JP2004127791A - 電線群の結束構造 - Google Patents
電線群の結束構造 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004127791A JP2004127791A JP2002291965A JP2002291965A JP2004127791A JP 2004127791 A JP2004127791 A JP 2004127791A JP 2002291965 A JP2002291965 A JP 2002291965A JP 2002291965 A JP2002291965 A JP 2002291965A JP 2004127791 A JP2004127791 A JP 2004127791A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wire
- halogen
- electric wire
- free
- dummy
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Abandoned
Links
Images
Landscapes
- Insulated Conductors (AREA)
Abstract
【課題】ハロゲンフリー電線を被覆するポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を防止し、ハロゲンフリー電線の劣化を防止する。
【解決手段】酸化防止剤が配合されたポリオレフィン系絶縁樹脂材料で導線を被覆したハロゲンフリー電線と、塩化ビニル系絶縁樹脂材料により電線を被覆した塩化ビニル被覆電線とを、塩化ビニル系絶縁樹脂材料からなるテープあるいはチューブにより外装して結束している電線群の結束構造において、ポリオレフィン系絶縁樹脂材料からなるダミー線を設け、該ダミー線をハロゲンフリー電線と塩化ビニル電線と共にテープあるいはチューブで外装し、ダミー線とハロゲンフリー電線の合計重量が、塩化ビニル被覆電線、ハロゲンフリー電線、ダミー線および外装材の重量を合計した全重量に対して20%以上としている。
【選択図】 図1
【解決手段】酸化防止剤が配合されたポリオレフィン系絶縁樹脂材料で導線を被覆したハロゲンフリー電線と、塩化ビニル系絶縁樹脂材料により電線を被覆した塩化ビニル被覆電線とを、塩化ビニル系絶縁樹脂材料からなるテープあるいはチューブにより外装して結束している電線群の結束構造において、ポリオレフィン系絶縁樹脂材料からなるダミー線を設け、該ダミー線をハロゲンフリー電線と塩化ビニル電線と共にテープあるいはチューブで外装し、ダミー線とハロゲンフリー電線の合計重量が、塩化ビニル被覆電線、ハロゲンフリー電線、ダミー線および外装材の重量を合計した全重量に対して20%以上としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、電線群の結束構造に関し、詳しくは、環境対策の点から用いられるハロゲンフリー電線のテープ巻き結束時における酸化防止を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等に配索されるワイヤハーネスに使用する電線は、一般に、複数の銅線からなる素線を束ねてポリ塩化ビニル(PVC)樹脂を被覆したPVC電線が使用されている。銅線としては、焼きなました軟銅線のほか、錫めっき軟銅線が用いられている。また、上記電線を複数本束ねてテープ巻して結束して組み立てるワイヤハーネスでは、上記結束用のテープとしてPVCテープが汎用されている。さらに、ワイヤハーネスの電線群の保護を図るため、外装材としてPVCチューブ、PVCシートが広く使用されている。即ち、電線の絶縁被覆材の他、電線結束材、ワイヤハーネス保護材の素材としてPVC樹脂が広範に用いられている。
【0003】
上記広く使用されてきたPVC電線について、近時、環境問題対策の一環として代替品の検討がなされており、例えば、導体に被覆する絶縁被覆材として、PVCに代えて、ノンハロゲンのポリオレフィンに難燃剤として無機の充填剤を多量に添加した絶縁被覆材で芯線を被覆したハロゲンフリー電線が提案されている。
本出願人も、特開2002−208315号において、ハロゲン元素を含まない樹脂または該樹脂にハロゲン元素を含まない難燃剤を配合した樹脂組成物から選ばれたノンハロゲン難燃性樹脂材料からなるシートあるいはフィルムにより導体を被覆したハロゲンフリー電線を提供している。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−208315号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複数の電線を集束してワイヤハーネスを形成する際、図3に示すように、導体1bをハロゲン元素を含まないポリオレフィン系樹脂1aで被覆したハロゲンフリー電線1を、従来の塩化ビニル系絶縁樹脂2aにより導線2bを被覆したPVC電線2と接触させて束ね、PVCチューブ3で外装すると、ハロゲンフリー電線1が劣化しやすい問題がある。この劣化は、ポリオレフィン系樹脂1aに配合された酸化防止剤が、接触したPVC電線およびPVCチューブの塩化ビニル系絶縁樹脂2aに吸収されて移行してしまうため、ハロゲンフリー電線1のポリオレフィン系絶縁樹脂1aの酸化が促進されることに因る。
【0006】
そのため、ポリオレフィン系絶縁樹脂1aの酸化を防止するために、該ポリオレフィン系絶縁樹脂1aの酸化防止材の濃度と同程度の濃度となる酸化防止剤を塩化ビニル系絶縁樹脂2a及びPVCチューブ3に配合して、酸化防止剤の濃度を均一にする方法が考えられるが、この方法であると、塩化ビニル系絶縁樹脂2a及びPVCチューブ3に酸化防止剤を多く配合しなければならず、作業手数がかかると共に、コスト高になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、PVC電線を被覆する塩化ビニル系絶縁樹脂及びPVCチューブに酸化防止剤を配合することなくハロゲンフリー電線を被覆するポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を防止し、ハロゲンフリー電線の劣化を防止することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、酸化防止剤が配合されたポリオレフィン系絶縁樹脂で導線を被覆したハロゲンフリー電線と、塩化ビニル系絶縁樹脂により電線を被覆した塩化ビニル被覆電線とを、塩化ビニル系絶縁樹脂からなるテープあるいはチューブにより外装して結束している電線群の結束構造において、
ポリオレフィン系絶縁樹脂からなるダミー線を設け、該ダミー線を上記ハロゲンフリー電線と塩化ビニル電線と共に上記テープあるいはチューブで外装し、上記ダミー線と上記ハロゲンフリー電線の合計重量が、上記塩化ビニル被覆電線、ハロゲンフリー電線、ダミー線および外装材の重量を合計した全重量に対して20%以上となるように構成していることを特徴とする電線群の結束構造を提供している。
【0009】
本発明者らによる様々な実験の結果、電線群中に含まれるポリオレフィン系絶縁樹脂の割合を増加させると、ポリオレフィン系絶縁樹脂が酸化しにくくなることを究明した。その結果に基づき、ポリオレフィン系絶縁樹脂からなるダミー線を集束するハロゲンフリー電線およびPVC電線の中に挿入し、ポリオレフィン系絶縁樹脂の割合を増加させている。
このポリオレフィン系絶縁樹脂の割合、即ち、ハロゲンフリー電線とダミー線の合計重量を、塩化ビニル被覆電線、ハロゲンフリー電線、ダミー線および外装材の合計重量である全重量に対して20%以上に設定しているのは、本発明者の実験結果の繰り返しにより知見したもので、上記20%以上とすると、塩化ビニル被覆電線及び外装材に酸化防止剤を配合することなく、ポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を防止でき、ハロゲンフリー電線の劣化を防止することができる。
【0010】
このように、ポリオレフィン系絶縁樹脂からなるダミー線を設け、該ダミー線をハロゲンフリー電線とPVC電線と共にPVCテープで結束し、あるいはPVCチューブで外装すると、PVC電線の塩化ビニル被覆電線及びPVCテープ、PVCチューブに酸化防止剤を配合する必要がないため、作業工数の削減及びコストの低減を図ることができる。
なお、PVC電線、PVCテープ、PVCチューブの塩化ビニル樹脂に酸化防止剤を配合してもよいが、その場合にも、ポリオレフィン系絶縁樹脂に配合する酸化防止剤と同程度の濃度となる程に多く配合する必要はない。
【0011】
また、上記ダミー線とハロゲンフリー電線の合計重量を塩化ビニル被覆電線、ハロゲンフリー電線、ダミー線および外装材の重量を合計した全重量に対して20%以上としているが、より好ましくは、25%以上30%以下である。
20%より小さいと、ポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を防止することができず、30%より大きいと、ワイヤハーネスの径が太くなると共に、コスト高となるためである。
【0012】
ハロゲンフリー電線の電線被覆材に使用されるベースポリマーとしては、ポリオレフィン系のプロピレンポリマー(ホモポリマー及びプロピレンランダム又はブロックコポリマー)、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等)、ポリブテンポリマー、エチレン共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等)、ポリオレフィン系エラストマー(ポリプロピレン−エチレン/プロピレン共重合体等)又はこれら共重合体中の不飽和二重結合を水素添加により飽和した共重合体等が好適なものとして挙げられる。これらポリマーは、単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。これに難燃剤として水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水和物等のハロゲンを全く含まない難燃剤を添加している。
【0013】
上記ハロゲンフリー電線とPVC電線の導体としては、焼きなましをした軟銅線のほか、錫めっき軟銅線が好適なものとして挙げられるが、タングステン線等でもよく、これらに限定されるものではない。
【0014】
上記ハロゲンフリー電線とPVC電線との間に上記ダミー線を介在させて、ハロゲンフリー電線とPVC電線との接触面積を減少している。
上記構成とすると、ハロゲンフリー電線とPVC電線との接触面積を減少しているので、ハロゲンフリー電線からPVC電線への酸化防止剤の移行を減少することができ、ポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を効率よく防止して、ハロゲンフリー電線の劣化を防止することができる。
【0015】
上記ダミー線を複数本とし、分散配置することが好ましい。
上記構成とすると、ハロゲンフリー電線とPVC電線との接触面積をより減少できるので、ハロゲンフリー電線からPVC電線への酸化防止剤の移行をより減少でき、ポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を防止して、ハロゲンフリー電線の劣化を防止することができる。
【0016】
上記ダミー線はポリプロピレンより成形して、例えば丸棒状として、接触するハロゲンフリー電線およびPVC電線に損傷を与えないようにしている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の電線群10を示す。
電線群10は、酸化防止剤が配合されたポリプロピレンからなる絶縁被覆11aで導線11bを被覆したハロゲンフリー電線11と、塩化ビニル樹脂からなる絶縁被覆12aにより導線12bを被覆した2本のPVC電線12とを、ポリプロピレンからなるダミー線14とを集束して、PVCテープ13で結束している。
【0018】
上記電線群10では、ダミー線14とハロゲンフリー電線11の合計重量は、PVC電線12、ハロゲンフリー電線11、ダミー線14およびPVCテープ13の重量を合計した全重量に対して25%である。
即ち、ダミー線14を加えることにより、上記25%となるように設定している。
【0019】
上記ダミー線14は丸棒状としており、ハロゲンフリー電線11とPVC電線12との間に介在させ、ハロゲンフリー電線11とPVC電線12とを直接接触させないようにしている。
【0020】
上記構成とすると、ダミー線14とハロゲンフリー電線11の合計重量が、PVC電線12、ハロゲンフリー電線11、ダミー線14およびPVCテープ13の重量を合計した全重量に対して20%以上であるため、PVC電線12及びPVCテープ13の塩化ビニル樹脂に、ハロゲンフリー電線の絶縁被覆材のポリプロピレンに配合あれた酸化防止剤が吸収されず、ポリプロピレンの酸化を防止することができる。よって、ハロゲンフリー電線11の劣化を防止することができる。
さらに、ハロゲンフリー電線11とPVC電線12とを直接接触させていないため、確実にハロゲンフリー電線11の酸化防止材が塩化ビニル樹脂に吸収されるのを防止できる。
また、PVC電線12及びPVCテープ13に酸化防止剤を配合する必要がないため、作業工数の削減及びコストの低減を図ることができる。
【0021】
図2は、本発明の第2実施形態の電線群10’を示し、上記第1実施形態と同様のハロゲンフリー電線11、PVC電線12と共に、ポリプロピレンからなる複数の小径のダミー線14’をPVCチューブ13’内に通している。
ダミー線14’とハロゲンフリー電線11の合計重量は、PVC電線12、ハロゲンフリー電線11、ダミー線14’およびPVCチューブ13’の重量を合計した全重量に対して25%としている。
【0022】
本実施形態の小径のダミー線14’は、ハロゲンフリー電線11とPVC電線12との間及びハロゲンフリー電線11とPVCチューブ13’との間に分散配置させて、ハロゲンフリー電線11がPVC電線12及びPVCチューブ13’とが直接接触しないようにしている。
【0023】
上記構成とすると、ハロゲンフリー電線11がPVC電線12と接触せず、かつ、PVCチューブ13’とも直接接触しないので、確実にハロゲンフリー電線11を被覆しているポリプロピレンの酸化を防止することができ、ハロゲンフリー電線11の劣化を防止することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、ハロゲンフリー電線と塩化ビニル被覆電線と共にポリオレフィン系絶縁樹脂からなるダミー線を塩化ビニル系絶縁樹脂からなるテープあるいはチューブにより外装することで、全重量に対するポリオレフィン系樹脂の割合を増加させ、ダミー線とハロゲンフリー電線の合計重量が、塩化ビニル被覆電線、ハロゲンフリー電線、ダミー線および外装材の重量を合計した全重量に対して20%以上になるようにしているので、塩化ビニル被覆電線及び外装材に酸化防止剤を配合することなくポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を防止することができ、ハロゲンフリー電線の劣化を防止することができる。
また、塩化ビニル被覆電線及び外装材に酸化防止剤を配合する必要がないため、作業工数の削減及びコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の電線群を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態の電線群を示す断面図である。
【図3】従来の問題点を示す図面である。
【符号の説明】
10 電線群
11 ハロゲンフリー電線
12 PVC電線
13 PVCテープ
13’PVCチューブ
14 ダミー線
【発明が属する技術分野】
本発明は、電線群の結束構造に関し、詳しくは、環境対策の点から用いられるハロゲンフリー電線のテープ巻き結束時における酸化防止を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等に配索されるワイヤハーネスに使用する電線は、一般に、複数の銅線からなる素線を束ねてポリ塩化ビニル(PVC)樹脂を被覆したPVC電線が使用されている。銅線としては、焼きなました軟銅線のほか、錫めっき軟銅線が用いられている。また、上記電線を複数本束ねてテープ巻して結束して組み立てるワイヤハーネスでは、上記結束用のテープとしてPVCテープが汎用されている。さらに、ワイヤハーネスの電線群の保護を図るため、外装材としてPVCチューブ、PVCシートが広く使用されている。即ち、電線の絶縁被覆材の他、電線結束材、ワイヤハーネス保護材の素材としてPVC樹脂が広範に用いられている。
【0003】
上記広く使用されてきたPVC電線について、近時、環境問題対策の一環として代替品の検討がなされており、例えば、導体に被覆する絶縁被覆材として、PVCに代えて、ノンハロゲンのポリオレフィンに難燃剤として無機の充填剤を多量に添加した絶縁被覆材で芯線を被覆したハロゲンフリー電線が提案されている。
本出願人も、特開2002−208315号において、ハロゲン元素を含まない樹脂または該樹脂にハロゲン元素を含まない難燃剤を配合した樹脂組成物から選ばれたノンハロゲン難燃性樹脂材料からなるシートあるいはフィルムにより導体を被覆したハロゲンフリー電線を提供している。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−208315号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複数の電線を集束してワイヤハーネスを形成する際、図3に示すように、導体1bをハロゲン元素を含まないポリオレフィン系樹脂1aで被覆したハロゲンフリー電線1を、従来の塩化ビニル系絶縁樹脂2aにより導線2bを被覆したPVC電線2と接触させて束ね、PVCチューブ3で外装すると、ハロゲンフリー電線1が劣化しやすい問題がある。この劣化は、ポリオレフィン系樹脂1aに配合された酸化防止剤が、接触したPVC電線およびPVCチューブの塩化ビニル系絶縁樹脂2aに吸収されて移行してしまうため、ハロゲンフリー電線1のポリオレフィン系絶縁樹脂1aの酸化が促進されることに因る。
【0006】
そのため、ポリオレフィン系絶縁樹脂1aの酸化を防止するために、該ポリオレフィン系絶縁樹脂1aの酸化防止材の濃度と同程度の濃度となる酸化防止剤を塩化ビニル系絶縁樹脂2a及びPVCチューブ3に配合して、酸化防止剤の濃度を均一にする方法が考えられるが、この方法であると、塩化ビニル系絶縁樹脂2a及びPVCチューブ3に酸化防止剤を多く配合しなければならず、作業手数がかかると共に、コスト高になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、PVC電線を被覆する塩化ビニル系絶縁樹脂及びPVCチューブに酸化防止剤を配合することなくハロゲンフリー電線を被覆するポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を防止し、ハロゲンフリー電線の劣化を防止することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、酸化防止剤が配合されたポリオレフィン系絶縁樹脂で導線を被覆したハロゲンフリー電線と、塩化ビニル系絶縁樹脂により電線を被覆した塩化ビニル被覆電線とを、塩化ビニル系絶縁樹脂からなるテープあるいはチューブにより外装して結束している電線群の結束構造において、
ポリオレフィン系絶縁樹脂からなるダミー線を設け、該ダミー線を上記ハロゲンフリー電線と塩化ビニル電線と共に上記テープあるいはチューブで外装し、上記ダミー線と上記ハロゲンフリー電線の合計重量が、上記塩化ビニル被覆電線、ハロゲンフリー電線、ダミー線および外装材の重量を合計した全重量に対して20%以上となるように構成していることを特徴とする電線群の結束構造を提供している。
【0009】
本発明者らによる様々な実験の結果、電線群中に含まれるポリオレフィン系絶縁樹脂の割合を増加させると、ポリオレフィン系絶縁樹脂が酸化しにくくなることを究明した。その結果に基づき、ポリオレフィン系絶縁樹脂からなるダミー線を集束するハロゲンフリー電線およびPVC電線の中に挿入し、ポリオレフィン系絶縁樹脂の割合を増加させている。
このポリオレフィン系絶縁樹脂の割合、即ち、ハロゲンフリー電線とダミー線の合計重量を、塩化ビニル被覆電線、ハロゲンフリー電線、ダミー線および外装材の合計重量である全重量に対して20%以上に設定しているのは、本発明者の実験結果の繰り返しにより知見したもので、上記20%以上とすると、塩化ビニル被覆電線及び外装材に酸化防止剤を配合することなく、ポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を防止でき、ハロゲンフリー電線の劣化を防止することができる。
【0010】
このように、ポリオレフィン系絶縁樹脂からなるダミー線を設け、該ダミー線をハロゲンフリー電線とPVC電線と共にPVCテープで結束し、あるいはPVCチューブで外装すると、PVC電線の塩化ビニル被覆電線及びPVCテープ、PVCチューブに酸化防止剤を配合する必要がないため、作業工数の削減及びコストの低減を図ることができる。
なお、PVC電線、PVCテープ、PVCチューブの塩化ビニル樹脂に酸化防止剤を配合してもよいが、その場合にも、ポリオレフィン系絶縁樹脂に配合する酸化防止剤と同程度の濃度となる程に多く配合する必要はない。
【0011】
また、上記ダミー線とハロゲンフリー電線の合計重量を塩化ビニル被覆電線、ハロゲンフリー電線、ダミー線および外装材の重量を合計した全重量に対して20%以上としているが、より好ましくは、25%以上30%以下である。
20%より小さいと、ポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を防止することができず、30%より大きいと、ワイヤハーネスの径が太くなると共に、コスト高となるためである。
【0012】
ハロゲンフリー電線の電線被覆材に使用されるベースポリマーとしては、ポリオレフィン系のプロピレンポリマー(ホモポリマー及びプロピレンランダム又はブロックコポリマー)、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等)、ポリブテンポリマー、エチレン共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等)、ポリオレフィン系エラストマー(ポリプロピレン−エチレン/プロピレン共重合体等)又はこれら共重合体中の不飽和二重結合を水素添加により飽和した共重合体等が好適なものとして挙げられる。これらポリマーは、単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。これに難燃剤として水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水和物等のハロゲンを全く含まない難燃剤を添加している。
【0013】
上記ハロゲンフリー電線とPVC電線の導体としては、焼きなましをした軟銅線のほか、錫めっき軟銅線が好適なものとして挙げられるが、タングステン線等でもよく、これらに限定されるものではない。
【0014】
上記ハロゲンフリー電線とPVC電線との間に上記ダミー線を介在させて、ハロゲンフリー電線とPVC電線との接触面積を減少している。
上記構成とすると、ハロゲンフリー電線とPVC電線との接触面積を減少しているので、ハロゲンフリー電線からPVC電線への酸化防止剤の移行を減少することができ、ポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を効率よく防止して、ハロゲンフリー電線の劣化を防止することができる。
【0015】
上記ダミー線を複数本とし、分散配置することが好ましい。
上記構成とすると、ハロゲンフリー電線とPVC電線との接触面積をより減少できるので、ハロゲンフリー電線からPVC電線への酸化防止剤の移行をより減少でき、ポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を防止して、ハロゲンフリー電線の劣化を防止することができる。
【0016】
上記ダミー線はポリプロピレンより成形して、例えば丸棒状として、接触するハロゲンフリー電線およびPVC電線に損傷を与えないようにしている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の電線群10を示す。
電線群10は、酸化防止剤が配合されたポリプロピレンからなる絶縁被覆11aで導線11bを被覆したハロゲンフリー電線11と、塩化ビニル樹脂からなる絶縁被覆12aにより導線12bを被覆した2本のPVC電線12とを、ポリプロピレンからなるダミー線14とを集束して、PVCテープ13で結束している。
【0018】
上記電線群10では、ダミー線14とハロゲンフリー電線11の合計重量は、PVC電線12、ハロゲンフリー電線11、ダミー線14およびPVCテープ13の重量を合計した全重量に対して25%である。
即ち、ダミー線14を加えることにより、上記25%となるように設定している。
【0019】
上記ダミー線14は丸棒状としており、ハロゲンフリー電線11とPVC電線12との間に介在させ、ハロゲンフリー電線11とPVC電線12とを直接接触させないようにしている。
【0020】
上記構成とすると、ダミー線14とハロゲンフリー電線11の合計重量が、PVC電線12、ハロゲンフリー電線11、ダミー線14およびPVCテープ13の重量を合計した全重量に対して20%以上であるため、PVC電線12及びPVCテープ13の塩化ビニル樹脂に、ハロゲンフリー電線の絶縁被覆材のポリプロピレンに配合あれた酸化防止剤が吸収されず、ポリプロピレンの酸化を防止することができる。よって、ハロゲンフリー電線11の劣化を防止することができる。
さらに、ハロゲンフリー電線11とPVC電線12とを直接接触させていないため、確実にハロゲンフリー電線11の酸化防止材が塩化ビニル樹脂に吸収されるのを防止できる。
また、PVC電線12及びPVCテープ13に酸化防止剤を配合する必要がないため、作業工数の削減及びコストの低減を図ることができる。
【0021】
図2は、本発明の第2実施形態の電線群10’を示し、上記第1実施形態と同様のハロゲンフリー電線11、PVC電線12と共に、ポリプロピレンからなる複数の小径のダミー線14’をPVCチューブ13’内に通している。
ダミー線14’とハロゲンフリー電線11の合計重量は、PVC電線12、ハロゲンフリー電線11、ダミー線14’およびPVCチューブ13’の重量を合計した全重量に対して25%としている。
【0022】
本実施形態の小径のダミー線14’は、ハロゲンフリー電線11とPVC電線12との間及びハロゲンフリー電線11とPVCチューブ13’との間に分散配置させて、ハロゲンフリー電線11がPVC電線12及びPVCチューブ13’とが直接接触しないようにしている。
【0023】
上記構成とすると、ハロゲンフリー電線11がPVC電線12と接触せず、かつ、PVCチューブ13’とも直接接触しないので、確実にハロゲンフリー電線11を被覆しているポリプロピレンの酸化を防止することができ、ハロゲンフリー電線11の劣化を防止することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、ハロゲンフリー電線と塩化ビニル被覆電線と共にポリオレフィン系絶縁樹脂からなるダミー線を塩化ビニル系絶縁樹脂からなるテープあるいはチューブにより外装することで、全重量に対するポリオレフィン系樹脂の割合を増加させ、ダミー線とハロゲンフリー電線の合計重量が、塩化ビニル被覆電線、ハロゲンフリー電線、ダミー線および外装材の重量を合計した全重量に対して20%以上になるようにしているので、塩化ビニル被覆電線及び外装材に酸化防止剤を配合することなくポリオレフィン系絶縁樹脂の酸化を防止することができ、ハロゲンフリー電線の劣化を防止することができる。
また、塩化ビニル被覆電線及び外装材に酸化防止剤を配合する必要がないため、作業工数の削減及びコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の電線群を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態の電線群を示す断面図である。
【図3】従来の問題点を示す図面である。
【符号の説明】
10 電線群
11 ハロゲンフリー電線
12 PVC電線
13 PVCテープ
13’PVCチューブ
14 ダミー線
Claims (4)
- 酸化防止剤が配合されたポリオレフィン系絶縁樹脂で導線を被覆したハロゲンフリー電線と、塩化ビニル系絶縁樹脂により電線を被覆した塩化ビニル被覆電線とを、塩化ビニル系絶縁樹脂からなるテープあるいはチューブにより外装して結束している電線群の結束構造において、
ポリオレフィン系絶縁樹脂からなるダミー線を設け、該ダミー線を上記ハロゲンフリー電線と塩化ビニル電線と共に上記テープあるいはチューブで外装し、
上記ダミー線と上記ハロゲンフリー電線の合計重量が、上記塩化ビニル被覆電線、ハロゲンフリー電線、ダミー線および外装材の重量を合計した全重量に対して20%以上となるように構成していることを特徴とする電線群の結束構造。 - 上記ハロゲンフリー電線と塩化ビニル電線との間に上記ダミー線を介在させて、ハロゲンフリー電線と塩化ビニル電線との接触面積を減少している請求項1に記載の電線群の結束構造。
- 上記ダミー線は複数本からなり、分散配置している請求項1または請求項2に記載の電線群の結束構造。
- 上記ダミー線はポリプロピレンより成形した丸棒状である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電線群の結束構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002291965A JP2004127791A (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | 電線群の結束構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002291965A JP2004127791A (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | 電線群の結束構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004127791A true JP2004127791A (ja) | 2004-04-22 |
Family
ID=32283371
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002291965A Abandoned JP2004127791A (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | 電線群の結束構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004127791A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006057120A1 (ja) * | 2004-11-26 | 2006-06-01 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | ノンハロゲン電線、電線束及び自動車用ワイヤーハーネス |
JP2013218844A (ja) * | 2012-04-06 | 2013-10-24 | Sumitomo Wiring Syst Ltd | 同軸ケーブルの保護構造 |
-
2002
- 2002-10-04 JP JP2002291965A patent/JP2004127791A/ja not_active Abandoned
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006057120A1 (ja) * | 2004-11-26 | 2006-06-01 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | ノンハロゲン電線、電線束及び自動車用ワイヤーハーネス |
EP1816655A1 (en) * | 2004-11-26 | 2007-08-08 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Nonhalogen electric wire, electric wire bundle, and automobile wire harness |
EP1816655A4 (en) * | 2004-11-26 | 2010-12-15 | Sumitomo Electric Industries | NON-HALOGEN ELECTRIC WIRE, ELECTRIC WIRE HARNESS AND CABLES HARNESS FOR AUTOMOBILE |
US8063308B2 (en) | 2004-11-26 | 2011-11-22 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Halogen free electric wire, wire bundle, and automotive wiring harness |
JP2013218844A (ja) * | 2012-04-06 | 2013-10-24 | Sumitomo Wiring Syst Ltd | 同軸ケーブルの保護構造 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4974041B2 (ja) | ノンハロゲン電線、電線束及び自動車用ワイヤーハーネス | |
JP6657643B2 (ja) | ノンハロゲン難燃性樹脂組成物、絶縁電線及びケーブル | |
CN1894330B (zh) | 交联型阻燃树脂组合物及使用该组合物的绝缘电线和线束 | |
EP1312657A2 (en) | Wire harness material and wire harness comprising same | |
GB1583957A (en) | Electric cables | |
KR20010060344A (ko) | 전기 케이블 | |
JP3944634B2 (ja) | 難燃性樹脂組成物及びこれを用いたノンハロゲン絶縁電線並びにワイヤーハーネス | |
JP3888431B2 (ja) | ワイヤハーネス保護材及びこれを用いたワイヤハーネス | |
JP2000348542A (ja) | 防鼠性電線ケーブル | |
JP5260868B2 (ja) | 絶縁樹脂組成物および絶縁電線 | |
JP2004127791A (ja) | 電線群の結束構造 | |
JP3827560B2 (ja) | ワイヤハーネス保護材及びこれを用いたワイヤハーネス | |
JP2010157413A (ja) | ノンハロゲン難燃電線・ケーブル | |
JP2004127836A (ja) | ハロゲンフリー電線および該電線の結束構造 | |
JP2007329013A (ja) | 難燃性絶縁電線及びワイヤーハーネス | |
JP2005268036A (ja) | ノンハロゲン難燃電線・ケーブル | |
US11205525B2 (en) | Insulated wire | |
JP5287146B2 (ja) | 絶縁電線 | |
CN1224058C (zh) | 具有抵抗啮齿动物和/或白蚁的保护护套的阻燃电缆 | |
GB1583956A (en) | Electric cables | |
JP5848871B2 (ja) | 耐熱ノンハロゲンアルミニウム電線 | |
JP2003217356A (ja) | ワイヤハーネス保護材及びこれを用いたワイヤハーネス | |
JP2003197036A (ja) | ワイヤハーネス保護材及びそれを用いたワイヤハーネス | |
JP2001143540A (ja) | 難燃性電線・ケーブル | |
JP4076207B2 (ja) | ワイヤハーネス保護材及びそれを用いたワイヤハーネス |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041222 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061020 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061031 |
|
A762 | Written abandonment of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762 Effective date: 20061207 |