JP2004128540A - クロック信号生成回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】入力クロック信号のデューティ比崩れに対して位相補償したシステムクロック信号を生成するに、外部発振子におけるコスト的負担、面積オーバーヘッドを軽減する。
【解決手段】PchトランジスタP1とNchトランジスタN1が直列接続され入力クロック信号CK0によってインバータ動作する出力回路12と、出力回路の出力値を反転してシステムクロック信号を生成するインバータ14と、出力回路12の出力に接続された積分回路16と、積分回路の出力値を基準電圧値と比較するコンパレータ17と、PchトランジスタP1と高電位側電源との間に挿入された高電位側補償スイッチSw1と、NchトランジスタN1と低電位側電源との間に挿入された低電位側補償スイッチSw2を備え、コンパレータの比較結果に応じて高電位側補償スイッチSw1と低電位側スイッチ素子Sw2とを排他的に制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】PchトランジスタP1とNchトランジスタN1が直列接続され入力クロック信号CK0によってインバータ動作する出力回路12と、出力回路の出力値を反転してシステムクロック信号を生成するインバータ14と、出力回路12の出力に接続された積分回路16と、積分回路の出力値を基準電圧値と比較するコンパレータ17と、PchトランジスタP1と高電位側電源との間に挿入された高電位側補償スイッチSw1と、NchトランジスタN1と低電位側電源との間に挿入された低電位側補償スイッチSw2を備え、コンパレータの比較結果に応じて高電位側補償スイッチSw1と低電位側スイッチ素子Sw2とを排他的に制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はクロック信号生成回路に関する。本発明はまた、クロック信号生成回路を搭載したデジタルスチルカメラなどの電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路は、大規模化、微細化、高速化および短期間での開発が進んでおり、それに伴ってテストコストが増加している。また、高速化によって発振器や発振子の部品価格が上昇している。しかし一方で、セット価格は下落している。このような事情により、総じて、LSIには安くて高性能な部品が要求されている。
【0003】
LSIを動作させるクロック信号はLSIの基準となる信号であり、近年、システムの高度化に伴い、このクロックのタイミング調整や、デューティ比(信号の“H”区間と“L”区間の比率)を限りなく1:1の比率にすることが要求されている。
【0004】
図7は従来のクロック信号生成回路を示す回路図である。インバータ71,72が直列接続され、前段のインバータ71には帰還抵抗73が並列接続され、後段のインバータ72の出力端子がリセット付きD−フリップフロップ74のクロック入力(CK)に接続され、リセット付きD−フリップフロップ74のデータ出力(Q)がクロック信号出力端子75に接続されている。D−フリップフロップ74の反転データ出力(NQ)がデータ入力(D)に接続されている。前段のインバータ71の両端がI/Oパッド76,77を介して外部発振子78の両端に接続され、外部発振子78の両端はそれぞれコンデンサ79,80を介してグランドGNDに接続されている。
【0005】
リセット付きD−フリップフロップ74に入力されるクロック信号CK0についての所定のデューティ比は1:1であるが、外部発振子78の状態やLSI外部の状態によってはデューティ比が1:1にならず、例えば、45:55や55:45になる。
【0006】
電源投入に伴って、外部発振子78が発振を開始し、I/Oパッド76,77を介して電圧レベル“H”,“L”が一定周期で前段のインバータ71の両端に供給される。前段のインバータ71と帰還抵抗73とで波形整形を行いつつ発振を維持し、後段のインバータ72でさらに反転バッファしてリセット付きD−フリップフロップ74のクロック入力(CK)にクロック信号CK0を供給する。
【0007】
一方、上記の電源投入に伴って、リセット付きD−フリップフロップ74はリセット信号によりリセットされ、そのデータ出力(Q)であるクロック信号出力端子75が“L”に初期化される。また、リセットに伴い反転データ出力(NQ)が“H”にされ、これがデータ入力(D)に帰還される。直後にリセットが解除され、反転データ出力(NQ)およびデータ出力(Q)は安定した出力を行う。リセット付きD−フリップフロップ74に対するリセットはパワーオンリセットにすることも可能である。
【0008】
反転データ出力(NQ)の信号はデータ入力(D)に帰還されており、後段のインバータ72からのクロック信号CK0の“L”から“H”への立ち上がりタイミングでデータ入力(D)におけるデータをラッチする。この動作特性を利用してデューティ比を1:1に制御している。
【0009】
D−フリップフロップ74の動作を図8のイミングチャートに従って説明する。“H”と“L”を交互に繰り返すクロック信号CK0を受けたリセット付きD−フリップフロップ74は、リセットがかけられ解除されると、反転データ出力(NQ)およびデータ出力(Q)の値が確定し、クロック信号出力端子75からシステムクロック信号CLKが出力され、実質的な発振が開始される。初期には、データ出力(Q)は“L”となり、反転データ出力(NQ)およびデータ入力(D)は“H”となる。
【0010】
続くクロック信号CK0の立ち上がりタイミングでデータラッチが行われ、反転データ出力(NQ)が帰還されたデータ入力(D)のデータ“H”がラッチされ、データ出力(Q)よりシステムクロック信号CLKとして“H”が出力される。このとき、反転データ出力(NQ)およびデータ入力(D)は“L”に反転する。
【0011】
続くクロック信号CK0の立ち上がりタイミングでデータラッチが行われ、データ入力(D)のデータ“L”がラッチされ、データ出力(Q)よりシステムクロック信号CLKとして“L”が出力される。このとき、反転データ出力(NQ)およびデータ入力(D)は“H”に反転する。
【0012】
以上の繰り返しにより、デューティ比1:1のシステムクロック信号CLKが生成される。
【0013】
図9はクロック信号CK0のデューティ比が1:1から変動しONデューティが増大した場合の動作を示すタイミングチャートである。図10はクロック信号CK0のデューティ比が1:1から変動しONデューティが減少した場合の動作を示すタイミングチャートである。いずれの場合も、D−フリップフロップ74におけるラッチアップのタイミングはクロック信号CK0の立ち上がりタイミングであり、これはデューティ比に無関係に一律であるため、最終のシステムクロック信号CLKの波形は変化しない。すなわち、システムクロック信号CLKのデューティ比は1:1に維持される。
【0014】
以上のように、図7の従来技術では、D−フリップフロップ74における反転データ出力(NQ)をデータ入力(D)に帰還し、クロック入力(CK)に入力されるクロック信号CK0の立ち上がりタイミングでラッチアップするようにしてあるので、データ出力(Q)から出力される最終のシステムクロック信号CLKはクロック信号CK0の立ち上がりタイミングによってのみ制御される。すなわち、クロック信号CK0のデューティ比には無関係であるので、最終のシステムクロック信号CLKはそのデューティ比が補正されて1:1に維持されることになる。最終のシステムクロック信号CLKがLSIのシステムクロックである。
【0015】
図11はVCO(電圧制御発振器)を利用した従来技術のクロック信号生成回路の一例を示す。
【0016】
位相比較器81において入力されてくるクロック信号CKと分周器84からフィードバックされたクロック信号CK′との位相が比較され、その差分の信号ΔSがチャージポンプ82を介してVCO83に入力される。VCO83は入力した差分の信号ΔS′の大きさに応じて、その差分がゼロに収束するような周波数の信号CLK′を発振し、分周器84に出力する。分周器84は入力した信号を2分周して最終のシステムクロック信号CLKとして出力する。結果として、最終のシステムクロック信号CLKはあらかじめ決められた周波数に自動制御される。この場合、VCO83の基準周波数として入力のクロック信号CKの周波数の2逓倍したものに設定し、また、分周器84の分周比を1/2に設定しておけば、常に、最終のシステムクロック信号CLKのデューティ比を1:1に保つことができる。
【0017】
【特許文献1】
特開平7−240684号公報(第2頁、図4)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
図7の方式の従来技術の場合には、最終のシステムクロック信号CLKの周波数が外部発振子78の発振周波数の1/2の周波数となっており、LSIのシステムクロックの動作周波数に対して2倍の発振周波数をもった外部発振子78を必要とすることになる。しかし、一般に発振周波数が高くなるほど発振子は高価になる。
【0019】
また、LSIテスターについても、システムクロックの周波数に比べて2倍の周波数が要求され、テスター自体が高価につく。その結果として、LSIのコストアップを招く。
【0020】
また、図11の方式の従来技術の場合には、位相比較器、チャージポンプ、VCOおよび分周器ならびにこれらに関連するI/Oピンを新たに追加する必要があり、コストの増加、面積の増加を招く。また、VCOのテストが余分に必要となる。また、ゲート増に起因するノイズ対策(電源ピンの分離などレイアウトの制約)が避けて通れない。
【0021】
本発明は、このような事情に鑑みて創案されたものであり、入力クロック信号のデューティ比が所定のデューティ比からずれていても、自動的に位相補償して所定のデューティ比のシステムクロック信号を生成することができ、さらに、外部発振子としてシステムクロック信号の周波数と同じ発振周波数の外部発振子を採用することでコスト的負担を軽減することを目的としている。また、面積オーバーヘッドを軽減することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は次のような手段を講じる。すなわち、発振子からの入力クロック信号に応じて互いに排他的にオン/オフ動作する高電位側スイッチ素子および低電位側スイッチ素子が直列接続されてなる出力回路と、前記出力回路からの出力値を反転してシステムクロック信号を生成するインバータとを備えるクロック信号生成回路を前提にする。このような構成のクロック信号生成回路において、さらに、前記出力回路からの出力値の積分値と基準電圧値との比較に基づいて前記高電位側スイッチ素子の高電位側電源に対する接続と前記低電位側スイッチ素子の低電位側電源に対する接続とを排他的に切り換え制御する位相補償回路を備える。
【0023】
入力クロック信号のデューティ比が所定のデューティ比からずれている場合に、そのずれの方向を位相補償回路が判断し、高電位側補償スイッチと低電位側補償スイッチのキープ態様をコントロールする。なお、所定のデューティ比については、1:1に限るものではなく、m,nを任意の自然数として、広く、m:nのデューティ比を所定のデューティ比としてよい。
【0024】
(1)入力クロック信号のONデューティが所期値より小さいとき、入力クロック信号の立ち下がりタイミングから遅らせてシステムクロック信号を立ち下げる必要がある。位相補償回路がなければ、入力クロック信号の立ち下がりで直ちに出力回路からの出力値が立ち上がってしまう。この出力回路からの出力値の立ち上がりを位相補償回路が遅らせる。
【0025】
上記(1)の場合に、入力クロック信号の“L”レベル期間には出力回路の出力値は“H”レベルであり、積分値は基準電圧値を上回り、比較結果は第1の状態となる。位相補償回路は、第1の状態のとき、出力回路の低電位側スイッチ素子と低電位側電源との接続については、原則としてONキープ状態とするが、出力回路の高電位側スイッチ素子と高電位側電源との接続については、原則としてOFFキープ状態とする。すなわち、入力クロック信号の立ち下がりタイミングで出力回路における高電位側スイッチ素子が反転してON状態になっても、このことは直ちには出力回路からの出力値の反転をもたらさない。入力クロック信号が“H”レベルの期間には出力回路からの出力値は“L”レベルであり、積分値は次第に降下する。積分値が降下して基準電圧値に至ると、比較結果が第2の状態となり、前記のOFFキープ状態が解除される。そして、出力回路における高電位側スイッチ素子が高電位側電源に接続されるに至り、出力回路からの出力値は反転して“H”レベルとなり、システムクロック信号も反転する。すなわち、OFFキープ状態の解除タイミングを積分時定数でコントロールしている。なお、出力回路からの出力値が“H”レベルになると、積分値が直ちに基準電圧値を上回り、比較結果は第1の状態に復帰する。比較結果が第2の状態になるのは一瞬である。
【0026】
以上のようにして、ONデューティが所期値より小さいとき、位相補償回路は高電位側スイッチ素子の高電位側電源に対する接続をOFFキープし、出力回路出力値の反転を入力クロック信号の立ち下がりに連動しないようにし、積分時定数をもって出力回路出力値の反転タイミングをコントロールするので、デューティ比を所期値に近づけることができる。
【0027】
(2)上記とは逆に、入力クロック信号のOFFデューティが所期値より小さいとき、入力クロック信号の立ち上がりタイミングから遅らせてシステムクロック信号を立ち上げる必要がある。位相補償回路がなければ、入力クロック信号の立ち上がりで直ちに出力回路からの出力値が立ち下がってしまう。この出力回路からの出力値の立ち下がりを位相補償回路が遅らせる。
【0028】
上記(2)の場合に、入力クロック信号の“H”レベル期間には出力回路の出力値は“L”レベルであり、積分値は基準電圧値を下回り、比較結果は第2の状態となる。位相補償回路は、第2の状態のとき、出力回路の高電位側スイッチ素子と高電位側電源との接続については、原則としてONキープ状態とするが、出力回路の低電位側スイッチ素子と低電位側電源との接続については、原則としてOFFキープ状態とする。すなわち、入力クロック信号の立ち上がりタイミングで出力回路における低電位側スイッチ素子が反転してON状態になっても、このことは直ちには出力回路からの出力値の反転をもたらさない。入力クロック信号が“L”レベルの期間には出力回路からの出力値は“H”レベルであり、積分値は次第に上昇する。積分値が上昇して基準電圧値に至ると、比較結果が第1の状態となり、前記のOFFキープ状態が解除される。そして、出力回路における低電位側スイッチ素子が低電位側電源に接続されるに至り、出力回路からの出力値は反転して“L”レベルとなり、システムクロック信号も反転する。すなわち、OFFキープ状態の解除タイミングを積分時定数でコントロールしている。なお、出力回路からの出力値が“L”レベルになると、積分値が直ちに基準電圧値を下回り、比較結果は第2の状態に復帰する。比較結果が第1の状態となるのは一瞬である。
【0029】
以上のようにして、OFFデューティが所期値より小さいとき、位相補償回路は低電位側スイッチ素子の低電位側電源に対する接続をOFFキープし、出力回路出力値の反転を入力クロック信号の立ち上がりに連動しないようにし、積分時定数をもって出力回路出力値の反転タイミングをコントロールするので、デューティ比を所期値に近づけることができる。
【0030】
上記において、前記の位相補償回路の具体的構成としては、次のものが好ましい。すなわち、前記出力回路の出力端子に接続された積分回路と、前記積分回路の出力値を基準電圧値と比較するコンパレータと、前記高電位側補償スイッチの高電位側端子と前記高電位側電源との間に挿入された高電位側補償スイッチと、前記低電位側スイッチ素子の低電位側端子と前記低電位側電源との間に挿入された低電位側補償スイッチとを備える。そして、前記コンパレータによる比較結果に応じて前記高電位側補償スイッチと前記低電位側補償スイッチとを排他的に制御するように構成する。
【0031】
上記において、前記コンパレータに対する基準電圧値を、高電位側電源の電位と低電位側電源の電位との丁度中央値とすれば、所定のデューティ比が1:1となる。
【0032】
上記において好ましい態様は、前記高電位側スイッチ素子をPchトランジスタとし、前記低電位側スイッチ素子をNchトランジスタとすることである。要するに、これは出力回路を、PchトランジスタとNchトランジスタとの相補接続によるインバータ構成とするものである。
【0033】
また、上記において好ましい態様は、前記高電位側補償スイッチをPchトランジスタとし、前記低電位側補償スイッチをNchトランジスタとすることである。
【0034】
別の観点からの好ましい態様としては、上記において、さらに、前記入力クロック信号と前記システムクロック信号とを選択するセレクタを備えていることである。セレクタに対するモード切り換えによって、入力クロック信号を上記の位相補償回路を通して得たシステムクロック信号として選択したり、あるいは位相補償回路を通すことなく入力クロック信号のままとすることもできる。
【0035】
さらなる発展形として、前記セレクタにおけるセレクト信号端子に接続された選択制御用I/Oパッドと、この選択制御用I/Oパッドに対して選択的にワイヤリング可能なVDD端子I/OパッドおよびVSS端子I/Oパッドとを備えた構成がある。ワイヤリングによりいずれかのモードを簡単に選択することができる。
【0036】
別の態様の本発明として、上記において、前記出力回路からの出力値を反転してシステムクロック信号を生成するインバータが省略され、前記出力回路からの出力値をシステムクロック信号とするものもある。入力クロック信号の論理とシステムクロック信号の論理とについては、同一論理としてもよいし、この発明のように反転論理としてもよい。
【0037】
さらには、前記出力回路からの出力値を反転してシステムクロック信号を生成するインバータの次段に、さらにいくつかのインバータがシリーズに接続されていてもよい。インバータ数で遅延調整が可能である。
【0038】
そして、クロック信号生成回路によって生成出力されたシステムクロック信号を用いて動作するように構成されている電子機器について、上記のように構成されたクロック信号生成回路を搭載した電子機器として、本発明を有効に展開することができる。
【0039】
また、クロック信号生成回路によって生成出力されたシステムクロック信号を用いて動作するように構成されているデジタルスチルカメラについて、上記のように構成されたクロック信号生成回路を搭載したデジタルスチルカメラとして、本発明を有効に展開することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかわるクロック信号生成回路の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0041】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるクロック信号生成回路の構成を示す回路図である。
【0042】
入力クロック信号CK0を外部から入力するI/Oパッド11は、出力回路12のゲート端子に接続されている。出力回路12は、Pch(Pチャンネル)トランジスタP1とNch(Nチャンネル)トランジスタN1を直列接続(相補接続)したインバータ構成となっている。PchトランジスタP1は高電位側スイッチ素子の一例であり、NchトランジスタN1は低電位側スイッチ素子の一例である。出力回路12におけるPchトランジスタP1の高電位側端子と高電位側電源VDDとの間にPchトランジスタからなる高電位側補償スイッチSw1が介挿されている。また、出力回路12におけるNchトランジスタN1の低電位側端子と低電位側電源VSSとの間にNchトランジスタからなる低電位側補償スイッチSw2が介挿されている。そして、高電位側補償スイッチSw1と低電位側補償スイッチSw2とが出力補正回路13を構成している。
【0043】
出力回路12における出力端子12aは、PchトランジスタP1とNchトランジスタN1との共通接続ドレインであるが、この出力端子12aに出力段のインバータ14が接続され、出力段のインバータ14の出力端子にシステムクロック信号出力端子15が接続されている。出力段のインバータ14はPchトランジスタP2とNchトランジスタN2を直列接続してあり、PchトランジスタP2のソースは高電位側電源VDDに接続され、NchトランジスタN2のソースは低電位側電源VSS(グランドGND)に接続されている。
【0044】
出力回路12の出力端子12aには積分回路16が接続され、積分回路16の出力端子はコンパレータ17の非反転入力端子(+)に接続されている。積分回路16は抵抗R1とコンデンサC1とを直列接続したものである。コンパレータ17の反転入力端子(−)には基準電圧発生回路18の出力端子が接続され、基準電圧Vrefが印加されている。基準電圧発生回路18は、高電位側電源VDDと低電位側電源VSSとの間に直列に挿入されたそれぞれトランジスタからなる抵抗R2と抵抗R3との抵抗分割で構成されている。両抵抗R2,R3のトランジスタとしての幅と長さおよびマスク構成は全く同じで、両者のトランジスタ能力は全く同じである。抵抗R2と抵抗R3の抵抗値は互いに等しい。したがって、基準電圧Vref=(VDD−VSS)/2(=VDD/2)である。コンパレータ17の出力端子が出力補正回路13における低電位側補償スイッチSw2のNchトランジスタのゲートおよび高電位側補償スイッチSw1であるPchトランジスタのゲートに接続されている。
【0045】
上記の構成のクロック信号生成回路の動作について説明する。動作説明を分かりやすくするために、図1の回路構成を等価的に書き直したのが図2である。積分回路16とコンパレータ17と出力補正回路13とによって位相補償回路PCが構成されている。
【0046】
まず、入力クロック信号CK0のONデューティがOFFデューティより短い場合について図3のタイミングチャートを用いて説明する。
【0047】
いま、時刻t0において、出力回路12の出力電圧Aが“H”レベルで、システムクロック信号CLKが“L”レベルにあり、かつ、積分回路16による積分電圧Sが上昇しつつあるとする。このとき、I/Oパッド11からの入力クロック信号CK0が“L”レベルで、出力回路12におけるPchトランジスタP1はON、NchトランジスタN1はOFFになっている。また、コンパレータ17の出力である制御電圧Cは“H”レベル(第1の状態)であり、出力補正回路13における高電位側補償スイッチSw1は原則ONキープ状態とされ、低電位側補償スイッチSw2は原則ONキープ状態とされている。
【0048】
時刻t1において、入力クロック信号CK0が“L”レベルから“H”レベルに立ち上がり、PchトランジスタP1がOFFに反転し、NchトランジスタN1がONに反転する。すでに低電位側補償スイッチSw2はON状態にあるから、出力端子12aは低電位側電源VSSに接続され、電圧Aは“L”レベルに反転し、システムクロック信号CLKは“H”レベルに反転する。入力クロック信号CK0の立ち上がりタイミングとシステムクロック信号CLKの“H”レベル反転のタイミングは一致している。このモードのとき、低電位側補償スイッチSw2は入力クロック信号CK0の立ち上がりを即時有効とする機能を担っている。時刻t1において、積分電圧Sは飽和して高電位側電源VDDに至る。
【0049】
電圧Aが“L”レベルに反転すると、積分回路16においては放電が開始され、積分電圧Sは飽和レベルVDDから低下を開始する。飽和レベルVDDから基準電圧Vref(=VDD/2)までの時定数τ1が電圧A、システムクロック信号CLKの次の反転タイミングを決定する。すなわち、入力クロック信号CK0の立ち下がりタイミングが1周期の1/2のタイミングから前方向にずれていても(ONデューティ<OFFデューティ)、システムクロック信号CLKの立ち下がりタイミングは1周期の1/2のタイミングからずれることがない。理由は次のとおりである。
【0050】
積分電圧Sが降下して基準電圧Vrefに達する時刻をt3とする(t3−t1=τ1)。時刻t3よりも前の時刻t2において、入力クロック信号CK0が“H”レベルから“L”レベルに立ち下がるとする。これにより、PchトランジスタP1が反転してONになるとともにNchトランジスタN1が反転してOFFになる。しかし、制御電圧Cは“H”レベルを維持しており、高電位側補償スイッチSw1はOFFキープ状態を維持しており、出力端子12aと高電位側電源VDDとの接続は断たれたままである。
【0051】
降下する積分電圧Sが時刻t3に至って基準電圧Vrefに達した瞬間に、制御電圧Cは一瞬、“L”レベルに反転する。この結果、高電位側補償スイッチSw1が一瞬、ONに反転する。出力端子12aは、低電位側電源VSSとの接続は断たれたままであるが、PchトランジスタP1と高電位側補償スイッチSw1との同時ONにより高電位側電源VDDとの接続が行われ、電圧Aは“H”レベルに反転し、システムクロック信号CLKは“L”レベルに反転する。電圧Aが“H”レベルに反転するので、積分回路16への充電が開始され、積分電圧Sは上昇を開始し、制御電圧Cは“H”レベルに復帰する。時刻t3で制御電圧Cが“L”レベルに反転するのは一瞬である。
【0052】
制御電圧Cは一瞬のみ“L”レベルで、原則的に“H”レベルキープ状態である。したがって、高電位側補償スイッチSw1は原則的にOFFキープ状態であり、低電位側補償スイッチSw2は原則的にONキープ状態である。積分電圧Sは原則的に基準電圧Vref以上の範囲で推移する。
【0053】
時刻t2での入力クロック信号のCK0立ち下がりは、本来の時刻t3より早いが、それを積分回路16とコンパレータ17と出力補正回路13からなる位相補償回路PCによって補正している。以上の結果、入力クロック信号CK0のデューティが崩れてONデューティがOFFデューティより短くなっていても、最終のシステムクロック信号CLKのデューティ比は自動的に1:1に補正される。
【0054】
次に、入力クロック信号CK0のOFFデューティがONデューティより短い場合について図4のタイミングチャートを用いて説明する。
【0055】
いま、時刻t10において、出力回路12の出力電圧Aが“L”レベルで、システムクロック信号CLKが“H”レベルにあり、かつ、積分回路16による積分電圧Sが減衰しつつあるとする。このとき、I/Oパッド11からの入力クロック信号CK0が“H”レベルで、出力回路12におけるPchトランジスタP1はOFF、NchトランジスタN1はONになっている。また、コンパレータ17の出力である制御電圧Cは“L”レベル(第2の状態)であり、出力補正回路13における高電位側補償スイッチSw1は原則ONキープ状態とされ、低電位側補償スイッチSw2は原則OFFキープ状態とされている。
【0056】
時刻t11において、入力クロック信号CK0が“H”レベルから“L”レベルに立ち下がり、PchトランジスタP1がONに反転し、NchトランジスタN1がOFFに反転する。すでに高電位側補償スイッチSw1はON状態にあるから、出力端子12aは高電位側電源VDDに接続され、電圧Aは“H”レベルに反転し、システムクロック信号CLKは“L”レベルに反転する。入力クロック信号CK0の立ち下がりタイミングとシステムクロック信号CLKの“L”レベル反転のタイミングは一致している。このモードのとき、高電位側補償スイッチSw1は入力クロック信号CK0の立ち下がりを即時有効とする機能を担っている。時刻t11において、積分電圧Sは最大減衰して低電位側電源VSSに至る。
【0057】
電圧Aが“H”レベルに反転すると、積分回路16においては充電が開始され、積分電圧Sは低電位側電源VSSのレベルから上昇を開始する。低電位側電源VSSのレベルから基準電圧Vref(=VDD/2)までの時定数τ2が電圧A、システムクロック信号CLKの次の反転タイミングを決定する。すなわち、入力クロック信号CK0の立ち上がりタイミングが1周期の1/2のタイミングから前方向にずれていても(ONデューティ>OFFデューティ)、システムクロック信号CLKの立ち上がりタイミングは1周期の1/2のタイミングからずれることがない。理由は次のとおりである。
【0058】
積分電圧Sが上昇して基準電圧Vrefに達する時刻をt13とする(t13−t11=τ2)。時刻t13よりも前の時刻t12において、入力クロック信号CK0が“L”レベルから“H”レベルに立ち上がるとする。これにより、PchトランジスタP1が反転してOFFになるとともにNchトランジスタN1が反転してONになる。しかし、制御電圧Cは“L”レベルを維持しており、低電位側補償スイッチSw2はOFFキープ状態を維持しており、出力端子12aと低電位側電源VSSとの接続は断たれたままである。
【0059】
上昇する積分電圧Sが時刻t13に至って基準電圧Vrefに達した瞬間に、制御電圧Cは一瞬、“H”レベルに反転する。この結果、低電位側補償スイッチSw2が一瞬、ONに反転する。出力端子12aは、高電位側電源VDDとの接続は断たれたままであるが、NchトランジスタN1と低電位側補償スイッチSw2との同時ONにより低電位側電源VSSとの接続が行われ、電圧Aは“L”レベルに反転し、システムクロック信号CLKは“H”レベルに反転する。電圧Aが“L”レベルに反転するので、積分回路16からの放電が開始され、積分電圧Sは降下を開始し、制御電圧Cは“L”レベルに復帰する。時刻t13で制御電圧Cが“H”レベルに反転するのは一瞬である。
【0060】
制御電圧Cは一瞬のみ“H”レベルで、原則的に“L”レベルキープ状態である。したがって、高電位側補償スイッチSw1は原則的にONキープ状態であり、低電位側補償スイッチSw2は原則的にOFFキープ状態である。積分電圧Sは原則的に基準電圧Vref以下の範囲で推移する。
【0061】
時刻t12での入力クロック信号CK0の立ち上がりは、本来の時刻t13より早いが、それを積分回路16とコンパレータ17と出力補正回路13によって補正している。以上の結果、入力クロック信号CK0のデューティが崩れてOFFデューティがONデューティより短くなっていても、最終のシステムクロック信号CLKのデューティ比は自動的に1:1に補正される。
【0062】
以上のように、本実施の形態によれば、デューティの崩れた入力クロック信号CK0を入力しても、これを自動的に補正して、最終的には正確に1:1のデューティ比に制御されたシステムクロック信号CLKを生成することができる。
【0063】
なお、基準電圧発生回路18については、これを図5に示すように、外部に設けてもよい。20は外部の基準電圧発生回路18と接続するためのI/Oパッドである。
【0064】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2におけるクロック信号生成回路の構成を示す回路図である。本実施の形態は、位相補償回路の有効・無効を選択可能に構成したものである。21はセレクタ、22はセレクタ21の制御端子に接続のI/Oパッド、23はVDD端子I/Oパッド、24はVSS端子I/Oパッドである。セレクタ21の1入力には入力クロック信号CK0を入力するI/Oパッド11が接続され、他の1入力には最終のシステムクロック信号CLKを出力する出力段のインバータ14の出力端子が接続されている。
【0065】
I/Oパッド22、VDD端子I/Oパッド23およびVSS端子I/Oパッド24は互いに隣接しており、配線、ワイヤリングなどでどちらかのノードに固定することが可能であり、DC的にモード切り替えにすることが可能である。内蔵で使用する場合にはどちらかに、固定して使用することが可能である。
【0066】
セレクタ21に対するセレクト信号が“L”のときは出力段のインバータ14からの位相補正されたシステムクロック信号CLKが選択され出力される。セレクト信号が“H”のときはI/Oパッド11からの元の入力クロック信号CK0がそのまま出力される。
【0067】
このことにより、位相補償をする場合としない場合とを任意に切り換えることが可能である。したがって、例えば、位相補償をしたクロックを使用した場合には、LSIで使用するシステムクロックの2倍の動作周波数を外部から入力する必要性がない。また、より安価なテスターを使用することができる。結果として、コストを下げることが可能である。
【0068】
動作周波数を高くする必要がないとき、あるいはコストが高くてもよいときなどは、位相補償をしたクロックを使用せず、別に外部で従来のような位相補償を行うことも可能である。
【0069】
本発明のクロック信号生成回路は、VCO等を用いるほどは厳密にクロックを補正する必要はないが、安価で良好に補正されたデューティ比を持つシステムクロック信号が必要な電子機器、例えばデジタルスチルカメラの動作に用いると特に有効である。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、入力クロック信号のデューティ比が所定のデューティ比からずれていても、積分時定数をもって出力回路出力値の反転タイミングをコントロールするので、自動的に位相補償して所定のデューティ比のシステムクロック信号を生成することができる。さらに、外部の発振子としてはシステムクロック信号の周波数と同じ発振周波数の発振子を採用する必要性をなくすことができ、コスト的負担を軽減できる。また、テスターの面でも有利となる。また、面積オーバーヘッドを軽減することができる。そして、ワイヤリング等により、位相補償されたシステムクロック信号とオリジナルの入力クロック信号との切り換えが容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるクロック信号生成回路の構成を示す回路図
【図2】実施の形態1のクロック信号生成回路の等価回路の回路図
【図3】実施の形態1のクロック信号生成回路の動作を示すタイミングチャート(ONデューティが短い場合)
【図4】実施の形態1のクロック信号生成回路の動作を示すタイミングチャート(ONデューティが長い場合)
【図5】実施の形態1の変形の形態のクロック信号生成回路の回路図
【図6】本発明の実施の形態2におけるクロック信号生成回路の構成を示す回路図
【図7】従来のクロック信号生成回路を示す回路図
【図8】従来のクロック信号生成回路の動作を示すタイミングチャート(デューティ比1:1)
【図9】従来のクロック信号生成回路の動作を示すタイミングチャート(ONデューティが大きい場合)
【図10】従来のクロック信号生成回路の動作を示すタイミングチャート(ONデューティが小さい場合)
【図11】VCOを利用した従来のクロック信号生成回路を示す回路図
【符号の説明】
11 I/Oパッド
12 出力回路
12a 出力回路の出力端子
13 出力補正回路
14 出力段のインバータ
15 システムクロック信号出力端子
16 積分回路
17 コンパレータ
18 基準電圧発生回路
21 セレクタ
22 I/Oパッド
23 VDD端子I/Oパッド
24 VSS端子I/Oパッド
P1 Pchトランジスタ
N1 Nchトランジスタ
Sw1 高電位側補償スイッチ
Sw2 低電位側スイッチ素子
CK0 入力クロック信号
PC 位相補償回路
【発明の属する技術分野】
本発明はクロック信号生成回路に関する。本発明はまた、クロック信号生成回路を搭載したデジタルスチルカメラなどの電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路は、大規模化、微細化、高速化および短期間での開発が進んでおり、それに伴ってテストコストが増加している。また、高速化によって発振器や発振子の部品価格が上昇している。しかし一方で、セット価格は下落している。このような事情により、総じて、LSIには安くて高性能な部品が要求されている。
【0003】
LSIを動作させるクロック信号はLSIの基準となる信号であり、近年、システムの高度化に伴い、このクロックのタイミング調整や、デューティ比(信号の“H”区間と“L”区間の比率)を限りなく1:1の比率にすることが要求されている。
【0004】
図7は従来のクロック信号生成回路を示す回路図である。インバータ71,72が直列接続され、前段のインバータ71には帰還抵抗73が並列接続され、後段のインバータ72の出力端子がリセット付きD−フリップフロップ74のクロック入力(CK)に接続され、リセット付きD−フリップフロップ74のデータ出力(Q)がクロック信号出力端子75に接続されている。D−フリップフロップ74の反転データ出力(NQ)がデータ入力(D)に接続されている。前段のインバータ71の両端がI/Oパッド76,77を介して外部発振子78の両端に接続され、外部発振子78の両端はそれぞれコンデンサ79,80を介してグランドGNDに接続されている。
【0005】
リセット付きD−フリップフロップ74に入力されるクロック信号CK0についての所定のデューティ比は1:1であるが、外部発振子78の状態やLSI外部の状態によってはデューティ比が1:1にならず、例えば、45:55や55:45になる。
【0006】
電源投入に伴って、外部発振子78が発振を開始し、I/Oパッド76,77を介して電圧レベル“H”,“L”が一定周期で前段のインバータ71の両端に供給される。前段のインバータ71と帰還抵抗73とで波形整形を行いつつ発振を維持し、後段のインバータ72でさらに反転バッファしてリセット付きD−フリップフロップ74のクロック入力(CK)にクロック信号CK0を供給する。
【0007】
一方、上記の電源投入に伴って、リセット付きD−フリップフロップ74はリセット信号によりリセットされ、そのデータ出力(Q)であるクロック信号出力端子75が“L”に初期化される。また、リセットに伴い反転データ出力(NQ)が“H”にされ、これがデータ入力(D)に帰還される。直後にリセットが解除され、反転データ出力(NQ)およびデータ出力(Q)は安定した出力を行う。リセット付きD−フリップフロップ74に対するリセットはパワーオンリセットにすることも可能である。
【0008】
反転データ出力(NQ)の信号はデータ入力(D)に帰還されており、後段のインバータ72からのクロック信号CK0の“L”から“H”への立ち上がりタイミングでデータ入力(D)におけるデータをラッチする。この動作特性を利用してデューティ比を1:1に制御している。
【0009】
D−フリップフロップ74の動作を図8のイミングチャートに従って説明する。“H”と“L”を交互に繰り返すクロック信号CK0を受けたリセット付きD−フリップフロップ74は、リセットがかけられ解除されると、反転データ出力(NQ)およびデータ出力(Q)の値が確定し、クロック信号出力端子75からシステムクロック信号CLKが出力され、実質的な発振が開始される。初期には、データ出力(Q)は“L”となり、反転データ出力(NQ)およびデータ入力(D)は“H”となる。
【0010】
続くクロック信号CK0の立ち上がりタイミングでデータラッチが行われ、反転データ出力(NQ)が帰還されたデータ入力(D)のデータ“H”がラッチされ、データ出力(Q)よりシステムクロック信号CLKとして“H”が出力される。このとき、反転データ出力(NQ)およびデータ入力(D)は“L”に反転する。
【0011】
続くクロック信号CK0の立ち上がりタイミングでデータラッチが行われ、データ入力(D)のデータ“L”がラッチされ、データ出力(Q)よりシステムクロック信号CLKとして“L”が出力される。このとき、反転データ出力(NQ)およびデータ入力(D)は“H”に反転する。
【0012】
以上の繰り返しにより、デューティ比1:1のシステムクロック信号CLKが生成される。
【0013】
図9はクロック信号CK0のデューティ比が1:1から変動しONデューティが増大した場合の動作を示すタイミングチャートである。図10はクロック信号CK0のデューティ比が1:1から変動しONデューティが減少した場合の動作を示すタイミングチャートである。いずれの場合も、D−フリップフロップ74におけるラッチアップのタイミングはクロック信号CK0の立ち上がりタイミングであり、これはデューティ比に無関係に一律であるため、最終のシステムクロック信号CLKの波形は変化しない。すなわち、システムクロック信号CLKのデューティ比は1:1に維持される。
【0014】
以上のように、図7の従来技術では、D−フリップフロップ74における反転データ出力(NQ)をデータ入力(D)に帰還し、クロック入力(CK)に入力されるクロック信号CK0の立ち上がりタイミングでラッチアップするようにしてあるので、データ出力(Q)から出力される最終のシステムクロック信号CLKはクロック信号CK0の立ち上がりタイミングによってのみ制御される。すなわち、クロック信号CK0のデューティ比には無関係であるので、最終のシステムクロック信号CLKはそのデューティ比が補正されて1:1に維持されることになる。最終のシステムクロック信号CLKがLSIのシステムクロックである。
【0015】
図11はVCO(電圧制御発振器)を利用した従来技術のクロック信号生成回路の一例を示す。
【0016】
位相比較器81において入力されてくるクロック信号CKと分周器84からフィードバックされたクロック信号CK′との位相が比較され、その差分の信号ΔSがチャージポンプ82を介してVCO83に入力される。VCO83は入力した差分の信号ΔS′の大きさに応じて、その差分がゼロに収束するような周波数の信号CLK′を発振し、分周器84に出力する。分周器84は入力した信号を2分周して最終のシステムクロック信号CLKとして出力する。結果として、最終のシステムクロック信号CLKはあらかじめ決められた周波数に自動制御される。この場合、VCO83の基準周波数として入力のクロック信号CKの周波数の2逓倍したものに設定し、また、分周器84の分周比を1/2に設定しておけば、常に、最終のシステムクロック信号CLKのデューティ比を1:1に保つことができる。
【0017】
【特許文献1】
特開平7−240684号公報(第2頁、図4)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
図7の方式の従来技術の場合には、最終のシステムクロック信号CLKの周波数が外部発振子78の発振周波数の1/2の周波数となっており、LSIのシステムクロックの動作周波数に対して2倍の発振周波数をもった外部発振子78を必要とすることになる。しかし、一般に発振周波数が高くなるほど発振子は高価になる。
【0019】
また、LSIテスターについても、システムクロックの周波数に比べて2倍の周波数が要求され、テスター自体が高価につく。その結果として、LSIのコストアップを招く。
【0020】
また、図11の方式の従来技術の場合には、位相比較器、チャージポンプ、VCOおよび分周器ならびにこれらに関連するI/Oピンを新たに追加する必要があり、コストの増加、面積の増加を招く。また、VCOのテストが余分に必要となる。また、ゲート増に起因するノイズ対策(電源ピンの分離などレイアウトの制約)が避けて通れない。
【0021】
本発明は、このような事情に鑑みて創案されたものであり、入力クロック信号のデューティ比が所定のデューティ比からずれていても、自動的に位相補償して所定のデューティ比のシステムクロック信号を生成することができ、さらに、外部発振子としてシステムクロック信号の周波数と同じ発振周波数の外部発振子を採用することでコスト的負担を軽減することを目的としている。また、面積オーバーヘッドを軽減することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は次のような手段を講じる。すなわち、発振子からの入力クロック信号に応じて互いに排他的にオン/オフ動作する高電位側スイッチ素子および低電位側スイッチ素子が直列接続されてなる出力回路と、前記出力回路からの出力値を反転してシステムクロック信号を生成するインバータとを備えるクロック信号生成回路を前提にする。このような構成のクロック信号生成回路において、さらに、前記出力回路からの出力値の積分値と基準電圧値との比較に基づいて前記高電位側スイッチ素子の高電位側電源に対する接続と前記低電位側スイッチ素子の低電位側電源に対する接続とを排他的に切り換え制御する位相補償回路を備える。
【0023】
入力クロック信号のデューティ比が所定のデューティ比からずれている場合に、そのずれの方向を位相補償回路が判断し、高電位側補償スイッチと低電位側補償スイッチのキープ態様をコントロールする。なお、所定のデューティ比については、1:1に限るものではなく、m,nを任意の自然数として、広く、m:nのデューティ比を所定のデューティ比としてよい。
【0024】
(1)入力クロック信号のONデューティが所期値より小さいとき、入力クロック信号の立ち下がりタイミングから遅らせてシステムクロック信号を立ち下げる必要がある。位相補償回路がなければ、入力クロック信号の立ち下がりで直ちに出力回路からの出力値が立ち上がってしまう。この出力回路からの出力値の立ち上がりを位相補償回路が遅らせる。
【0025】
上記(1)の場合に、入力クロック信号の“L”レベル期間には出力回路の出力値は“H”レベルであり、積分値は基準電圧値を上回り、比較結果は第1の状態となる。位相補償回路は、第1の状態のとき、出力回路の低電位側スイッチ素子と低電位側電源との接続については、原則としてONキープ状態とするが、出力回路の高電位側スイッチ素子と高電位側電源との接続については、原則としてOFFキープ状態とする。すなわち、入力クロック信号の立ち下がりタイミングで出力回路における高電位側スイッチ素子が反転してON状態になっても、このことは直ちには出力回路からの出力値の反転をもたらさない。入力クロック信号が“H”レベルの期間には出力回路からの出力値は“L”レベルであり、積分値は次第に降下する。積分値が降下して基準電圧値に至ると、比較結果が第2の状態となり、前記のOFFキープ状態が解除される。そして、出力回路における高電位側スイッチ素子が高電位側電源に接続されるに至り、出力回路からの出力値は反転して“H”レベルとなり、システムクロック信号も反転する。すなわち、OFFキープ状態の解除タイミングを積分時定数でコントロールしている。なお、出力回路からの出力値が“H”レベルになると、積分値が直ちに基準電圧値を上回り、比較結果は第1の状態に復帰する。比較結果が第2の状態になるのは一瞬である。
【0026】
以上のようにして、ONデューティが所期値より小さいとき、位相補償回路は高電位側スイッチ素子の高電位側電源に対する接続をOFFキープし、出力回路出力値の反転を入力クロック信号の立ち下がりに連動しないようにし、積分時定数をもって出力回路出力値の反転タイミングをコントロールするので、デューティ比を所期値に近づけることができる。
【0027】
(2)上記とは逆に、入力クロック信号のOFFデューティが所期値より小さいとき、入力クロック信号の立ち上がりタイミングから遅らせてシステムクロック信号を立ち上げる必要がある。位相補償回路がなければ、入力クロック信号の立ち上がりで直ちに出力回路からの出力値が立ち下がってしまう。この出力回路からの出力値の立ち下がりを位相補償回路が遅らせる。
【0028】
上記(2)の場合に、入力クロック信号の“H”レベル期間には出力回路の出力値は“L”レベルであり、積分値は基準電圧値を下回り、比較結果は第2の状態となる。位相補償回路は、第2の状態のとき、出力回路の高電位側スイッチ素子と高電位側電源との接続については、原則としてONキープ状態とするが、出力回路の低電位側スイッチ素子と低電位側電源との接続については、原則としてOFFキープ状態とする。すなわち、入力クロック信号の立ち上がりタイミングで出力回路における低電位側スイッチ素子が反転してON状態になっても、このことは直ちには出力回路からの出力値の反転をもたらさない。入力クロック信号が“L”レベルの期間には出力回路からの出力値は“H”レベルであり、積分値は次第に上昇する。積分値が上昇して基準電圧値に至ると、比較結果が第1の状態となり、前記のOFFキープ状態が解除される。そして、出力回路における低電位側スイッチ素子が低電位側電源に接続されるに至り、出力回路からの出力値は反転して“L”レベルとなり、システムクロック信号も反転する。すなわち、OFFキープ状態の解除タイミングを積分時定数でコントロールしている。なお、出力回路からの出力値が“L”レベルになると、積分値が直ちに基準電圧値を下回り、比較結果は第2の状態に復帰する。比較結果が第1の状態となるのは一瞬である。
【0029】
以上のようにして、OFFデューティが所期値より小さいとき、位相補償回路は低電位側スイッチ素子の低電位側電源に対する接続をOFFキープし、出力回路出力値の反転を入力クロック信号の立ち上がりに連動しないようにし、積分時定数をもって出力回路出力値の反転タイミングをコントロールするので、デューティ比を所期値に近づけることができる。
【0030】
上記において、前記の位相補償回路の具体的構成としては、次のものが好ましい。すなわち、前記出力回路の出力端子に接続された積分回路と、前記積分回路の出力値を基準電圧値と比較するコンパレータと、前記高電位側補償スイッチの高電位側端子と前記高電位側電源との間に挿入された高電位側補償スイッチと、前記低電位側スイッチ素子の低電位側端子と前記低電位側電源との間に挿入された低電位側補償スイッチとを備える。そして、前記コンパレータによる比較結果に応じて前記高電位側補償スイッチと前記低電位側補償スイッチとを排他的に制御するように構成する。
【0031】
上記において、前記コンパレータに対する基準電圧値を、高電位側電源の電位と低電位側電源の電位との丁度中央値とすれば、所定のデューティ比が1:1となる。
【0032】
上記において好ましい態様は、前記高電位側スイッチ素子をPchトランジスタとし、前記低電位側スイッチ素子をNchトランジスタとすることである。要するに、これは出力回路を、PchトランジスタとNchトランジスタとの相補接続によるインバータ構成とするものである。
【0033】
また、上記において好ましい態様は、前記高電位側補償スイッチをPchトランジスタとし、前記低電位側補償スイッチをNchトランジスタとすることである。
【0034】
別の観点からの好ましい態様としては、上記において、さらに、前記入力クロック信号と前記システムクロック信号とを選択するセレクタを備えていることである。セレクタに対するモード切り換えによって、入力クロック信号を上記の位相補償回路を通して得たシステムクロック信号として選択したり、あるいは位相補償回路を通すことなく入力クロック信号のままとすることもできる。
【0035】
さらなる発展形として、前記セレクタにおけるセレクト信号端子に接続された選択制御用I/Oパッドと、この選択制御用I/Oパッドに対して選択的にワイヤリング可能なVDD端子I/OパッドおよびVSS端子I/Oパッドとを備えた構成がある。ワイヤリングによりいずれかのモードを簡単に選択することができる。
【0036】
別の態様の本発明として、上記において、前記出力回路からの出力値を反転してシステムクロック信号を生成するインバータが省略され、前記出力回路からの出力値をシステムクロック信号とするものもある。入力クロック信号の論理とシステムクロック信号の論理とについては、同一論理としてもよいし、この発明のように反転論理としてもよい。
【0037】
さらには、前記出力回路からの出力値を反転してシステムクロック信号を生成するインバータの次段に、さらにいくつかのインバータがシリーズに接続されていてもよい。インバータ数で遅延調整が可能である。
【0038】
そして、クロック信号生成回路によって生成出力されたシステムクロック信号を用いて動作するように構成されている電子機器について、上記のように構成されたクロック信号生成回路を搭載した電子機器として、本発明を有効に展開することができる。
【0039】
また、クロック信号生成回路によって生成出力されたシステムクロック信号を用いて動作するように構成されているデジタルスチルカメラについて、上記のように構成されたクロック信号生成回路を搭載したデジタルスチルカメラとして、本発明を有効に展開することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかわるクロック信号生成回路の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0041】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるクロック信号生成回路の構成を示す回路図である。
【0042】
入力クロック信号CK0を外部から入力するI/Oパッド11は、出力回路12のゲート端子に接続されている。出力回路12は、Pch(Pチャンネル)トランジスタP1とNch(Nチャンネル)トランジスタN1を直列接続(相補接続)したインバータ構成となっている。PchトランジスタP1は高電位側スイッチ素子の一例であり、NchトランジスタN1は低電位側スイッチ素子の一例である。出力回路12におけるPchトランジスタP1の高電位側端子と高電位側電源VDDとの間にPchトランジスタからなる高電位側補償スイッチSw1が介挿されている。また、出力回路12におけるNchトランジスタN1の低電位側端子と低電位側電源VSSとの間にNchトランジスタからなる低電位側補償スイッチSw2が介挿されている。そして、高電位側補償スイッチSw1と低電位側補償スイッチSw2とが出力補正回路13を構成している。
【0043】
出力回路12における出力端子12aは、PchトランジスタP1とNchトランジスタN1との共通接続ドレインであるが、この出力端子12aに出力段のインバータ14が接続され、出力段のインバータ14の出力端子にシステムクロック信号出力端子15が接続されている。出力段のインバータ14はPchトランジスタP2とNchトランジスタN2を直列接続してあり、PchトランジスタP2のソースは高電位側電源VDDに接続され、NchトランジスタN2のソースは低電位側電源VSS(グランドGND)に接続されている。
【0044】
出力回路12の出力端子12aには積分回路16が接続され、積分回路16の出力端子はコンパレータ17の非反転入力端子(+)に接続されている。積分回路16は抵抗R1とコンデンサC1とを直列接続したものである。コンパレータ17の反転入力端子(−)には基準電圧発生回路18の出力端子が接続され、基準電圧Vrefが印加されている。基準電圧発生回路18は、高電位側電源VDDと低電位側電源VSSとの間に直列に挿入されたそれぞれトランジスタからなる抵抗R2と抵抗R3との抵抗分割で構成されている。両抵抗R2,R3のトランジスタとしての幅と長さおよびマスク構成は全く同じで、両者のトランジスタ能力は全く同じである。抵抗R2と抵抗R3の抵抗値は互いに等しい。したがって、基準電圧Vref=(VDD−VSS)/2(=VDD/2)である。コンパレータ17の出力端子が出力補正回路13における低電位側補償スイッチSw2のNchトランジスタのゲートおよび高電位側補償スイッチSw1であるPchトランジスタのゲートに接続されている。
【0045】
上記の構成のクロック信号生成回路の動作について説明する。動作説明を分かりやすくするために、図1の回路構成を等価的に書き直したのが図2である。積分回路16とコンパレータ17と出力補正回路13とによって位相補償回路PCが構成されている。
【0046】
まず、入力クロック信号CK0のONデューティがOFFデューティより短い場合について図3のタイミングチャートを用いて説明する。
【0047】
いま、時刻t0において、出力回路12の出力電圧Aが“H”レベルで、システムクロック信号CLKが“L”レベルにあり、かつ、積分回路16による積分電圧Sが上昇しつつあるとする。このとき、I/Oパッド11からの入力クロック信号CK0が“L”レベルで、出力回路12におけるPchトランジスタP1はON、NchトランジスタN1はOFFになっている。また、コンパレータ17の出力である制御電圧Cは“H”レベル(第1の状態)であり、出力補正回路13における高電位側補償スイッチSw1は原則ONキープ状態とされ、低電位側補償スイッチSw2は原則ONキープ状態とされている。
【0048】
時刻t1において、入力クロック信号CK0が“L”レベルから“H”レベルに立ち上がり、PchトランジスタP1がOFFに反転し、NchトランジスタN1がONに反転する。すでに低電位側補償スイッチSw2はON状態にあるから、出力端子12aは低電位側電源VSSに接続され、電圧Aは“L”レベルに反転し、システムクロック信号CLKは“H”レベルに反転する。入力クロック信号CK0の立ち上がりタイミングとシステムクロック信号CLKの“H”レベル反転のタイミングは一致している。このモードのとき、低電位側補償スイッチSw2は入力クロック信号CK0の立ち上がりを即時有効とする機能を担っている。時刻t1において、積分電圧Sは飽和して高電位側電源VDDに至る。
【0049】
電圧Aが“L”レベルに反転すると、積分回路16においては放電が開始され、積分電圧Sは飽和レベルVDDから低下を開始する。飽和レベルVDDから基準電圧Vref(=VDD/2)までの時定数τ1が電圧A、システムクロック信号CLKの次の反転タイミングを決定する。すなわち、入力クロック信号CK0の立ち下がりタイミングが1周期の1/2のタイミングから前方向にずれていても(ONデューティ<OFFデューティ)、システムクロック信号CLKの立ち下がりタイミングは1周期の1/2のタイミングからずれることがない。理由は次のとおりである。
【0050】
積分電圧Sが降下して基準電圧Vrefに達する時刻をt3とする(t3−t1=τ1)。時刻t3よりも前の時刻t2において、入力クロック信号CK0が“H”レベルから“L”レベルに立ち下がるとする。これにより、PchトランジスタP1が反転してONになるとともにNchトランジスタN1が反転してOFFになる。しかし、制御電圧Cは“H”レベルを維持しており、高電位側補償スイッチSw1はOFFキープ状態を維持しており、出力端子12aと高電位側電源VDDとの接続は断たれたままである。
【0051】
降下する積分電圧Sが時刻t3に至って基準電圧Vrefに達した瞬間に、制御電圧Cは一瞬、“L”レベルに反転する。この結果、高電位側補償スイッチSw1が一瞬、ONに反転する。出力端子12aは、低電位側電源VSSとの接続は断たれたままであるが、PchトランジスタP1と高電位側補償スイッチSw1との同時ONにより高電位側電源VDDとの接続が行われ、電圧Aは“H”レベルに反転し、システムクロック信号CLKは“L”レベルに反転する。電圧Aが“H”レベルに反転するので、積分回路16への充電が開始され、積分電圧Sは上昇を開始し、制御電圧Cは“H”レベルに復帰する。時刻t3で制御電圧Cが“L”レベルに反転するのは一瞬である。
【0052】
制御電圧Cは一瞬のみ“L”レベルで、原則的に“H”レベルキープ状態である。したがって、高電位側補償スイッチSw1は原則的にOFFキープ状態であり、低電位側補償スイッチSw2は原則的にONキープ状態である。積分電圧Sは原則的に基準電圧Vref以上の範囲で推移する。
【0053】
時刻t2での入力クロック信号のCK0立ち下がりは、本来の時刻t3より早いが、それを積分回路16とコンパレータ17と出力補正回路13からなる位相補償回路PCによって補正している。以上の結果、入力クロック信号CK0のデューティが崩れてONデューティがOFFデューティより短くなっていても、最終のシステムクロック信号CLKのデューティ比は自動的に1:1に補正される。
【0054】
次に、入力クロック信号CK0のOFFデューティがONデューティより短い場合について図4のタイミングチャートを用いて説明する。
【0055】
いま、時刻t10において、出力回路12の出力電圧Aが“L”レベルで、システムクロック信号CLKが“H”レベルにあり、かつ、積分回路16による積分電圧Sが減衰しつつあるとする。このとき、I/Oパッド11からの入力クロック信号CK0が“H”レベルで、出力回路12におけるPchトランジスタP1はOFF、NchトランジスタN1はONになっている。また、コンパレータ17の出力である制御電圧Cは“L”レベル(第2の状態)であり、出力補正回路13における高電位側補償スイッチSw1は原則ONキープ状態とされ、低電位側補償スイッチSw2は原則OFFキープ状態とされている。
【0056】
時刻t11において、入力クロック信号CK0が“H”レベルから“L”レベルに立ち下がり、PchトランジスタP1がONに反転し、NchトランジスタN1がOFFに反転する。すでに高電位側補償スイッチSw1はON状態にあるから、出力端子12aは高電位側電源VDDに接続され、電圧Aは“H”レベルに反転し、システムクロック信号CLKは“L”レベルに反転する。入力クロック信号CK0の立ち下がりタイミングとシステムクロック信号CLKの“L”レベル反転のタイミングは一致している。このモードのとき、高電位側補償スイッチSw1は入力クロック信号CK0の立ち下がりを即時有効とする機能を担っている。時刻t11において、積分電圧Sは最大減衰して低電位側電源VSSに至る。
【0057】
電圧Aが“H”レベルに反転すると、積分回路16においては充電が開始され、積分電圧Sは低電位側電源VSSのレベルから上昇を開始する。低電位側電源VSSのレベルから基準電圧Vref(=VDD/2)までの時定数τ2が電圧A、システムクロック信号CLKの次の反転タイミングを決定する。すなわち、入力クロック信号CK0の立ち上がりタイミングが1周期の1/2のタイミングから前方向にずれていても(ONデューティ>OFFデューティ)、システムクロック信号CLKの立ち上がりタイミングは1周期の1/2のタイミングからずれることがない。理由は次のとおりである。
【0058】
積分電圧Sが上昇して基準電圧Vrefに達する時刻をt13とする(t13−t11=τ2)。時刻t13よりも前の時刻t12において、入力クロック信号CK0が“L”レベルから“H”レベルに立ち上がるとする。これにより、PchトランジスタP1が反転してOFFになるとともにNchトランジスタN1が反転してONになる。しかし、制御電圧Cは“L”レベルを維持しており、低電位側補償スイッチSw2はOFFキープ状態を維持しており、出力端子12aと低電位側電源VSSとの接続は断たれたままである。
【0059】
上昇する積分電圧Sが時刻t13に至って基準電圧Vrefに達した瞬間に、制御電圧Cは一瞬、“H”レベルに反転する。この結果、低電位側補償スイッチSw2が一瞬、ONに反転する。出力端子12aは、高電位側電源VDDとの接続は断たれたままであるが、NchトランジスタN1と低電位側補償スイッチSw2との同時ONにより低電位側電源VSSとの接続が行われ、電圧Aは“L”レベルに反転し、システムクロック信号CLKは“H”レベルに反転する。電圧Aが“L”レベルに反転するので、積分回路16からの放電が開始され、積分電圧Sは降下を開始し、制御電圧Cは“L”レベルに復帰する。時刻t13で制御電圧Cが“H”レベルに反転するのは一瞬である。
【0060】
制御電圧Cは一瞬のみ“H”レベルで、原則的に“L”レベルキープ状態である。したがって、高電位側補償スイッチSw1は原則的にONキープ状態であり、低電位側補償スイッチSw2は原則的にOFFキープ状態である。積分電圧Sは原則的に基準電圧Vref以下の範囲で推移する。
【0061】
時刻t12での入力クロック信号CK0の立ち上がりは、本来の時刻t13より早いが、それを積分回路16とコンパレータ17と出力補正回路13によって補正している。以上の結果、入力クロック信号CK0のデューティが崩れてOFFデューティがONデューティより短くなっていても、最終のシステムクロック信号CLKのデューティ比は自動的に1:1に補正される。
【0062】
以上のように、本実施の形態によれば、デューティの崩れた入力クロック信号CK0を入力しても、これを自動的に補正して、最終的には正確に1:1のデューティ比に制御されたシステムクロック信号CLKを生成することができる。
【0063】
なお、基準電圧発生回路18については、これを図5に示すように、外部に設けてもよい。20は外部の基準電圧発生回路18と接続するためのI/Oパッドである。
【0064】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2におけるクロック信号生成回路の構成を示す回路図である。本実施の形態は、位相補償回路の有効・無効を選択可能に構成したものである。21はセレクタ、22はセレクタ21の制御端子に接続のI/Oパッド、23はVDD端子I/Oパッド、24はVSS端子I/Oパッドである。セレクタ21の1入力には入力クロック信号CK0を入力するI/Oパッド11が接続され、他の1入力には最終のシステムクロック信号CLKを出力する出力段のインバータ14の出力端子が接続されている。
【0065】
I/Oパッド22、VDD端子I/Oパッド23およびVSS端子I/Oパッド24は互いに隣接しており、配線、ワイヤリングなどでどちらかのノードに固定することが可能であり、DC的にモード切り替えにすることが可能である。内蔵で使用する場合にはどちらかに、固定して使用することが可能である。
【0066】
セレクタ21に対するセレクト信号が“L”のときは出力段のインバータ14からの位相補正されたシステムクロック信号CLKが選択され出力される。セレクト信号が“H”のときはI/Oパッド11からの元の入力クロック信号CK0がそのまま出力される。
【0067】
このことにより、位相補償をする場合としない場合とを任意に切り換えることが可能である。したがって、例えば、位相補償をしたクロックを使用した場合には、LSIで使用するシステムクロックの2倍の動作周波数を外部から入力する必要性がない。また、より安価なテスターを使用することができる。結果として、コストを下げることが可能である。
【0068】
動作周波数を高くする必要がないとき、あるいはコストが高くてもよいときなどは、位相補償をしたクロックを使用せず、別に外部で従来のような位相補償を行うことも可能である。
【0069】
本発明のクロック信号生成回路は、VCO等を用いるほどは厳密にクロックを補正する必要はないが、安価で良好に補正されたデューティ比を持つシステムクロック信号が必要な電子機器、例えばデジタルスチルカメラの動作に用いると特に有効である。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、入力クロック信号のデューティ比が所定のデューティ比からずれていても、積分時定数をもって出力回路出力値の反転タイミングをコントロールするので、自動的に位相補償して所定のデューティ比のシステムクロック信号を生成することができる。さらに、外部の発振子としてはシステムクロック信号の周波数と同じ発振周波数の発振子を採用する必要性をなくすことができ、コスト的負担を軽減できる。また、テスターの面でも有利となる。また、面積オーバーヘッドを軽減することができる。そして、ワイヤリング等により、位相補償されたシステムクロック信号とオリジナルの入力クロック信号との切り換えが容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるクロック信号生成回路の構成を示す回路図
【図2】実施の形態1のクロック信号生成回路の等価回路の回路図
【図3】実施の形態1のクロック信号生成回路の動作を示すタイミングチャート(ONデューティが短い場合)
【図4】実施の形態1のクロック信号生成回路の動作を示すタイミングチャート(ONデューティが長い場合)
【図5】実施の形態1の変形の形態のクロック信号生成回路の回路図
【図6】本発明の実施の形態2におけるクロック信号生成回路の構成を示す回路図
【図7】従来のクロック信号生成回路を示す回路図
【図8】従来のクロック信号生成回路の動作を示すタイミングチャート(デューティ比1:1)
【図9】従来のクロック信号生成回路の動作を示すタイミングチャート(ONデューティが大きい場合)
【図10】従来のクロック信号生成回路の動作を示すタイミングチャート(ONデューティが小さい場合)
【図11】VCOを利用した従来のクロック信号生成回路を示す回路図
【符号の説明】
11 I/Oパッド
12 出力回路
12a 出力回路の出力端子
13 出力補正回路
14 出力段のインバータ
15 システムクロック信号出力端子
16 積分回路
17 コンパレータ
18 基準電圧発生回路
21 セレクタ
22 I/Oパッド
23 VDD端子I/Oパッド
24 VSS端子I/Oパッド
P1 Pchトランジスタ
N1 Nchトランジスタ
Sw1 高電位側補償スイッチ
Sw2 低電位側スイッチ素子
CK0 入力クロック信号
PC 位相補償回路
Claims (11)
- 発振子からの入力クロック信号に応じて互いに排他的にオン/オフ動作する高電位側スイッチ素子および低電位側スイッチ素子が直列接続されてなる出力回路と、
前記出力回路からの出力値を反転してシステムクロック信号を生成するインバータと、
前記出力回路からの出力値の積分値と基準電圧値との比較に基づいて前記高電位側スイッチ素子の高電位側電源に対する接続と前記低電位側スイッチ素子の低電位側電源に対する接続とを排他的に切り換え制御する位相補償回路とを備えているクロック信号生成回路。 - 前記位相補償回路は、前記出力回路の出力端子に接続された積分回路と、前記積分回路の出力値を基準電圧値と比較するコンパレータと、前記高電位側スイッチ素子の高電位側端子と前記高電位側電源との間に挿入された高電位側補償スイッチと、前記低電位側スイッチ素子の低電位側端子と前記低電位側電源との間に挿入された低電位側補償スイッチとを備え、前記コンパレータによる比較結果に応じて前記高電位側補償スイッチと前記低電位側補償スイッチとを排他的に制御するように構成されている請求項1に記載のクロック信号生成回路。
- 前記コンパレータに対する前記基準電圧値が、前記高電位側電源の電位と前記低電位側電源の電位との丁度中央値に設定されている請求項2に記載のクロック信号生成回路。
- 前記高電位側スイッチ素子がPchトランジスタであり、前記低電位側スイッチ素子がNchトランジスタである請求項1から請求項3までのいずれかに記載のクロック信号生成回路。
- 前記高電位側補償スイッチがPchトランジスタであり、前記低電位側補償スイッチがNchトランジスタである請求項1から請求項4までのいずれかに記載のクロック信号生成回路。
- さらに、前記入力クロック信号と前記システムクロック信号とを選択するセレクタを備えている請求項1から請求項5までのいずれかに記載のクロック信号生成回路。
- さらに、前記セレクタにおけるセレクト信号端子に接続された選択制御用I/Oパッドと、この選択制御用I/Oパッドに対して選択的にワイヤリング可能なVDD端子I/OパッドおよびVSS端子I/Oパッドとを備える請求項6に記載のクロック信号生成回路。
- 前記出力回路からの出力値を反転してシステムクロック信号を生成するインバータが省略され、前記出力回路からの出力値をシステムクロック信号とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載のクロック信号生成回路。
- 前記出力回路からの出力値を反転してシステムクロック信号を生成するインバータの次段に、さらにいくつかのインバータがシリーズに接続されている請求項1から請求項7までのいずれかに記載のクロック信号生成回路。
- 請求項1から請求項9までのいずれかに記載のクロック信号生成回路を搭載し、前記クロック信号生成回路によって生成出力されたシステムクロック信号を用いて動作するように構成されている電子機器。
- 請求項1から請求項9までのいずれかに記載のクロック信号生成回路を搭載し、前記クロック信号生成回路によって生成出力されたシステムクロック信号を用いて動作するように構成されているデジタルスチルカメラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002285534A JP2004128540A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | クロック信号生成回路 |
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JPWO2005124786A1 (ja) * | 2004-06-22 | 2008-04-17 | 富士通株式会社 | 半導体メモリ |
DE102006061649A1 (de) * | 2006-12-27 | 2008-07-03 | Infineon Technologies Ag | Einrichtung zum Einstellen eines Tastverhältnisses, Tastverhältnis-Einstellschaltung und Verfahren zum Einstellen eines Tastverhältnisses |
-
2002
- 2002-09-30 JP JP2002285534A patent/JP2004128540A/ja active Pending
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JPWO2005124786A1 (ja) * | 2004-06-22 | 2008-04-17 | 富士通株式会社 | 半導体メモリ |
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DE102006061649A1 (de) * | 2006-12-27 | 2008-07-03 | Infineon Technologies Ag | Einrichtung zum Einstellen eines Tastverhältnisses, Tastverhältnis-Einstellschaltung und Verfahren zum Einstellen eines Tastverhältnisses |
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