JP2004126416A - カメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】周囲との識別が困難な被写体を撮影する際に、被写体を容易に特定することができて迅速な撮影を可能とする。
【解決手段】デジタルカメラ10に赤外光領域における特定波長の赤外光を透過するフィルター48を備え、そのフィルター48をアクチュエータ54により移動させて撮影光軸上へ抜き差し可能となるようにする。また、フィルター48が光軸上に配置された際に撮像デバイス44によって撮像される赤外光画像は、ディスプレイ24にモニター表示させる。人などの被写体には、特定波長の赤外光を発光する赤外光発光装置を装着する。これにより、撮影者がデジタルカメラ10の撮影方向を被写体側に向けると、ディスプレイ24のモニター画像には赤外光発光部が表示される。その赤外光発光部の位置から被写体を容易に特定することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】デジタルカメラ10に赤外光領域における特定波長の赤外光を透過するフィルター48を備え、そのフィルター48をアクチュエータ54により移動させて撮影光軸上へ抜き差し可能となるようにする。また、フィルター48が光軸上に配置された際に撮像デバイス44によって撮像される赤外光画像は、ディスプレイ24にモニター表示させる。人などの被写体には、特定波長の赤外光を発光する赤外光発光装置を装着する。これにより、撮影者がデジタルカメラ10の撮影方向を被写体側に向けると、ディスプレイ24のモニター画像には赤外光発光部が表示される。その赤外光発光部の位置から被写体を容易に特定することができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラに係り、詳細には、赤外光を利用した被写体検出機能を備えるカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラやビデオカメラ等による撮影では、通常は、撮影者が目視で被写体を捉え、おおよそのカメラアングルを定めてからファインダー又はLCDディスプレイ等のモニター画面を確認し撮影している。このような撮影スタイルは、被写体の特定が容易な(周囲の風景などと識別しすい)多くの場合でごく普通に行われていることである。
【0003】
一方、テレビカメラ等の撮影装置においては、撮影時に被写体の特定部位(顔など)の拡大撮影を自動的に行うことができるものが提案されている。この撮影装置は、雲台上に設けたズーム機能付テレビカメラの上部に赤外線カメラを取り付けるとともに、その赤外線カメラによる画像から被写体の顔などの特定部位が空間内のどこに存在するかを検出するための検出手段を設け、検出手段の出力に応じズームレンズ及び雲台を制御することで、被写体の特定部位を画面の中心に捉えるようズームインしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−9128号公報 (第3頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカメラでは、周囲との識別が困難な被写体を撮影する場合、例えば、似たような服装をした人々の中からひとりの人物(被写体)を見つけ出して撮影する場合などは、撮影者が被写体を特定するのに時間を要して迅速に撮影できないことがある。また被写体が移動すると、特定後に見失ってしまうこともあるため、それらによって、決定的なシャッターチャンスを逃してしまうことがある。
【0006】
一方、特許文献1等に示される撮影装置では、撮影用のテレビカメラとは別に赤外線カメラが必要であり、さらに赤外線画像の中から特定部位を検出する検出回路部、テレビカメラのアングルやズーム等を制御する制御回路部等も必要であるため、装置構成が複雑で高価となる。そのため、民生用の携帯型カメラ等には容易に適用することができない。
【0007】
本発明は上記事実を考慮して、周囲との識別が困難な被写体を撮影する場合でも、被写体を容易に特定することができて迅速な撮影を可能としたカメラを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、被写体からの光を記録する記録手段と、前記記録手段への入射光路上へ抜き差し可能に設けられ、特定波長の赤外光を透過又は特定波長以外の赤外光をカットするフィルターと、前記特定波長の赤外光を含む前記被写体からの光を画像表示する表示手段と、を有することを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の発明では、被写体からの光が、例えば、CCD等の撮像デバイスやフィルム等の記録媒体を含む記録手段に記録されて、被写体の撮影が行われる。記録手段への入射光路上へは、赤外光領域における特定波長の赤外光を透過する、又は特定波長以外の赤外光をカットするフィルターが抜き差し可能に設けられ、そのフィルターが入射光路上に配置されると、特定波長の赤外光が検出される。そして、例えば、LCDディスプレイや電子式ファインダー(EVF)等の表示手段には、特定波長の赤外光を含む被写体からの光を上記の撮像デバイス等によって撮像した画像が表示される。
【0010】
これにより、撮影者は、表示手段を視認することで画像内における特定波長の赤外光の位置が確認できるようになる。また被写体には、特定波長の赤外光を発光する発光手段等を装着する。これによって、表示手段に表示された画像の赤外光発光部の位置から、被写体の位置が特定できるようになる。なお、被写体が人の場合は、上記のような赤外光発光手段を用いることが有効であるが、自ら赤外光を発する生物や人工物等が被写体の場合は、そのような赤外光発光手段を用いなくても被写体の特定及び撮影が可能である。
【0011】
これにより、被写体が周囲と識別しにくい場合でも、表示手段に表示される画像の赤外光発光部の位置を確認することで被写体の位置を特定することができ、迅速にカメラアングルが決められる。またカメラアングルの設定後は、そのままの状態で、通常の撮影モードに切り替えることにより、すなわち、入射光路上のフィルターを退避させ赤外光を検出しないモードに切り替えることにより、被写体の可視光画像を撮影することができる。
【0012】
したがって、周囲との識別が困難な被写体を撮影する場合でも、被写体を容易に特定することができて、迅速な撮影が可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のカメラにおいて、前記フィルターは狭波長範囲の赤外光を透過する透過フィルターとされ、前記狭波長範囲を含む広波長範囲の赤外光をカットするとともに前記入射光路上へ抜き差し可能とされたカットフィルターを更に備えることを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明では、上記のフィルターに、狭波長範囲の赤外光を透過する透過フィルターを用いて特定波長の赤外光を検出することにより、特定波長以外の赤外光の遮光精度(非検出精度)が向上する。これにより、特定波長以外の赤外光によって生じる赤外光画像内のノイズが抑えられ、所望の赤外光発光部の位置をより正確に特定することができる。
【0015】
また、上記の透過フィルターとは別に、入射光路上へ抜き差し可能なカットフィルターを設け、そのカットフィルターによって、上記の狭波長範囲を含む広波長範囲の赤外光をカットすることにより、赤外光を全てカットした通常撮影モード(可視光による撮影)への切り替えを、簡単な構成により実現することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載のカメラにおいて、前記フィルターは、前記特定波長範囲の赤外光の透過率が異なる少なくとも2以上の透過フィルターを備え、その透過フィルターがそれぞれ前記入射光路上へ抜き差し可能とされていることを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明では、特定波長範囲の赤外光の透過率が異なる少なくとも2以上の透過フィルターを、入射光路上へ個別に、あるいは共に配置することで、赤外光画像に表示される赤外光発光部のコントラスト(輝度)が変更可能となる。そして例えば、可視光に赤外光を加えた画像を表示するモードを設けることで、同一画面により被写体と赤外光発光部の位置とが同時に確認できるようになる。そしてその際は、被写体画像に対する赤外光発光部のコントラストを変えることで、各光により写される画像のそれぞれの視認性を確保することができる。
【0018】
これにより、被写体が移動する場合は、被写体の移動に伴う赤外光発光部の動きを被写体と共に画像で確認することができ、よって、被写体を見失うことを防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1〜図3には、本発明の一実施形態に係るデジタルカメラが示されている。以下、撮影光軸Pの光入射方向を前方(矢印FR)として説明する。
【0021】
本実施形態のデジタルカメラ10は、図示のような箱型のコンパクトタイプであり、カメラボディ12の上面一側端部にシャッタボタン14が設けられている。カメラボディ12の前面略中央部には、撮影レンズ16を組み込んだレンズ鏡筒部18が設けられ、撮影レンズ16については、ステッピングモータ等の駆動源により駆動されて焦点位置を変更するオートフォーカス(AF)機構を備えたズームレンズとなっている。また、シャッタボタン14側の上隅部近傍に、ストロボ発光部20が設けられている。
【0022】
図2に示されるように、カメラボディ12の背面には、上部略中央にファインダ22が設けられており、ファインダ22の下方に、LCDからなるカラー表示のディスプレイ24が配置されている。ディスプレイ24の側方には、上から順に、電源スイッチ26及び被写体検出モード選択ボタン28、30、近距離撮影時に設定するマクロボタン32、強制的にストロボを発光させる強制ストロボボタン34、ディスプレイ24に表示され各種設定画面内のカーソルを移動させるカーソルボタン36、ディスプレイ24に表示する画像の各種設定等を行う設定ボタン38、40、42が設けられている。
【0023】
また、図3の概略縦断面図に示されるように、カメラボディ12の内部には、撮影レンズ16の焦点位置に相当する位置に、電子シャッタ機構を設けたエリアCCDからなる撮像デバイス44が配置されている。この撮像デバイス44の受光面44Aに、撮影レンズ16へ入射した被写体からの光(反射光及び発光光)が結像され、画像が撮影される。
【0024】
また、撮影レンズ16と撮像デバイス44との間には、並列に配置された3種類のフィルター46、48、50が設けられている。フィルターの配置については、撮像デバイス44側からフィルター46、48、50の順に並べられている。各フィルターは、カメラボディ12内の下部側に配置されたソレノイド等のアクチュエータ52、54、56にそれぞれ連結支持されており、各アクチュエータは、コントローラ58に接続されて個別に駆動制御される。
【0025】
コントローラ58からの駆動信号により、アクチュエータ52、54、56が撮影光軸Pとの直交方向(図中の矢印A方向)に駆動すると、フィルター46、48、50は平行に移動して、撮影レンズ16と撮像デバイス44との間の光路上へ抜き差しされる。さらにコントローラ58には、前述したシャッタボタン14等のボタン類や、ストロボ発光部20、ディスプレイ24、撮像デバイス44が接続されており、他にも、図示しない駆動源や制御回路部等が接続されている。なお、光路上に配置されるフィルター46、48、50は、被写体検出モード選択ボタン28、30の操作によって切り替えられるようになっている。
【0026】
図4には、各フィルターの透過特性(透過する光の波長と透過率の関係)が示されている。
【0027】
実線で示されるフィルター46は、可視光波長領域(400nm〜750nm)の光を透過する特性のフィルターであり(透過率95%程度)、これは、可視光領域よりも広い領域の光感度を有する撮像デバイス44に対して可視光領域の光を入射させるためのものである。
【0028】
二点鎖線で示されるフィルター48は、赤外光波長領域における特定の波長(本実施形態では約850nm〜900nm)の赤外光を透過する特性をもったバンドパスフィルターである(透過率95%程度)。
【0029】
一点鎖線で示されるフィルター50は、可視光波長領域に加え、上記の特定の波長を含む領域の光まで透過する特性をもったフィルターである。ただしその透過率は、他のフィルターの2/3〜1/3程度とされている(可視光の透過率が60%程度で特定波長赤外光の透過率が30〜40%程度)。
【0030】
また図5には、人などの被写体を検出するために被写体に装着される赤外光発光装置が示されている。図5(A)は、赤外光発光装置を単体で示したものであり、図5(B)は、赤外光発光装置を被写体に取り付けるための補助装着具を示したものである。
【0031】
赤外光発光装置60は、図示のような円盤状の装置本体62を備えている。装置本体62の内部には、特定波長(850nm〜900nm程度)の赤外光を発光する赤外光LED64、及び、回路基板や交換可能な電源電池等が組み込まれている。装置本体62の上面には、光透過性プラスチックによって略ドーム状に形成されたカバー66が設けられており、赤外光LED64は、そのカバー66に覆われて保護されている。また、赤外光LED64の点灯及び消灯は、装置本体62の外周面に設けられたスライドスイッチ68によって切り替えられるようになっている。
【0032】
この赤外光発光装置60は、本実施形態では、図5(B)に示すような腕章型の補助装着具70に固定され、補助装着具70が被写体の上腕部に取り付けられることによって被写体に装着される。なお、補助装着具については、上記の腕章型以外でもよく、例えば、クリップやピン等として、被写体の衣服や帽子等に取り付けるようにすることもできる。
【0033】
次に、上述したデジタルカメラ10の作用について説明する。
【0034】
本実施形態のデジタルカメラ10には、周囲との識別が困難な被写体を撮影すする際に、撮影者による被写体の識別及び特定を助けるための2種類の被写体検出モードが設けられている。ひとつは、主に、動きの少ない被写体をより確実に検出するためのモードであり(以下、「検出優先モード」という)、もうひとつは、主に、動きのある被写体を見失わないようにするためのモードである(以下、「検出確認モード」という)。以下、その各モードを利用した被写体の検出から撮影までの手順を、図6及び図7を用いて説明する。
【0035】
図6(A)に示す例は、撮影者から見て横方向に並んだ複数の人物82A、82B、82C、82D、…82Nの中から、被写体となるひとりの人物82Bを識別・特定して撮影する場合である。またここでは、各人が競技等に参加して同じユニフォームを着ており、そのため、特定の被写体が識別しなくい状況である。
【0036】
被写体となる人物82Bは、上腕部に補助装着具70を介して赤外光発光装置60を装着しており、赤外光発光装置60は赤外光の発光がONに設定されている。
【0037】
撮影者は、デジタルカメラ10の被写体検出モード選択ボタン28を押圧操作して、検出優先モードに設定する。デジタルカメラ10が検出優先モードに切り替わると、そのモードが選択されていることを示すタイトル又はアイコンがディスプレイ24に表示される。それと同時に、コントローラ58からの駆動信号によってアクチュエータ54がフィルター48を光路上(撮影光軸P)へ配置する方向に駆動し、アクチュエータ52、56は、フィルター46、50を光路上から退避する方向に駆動する。
【0038】
これにより、撮像デバイス44の受光面44Aには、撮影レンズ16へ入射した光のうち、光路上にあるフィルター48を透過した光のみが、すなわち、赤外光波長領域における特定波長の赤外光のみが結像される。そして図6(B)に示すように、ディスプレイ24に表示されたモニター画像84には、撮像デバイス44によって受光された特定波長の赤外光発光部86が高輝度で表示され、二点鎖線で示した人物の輪郭等は、赤外光発光部86に比べて低輝度に表示される。
【0039】
また、本実施形態では、特定波長の赤外光を透過するフィルターに狭波長範囲の赤外光を透過するバンドパスフィルターを用いていることで、特定波長以外の赤外光の遮光精度が高められている。これにより、特定波長以外の赤外光により生じるモニター画像内のノイズが抑えられ、赤外光発光部86がより鮮明に表示される。
【0040】
また、カメラアングルのずれが大きいために、モニター画像84に赤外光発光部86が表示されない場合は、デジタルカメラ10の撮影方向をずらすことにより(図6の例では横方向等)、赤外光発光装置60が画角内に入った際は赤外光発光部86がモニター画像84に表示される。
【0041】
このようにして、赤外光発光部86がモニター画像84内に収まる方向に撮影方向を向けることで、おおよそのカメラアングルが決まる。そして、その状態を保ったまま通常の撮影モードに切り替える。
【0042】
そのため、被写体検出モード選択ボタン28を再び押圧操作すると、コントローラ58はモードを解除するための信号を送信する。これにより、アクチュエータ52、54は反対方向に駆動して、フィルター46のみが光路上に配置される。したがって、撮像デバイス44により、フィルター48を透過した可視光の画像が撮像され、ディスプレイ24には、図6(B)に示すような、赤外光発光部のないモニター画像86が表示される。
【0043】
撮影者は、そのモニター画像88に表示された人物82Bの撮影画像90を確認し、例えば、図6(C)に示すように、撮影画像90がモニター画像92の中央になるようカメラアングルを調整し、ズーム等の設定を行って撮影する。
【0044】
以上により、周囲との識別が困難な被写体を撮影する場合でも、被写体を容易に特定することができて、迅速な撮影が可能となる。
【0045】
次に、動きのある被写体を見失わないようにする撮影方法について説明する。
【0046】
図7(A)に示す撮影例は、図6(A)と同様、撮影者から見て横方向に並んだ複数の人物の中から、ひとりの人物を被写体として撮影する場合であるが、ここでは、人物82B(被写体)が、右側にいる人物82Cの後方を通って右方向に移動する。このような場合、上述した検出優先モードでは、人物82B(赤外光発光装置60)が人物82Cの後ろに隠れると、モニター画像に表示されていた赤外光発光部が消えてしまう。また、モニター画像に表示される被写体等の撮影画像は低輝度であるため、画面からは被写体の動きなどを確認しにくい面がある。そして、赤外光発光部が消えた際に、撮影者が慌ててカメラアングルを変えてしまうと、被写体を完全に見失っていしまうことになる。そのため、このような場合には、以下に説明する検出確認モードを用いての被写体検出が有効となる。
【0047】
検出確認モードを選択するには、デジタルカメラ10の被写体検出モード選択ボタン30を押圧操作することによって行う。ボタン操作によってデジタルカメラ10が検出確認モードに切り替わると、ディスプレイ24には、そのモードが選択されていることを示すタイトル又はアイコンが表示される。同時に、コントローラ58からの駆動信号によってアクチュエータ56がフィルター50を光路上(撮影光軸P)へ配置する方向に駆動し、アクチュエータ52、54は、フィルター46、48を光路上から退避する方向に駆動する。
【0048】
これにより、撮像デバイス44の受光面44Aには、フィルター50を透過した可視光及び特定波長の赤外光を含む所定領域の赤外光のみが結像される。そのため、図7(B)に示すように、ディスプレイ24に表示されたモニター画像94には、特定波長の赤外光発光部96に加え、人物82B等の撮影画像98が表示される。ただし、フィルター50の透過率は、可視光領域よりも赤外光領域の方が少し低くされているため、赤外光発光部96の輝度は抑えられている。
【0049】
そして、人物82Bが移動し人物82Cの後ろに隠れると、図7(C)に示すように、モニター画像100からは赤外光発光部96が消える。しかし、モニター画像100には撮影画像98が表示されているため、撮影者は、撮影画像98(人物82B)の動きを見ながら、人物82B(赤外光発光装置60)が人物82Cに隠れたことを確認し、その状況を認識できる。
【0050】
さらに、人物82Bが移動して人物82Cの背後から現れると、図7(D)に示すように、モニター画像100には再び赤外光発光部96が表示される。
【0051】
そして撮影者がシャッターチャンスと思ったときは、検出確認モードを解除して通常の撮影モードに切り替える。操作としては、被写体検出モード選択ボタン30の押圧操作となり、このモード切り替えによって、コントローラ58からの駆動信号によりアクチュエータ52、56が反対方向に駆動して、フィルター46のみが光路上に配置される。したがって、ディスプレイ24には、図7(C)に示すような、撮影する画像と同等のモニター画像104が表示され、撮影者のシャッタボタン操作により撮影が実行される。
【0052】
以上説明したように、本実施形態のデジタルカメラ10では、撮像デバイス44への入射光路上に、赤外光領域における特定波長の赤外光を透過するフィルター48が抜き差し可能に設けられ、フィルター48が入射光路上に配置されると、特定波長の赤外光が検出される。そして、ディスプレイ24には、特定波長の赤外光を含む被写体からの光を上記の撮像デバイス44によって撮像したモニター画像が表示される。
【0053】
これにより、被写体が周囲と識別しにくい場合でも、被写体が装着した赤外光発光装置60からの赤外光を撮影した際に、ディスプレイ24に表示される赤外光発光部の位置を確認することで被写体の位置を特定することができ、迅速にカメラアングルを決めることができる。またカメラアングルの設定後は、そのままの状態で、通常の撮影モードに切り替えることにより撮影可能となる。
【0054】
したがって、周囲との識別が困難な被写体を撮影する場合でも、被写体を容易に特定することができて、迅速な撮影が可能となる。
【0055】
また本実施形態では、上記のフィルター48に、狭波長範囲の赤外光を透過する透過フィルターを用いて特定波長の赤外光を検出することにより、特定波長以外の赤外光の遮光精度(非検出精度)が向上する。これにより、特定波長以外の赤外光によって生じる赤外光画像内のノイズが抑えられ、赤外光発光部の位置をより正確に特定することができる。
【0056】
また、フィルター48とは別に、入射光路上へ抜き差し可能なフィルター(赤外光カットフィルター)46を設け、そのフィルター46によって、上記の狭波長範囲を含む広波長範囲の赤外光をカットすることにより、赤外光を全てカットした通常撮影モード(可視光による撮影)への切り替えを、簡単な構成により実現することができる。
【0057】
さらに本実施形態では、特定波長範囲の赤外光の透過率が異なる2種類のフィルター46、50を備え、各フィルターを入射光路上へ個別に配置できることで、赤外光画像における赤外光発光部の輝度が変更可能となる。そして、可視光に赤外光を加えた画像を表示するモード(検出確認モード)を設けたことで、モニター画面により、被写体と赤外光発光部の位置とが同時に確認できるようになる。そしてその際は、被写体画像に対する赤外光発光部の輝度が抑えられていることにより、各光で写される画像のそれぞれの視認性を確保することができる。これにより、被写体が移動する場合は、被写体の移動に伴う赤外光発光部の動きを被写体と共にモニター画像で確認することができ、よって、被写体を見失うことが防止できる。
【0058】
以上、本発明を上述した特定の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
【0059】
例えば、本実施形態では、フィルター46、48、50を入射光路上へ抜き差し可能とするために、アクチュエータを用いていて平行移動させているが、それ以外の機構を用いることもできる。例えば、図8に示すような、回転機構のターレット108を用い、各フィルターを回転移動させて交換することもできる。またその場合は、ズーム機構用のステッピングモータを駆動源として用いることも可能である。
【0060】
また本発明は、上述したコンパクトスタイプ以外のデジタルカメラやビデオカメラにも適用することができ、さらには銀塩カメラ等にも適用可能である。
【0061】
【発明の効果】
本発明のカメラは上記構成としたので、周囲との識別が困難な被写体を撮影する場合でも、被写体を容易に特定することができて迅速な撮影が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタルカメラを正面側から見た外観図である。
【図2】図1のデジタルカメラを背面側から見た外観図である。
【図3】図1のデジタルカメラの概略縦断面図である。
【図4】フィルターの透過特性を示した図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る赤外光発光装置を示した斜視図で、(A)が赤外光発光装置の単体の状態であり、(B)が赤外光発光装置を補助装着具に固定した状態である。
【図6】本発明の一実施形態に係るデジタルカメラによって被写体を検出し撮影する一例を示した説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るデジタルカメラによって被写体を検出し撮影する他の例を示した説明図である。
【図8】フィルター交換機構の変形例を示したデジタルカメラの外観図である。
【符号の説明】
10 デジタルカメラ(カメラ)
24 ディスプレイ(表示手段)
44 撮像デバイス(記録手段)
46 フィルター
48 フィルター
50 フィルター
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラに係り、詳細には、赤外光を利用した被写体検出機能を備えるカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルカメラやビデオカメラ等による撮影では、通常は、撮影者が目視で被写体を捉え、おおよそのカメラアングルを定めてからファインダー又はLCDディスプレイ等のモニター画面を確認し撮影している。このような撮影スタイルは、被写体の特定が容易な(周囲の風景などと識別しすい)多くの場合でごく普通に行われていることである。
【0003】
一方、テレビカメラ等の撮影装置においては、撮影時に被写体の特定部位(顔など)の拡大撮影を自動的に行うことができるものが提案されている。この撮影装置は、雲台上に設けたズーム機能付テレビカメラの上部に赤外線カメラを取り付けるとともに、その赤外線カメラによる画像から被写体の顔などの特定部位が空間内のどこに存在するかを検出するための検出手段を設け、検出手段の出力に応じズームレンズ及び雲台を制御することで、被写体の特定部位を画面の中心に捉えるようズームインしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−9128号公報 (第3頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカメラでは、周囲との識別が困難な被写体を撮影する場合、例えば、似たような服装をした人々の中からひとりの人物(被写体)を見つけ出して撮影する場合などは、撮影者が被写体を特定するのに時間を要して迅速に撮影できないことがある。また被写体が移動すると、特定後に見失ってしまうこともあるため、それらによって、決定的なシャッターチャンスを逃してしまうことがある。
【0006】
一方、特許文献1等に示される撮影装置では、撮影用のテレビカメラとは別に赤外線カメラが必要であり、さらに赤外線画像の中から特定部位を検出する検出回路部、テレビカメラのアングルやズーム等を制御する制御回路部等も必要であるため、装置構成が複雑で高価となる。そのため、民生用の携帯型カメラ等には容易に適用することができない。
【0007】
本発明は上記事実を考慮して、周囲との識別が困難な被写体を撮影する場合でも、被写体を容易に特定することができて迅速な撮影を可能としたカメラを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、被写体からの光を記録する記録手段と、前記記録手段への入射光路上へ抜き差し可能に設けられ、特定波長の赤外光を透過又は特定波長以外の赤外光をカットするフィルターと、前記特定波長の赤外光を含む前記被写体からの光を画像表示する表示手段と、を有することを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の発明では、被写体からの光が、例えば、CCD等の撮像デバイスやフィルム等の記録媒体を含む記録手段に記録されて、被写体の撮影が行われる。記録手段への入射光路上へは、赤外光領域における特定波長の赤外光を透過する、又は特定波長以外の赤外光をカットするフィルターが抜き差し可能に設けられ、そのフィルターが入射光路上に配置されると、特定波長の赤外光が検出される。そして、例えば、LCDディスプレイや電子式ファインダー(EVF)等の表示手段には、特定波長の赤外光を含む被写体からの光を上記の撮像デバイス等によって撮像した画像が表示される。
【0010】
これにより、撮影者は、表示手段を視認することで画像内における特定波長の赤外光の位置が確認できるようになる。また被写体には、特定波長の赤外光を発光する発光手段等を装着する。これによって、表示手段に表示された画像の赤外光発光部の位置から、被写体の位置が特定できるようになる。なお、被写体が人の場合は、上記のような赤外光発光手段を用いることが有効であるが、自ら赤外光を発する生物や人工物等が被写体の場合は、そのような赤外光発光手段を用いなくても被写体の特定及び撮影が可能である。
【0011】
これにより、被写体が周囲と識別しにくい場合でも、表示手段に表示される画像の赤外光発光部の位置を確認することで被写体の位置を特定することができ、迅速にカメラアングルが決められる。またカメラアングルの設定後は、そのままの状態で、通常の撮影モードに切り替えることにより、すなわち、入射光路上のフィルターを退避させ赤外光を検出しないモードに切り替えることにより、被写体の可視光画像を撮影することができる。
【0012】
したがって、周囲との識別が困難な被写体を撮影する場合でも、被写体を容易に特定することができて、迅速な撮影が可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のカメラにおいて、前記フィルターは狭波長範囲の赤外光を透過する透過フィルターとされ、前記狭波長範囲を含む広波長範囲の赤外光をカットするとともに前記入射光路上へ抜き差し可能とされたカットフィルターを更に備えることを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の発明では、上記のフィルターに、狭波長範囲の赤外光を透過する透過フィルターを用いて特定波長の赤外光を検出することにより、特定波長以外の赤外光の遮光精度(非検出精度)が向上する。これにより、特定波長以外の赤外光によって生じる赤外光画像内のノイズが抑えられ、所望の赤外光発光部の位置をより正確に特定することができる。
【0015】
また、上記の透過フィルターとは別に、入射光路上へ抜き差し可能なカットフィルターを設け、そのカットフィルターによって、上記の狭波長範囲を含む広波長範囲の赤外光をカットすることにより、赤外光を全てカットした通常撮影モード(可視光による撮影)への切り替えを、簡単な構成により実現することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載のカメラにおいて、前記フィルターは、前記特定波長範囲の赤外光の透過率が異なる少なくとも2以上の透過フィルターを備え、その透過フィルターがそれぞれ前記入射光路上へ抜き差し可能とされていることを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明では、特定波長範囲の赤外光の透過率が異なる少なくとも2以上の透過フィルターを、入射光路上へ個別に、あるいは共に配置することで、赤外光画像に表示される赤外光発光部のコントラスト(輝度)が変更可能となる。そして例えば、可視光に赤外光を加えた画像を表示するモードを設けることで、同一画面により被写体と赤外光発光部の位置とが同時に確認できるようになる。そしてその際は、被写体画像に対する赤外光発光部のコントラストを変えることで、各光により写される画像のそれぞれの視認性を確保することができる。
【0018】
これにより、被写体が移動する場合は、被写体の移動に伴う赤外光発光部の動きを被写体と共に画像で確認することができ、よって、被写体を見失うことを防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1〜図3には、本発明の一実施形態に係るデジタルカメラが示されている。以下、撮影光軸Pの光入射方向を前方(矢印FR)として説明する。
【0021】
本実施形態のデジタルカメラ10は、図示のような箱型のコンパクトタイプであり、カメラボディ12の上面一側端部にシャッタボタン14が設けられている。カメラボディ12の前面略中央部には、撮影レンズ16を組み込んだレンズ鏡筒部18が設けられ、撮影レンズ16については、ステッピングモータ等の駆動源により駆動されて焦点位置を変更するオートフォーカス(AF)機構を備えたズームレンズとなっている。また、シャッタボタン14側の上隅部近傍に、ストロボ発光部20が設けられている。
【0022】
図2に示されるように、カメラボディ12の背面には、上部略中央にファインダ22が設けられており、ファインダ22の下方に、LCDからなるカラー表示のディスプレイ24が配置されている。ディスプレイ24の側方には、上から順に、電源スイッチ26及び被写体検出モード選択ボタン28、30、近距離撮影時に設定するマクロボタン32、強制的にストロボを発光させる強制ストロボボタン34、ディスプレイ24に表示され各種設定画面内のカーソルを移動させるカーソルボタン36、ディスプレイ24に表示する画像の各種設定等を行う設定ボタン38、40、42が設けられている。
【0023】
また、図3の概略縦断面図に示されるように、カメラボディ12の内部には、撮影レンズ16の焦点位置に相当する位置に、電子シャッタ機構を設けたエリアCCDからなる撮像デバイス44が配置されている。この撮像デバイス44の受光面44Aに、撮影レンズ16へ入射した被写体からの光(反射光及び発光光)が結像され、画像が撮影される。
【0024】
また、撮影レンズ16と撮像デバイス44との間には、並列に配置された3種類のフィルター46、48、50が設けられている。フィルターの配置については、撮像デバイス44側からフィルター46、48、50の順に並べられている。各フィルターは、カメラボディ12内の下部側に配置されたソレノイド等のアクチュエータ52、54、56にそれぞれ連結支持されており、各アクチュエータは、コントローラ58に接続されて個別に駆動制御される。
【0025】
コントローラ58からの駆動信号により、アクチュエータ52、54、56が撮影光軸Pとの直交方向(図中の矢印A方向)に駆動すると、フィルター46、48、50は平行に移動して、撮影レンズ16と撮像デバイス44との間の光路上へ抜き差しされる。さらにコントローラ58には、前述したシャッタボタン14等のボタン類や、ストロボ発光部20、ディスプレイ24、撮像デバイス44が接続されており、他にも、図示しない駆動源や制御回路部等が接続されている。なお、光路上に配置されるフィルター46、48、50は、被写体検出モード選択ボタン28、30の操作によって切り替えられるようになっている。
【0026】
図4には、各フィルターの透過特性(透過する光の波長と透過率の関係)が示されている。
【0027】
実線で示されるフィルター46は、可視光波長領域(400nm〜750nm)の光を透過する特性のフィルターであり(透過率95%程度)、これは、可視光領域よりも広い領域の光感度を有する撮像デバイス44に対して可視光領域の光を入射させるためのものである。
【0028】
二点鎖線で示されるフィルター48は、赤外光波長領域における特定の波長(本実施形態では約850nm〜900nm)の赤外光を透過する特性をもったバンドパスフィルターである(透過率95%程度)。
【0029】
一点鎖線で示されるフィルター50は、可視光波長領域に加え、上記の特定の波長を含む領域の光まで透過する特性をもったフィルターである。ただしその透過率は、他のフィルターの2/3〜1/3程度とされている(可視光の透過率が60%程度で特定波長赤外光の透過率が30〜40%程度)。
【0030】
また図5には、人などの被写体を検出するために被写体に装着される赤外光発光装置が示されている。図5(A)は、赤外光発光装置を単体で示したものであり、図5(B)は、赤外光発光装置を被写体に取り付けるための補助装着具を示したものである。
【0031】
赤外光発光装置60は、図示のような円盤状の装置本体62を備えている。装置本体62の内部には、特定波長(850nm〜900nm程度)の赤外光を発光する赤外光LED64、及び、回路基板や交換可能な電源電池等が組み込まれている。装置本体62の上面には、光透過性プラスチックによって略ドーム状に形成されたカバー66が設けられており、赤外光LED64は、そのカバー66に覆われて保護されている。また、赤外光LED64の点灯及び消灯は、装置本体62の外周面に設けられたスライドスイッチ68によって切り替えられるようになっている。
【0032】
この赤外光発光装置60は、本実施形態では、図5(B)に示すような腕章型の補助装着具70に固定され、補助装着具70が被写体の上腕部に取り付けられることによって被写体に装着される。なお、補助装着具については、上記の腕章型以外でもよく、例えば、クリップやピン等として、被写体の衣服や帽子等に取り付けるようにすることもできる。
【0033】
次に、上述したデジタルカメラ10の作用について説明する。
【0034】
本実施形態のデジタルカメラ10には、周囲との識別が困難な被写体を撮影すする際に、撮影者による被写体の識別及び特定を助けるための2種類の被写体検出モードが設けられている。ひとつは、主に、動きの少ない被写体をより確実に検出するためのモードであり(以下、「検出優先モード」という)、もうひとつは、主に、動きのある被写体を見失わないようにするためのモードである(以下、「検出確認モード」という)。以下、その各モードを利用した被写体の検出から撮影までの手順を、図6及び図7を用いて説明する。
【0035】
図6(A)に示す例は、撮影者から見て横方向に並んだ複数の人物82A、82B、82C、82D、…82Nの中から、被写体となるひとりの人物82Bを識別・特定して撮影する場合である。またここでは、各人が競技等に参加して同じユニフォームを着ており、そのため、特定の被写体が識別しなくい状況である。
【0036】
被写体となる人物82Bは、上腕部に補助装着具70を介して赤外光発光装置60を装着しており、赤外光発光装置60は赤外光の発光がONに設定されている。
【0037】
撮影者は、デジタルカメラ10の被写体検出モード選択ボタン28を押圧操作して、検出優先モードに設定する。デジタルカメラ10が検出優先モードに切り替わると、そのモードが選択されていることを示すタイトル又はアイコンがディスプレイ24に表示される。それと同時に、コントローラ58からの駆動信号によってアクチュエータ54がフィルター48を光路上(撮影光軸P)へ配置する方向に駆動し、アクチュエータ52、56は、フィルター46、50を光路上から退避する方向に駆動する。
【0038】
これにより、撮像デバイス44の受光面44Aには、撮影レンズ16へ入射した光のうち、光路上にあるフィルター48を透過した光のみが、すなわち、赤外光波長領域における特定波長の赤外光のみが結像される。そして図6(B)に示すように、ディスプレイ24に表示されたモニター画像84には、撮像デバイス44によって受光された特定波長の赤外光発光部86が高輝度で表示され、二点鎖線で示した人物の輪郭等は、赤外光発光部86に比べて低輝度に表示される。
【0039】
また、本実施形態では、特定波長の赤外光を透過するフィルターに狭波長範囲の赤外光を透過するバンドパスフィルターを用いていることで、特定波長以外の赤外光の遮光精度が高められている。これにより、特定波長以外の赤外光により生じるモニター画像内のノイズが抑えられ、赤外光発光部86がより鮮明に表示される。
【0040】
また、カメラアングルのずれが大きいために、モニター画像84に赤外光発光部86が表示されない場合は、デジタルカメラ10の撮影方向をずらすことにより(図6の例では横方向等)、赤外光発光装置60が画角内に入った際は赤外光発光部86がモニター画像84に表示される。
【0041】
このようにして、赤外光発光部86がモニター画像84内に収まる方向に撮影方向を向けることで、おおよそのカメラアングルが決まる。そして、その状態を保ったまま通常の撮影モードに切り替える。
【0042】
そのため、被写体検出モード選択ボタン28を再び押圧操作すると、コントローラ58はモードを解除するための信号を送信する。これにより、アクチュエータ52、54は反対方向に駆動して、フィルター46のみが光路上に配置される。したがって、撮像デバイス44により、フィルター48を透過した可視光の画像が撮像され、ディスプレイ24には、図6(B)に示すような、赤外光発光部のないモニター画像86が表示される。
【0043】
撮影者は、そのモニター画像88に表示された人物82Bの撮影画像90を確認し、例えば、図6(C)に示すように、撮影画像90がモニター画像92の中央になるようカメラアングルを調整し、ズーム等の設定を行って撮影する。
【0044】
以上により、周囲との識別が困難な被写体を撮影する場合でも、被写体を容易に特定することができて、迅速な撮影が可能となる。
【0045】
次に、動きのある被写体を見失わないようにする撮影方法について説明する。
【0046】
図7(A)に示す撮影例は、図6(A)と同様、撮影者から見て横方向に並んだ複数の人物の中から、ひとりの人物を被写体として撮影する場合であるが、ここでは、人物82B(被写体)が、右側にいる人物82Cの後方を通って右方向に移動する。このような場合、上述した検出優先モードでは、人物82B(赤外光発光装置60)が人物82Cの後ろに隠れると、モニター画像に表示されていた赤外光発光部が消えてしまう。また、モニター画像に表示される被写体等の撮影画像は低輝度であるため、画面からは被写体の動きなどを確認しにくい面がある。そして、赤外光発光部が消えた際に、撮影者が慌ててカメラアングルを変えてしまうと、被写体を完全に見失っていしまうことになる。そのため、このような場合には、以下に説明する検出確認モードを用いての被写体検出が有効となる。
【0047】
検出確認モードを選択するには、デジタルカメラ10の被写体検出モード選択ボタン30を押圧操作することによって行う。ボタン操作によってデジタルカメラ10が検出確認モードに切り替わると、ディスプレイ24には、そのモードが選択されていることを示すタイトル又はアイコンが表示される。同時に、コントローラ58からの駆動信号によってアクチュエータ56がフィルター50を光路上(撮影光軸P)へ配置する方向に駆動し、アクチュエータ52、54は、フィルター46、48を光路上から退避する方向に駆動する。
【0048】
これにより、撮像デバイス44の受光面44Aには、フィルター50を透過した可視光及び特定波長の赤外光を含む所定領域の赤外光のみが結像される。そのため、図7(B)に示すように、ディスプレイ24に表示されたモニター画像94には、特定波長の赤外光発光部96に加え、人物82B等の撮影画像98が表示される。ただし、フィルター50の透過率は、可視光領域よりも赤外光領域の方が少し低くされているため、赤外光発光部96の輝度は抑えられている。
【0049】
そして、人物82Bが移動し人物82Cの後ろに隠れると、図7(C)に示すように、モニター画像100からは赤外光発光部96が消える。しかし、モニター画像100には撮影画像98が表示されているため、撮影者は、撮影画像98(人物82B)の動きを見ながら、人物82B(赤外光発光装置60)が人物82Cに隠れたことを確認し、その状況を認識できる。
【0050】
さらに、人物82Bが移動して人物82Cの背後から現れると、図7(D)に示すように、モニター画像100には再び赤外光発光部96が表示される。
【0051】
そして撮影者がシャッターチャンスと思ったときは、検出確認モードを解除して通常の撮影モードに切り替える。操作としては、被写体検出モード選択ボタン30の押圧操作となり、このモード切り替えによって、コントローラ58からの駆動信号によりアクチュエータ52、56が反対方向に駆動して、フィルター46のみが光路上に配置される。したがって、ディスプレイ24には、図7(C)に示すような、撮影する画像と同等のモニター画像104が表示され、撮影者のシャッタボタン操作により撮影が実行される。
【0052】
以上説明したように、本実施形態のデジタルカメラ10では、撮像デバイス44への入射光路上に、赤外光領域における特定波長の赤外光を透過するフィルター48が抜き差し可能に設けられ、フィルター48が入射光路上に配置されると、特定波長の赤外光が検出される。そして、ディスプレイ24には、特定波長の赤外光を含む被写体からの光を上記の撮像デバイス44によって撮像したモニター画像が表示される。
【0053】
これにより、被写体が周囲と識別しにくい場合でも、被写体が装着した赤外光発光装置60からの赤外光を撮影した際に、ディスプレイ24に表示される赤外光発光部の位置を確認することで被写体の位置を特定することができ、迅速にカメラアングルを決めることができる。またカメラアングルの設定後は、そのままの状態で、通常の撮影モードに切り替えることにより撮影可能となる。
【0054】
したがって、周囲との識別が困難な被写体を撮影する場合でも、被写体を容易に特定することができて、迅速な撮影が可能となる。
【0055】
また本実施形態では、上記のフィルター48に、狭波長範囲の赤外光を透過する透過フィルターを用いて特定波長の赤外光を検出することにより、特定波長以外の赤外光の遮光精度(非検出精度)が向上する。これにより、特定波長以外の赤外光によって生じる赤外光画像内のノイズが抑えられ、赤外光発光部の位置をより正確に特定することができる。
【0056】
また、フィルター48とは別に、入射光路上へ抜き差し可能なフィルター(赤外光カットフィルター)46を設け、そのフィルター46によって、上記の狭波長範囲を含む広波長範囲の赤外光をカットすることにより、赤外光を全てカットした通常撮影モード(可視光による撮影)への切り替えを、簡単な構成により実現することができる。
【0057】
さらに本実施形態では、特定波長範囲の赤外光の透過率が異なる2種類のフィルター46、50を備え、各フィルターを入射光路上へ個別に配置できることで、赤外光画像における赤外光発光部の輝度が変更可能となる。そして、可視光に赤外光を加えた画像を表示するモード(検出確認モード)を設けたことで、モニター画面により、被写体と赤外光発光部の位置とが同時に確認できるようになる。そしてその際は、被写体画像に対する赤外光発光部の輝度が抑えられていることにより、各光で写される画像のそれぞれの視認性を確保することができる。これにより、被写体が移動する場合は、被写体の移動に伴う赤外光発光部の動きを被写体と共にモニター画像で確認することができ、よって、被写体を見失うことが防止できる。
【0058】
以上、本発明を上述した特定の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
【0059】
例えば、本実施形態では、フィルター46、48、50を入射光路上へ抜き差し可能とするために、アクチュエータを用いていて平行移動させているが、それ以外の機構を用いることもできる。例えば、図8に示すような、回転機構のターレット108を用い、各フィルターを回転移動させて交換することもできる。またその場合は、ズーム機構用のステッピングモータを駆動源として用いることも可能である。
【0060】
また本発明は、上述したコンパクトスタイプ以外のデジタルカメラやビデオカメラにも適用することができ、さらには銀塩カメラ等にも適用可能である。
【0061】
【発明の効果】
本発明のカメラは上記構成としたので、周囲との識別が困難な被写体を撮影する場合でも、被写体を容易に特定することができて迅速な撮影が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタルカメラを正面側から見た外観図である。
【図2】図1のデジタルカメラを背面側から見た外観図である。
【図3】図1のデジタルカメラの概略縦断面図である。
【図4】フィルターの透過特性を示した図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る赤外光発光装置を示した斜視図で、(A)が赤外光発光装置の単体の状態であり、(B)が赤外光発光装置を補助装着具に固定した状態である。
【図6】本発明の一実施形態に係るデジタルカメラによって被写体を検出し撮影する一例を示した説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るデジタルカメラによって被写体を検出し撮影する他の例を示した説明図である。
【図8】フィルター交換機構の変形例を示したデジタルカメラの外観図である。
【符号の説明】
10 デジタルカメラ(カメラ)
24 ディスプレイ(表示手段)
44 撮像デバイス(記録手段)
46 フィルター
48 フィルター
50 フィルター
Claims (3)
- 被写体からの光を記録する記録手段と、
前記記録手段への入射光路上へ抜き差し可能に設けられ、特定波長の赤外光を透過又は特定波長以外の赤外光をカットするフィルターと、
前記特定波長の赤外光を含む前記被写体からの光を画像表示する表示手段と、
を有することを特徴とするカメラ。 - 前記フィルターは狭波長範囲の赤外光を透過する透過フィルターとされ、前記狭波長範囲を含む広波長範囲の赤外光をカットするとともに前記入射光路上へ抜き差し可能とされたカットフィルターを更に備えることを特徴とする請求項1記載のカメラ。
- 前記フィルターは、前記特定波長の赤外光の透過率が異なる少なくとも2以上の透過フィルターから構成され、それらの透過フィルターがそれぞれ前記入射光路上へ抜き差し可能とされていることを特徴とする請求項1記載のカメラ。
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