JP2004126802A - 搬送ロボット - Google Patents

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【課題】本発明は、操作者が曲がり角を曲がったために搬送ロボットが追尾対象を見失った場合でも自動的に曲がり角を曲がるようにして追尾が継続できるようにした搬送ロボットの実現を目的とする。
【解決手段】搬送者を認識して所定距離を保って追尾する搬送ロボットであって、前記搬送ロボットの周囲に設けられ、前記搬送者及び周囲の障害物等を検知する検知手段と、走行手段と、前記走行手段を制御する走行制御部を具備し、前記走行制御部は、前記検知手段で搬送者を認識して追従し、検知部が搬送者を認識できなくなった場合に認識できなくなった場所近傍に曲がり角の存在を認識すると、当該曲がり角を曲がるように走行手段を制御する。
【選択図】図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現金・有価証券類・薬品などの重要物を安全に搬送する重要物搬送システムに関し、特に、搬送を担当する者を支援する重要物の搬送ロボットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、現金等の搬送は、2人以上の警備員が護送しながら、ジュラルミンケースや鞄に収納して搬送していた。この搬送中において、賊に襲われる危険性が最も高くなるのは、現金輸送車から金融機関等の店舗内までにおけるオープンスペースを搬送している最中である。すなわち、現金輸送車は駐車場や道路上に駐車されるため、金融機関の店舗内までの間は、一般公衆でもジュラルミンケースや鞄に近づくことが可能な状況となり、非常に危険性が高くなる。
特開平8−150936公報には、強盗が難しく、たとえ強盗にあっても容易に持ち運びができず、かつ事故にあっても容易に検知することができる現金輸送システムが提案されている。この従来の現金輸送システムは、現金を収納する容器が少人数で持ち運びできない重さとし、現金の積み降ろしを建物内にてできる構造とするなどして、搬送中の強盗からの脅威を回避しようとしている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献】特開平8−150936号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の現金収納容器は、少人数で持ち運ぶことを困難にする構造としており、警備員の現金収納容器を搬送するときにも、非常な労力が必要となる。このため、搬送中には、多くの人数を要する上に、作業中の周囲への注意が散漫となり、効率的に危険を回避できないという問題がある。
また、一般に、金融機関の全ての店舗等にて、現金輸送車を建物内部まで乗入可能とするのは困難であり、かかる現金収納容器の使用はかなり限定された場合になる。このため、現金輸送車を内部に入れることができない場合は、駐車場や道路上から金融機関の店舗内までの間の運搬作業に長時間が必要となるので、却って危険度が増大するおそれがある。
そこで、警備員を認識して自動的に追尾できる搬送ロボットを使用して警備員が周囲を十分警戒しつつ、重要物を安全に搬送することが考えられるが、この搬送ロボットを実現するためには以下の課題があった。
即ち、搬送ロボットは操作者を測距センサ等にて認識して追尾走行するが、操作者が建物の角を曲がった場合には、搬送ロボットは操作者を認識できずに見失ってしまう。このような場合に搬送ロボットは追尾できずにその場で停止してしまう。
そこで、本発明では操作者が曲がり角を曲がったために搬送ロボットが追尾対象を見失った場合でも自動的に曲がり角を曲がるようにして追尾が継続できるようにした搬送ロボットの実現を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明は、搬送者を認識して所定距離を保って追尾する搬送ロボットであって、前記搬送ロボットの周囲に設けられ、前記搬送者及び周囲の障害物等を検知する検知手段と、走行手段と、前記走行手段を制御する走行制御部を具備し、前記走行制御部は、前記検知手段で搬送者を認識して追従し、検知部が搬送者を認識できなくなった場合に認識できなくなった場所近傍に曲がり角の存在を認識すると、当該曲がり角を曲がるように走行手段を制御する。
また、好ましくは、前記曲がり角を曲がった後、前記搬送者を再度認識して追尾する。
以上の構成により本発明による搬送ロボットは追尾対象である搬送者を認識して追尾走行し、曲がり角によって搬送者を見失った場合でも自動的に曲がり角を曲がって、搬送者の追尾を続行することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる搬送ロボットを現金輸送システムに用いた例を説明する。図1は、現金輸送システムの構成図である。現金輸送システムは、金融機関の本店6から複数の支店7へ必要な現金、有価証券、各種債権などの重要物を集配送するシステムである。現金輸送システムは、重要物の搬送を担当する警備員2と、重要物を収納及び運搬する搬送ロボット1とから構成される。
警備員2は、搬送ロボット1が警備員2を容易に追尾できるように回帰反射材22を織り込んだ警備服を着用し、搬送ロボット1に対して種々の指示を出すためのリモコン21を所持している。図2は、制服着用時の警備員2と、リモコン21の外観を示す。警備員2の制服には、回帰反射材22が織り込まれており、後述する撮影部16から照射される照明光を回帰反射する。このため、撮影部16にて照明を投光しているときに撮影された画像において、回帰反射材が高輝度になる。また、リモコン21は、液晶表示部211と各種信号を送出する操作部212を具備しており、警備員2が搬送ロボット1に指示を与え、搬送ロボット1の状態を表示する。
一方、搬送ロボット1は、階段の登り/降り、及び平坦な道を走行する走行部18を具備し、重要物を収納する重要物収納庫15を搭載している。また、搬送ロボット1は、測距センサ技術や画像処理技術を応用して、自立して警備員2を追尾しながら走行する。なお、搬送ロボット1は、現金輸送車3への登り/降りを現金輸送車3の荷室から地上への階段式のスロープを用いる。
【0007】
次に、現金輸送システムの概略動作について説明する。先ず、金融機関の本店6において、警備員2は、各支店7に搬送する現金等を重要物収納庫18に収納する。警備員2がリモコン21を操作して、搬送ロボット1を追尾モードに設定する。この追尾モードでは、搬送ロボット1が警備員2と約3m程の間隔を保ちながら警備員2の後を追尾する。警備員2は、現金輸送車3の荷室へのスロープ31前まで搬送ロボット1誘導し、リモコン21を操作して搬送ロボット1の追尾モードを終了し、待機モードに設定する。そして、警備員2は、リモコン21を操作し、搬送ロボット1を現金輸送車3に乗車させるとともに、乗車完了とともに待機モードに設定される。
その後、警備員2は、本店6から現金輸送車3を運転して、金融機関の支店7の駐車場まで移動する。支店7の駐車場では、警備員2は、リモコン21を操作して、現金輸送車3から搬送ロボット1を降車させる。降車が完了すると、警備員2は、リモコン21を操作し、搬送ロボット1を追尾モードに設定する。警備員2は、支店7駐車場から支店7内に進む。警備員2は、現金等を自ら持つ必要が無いので、強盗の危険など周囲への警戒を十分行いながら支店7内に入る。搬送ロボット1は、現金等を搭載して警備員2を追尾しながら支店7内に入る。支店7内の安全な場所にて警備員2は、リモコン21を操作して搬送ロボット1を待機モードに設定する。警備員2は、搬送ロボット1に対して、収納庫制御信号をリモコン21から送信する。搬送ロボット1は、収納庫制御信号を受信した後に音声入力を受けると、当該音声が重要物収納庫15を制御する権限を有する者の音声か否かを照合を行う。ここで、権限者の音声であれば、重要物収納庫15の扉を開放する。ここで、権限を有する者は、搬送を担当している警備員2であっても良いし、各支店7の担当者としても良い。警備員2は、開放された重要物収納庫15から配送目的である現金等を取出し、支店7の担当者に渡す。また、集金した現金を重要物収納庫15に収納する。収納が完了すると、再度リモコン21を操作し、搬送ロボット1の重要物収納庫15を閉扉及び施錠する。
再び、警備員2は、搬送ロボット1を追尾モードに設定し、支店7の駐車場に向かう。支店7駐車場にて現金輸送車3内まで搬送ロボット1を誘導し、追尾モードを終了させ待機モードに設定する。かかる一連の動作を各支店7にて行い、最後に本店6に戻る。
現金等の重要物を搬送している最中に、搬送ロボットが強盗に襲われた場合の動作について説明する。強盗に襲われると、警備員2は搬送ロボット1を気にせずに、自らの身の安全を確保する。そもそも、本システムの場合、警備員2は、現金等を直接手に持っておらず身軽な状態にあり、常に周囲を警戒しているので、従来よりも安全確保が容易である。また、搬送ロボット1は、堅牢な構造であり、且つ、高重量のため、強盗は搬送ロボット1を持ち去ることは非常に困難となる。更に、警備員2のリモコン21により、威嚇動作を行う。即ち、警備員2のリモコン21操作によってスタンガン14を動作させ、強盗が搬送ロボット1を触れようとすると、電気ショックを与える。スピーカ13から高音量を発生させ、周囲に強盗の存在を明らかできる。強盗は、搬送ロボット1を触れることすらできず、退散することとなる。
【0008】
以下、搬送ロボット1について、図3から図6を参照して詳細に説明する。図3は、搬送ロボットの外観イメージ図である。図4は、搬送ロボット1の全体機能ブロックを示す図である。
搬送ロボット1は、画像や各種コマンドを無線信号として送受信する通信部11、警備員2等の音声を入力するためのマイク12、威嚇や音声ガイダンスを行うためのスピーカ13、強盗に電気的な衝撃を加えるためのスタンガン14、重要物を収納する重要物収納庫15、搬送ロボット1の前方及び周辺を撮影する一又は複数のCCDカメラ及び照明からなる撮影部16、搬送ロボット1の前方にある物体までの距離を計測する前方測距センサ17、搬送ロボット1の側方の所定距離内に障害物の有無を検出する側方センサ19、現金輸送車3への登り/降り等を可能とするキャタピラ及び車輪である走行部18、及びこれらを制御する制御部10とから構成されている。
通信部11は、監視センタ4及び警備員2との間にて、指示信号や画像などの状態情報を無線信号にて送受信する空中線である。すなわち、撮影部16にて撮影した画像や異常発生信号を携帯電話回線やPHS等の無線回線5を介して監視センタ4に通報し、監視センタ4からの種々の遠隔制御コマンドの受信をする。また、警備員2の所持するリモコン21から直接無線信号を受信することができる。
重要物収納庫15は、金庫と同様な構造を有しており、衝撃に強く破壊行為、扉のこじ開け行為などに十分な強度を有している。また、重要物収納庫15の扉は、特定の権限を有する者の音声認証がされなければ解錠できない。このため、重要物収納庫15は、数百Kgにもなり非常に質量が大きく、強盗が重要物収納庫の扉を開けて重要物を強奪するのが困難になっている。加えて、スタンガン14は、搬送ロボット1の周辺部に複数設置されており、強盗が搬送ロボット1に触れるのを阻止し、触れた場合に電気ショックを与える。
制御部10は、無線通信手段101、音声処理手段102、威嚇制御手段103、収納庫制御手段104、画像処理手段105、距離データ処理手段106、及び走行制御手段107とから構成されている。
無線通信手段101は、通信部11を介して警備員2の所持するリモコン21からの受信した信号を他の手段に対して伝達する。また、監視センタ4からの携帯電話網5・通信部11を介して受信する各種コマンドを受信し、他の手段に対して伝達する。或いは、撮影部16から撮影した画像や非常信号を監視センタ4に通報する。
音声処理手段102は、マイク12から入力される音声を処理し、話者認識及び音声認識を行う。話者認識とは、重要物保管庫15の開閉をする権限を有する者の予め登録した声紋情報と、入力された音声の声紋情報とを照合し、同一人物の音声であるか否かを判定する。ここで、予め登録される声紋情報は、搬送を担当している警備員2一人のものであっても良いし、他の警備員2や金融機関の担当者など複数人のものであっても良い。音声認識とは、入力された音声が予め登録されている音声との一致を判定し、音声の意味を認識する処理である。本実施の形態では、「扉オープン」または「扉クローズ」の2種類の音声を認識する。このように、話者認識及び音声認識を行った結果を収納庫制御手段104等にて使用する。
威嚇制御手段103は、スピーカ13及びスタンガン14を制御する。すなわち、強盗に襲われた場合に、警備員2がリモコン21を操作して送信された非常信号を通信部11から受信すると、スピーカ13から高音量の威嚇音を発するとともに、スタンガン14の電源をONに制御する。また、監視センタ4からの威嚇停止信号を受信するまで、威嚇制御を継続する。
【0009】
収納庫制御手段104は、重要物収納庫15に対して、扉の開放又は閉鎖の制御を実行する。収納庫制御手段104の制御フローについて図5を参照して説明する。先ず、重要物収納庫15の制御は、警備員2が所持するリモコン21からの収納庫制御信号の受信により開始される。収納庫制御手段104は、収納庫制御信号を受信すると1分間のタイマーが起動する。そして、搬送ロボット1が現在待機モードに設定されているか否かを判定し(S510)、待機モードに設定されていれば音声入力を待つ(S511)。一方、待機中でなければ、搬送ロボット1が移動中のため、収納庫制御を行うことなく処理を終了させる(S510「いいえ」)。これにより、搬送ロボット1が走行中に誤って、重要物収納庫15の扉が制御されることを防止する。音声入力が1分間のタイマー計時中に無かった場合にも、収納庫制御を終了させる(S512「はい」)。次に、音声入力があると(S511「はい」)、話者認証処理(S513)を音声処理手段102にて実行する。話者認証処理(S513)にて、重要物収納庫15を制御する権限の有する正規な者の音声であるか判定する(S514)。ここで、正規な者の音声であれば(S514「はい」)、音声認識処理(S515)に進み、正規な者の音声でないと判定すると(S514「いいえ」)収納庫制御処理を終了させる。これにより、声紋というバイオメトリクス情報を用いて重要物収納庫15を制御する権限管理を厳格に行うことが可能となる。つまり、強盗に襲われても、警備員2の音声を登録していなければ、重要物収納庫15を制御できないので、重要物のみを盗まれる危険性が少なくなる。警備員2の音声を登録しておいても、警備員2は搬送ロボット1と離れた状態で、且つ、周囲を警戒しながらの搬送が可能なので、搬送ロボット1とともに捕らわれる可能性は低い。更に、音声を使用するので警備員2を殺害されると、強盗が重要物収納庫を開放できないので、殺害される可能性も低くなる。音声認識処理では、入力された音声が「扉オープン」であるか否かを音声処理手段102にて判定する(S516)。そして、「扉オープン」であれば、重要物収納庫15の扉を開放させる(S517)。「扉オープン」でなければ、「扉クローズ」であるか否かを判定する(S518)。「扉クローズ」であれば、扉の閉鎖制御を行う(S519)。なお、「扉オープン」でも「扉クローズ」でもない場合は(S518「いいえ」)、意味不明であるので収納庫制御処理を終了させる。
【0010】
次に、画像処理手段105について説明する。画像処理手段105は、撮影部16の照明及び撮影のタイミング制御、撮影された画像から警備員2を抽出する処理を行う。すなわち、照明の点灯時と消灯時との画像を読み込み、両画像の差分画像を生成する。かかる差分画像に基づき、警備員2の画像領域を特定しラベリングする。また、ラベリングされた画像領域の実空間上における搬送ロボット1との相対位置を算出する。この処理を繰り返し、ラベリングされる画像領域を順次トラッキングする。このようにして、搬送ロボット1と警備員2との位置関係を画像処理によって随時算出し、走行制御手段107に提供する。また、撮影された画像を圧縮処理し、図示していない画像記憶部に記憶させる。
距離データ処理手段106は、前方測距センサ17から入力される一次元の距離データに基づき、後述する警備員2として認識された一塊の距離データをラベリングし、ラベリングされた一塊の距離データの実空間上における搬送ロボット1との相対位置を算出する。この処理を繰り返し、ラベリングされる距離データを順次トラッキングする。このようにして、搬送ロボット1と警備員2との位置関係を距離データに基づき随時算出し、走行制御部に提供する。
走行制御手段107は、走行部18の車輪及びキャタピラを画像処理手段105、距離データ処理手段106、側方測距センサ19、図示しない各種姿勢センサなどに基づき、走行部18の車輪及びキャタピラを制御する。
【0011】
ここで、図6を参照して、走行制御手段107での追尾処理について説明する。
追尾モードは、警備員2が搬送ロボット1の正面に立ち、リモコン21から送信された追尾開始信号を受信することにより開始する。追尾モードに設定されると、距離データ処理手段106及び画像処理手段105にて、画像領域及び一塊の距離データから追尾する警備員2をラベリングすることにより認識する(S610)。具体的には、距離データ処理手段106では、前方測距センサ17にて収集される搬送ロボット1の正面から左右45度の範囲にある物体の内、直近の同一物体とされる一塊の距離データをラベリングする。また、画像処理手段105では、搬送ロボット1の前方に照明を照射した画像と照明を照射していない画像の両方を取り込み、両画像の差分画像を抽出する。ここで、抽出される差分画像は、警備員2が着用している回帰反射材22の画像が高輝度になる。この高輝度となった領域を一塊の画像データとしてラベリングする。そして、ラベリングされた距離データ及び画像データとが、略同一方向に存在していると、それぞれの一塊のデータ群を警備員2として認識する。ここで、警備員2と認識できない場合は、認識できるまでかかる処理を繰り返す。警備員2を認識できると、その旨をスピーカ13から音声にて警備員2に知らせる。
次に、ラベリングされた一塊の距離データの追尾処理を開始する。すなわち、前方測距センサ17からの所定時間ごとに距離データを取得し、先にラベリングした一塊の距離データに類似するトラッキング候補となる一塊の距離データを警備員2候補Aとして抽出する処理を行う(S611)。次に、警備員候補Aが抽出できたか否かを判定する(S612)。
警備員候補Aが抽出できた場合は(S612「あり」)、警備員候補Aが複数抽出されたか否か判断する。ここで、一つの警備員候補Aであれば(S615「いいえ」)、その警備員候補Aの一塊の距離データとしてトラッキングする(S619)。そして、トラッキングした一塊の距離データを走行目標とし、実空間上における相対位置を算出し、その結果に基づいて走行部18の車輪駆動を制御する(S620)。
他方、複数の警備員候補Aが抽出された場合は(S615「はい」)、画像処理手段105にて警備員候補Bを抽出する(S616)。そして、警備員候補A及び警備員候補Bとの照合をする(S617)。すなわち、複数の警備員候補Aの中から警備員候補Bと搬送ロボット1との相対的方向が所定範囲内での一致する警備員候補Aを抽出する。
ここで、所定範囲内で一致する警備員候補Aが抽出できない場合(S618「いいえ」)、又は複数抽出された場合には追尾対象不明と判断し、安全のため走行を停止する。他方、警備員候補Aを一つに特定できれば(S618「はい」)、その警備員候補Aにかかる一塊の距離データをトラッキングし、走行制御する(S620)。このように、距離データ処理手段のみでは、トラッキングを特定できない場合に、画像処理手段105による情報にて絞込みができる。これによって、トラッキングミスを防止でき、警備員2を確実に追尾できる。
これら一連の処理を追尾終了信号の受信まで繰り返す(S621「いいえ」)。そして、追尾終了信号を受信すると走行を停止し(S622)、追尾処理を終了する。走行が停止すると待機モードに設定される。
【0012】
次に、警備員2が建物の角を曲がったために搬送ロボット1の前方測距センサ17が警備員2を検知できずに見失った場合の動作について図7(A)(B)(C)を参照して説明する。
図7(A)(B)(C)はそれぞれ建物、警備員2及び搬送ロボット1を上方より俯瞰した位置関係を示す図である。図7(A)に示すように警備員2が直進している場合には搬送ロボット1は、上述のとおり警備員2の後方の3mを追尾して走行している。図7(B)に示すように警備員2が建物Aの角Bを曲がった場合、搬送ロボット1の前方測距センサ17は建物の角により警備員2を認識できなくなる。(S612「なし」)すると、搬送ロボット1は前方測距センサ17及び側方測距センサ19にて警備員2の画像領域が消失した位置近辺の曲がり角を抽出する(S613)。即ち、測距センサにより所定の長さ以上の壁とそれに続く壁の不存在を認識することで曲がり角を認識することができる。尚、曲がり角の検知はこれに限らず例えば撮像部16の画像処理によって検知することもできる。搬送ロボット2は警備員2の画像領域が消失した付近に曲がり角を検知した場合(S614「はい」)には、警備員2が曲がり角を曲がったものと認識し、走行制御手段107は走行部18を制御してコーナリング走行する(S623)。
以下コーナリング走行動作について説明する。搬送ロボット1は建物の壁から所定距離の間隔を保って前進し、建物の角(即ち壁を検知しなくなった地点)から所定距離(少なくとも搬送ロボットの半分以上の長さ)をそのまま前進して、一旦停止する。次に図7(C)に示すように、曲がり角の方向に90°回転し、警備員2を抽出して認識する(S611)。搬送ロボット1は警備員2を認識すると追尾を再開する。
なお、搬送ロボット2は警備員2の画像領域が消失した付近に曲がり角を抽出しない場合(S614「いいえ」)には、警備員2を見失ったものとして走行を停止して待機する。(S622)
【0013】
また、本フローには記載しなかったが、追尾処理として重要なものとして障害物回避処理、緊急停止処理などがある。これらの処理は、自立走行する搬送ロボット1において種々実用化されているので、ここでの説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した現金搬送システムの構成図。
【図2】警備員の服装及びリモコンの外観図。
【図3】搬送ロボットの外観図。
【図4】搬送ロボットの機能ブロック図。
【図5】搬送ロボットの収納庫制御フロー。
【図6】搬送ロボットの走行制御フロー。
【図7】搬送ロボットのコーナリング走行時の位置関係図。
【符号の説明】
1・・・搬送ロボット
2・・・警備員
3・・・現金輸送車
4・・・監視センタ
5・・・携帯電話網

Claims (2)

  1. 搬送者を認識して所定距離を保って追尾する搬送ロボットであって、
    前記搬送ロボットの周囲に設けられ、前記搬送者及び周囲の障害物等を検知する検知手段と、
    走行手段と、
    前記走行手段を制御する走行制御部を具備し、
    前記走行制御部は、前記検知手段で搬送者を認識して追従し、検知部が搬送者を認識できなくなった場合に認識できなくなった場所近傍に曲がり角の存在を認識すると、当該曲がり角を曲がるように走行手段を制御することを特徴とした搬送ロボット。
  2. 前記曲がり角を曲がった後、前記搬送者を再度認識して追尾することを特徴とした請求項1記載の搬送ロボット。
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