂)及びこれらの変性物等のアビエチン酸やその変性物を主成分とするものが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。これらの内、酸価が100より小さくなく、好ましくは酸価が180より小さくないロジン系変性樹脂は、アンモニアその他の揮発性アミン化合物(残渣に残留し難いように沸点が200℃より高くなく(ピラゾ−ル、その誘導体、これらの塩も含まれる場合がある)、フラックス中、0.1〜20重量%含有させ、フラックスのpH10以下、好ましくは7〜8にする。)とともに用いると水溶化(フラックス中、水が50%より少なくない)することができ、フラックスやこのフラックスを用いたソルダーペースト中の有機溶剤を無くすか、少なくすることができ、これらの製造や使用において有機溶剤の揮散による大気汚染の問題を回避することができる。これによれば、大気中に有機溶剤を排出する量を減らすことができ、その排出をほどんどないようにすることができる回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することができる。
「ロジン系樹脂」がフラックスやソルダーペーストの膜の樹脂成分としての性能を有するには、噴流はんだ付方法、リフローはんだ付方法のいずれの場合でも、そのはんだ付性を損なわないために、その軟化点(JISに定める環球法)は、噴流はんだ付方法の場合には60〜150℃が好ましく、リフローはんだ付する場合にははんだ付時の温度が高いので70〜150℃が好ましい。低過ぎるとフラックス膜に粘着性が生じ、高過ぎると溶融はんだに押し退けられる性質が損なわれ、溶融はんだのはんだ付ランドに対するぬれを害することがある。
【0020】
上記のロジン系樹脂は、一般的にはフラックス中に0.1〜30%含有されてもよく、上記のポリブタジエン系高分子化合物を併用する場合にはその含有量を減らすことができるが、少な過ぎると、フラックスとしての機能を有することができないことがあり、多すぎるとコスト高になるのみならず、フラックスの粘度が大きくなり、プリント回路基板に均一に塗布することができず、また、フラックス膜が厚くなりすぎ、溶融はんだのはんだ付ランドに対する濡れを害することがある。ソルダーペーストに使用するフラックスについても同様のことが言える。一般的にはソルダーペーストに使用するフラックス中のロジン系樹脂は、40〜70%含有されてもよいが、上記のポリブタジエン系高分子化合物を併用する場合には、フラックス中に30〜50%に減らすことができる。
【0021】
フラックス及びソルダーペーストの成分として用いられる溶剤としては、アルコール系溶媒、セロソルブ類等が挙げられ、その内でもフラックスとして使用する場合にはイソプロピルアルコールが好ましく、ソルダーペーストのフラックスとして使用する場合にはブチルカルビトール、ヘキシルカルビトールが好ましく、これら有機溶媒は単独あるいは複数混合して用いられるが、水性溶剤を用いてもよく、水性溶剤としては水及びこれと水に溶解性のある有機溶剤の混合溶剤が用いられる。
本発明のフラックス及びソルダーペーストに使用するフラックスには、つや消し剤、発泡剤、消泡剤を0.1〜10%、カオリン、エアロジール(日本エアロジール社製)、有機ベントナイト、硬化ひまし油等のチクソ剤を1〜10%加えてもよく、その他の添加剤を加えてもよい。
【0022】
本発明のフラックスを製造するには、ポリブタジエン系高分子化合物、これと併用するロジン系樹脂その他の樹脂、活性剤、その他の添加剤を有機溶剤に溶解すればよいが、上記のディールス・アルダー反応によるロジン系樹脂の不飽和有機酸変性樹脂のような酸価が100より小さくないロジン系変性樹脂を使用する場合には、この樹脂を水と上記のアンモニア等の塩基性剤の混合物に徐々に加え、撹拌しながら溶解させ、さらに活性剤や、必要に応じて他の樹脂や可塑剤を助剤として加えて完成する。この際、上記変性樹脂を有機溶剤に溶解させておき、これを水と塩基性剤の混合溶媒に溶解させ、ついで必要に応じて他の成分を加え、完成するようにしてもよい。その際、有機溶剤をフラックスに含有させる場合にはその有機溶剤を上記変性樹脂の溶剤に使用し、その不足分はさらにその溶液に加えてから以下同様に操作すれば良い。このようにすると上記変性樹脂の水と塩基性剤の混合溶媒に対する溶解の作業性を向上させることかできる。また、フラックスに有機溶剤をほとんど含ませたくない場合は、上記変性樹脂を水と塩基性剤の混合溶媒に溶解させるときの撹拌の際にその有機溶剤を揮発させるようにしても良く、その場合には有機溶剤としては揮発性の有機溶剤を用いることが好ましい。なお、ポリブタジエン系高分子の内カルボン酸化等により極性基を導入したものは水性化には比較的有利である。
【0023】
本発明のソルダーペーストを製造するには、本発明のフラックスとはんだ粉末を撹拌混合するのが好ましいが、使用するフラックスには、上述したようにポリブタジエン系高分子や、これとそのほかのロジン系樹脂等の他の樹脂成分、グリコールエーテル系、アルコール系、芳香族系、エステル系等の溶剤、その他の溶剤の中から選択した溶剤を用い、その他活性剤、チクソ剤、必要に応じてその他添加剤を撹拌混合して製造してもよい。
そのはんだ粉末としては、有鉛のはんだ粉末の他に無鉛のはんだ粉末も使用する事ができる。この場合には、はんだ粉末とフラックスの合計に占めるそのフラックスの割合が9〜60%である事が好ましい。
また、無鉛のはんだ粉末としては、Sn/ Ag、Sn/ Ag/ Cu、Sn/ Ag/ Bi、Sn/ Bi、Sn/ Ag/ Cu/ Bi、Sn/ Sbや、Sn/ Zn/ Bi、Sn/ Zn、Sn/ Zn/ Al、Sn/ Ag/ Bi/ In、Sn/ Ag/ In等が挙げられる。
【0024】
本発明のフラックスをプリント回路基板に塗布する塗布方法としては、ロールコーティング、浸漬法、スプレー法や、例えばフラックスに空気を吹き込む等によりバブリングさせて発泡させ、その泡をプリント回路基板に付着させるような塗布方法等、従来のフラックス塗布方法を同じようにして用いることができる。このようにして塗布され、乾燥された本発明のフラックス膜は、有機溶剤や、水及び塩基性剤が揮発除去され、上記ポリブタジエン系高分子化合物、あるいはこれとロジン系樹脂等を含有する活性剤とからなるフラックス膜が形成される。そして噴流はんだ付方法、リフローはんだ付方法のいずれによってはんだ付を行っても、ロジン系樹脂は基本的にはロジンの性質を示すから、フラックス膜は溶融はんだが接触するまでははんだ付ランドに対する空気中の酸素を遮断してその表面の銅の酸化を防止し、溶融はんだが接触したときはその熱により溶融し、溶融はんだに押し退けられて塗布面のはんだ付ランドを露出させ、その際活性剤もはんだ付ランドのフラックス塗布前あるいははんだ付時に生じることのある銅酸化物を還元し、溶融はんだを金属銅のはんだ付ランドに良く濡らすことができるが、上記ポリブタジエン高分子化合物もロジン系樹脂と併用する場合は勿論のこと、それ単独で使用する場合にもロジン系樹脂と同様の機能を営むことができる。
そして、そのはんだ付後は、揮発性塩基性剤を使用しているときは、水性化した樹脂を使用しているときは、この樹脂は塩基性剤が除去されているから水には溶解せず、したがって親水性の樹脂が疎水性の樹脂に変わり、電子部品を搭載した後の回路基板表面の絶縁性を害することがなく、回路をショートさせる等のことなくその信頼性を発揮することができる。
【0025】
本発明のフラックスは、このようにプリント回路基板に塗布され、はんだ付が行われた後も洗浄することなく、電子部品を搭載した回路基板に被覆されたままにされ、本発明はこのようなフラックス膜付の電子部品搭載後の回路基板を提供する。また、本発明のソルダーペーストについてもその残渣膜は洗浄することなく、電子部品を搭載した回路基板に被覆されたままにされ、本発明はこのようなソルダーペーストの残渣膜付の電子部品搭載後の回路基板を提供する。
また、本発明のフラックスは、銅張り積層板をエッチング処理して回路配線パターンを形成した後、あるいはさらにそのパターン表面の銅酸化物を除くソフトエッチング処理を行った後、そのパターンを形成したプリント回路基板に塗布し、そのパターンをはんだ付作業まで酸化から保護する保護膜としても用いることができ、このような保護膜付プリント回路基板も本発明は提供する。
【0026】
本発明のソルダーペーストの印刷膜は、溶融はんだの温度により樹脂分が押し退けられ、溶融はんだを金属面に接触させる事ができる。
この様にして電子部品がはんだ付されたプリント回路基板が得られるが、本発明に係わる本来の樹脂成分又はフラックスの残さ膜を洗浄しない場合でも、ポリブタジエン系高分子化合物が併用されておればロジン類のみの場合に比べてその膜は強靭であり、その強靭さの程度も分子量を変えて設計する事ができ、その選択幅を大きくできるので、寒暖の差が大きい場合でもマイクロクラックの発生を防止できる。この点ではアクリル系樹脂も単独あるいは可塑剤ととも併用することもできる。
【0027】
【実施例】
次に本発明の実施例を説明する。
本発明のフラックス、ソルダーペーストは、通常のフラックス、ソルダーペーストのようにして製造、使用され、プリント回路基板にフラックス膜、ソルダーペースト膜が形成される。以下にそのフラックス、ソルダーペースト及びフラックス膜、ソルダーペーストの残渣膜を形成した回路基板の実施例を示す。
【0028】
実施例1(フラックスの例)
以下の組成のフラックスを調製した。
水添ロジン(ロジン系樹脂) 15.0g
ジエチルアミン塩酸塩(活性剤) 0.5g
アジピン酸 0.5g
イソプロピルアルコ−ル(溶剤) 76.0g
G−1000( α, ω− ポリブタジエングリコール) 8.0g
合計 100.0g
上記各成分を攪拌混合することによってフラックスを得た。このフラックスの粘度をレッドウッド粘度計で測定したところ5.3mPa・s(測定温度20℃)であった。
【0029】
実施例2〜6(フラックス)
実施例1において、表1に示す配合に変えたこと以外は同様にして実施例2〜6のフラックスを調製した。実施例1と同様に粘度を測定したところ、いずれもその粘度はほぼ同程度であった。
【0030】
比較例1〜3(フラックス)
実施例1において、表1に示す配合に変えたこと以外は同様にして比較例1のフラックスを調製した。
【0031】
上記実施例、比較例で得られたそれぞれのフラックスを用いて以下の試験を行った。
(a)ウエッティングバランス法によるぬれ上がり性(ぬれ作用力)の試験
15mm×7mm×0.2mmの銅板を11%硫酸、3.8%過酸化水素を含む水溶液中に20±1℃で60秒間浸漬してソフトエッチングを行った後取り出し、30秒間イオン交換水で洗浄する。この後、イソプロピルアルコール、酢酸エチルで順次洗浄し、表面を十分脱水した後、自然乾燥した。
この銅板の表裏両面の全面に上記実施例1〜6、比較例1〜2のそれぞれのフラックスを浸漬法により塗布した試験片を約250℃の溶融はんだ(Sn/Pb=63/37(質量比))の水平面に一端側から垂直に侵入させると、それとともに溶融はんだは断面略V字状に引き込まれるが、その侵入を停止すると、時間の経過とともに引き込まれた溶融はんだは徐々に上昇し、水平面に復帰したところで試験片がこの水平面に垂直になり、さらに溶融はんだは試験片の表面に沿って断面逆略V字状に上昇し、上昇し切る。この試験片の侵入から溶融はんだが水平面に復帰するまでの時間を「ぬれ時間(秒」として測定し、その時点では試験片には溶融はんだからは上下方向には何らの力も加わっていないが、溶融はんだが上記のように上昇するにつれて試験片は下側に引っ張られ、その上昇し切ったところでその引っ張り力は最大になるので、この最大の引っ張り力を「ぬれ作用力(mN)」として測定する。
ぬれ時間が短いほど、また、ぬれ作用力が大きいほど、試験片に対するぬれ性がよく、フラックス膜の銅板の銅酸化物等に対する還元作用や、銅板を空気による酸化から防止する機能が高く、フラックスの性能がよいことを示す。
【0032】
(b)スルーホール上がり率の試験
上記(a)項で用いたと同様のフラックスを、直径0.1〜1.0mmのスルーホール(内壁にメッキ膜を施した貫通孔)を180個形成した試験片(図1に示すものと同様のもの)にスプレー法により塗布した後、噴流はんだ付装置((株)タムラ・エフ・エーシステム製HC33−36SNX)により約250℃の噴流はんだを形成し、その溶融はんだに試験片の一方の主面側を水平に4秒接触させ、大気中に取り出す。そして、上記スルーホールに対して溶融はんだがどこまで上昇して固化したかを観察し、図1(イ)に示すいずれのものも「合格」、図1(ロ)に示すいずれかのものを「不合格」として判定し、「スルーホール上がり率(%)」として、全数のスルーホールの内「合格」の数を百分率(%)で表す。
(c)銅板腐食試験
上記のフラックス膜を形成した銅板の試験片について、JIS−Z−3197(1999)により試験を行った。「銅板腐食」のないものを「合格」、あるものを「不合格」として判定する。
(d)画像検査機による判定
回路パターンを形成した基板に上記(a)項で用いたと同様のフラックスを塗布して乾燥させた後、電子部品をフローはんだ付した場合について、フラックスの残さ膜に亀裂があった場合その他の原因により光の反射があったときにはんだ又ははんだ付ランドとして誤判定する割合を調べる試験を行った。
なお、画像検査機によに検査は、リフローはんだ付後のはんだフィレットにLED(発光ダイオード)のレーザー光を照射し、はんだ付欠陥があればその部分は黒っぽい画像となり、白っぽい部分ははんだ又ははんだ付ランドとして判定するもので、フラックスの残さ膜による乱反射はこれらのものと誤判定される。
上記(a)〜(d)の試験の結果を上記各実施例、各比較例のフラックスの組成とともに表1に示す。
なお、上記実施例のフラックス膜の絶縁抵抗は1013Ω以上であり、電圧印加後の抵抗も1013以上であり、電圧印加後の銅板の腐食も認められなかった。
【0033】
実施例7(ソルダーペースト)
以下の組成のソルダーペーストを調製した。
(ソルダーペーストの組成)
水添ロジン(ロジン系樹脂) 38.0g
ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩(活性剤) 0.5g
アジピン酸 0.5g
水添ヒマシ油(チクソ剤) 6.0g
ヘキシルカルビトール(溶剤) 35.0g
G−1000( α, ω− ポリブタジエングリコール) 20.0g
合計 100.0g
上記のフラックス 11.0g
はんだ粉末 89.0g
(Sn/Ag/Cu=96.5/3/0.5)
合計 100.0g
上記ソルダーペーストは上記フラックスとはんだ粉末の配合物を1時間混練して調製したが、その粘度をマルコム社製スパイラル方式粘度計で測定したところ、210Pa・s(測定温度25℃)であった。
【0034】
実施例8〜12(ソルダーペースト)
実施例7において、表2に示す配合に変えたこと以外は同様にして実施例8〜12のソルダーペーストを調製した。実施例7と同様に測定した粘度を表2に示す。
【0035】
比較例4〜6(ソルダーペースト)
実施例7において、表2に示す配合に変えたこと以外は同様にして比較例4〜6のソルダーペーストを調製した。実施例7と同様に測定した粘度を表2に示す。
【0036】
上記実施例7〜12、比較例4〜6で得られたそれぞれのソルダーペーストを用いて、以下の試験を行なった。
(e)印刷性試験
回路パターンを表面に形成した基板を11%硫酸、3.8%過酸化水素を含む水溶液中に20±1℃で60秒間浸漬してソフトエッチングを行った後取り出し、30秒間イオン交換水で洗浄する。この後、イソプロピルアルコール、酢酸エチルで順次洗浄し、表面を十分脱水した後、自然乾燥した。
この基板に以下の条件で、上記実施例7〜12、比較例4〜6のそれぞれのソルダーペースを0.15mm厚さのメタルマスクを用いて印刷し、はんだ付ランドの印刷面に「かすれ」や「にじみ」が目視されるか否かを目視により検査した。
(f)粘着性試験
上記(e)の試験で用いた基板のはんだ付ランドにおける塗布膜に対するチップ部品に対する粘着力(部品の固着性)(N)を調べるもので、JIS Z 3284による試験を行った。
(g)加熱時のだれ性試験
上記(e)の試験で用いたはんだ付ランドの塗布膜にチップ部品を保持した基板について、リフローはんだ付するときの加熱時の塗布膜の所定位置からのはみ出し(mm)を調べるもので、JIS Z 3284による試験を行った。
(h)絶縁性試験
上記(g)の試験を行なう際に得られたチップ部品をリフローはんだ付した基板について、はんだと分離したフラックス膜(残さ膜)の抵抗値(Ω)を測定するもので、JIS Z 3284による試験を行った。
(i)チップ部品の立ちあるいは浮き試験
上記(g)の試験を行なう際に得られたチップ部品をリフローはんだ付した基板について、リフローはんだ付後、搭載されたチップ部品が片側の電極だけ接合がなされ、他方の電極が接合されずに、立ち上がったり、浮いたりする現象が、回路基板に約300個のチップ部品をリフローはんだ付したときに生じる割合(%)を調べる試験を行った。
(j)はんだ付性試験
上記(g)の試験を行なうに当たって、チップ部品をリフローはんだ付した基板を得る際に、リフローはんだ付装置において、プリヒート温度を160℃、120秒の場合と、200℃、120秒の場合とのそれぞれにおいて、本加熱(リフロー)を240℃、30秒行ってリフローはんだ付したときのはんだ付状態を目視し、溶融後固化したはんだに未溶融物が全く見られないものを「5」、溶融していないものを「1」とし、その中間では「3」以上を実用性があるとする5段階により評価する試験を行った。
(k)画像検査機による判定
上記(g)の試験を行なう際に得られたチップ部品をリフローはんだ付した基板について、フラックスの残さ膜に亀裂があった場合その他の原因により光の反射があったときにはんだ又ははんだ付ランドとして誤判定する割合を調べる試験を行った。
なお、画像検査機によに検査は、上記(d)の場合と同様である。
上記(e)〜(k)の試験結果を表2に示す。
【0037】
実施例13(電子部品搭載前の回路基板の例)
上記(a)、(b)の試験において、フラックス膜で被覆した銅板は、銅表面の保護機能からすれば、はんだ付ランドにフラックスの残渣膜の保護膜を形成した電子部品搭載前のプリント回路基板と見なすことができ、本発明の電子部品搭載前の回路基板の実施例と見なすことができる。
【0038】
実施例14(電子部品搭載後の回路基板の例(フラックス膜の場合)
上記(a)、(b)の試験において、フラックス膜を形成した銅板についてそれぞれの試験を行った後のものは、通常のはんだ付を行った後のものに相当し、はんだ付ランドにフラックスの残渣膜の絶縁膜を形成した電子部品搭載後のプリント回路基板と見なすことができ、本発明の電子部品搭載後の回路基板の実施例と見なすことができる。
なお、清浄化されたスルーホール基板(50×50×1.6mm 360穴/枚)にスプレーフラクサーで上記実施例のフラックスを塗布した後、自動はんだ付装置によりはんだ付を行ったが、良好であった。
【0039】
実施例15(電子部品搭載後の回路基板の例)(ソルダーペースト膜の場合)上記(i)チップ部品の立ちあるいは浮き試験に用いたチップ部品はんだ付後の回路基板は、通常のはんだ付を行った後のものに相当し、はんだ付ランドにソルダーペーストの残渣膜の絶縁膜を形成した電子部品搭載後のプリント回路基板と見なすことができ、本発明の電子部品搭載後の回路基板の実施例と見なすことができる。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
以上の結果から、本発明の実施例のものは、上記(i)、(j)、(k)の試験において、比較例のものより優れ、その他の試験結果も劣ることはないと言えるが、これはポリブタジエン系高分子化合物を使用したか否かによることがわかる。
その実施例のものでも、実施例7、8のものは上記(i)の試験結果では優れており、チップ立ち・浮きを抑制するには、ポリブダジエン系高分子化合物でもα,ω−ポリブタジエングリコールを使用することが特に有効であり、また、実施例9、10のものは上記(j)の試験結果では優れており、ポリブタジエン系高分子化合物でもα,ω−ポリブタジエンホモポリマーの水素添加物を使用することが特に有効であり、また、実施例11、12のものは上記(k)の試験結果では優れており、ポリブタジエン系高分子化合物でもα,ω−ポリブタジエンホモポリマー、ポリブタジエンのアクリル変成物を使用することが特に有効であることがわかる。
なお、単に「%」とあるは質量%を示す。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、フラックスや、ソルダーペーストにポリブタジエン系高分子化合物を含有させたので、超小型チップ部品を無鉛系はんだによりはんだ付してもチップ部品立ちの現象を生じにくく、回路基板のはんだ付ランドにその電極をよくはんだ付でき、また、例えばリフローはんだ付において高熱量が付与されても無鉛系はんだやフラックス膜の熱劣化を起こし難く、また、例えばリフローはんだ付工程後の画像検査機による検査において光の反射について誤認が生じにくいフラックスの残さ膜を生じさせることができる回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することができる。
また、塗布性を損なわず、均一な塗布膜を形成でき、しかも低残渣膜ではんだ付性を害さず、はんだ付ランドの腐食性が少なく、電気絶縁性の良い信頼性の高い回路基板はんだ付用フラックス及びソルダーペーストを提供することができる。
そして、回路基板はんだ付用フラックスを塗布してはんだ付ランドを保護した電子部品搭載前の回路基板を提供することができるとともに、回路機能の信頼性を損なわず、しかも生産性が良く、安価に得られる電子部品搭載後の回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリント回路基板のスルーホールに対する溶融はんだのぬれ上がり状態を示す説明図であり、(イ)は合格、(ロ)は不合格の場合を示す。
Claims (8)
- ポリブタジエン系高分子化合物を含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる回路基板はんだ付用フラックス。
- ロジン系樹脂を含有する樹脂成分と、溶剤成分を少なくとも含有する回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いるフラックスにおいて、分子量が6000より大きくないポリブテン系高分子化合物を含有する回路基板はんだ付用フラックス。
- ポリブタジエン系高分子化合物が分子量1000〜6000のポリブタジエンポリマー及びその変性物の少なくとも1種であり、該ポリブタジエンポリマーはポリブタジエンホモポリマーであってもよく、該変性物はポリブタジエンポリマーの水素添加物、アクリル変性物、水酸化物、カルボン酸化物、マレイン化物、エポキシ化物、エポキシ樹脂化物、ボイル化物又はウレタン変性化物である請求項1又は2に記載の回路基板はんだ付用フラックス。
- 回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる、はんだ粉末と樹脂成分を少なくとも含有するソルダーペーストにおいて、分子量が6000より大きくないポリブタジエン系高分子化合物を含有する回路基板はんだ付用ソルダーペースト。
- 回路基板に電子部品をはんだ付する際に用いる、はんだ粉末とソルダーペースト用フラックスを少なくとも含有するソルダーペーストにおいて、該フラックスは請求項1又は2又は3に記載の回路基板はんだ付用フラックスである回路基板はんだ付用ソルダーペースト。
- はんだ粉末は鉛を含まない無鉛系はんだ粉末である請求項4又は5に記載の回路基板はんだ付用ソルダーペースト。
- 請求項1又は2又は3に記載の回路基板はんだ付用フラックスを用いてはんだ付ランドを被覆した電子部品をはんだ付する前又は後の回路基板。
- 請求項4又は5又は6に記載の回路基板はんだ付用ソルダーペーストを用いたはんだ付後の残さ膜を有する電子部品実装後の回路基板。
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