JP2004125732A - 測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】原点位置の検出が容易かつ高精度で行える測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法を提供する。
【解決手段】起動時におけるアーム12の角度位置Θ0を検出し記憶するステップと、所定の段差を有する基準ブロックMを第一の位置に配し、接触子14を基準ブロックの1段目に当接させた際のアームの角度位置Θ1を検出し記憶するステップと、接触子を基準ブロックの2段目に当接させた際のアームの角度位置Θ2を検出し記憶するステップと、基準ブロックを第二の位置に配し、接触子を基準ブロックの1段目に当接させた際のアームの角度位置Θ3を検出し記憶するステップと、接触子を基準ブロックの2段目に当接させた際のアームの角度位置Θ4を検出し記憶するステップと、記憶されたΘ1、Θ2、Θ3及びΘ4よりΘ0を算出し、これより接触子の基準点を求める。
【選択図】 図5
【解決手段】起動時におけるアーム12の角度位置Θ0を検出し記憶するステップと、所定の段差を有する基準ブロックMを第一の位置に配し、接触子14を基準ブロックの1段目に当接させた際のアームの角度位置Θ1を検出し記憶するステップと、接触子を基準ブロックの2段目に当接させた際のアームの角度位置Θ2を検出し記憶するステップと、基準ブロックを第二の位置に配し、接触子を基準ブロックの1段目に当接させた際のアームの角度位置Θ3を検出し記憶するステップと、接触子を基準ブロックの2段目に当接させた際のアームの角度位置Θ4を検出し記憶するステップと、記憶されたΘ1、Θ2、Θ3及びΘ4よりΘ0を算出し、これより接触子の基準点を求める。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法に係り、特にマシンコントロールゲージや表面粗さ輪郭形状測定機等に用いられるシーソー式の測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マシンコントロールゲージや表面粗さ輪郭形状測定機等に用いられるシーソー式の測定ヘッドにおいては、接触子の変位を検出するセンサにLVDT(Linear Voltage Differential Transducer)と呼ばれる線形電圧差動変圧器(通称差動トランス)、リニアスケール等が用いられていた(たとえば、特許文献1。)。
【0003】
図9は、このような従来の測定ヘッドの概念図である。同図に示される測定ヘッド110は、シーソー機構を2個組み合わせた外径測定用の測定ヘッドである。このような従来の測定ヘッド110は、図9に示されるように、支点部材111を中心に回動可能に支持された接触子114の移動量が、支点部材111と反対方向に設けられたLVDT115で電圧の変化として検出される。このLVDT115の検出値が管制部140で処理され、移動量として求められる。
【0004】
このようなシーソー機構を2個対称に組み合わせ、被測定物Wの外径又は内径を測定するようにした測定ヘッド以外にも、シーソー機構を1個設け、被測定物Wの厚さや段差、輪郭形状、及び表面状態を測定する測定ヘッドも極めて一般的である。
【0005】
図10は、このような測定ヘッドの接触子の変位を検出するセンサに、リニアスケールを使用した例であり、同図(a)は、支点部材111よりスケール215までの部分の概念図であり、同図(b)は、スケール215の円弧パターンを拡大した図である。
【0006】
スケール215のパターンは円弧状のため、読取り位置によりパターンピッチが異なる。図10(b)に示されるように、半径方向の位置によってパターンピッチがa、b、cのように異なる。そのため、読取り位置で所望のピッチになるように設計されている。
【0007】
スケール215を読み取るに当たっての原点を設ける必要があり、この原点は、通常は図10(a)に示されるように、中心線CL上に設けられることが望ましい。ところが、スケール215は絶対スケールではないことより、電源を投入した際のアームの位置が原点となってしまい、中心線CL上に原点が来る訳ではない。
【0008】
これに対処すべく、中心線CL上の位置等にリミットスイッチ等を設け、電源投入直後に初期化処理としてアームを揺動させ、アームがリミットスイッチ等を通過したときにカウンタをゼロリセットすることにより、アーム位置の原点を求める方法が採用されている。
【0009】
【特許文献1】
実開昭63−187006号公報(実願昭62−78462号のマイクロフィルム)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のリミットスイッチ等を使用した原点検出方法では、リミットスイッチ等を精度良く取り付けるための調整作業が必要である。また、長期間の使用によっても、リミットスイッチ等の取り付け位置がズレないような工夫が必要である。更に、アームを交換し、他の種類の測定を行う場合、交換したアームに対して原点位置の調整が必要になるという各種不具合が指摘されている。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、上記従来のリミットスイッチ等を使用した原点検出方法を採用する測定ヘッドであっても、原点位置の検出が容易かつ高精度で行える測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、測定ヘッド本体に設けられた支点を中心に回転可能に支持されたアームと、先端に接触子を有し前記アームの先端部に取付けられたフィンガと、前記アームの後端部に設けられたスケール又は読取りヘッドと、前記測定ヘッド本体に設けられた読取りヘッド又はスケールと、を有し、被測定物に前記接触子を当接させて、前記スケールと読取りヘッドとで前記接触子の変位を検出する測定装置の測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法であって、前記測定装置の起動時における前記アームの角度位置Θ0を検出し記憶するステップと、所定の段差を有する基準ブロックを第一の位置に配し、前記接触子を該基準ブロックの1段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ1を検出し記憶するステップと、前記接触子を該基準ブロックの2段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ2を検出し記憶するステップと、前記基準ブロックを第二の位置に配し、前記接触子を該基準ブロックの1段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ3を検出し記憶するステップと、前記接触子を該基準ブロックの2段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ4を検出し記憶するステップと、記憶された前記アームの角度位置Θ1、Θ2、Θ3及びΘ4より前記アームの角度位置Θ0を算出し、これより接触子の基準点を求めることを特徴とする測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法を提供する。
【0013】
本発明によれば、従来のリミットスイッチ等を使用した原点検出方法を採用する測定ヘッドであっても、所定の段差を有する基準ブロックを準備し、この基準ブロックを二箇所の位置で測定することにより、容易にかつ精度良く接触子の基準点が検出できる。
【0014】
また、本発明は、測定ヘッド本体に設けられた支点を中心に回転可能に支持されたアームと、先端に接触子を有し前記アームの先端部に取付けられたフィンガと、前記アームの後端部に設けられたスケール又は読取りヘッドと、前記測定ヘッド本体に設けられた読取りヘッド又はスケールと、を有し、被測定物に前記接触子を当接させて、前記スケールと読取りヘッドとで前記接触子の変位を検出する測定装置の測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法であって、前記測定装置の起動時における前記アームの角度位置Θ0を検出し記憶するステップと、前記接触子を所定の段差αを有する基準ブロックAの1段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ11を検出し記憶するステップと、前記接触子を該基準ブロックAの2段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ12を検出し記憶するステップと、前記接触子を所定の段差βを有する基準ブロックBの1段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ13を検出し記憶するステップと、前記接触子を該基準ブロックBの2段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ14を検出し記憶するステップと、記憶された前記アームの角度位置Θ11、Θ12、Θ13、Θ14及び所定の段差α、βより前記アームの角度位置Θ0を算出し、これより接触子の基準点を求めることを特徴とする測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法を提供する。
【0015】
本発明によれば、従来のリミットスイッチ等を使用した原点検出方法を採用する測定ヘッドであっても、所定の段差を有する基準ブロックを2種類準備し、この基準ブロックを測定することにより、容易にかつ精度良く接触子の基準点が検出できる。
【0016】
すなわち、請求項1及び請求項2に係る発明に共通した有利な効果は、1)リミットスイッチ等の取り付け時の調整作業が不要になる、2)アームを交換した際の調整作業が不要になる、3)経時変化による装置誤差の影響を受けにくい、等である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って、本発明に係る測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法の好ましい実施の形態について詳説する。図1は、本発明に係る測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法が適用される測定ヘッドの構成を示す側断面図である。
【0018】
測定ヘッド10は、図1に示されるように、ベース21、支点部材11(支点に該当する)、アーム12、フィンガ13、接触子14、スケール15、図示しない読取りヘッド、加圧部材17、ダンパ18、ブーツ19、及びケース22等から構成されている。なお、ベース21は、ケース22内の紙面奥側の全面に形成されている。
【0019】
支点部材11は、ホルダ20に支持されてベース21に取付けられている。アーム12は、支点部材11に保持され、支点部材11を中心にシーソー回動自在になっている。アーム12の一端にはフィンガ13がネジ止めされ、フィンガ13の先端には被測定物Wに当接する接触子14が取付けられている。
【0020】
一方、アーム12の他端には、センサとしてのスケール15が取付けられている。また、スケール15の目盛りを読取る読取りヘッド(図示略)がベース21に固定されている。同様に、アーム位置の原点を検出するリミットスイッチ(図示略)がベース21に固定されている。
【0021】
アーム12には接触子を被測定物Wに向けて押圧する加圧部材17が設けられている。この加圧部材には圧縮バネが用いられているが、引張りバネやその他の弾性部材等、アーム12に回転力を発生させることのできるものなら何でもよい。更に、アーム12にはダンパ18が設けられ、接触子14の飛び跳ねや振動を抑制できるようになっている。
【0022】
アーム12の先端部、フィンガ13、及び接触子14を除くその他の部材はケース22で覆われている。このケース22には開口部がありこの開口部からアーム12の先端部が飛び出している。また、この開口部にはブーツ19が設けられ、ケース22内部への塵埃やミストの侵入を防止している。
【0023】
次に、このように構成された測定ヘッド10の作用について説明する。先ず測定ヘッド10が被測定物Wに対してセットされる。接触子14は加圧部材17によって被測定物Wに押圧されているので、被測定物Wの寸法に応じて支点部材11を中心に回動変位される。接触子14が回動変位されるとアームに取付けられたスケール15も回動変位される。このスケール15の変位量は読取りヘッドで検出されて検出信号がA/D変換部30で処理され、管制部40に送られて被測定物Wの寸法が求められる。
【0024】
この時アーム12にはダンパ18が設けられているので、接触子14の飛び跳ねや振動が防止される。また、ケース22の開口部にはブーツ19が取付けられているので、加工液やミスト、及びその他塵埃等がケース22内に浸入する事がない。
【0025】
図1に示した測定ヘッド10は、被測定物Wの厚さや段差、輪郭形状、及び表面状態を測定する測定ヘッド(以下Γ型測定ヘッドと称する)であるが、図2に示される測定ヘッド10は、図1で示される構造を対称に2個組み合わせ、被測定物Wの外径を測定するようにした測定ヘッドである。この測定ヘッドでは、図2に示した外径測定用の他に、接触子14を逆向きに取付け、加圧部材17の加圧方向を逆向きにした内径測定用ヘッドもある。外径測定用ヘッドおよび内径測定用ヘッド(以下Σ型測定ヘッドと称する)の動作作用は、基本的に図1に示したΓ型測定ヘッドと同じであるので、説明は省略する。
【0026】
次に、図1に示される測定ヘッド10を使用した測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法について説明する。図3は、測定ヘッドによる測定の原理を説明する概念図である。この測定ヘッド10は既述の構成と略同一であるが、支点部材11がX方向に移動可能となっており、この支点部材11の移動量がスケール105で検出可能となっている点が相違する。なお、支点部材11の移動量は、後述する図4でのXs に該当する。
【0027】
図4は、測定位置の座標を説明する概念図であり、アーム12先端の接触子14と支点部材11とを結ぶ直線が、基準点となる中心線CLより角度θだけ回転した状態を示している。この場合、接触子14先端部のX、Z座標は、それぞれ同図の式(1)、(2)のようになる。
【0028】
以下、測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法の第一の実施態様について説明する。この実施態様は、請求項1に係る発明に該当する。
【0029】
図5は、接触子と基準ブロックとの位置関係を説明する概念図である。このうち、同図(B)に示される実施態様は、請求項1に記載のように、所定の段差を有する基準ブロックMを第一の位置に配し、接触子14を基準ブロックMの1段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ1を検出し記憶するステップと、接触子14を基準ブロックMの2段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ2を検出し記憶するステップと、基準ブロックMを第二の位置に配し、接触子14を基準ブロックMの1段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ3を検出し記憶するステップと、接触子14を基準ブロックMの2段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ4を検出し記憶するステップと、よりなる方法が採用されている。
【0030】
これに対し、図5(A)に示される実施態様は、所定の同じ段差を2段有する基準ブロックMを使用して、この基準ブロックMを所定位置に配した状態で、接触子14を基準ブロックMの1段目、2段目及び3段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θを、それぞれ検出し記憶するステップよりなる方法が採用されている。すなわち、所定の段差を有する基準ブロックMを二箇所の位置に配して測定する代わりに、所定の同じ段差を2段有する基準ブロックMを使用して一箇所の位置での測定で済ます方法であり、請求項1の発明と均等の発明思想に基くものである。
【0031】
なお、図5(A)、(B)に示される実施態様では、アーム12のそれぞれの角度位置Θを測定しているが、図4に示されるような、アーム12先端の接触子14と支点部材11とを結ぶ直線がなす角度θをそれぞれ検出し記憶するステップよりなる方法を採用するのでもよい。これらは、いずれも同一の発明思想に基くものであり、略同一の結果が得られるからである。
【0032】
図6は、アームの各位置と基準点との関係を説明する概念図であり、図5(B)に示される実施態様で測定したそれぞれの角度位置Θを、重ねて図示したものである。このうち、αとβは、基準ブロックMの段差であるが、同一の基準ブロックMを使用しているので、当然同一の値である。
【0033】
図6に示されるアームの各位置と基準点との関係より以下の等式が成り立つ。
【0034】
【数1】
R・Sin(Θ1−Θ0)−R・Sin(Θ2−Θ0)=R・Sin(Θ3−Θ0)−R・Sin(Θ4−Θ0) …(式1)
ここで、左式の第1項は▲1▼の高さであり、第2項は▲2▼の高さである(図では負の値)。右式の第1項は▲3▼の高さであり、第2項は▲4▼の高さである(図では負の値)。この式1では、全ての項に係るRは略分できる。
【0035】
式1を加法定理により展開し、更に纏めると次式が求まる。なお、中間結果は省略する。
【0036】
【数2】
Θ0=−Tan−1((SinΘ1−SinΘ2−SinΘ3+SinΘ4)/(−CosΘ1+CosΘ2+CosΘ3−CosΘ4))…(式2)
したがって、記憶されたアーム12の角度位置Θ1、Θ2、Θ3及びΘ4より、アーム12の角度位置Θ0が算出でき、これより接触子14の基準点を求めることが容易にできる。
【0037】
以下、測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法の第二の実施態様について説明する。この実施態様は、請求項2に係る発明に該当する。
【0038】
図7は、接触子と基準ブロックとの位置関係を説明する概念図である。同図では、請求項2に記載のように、接触子14を所定の段差αを有する基準ブロックAの1段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ11を検出し記憶するステップと、接触子14を基準ブロックAの2段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ12を検出し記憶するステップと、接触子14を所定の段差βを有する基準ブロックBの1段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ13を検出し記憶するステップと、接触子14を基準ブロックBの2段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ14を検出し記憶するステップと、よりなる方法が採用されている。
【0039】
なお、図示は省略したが、基準ブロックAと基準ブロックBとを用いる方法に代えて、所定の段差α及びβを有する3段の基準ブロックBを使用して、この基準ブロックBを所定位置に配した状態で、接触子14を基準ブロックBの1段目、2段目及び3段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θを、それぞれ検出し記憶するステップよりなる方法が採用できる。この方法も、請求項2の発明と均等の発明思想に基くものである。
【0040】
図8は、アームの各位置と基準点との関係を説明する概念図であり、図7に示される実施態様で測定したそれぞれの角度位置Θを、重ねて図示したものである。このうち、αとβは、それぞれ基準ブロックA、基準ブロックBの段差である。
【0041】
図8に示されるアームの各位置と基準点との関係より以下の等式が成り立つ。
【0042】
【数3】
R・Sin(Θ1−Θ0)−R・Sin(Θ2−Θ0)=α …(式3)
【0043】
【数4】
R・Sin(Θ3−Θ0)−R・Sin(Θ4−Θ0)=β …(式4)
ここで、式3の第1項は▲5▼の高さであり、第2項は▲6▼の高さである。式4の第1項は▲7▼の高さであり、第2項は▲8▼の高さである(図では負の値)。
【0044】
式3及び式4を連立して、Rを除去し、更に纏めると次式が求まる。なお、中間結果は省略する。
【0045】
【数5】
Θ0=−Tan−1(β(SinΘ2−SinΘ1)+α(SinΘ3−SinΘ4))/(β(CosΘ1−CosΘ2)−α(CosΘ3−CosΘ4))…(式5)
このうち、Θ1、Θ2、Θ3、Θ4及びα、βはいずれも既知である。したがって、記憶されたアーム12の角度位置Θ1、Θ2、Θ3、Θ4及びα、βより、アーム12の角度位置Θ0が算出でき、これより接触子14の基準点を求めることが容易にできる。
【0046】
以上、本発明に係る測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0047】
たとえば、実施形態の例では、円弧パターンのスケール15が使用されているが、これに代えて直線パターンのスケールを使用することもできる。この場合には、円弧誤差の補正手段を設ければ所定の精度が得られる。
【0048】
また、スケール15として、回折干渉を利用した反射型スケールや透過型のモアレスケールが好ましく採用できるが、本発明においてはこれに限らず、回折干渉を利用した透過型スケール、又は反射型のモアレスケール等々種々のスケールを用いることができる。
【0049】
本発明の測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法が適用される測定項目としては、外径、内径、段差(高さ)、厚み等の寸法測定、また粗さ、うねり等の表面測定、また形状測定、また位置測定、更に同軸度、同心度、真直度、円筒度、直角度、平行度、テーパ度、線の輪郭度、面の輪郭度、傾斜度、位置度、対称度、円周振れ、全振れ等の幾何公差測定等がある。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来のリミットスイッチ等を使用した原点検出方法を採用する測定ヘッドであっても、所定の段差を有する基準ブロックを準備し、この基準ブロックを二箇所の位置で測定することにより、容易にかつ精度良く接触子の基準点が検出できる。
【0051】
また、本発明によれば、従来のリミットスイッチ等を使用した原点検出方法を採用する測定ヘッドであっても、所定の段差を有する基準ブロックを2種類準備し、この基準ブロックを測定することにより、容易にかつ精度良く接触子の基準点が検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に使用される測定ヘッドを表わす側断面図
【図2】Σ型の外径測定用測定ヘッドを表わす側断面図
【図3】測定ヘッドによる測定の原理を説明する概念図
【図4】測定位置の座標を説明する概念図
【図5】接触子と基準ブロックとの位置関係を説明する概念図
【図6】アームの各位置と基準点との関係を説明する概念図
【図7】接触子と基準ブロックとの位置関係を説明する概念図
【図8】アームの各位置と基準点との関係を説明する概念図
【図9】従来の測定ヘッドを表わす概念図
【図10】円弧パターンのスケールを説明する概念図
【符号の説明】
10…測定ヘッド、11…支点部材、12…アーム、13…フィンガ、14…接触子、15…スケール、16…読取りヘッド、17…加圧部材、18…ダンパ、19…ブーツ、20…ホルダ、21…ベース、22…ケース、30…A/D変換部、40…管制部、M…基準ブロック、A…基準ブロックA、B…基準ブロックB、W…被測定物
【発明の属する技術分野】
本発明は測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法に係り、特にマシンコントロールゲージや表面粗さ輪郭形状測定機等に用いられるシーソー式の測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マシンコントロールゲージや表面粗さ輪郭形状測定機等に用いられるシーソー式の測定ヘッドにおいては、接触子の変位を検出するセンサにLVDT(Linear Voltage Differential Transducer)と呼ばれる線形電圧差動変圧器(通称差動トランス)、リニアスケール等が用いられていた(たとえば、特許文献1。)。
【0003】
図9は、このような従来の測定ヘッドの概念図である。同図に示される測定ヘッド110は、シーソー機構を2個組み合わせた外径測定用の測定ヘッドである。このような従来の測定ヘッド110は、図9に示されるように、支点部材111を中心に回動可能に支持された接触子114の移動量が、支点部材111と反対方向に設けられたLVDT115で電圧の変化として検出される。このLVDT115の検出値が管制部140で処理され、移動量として求められる。
【0004】
このようなシーソー機構を2個対称に組み合わせ、被測定物Wの外径又は内径を測定するようにした測定ヘッド以外にも、シーソー機構を1個設け、被測定物Wの厚さや段差、輪郭形状、及び表面状態を測定する測定ヘッドも極めて一般的である。
【0005】
図10は、このような測定ヘッドの接触子の変位を検出するセンサに、リニアスケールを使用した例であり、同図(a)は、支点部材111よりスケール215までの部分の概念図であり、同図(b)は、スケール215の円弧パターンを拡大した図である。
【0006】
スケール215のパターンは円弧状のため、読取り位置によりパターンピッチが異なる。図10(b)に示されるように、半径方向の位置によってパターンピッチがa、b、cのように異なる。そのため、読取り位置で所望のピッチになるように設計されている。
【0007】
スケール215を読み取るに当たっての原点を設ける必要があり、この原点は、通常は図10(a)に示されるように、中心線CL上に設けられることが望ましい。ところが、スケール215は絶対スケールではないことより、電源を投入した際のアームの位置が原点となってしまい、中心線CL上に原点が来る訳ではない。
【0008】
これに対処すべく、中心線CL上の位置等にリミットスイッチ等を設け、電源投入直後に初期化処理としてアームを揺動させ、アームがリミットスイッチ等を通過したときにカウンタをゼロリセットすることにより、アーム位置の原点を求める方法が採用されている。
【0009】
【特許文献1】
実開昭63−187006号公報(実願昭62−78462号のマイクロフィルム)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のリミットスイッチ等を使用した原点検出方法では、リミットスイッチ等を精度良く取り付けるための調整作業が必要である。また、長期間の使用によっても、リミットスイッチ等の取り付け位置がズレないような工夫が必要である。更に、アームを交換し、他の種類の測定を行う場合、交換したアームに対して原点位置の調整が必要になるという各種不具合が指摘されている。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、上記従来のリミットスイッチ等を使用した原点検出方法を採用する測定ヘッドであっても、原点位置の検出が容易かつ高精度で行える測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、測定ヘッド本体に設けられた支点を中心に回転可能に支持されたアームと、先端に接触子を有し前記アームの先端部に取付けられたフィンガと、前記アームの後端部に設けられたスケール又は読取りヘッドと、前記測定ヘッド本体に設けられた読取りヘッド又はスケールと、を有し、被測定物に前記接触子を当接させて、前記スケールと読取りヘッドとで前記接触子の変位を検出する測定装置の測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法であって、前記測定装置の起動時における前記アームの角度位置Θ0を検出し記憶するステップと、所定の段差を有する基準ブロックを第一の位置に配し、前記接触子を該基準ブロックの1段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ1を検出し記憶するステップと、前記接触子を該基準ブロックの2段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ2を検出し記憶するステップと、前記基準ブロックを第二の位置に配し、前記接触子を該基準ブロックの1段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ3を検出し記憶するステップと、前記接触子を該基準ブロックの2段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ4を検出し記憶するステップと、記憶された前記アームの角度位置Θ1、Θ2、Θ3及びΘ4より前記アームの角度位置Θ0を算出し、これより接触子の基準点を求めることを特徴とする測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法を提供する。
【0013】
本発明によれば、従来のリミットスイッチ等を使用した原点検出方法を採用する測定ヘッドであっても、所定の段差を有する基準ブロックを準備し、この基準ブロックを二箇所の位置で測定することにより、容易にかつ精度良く接触子の基準点が検出できる。
【0014】
また、本発明は、測定ヘッド本体に設けられた支点を中心に回転可能に支持されたアームと、先端に接触子を有し前記アームの先端部に取付けられたフィンガと、前記アームの後端部に設けられたスケール又は読取りヘッドと、前記測定ヘッド本体に設けられた読取りヘッド又はスケールと、を有し、被測定物に前記接触子を当接させて、前記スケールと読取りヘッドとで前記接触子の変位を検出する測定装置の測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法であって、前記測定装置の起動時における前記アームの角度位置Θ0を検出し記憶するステップと、前記接触子を所定の段差αを有する基準ブロックAの1段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ11を検出し記憶するステップと、前記接触子を該基準ブロックAの2段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ12を検出し記憶するステップと、前記接触子を所定の段差βを有する基準ブロックBの1段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ13を検出し記憶するステップと、前記接触子を該基準ブロックBの2段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ14を検出し記憶するステップと、記憶された前記アームの角度位置Θ11、Θ12、Θ13、Θ14及び所定の段差α、βより前記アームの角度位置Θ0を算出し、これより接触子の基準点を求めることを特徴とする測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法を提供する。
【0015】
本発明によれば、従来のリミットスイッチ等を使用した原点検出方法を採用する測定ヘッドであっても、所定の段差を有する基準ブロックを2種類準備し、この基準ブロックを測定することにより、容易にかつ精度良く接触子の基準点が検出できる。
【0016】
すなわち、請求項1及び請求項2に係る発明に共通した有利な効果は、1)リミットスイッチ等の取り付け時の調整作業が不要になる、2)アームを交換した際の調整作業が不要になる、3)経時変化による装置誤差の影響を受けにくい、等である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って、本発明に係る測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法の好ましい実施の形態について詳説する。図1は、本発明に係る測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法が適用される測定ヘッドの構成を示す側断面図である。
【0018】
測定ヘッド10は、図1に示されるように、ベース21、支点部材11(支点に該当する)、アーム12、フィンガ13、接触子14、スケール15、図示しない読取りヘッド、加圧部材17、ダンパ18、ブーツ19、及びケース22等から構成されている。なお、ベース21は、ケース22内の紙面奥側の全面に形成されている。
【0019】
支点部材11は、ホルダ20に支持されてベース21に取付けられている。アーム12は、支点部材11に保持され、支点部材11を中心にシーソー回動自在になっている。アーム12の一端にはフィンガ13がネジ止めされ、フィンガ13の先端には被測定物Wに当接する接触子14が取付けられている。
【0020】
一方、アーム12の他端には、センサとしてのスケール15が取付けられている。また、スケール15の目盛りを読取る読取りヘッド(図示略)がベース21に固定されている。同様に、アーム位置の原点を検出するリミットスイッチ(図示略)がベース21に固定されている。
【0021】
アーム12には接触子を被測定物Wに向けて押圧する加圧部材17が設けられている。この加圧部材には圧縮バネが用いられているが、引張りバネやその他の弾性部材等、アーム12に回転力を発生させることのできるものなら何でもよい。更に、アーム12にはダンパ18が設けられ、接触子14の飛び跳ねや振動を抑制できるようになっている。
【0022】
アーム12の先端部、フィンガ13、及び接触子14を除くその他の部材はケース22で覆われている。このケース22には開口部がありこの開口部からアーム12の先端部が飛び出している。また、この開口部にはブーツ19が設けられ、ケース22内部への塵埃やミストの侵入を防止している。
【0023】
次に、このように構成された測定ヘッド10の作用について説明する。先ず測定ヘッド10が被測定物Wに対してセットされる。接触子14は加圧部材17によって被測定物Wに押圧されているので、被測定物Wの寸法に応じて支点部材11を中心に回動変位される。接触子14が回動変位されるとアームに取付けられたスケール15も回動変位される。このスケール15の変位量は読取りヘッドで検出されて検出信号がA/D変換部30で処理され、管制部40に送られて被測定物Wの寸法が求められる。
【0024】
この時アーム12にはダンパ18が設けられているので、接触子14の飛び跳ねや振動が防止される。また、ケース22の開口部にはブーツ19が取付けられているので、加工液やミスト、及びその他塵埃等がケース22内に浸入する事がない。
【0025】
図1に示した測定ヘッド10は、被測定物Wの厚さや段差、輪郭形状、及び表面状態を測定する測定ヘッド(以下Γ型測定ヘッドと称する)であるが、図2に示される測定ヘッド10は、図1で示される構造を対称に2個組み合わせ、被測定物Wの外径を測定するようにした測定ヘッドである。この測定ヘッドでは、図2に示した外径測定用の他に、接触子14を逆向きに取付け、加圧部材17の加圧方向を逆向きにした内径測定用ヘッドもある。外径測定用ヘッドおよび内径測定用ヘッド(以下Σ型測定ヘッドと称する)の動作作用は、基本的に図1に示したΓ型測定ヘッドと同じであるので、説明は省略する。
【0026】
次に、図1に示される測定ヘッド10を使用した測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法について説明する。図3は、測定ヘッドによる測定の原理を説明する概念図である。この測定ヘッド10は既述の構成と略同一であるが、支点部材11がX方向に移動可能となっており、この支点部材11の移動量がスケール105で検出可能となっている点が相違する。なお、支点部材11の移動量は、後述する図4でのXs に該当する。
【0027】
図4は、測定位置の座標を説明する概念図であり、アーム12先端の接触子14と支点部材11とを結ぶ直線が、基準点となる中心線CLより角度θだけ回転した状態を示している。この場合、接触子14先端部のX、Z座標は、それぞれ同図の式(1)、(2)のようになる。
【0028】
以下、測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法の第一の実施態様について説明する。この実施態様は、請求項1に係る発明に該当する。
【0029】
図5は、接触子と基準ブロックとの位置関係を説明する概念図である。このうち、同図(B)に示される実施態様は、請求項1に記載のように、所定の段差を有する基準ブロックMを第一の位置に配し、接触子14を基準ブロックMの1段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ1を検出し記憶するステップと、接触子14を基準ブロックMの2段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ2を検出し記憶するステップと、基準ブロックMを第二の位置に配し、接触子14を基準ブロックMの1段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ3を検出し記憶するステップと、接触子14を基準ブロックMの2段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ4を検出し記憶するステップと、よりなる方法が採用されている。
【0030】
これに対し、図5(A)に示される実施態様は、所定の同じ段差を2段有する基準ブロックMを使用して、この基準ブロックMを所定位置に配した状態で、接触子14を基準ブロックMの1段目、2段目及び3段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θを、それぞれ検出し記憶するステップよりなる方法が採用されている。すなわち、所定の段差を有する基準ブロックMを二箇所の位置に配して測定する代わりに、所定の同じ段差を2段有する基準ブロックMを使用して一箇所の位置での測定で済ます方法であり、請求項1の発明と均等の発明思想に基くものである。
【0031】
なお、図5(A)、(B)に示される実施態様では、アーム12のそれぞれの角度位置Θを測定しているが、図4に示されるような、アーム12先端の接触子14と支点部材11とを結ぶ直線がなす角度θをそれぞれ検出し記憶するステップよりなる方法を採用するのでもよい。これらは、いずれも同一の発明思想に基くものであり、略同一の結果が得られるからである。
【0032】
図6は、アームの各位置と基準点との関係を説明する概念図であり、図5(B)に示される実施態様で測定したそれぞれの角度位置Θを、重ねて図示したものである。このうち、αとβは、基準ブロックMの段差であるが、同一の基準ブロックMを使用しているので、当然同一の値である。
【0033】
図6に示されるアームの各位置と基準点との関係より以下の等式が成り立つ。
【0034】
【数1】
R・Sin(Θ1−Θ0)−R・Sin(Θ2−Θ0)=R・Sin(Θ3−Θ0)−R・Sin(Θ4−Θ0) …(式1)
ここで、左式の第1項は▲1▼の高さであり、第2項は▲2▼の高さである(図では負の値)。右式の第1項は▲3▼の高さであり、第2項は▲4▼の高さである(図では負の値)。この式1では、全ての項に係るRは略分できる。
【0035】
式1を加法定理により展開し、更に纏めると次式が求まる。なお、中間結果は省略する。
【0036】
【数2】
Θ0=−Tan−1((SinΘ1−SinΘ2−SinΘ3+SinΘ4)/(−CosΘ1+CosΘ2+CosΘ3−CosΘ4))…(式2)
したがって、記憶されたアーム12の角度位置Θ1、Θ2、Θ3及びΘ4より、アーム12の角度位置Θ0が算出でき、これより接触子14の基準点を求めることが容易にできる。
【0037】
以下、測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法の第二の実施態様について説明する。この実施態様は、請求項2に係る発明に該当する。
【0038】
図7は、接触子と基準ブロックとの位置関係を説明する概念図である。同図では、請求項2に記載のように、接触子14を所定の段差αを有する基準ブロックAの1段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ11を検出し記憶するステップと、接触子14を基準ブロックAの2段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ12を検出し記憶するステップと、接触子14を所定の段差βを有する基準ブロックBの1段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ13を検出し記憶するステップと、接触子14を基準ブロックBの2段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θ14を検出し記憶するステップと、よりなる方法が採用されている。
【0039】
なお、図示は省略したが、基準ブロックAと基準ブロックBとを用いる方法に代えて、所定の段差α及びβを有する3段の基準ブロックBを使用して、この基準ブロックBを所定位置に配した状態で、接触子14を基準ブロックBの1段目、2段目及び3段目に当接させた際のアーム12の角度位置Θを、それぞれ検出し記憶するステップよりなる方法が採用できる。この方法も、請求項2の発明と均等の発明思想に基くものである。
【0040】
図8は、アームの各位置と基準点との関係を説明する概念図であり、図7に示される実施態様で測定したそれぞれの角度位置Θを、重ねて図示したものである。このうち、αとβは、それぞれ基準ブロックA、基準ブロックBの段差である。
【0041】
図8に示されるアームの各位置と基準点との関係より以下の等式が成り立つ。
【0042】
【数3】
R・Sin(Θ1−Θ0)−R・Sin(Θ2−Θ0)=α …(式3)
【0043】
【数4】
R・Sin(Θ3−Θ0)−R・Sin(Θ4−Θ0)=β …(式4)
ここで、式3の第1項は▲5▼の高さであり、第2項は▲6▼の高さである。式4の第1項は▲7▼の高さであり、第2項は▲8▼の高さである(図では負の値)。
【0044】
式3及び式4を連立して、Rを除去し、更に纏めると次式が求まる。なお、中間結果は省略する。
【0045】
【数5】
Θ0=−Tan−1(β(SinΘ2−SinΘ1)+α(SinΘ3−SinΘ4))/(β(CosΘ1−CosΘ2)−α(CosΘ3−CosΘ4))…(式5)
このうち、Θ1、Θ2、Θ3、Θ4及びα、βはいずれも既知である。したがって、記憶されたアーム12の角度位置Θ1、Θ2、Θ3、Θ4及びα、βより、アーム12の角度位置Θ0が算出でき、これより接触子14の基準点を求めることが容易にできる。
【0046】
以上、本発明に係る測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0047】
たとえば、実施形態の例では、円弧パターンのスケール15が使用されているが、これに代えて直線パターンのスケールを使用することもできる。この場合には、円弧誤差の補正手段を設ければ所定の精度が得られる。
【0048】
また、スケール15として、回折干渉を利用した反射型スケールや透過型のモアレスケールが好ましく採用できるが、本発明においてはこれに限らず、回折干渉を利用した透過型スケール、又は反射型のモアレスケール等々種々のスケールを用いることができる。
【0049】
本発明の測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法が適用される測定項目としては、外径、内径、段差(高さ)、厚み等の寸法測定、また粗さ、うねり等の表面測定、また形状測定、また位置測定、更に同軸度、同心度、真直度、円筒度、直角度、平行度、テーパ度、線の輪郭度、面の輪郭度、傾斜度、位置度、対称度、円周振れ、全振れ等の幾何公差測定等がある。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来のリミットスイッチ等を使用した原点検出方法を採用する測定ヘッドであっても、所定の段差を有する基準ブロックを準備し、この基準ブロックを二箇所の位置で測定することにより、容易にかつ精度良く接触子の基準点が検出できる。
【0051】
また、本発明によれば、従来のリミットスイッチ等を使用した原点検出方法を採用する測定ヘッドであっても、所定の段差を有する基準ブロックを2種類準備し、この基準ブロックを測定することにより、容易にかつ精度良く接触子の基準点が検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に使用される測定ヘッドを表わす側断面図
【図2】Σ型の外径測定用測定ヘッドを表わす側断面図
【図3】測定ヘッドによる測定の原理を説明する概念図
【図4】測定位置の座標を説明する概念図
【図5】接触子と基準ブロックとの位置関係を説明する概念図
【図6】アームの各位置と基準点との関係を説明する概念図
【図7】接触子と基準ブロックとの位置関係を説明する概念図
【図8】アームの各位置と基準点との関係を説明する概念図
【図9】従来の測定ヘッドを表わす概念図
【図10】円弧パターンのスケールを説明する概念図
【符号の説明】
10…測定ヘッド、11…支点部材、12…アーム、13…フィンガ、14…接触子、15…スケール、16…読取りヘッド、17…加圧部材、18…ダンパ、19…ブーツ、20…ホルダ、21…ベース、22…ケース、30…A/D変換部、40…管制部、M…基準ブロック、A…基準ブロックA、B…基準ブロックB、W…被測定物
Claims (2)
- 測定ヘッド本体に設けられた支点を中心に回転可能に支持されたアームと、
先端に接触子を有し前記アームの先端部に取付けられたフィンガと、
前記アームの後端部に設けられたスケール又は読取りヘッドと、
前記測定ヘッド本体に設けられた読取りヘッド又はスケールと、
を有し、
被測定物に前記接触子を当接させて、前記スケールと読取りヘッドとで前記接触子の変位を検出する測定装置の測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法であって、
前記測定装置の起動時における前記アームの角度位置Θ0を検出し記憶するステップと、
所定の段差を有する基準ブロックを第一の位置に配し、前記接触子を該基準ブロックの1段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ1を検出し記憶するステップと、
前記接触子を該基準ブロックの2段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ2を検出し記憶するステップと、
前記基準ブロックを第二の位置に配し、前記接触子を該基準ブロックの1段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ3を検出し記憶するステップと、
前記接触子を該基準ブロックの2段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ4を検出し記憶するステップと、
記憶された前記アームの角度位置Θ1、Θ2、Θ3及びΘ4より前記アームの角度位置Θ0を算出し、これより接触子の基準点を求めることを特徴とする測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法。 - 測定ヘッド本体に設けられた支点を中心に回転可能に支持されたアームと、
先端に接触子を有し前記アームの先端部に取付けられたフィンガと、
前記アームの後端部に設けられたスケール又は読取りヘッドと、
前記測定ヘッド本体に設けられた読取りヘッド又はスケールと、
を有し、
被測定物に前記接触子を当接させて、前記スケールと読取りヘッドとで前記接触子の変位を検出する測定装置の測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法であって、
前記測定装置の起動時における前記アームの角度位置Θ0を検出し記憶するステップと、
前記接触子を所定の段差αを有する基準ブロックAの1段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ11を検出し記憶するステップと、
前記接触子を該基準ブロックAの2段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ12を検出し記憶するステップと、
前記接触子を所定の段差βを有する基準ブロックBの1段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ13を検出し記憶するステップと、
前記接触子を該基準ブロックBの2段目に当接させた際の前記アームの角度位置Θ14を検出し記憶するステップと、
記憶された前記アームの角度位置Θ11、Θ12、Θ13、Θ14及び所定の段差α、βより前記アームの角度位置Θ0を算出し、これより接触子の基準点を求めることを特徴とする測定ヘッドにおける接触子の基準点検出方法。
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-
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