JP2004130266A - 次亜塩素酸生成噴霧器 - Google Patents

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大沢 清輝
Noriyuki Kitaori
北折 典之
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岡内 優司
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Abstract

【課題】電解効率が高く、使用を繰り返しても有効塩素濃度の変動の少ない電解水を噴霧できる、耐久性に優れた小型の携帯可能な次亜塩素酸生成噴霧器を提供する。
【解決手段】塩素化合物の溶液を収容する容器と、前記溶液を電気分解する電極と、電気分解により生成した次亜塩素酸又はその塩の溶液を噴霧するための噴霧装置と、噴霧操作毎に電極への電圧の印加方向を変更する手段とを有する次亜塩素酸生成噴霧器。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩素化合物の溶液を電気分解し、生成した次亜塩素酸又はその塩の溶液を直ちに噴霧できるようにした次亜塩素酸生成噴霧器に関する。
【0002】
【従来の技術】
農業、食品等の分野において、電気分解により生成される電解水が有用であることが知られている。特に、近年では、電解水の優れた殺菌、消毒作用に着目し、医療現場や家庭での利用、例えば患部、切開部、留置カテーテルの経皮開口部等の殺菌、消毒、あるいはキッチン用品、ベビー用品、家具等の家庭用品、トイレ、浴槽等の住居まわりの殺菌、消毒に使用することが検討されている。
【0003】
このような電解水は、溶解によりイオンが生じる溶質、例えば塩化ナトリウム等を添加し、また必要に応じpH調整のための酸を添加した水(被電解水)を、電気分解することによって得られる。電気分解は、陽極および陰極よりなる電極対を有する電解槽、またはさらに陽極と陰極の間に隔膜を配置した構成の電解槽を用いて行われる。
【0004】
しかし、このような方法は装置が大がかりとなり、例えば、医療現場や家庭でより簡易に殺菌、消毒等を行うには難がある。このような背景から、携帯可能な小型の電解水噴霧器が提案されている(特許文献1〜3)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−79393号公報
【特許文献2】
特開2000−197889号公報
【特許文献3】
特開2001−276826号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の噴霧装置では、電極に対する電圧の印加方向が同一であるため、使用を繰り返すうちに水中の成分、例えばカルシウム等が電極に付着し、電解効率を低下させ、噴霧される電解水中の有効塩素濃度が変動する。
【0007】
本発明の課題は、電解効率が高く、使用を繰り返しても有効塩素濃度の変動の少ない電解水を噴霧できる、耐久性に優れた小型の携帯可能な次亜塩素酸生成噴霧器を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塩素化合物の溶液を収容する容器と、前記溶液を電気分解する電極と、電気分解により生成した次亜塩素酸又はその塩の溶液を噴霧するための噴霧装置とを有する次亜塩素酸生成噴霧器であって、噴霧操作毎に電極への電圧の印加方向を変更する手段を備えた次亜塩素酸生成噴霧器に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0010】
図1は、噴霧装置としてトリガースプレーヤーを設けた本発明の次亜塩素酸生成噴霧器1の側部からの概略図であり、この次亜塩素酸生成噴霧器1は、液体容器2と噴霧装置であるトリガースプレーヤー3とからなっている。液体容器2は、内部に塩素化合物の溶液を収容している。
【0011】
該噴霧器では、容器2とトリガースプレーヤー3との間の溶液の吸引経路がディップチューブ11により形成され、且つ該ディップチューブ11は溶液を電気分解する電極30a、30bを備えている。なお、管状体であるディップチューブ11の先端は、先細形状となっていることが、液の逆流を抑制する点で、好ましい。また、電極が内挿されたディップチューブ11は、部品交換の容易さを考慮して、電極と共に脱着可能に設置することができる。
【0012】
図2は、トリガースプレーヤー3の要部Tを示す側部断面図である。便宜的に、図2では、電極への電圧の印加方向を変更する手段は省いてある。該トリガースプレイヤー3では、互いに連通する水平管路4及び垂直管路5が設けられると共に該水平管路4及び垂直管路5に液状物を供給するピストン・シリンダー機構12が配設されたスプレイヤー本体6と、該スプレイヤー本体6に回動自在に装着されたトリガー7と、上記水平管路4の前方部に装着されたスピンエレメント8と、該スピンエレメント8の前方部に装着されたノズル部材9と、上記垂直管路5に装着されたインテイク10と、該インテイク10に装着されたチューブ11とを備え、且つ上記スプレイヤー本体6及び上記インテイク10が、上記容器本体2内に外気を導入する外気導入孔6a及び10aを有している。
【0013】
上記スプレー容器1を更に詳説すると、上記スプレイヤー本体6の前方部であって、上記水平管路4の先端部には、挿嵌部4aが設けられており、この挿嵌部4aに、上記スピンエレメント8が嵌着されている。また、このスピンエレメント8の先端部には、ノズルチップ9aを備えたノズル部材9が嵌着されている。
【0014】
上記水平管路4の下方位置には、上記ピストン・シリンダー機構12のシリンダーSを構成する二重の筒状壁部13、14が設けられている。そして、この筒状壁部13の下方に、上記外気導入孔6aが形成されている。上記シリンダーS内には、当該シリンダーS内を往復運動するピストン部材15がコイルバネ16を介して配設されている。
【0015】
上記トリガー7は、上記スプレイヤー本体6の側壁部内側に回動自在に嵌着されている。このトリガー7の背面部には、上記ピストン部材15の前端部に当接する押圧突起7aが設けられており、トリガー7を回動操作することによって、ピストン部材15が上記シリンダーS内を往復運動できるようになしてある。そして、上記ピストン部材15の摺動部15aが、上記外気導入孔6aより後方に移動したときに、上記外気導入孔6a、10aを通じて外気が容器本体2内へ流入されるようになしてある。
【0016】
一方、上記スプレイヤー本体6の下方部には、上記垂直管路5の下端部を囲繞する二重の挿嵌壁部17、18が設けられており、垂直管路5及び挿嵌壁部17、18内に、上記インテイク10が嵌着されている。
【0017】
インテイク10は、基板部10bを境として、上方部に、上記挿嵌壁部18に嵌着される嵌着壁部10cと、上記垂直管路5及び挿嵌壁部17に嵌着される管部10dとを備えており、また、下方部に、スプレイヤー本体6を上記容器本体2の口部2bに装着したときに該口部2bに密嵌する嵌着壁部10eと上記管部10dに連通し且つ上記チューブ11の上端部が嵌着される管部10fとを備えている。そして、上記嵌着壁部10cの天板部に上記外気導入孔10aが形成されている。
【0018】
上記管部10fには、後述するチューブ11の回動を規制する係止部(図示せず)が設けられている。また、管部10dには、上記水平管路4及び上記シリンダーS内に連通する連通孔10g、10hがそれぞれ形成されている。更に、管部10dの内部の上方には、バルブ20が配設されている。このバルブ20は、そのフランジ部20aが支持壁部10iで支持されており、水平管路4からの液状物の逆流を防ぐとともに、支持壁部10iの下方における液圧が所望の圧力に高まったときに管部10d内と上記水平管路4とを連通させて該水平管路4に液状物を供給するようになしてある。また、このバルブ20の下方には、ボール弁体21が配設されている。このボール弁体21は、支持壁部10jで支持されており、上記シリンダーS内からの液状体の逆流を防ぐとともに、支持壁部10jの下方における液圧が所望の圧力に高まったときに液状物が上方に供給されるようになしてある。
【0019】
インテイク10の基板10bの上方には、上下方向の挿通孔を有するキャップ体22が装着されており、このキャップ体22の雌ねじ22aと、容器本体2の口部外周の雄ねじ(図示せず)とを螺合させることによって、上記スプレイヤー3を容器本体2に装着できるようになしてある。
【0020】
上記チューブ11は、その上端部に、上記インテイク10の管部10fと係合してその回動を不能とする係止部(図示せず)が設けられており、該管部10内において回動不能に嵌着されている。
【0021】
トリガースプレーヤー3には、電池32が収容され、電池32の一端のスペースには回路部33が設けられている。この回路部33は、電池32の電圧を昇圧して電極30a、30bに印加する。本発明の噴霧器は、トリガー7による噴霧操作毎に電極への電圧の印加方向を変更する手段を備えるが、該手段としては、オルタネートスイッチを備えた回路が挙げられる。オルタネートスイッチは、スイッチを押すとA回路、更に押すとB回路といった具合に回路を切り替える。その際、力が除かれるとスイッチ(操作部)は初期状態に戻るが、回路はそのまま保持され、新たにスイッチに力が加わると回路が切り替わる。ただし、本発明の噴霧器では、回路の開閉はトリガー7の操作に連動させる。このため、トリガー7を引くことで初めて回路が閉じ、電気分解が行われる。オルタネートスイッチによる回路切り替えの概要を図3に示した。通常、オルタネートスイッチは、トリガー7を引いたときに押圧されるよう、図1のように、トリガースプレーヤー3の外部下方(41aがオルタネートスイッチ)又は内部下方(41bがオルタネートスイッチ)に設置される。また、回路部33にフリップフロップ回路を組み込むことで、電極への電圧の印加方向を変更する手段としてもよい。本発明では、陰極と陽極が噴霧操作のたびに交互に変化するが、電極間を流れる電流は常に直流電流である。
【0022】
電極30a、30bの形成材料としては、次亜塩素酸に対する耐腐食性の点から、白金板又は白金メッキ板を使用することが好ましい。
【0023】
電極30a、30bに印加する電圧の大きさは、噴霧対象物、消臭あるいは殺菌等の噴霧目的に応じて所定の殺菌力を得るために適した次亜塩素酸の濃度、溶液の濃度、電気分解される溶液の容積等に応じて、適宜定める。例えば、0.1Nの塩化ナトリウムの水溶液を溶液とし、1回のトリガー操作で1ppm〜80ppmの次亜塩素酸溶液を0.1mL〜1mL噴霧する場合、電極30a、30bには2〜10V印加する。また、電極30a、30bに印加する電圧の大きさは、次亜塩素酸生成噴霧器1の用途、必要とする殺菌力等に応じて、噴霧する溶液中の次亜塩素酸又はその塩の濃度を変えられるように、可変としてもよい。すなわち、例えば、回路部33に、電極に印加される電圧を可変にする手段を形成することができる。
【0024】
電極の形状は、平板でもよいが、下記(1)〜(4)の少なくとも1つを具備することが好ましい。
(1)陽極及び陰極の少なくとも一方、好ましくは少なくとも陰極が、より好ましくは両方が、他方の電極に向かって及び/又は他方の電極の反対に向かって突出した、少なくとも一つの凸部を有する。
(2)陰極の面積が陽極の面積よりも大きい。
(3)陽極と陰極が非平行に配置されている。
(4)陽極及び陰極の少なくとも一方、好ましくは少なくとも陰極が、より好ましくは両方が、被電解水を流通させる開口を有する。
【0025】
電極30a、30bへの電圧の印加をオン−オフするスイッチは、次亜塩素酸生成噴霧器1の使用時にのみ電極30a、30bに電圧がかかるように、トリガー7を引くと自動的にスイッチがオン(ON)となり、トリガー7を離すとスイッチがオフ(OFF)となるように、トリガースプレーヤー3内に設けられている。
【0026】
また、本発明の次亜塩素酸生成噴霧器1は、電気分解が実行されていることを表示する手段を持つことができる。該手段は、トリガースプレーヤー3に設けることが好ましい。該手段の例としては、トリガーの動作と連動して通電中に表示されるLEDランプが挙げられる。更に、電極にかかる電圧に連動させるとより表示が正しい。これにより、新たに電流検知などをすることなく、簡便に動作を確認できる。
【0027】
本発明の次亜塩素酸生成噴霧器1は、トリガー7の操作により次のように作用する。即ち、まず、トリガー7を矢印Aのように容器2側に引くことにより、スイッチがONとなり回路に電流が流れ、その結果、電極30a、30b間に電流が流れる。このとき、ディップチューブ11内の被電解水はほぼ瞬時に電気分解され、且つピストン・シリンダー機構12により外部に放出される。すなわち、本発明の噴霧器では、噴霧操作(例えばトリガーの操作)と連動して電気分解が行われる。本発明では、前記トリガーの操作開始から0.1〜1秒で電気分解により生成した次亜塩素酸又はその塩の溶液を噴霧することが好ましい。
【0028】
なお、本発明の噴霧器は、噴霧装置がトリガースプレーヤー以外のものであってもよく、また、容器、噴霧装置、電極、電極への電圧の印加方向を変更する手段が一体的に形成されているものでも、分離して形成されているものでも、何れでもよい。
【0029】
(塩素化合物の溶液)
容器2に収容される溶液としては、電気分解により次亜塩素酸を生成する塩の水溶液を使用する。このような塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム等から選ばれる一種又は二種以上をあげることができる。中でも、毒性等の点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化マグネシウムが好ましい。また、溶液における塩の濃度は0.1〜10重量%とすることが好ましい。
【0030】
溶液が酸性であると、溶液の電気分解により次亜塩素酸塩よりも次亜塩素酸が多く存在し、溶液がアルカリ性であると、次亜塩素酸よりも次亜塩素酸塩が多く存在する。また、溶液の液性によって殺菌力が異なり、一般には、アルカリ性溶液よりも酸性溶液の方が殺菌力の高い場合が多く、特に芽胞菌等にはアルカリ性溶液よりも酸性溶液の殺菌力が高いが、カビに対する殺菌力は酸性溶液よりもアルカリ性溶液が高い。そこで、噴霧対象物に応じて殺菌力を向上させるため、溶液の液性を酸性又はアルカリ性に適宜調整することが好ましい。
【0031】
溶液を酸性に調整する場合、溶液に強酸を添加して酸性を過度に強くすると、次亜塩素酸が分解して塩素ガスが発生し、次亜塩素酸の殺菌力を担う酸化力が損なわれる。次亜塩素酸の酸化力を維持しつつ殺菌力を高めるためには、溶液を20℃でpH3〜8、特にpH3〜7に調整することが好ましい。また、このようなpHに溶液を調整するためには、解離度の低い弱酸の水溶性の有機酸を使用することが、溶液のpH制御の容易性の点から好ましい。ここで、水溶性の有機酸としては、コハク酸、乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸等をあげることができる。
【0032】
一方、溶液をアルカリ性に調整する場合、pH制御の容易性の点から、水溶性の有機アルカリを使用することが好ましい。水溶性有機アルカリとしては、例えば、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等のアミン系化合物をあげることができる。
【0033】
溶液には、さらに殺菌力を向上させるため、界面活性剤を添加してもよい。溶液に界面活性剤を添加すると、電気分解後の溶液の噴霧対象物に対する濡れ性を向上し、カビや菌の細胞膜との親和性も向上するので、殺菌効果がさらに向上する。
【0034】
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等の陰イオン界面活性剤、塩化ベンザルコニウム等の陽イオン界面活性剤、アミンオキサイド(例えばアルキルジメチルアミンオキサイド)等の両性界面活性剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の非イオン界面活性剤等を使用することができる。界面活性剤の溶液における濃度は、0.01〜10重量%とすることが好ましい。
【0035】
溶液には、この他、殺菌力や清涼感を向上させる等のためにアルコールを添加してもよく、また、必要に応じて香料、色素、界面活性剤以外の殺菌剤、増粘剤、酵素、漂白剤、キレート剤、塩素化合物以外の電解質、ビルダー、防腐剤、防錆剤等を添加してもよい。特に、保存安定性の面からは被電解水が防腐剤を含有することが好ましい。
【0036】
本発明の次亜塩素酸生成噴霧器は、室内、水回り、食器、衣類等の家庭用あるいは業務用の消臭、殺菌、漂白、又は人体、例えば手指等の殺菌、消毒等に広く使用することができる。
【0037】
噴霧装置としてトリガースプレーヤーを設けた本発明の次亜塩素酸生成噴霧器は、図示した他に種々の態様をとることができる。
【0038】
さらに、トリガースプレーヤーには種々の機構のものがあり、その機構に応じてトリガースプレーヤー内の液流路やトリガーの支点の位置等が異なるが、本発明の次亜塩素酸生成噴霧器は、任意のトリガースプレーヤーに適用することができる。
【0039】
以上説明した本発明によれば、
塩素化合物の溶液を収容する容器本体2の口部に、トリガースプレイヤー3が装着されてなり、該トリガースプレイヤー3は、互いに連通する水平管路4及び垂直管路5が設けられると共に該水平管路4及び垂直管路5に液状物を供給するピストン・シリンダー機構12が配設されたスプレイヤー本体6と、該スプレイヤー本体6に回動自在に装着されたトリガー7と、上記水平管路4の前方部に装着されたスピンエレメント8と、該スピンエレメント8の前方部に装着されたノズル部材9と、上記垂直管路5に装着されたインテイク10と、該インテイク10に装着されたチューブ11とを備え、且つ上記スプレイヤー本体6及び上記インテイク10が、上記容器本体2内に外気を導入する外気導入孔6a及び10aを有し、上記チューブ11内に前記溶液を電気分解する電極を備え、且つ噴霧操作毎に電極への電圧の印加方向を変更する手段を備えた、電気分解により生成した次亜塩素酸又はその塩の溶液を噴霧する次亜塩素酸生成噴霧器が提供される。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、使用を繰り返しても有効塩素濃度の変動の少ない電解水を噴霧できる、耐久性に優れた小型の携帯可能な次亜塩素酸生成噴霧器が提供される。
【0041】
【実施例】
実施例1
縦20mm、横5mm、厚さ0.1mmの白金製の電極に、端部に切り込みを入れ、その部分を折り曲げて、他方の電極に向かって突出した凸部を有する電極を、図2で示すようなトリガー式の噴霧器のディップチューブ内に配置した。電極間の距離は3mmである。該噴霧器では、トリガーを引くと同時に直流の電気が流れるようにした(印加電圧は5V)。更に、オルタネートスイッチが図1の41aのように設置されており、トリガー7のストローク操作毎にトリガー7の突起で該スイッチ41aが押圧され、回路が切り替わり、電極への電圧の印加方向が変更される。被電解水は1重量%の食塩水に、ラウリルジメチルアミンオキサイド〔アンヒトール20N、花王(株)製〕を50ppm添加し、コハク酸で噴霧される電解水のpHが5〜6になるように調整したものを用いた。この噴霧器では、1回のトリガー操作(約0.5秒)で0.8mlの電解水が噴霧される。トリガー操作を繰り返し、ストローク回数による電解水中の有効塩素濃度の推移を測定した。有効塩素濃度は、JIS K−0101“ヨウ素法”により測定した。結果を表1に示す。本例で用いた噴霧器の容器本体には、被電解水を400ml収容できるので、ストローク回数は500回で1本の噴霧器を消費したことに相当する。
【0042】
比較例1
実施例1の噴霧器でオルタネートスイッチを設置せず、電極への電圧の印加方向を変更させずに同一方向として電解水を噴霧し、実施例1と同様に噴霧される電解水中の有効塩素濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 2004130266

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の次亜塩素酸生成噴霧器の側部からの概略図である。
【図2】図1の噴霧器のトリガースプレーヤーの要部を示す概略図である。
【図3】オルタネートスイッチによる回路切り替えを示す概略図である。
【符号の説明】
1:次亜塩素酸生成噴霧器
2:容器
3:噴霧装置
11:ディップチューブ
30a、30b:電極
41a、42b:オルタネートスイッチ

Claims (9)

  1. 塩素化合物の溶液を収容する容器と、前記溶液を電気分解する電極と、電気分解により生成した次亜塩素酸又はその塩の溶液を噴霧するための噴霧装置とを有する次亜塩素酸生成噴霧器であって、噴霧操作毎に電極への電圧の印加方向を変更する手段を備えた次亜塩素酸生成噴霧器。
  2. 前記容器と前記噴霧装置との間に管状体により形成された前記溶液の吸引経路を備え、該該管状体内部に前記電極を有する請求項1記載の次亜塩素酸生成噴霧器。
  3. 噴霧装置がトリガースプレーヤーである請求項1又は2記載の次亜塩素酸生成噴霧器。
  4. 前記電極に印加される電圧を可変にする手段を備えた請求項1〜3の何れか1項記載の次亜塩素酸生成噴霧器。
  5. 電気分解が実行されていることを表示する手段を持つ請求項1〜4の何れか1項記載の次亜塩素酸生成噴霧器。
  6. 電気分解のための電源が電池であり、該電池の収容手段を有する請求項1〜5の何れか1項記載の次亜塩素酸生成噴霧器。
  7. 前記トリガーの操作により電極への電圧の印加をオン−オフするスイッチが設けられている請求項3〜6の何れか1項記載の次亜塩素酸生成噴霧器。
  8. 前記トリガーの操作開始から0.1〜1秒で電気分解により生成した次亜塩素酸又はその塩の溶液を噴霧する請求項3〜7の何れか1項記載の次亜塩素酸生成噴霧器。
  9. 前記管状体の先端が先細形状となっている請求項2〜8の何れか1項記載の次亜塩素酸生成噴霧器。
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