JP2004125643A - 温度測定素子及び温度測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長尺の温度測定素子を用いて高温度の炉内の温度測定を行う。
【解決手段】温度測定素子10は、シース付きの熱電対12と、先端のセラミックス部分20及び後端の金属部分22から成り、熱電対12を保護する保護管14と、冷却水が導入されて、熱電対12の接合部を含む保護管14の先端部を除いて保護管14を冷却する冷却筒16とを有する。保護管14のセラミックス部分20と金属部分22とは、継ぎ手24によって結合される。長尺の温度測定素子10について、保護管14の金属部分22で機械的強度を保ち、セラミックス部分20で耐熱性を保つと共に、セラミックス部分20が破損したときには、その部分のみを取り替えることで、維持費用を低減する。
【選択図】 図1
【解決手段】温度測定素子10は、シース付きの熱電対12と、先端のセラミックス部分20及び後端の金属部分22から成り、熱電対12を保護する保護管14と、冷却水が導入されて、熱電対12の接合部を含む保護管14の先端部を除いて保護管14を冷却する冷却筒16とを有する。保護管14のセラミックス部分20と金属部分22とは、継ぎ手24によって結合される。長尺の温度測定素子10について、保護管14の金属部分22で機械的強度を保ち、セラミックス部分20で耐熱性を保つと共に、セラミックス部分20が破損したときには、その部分のみを取り替えることで、維持費用を低減する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度測定素子及び温度測定方法に関し、特に、最高温度が1500℃以上の高温度の測定に適した温度測定素子及び温度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、製鉄用のコークス炉やカーボンブラックの製造炉などでは、炉内の温度測定のために、熱電対や抵抗温度素子が利用される。熱電対を利用した温度測定では、一般に、熱電対の素線材料及び素線の保護管材料を適切に選定することにより、最高温度として1000℃以上の温度測定が可能である。このような高温度を測定する熱電対では、その素線を保護するために、セラミックスの保護管が使用される。
【0003】
熱電対の最高測定温度を、1500℃程度にまで上げるためには、保護管として、高純度アルミナセラミックスが利用される。高純度アルミナセラミックス材料では、2000℃程度までの温度に耐えるものが実用化されている。
【0004】
例えばカーボンブラックの製造炉では、その直径が3mを越えるものがあり、炉の中央部分の温度測定には、熱電対として、1500mm以上の長さが必要となる。ここで、カーボンブラックの製造炉で、1500℃程度の温度を計測するために、長さが1500mm以上の高純度アルミナセラミックスの保護管を使用することを考えると、このような長尺の保護管は、きわめて高価であり、また、容易に亀裂等の破損が生ずるため、その製作、維持運用に多額のコストが掛かるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、例えば1500℃程度までの高温度の測定が可能であり、且つ、保護管として1500mm以上の長さの実現が可能な温度測定素子及び温度測定方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の温度測定素子は、先端に接合点を形成する熱電対と、前記接合点を除いて熱電対の素線を囲み、冷却流体が流れる管路を有する冷却筒とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の温度測定素子は、熱電対の接合点を除いて熱電対の素線を囲み、冷却流体が流れる管路を有する冷却筒を配設したことにより、露出した接合点で温度を正確に計測する一方、冷却筒によって熱電対の素線部分を冷却するので、熱電対の素線部分を保護する保護管として、より耐熱性の低い材料が使用できる。
【0008】
本発明の好ましい態様の温度測定素子では、上記熱電対は、接合点を有する先端部分を保護するセラミック管と、素線部分を保護する金属管とを接続した保護管によって、冷却筒よりも半径方向内側で保護される。保護管の一部を金属管で構成することにより、保護管の価格を低減すると共に、その機械的強度を向上させる。
【0009】
熱電対としては、金属管から発生する金属蒸気に起因する劣化から素線を保護し、正常な温度測定を可能とするために、素線と一体に形成されたセラミックシースを有する熱電対が好適に使用される。このような熱電対として、仕上がり外径が4mm又は5mmのもので、その長さが100mmから1900mm程度のものが実現できる。
【0010】
また、前記保護管が、エアーパージ用の吸気口を有することも、本発明の好ましい態様である。この場合、外部から侵入する汚染物質を防止し、熱電対の素線を有効に保護できる。
【0011】
冷却筒の構造として、半径方向外側に配設される外壁と、半径方向内側に配設される内壁と、前記外壁と内壁との間に配設されて前記管路を内周側管路と外周側管路とに区画する隔壁とを有し、前記内周側管路及び外周側管路が、冷却流体の流入口及び流出口の一方及び他方にそれぞれ接続されると共に、前記隔壁に形成された連通路を介して相互に連通する構造が採用できる。この場合、簡素な構造の冷却筒によって、保護管の有効な冷却が可能となる。
【0012】
本発明の温度測定方法は、冷却流体が流れる管路を有する冷却筒で、熱電対の先端の接合点を除いて熱電対の素線を囲んで冷却することを特徴とする。
【0013】
熱電対を、その先端の接合点を除いて、冷却流体が内部を流れる冷却筒で囲むことにより、熱電対の保護管の高温度による損傷を防ぐ一方、先端の接合点で正確な温度の測定が可能となる。
【0014】
上記温度測定にあたっては、接合点を形成する先端部分を保護するセラミック管と、該セラミック管に接続され前記先端部分以外の素線部分を保護する金属管とを有する保護管によって、冷却筒よりも半径方向内側で熱電対を保護することが好ましい。この場合、例えば、熱電対の取り付け位置から1000mm以上離れた測定点で、最高温度が1500℃以上の温度を有効に計測することが出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明の温度測定素子の構成を示す縦断面図である。本実施形態例の温度測定素子10は、セラミックシースを有する熱電対12と、熱電対12の端子部32を除いて素線全体を保護する保護管14と、熱電対12の先端の接合点及びその近傍を除いて、熱電対12及び保護管14をその外側から囲んで冷却する冷却筒16とから構成される。
【0016】
熱電対12は、先端に接合点を有する一対の白金−白金ロジウム素線から成り、素線全体がセラミックシース18内に収納される。セラミックシース18の外径は、約3〜5mmであり、その全長は例えば約1900mmである。
【0017】
保護管14は、先端部の高純度アルミナセラミックス(商品名:ジェムランロッド)からなるセラミックス保護管部分20と、後端部の金属保護管部分22とからなり、中央部でセラミックス保護管部分20と金属保護管部分22とが、継ぎ手24でカップリングされる。金属保護管部分22は、その後端部分のフランジ26で冷却筒16のフランジ28とボルト結合される。保護管14の外径は約15mmで、その全長は約1900mmである。金属保護管部分22の長さと、セラミックス保護管部分24の長さとを適当に選定することにより、所望の強度及び長さの保護管14を有する温度測定素子10が得られる。
【0018】
熱電対12は、セラミックシース18の後端部が、金属保護管部分22の後端の内ねじ部分にねじ結合されて、保護管14に取り付けられる。金属保護管部分22には、そのフランジ26に隣接して、エアーパージの吸気口30が形成される。金属保護管部分22の後端には外ねじが形成され、熱電対12の端子箱32がこれにねじ結合される。端子箱32内で、熱電対12のリード線と、外部配線とが接続される。
【0019】
図2は、冷却筒16の構造を示す縦断面図である。冷却筒16は、筒壁34が外壁34A及び内壁34Bから成る中空構造を有し、その外壁34Aと内壁34Bとの間に隔壁36が形成されている。つまり、冷却筒16の筒壁34の内部は、隔壁36によって、外側流路38と内側流路40とに区分される冷却水流路を形成している。冷却筒16の基端部(取り付け部)の近傍で、外側流路38には、冷却水の流入管42が接続され、内側流路40には、冷却水の流出管44が接続される。隔壁36には、冷却筒16の先端部に連通路46が形成されており、その連通路46によって外側流路38と内側流路40とが連通する。
【0020】
冷却水流入管42によって、冷却筒16の外側流路38に供給された冷却水は、外側流路38内で冷却筒16の先端部に向かって流れ、冷却筒16の先端部で内側流路40に移り、内側流路内で基端部に向かって流れ、次いで、冷却水流出管44から流出する。冷却筒16の外径は約42mm、内径は約23mmで、全長は、約1700mm程度である。また、冷却筒16の各部の肉厚は約3mmである。冷却筒16の存在に起因する熱電対12の温度測定誤差を小さくするために、保護管14の外径(15mm)の10倍以上の長さ(約200mm)の保護管部分が、冷却筒16から露出している。
【0021】
図3は、上記実施形態例の温度測定素子10を、カーボンブラックの製造炉48に取り付けた状態で示している。製造炉48は、酸化還元雰囲気で、その内圧が最大でほぼ100mmH2Oとなる円筒形状を有している。炉48の外壁には、温度測定素子10の取付架台50が取り付けられる。取付架台50には、冷却筒16を軸方向に移動可能に支持するフランジ部材58が取り付けられ、温度測定素子10の先端は、炉内に延びている。
【0022】
冷却筒16と保護管14とは、双方のフランジ26、28によって相互に結合される。冷却筒16の冷却水流入管42及び流出管44にはそれぞれ、冷却水チューブ52、54が接続される。また、保護管14の金属保護管部分22の後端部には、エアーパージ用のエアーチューブ56が接続される。保護管14は、冷却筒16の内部を延びて、冷却筒16の先端からその先端部分が約200mm露出している。上記構造を採用することにより、温度測定素子10の炉壁への取付は容易となり、また、温度測定素子10は、その軸方向の任意の位置で、つまり、炉内の任意の半径方向位置で、温度測定が可能となる。
【0023】
炉内は、約1600℃の温度に達するものであり、また、その直径も3m以上あるため、従来の高純度アルミナセラミックスの保護管では、その長さに比して機械的強度が不十分であり、亀裂や破損が生じ易かった。しかし、保護管14を、セラミックス保護管部分20と、金属保護管部分22との接続構造で形成したことにより、その機械的強度が向上する一方、セラミックス保護管部分20に亀裂や破損が生じても、その部分のみの取り替えで足りるので、温度測定素子10の維持運用に要する費用の削減が可能となった。
【0024】
保護管14の内部をエアーパージすることにより、外部からの汚染物質の侵入が防止できる。また、熱電対の素線をセラミックシースで保護する構造としたことにより、高温環境下で金属保護管部分22から発生しがちな金属蒸気による劣化から熱電対12の素線が保護できる。熱電対12の素線は、接合点と後端部分とで同じ材質を使用しているので、熱電対12の起電力は、接合点の温度と、素線後端部の温度とによって一義的に決まり、素線途中の温度勾配には原理的に影響を受けない。従って、素線の途中を冷却しても温度測定結果に影響を及ぼすことはない。
【0025】
上記実施形態例では、例えば、熱電対の素線材料として白金−白金ロジウム、熱電対のシース材料として高純度アルミナセラミックス、セラミックス保護管部分の材料として高純度アルミナセラミックスが使用される。高純度アルミナセラミックスとしては、香蘭社から供給される、99.95%純度のアルミナを有するジェムランが好適に使用可能である。
【0026】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の温度測定素子及び温度測定方法は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【0027】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の温度測定素子及び温度測定方法によると、長尺の温度測定素子を用いて高温度を測定する際に、温度測定素子の機械的強度を維持しつつ、良好な温度測定結果が得られるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例に係る温度測定素子の断面図。
【図2】図1に示した冷却筒の断面図。
【図3】図1の温度測定素子を炉に取り付けた状態で示す、炉の水平方向断面図。
【符号の説明】
10:温度測定素子
12:熱電対
14:保護管
16:冷却筒
18:シース(さや管)
20:セラミック保護管部分
22:金属保護管部分
24:継ぎ手
26、28:フランジ
30:エアー供給口
32:端子箱
34:筒壁
36:隔壁
38:外側流路
40:内側流路
42:冷却水流入管
44:冷却水流出管
46:連通路
48:製造炉
50:架台
52、54:冷却水チューブ
56:エアーチューブ
58:取付フランジ
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度測定素子及び温度測定方法に関し、特に、最高温度が1500℃以上の高温度の測定に適した温度測定素子及び温度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、製鉄用のコークス炉やカーボンブラックの製造炉などでは、炉内の温度測定のために、熱電対や抵抗温度素子が利用される。熱電対を利用した温度測定では、一般に、熱電対の素線材料及び素線の保護管材料を適切に選定することにより、最高温度として1000℃以上の温度測定が可能である。このような高温度を測定する熱電対では、その素線を保護するために、セラミックスの保護管が使用される。
【0003】
熱電対の最高測定温度を、1500℃程度にまで上げるためには、保護管として、高純度アルミナセラミックスが利用される。高純度アルミナセラミックス材料では、2000℃程度までの温度に耐えるものが実用化されている。
【0004】
例えばカーボンブラックの製造炉では、その直径が3mを越えるものがあり、炉の中央部分の温度測定には、熱電対として、1500mm以上の長さが必要となる。ここで、カーボンブラックの製造炉で、1500℃程度の温度を計測するために、長さが1500mm以上の高純度アルミナセラミックスの保護管を使用することを考えると、このような長尺の保護管は、きわめて高価であり、また、容易に亀裂等の破損が生ずるため、その製作、維持運用に多額のコストが掛かるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、例えば1500℃程度までの高温度の測定が可能であり、且つ、保護管として1500mm以上の長さの実現が可能な温度測定素子及び温度測定方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の温度測定素子は、先端に接合点を形成する熱電対と、前記接合点を除いて熱電対の素線を囲み、冷却流体が流れる管路を有する冷却筒とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の温度測定素子は、熱電対の接合点を除いて熱電対の素線を囲み、冷却流体が流れる管路を有する冷却筒を配設したことにより、露出した接合点で温度を正確に計測する一方、冷却筒によって熱電対の素線部分を冷却するので、熱電対の素線部分を保護する保護管として、より耐熱性の低い材料が使用できる。
【0008】
本発明の好ましい態様の温度測定素子では、上記熱電対は、接合点を有する先端部分を保護するセラミック管と、素線部分を保護する金属管とを接続した保護管によって、冷却筒よりも半径方向内側で保護される。保護管の一部を金属管で構成することにより、保護管の価格を低減すると共に、その機械的強度を向上させる。
【0009】
熱電対としては、金属管から発生する金属蒸気に起因する劣化から素線を保護し、正常な温度測定を可能とするために、素線と一体に形成されたセラミックシースを有する熱電対が好適に使用される。このような熱電対として、仕上がり外径が4mm又は5mmのもので、その長さが100mmから1900mm程度のものが実現できる。
【0010】
また、前記保護管が、エアーパージ用の吸気口を有することも、本発明の好ましい態様である。この場合、外部から侵入する汚染物質を防止し、熱電対の素線を有効に保護できる。
【0011】
冷却筒の構造として、半径方向外側に配設される外壁と、半径方向内側に配設される内壁と、前記外壁と内壁との間に配設されて前記管路を内周側管路と外周側管路とに区画する隔壁とを有し、前記内周側管路及び外周側管路が、冷却流体の流入口及び流出口の一方及び他方にそれぞれ接続されると共に、前記隔壁に形成された連通路を介して相互に連通する構造が採用できる。この場合、簡素な構造の冷却筒によって、保護管の有効な冷却が可能となる。
【0012】
本発明の温度測定方法は、冷却流体が流れる管路を有する冷却筒で、熱電対の先端の接合点を除いて熱電対の素線を囲んで冷却することを特徴とする。
【0013】
熱電対を、その先端の接合点を除いて、冷却流体が内部を流れる冷却筒で囲むことにより、熱電対の保護管の高温度による損傷を防ぐ一方、先端の接合点で正確な温度の測定が可能となる。
【0014】
上記温度測定にあたっては、接合点を形成する先端部分を保護するセラミック管と、該セラミック管に接続され前記先端部分以外の素線部分を保護する金属管とを有する保護管によって、冷却筒よりも半径方向内側で熱電対を保護することが好ましい。この場合、例えば、熱電対の取り付け位置から1000mm以上離れた測定点で、最高温度が1500℃以上の温度を有効に計測することが出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明の温度測定素子の構成を示す縦断面図である。本実施形態例の温度測定素子10は、セラミックシースを有する熱電対12と、熱電対12の端子部32を除いて素線全体を保護する保護管14と、熱電対12の先端の接合点及びその近傍を除いて、熱電対12及び保護管14をその外側から囲んで冷却する冷却筒16とから構成される。
【0016】
熱電対12は、先端に接合点を有する一対の白金−白金ロジウム素線から成り、素線全体がセラミックシース18内に収納される。セラミックシース18の外径は、約3〜5mmであり、その全長は例えば約1900mmである。
【0017】
保護管14は、先端部の高純度アルミナセラミックス(商品名:ジェムランロッド)からなるセラミックス保護管部分20と、後端部の金属保護管部分22とからなり、中央部でセラミックス保護管部分20と金属保護管部分22とが、継ぎ手24でカップリングされる。金属保護管部分22は、その後端部分のフランジ26で冷却筒16のフランジ28とボルト結合される。保護管14の外径は約15mmで、その全長は約1900mmである。金属保護管部分22の長さと、セラミックス保護管部分24の長さとを適当に選定することにより、所望の強度及び長さの保護管14を有する温度測定素子10が得られる。
【0018】
熱電対12は、セラミックシース18の後端部が、金属保護管部分22の後端の内ねじ部分にねじ結合されて、保護管14に取り付けられる。金属保護管部分22には、そのフランジ26に隣接して、エアーパージの吸気口30が形成される。金属保護管部分22の後端には外ねじが形成され、熱電対12の端子箱32がこれにねじ結合される。端子箱32内で、熱電対12のリード線と、外部配線とが接続される。
【0019】
図2は、冷却筒16の構造を示す縦断面図である。冷却筒16は、筒壁34が外壁34A及び内壁34Bから成る中空構造を有し、その外壁34Aと内壁34Bとの間に隔壁36が形成されている。つまり、冷却筒16の筒壁34の内部は、隔壁36によって、外側流路38と内側流路40とに区分される冷却水流路を形成している。冷却筒16の基端部(取り付け部)の近傍で、外側流路38には、冷却水の流入管42が接続され、内側流路40には、冷却水の流出管44が接続される。隔壁36には、冷却筒16の先端部に連通路46が形成されており、その連通路46によって外側流路38と内側流路40とが連通する。
【0020】
冷却水流入管42によって、冷却筒16の外側流路38に供給された冷却水は、外側流路38内で冷却筒16の先端部に向かって流れ、冷却筒16の先端部で内側流路40に移り、内側流路内で基端部に向かって流れ、次いで、冷却水流出管44から流出する。冷却筒16の外径は約42mm、内径は約23mmで、全長は、約1700mm程度である。また、冷却筒16の各部の肉厚は約3mmである。冷却筒16の存在に起因する熱電対12の温度測定誤差を小さくするために、保護管14の外径(15mm)の10倍以上の長さ(約200mm)の保護管部分が、冷却筒16から露出している。
【0021】
図3は、上記実施形態例の温度測定素子10を、カーボンブラックの製造炉48に取り付けた状態で示している。製造炉48は、酸化還元雰囲気で、その内圧が最大でほぼ100mmH2Oとなる円筒形状を有している。炉48の外壁には、温度測定素子10の取付架台50が取り付けられる。取付架台50には、冷却筒16を軸方向に移動可能に支持するフランジ部材58が取り付けられ、温度測定素子10の先端は、炉内に延びている。
【0022】
冷却筒16と保護管14とは、双方のフランジ26、28によって相互に結合される。冷却筒16の冷却水流入管42及び流出管44にはそれぞれ、冷却水チューブ52、54が接続される。また、保護管14の金属保護管部分22の後端部には、エアーパージ用のエアーチューブ56が接続される。保護管14は、冷却筒16の内部を延びて、冷却筒16の先端からその先端部分が約200mm露出している。上記構造を採用することにより、温度測定素子10の炉壁への取付は容易となり、また、温度測定素子10は、その軸方向の任意の位置で、つまり、炉内の任意の半径方向位置で、温度測定が可能となる。
【0023】
炉内は、約1600℃の温度に達するものであり、また、その直径も3m以上あるため、従来の高純度アルミナセラミックスの保護管では、その長さに比して機械的強度が不十分であり、亀裂や破損が生じ易かった。しかし、保護管14を、セラミックス保護管部分20と、金属保護管部分22との接続構造で形成したことにより、その機械的強度が向上する一方、セラミックス保護管部分20に亀裂や破損が生じても、その部分のみの取り替えで足りるので、温度測定素子10の維持運用に要する費用の削減が可能となった。
【0024】
保護管14の内部をエアーパージすることにより、外部からの汚染物質の侵入が防止できる。また、熱電対の素線をセラミックシースで保護する構造としたことにより、高温環境下で金属保護管部分22から発生しがちな金属蒸気による劣化から熱電対12の素線が保護できる。熱電対12の素線は、接合点と後端部分とで同じ材質を使用しているので、熱電対12の起電力は、接合点の温度と、素線後端部の温度とによって一義的に決まり、素線途中の温度勾配には原理的に影響を受けない。従って、素線の途中を冷却しても温度測定結果に影響を及ぼすことはない。
【0025】
上記実施形態例では、例えば、熱電対の素線材料として白金−白金ロジウム、熱電対のシース材料として高純度アルミナセラミックス、セラミックス保護管部分の材料として高純度アルミナセラミックスが使用される。高純度アルミナセラミックスとしては、香蘭社から供給される、99.95%純度のアルミナを有するジェムランが好適に使用可能である。
【0026】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の温度測定素子及び温度測定方法は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【0027】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の温度測定素子及び温度測定方法によると、長尺の温度測定素子を用いて高温度を測定する際に、温度測定素子の機械的強度を維持しつつ、良好な温度測定結果が得られるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例に係る温度測定素子の断面図。
【図2】図1に示した冷却筒の断面図。
【図3】図1の温度測定素子を炉に取り付けた状態で示す、炉の水平方向断面図。
【符号の説明】
10:温度測定素子
12:熱電対
14:保護管
16:冷却筒
18:シース(さや管)
20:セラミック保護管部分
22:金属保護管部分
24:継ぎ手
26、28:フランジ
30:エアー供給口
32:端子箱
34:筒壁
36:隔壁
38:外側流路
40:内側流路
42:冷却水流入管
44:冷却水流出管
46:連通路
48:製造炉
50:架台
52、54:冷却水チューブ
56:エアーチューブ
58:取付フランジ
Claims (7)
- 先端に接合点を形成する熱電対と、前記接合点を除いて熱電対の素線を囲み、冷却流体が流れる管路を有する冷却筒とを備えることを特徴とする温度測定素子。
- 前記熱電対は、前記接合点を形成する先端部分を保護するセラミック管と、前記接合点以外の素線を保護する金属管とを接続した保護管によって、前記冷却筒よりも半径方向内側で保護される、請求項1に記載の温度測定素子。
- 前記保護管は、エアーパージ用の吸気口を有する、請求項2に記載の温度測定素子。
- 前記冷却筒は、半径方向外側に配設される外壁と、半径方向内側に配設される内壁と、前記外壁と内壁との間に配設されて前記管路を内周側管路と外周側管路とに区画する隔壁とを有し、前記内周側管路及び外周側管路が、冷却流体の流入口及び流出口の一方及び他方にそれぞれ接続されると共に、前記隔壁に形成された連通路を介して相互に連通する、請求項1〜3の何れかに記載の温度測定素子。
- 冷却流体が流れる管路を有する冷却筒で、熱電対の先端の接合点を除いて熱電対の素線を囲んで冷却することを特徴とする温度測定方法。
- 前記接合点を形成する先端部分を保護するセラミック管と、該セラミック管に接続され前記先端部分以外の素線部分を保護する金属管とを有する保護管によって、前記冷却筒よりも半径方向内側で前記熱電対を保護する、請求項5に記載の温度測定方法。
- 熱電対の取り付け位置から1000mm以上離れた測定点で、最高温度が1500℃以上の温度を計測する、請求項6に記載の温度測定方法。
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JP2002290808A JP2004125643A (ja) | 2002-10-03 | 2002-10-03 | 温度測定素子及び温度測定方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012529654A (ja) * | 2009-06-11 | 2012-11-22 | ローズマウント インコーポレイテッド | 温度測定ポイントのオンライン校正 |
-
2002
- 2002-10-03 JP JP2002290808A patent/JP2004125643A/ja active Pending
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