JP2004127831A - 電子銃の有底円筒体製造装置および電子銃の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、生産効率を落とすことなく、電子放出用の突起部を備えた電子銃の有底円筒体を製造することが可能な有底円筒体製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明による有底円筒体製造装置は、電子放出のための突起部が形成された電子銃の有底円筒体製造装置であって、円筒状のカソードスリーブを挿入する孔、および当該孔の底面部に前記突起部の形状に対応するくぼみが形成されたダイと、前記孔に挿入されたカソードスリーブの一方の開口から当該カソードスリーブの内部に挿入されて前記孔の底面部に載置された円形状のディスクを加圧することにより、前記カソードスリーブの内壁に前記ディスクを圧着するとともに当該ディスクに前記突起部を形成するマンドレルとを備えたものである。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明による有底円筒体製造装置は、電子放出のための突起部が形成された電子銃の有底円筒体製造装置であって、円筒状のカソードスリーブを挿入する孔、および当該孔の底面部に前記突起部の形状に対応するくぼみが形成されたダイと、前記孔に挿入されたカソードスリーブの一方の開口から当該カソードスリーブの内部に挿入されて前記孔の底面部に載置された円形状のディスクを加圧することにより、前記カソードスリーブの内壁に前記ディスクを圧着するとともに当該ディスクに前記突起部を形成するマンドレルとを備えたものである。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、陰極線管で用いられる電子銃の製造方法、および製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
陰極線管の電子銃はカソードを備えている。図8は陰極線管に備えられる、吊り型式カソードの構造の一例を模式的に示す斜視図であり、図9はその断面図である。1はクロムなどで構成された円筒状のカソードスリーブである。2はニッケル合金材からなるディスクである。ディスク2はカソードに組み込まれた後はベースメタルとも呼ばれる。ここでは、カソードスリーブ1とディスク2が一体となったものを有底円筒体と称する。11はカソードスリーブ1の外側に設けられた更に大径の円筒状のアイレットである。12はカソードスリーブ1内に挿入され、ディスク2を加熱するヒータである。10は一端がアイレット11の端縁に固定され、他端がカソードスリーブ1の側面に固定され、アイレット11にカソードスリーブ1を吊った状態にするリボンである(図8、図9では1本のみ示す)。リボン10は、カソードスリーブ1が熱膨張してディスク2の位置が図8,9の上部方向へ移動してしまった場合、リボン10も熱膨張することで、ディスク2の高さ変動を抑制する働きをする。
【0003】
13は酸化バリウムを含む電子放射物質層である。電子放射物質層13は、ディスク2表面に形成されることで、ディスク2がヒータ12により加熱されたとき、熱電子を放出する。カソードスリーブ1は特性上板厚を薄くする方が良く、普通20μm位である。またカソードスリーブ1の開口端はヒータ12を挿入しやすくするためにフレア状(朝顔形)になっている。
【0004】
図10は、特公昭56−36533号公報に開示された、有底円筒体の製造装置の構成とその動作を示す図である。図10において、6はカソードスリーブ1が挿入される円筒形の孔が形成されたダイである。はじめにカソードスリーブ1を開口端1aが上を向くようにダイ6にセットする(図10(a))。次にカソードスリーブ1の内径より小さい径を有するディスク2をカソードスリーブ1の開口端1aからカソードスリーブ1内に挿入する(図10(b))。その後、エアシリンダ等の加圧装置(図示しない)に結合された加圧用のマンドレル7を、カソードスリーブ1の開口端1a方向より挿入して、ディスク2を圧延し、ディスク2を押し広げ、ディスク2とカソードスリーブ1を圧着して有底円筒体12を形成する(図10(c))。最後に圧着部をレーザ溶接で補強することで、ディスク2をカソードスリーブ1に固着する。
【0005】
ところで、本件出願人は、陰極線管の更なる高輝度化・高精細化のため、図11に示すように、電子放射物質層13に微少な突起部13aを設けた電子銃を提案している(特願2001−189537)。こうした突起部を設けることにより高い輝度を得ることが可能になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図11に示す突起部13aは、ディスク2をカソードスリーブ1に固着して有底円筒体を形成した後、ディスク2上に電子放出物質を堆積させてエッチング処理等を行うことにより作成することができるが、これにより製造工程が増えるという問題がある。また、突起部13aの直径は約250μmであり、加工には高い精度が必要とされる。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、生産効率を落とすことなく、電子放出用の突起部を備えた電子銃の有底円筒体を製造することが可能な有底円筒体製造装置、および電子銃の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による電子銃の有底円筒体製造装置は、電子放出のための突起部が形成された電子銃の有底円筒体製造装置であって、
円筒状のカソードスリーブを挿入する孔、および当該孔の底面部に前記突起部の形状に対応するくぼみが形成されたダイと、
前記孔に挿入されたカソードスリーブの一方の開口から当該カソードスリーブの内部に挿入されて前記孔の底面部に載置された円形状のディスクを加圧することにより、前記カソードスリーブの内壁に前記ディスクを圧着するとともに当該ディスクに前記突起部を形成するマンドレルとを備えたものである。
【0009】
ダイは、カソードスリーブの形状に対応する貫通孔を有するダイ側面部、突起部の形状に対応するくぼみを備えたダイ底面部、前記ダイ側面部と前記ダイ底面部とを一体に固定する固定部材により構成されるものである。
【0010】
ダイ底面部を、くぼみの形状に対応する貫通孔を有する薄板と、当該薄板を介してダイ側面部と一体に固定されるベースにより構成するものである。
【0011】
くぼみの底面部を形成する上下方向に移動可能なマンドレルをさらに備えたものである。
【0012】
本発明による電子銃の製造方法は、電子放出のための突起部が形成された電子銃の製造方法であって、
底面部に前記突起部の形状に対応するくぼみを有する円筒状の孔が形成されたダイにカソードスリーブを挿入する工程と、
前記ダイの孔に挿入された前記カソードスリーブの内部に円形のディスクを挿入する工程と、
前記ディスクを加圧することにより、前記カソードスリーブの内壁に前記ディスクを圧着するとともに当該ディスクに前記突起部を形成する工程とを備えたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る電子銃の有底円筒体製造装置の構成を示す断面図である。図1において、6はカソードスリーブ1が挿入される円筒形の孔6fが形成されたダイである。ダイ6の底面部中央には、電子放出用の突起部に対応するくぼみ5が形成されている。図2は、図1に示す有底円筒体製造装置を用いた有底円筒体の製造工程を示す図である。はじめにカソードスリーブ1を、開口端1aを上方にしてダイ6の孔6fに挿入する(図2(a))。次にカソードスリーブ1の内径より小さい径を有するのディスク2をカソードスリーブ1の開口端1a方向からカソードスリーブ1内に挿入する(図2(b))。その後、エアシリンダ等の加圧装置(図示しない)に結合されている加圧用のマンドレル7を、カソードスリーブ1の開口端1a方向より挿入してディスク2を圧延してカソードスリーブ1の内壁に圧着するとともにディスク2に突起部2aを形成する(図2(c))。
【0014】
以上の工程により、突起部2aを備えた有底円筒体が形成される。有底円筒体をダイ6から取り出し、突起部2aが形成されたディスク2の表面に電子放射物質を堆積させることにより電子放出用の突起部を備えたカソードが形成される。
【0015】
このように、実施の形態1に係わる電子銃の有底円筒体製造装置によれば、カソードスリーブ1が挿入される孔6fの底面部に突起部2aに対応するくぼみ5を設けたダイ6を用いてカソードスリーブ1にディスク2を圧着するよう構成したので、カソードスリーブ1へのディスク2の圧着と突起部2aの形成を一工程で行なうことができ、また、従来のようなエッチングの工程を必要とすることなく電子放出用の突起部が形成された電子銃を製造することが可能である。また、ばらつきを生じることなく突起部2aを形成することができる。
さらに、圧延が一度でよいので、ディスク2のダイ6側面への噛み込みが少なくてすむ。
【0016】
尚、ダイ6の底面部に直系20μm程のくぼみを複数設けることにより、複数の突起部を形成するよう構成してもよい。
【0017】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係る電子銃の有底円筒体製造装置の構成を示す断面図である。実施の形態1に示す有底円筒体製造装置との相違点はダイ6が、ダイ側面部6aとダイ底面部6bとに分割可能である点である。分割されたダイ側面部6aと底面部6bは、ネジ8aとナット8bで一体に固定される。この分割式の有底円筒体製造装置は、ダイ側面部6aおよびダイ底面部6bをネジ8aとナット8bで固定して使用する。図4(a)および(b)に、図3に示すダイ側面部6aおよびダイ側面部6bの斜視図を示す。ダイ側面部6aの中央にはカソードスリーブを挿入する孔20があけられており、孔20の周囲には底面部6bと固定するためのネジ8aを挿入する孔21があけられている。ダイ底面部6bにはディスク2の突起部2aを形成するためのくぼみ5と、側面部6aと固定するために使用するネジ8aを挿入する孔21が設けられている。
【0018】
電子銃に使用するディスク2の外径は1.5mm(1500μm)程であり、実施の形態1のように、カソードスリーブ1を挿入する深さ数mmの孔6fの底面に、深さ、径ともに100μmほどのくぼみ5を設ける場合、高い精度が必要とされる。また、一度作成したくぼみ5も、ディスク2の圧延を繰り返すにつれすり減ってくるので、ダイ6全体の交換が必要となる。
【0019】
図3に示す有底円筒体製造装置によれば、くぼみ5が形成されるダイ底面部6bを取り外し可能に構成したので、ダイ底面部6bに設けるくぼみ5の作製、およびメンテナンスが容易になるとともに、くぼみ5が摩耗した場合はダイ底面部6bのみを交換することができる。尚、ダイ側面部6eとダイ底面部6bの外側に固定用の治具を取り付ける構成としてもよい。
【0020】
図5は、本実施の形態2による有底円筒体製造装置の他の構成を示す図である。図5に示す有底円筒体製造装置のダイ底面部6bは、貫通孔25が設けられた薄板6dと、底面部6eにより構成される。図6(a)および(b)は、図5に示す有底円筒体製造装置の薄板6dおよびダイ底面部6eの斜視図である。図6(a)に示すように、薄板部6dにはネジ8aを挿入するための孔23と、ディスク2の突起部2aを形成するための貫通孔25が設けられており、図5に示す底面部6eには、ネジ8aを挿入するための孔24が設けられている。薄板6dを、ネジ8aにより、底面部6eとともにダイ側面部6aに一体に固定することにより、図5に示すようにくぼみ5が画成される。
【0021】
くぼみ5は、側面と底面との境界部が鋭角となるように画成されることが望ましい。図5に示すように、くぼみ5を、薄板6dに設けた貫通孔6fと底面部6eとによって画成することで、上記境界部を容易に鋭角とすることが可能であり、突起部2aを精度よく形成することができる。
【0022】
実施の形態3.
図7は本発明の実施の形態3に係る電子銃の有底円筒体製造装置の構成を示す図である。実施の形態1との相違点は、ディススク2とカソードスリーブ1を圧着した後に、有底円筒体を上方に押し上げることにより取り出しやすくするための突き出し機構19が具備されていることである。突き出し機構19は、駆動装置9と、これにより上下方向に駆動されるマンドレル10により構成される。ディスク2の圧延時、マンドレル10はカソードスリーブ1が挿入される孔6fの底面部6bからディスク2の突起部2aの高さ分下がった位置で待機するようになっている。このようにして、ダイ6とマンドレル10により、ディスク2の突起部2aを形成するための空間が画成される。この空間は実施例1で説明した図1のくぼみ5と同じ作用をするものであり、ダイ6の孔6fにカソードスリーブ1とディスク2を挿入してカソードスリーブ1とディスク2を圧着させ、実施の形態1と同様、図1(c)に示すようにディスク2に突起部2aを形成する。圧延完了後、駆動装置9によりマンドレル10を上方に駆動することにより、マンドレル10が有底円筒体を押し上げる。
【0023】
このように、突き出し機構19を設け、ディスク2をカソードスリーブ1に圧着した後、マンドレル10を押し上げることにより、有底円筒体を容易に取り出すことが可能となる。
【0024】
尚、図7に示す構成においてはマンドレル10を上方に駆動することで有底円筒体を取り出すようにしたが、反対にマンドレルを固定しておき、ダイを下方に駆動することで有底円筒体を取り出すよう構成してもよい。
【0025】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0026】
請求項1および5に記載の電子銃の有底円筒体製造装置および電子銃の製造方法によれば、カソードスリーブを挿入する孔の底面部に突起部の形状に対応するくぼみが形成されたダイを用いてカソードスリーブの内壁にディスクを圧着するので、工程数を増やすことなく電子放出用の突起部を備えた電子銃を製造することができる。
【0027】
請求項2に記載の電子銃の有底円筒体製造装置は、ダイが、ダイ側面部、およびダイ底面部に分割可能に構成されているので、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0028】
請求項3に記載の電子銃の有底円筒体製造装置は、ダイ底面部が、くぼみの形状に対応する貫通孔を有する薄板と、当該薄板を介してダイ側面部と一体に固定されるベースにより構成されているので、突起部2aを精度よく形成することができる。
【0029】
請求項4に記載の電子銃の有底円筒体製造装置は、上下方向に移動可能なマンドレルを備えているので、有底円筒体を変形させることなく取り出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係わる電子銃の有底円筒体製造装置の構成を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わる電子銃の有底円筒体製造装置による製造工程を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係わる電子銃の有底円筒体製造装置の構成を示す断面図である。
【図4】図3に示す有底円筒体製造装置の分解図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係わる電子銃の有底円筒体製造装置の他の構成を示す断面図である。
【図6】図5に示す有底円筒体製造装置の分解図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係わる電子銃の有底円筒体製造装置の構成を示す断
【図8】電子銃の要部を示す斜視図である。
【図9】電子銃の要部を示す断面図である
【図10】一般的な電子中の有底円筒体の製造工程を示す図である。
【図11】電子放出用の突起を有する電子銃の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 カソードスリーブ、2 ディスク、5 くぼみ、6 ダイ、6a ダイ側面部、6b ダイ底面部、7 マンドレル、9 駆動装置、19 突き出し機構。
【発明の属する技術分野】
この発明は、陰極線管で用いられる電子銃の製造方法、および製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
陰極線管の電子銃はカソードを備えている。図8は陰極線管に備えられる、吊り型式カソードの構造の一例を模式的に示す斜視図であり、図9はその断面図である。1はクロムなどで構成された円筒状のカソードスリーブである。2はニッケル合金材からなるディスクである。ディスク2はカソードに組み込まれた後はベースメタルとも呼ばれる。ここでは、カソードスリーブ1とディスク2が一体となったものを有底円筒体と称する。11はカソードスリーブ1の外側に設けられた更に大径の円筒状のアイレットである。12はカソードスリーブ1内に挿入され、ディスク2を加熱するヒータである。10は一端がアイレット11の端縁に固定され、他端がカソードスリーブ1の側面に固定され、アイレット11にカソードスリーブ1を吊った状態にするリボンである(図8、図9では1本のみ示す)。リボン10は、カソードスリーブ1が熱膨張してディスク2の位置が図8,9の上部方向へ移動してしまった場合、リボン10も熱膨張することで、ディスク2の高さ変動を抑制する働きをする。
【0003】
13は酸化バリウムを含む電子放射物質層である。電子放射物質層13は、ディスク2表面に形成されることで、ディスク2がヒータ12により加熱されたとき、熱電子を放出する。カソードスリーブ1は特性上板厚を薄くする方が良く、普通20μm位である。またカソードスリーブ1の開口端はヒータ12を挿入しやすくするためにフレア状(朝顔形)になっている。
【0004】
図10は、特公昭56−36533号公報に開示された、有底円筒体の製造装置の構成とその動作を示す図である。図10において、6はカソードスリーブ1が挿入される円筒形の孔が形成されたダイである。はじめにカソードスリーブ1を開口端1aが上を向くようにダイ6にセットする(図10(a))。次にカソードスリーブ1の内径より小さい径を有するディスク2をカソードスリーブ1の開口端1aからカソードスリーブ1内に挿入する(図10(b))。その後、エアシリンダ等の加圧装置(図示しない)に結合された加圧用のマンドレル7を、カソードスリーブ1の開口端1a方向より挿入して、ディスク2を圧延し、ディスク2を押し広げ、ディスク2とカソードスリーブ1を圧着して有底円筒体12を形成する(図10(c))。最後に圧着部をレーザ溶接で補強することで、ディスク2をカソードスリーブ1に固着する。
【0005】
ところで、本件出願人は、陰極線管の更なる高輝度化・高精細化のため、図11に示すように、電子放射物質層13に微少な突起部13aを設けた電子銃を提案している(特願2001−189537)。こうした突起部を設けることにより高い輝度を得ることが可能になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図11に示す突起部13aは、ディスク2をカソードスリーブ1に固着して有底円筒体を形成した後、ディスク2上に電子放出物質を堆積させてエッチング処理等を行うことにより作成することができるが、これにより製造工程が増えるという問題がある。また、突起部13aの直径は約250μmであり、加工には高い精度が必要とされる。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、生産効率を落とすことなく、電子放出用の突起部を備えた電子銃の有底円筒体を製造することが可能な有底円筒体製造装置、および電子銃の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による電子銃の有底円筒体製造装置は、電子放出のための突起部が形成された電子銃の有底円筒体製造装置であって、
円筒状のカソードスリーブを挿入する孔、および当該孔の底面部に前記突起部の形状に対応するくぼみが形成されたダイと、
前記孔に挿入されたカソードスリーブの一方の開口から当該カソードスリーブの内部に挿入されて前記孔の底面部に載置された円形状のディスクを加圧することにより、前記カソードスリーブの内壁に前記ディスクを圧着するとともに当該ディスクに前記突起部を形成するマンドレルとを備えたものである。
【0009】
ダイは、カソードスリーブの形状に対応する貫通孔を有するダイ側面部、突起部の形状に対応するくぼみを備えたダイ底面部、前記ダイ側面部と前記ダイ底面部とを一体に固定する固定部材により構成されるものである。
【0010】
ダイ底面部を、くぼみの形状に対応する貫通孔を有する薄板と、当該薄板を介してダイ側面部と一体に固定されるベースにより構成するものである。
【0011】
くぼみの底面部を形成する上下方向に移動可能なマンドレルをさらに備えたものである。
【0012】
本発明による電子銃の製造方法は、電子放出のための突起部が形成された電子銃の製造方法であって、
底面部に前記突起部の形状に対応するくぼみを有する円筒状の孔が形成されたダイにカソードスリーブを挿入する工程と、
前記ダイの孔に挿入された前記カソードスリーブの内部に円形のディスクを挿入する工程と、
前記ディスクを加圧することにより、前記カソードスリーブの内壁に前記ディスクを圧着するとともに当該ディスクに前記突起部を形成する工程とを備えたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る電子銃の有底円筒体製造装置の構成を示す断面図である。図1において、6はカソードスリーブ1が挿入される円筒形の孔6fが形成されたダイである。ダイ6の底面部中央には、電子放出用の突起部に対応するくぼみ5が形成されている。図2は、図1に示す有底円筒体製造装置を用いた有底円筒体の製造工程を示す図である。はじめにカソードスリーブ1を、開口端1aを上方にしてダイ6の孔6fに挿入する(図2(a))。次にカソードスリーブ1の内径より小さい径を有するのディスク2をカソードスリーブ1の開口端1a方向からカソードスリーブ1内に挿入する(図2(b))。その後、エアシリンダ等の加圧装置(図示しない)に結合されている加圧用のマンドレル7を、カソードスリーブ1の開口端1a方向より挿入してディスク2を圧延してカソードスリーブ1の内壁に圧着するとともにディスク2に突起部2aを形成する(図2(c))。
【0014】
以上の工程により、突起部2aを備えた有底円筒体が形成される。有底円筒体をダイ6から取り出し、突起部2aが形成されたディスク2の表面に電子放射物質を堆積させることにより電子放出用の突起部を備えたカソードが形成される。
【0015】
このように、実施の形態1に係わる電子銃の有底円筒体製造装置によれば、カソードスリーブ1が挿入される孔6fの底面部に突起部2aに対応するくぼみ5を設けたダイ6を用いてカソードスリーブ1にディスク2を圧着するよう構成したので、カソードスリーブ1へのディスク2の圧着と突起部2aの形成を一工程で行なうことができ、また、従来のようなエッチングの工程を必要とすることなく電子放出用の突起部が形成された電子銃を製造することが可能である。また、ばらつきを生じることなく突起部2aを形成することができる。
さらに、圧延が一度でよいので、ディスク2のダイ6側面への噛み込みが少なくてすむ。
【0016】
尚、ダイ6の底面部に直系20μm程のくぼみを複数設けることにより、複数の突起部を形成するよう構成してもよい。
【0017】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係る電子銃の有底円筒体製造装置の構成を示す断面図である。実施の形態1に示す有底円筒体製造装置との相違点はダイ6が、ダイ側面部6aとダイ底面部6bとに分割可能である点である。分割されたダイ側面部6aと底面部6bは、ネジ8aとナット8bで一体に固定される。この分割式の有底円筒体製造装置は、ダイ側面部6aおよびダイ底面部6bをネジ8aとナット8bで固定して使用する。図4(a)および(b)に、図3に示すダイ側面部6aおよびダイ側面部6bの斜視図を示す。ダイ側面部6aの中央にはカソードスリーブを挿入する孔20があけられており、孔20の周囲には底面部6bと固定するためのネジ8aを挿入する孔21があけられている。ダイ底面部6bにはディスク2の突起部2aを形成するためのくぼみ5と、側面部6aと固定するために使用するネジ8aを挿入する孔21が設けられている。
【0018】
電子銃に使用するディスク2の外径は1.5mm(1500μm)程であり、実施の形態1のように、カソードスリーブ1を挿入する深さ数mmの孔6fの底面に、深さ、径ともに100μmほどのくぼみ5を設ける場合、高い精度が必要とされる。また、一度作成したくぼみ5も、ディスク2の圧延を繰り返すにつれすり減ってくるので、ダイ6全体の交換が必要となる。
【0019】
図3に示す有底円筒体製造装置によれば、くぼみ5が形成されるダイ底面部6bを取り外し可能に構成したので、ダイ底面部6bに設けるくぼみ5の作製、およびメンテナンスが容易になるとともに、くぼみ5が摩耗した場合はダイ底面部6bのみを交換することができる。尚、ダイ側面部6eとダイ底面部6bの外側に固定用の治具を取り付ける構成としてもよい。
【0020】
図5は、本実施の形態2による有底円筒体製造装置の他の構成を示す図である。図5に示す有底円筒体製造装置のダイ底面部6bは、貫通孔25が設けられた薄板6dと、底面部6eにより構成される。図6(a)および(b)は、図5に示す有底円筒体製造装置の薄板6dおよびダイ底面部6eの斜視図である。図6(a)に示すように、薄板部6dにはネジ8aを挿入するための孔23と、ディスク2の突起部2aを形成するための貫通孔25が設けられており、図5に示す底面部6eには、ネジ8aを挿入するための孔24が設けられている。薄板6dを、ネジ8aにより、底面部6eとともにダイ側面部6aに一体に固定することにより、図5に示すようにくぼみ5が画成される。
【0021】
くぼみ5は、側面と底面との境界部が鋭角となるように画成されることが望ましい。図5に示すように、くぼみ5を、薄板6dに設けた貫通孔6fと底面部6eとによって画成することで、上記境界部を容易に鋭角とすることが可能であり、突起部2aを精度よく形成することができる。
【0022】
実施の形態3.
図7は本発明の実施の形態3に係る電子銃の有底円筒体製造装置の構成を示す図である。実施の形態1との相違点は、ディススク2とカソードスリーブ1を圧着した後に、有底円筒体を上方に押し上げることにより取り出しやすくするための突き出し機構19が具備されていることである。突き出し機構19は、駆動装置9と、これにより上下方向に駆動されるマンドレル10により構成される。ディスク2の圧延時、マンドレル10はカソードスリーブ1が挿入される孔6fの底面部6bからディスク2の突起部2aの高さ分下がった位置で待機するようになっている。このようにして、ダイ6とマンドレル10により、ディスク2の突起部2aを形成するための空間が画成される。この空間は実施例1で説明した図1のくぼみ5と同じ作用をするものであり、ダイ6の孔6fにカソードスリーブ1とディスク2を挿入してカソードスリーブ1とディスク2を圧着させ、実施の形態1と同様、図1(c)に示すようにディスク2に突起部2aを形成する。圧延完了後、駆動装置9によりマンドレル10を上方に駆動することにより、マンドレル10が有底円筒体を押し上げる。
【0023】
このように、突き出し機構19を設け、ディスク2をカソードスリーブ1に圧着した後、マンドレル10を押し上げることにより、有底円筒体を容易に取り出すことが可能となる。
【0024】
尚、図7に示す構成においてはマンドレル10を上方に駆動することで有底円筒体を取り出すようにしたが、反対にマンドレルを固定しておき、ダイを下方に駆動することで有底円筒体を取り出すよう構成してもよい。
【0025】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0026】
請求項1および5に記載の電子銃の有底円筒体製造装置および電子銃の製造方法によれば、カソードスリーブを挿入する孔の底面部に突起部の形状に対応するくぼみが形成されたダイを用いてカソードスリーブの内壁にディスクを圧着するので、工程数を増やすことなく電子放出用の突起部を備えた電子銃を製造することができる。
【0027】
請求項2に記載の電子銃の有底円筒体製造装置は、ダイが、ダイ側面部、およびダイ底面部に分割可能に構成されているので、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0028】
請求項3に記載の電子銃の有底円筒体製造装置は、ダイ底面部が、くぼみの形状に対応する貫通孔を有する薄板と、当該薄板を介してダイ側面部と一体に固定されるベースにより構成されているので、突起部2aを精度よく形成することができる。
【0029】
請求項4に記載の電子銃の有底円筒体製造装置は、上下方向に移動可能なマンドレルを備えているので、有底円筒体を変形させることなく取り出すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係わる電子銃の有底円筒体製造装置の構成を示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係わる電子銃の有底円筒体製造装置による製造工程を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係わる電子銃の有底円筒体製造装置の構成を示す断面図である。
【図4】図3に示す有底円筒体製造装置の分解図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係わる電子銃の有底円筒体製造装置の他の構成を示す断面図である。
【図6】図5に示す有底円筒体製造装置の分解図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係わる電子銃の有底円筒体製造装置の構成を示す断
【図8】電子銃の要部を示す斜視図である。
【図9】電子銃の要部を示す断面図である
【図10】一般的な電子中の有底円筒体の製造工程を示す図である。
【図11】電子放出用の突起を有する電子銃の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 カソードスリーブ、2 ディスク、5 くぼみ、6 ダイ、6a ダイ側面部、6b ダイ底面部、7 マンドレル、9 駆動装置、19 突き出し機構。
Claims (5)
- 電子放出のための突起部が形成された電子銃の有底円筒体製造装置であって、
円筒状のカソードスリーブを挿入する孔、および当該孔の底面部に前記突起部の形状に対応するくぼみが形成されたダイと、
前記孔に挿入されたカソードスリーブの一方の開口から当該カソードスリーブの内部に挿入されて前記孔の底面部に載置された円形状のディスクを加圧することにより、前記カソードスリーブの内壁に前記ディスクを圧着するとともに当該ディスクに前記突起部を形成するマンドレルとを備えたことを特徴とする電子銃の有底円筒体製造装置。 - ダイは、カソードスリーブの形状に対応する貫通孔を有するダイ側面部、突起部の形状に対応するくぼみを備えたダイ底面部、前記ダイ側面部と前記ダイ底面部とを一体に固定する固定部材により構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子銃の有底円筒体製造装置。
- ダイ底面部を、くぼみの形状に対応する貫通孔を有する薄板と、当該薄板を介してダイ側面部と一体に固定されるベースにより構成することを特徴とする請求項2に記載の電子銃の有底円筒体製造装置。
- くぼみの底面部を形成する上下方向に移動可能なマンドレルをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子銃の有底円筒体製造装置。
- 電子放出のための突起部が形成された電子銃の製造方法であって、
底面部に前記突起部の形状に対応するくぼみを有する円筒状の孔が形成されたダイにカソードスリーブを挿入する工程と、
前記ダイの孔に挿入された前記カソードスリーブの内部に円形のディスクを挿入する工程と、
前記ディスクを加圧することにより、前記カソードスリーブの内壁に前記ディスクを圧着するとともに当該ディスクに前記突起部を形成する工程とを備えたことを特徴とする電子銃の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002293313A JP2004127831A (ja) | 2002-10-07 | 2002-10-07 | 電子銃の有底円筒体製造装置および電子銃の製造方法 |
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Publications (1)
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JP2002293313A Pending JP2004127831A (ja) | 2002-10-07 | 2002-10-07 | 電子銃の有底円筒体製造装置および電子銃の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004127831A (ja) |
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2002
- 2002-10-07 JP JP2002293313A patent/JP2004127831A/ja active Pending
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