JP2004127271A - 自動裁定機能または名義切換機能を含む電子取引システム - Google Patents

Abstract

【課題】市場内での信用の差によって起こる価格の矛盾により生じる裁定の機会を自動的に識別する電子取引システムを提供する。
【解決手段】電子取引システムは、信用パラメータ・データと裁定パラメータ・データと取引データとを取引実体から受信し、取引情報を表示する複数の業者端末と、これら業者端末に通信ネットワークを介して接続されたコンピュータを含む。取引データは、取引実体から入力される付け値および／または言い値情報を含み、コンピュータは、複数の業者端末から信用パラメータ・データおよび取引データを受信し記憶する。システムは、信用パラメータ・データと裁定パラメータ・データと取引データとに基づいて複数の取引を含む可能な裁定トランザクションを自動的に検出する回路またはプログラムと、すべての複数の取引を実行することによって可能な裁定トランザクションを自動的に実行する回路またはプログラムを含む。
【選択図】なし

Description

　本特許文書の開示の一部は、著作権保護が適用される内容を含む。本特許の開示は特許庁のファイルまたは記録に残されているので、著作権所有者は、本開示をファクシミリ複製することには異議を唱えないが、その他の点では、すべての著作権を留保する。

　本発明は、市場内での信用に関する差によって生じる裁定の機会を自動的に識別し、任意選択で、適切な取引を自動的に実行し、それによって、取引実体がリスクの低い営業利益を市場から得られるようにする電子取引システムに関する。

　本発明はさらに、市場での信用度の低い取引実体が自動的にかつ即時的に、市場での信用度の高い取引実体の信用限度を使用して取引できるようにし、それによって、市場の流動性を高める電子取引システムに関する。

　信用リスクおよび決済リスクを取引当事者が負う市場用の電子取引システムでは、システム上の他の取引実体とのトランザクションによって生じる取引実体の露出を制限するために使用される信用限度を、取引当事者自体が取引システムに入力する。たとえば、取引実体は、特定の取引当事者に関して低い信用限度または零信用限度を入力することによって、取引実体自体と可能な当事者とのすべての可能な取引の大部分またはすべてを妨げる。したがって、取引実体は、当事者の信用限度を調整することによって、個別の当事者とのトランザクションおよびすべての当事者に対する全体的な露出に基づいて総露出または正味露出（残存リスク）を制限することができる。

　米国特許第５１３６５０１号や米国特許第５３７５０５５号に記載されたような、取引実体が信用限度を入力できるようにする一致システムでは、取引実体から入力された信用パラメータによって、第１の取引実体、すなわち取引実体Ｓ１が、第２の取引実体、すなわち取引実体Ｓ２から入力された付け値に一致する言い値を入力したが、取引実体Ｓ１が取引実体Ｓ２に対して十分な信用を提示しないか、および／または取引実体Ｓ２が取引実体Ｓ１に対して十分な信用を提示しないかためにシステムが取引を実行しない状況が発生する。言い換えれば、取引実体Ｓ１と取引実体Ｓ２との間の双務的信用度は不十分である。なお、取引実体は、個別の銀行および商社、または銀行および商社のグループ、またはその両方である。

　同様に、取引実体Ｓ２は、取引実体Ｓ１から入力された言い値よりも高い価格の付け値を入力することができる。この場合も、双務的信用度が不十分であるためにＳ１とＳ２が互いに取引することはできない。この場合、取引実体Ｓ１と取引実体Ｓ２の両方に対して十分な双務的信用度を有する第３の当事者、すなわち取引実体Ｓ３が、Ｓ１から低価格で購入し、それよりも高い価格でＳ２に売却し、それによって、市場での信用の差によるリスクの低い中間利益を得ることができるという点で、「裁定」の機会が存在する。

　既知の電子取引システムは、市場での信用の差によって生じる裁定の機会を自動的に識別し、任意選択で、適切なトランザクションを自動的に実行し、それによって、取引実体Ｓ３が最適の機会を効率的かつ効果的に利用できるようにし、新しい付け値や言い値を追加せずに市場の流動性を高める手段を備えていない。米国特許第５３７５００５号に記載されたシステムは、最高の言い値および付け値を業者に表示し、それによって、表示された２つの当事者間に差があるときに裁定の機会が存在することを示すが、最適の機会を自動的に識別および／または利用する手段は備えていない。さらに、実行される裁定トランザクションの一方の側のみのリスクを取引実体Ｓ３が負うことのないように、裁定トランザクションを首尾良く完了するのに必要なすべての取引を、それらの取引のうちのどれかを行う前に実行しておく手段を、既知の取引システムは備えていない。

　取引実体が信用リスクおよび／または決済リスクを負う市場に適合する既知の電子取引システムの関連する欠点は、このようなシステムが、信用度の低い取引実体、すなわち取引実体Ｓ４が、信用度の高い取引実体の信用限度を使用して他の取引実体と取引を行うための手段を備えていないことである。たとえば、取引実体Ｓ４が、取引実体Ｓ２の言い値に適合する付け値を入力したが、取引実体Ｓ２が取引実体Ｓ４に対して十分な信用を提示していない場合、既知の取引システムではトランザクションを行うことはできない。しかし、取引実体Ｓ４が他の取引実体（たとえば、Ｓ１またはＳ３）の信用限度を使用し、取引実体Ｓ４と取引実体Ｓ１またはＳ３との間の合意を通してトランザクションを完了する（取引実体Ｓ１またはＳ３は取引実体Ｓ２およびＳ４に対して十分な信用を有すると仮定する）ことができる場合、この場合も市場の流動性は向上する。この「名義切換」手順は即時的なものであってよく（自由裁量オプションは与えられない）、または電子取引システムにおけるユーザの部分の自由裁量を許容するように実施することもできる。

　ある当事者が他の当事者の信用限度の下で取引を行う名義切換は現在、ブローカーを使用することによって行うことができる。しかし、現在の所、名義切換手順を自動的に即時的に効果的に実行することのできる電子取引システムはない。

　上記の議論に鑑みて、本発明の目的は、市場内での信用の差によって起こる価格の矛盾によって生じる裁定の機会を自動的に識別する電子取引システムを提供することである。

　本発明の他の目的は、取引実体に対するリスクなしに裁定トランザクションを完了するのに取引を自動的かつ効果的に実行するか、または取引実体に、裁定取引を開始するオプションを自動的に与える電子取引システムを提供することである。

　本発明の他の目的は、自動的で即時的な名義切換動作を実行し、それによって、信用度の低い取引実体が、信用度の高い取引実体の信用限度を使用して、普通なら双務的信用度がないために信用度の低い取引実体では実行できない必要なトランザクションを実行できるようにする電子取引システムを提供することである。

　自動裁定機能および名義切換機能は、それぞれの異なる目的を有し、市場内のそれぞれの異なるニーズに対処する。自動裁定機能は、取引実体が顕著なリスクを負うことなしに裁定の機会を自動的かつ効果的に利用できるようにする手段のニーズに対処する。名義切換機能は、取引実体の間の商業的関係の機能であり、これによって、ある実体は他の実体の信用限度を使用して取引を行い、他の取引実体の信用限度を使用したことを補償する。しかし、この２つの機能は共に、電子取引システム内に設けられた同様な機能を通して実施される。

　本発明による自動裁定機能を有する電子取引システムは、信用パラメータ・データと、裁定パラメータ・データと、取引データを取引実体から受信し、この取引実体に対して取引情報を表示する複数の業者端末を含む。取引データは、取引実体から入力される付け値情報および／または言い値情報を含む。システムはさらに、通信ネットワークを介して複数の業者端末に接続されたコンピュータを含み、このコンピュータは、複数の業者端末から信用パラメータ・データおよび取引データを受信し記憶する。システムは、信用パラメータ・データと、裁定パラメータ・データと、取引データに基づいて複数の取引を含む可能な裁定トランザクションを自動的に検出する検出器回路またはプログラムと、すべての複数の取引を実行する（またはまったく実行しない）ことによって可能な裁定トランザクションを自動的に実行する回路またはプログラムも含む。

　本発明による名義切換機能を有する電子取引システムは、信用パラメータ・データと、名義切換パラメータ・データと、取引データを取引実体から受信し、この取引実体に対して取引情報を表示する複数の業者端末を含む。取引データは、取引実体から入力される付け値情報および／または言い値情報を含む。システムは、通信ネットワークを介して複数の業者端末に接続されたコンピュータも含み、このコンピュータは、複数の業者端末から信用パラメータ・データと、名義切換パラメータ・データと、取引データを受信し記憶する。回路またはプログラムが、信用パラメータ・データと、名義切換パラメータ・データと、取引データに基づいて可能な名義切換トランザクションを自動的に検出し、可能な名義切換トランザクションを自動的に実行する。

　本発明による電子取引システムは、当事者間の信用の差によって市場に存在する裁定の機会を利用するように構成される。この種の裁定は、トランザクションを完了し決済する手法など、市場の機能内の摩擦によって価格差が生じる従来型の裁定とは区別することができる。この種の裁定は、市場がより効率的になるにつれてなくすことができる。しかし、すべての当事者が他のすべての取引実体に同じ量の信用を提示することを望むとは限らないので、本発明によって対処される信用の差に基づく裁定の機会は常に存在する。
　本発明によるシステムが対象とする市場内裁定は、市場間裁定、たとえば先物市場の「スプレッド」取引とは区別することができる。たとえば、当事者がある契約月を同じ商品の別の契約月について取引する（「カレンダー・スプレッド）か、またはある商品を別の商品について取引するスプレッド取引に適応するシステムが、当技術分野において知られている。たとえば、英国のロンドンのロイターズ・リミテッド社（Ｒｅｕｔｅｒｓ　Ｌｉｍｉｔｅｄ）によって開発されたＧＬＯＢＥＸ取引システムはこの種の市場間取引に適応する。

　本発明を特徴付ける様々な他の新規の利点および特徴は、以下の請求の範囲で詳しく指摘されている。しかし、本発明およびその利点をよりよく理解していただくには、本発明の好ましい態様を図示し説明する添付の図面および説明を参照すべきである。

詳細な説明
　図１を参照するとわかるように、本発明による電子取引システムは、コンピュータ１０１と４つの業者端末Ｓ１、Ｓ２、Ｓ３、Ｓ４とを含む。業者端末Ｓ１、Ｓ２、Ｓ３、Ｓ４は２方向通信ネットワーク１０２を通してコンピュータ１０１に接続され、このネットワークは、コンピュータ１０１と４つの業者端末Ｓ１〜Ｓ４との間の情報の転送を可能にする。本発明による電子取引システムは、多数の取引端末と、場合によっては通信ネットワーク内で業者端末Ｓ１〜Ｓ４とコンピュータ１０１との間に配置された中間ノードとを含むように構成される。したがって、本発明による電子取引システムは、図１に示した構成には限らない。

　この説明では、「取引実体」、「取引当事者」、「当事者」の語は信用実体を指す。たとえば、ある取引実体または取引当事者（信用実体）は実際には、いくつかの異なる支店を備え、たとえば、単一の信号が、いくつかの異なる市および／または国に配置された多数の支店を有することがある。しかし、システムに入力される信用限界はグループ信用限界（一群の財務機関に提示される総信用限度）でもよい。信用実体はまた、財務機関の各支店に対する個別の信用限界を提示し、個別の限界がすべて満たされているわけではなく、またはすべての個別の限界を超えているわけではなくても、財務機関に提示することのできる総信用量を制限するグローバル限界を提示することができる。本発明による電子取引システムの信用マトリックスは、必要な信用構造に適応するように修正することができる。通信ネットワークはハード配線システムでも、または無線システムでもよい。

　４つの業者端末Ｓ１、Ｓ２、Ｓ３、Ｓ４用の簡単な信用マトリックスを図２に示す。信用マトリックス内のエントリは、取引が開始する前に、または取引中に各取引実体から入力される。各取引実体は各取引実体についてのそれぞれの信用限界のみを入力し、他の取引実体から他のマトリックス行に入力される信用限界にアクセスすることはできない。

　たとえば、図２を参照するとわかるように、Ｓ１はＳ３およびＳ４と取引を行うための信用を有するが、Ｓ２に対する信用は有さない。Ｓ２はＳ３およびＳ４と取引することもできるが、Ｓ１と取引することは望んでいない（すなわち、Ｓ１に対する信用を提示していない）。取引実体Ｓ３およびＳ４はすべての当事者と取引することができる。本発明によるシステムで使用される信用マトリックスは、残りの信用の金額と、ある当事者が他の当事者と取引することを望んでいる程度を示すアルファベット・ランキングなどのランキング情報、ｙｅｓ／ｎｏ値、または他の種類の適切なフィルタ情報を格納することができる。

　図３は、最高付け値と最低言い値とを含め、システム内に存在するすべての付け値および言い値の「帳簿」の図である。この帳簿は、コンピュータ１０１によって記憶され、任意選択でリモート端末Ｓ１〜Ｓ４によって記憶される。図３に示したように、Ｓ１は単価１．００で３００万ドル購入する付け値を入力している。Ｓ３は単価０．９０で７００万ドル購入する付け値を入力している。Ｓ２は単価１．００で５００万ドル売却する言い値を入力している。Ｓ４は単価１．１０で７００万ドル売却する言い値を入力している。

　図４〜６Ａは、最高付け値と最高言い値とを含め存在する付け値および言い値を表示する前に、潜在的な当事者間の双務的信用度に関して付け値および言い値をフィルタしておく信用フィルタリング機能を含む本発明の実施形態における、それぞれの取引実体Ｓ１、Ｓ２、Ｓ３、Ｓ４の表示画面の概略図である。表示された付け値または言い値の隣のアスタリスク（「＊」）は、付け値または言い値が取引実体自身の付け値または言い値であり、したがって、最高付け値または最高言い値としては使用できないことを示す。本発明の異なる実施形態（図示せず）では、取引実体の表示画面をスクリーニングするときに信用フィルタリング・システムを使用しない場合、各取引実体（Ｓ１およびＳ２）の表示は、図６Ａに示したＳ３およびＳ４の表示と同じになる。

　図６Ｂは、図６Ａの表示画面の実施態様の例を示しており、この場合、いくつかの取引証書が同時に表示される。

　図４を参照するとわかるように、図２に示した信用マトリックスによればＳ１とＳ３との間、およびＳ１とＳ４との間には十分な信用があるので、Ｓ１の付け値および言い値の表示は、Ｓ３の付け値およびＳ４の言い値を示す。本発明の一態様による表示は、Ｓ１自身の付け値も示す。しかし、本発明によるシステムの代替態様では、Ｓ１自身の付け値を表示画面の独立のウィンドウ内に表示することも、またはまったく表示しないこともできる。

　ディスプレイが双務的信用度に関して事前フィルタリングされる図４の態様では、図２の信用マトリックスによればＳ１とＳ２は取引するのに十分な信用を互いに提示してはいないので、Ｓ１の表示はＳ２の言い値を示していない。Ｓ１の表示は、Ｓ１がＳ２に対する信用を提示することを望み、Ｓ２がＳ１に対する信用を提示することを望まない場合にも変わらない。しかし、図２の信用マトリックスでは、Ｓ１もＳ２も他方に対する信用を提示することを選択していない。したがって、記憶されている信用マトリックスに基づいて取引実体に与えられる最高の付け値および／または言い値がそれぞれ、取引実体に対して表示される。

　図５を参照するとわかるように、図２に示した信用マトリックスによればＳ２とＳ３との間、およびＳ２とＳ４との間には十分な信用があるので、Ｓ２の表示にはＳ３の付け値およびＳ４の言い値が含まれる。Ｓ２の表示は、Ｓ２自身の言い値を表示することもできる。代替態様では、Ｓ２の付け値を表示画面の独立のウィンドウ内に表示することも、またはまったく表示しないこともできる。図２の信用マトリックスによれば、Ｓ１とＳ２との間のトランザクションを許容するのに十分な信用がＳ１とＳ２との間にないので、Ｓ２の表示はＳ１の付け値を示していない。この場合も、最高の付け値および／または言い値が表示される。

　図６Ａを参照するとわかるように、Ｓ３およびＳ４はすべての当事者に対して十分な信用を有するので、取引実体Ｓ３およびＳ４の表示画面は市場に存在するすべての付け値および言い値を示す。システムに事前フィルタリング機能が存在しないか、またはＳ１およびＳ２が非フィルタリング表示モードを選択できる場合、この表示画面はＳ１およびＳ２から見ることもできる。上記で図４および５を参照して論じたように、Ｓ３およびＳ４は自分自身の言い値／付け値を見ることができ、これらの言い値／付け値を表示画面の独立のウィンドウ内に表示することも、またはまったく表示しないこともできる。この場合も、最高の付け値および／または言い値が表示される。　

　図６Ａに示した画面は、Ｓ３およびＳ４が、より高い信用位置を有するため、信用位置がより低いためにＳ１およびＳ２には得られないトランザクションにアクセスできることを示す。たとえば、Ｓ３またはＳ４はＳ２から単価１．００で３００万ドル売却し、Ｓ１に１．００で３００万ドル売却することができる。これらのトランザクションは、Ｓ１およびＳ２には得られないものである。その代わり、これらのトランザクションはＳ３またはＳ４（Ｓ１およびＳ２から十分な信用を受けている取引実体）を通さないかぎり実行できない。したがって、市場での信用の差のためにＳ３またはＳ４のトランザクション機会が生じる。

　たとえば、Ｓ３がＳ２から購入しＳ１に売却する、前述のトランザクションでは、言い値と付け値が同じあるため、Ｓ３に対する利益はない。Ｓ３がＳ１とＳ２との間の取引を推進する財務的な誘因はないが、Ｓ３がそうすることを決定した場合、市場内での取引証書の流れに関する情報がＳ３に与えられる。Ｓ３は、Ｓ２が３００万ドル売却し、Ｓ１が２００万ドル購入したことを知る。したがって、たとえば、ある証書を誰が購入し売却しているかに関する情報を取引実体が必要とする、ある種の状況では、Ｓ３が同じ価格で２つの取引を行う非財務的な誘因がある。しかし、より一般的な状況では、Ｓ３が比較的低い価格でＳ２から購入し、比較的高い価格でＳ１に売却し、それによって、中間利益を上げることができる場合、Ｓ３が２つの取引を行う明確な財務上の誘因がある。

　本発明による電子取引システムの動作について図７〜１０を参照して詳しく説明する。

　図７の機能ブロック図に示したように、本発明による電子取引システムの第１の態様は以下のステップを実行する。
　７０１：システム上の取引実体、たとえば図１に示した業者端末Ｓ１〜Ｓ４上の取引実体がそれぞれ、システムの他の取引実体とのトランザクションに関する信用パラメータを入力する。
　７０２：次に、コンピュータ１０１が、信用マトリックス（たとえば、図２に示した信用マトリックス）として取引実体から入力された信用パラメータ（たとえば、数値限界、ランキングなど）を記憶する。
　７０３：取引実体が、それぞれのリモート端末を使用して付け値および言い値をシステムに入力する。
　７０４：コンピュータ１０１が、取引実体からシステムに入力された付け値および言い値を収集する。
　７０５：コンピュータ１０１が、信用パラメータ、付け値、言い値を取引実体から収集した後、付け値および言い値の情報と信用マトリックスを各取引実体の端末または中間ノードへ配送する。コンピュータ１０１の配送機能に関しては、信用マトリックスを、付け値や言い値がシステムに入力される前に業者端末Ｓ１〜Ｓ４または中間ノードに配送しておくことも、または言い値および付け値の情報が配送されるのと同時に配送することもできる。
　７０６：次いで、業者端末または中間ノードが信用マトリックスを使用して、付け値および言い値をフィルタリングし、それにより、双務的信用度に基づいて、それぞれの取引実体がどの付け値および言い値を得られるかを判定する。得られる言い値および付け値は、図４〜６に示したように取引実体Ｓ１〜Ｓ４に対して表示される。
　７０７：本発明によるシステム上で取引活動を開始する前、またはそのような取引活動中に、各取引実体は、最小スプレッド情報、最小サイズ情報などを含む自動裁定パラメータを入力して自動裁定を自動的に実行するか、またはまず裁定の機会をユーザに通知することができる。自動裁定オプションを入力するために使用できる１つの画面を図８に示す（図８を参照して下記の追加の議論を参照されたい）。
　７０８：業者端末が、取引実体の自動裁定パラメータに基づいて、裁定機会を使用することができると判定した場合に、コンピュータ１０１へ「実行」コマンドを自動的に送信するか、または図９に示した通知メッセージなど、取引実体向けの通知メッセージを自動的に生成する。通知が生成され、取引実体が裁定トランザクションを行うことを決定した場合、業者端末は、取引実体の入力に応答して「実行」コマンドをコンピュータ１０１へ送信する。
　７０９：コンピュータ１０１が、業者端末から「実行」コマンドを受信した後、ロッキング手順を自動的に開始し、それによって、裁定トランザクションを完了するのに必要なすべての取引をロックしようとする。トランザクションがロックされると、システムは、ロックされた言い値および付け値のステータスまたは条件に影響を与える入力を受け付けなくなり、これによって、ある取引が他の取引の前に実行され、次いで、この取引をシステムが実行しようとしたときにそれがもはや得られなくなる状況が防止される。たとえば、システムがＳ２とＳ３との間の取引を実行している間にＳ１の付け値が他の取引実体に受け入れられ、またはＳ１によって変更され、または満了したために、取引実体Ｓ３が、３００万ドル証書（たとえば、米国ドル）を同じ価格またはより良い価格では売却できなくなり、苦しい状況に陥る。したがって、中央取引実体（たとえば、上記の例では取引実体Ｓ３）が裁定トランザクション中にリスクにさらされないようにするために本発明による電子取引システムにはロック機能が不可欠である。
　７１０：コンピュータが、裁定トランザクションを完了するのに必要なすべての取引をロックできる場合に取引を自動的に実行する。
　７１１：しかし、コンピュータがすべての必要な取引をロックできるわけではない場合、取引は実行されない。
　７１２：いずれの場合でも、取引実体が、裁定トランザクションが行われたか、または行われていないことを知らされ、完了した裁定トランザクションがあればそれに関する情報を与えられる。たとえば、取引実体Ｓ１には、その付け値が取引実体Ｓ３に受け入れられたことを知らせることができる。同様に、取引実体Ｓ２には、その言い値が取引実体Ｓ３に受け入れられたことのみを知らせることができる。取引実体Ｓ３には、裁定トランザクションが完了したことが知らされる。

　図８は、自動裁定パラメータ入力画面の１つの可能な構成を示す。この画面は、複数の証書Ｘ、Ｙ、Ｚに関する最小スプレッド入力と、証書Ｘ、Ｙ、Ｚに関する最小サイズ指定と、各証書に関する「自動実行」オプションおよび「通知」オプションと、取引実体がすべての自動裁定パラメータを適切に入力したときにそれ示す「ｏｋ」ボタンとを含む。最小スプレッドは、自動裁定の機会が業者端末（または以下で図１０を参照して説明するようにコンピュータ１０１）によって認識される前に必要な価格差を決定する。たとえば、「０」を入力した場合、業者端末は、取引実体が最小数量を同じ価格で購入し売却できるときはいつでも裁定の機会を識別する。「．１０」を入力した場合、業者端末は、取引実体が、購入できる価格よりも０．１０以上高い価格で売却できるときはいつでも裁定の機会を識別する。最小サイズは、裁定の機会が識別される前に必要な数量を決定する。

　「自動実行」オプションおよび「通知」オプションによって、システムが、リモート端末からコンピュータ１０１へのコマンドに応答して裁定トランザクションを自動的に実行するか、それとも取引実体に対して表示される通知メッセージ（図９参照）を生成するかを、取引実体が選択することができ、それによって、裁定トランザクションを進めるかどうかに関する自由裁量が取引実体に与えられる。

　図１０を参照するとわかるように、本発明による電子取引システムの第２の態様の動作は以下のステップを含む。
　１００１：取引実体が、（上記で図７を参照して説明したように）信用パラメータおよび自動裁定パッケージを業者端末に入力する。業者端末は次いで、このパラメータ情報をコンピュータ１０１へ送信する。
　１００２：コンピュータが、信用パラメータ情報および自動裁定パッケージ情報を記憶する。
　１００３：取引実体が付け値および言い値をシステムに入力し、この付け値および言い値がコンピュータ１０１によってアップロードされ記憶される。
　１００４：次いで、コンピュータが言い値および付け値を業者端末へ配送し、そこで言い値および付け値が表示される。この態様には、信用に基づいて取引実体にどの付け値および言い値を表示するかを決定する事前フィルタリング機能はない。しかし、この機能は、本発明による電子取引システムのこの態様の動作を変更せずに追加することができる。
　１００５：コンピュータ１０１が、信用パラメータ情報および自動裁定パラメータ情報に基づいて、裁定の機会を検出した場合に、ロッキング手順を自動的に開始し、それによって、裁定トランザクションを完了するのに必要なすべての取引がロックされ、裁定の機会を利用する取引実体に対するリスクが回避される。
　１００６：コンピュータ１０１が、すべての必要な取引実体をロックできる場合に、取引を実行し、それによって裁定トランザクションを完了する。
　１００７：次いで、コンピュータ１０１が裁定トランザクションの結果を取引実体に知らせる。
　１００８：コンピュータ１０１が裁定トランザクションを完了するのに必要なすべての取引はロックできない場合、取引は実行されない。この場合、取引実体への通知を行うことができるが、取引実体の位置が影響を受けない場合には必要とされない。

　図１０に示した本発明の態様では、コンピュータは取引実体への通知メッセージを生成することもでき、これによって取引実体は、裁定オプションを実行するかどうかを決定することができる。しかし、業者端末自体が通知メッセージを生成する場合には、業者端末に論理が与えられ、業者端末はそれにより、（上記で図７を参照して説明したように）取引実体の信用パラメータおよび自動裁定パッケージに基づいて取引実体が実際にどの取引を得られるかを判定することができる。

　本発明による電子取引システムは、複数の取引および複数の仲介のチェーン、たとえばＳ４がＳ２に売却し、Ｓ２がＳ３に売却し、Ｓ３がＳ１に売却するプロセスを伴う裁定の機会を自動的に識別することができる。この取引シーケンスでは、Ｓ２とＳ３が共に利益を得るか、または一方または両方の当事者が、市場の流れに関する情報にアクセスするか、またはその他の非財務的な目的のために取引を推進することに合意することができる。

　本発明による電子取引システムでは、システムが複数の取引を同時に実行し、裁定トランザクションに寄与する取引実体がリスクを被るのを回避することが重大である。複数のトランザクションは付随トランザクションとして処理しなければならず、あるトランザクションは、他のトランザクションが得られないかぎり実行できない。たとえば、システム内に存在するすべての言い値および付け値を記憶するコンピュータは、あるトランザクションが、他のトランザクションも行われないかぎり実行されないようにするうえで有用である。このため、分散システム（コンピュータのないシステム）で複数のトランザクションのロックを調整することは著しく複雑なので、図１に示したシステムとは異なり取引情報のレポジトリを有さない分散取引システムに、本発明による自動裁定機能を組み込むことは難しい。

　図１１Ａおよび１１Ｂを参照して、裁定機会識別プロセスについて詳しく説明する。このプロセスは、コンピュータ１０１または業者端末Ｓ１〜Ｓ４によって自動的に実行することができ、以下のステップを含む。
　１１０１：コンピュータ１０１または業者端末（たとえば、Ｓ１〜Ｓ４のうちのどれか）が、記憶されている信用パラメータ情報に基づいて、取引実体が得ることのできる最高の付け値を識別する。
　１１０２：同様に、コンピュータ１０１または業者端末が、記憶されている信用パッケージ情報を使用して、取引実体が得ることのできる最高の言い値を識別する。
　１１０３：コンピュータ１０１または業者端末が、取引実体から入力された自動裁定「最小スプレッド」パラメータ（図８参照）を使用して、識別された言い値と識別された付け値との間のスプレッドを最小スプレッド値と比較する。
　１１０４：最高の言い値と最高の付け値との間のスプレッドが、取引実体から入力された最小スプレッド値以上である場合に、コンピュータ１０１または業者端末が、取引実体から入力された「最低額」値と、すべての識別された裁定トランザクションの総額を比較する。最高の付け値および言い値のみが識別されている場合、総額は最高の付け値の額と最高の言い値の額のうちの少ない方である。たとえば付け値が３００万ドルに相当するが、言い値が２００万ドルに相当するに過ぎない場合、コンピュータ１０１または業者端末は最低額値を２００万ドル（購入し売却できる額）と比較する。（以下にステップ１１０７で説明するように）最高の付け値および言い値と、次に良い付け値および言い値が識別されている場合、各トランザクションの額を加えることによって総額を求めることができる。コンピュータ１０１は、取引実体が得ることのできる裁定トランザクションの最高の組合せを自動的に識別することによって最適な額を求める。
　１１０５：総取引可能額が最低額パラメータ以下である場合に、コンピュータ１０１が、（１）上記で図７および１０を参照して説明したロッキング手順を開始し、それによって、両方のトランザクションをロックし取引実体に対するリスクを回避するか、または（２）取引実体へ送信される通知メッセージ（図９参照）を生成する。業者端末は、裁定の機会を識別した場合、（１）コンピュータ１０１へ「実行」コマンドを自動的に送信するか、または（２）取引実体に対して表示される通知信号（図９参照）を生成する。
　１１０６：可能なスプレッドが、取引実体から入力された最小スプレッド値よりも小さい場合、裁定の機会は存在しない。
　１１０７：額が、取引実体から入力された最低額値よりも小さい場合に、コンピュータ１０１が、取引実体が得ることのできる次に良いトランザクションを識別し、再び最小スプレッドおよび最低額の分析を行い、最低額パラメータを満たすように総トランザクション額を増加させようとする。

　本発明によるシステムの代替動作を図１１Ｂに示す。図１１Ｂに示した動作は、図１１Ａに示した動作に類似しているが、いくつかの追加のステップを含む。図１１Ｂに示したように、ステップ１１０４の最低額要件が満たされると、コンピュータ１０１は裁定トランザクションの総額と、取引実体から入力された最高額パラメータを比較する（ステップ１１１０）。
　１１１１：総サイズが最高額よりも小さい場合に、コンピュータ１０１が、取引実体が得ることのできる次に良いトランザクションを識別し、このトランザクションを評価し、トランザクションの額を最高額パラメータまで増加させる。取引実体が最高額パラメータを入力していない場合、コンピュータ１０１は引き続き、他の名義切換パラメータに基づいて他のトランザクションが得られなくなるまで次に良いトランザクションを自動的に追加し、次いでトランザクションを実行する。
　１１１２：総取引可能額が最高額パラメータ以上である場合に、コンピュータ１０１が、（１）上記で図７および１０を参照して説明したロッキング手順を開始し、それによって、最高額までのすべてのトランザクションをロックし取引実体に対するリスクを回避するか、または（２）取引実体へ送信される通知メッセージ（図９参照）を生成する。
　１１１３：取引実体によって「平均スプレッドＯＫ」が選択された場合に（図８参照）、最小スプレッド以上のスプレッドを有する識別された付け値および言い値と、最小スプレッドよりも小さなスプレッドを有する識別された付け値および言い値との平均が、取引実体によって設定された最小スプレッド以上であるかぎり、コンピュータ１０１は、取引することはできるが、取引実体によって設定された最小スプレッドよりも小さなスプレッドを有する付け値および言い値を、引き続き識別することができる。

　裁定トランザクションが完了した後、コンピュータ１０１によって肯定応答信号を生成し、適切な業者端末へ送信することができる。このような肯定応答信号は、たとえば、１９９４年１２月２７日に出願され参照として本明細書に組み入れられる米国特許出願第０８／３６４００９号に記載された肯定応答生成システムを使用して生成することができる。

　図１２を参照するとわかるように、本発明による名義切換機能を有する電子取引システムの他の態様の動作は以下のステップを含む。
　１２０１：取引実体が、図１３に示したような画面を介して業者端末（たとえば、Ｓ１〜Ｓ４のうちのどれか）に信用パラメータおよび名義切換パラメータを入力する。業者端末は次いで、コンピュータ１０１へパラメータを送信する。
　１２０２：パラメータがコンピュータ１０１に記憶され、任意選択で業者端末、たとえばＳ１〜Ｓ４に記憶される。
　１２０３：システム上で取引実体から入力された付け値および言い値がコンピュータ１０１に記憶される。
　１２０４：コンピュータ１０１が可能なトランザクションを識別する。
　１２０５：コンピュータが、トランザクションの当事者間に存在する信用の量を検査する。
　１２０６：当事者間の存在する信用が不十分である場合に、コンピュータ１０１が、業者からシステムに入力された名義切換パラメータに基づいて、名義切換が可能かどうかを調べる。たとえば、コンピュータは、図１３に示した入力画面の「名義切換」欄に「ｙｅｓ」を示している当事者を探索することができる。
　１２０７：コンピュータ１０１によって１つの名義切換オプションしか識別されない場合に、コンピュータが、業者から入力された名義切換パラメータ、たとえば、図１３に示した最小スプレッド・パラメータ、最小サイズ・パラメータ、最大サイズ・パラメータ、信用残パラメータを検査する。これらの基準はトランザクションの両方の当事者によって満たさなければならない。たとえば、図１３に示した名義切換パラメータを参照するとわかるように、ある当事者が当事者Ｓ２とＳ４との間のトランザクションを推進するのに十分な最小スプレッドがあるかどうかを判定するには、コンピュータは、２つの最小スプレッド値のうちの大きい方（すなわち、「．０２」、業者Ｓ４に対して入力された値）を選択するか、または２つのスプレッドを組み合わせ（すなわち、「０３」）、組み合わせた値を使用して、名義切換を行うことができるかどうかを判定することができる。

　次に、名義切換オプション判定の例を与える。当事者Ｓ２とＳ４との間でトランザクションが必要であると仮定する。しかし、トランザクションを実行するにはＳ２とＳ４との間の双務的信用度は不十分である。したがって、コンピュータ１０１は、Ｓ２とＳ４の両方に対して名義切換カテゴリに「ｙｅｓ」を入力したＳ３などの取引実体を探索する（図１４Ｃ参照）。コンピュータ１０１は次いで、Ｓ２とＳ４との間のトランザクションの付け値・言い値スプレッドと、取引実体Ｓ２およびＳ４に対してＳ３によって設定された最小スプレッドの最大値を比較する。図１４Ｃに示したように、Ｓ３はＳ２に対して最小スプレッド０．０１を入力し、Ｓ４に対して最小スプレッド０．０２を入力している。したがって、コンピュータはこれらのスプレッドのうちの最大値、すなわち０．０２を選択する。コンピュータ１０１は次いで、それぞれ、Ｓ２およびＳ４に対してＳ３によって設定された最小値および最大値に基づいて、許容される取引額を求める。取引額は２つの最小値よりも大きくなければならず、かつ２つの最大値のうちの低い方に等しいキャップを受けなければならない。すべての基準が満たされている場合、コンピュータ１０１は名義切換を実行し、Ｓ３を介してＳ２とＳ４との間でトランザクションを完了できるようにする。
　１２０８：コンピュータ１０１によって複数の名義切換オプションが識別された場合に、コンピュータが、名義切換の可能性に関して他の名義切換パラメータ（たとえば、各取引当事者についての最小スプレッド・パラメータ、最小サイズ・パラメータおよび最大サイズ・パラメータ、信用残パラメータ）を評価し、上記でステップ１２０７で説明したように、存在する名義切換候補のサブセットを識別する。
　１２０９：次いで、コンピュータが、選択プロセスを使用して、このサブセットから名義切換実体を選択する。たとえば、この選択プロセスは、ランダム選択プロセスでも、順次選択プロセスでも、等配分選択プロセスでも、その他の適切な選択プロセスでもよい。ランダム選択プロセスを使用する場合、コンピュータ１０１は、識別されたサブセットから無作為な選択を行う順次選択プロセスを使用する場合、コンピュータ１０１は、次の名義切換当事者を選択し、可能な名義切換当事者間を順次循環する。等配分選択プロセスでは、コンピュータ１０１は、各名義切換当事者が実行した名義切換トランザクションの取引高を判定し、可能な当事者間に名義切換トランザクションを均等に割り振ろうとする。
　１２１０〜１２１２：名義切換当事者が選択された後、名義切換が実行され、トランザクションが前述のように自動的に実行され、それに応じて当事者が通知を受ける。
　１２２０：名義切換パラメータに基づいて当事者が存在しない場合、トランザクションは実行されない。
　取引実体が信用パラメータおよび名義切換パラメータをシステムに入力するときに使用されるサンプル画面を図１３に示す。取引実体は、この画面を使用して、可能な各当事者についての信用限度、取引実体がその当事者との名義切換を望んでいるかどうか、各当事者についての他の名義切換パラメータを入力することができる。

　次に、本発明によるシステムの名義切換機能の動作について図１４〜１８を参照して詳しく説明する。

　名義切換を行うには、信用度の低い取引実体と信用度の高い取引実体との間と、信用度の高い取引実体と、信用度の低い取引実体が取引することを望む当事者との間に、十分な双務的信用度がなければならない。たとえば、図１４Ａ〜Ｄを参照して、取引実体Ｓ１が、図１４Ａに示した信用パラメータおよび名義切換パッケージを入力すると仮定する。同様に、取引実体Ｓ２、Ｓ３、Ｓ４はそれぞれ、図１４Ｂ〜Ｄに示した信用パラメータおよび名義切換パラメータを入力する。取引実体Ｓ１〜Ｓ４によって入力されたパラメータに基づいて、取引実体Ｓ１は以下のサンプル・トランザクションを望んでいる。

　図１５：５００万ドルの額で、取引実体Ｓ１と取引実体Ｓ２との暫定的な一致が可能である。
　この例で、取引実体Ｓ２は取引実体Ｓ１に対する信用を有していない。したがって、取引実体Ｓ１は取引実体Ｓ２と直接取引することができない。しかし、取引実体Ｓ２は取引実体Ｓ３に対しては十分な信用を提示している。また、取引実体Ｓ３は取引実体Ｓ１に対する名義切換に合意しており、取引実体Ｓ３は、このトランザクションをカバーするのに十分な信用を取引実体Ｓ１および取引実体Ｓ２に対して提示している。最後に、取引実体Ｓ１は、このトランザクションをカバーするのに十分な信用を取引実体Ｓ３に対して提示している。Ｓ１とＳ３との間、およびＳ３とＳ２との間に十分な双務的信用度があるので、（上記で図１２を参照して説明したように最小スプレッド・パラメータおよびその他のパラメータが満たされるかぎり）名義切換を行うことができる。

　図１６：１０００万ドルの額で、取引実体Ｓ１と取引実体Ｓ２との一致が可能である。
　取引実体Ｓ２が取引実体Ｓ１に対して十分な信用を提示していないので、取引実体Ｓ１は取引実体Ｓ２と直接取引することができない。しかし、この場合、取引実体Ｓ３がこのトランザクションをカバーするのに十分な信用を取引実体Ｓ２に対して提示していないので、取引実体Ｓ１は取引実体Ｓ３との名義切換を行うことができない。

　図１７：１０００万ドルの額で、取引実体Ｓ１と取引実体Ｓ４との一致が可能である。
　取引実体Ｓ４が取引実体Ｓ１に対して十分な信用を提示していないので、取引実体Ｓ１は取引実体Ｓ４と直接取引することができない。また、取引実体Ｓ３も取引実体Ｓ４に対して十分な信用を有さないので、取引実体Ｓ１は取引実体Ｓ３との名義切換を行うことができない。

　図１８：１０００万ドルの額で、取引実体Ｓ１と取引実体Ｓ４との一致が可能である。
　上記で図１７を参照して論じたように、取引実体Ｓ１は取引実体Ｓ４と直接取引することができない。さらに、取引実体Ｓ２がこのトランザクションをカバーするのに十分な信用を取引実体Ｓ１に対して提示していないので、取引実体Ｓ１は取引実体Ｓ２との名義切換を行うことができない。

　本発明による電子取引システムは、双務的信用度の判定に基づいて名義切換機能を実行することができるが、ある種のトランザクションでは、片務的信用度に基づいて名義切換機能を実行することもできる。

　本発明による自動名義切換機能はまた、コンピュータ１０１または業者端末（たとえば、Ｓ１〜Ｓ４）の事前フィルタリング表示機能から独立している。

　本発明の自動名義切換は、自動裁定機能のような価格スプレッドの結果としての直接的な利益ではなく取引当事者間の既存の商業的関係に基づくか、またはこの２つの誘因の組合せに基づいて行うことができる。そのような商業的関係の一例は、信用度の高い当事者が信用度の低い当事者に対して各名義切換トランザクションについて一定額を課す取り決めである。信用度の低い当事者はこれを支払うことに合意し、市場での使用可能なオプションを増やすことができる。本発明による電子取引システムの名義切換機能は、両当事者が信用上のリスクを被る手形交換所場合とは異なり、システム選択ではなく、ユーザの選択に基づく（ユーザが信用限度切換を選択する）ものである。

　自動裁定機能と名義切換機能とを含む本発明によるシステムの任意選択の機能は、業者端末Ｓ１〜Ｓ４および／またはコンピュータ１０１に配置される取引チケット出力供給機構である。１つの可能な取引チケット出力供給機構が米国特許第５００３４７３号に記載されている。

　簡単に言えば、本発明による自動裁定機能と名義切換機能は同様な原則を使用するが、市場のそれぞれの異なる問題に対処する。自動裁定機能では、取引実体にリスクの低い取引の機会が与えられる。自動名義切換機能では、取引実体は、より良く知られているか、または（信用面で）よりランクの高い他の取引実体との商業的関係から利益を得ることができる。どちらの機能も、既知のシステムでは信用限度のために不可能な取引を実行することにより、新しい付け値および言い値を追加せずに流動性を高めることによってシステムに利益をもたらす。

　特に、好ましい態様を参照して、本発明を説明したが、当業者には、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに形態および詳細に変更および修正を加えられることが容易に明らかになると思われる。請求の範囲はそのような変更と修正とを含むものである。

図１は、コンピュータと４つの業者端末とを含む、本発明による電子取引システムの図である。 図２は、本発明によるシステムにおいて各取引実体から入力される信用パラメータを含む信用マトリックスの図である。 図３は、特定の時間に市場に存在するすべての付け値および言い値を含む市場「帳簿」の図である。 図４は、双務的信用度に基づいて取引実体Ｓ１に与えられる付け値および言い値のみを表示する取引実体Ｓ１の表示画面の図である。 図５は、双務的信用度に基づいて取引実体Ｓ２に与えられる付け値および言い値のみを表示する取引実体Ｓ２の表示画面の図である。 図６Ａは、双務的信用度に基づいて取引実体Ｓ３またはＳ４に与えられる付け値および言い値のみを表示する取引実体Ｓ３またはＳ４の表示画面の図である。 図６Ｂは、複数の取引証書を表示する表示画面の図である。 図７は、自動裁定機能を含む本発明による電子取引システムの一態様の動作の機能ブロック図である。 図８は、本発明によるシステムで使用される取引実体自動裁定パラメータ入力画面の図である。 図９は、本発明によるシステムの一態様によって生成され表示される通知メッセージの図である。 図１０は、自動裁定機能を含む本発明による電子取引システムの他の態様の動作の機能ブロック図である。 図１１Ａおよび１１Ｂは、本発明によるシステムの裁定検出動作の機能ブロック図である。 図１２は、名義切換機能を含む本発明による電子取引システムの他の態様の動作の機能ブロック図である。 図１３は、本発明によるシステムで使用される名義切換パラメータ入力画面の図である。 図１４Ａ〜１４Ｄは、それぞれ取引実体Ｓ１〜Ｓ４のサンプル信用パラメータ入力画面および名義切換パラメータ入力画面の図である。 図１５〜図１８は、本発明の電子取引システムの名義切換機能の動作を示すために使用される４つのサンプル・トランザクションの図である。

Claims (34)

1. 信用パラメータ・データ、裁定パラメータ・データ、および取引データを取引実体から受信し、取引実体から入力された付け値情報および／または言い値情報を含む取引情報を取引実体に対して表示する複数の業者端末と、
   　ネットワークを介して該複数の業者端末に接続され、該信用パラメータ・データおよび該取引データを該複数の業者端末から受信し記憶するコンピュータと、
   　該信用パラメータ・データ、該裁定パラメータ・データ、および該取引データに基づいて、複数の取引を含む可能な裁定トランザクションを自動的に検出する検出手段と、
   　該複数の取引をすべて実行することによって該可能な裁定トランザクションを自動的に実行する実行手段とを備える、電子取引システム。
2. 裁定トランザクションが実行されたことと、該実行された裁定トランザクションの結果とを取引実体に知らせる通知手段をさらに備える、請求項１記載の電子取引システム。
3. 検出手段によって検出された裁定の機会を取引実体に知らせ、該検出された裁定の機会を利用するかしないかに関するオプションを取引実体に与える通知手段をさらに備える、請求項１記載の電子取引システム。
4. 実行手段が、検出された裁定の機会を完了するために必要なすべての取引を、該すべての取引のうちのどれかを実行する前にロックしておき、該検出された裁定トランザクションの実行中は該すべての取引が可能であるようにするロック手段を含み、該実行手段が、該すべての取引がロックされないかぎり該検出された裁定トランザクションの取引を実行しないものである、請求項１記載の電子取引システム。
5. 信用パラメータ・データが、可能な各取引当事者についての信用限界を含む、請求項１記載の電子取引システム。
6. 裁定パラメータ・データが、最小スプレッド・パラメータおよび／または最小サイズ・パラメータおよび／または最大サイズ・パラメータを含む、請求項１記載の電子取引システム。
7. 裁定パラメータが、最小スプレッド・パラメータ、平均スプレッド・パラメータ、最小サイズ・パラメータ、および最大サイズ・パラメータを含む、請求項１記載の電子取引システム。
8. 可能な裁定トランザクションが、第１の取引実体が第２の取引実体および第３の取引実体から要求された取引を有効化し、該第１の取引実体が該取引を完了するのに十分な信用を該第２および第３の取引実体に対して有し、該第２および第３の取引実体が互いに直接取引することができないようなトランザクションである、請求項１記載の電子取引システム。
9. 信用パラメータ・データ、名義切換パラメータ・データ、および取引データを取引実体から受信し、取引実体から入力された付け値情報および／または言い値情報を含む取引情報を取引実体に対して表示する複数の業者端末と、
   　ネットワークを介して該複数の業者端末に接続され、該信用パラメータ・データ、該名義切換パラメータ・データ、および該取引データを該複数の業者端末から受信し記憶するコンピュータと、
   　該信用パラメータ・データ、該名義切換パラメータ・データ、および該取引データに基づいて、可能な名義切換トランザクションを自動的に検出する検出手段と、
   　該可能な名義切換トランザクションを自動的に実行する実行手段とを備える、電子取引システム。
10. 名義切換トランザクションが実行されたことと、該実行された名義切換トランザクションの結果とを取引実体に知らせる通知手段をさらに備える、請求項９記載の電子取引システム。
11. 信用パラメータ・データが、可能な各取引当事者についての信用限界を含む、請求項９記載の電子取引システム。
12. 名義切換パラメータ・データが、最小スプレッド・パラメータおよび／または最小サイズ・パラメータおよび／または最大サイズ・パラメータを含む、請求項９記載の電子取引システム。
13. 名義切換パラメータ・データが、最小スプレッド・パラメータ、平均スプレッド・パラメータ、最小サイズ・パラメータ、および最大サイズ・パラメータを含む、請求項９記載の電子取引システム。
14. 可能な名義切換トランザクションが、該第１の取引実体の信用限度を使用して第２の取引実体が第３の取引実体と取引できるようにすることによって、第１の取引実体が該第２の取引実体および該第３の取引実体から要求された取引を有効化し、該第１の取引実体が該取引を完了するのに十分な信用を該第２および第３の取引実体に対して有し、該第２および第３の取引実体が互いに直接取引することができないようなトランザクションである、請求項９記載の電子取引システム。
15. 信用パラメータ・データ、裁定パラメータ・データ、および取引データを取引実体から受信し、取引実体から入力された付け値情報および／または言い値情報を含む取引情報を取引実体に対して表示する複数の業者端末と、
    　ネットワークを介して該複数の業者端末に接続され、該信用パラメータ・データおよび該取引データを該複数の業者端末から受信し記憶するコンピュータと、
    　該信用パラメータ・データ、該裁定パラメータ・データ、および該取引データに基づいて、複数の取引を含む可能な裁定トランザクションを自動的に検出する検出器と、　
    　該複数の取引を実行することによって該可能な裁定トランザクションを自動的に実行する実行回路とを備える、電子取引システム。
16. 裁定トランザクションが実行されたことと、該実行された裁定トランザクションの結果とを取引実体に知らせる通知回路をさらに備える、請求項１５記載の電子取引システム。
17. 検出器によって検出された裁定の機会を取引実体に知らせ、該検出された裁定の機会を利用するかしないかに関するオプションを取引実体に与える通知回路をさらに備える、請求項１５記載の電子取引システム。
18. 実行回路が、検出された裁定の機会を完了するために必要なすべての取引を、該すべての取引のうちのどれかを実行する前にロックしておき、該検出された裁定機会の実行中は該すべての取引が可能であるようにするロック回路を含み、該実行回路が、該すべての取引がロックされないかぎり該検出された裁定機会の取引を実行しないものである、請求項１５記載の電子取引システム。
19. 信用パラメータ・データが、可能な各取引当事者についての信用限界を含む、請求項１５記載の電子取引システム。
20. 裁定パラメータ・データが、最小スプレッド・パラメータおよび／または最小サイズ・パラメータおよび／または最大サイズ・パラメータを含む、請求項１５記載の電子取引システム。
21. 裁定パラメータ・データが、最小スプレッド・パラメータ、平均スプレッド・パラメータ、最小サイズ・パラメータ、および最大サイズ・パラメータを含む、請求項１５記載の電子取引システム。
22. 可能な裁定トランザクションが、第１の取引実体が第２の取引実体および第３の取引実体から要求された取引を有効化し、該第１の取引実体が該取引を完了するのに十分な信用を該第２および第３の取引実体に対して有し、該第２および第３の取引実体が互いに直接取引することができないようなトランザクションである、請求項１５記載の電子取引システム。
23. 信用パラメータ・データ、名義切換パラメータ・データ、および取引データを取引実体から受信し、取引実体から入力された付け値情報および／または言い値情報を含む取引情報を取引実体に対して表示する複数の業者端末と、
    　ネットワークを介して該複数の業者端末に接続され、該信用パラメータ・データ、該名義切換パラメータ・データ、および該取引データを該複数の業者端末から受信し記憶するコンピュータと、
    　該信用パラメータ・データ、該名義切換パラメータ・データ、および該取引データに基づいて、可能な名義切換トランザクションを自動的に検出する検出器と、
    　該可能な名義切換トランザクションを自動的に実行する実行回路とを備える、電子取引システム。
24. 名義切換トランザクションが実行されたことと、該実行された名義切換トランザクションの結果とを取引実体に知らせる通知回路をさらに備える、請求項２３記載の電子取引システム。
25. 信用パラメータ・データが、可能な各取引当事者についての信用限界を含む、請求項２３記載の電子取引システム。
26. 名義切換パラメータ・データが、最小スプレッド・パラメータおよび／または最小サイズ・パラメータおよび／または最大サイズ・パラメータを含む、請求項２３記載の電子取引システム。
27. 可能な名義切換トランザクションが、該第１の取引実体の信用限度を使用して第２の取引実体が第３の取引実体と取引できるようにすることによって、第１の取引実体が該第２の取引実体および該第３の取引実体から要求された取引を有効化し、該第１の取引実体が該取引を完了するのに十分な信用を該第２および第３の取引実体に対して有し、該第２および第３の取引実体が互いに直接取引することができないようなトランザクションである、請求項２３記載の電子取引システム。
28. 信用パラメータ・データ、裁定パラメータ・データ、および取引データを取引実体から受信し、端末を使用して、取引実体から入力された付け値情報および／または言い値情報を含む取引情報を取引実体に対して表示し、
    　信用パラメータ・データおよび該取引データを複数の端末からコンピュータへ送信し、
    　該信用パラメータ・データおよび該取引データを該コンピュータに記憶し、
    　該信用パラメータ・データ、該裁定パラメータ・データ、および該取引データに基づいて、複数の取引を含む可能な裁定トランザクションを検出し、
    　該複数の取引をすべて実行することによって該可能な裁定取引を実行することを特徴とする、コンピュータおよび複数の端末を使用した電子取引方法。
29. 裁定トランザクションが実行されたことと、該実行された裁定トランザクションの結果とを取引実体に知らせる段階をさらに特徴とする、請求項２８記載の方法。
30. 検出された裁定の機会を取引実体に知らせ、該検出された裁定の機会を利用するかしないかに関するオプションを取引実体に与える段階をさらに特徴とする、請求項２８記載の方法。
31. 信用パラメータ・データが、可能な各取引当事者についての信用限界を含む、請求項２８記載の方法。
32. 裁定パラメータ・データが、最小スプレッド・パラメータおよび／または最小サイズ・パラメータおよび／または最大サイズ・パラメータを含む、請求項２８記載の方法。
33. 裁定パラメータが、最小スプレッド・パラメータ、平均スプレッド・パラメータ、最小サイズ・パラメータ、および最大サイズ・パラメータを含む、請求項２８記載の方法。
34. 可能な裁定トランザクションが、第１の取引実体が第２の取引実体および第３の取引実体から要求された取引を有効化し、該第１の取引実体が該取引を完了するのに十分な信用を該第２および第３の取引実体に対して有し、該第２および第３の取引実体が互いに直接取引することができないようなトランザクションである、請求項２８記載の方法。
    

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