JP2004125385A - 耐食性を有する伝熱管 - Google Patents

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Masayoshi Usui
臼井 正佳
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Abstract

【課題】耐食性に優れるとともに、伝熱特性が高く内部を流動する流体と外部を流動する流体との熱交換効率にも優れた伝熱管を得る。また、この耐食性と伝熱特性に優れた伝熱管を、単純な構造と簡易な製造工程で廉価に形成する。
【解決手段】細径金属管1と、この細径金属管1の外周面に配設した耐食金属製の伝熱体5とから伝熱管7を構成する。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車や建設機械の燃料冷却管、油冷却管、居住用空間の温湿度を調整する空調機、その他に於いて、腐食環境下で使用される耐食性を有する伝熱管に係るもので、耐食性は勿論、伝熱特性に優れ、効率的な熱交換が可能な伝熱管を得ようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述の如き耐食性を有する伝熱管として、特開平8−188884号公報記載の発明、特開平10−315295号公報記載の発明の如く、亜鉛メッキやクロメート被膜等の防食メッキを施した鋼管やアルミニウム管等の細径金属管の外周面に、押出成形法によりポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の熱可塑性の樹脂被膜層を設けたものが存在する。この樹脂被膜層の衝撃吸収力や耐水性、耐薬品性等により、飛び石等による防食メッキ層、細径金属管の破損を防ぎ、泥はねや薬品等による細径金属管の酸化を防止し、伝熱管の耐食性を高めていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の如き従来技術の伝熱管は、耐衝撃性や耐食性を高めるために樹脂被膜層を肉厚に形成しているので、伝熱特性の点で問題があり、伝熱管の内外を流通する流体同志の熱交換を効率的に行うのは困難であった。そこで、伝熱特性の向上のため、特開平9−42573号公報記載の発明、特開平9−136111号公報記載の発明、特開平11−325778号公報記載の発明の如く、長尺な平板を螺旋状に巻回して、細径金属管の外周にフィン部材を設けて伝熱管を形成したものが存在する。このフィン部材により、伝熱管の伝熱特性が高まり、放熱の場合は放熱性に優れ吸熱の場合は熱吸収性に優れ、伝熱管の内部を流動する流体と外部を流動する流体との熱交換効率を向上させる事ができる。しかしながら、飛び石等がフィン部材間の隙間に侵入して細径金属管に突き当たり、表面の防食メッキ層が破損されて、耐食性に問題を生じ易いものであった。
【0004】
本発明は上述の如き課題を解決しようとするもので、細径金属管の外周面を耐食性の高い金属製の伝熱体で被覆して、伝熱管の耐食性を高めるとともに、前記伝熱体により伝熱管の伝熱特性を高めて、放熱性や熱吸収性を向上させ、内部を流通する流体と外部を流通する流体との熱交換効率にも優れた伝熱管を得るものである。また、この耐食性と伝熱特性に優れた伝熱管を、簡易な構造で廉価に形成可能とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の如き課題を解決するため、細径金属管と、この細径金属管の外周面に配設した耐食金属製の伝熱体とから成るものである。
【0006】
また、伝熱体は、細径金属管の外周面に装着した肉薄金属管であっても良い。
【0007】
また、細径金属管は、外表面に少なくとも1層の防食メッキ層を設け、この防食メッキ層の外周面に伝熱体を配設しても良い。
【0008】
また、伝熱体は、外表面に少なくとも1層の防食メッキ層を設けても良い。
【0009】
また、伝熱体は、外周面に金属製又は樹脂製のフィン部材を螺旋状に巻き回しても良い。
【0010】
また、フィン部材は、ピン、突起、短冊状の板材、凹凸、貫通孔の何れか一つ又はこれらの組み合わせから成る乱流化手段を外周面に設けても良い。
【0011】
また、肉薄金属管は、肉厚0.2〜0.4mmの二重巻ステンレス鋼管であっても良い。
【0012】
また、樹脂製のフィン部材は、カーボンナノファイバーを含有させても良い。
【0013】
また、カーボンナノファイバーは、5wt%より多く30wt%より少ない含有量で含有させても良い。
【0014】
【作用】
本発明は、上述の如く構成したものであり、従来技術では、伝熱管の耐食性及び耐衝撃性を向上させるために樹脂被膜層を肉厚としていたので、伝熱管の伝熱特性に乏しかった。しかし、本発明では、樹脂被膜層を設けず、鋼管やアルミニウム管、ステンレス鋼管等の細径金属管の外周面に、耐食金属製の伝熱体を配設しているので、伝熱管全体の伝熱特性を高める事ができ、放熱の場合は放熱性に優れ、吸熱の場合は熱吸収性に優れ、伝熱管の内部を流通する流体と外部を流通する流体との効率的な熱交換が可能となる。
【0015】
また、細径金属管の外周面を耐食金属製の伝熱体で被覆しているので、細径金属管の腐食が良好に防止され、耐食性の高い伝熱管を得る事ができる。そして、伝熱体の材料として、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の耐食性に優れた耐食金属を使用する事により、熱交換効率に優れるばかりでなく伝熱管の耐久性も高める事ができ、商品価値の高い製品を得る事ができる。また、飛び石等の多少の衝撃があっても、耐食金属製の伝熱体によって細径金属管が保護されるので、細径金属管の損傷を良好に防止可能な耐衝撃性にも優れた製品となり、細径金属管の損傷を防止して、伝熱管の耐食性が損なわれるのを少なく抑える事ができる。
【0016】
また、前記耐食金属製の伝熱体の配設は、何れの手段で行っても良い。例えば、細径金属管の外周面にアルミニウム管、銅管、二重巻ステンレス鋼管等を装着し、これらの管を伸管縮径させて肉薄金属管とし、細径金属管の外周に密着させて伝熱体とすれば、細径金属管の外周面全体を耐食金属で被覆可能となり、耐食性及び伝熱特性を高める事ができ、効率的な熱交換が可能な伝熱体を得る事ができる。
【0017】
また、伝熱体を構成する肉薄金属管として、前記二重巻ステンレス鋼管を使用するのが好ましく、この二重巻ステンレス鋼管は耐食性に優れ、メッキ処理が不要であるし、伸管縮径等が容易で加工性にも優れ、伝熱特性、耐食性、耐衝撃性の高い伝熱管を得る事ができる。また、伝熱体は、肉厚を0.2〜0.4mmとするのが好ましく、二重巻ステンレス鋼管は、伸管縮径により前記肉厚とするのが容易である。尚、伝熱体の肉厚が0.2mm未満であると、肉薄金属管が薄くなり過ぎ、伝熱管の製造が困難となるし、0.4mmよりも厚いと製造は容易だが伝熱特性が低下し、熱交換効率が悪くなる虞がある。
【0018】
また、細径金属管は、外表面に少なくとも1層の犠牲腐食性等の防食メッキ層を設け、この防食メッキ層の外周面に耐食金属製の伝熱体を配設すれば、伝熱管の耐食性を更に高める事ができる。また、前記防食メッキ層は、亜鉛、銅、錫、錫−亜鉛合金、ニッケル、亜鉛−ニッケル合金等を用いた1層構造であっても良いし、これらを組み合わせた2層以上の複数層構造であっても良い。
【0019】
また、耐食金属製の伝熱体に於いても、外表面に少なくとも1層の犠牲腐食性等の防食メッキ層を設ければ、伝熱体の防食性を更に高める事ができる。また、この伝熱体へのメッキ処理は、細径金属管の外周面に伝熱体を配設した後に行っても良いし、予めメッキ処理を施した伝熱体を細径金属管の外周面に配設するものであっても良い。
【0020】
上述の如く、細径金属管の外周面に耐食金属製の伝熱体を配設するだけで、伝熱管の耐食性と伝熱特性が向上するが、更に、伝熱体の外周面に金属製又は樹脂製のフィン部材を螺旋状に巻き回せば、伝熱管の外部を流通する流体との接触面積が増大し、伝熱管の伝熱特性をより高める事ができる。このフィン部材は、例えば断面形状をI字状、L字状、逆T字状、U字状等とする。また、金属製のフィン部材であれば、熱伝導性に優れるので、伝熱管の伝熱特性の更なる向上が可能となり、樹脂製のフィン部材であれば、成形が容易であるし、樹脂の弾力性により飛び石等に対する耐衝撃性に優れた伝熱管を得る事ができる。
【0021】
また、樹脂でフィン部材を形成した場合は、黒色の樹脂材で形成すれば、放熱の場合は輻射熱の放射特性に優れ、吸熱の場合は熱吸収性に優れたものとなり、伝熱管の熱交換効率の、更なる向上が可能となる。更に、樹脂製のフィン部材は、該樹脂材よりも伝熱特性の高い銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属製又はガラス製の粒子及び/又は繊維を含有して形成しても良く、樹脂製のフィン部材の伝熱特性を高めて、熱交換効率を向上させる事ができる。また、黒色の樹脂材に前記金属製やガラス製の粒子や繊維を含有させれば、より効果的な伝熱特性の向上が可能となる。
【0022】
また、樹脂製のフィン部材は、繊維としてカーボンナノファイバーを含有させれば、樹脂材の熱伝導性を更に向上させる事ができ、伝熱管の放熱性或いは熱吸収性の向上が可能となる。また、カーボンナノファイバーは、5wt%より多く30wt%より少ない含有量で含有させれば、最良の放熱性或いは熱吸収性を得る事ができる。このカーボンナノファイバーの含有量を5wt%以下とすると、伝熱効果の向上作用に乏しく、30wt%以上を樹脂材に含有させるのは困難で、生産性が低下するとともに高価で、伝熱効果に大きな差を生じない。尚、本明細書で言うカーボンナノファイバーとは、ナノテクノロジー分野に於いて、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、その他ナノ単位のカーボン材料を含んだ総称を示すものである。また、樹脂材にカーボンナノチューブを含有させる場合は、カーボンナノチューブが単層であっても良いし、複層であっても良い。更に、このカーボンナノチューブの各層のアスペクト比は問わないものである。
【0023】
また、フィン部材は、ピン、突起、短冊状の板材、凹凸、貫通孔の何れか1つ又はこれらの組み合わせから成る乱流化手段を外周面に設ければ、フィン部材の表面積を更に増やす事ができ、伝熱管の伝熱特性を更に向上させる事ができる。また、これらの乱流化手段により、伝熱管の外部を流通する流体に渦巻状の乱流を発生させ、境界層の剥離により、熱交換効率を更に向上させる事ができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に於て詳細に説明すれば、図1は本発明の第1実施例の伝熱管の一部拡大断面図で、メッキ処理を施した細径金属管の外周に耐食金属製の肉薄金属管を配設して伝熱体とした伝熱管である。また、図2に示す第2実施例は、第1実施例と同様の伝熱管の外周面に、断面形状がL字状のフィン部材を配設したもので、図3に示す第3実施例は、断面形状がL字状のフィン部材にピンを突設して乱流化手段を設けたものである。更に、図4に示す第4実施例は、断面形状がL字状のフィン部材の表面を波形に形成した伝熱管で、図5に示す第5実施例は、断面形状がU字状のフィン部材に貫通孔を開口して乱流化手段としたものであり、図6に示す第6実施例は、断面形状が逆T字形のフィン部材を設けたものである。
【0025】
まず、上記各実施例で、(1)は細径金属管で、管径30mm以下の比較的細径の一重巻鋼管、二重巻鋼管、アルミニウム管等を用いている。そして、前記細径金属管(1)の外表面に、犠牲腐食性等の防食メッキ層(2)を設けている。この防食メッキ層(2)は、亜鉛、銅、錫、錫−亜鉛合金、ニッケル、亜鉛−ニッケル合金等から成る1層で形成し、必要に応じクロメート被膜等を施しても良いし、細径金属管(1)の外表面にニッケルをメッキし、このニッケルの外周面に亜鉛−ニッケル合金をメッキして2層構造とする等、複数層としても良い。この防食メッキ層(2)を複数層とする場合は、例えば特許第2750710号公報記載の発明、特許第2954555号公報記載の発明、特開平3−47987号公報記載の手法で行っても良い。そして、本実施例では防食メッキ層(2)として、細径金属管(1)の外周面に亜鉛メッキ層(3)を施して1層構造とし、その外周面にクロメート被膜層(4)を施している。
【0026】
次に、上記防食メッキ層(2)を設けた細径金属管(1)の外周面に、耐食金属製の伝熱体(5)を配設する。それには、銅、アルミニウム、ステンレス鋼製のシームレス管又は電縫管や、防食メッキ処理した二重巻鋼管、二重巻ステンレス鋼管等の耐食金属管を、肉薄金属管(6)の原管として細径金属管(1)に外装する。そして、前記耐食金属管を伸管縮径する等の手法で、肉薄金属管(6)として細径金属管(1)の外周面にて密着させ、肉厚0.2〜0.4mmの伝熱体(5)を形成している。この肉薄金属管(6)の肉厚を0.2mm未満とすると、伝熱体(5)が薄くなり過ぎて製造が困難となり、0.4mmよりも肉厚だと、伝熱特性が低下する。
【0027】
また、肉薄金属管(6)として、二重巻ステンレス鋼管が特に適している。即ち、耐食性に優れるから、二重巻鋼管の如きメッキ処理を施す必要がないし、シームレス管に比べて伸管回数が少なく廉価なものとなる。更に、電縫管に比べてシーム部の突き合わせ等の手間が無いので、細径金属管(1)への伝熱体(5)の配設を、簡易な加工工程で低コストに行う事が可能となり、生産性を向上させる事ができる。
【0028】
上述の如く形成した第1実施例の伝熱管(7)では、細径金属管(1)に亜鉛メッキ層(3)とクロメート被膜層(4)から成る防食メッキ層(2)を施し、これらの外周面に更に耐食金属製の伝熱体(5)を配設しているので、耐食性に優れた製品を得る事ができる。更に、伝熱体(5)の配設により、飛び石等に対する耐衝撃性も得られ、破損等による細径金属管(1)の腐食を防止して、伝熱管(7)の良好な耐食性を持続可能となる。
【0029】
また、従来技術では、樹脂被膜層を設ける事により伝熱管の伝熱特性が低下していたが、本発明では、樹脂被膜層を設けておらず、熱伝導性の良い金属製の伝熱体(5)を配設しているので、伝熱管(7)の伝熱特性を向上させる事ができる。従って、この伝熱特性に優れた伝熱管(7)を介して、該伝熱管(7)の内部を流通する流体と外部を流通する流体との熱交換を効率的に行う事ができ、本発明の伝熱管(7)を使用した自動車や建設機械の燃料冷却管、油冷却管、居住用空間の温湿度を調整する空調機等の製品の品質を向上させる事ができる。
【0030】
次に、図2〜図6に示す第2〜第6実施例では、上記第1実施例と同様の耐食金属製の伝熱体(5)を設けた伝熱管(7)の外周面に、断面形状がL字状、U字状、逆T字状の金属製又は樹脂製のフィン部材(8)を螺旋状に巻き回している。また、断面形状がL字状、U字状、逆T字状フィン部材(8)は、伝熱体(5)の外周面に接触配設させる基板部(9)と、伝熱管(7)の外径方向に突出する突出部(10)とから構成し、前記基板部(9)を、ろう付け、溶接、接着剤等により伝熱体(5)の外周面に固定している。また、フィン部材(8)の突出部(10)は、長尺な帯状の基板部(9)の表面に、一定間隔で断続的に突起状又はピン状に突出させても良いし、基板部(9)の全長に連続して突設しても良い。
【0031】
このように、伝熱体(5)の外周面にフィン部材(8)を配設する事により、飛び石等に対する耐衝撃性が向上し、伝熱管(7)の耐久性が高まり、優れた耐食性を維持する事ができる。更に、フィン部材(8)により、伝熱管(7)の外部を流動する流体との接触面積が増大し、伝熱管(7)の伝熱特性を向上させる事ができ、より効率的な熱交換が可能となる。
【0032】
また、上記フィン部材(8)を金属製とした場合は、優れた伝熱特性が得られ、伝熱管(7)の伝熱特性の更なる向上が可能となる。また、金属製のフィン部材(8)を巻き回す場合には、図2〜図4に示す如く、フィン部材(8)の隣接する基板部(9)の両端を隙間無く密着させて、伝熱体(5)の外周面全体をフィン部材(8)で被覆する事により、高い伝熱特性が得られる。また、図5、図6に示す如く、基板部(9)の隣接する両端間に一定の間隔を介してフィン部材(8)を巻き回し、伝熱体(5)の外周面の一部を外部に露出させても、良好な熱交換効率が得られるとともにフィン部材(8)の節約や作業の簡易化が可能となる。
【0033】
一方、フィン部材(8)を樹脂製とした場合でも、表面積の増大により良好な伝熱特性が得られるし、成形性に優れるので伝熱体(5)へのフィン部材(8)の配設を行い易く、複雑な形状でも容易な成形が可能となる。更に、樹脂の弾力性により、飛び石等に対する高い耐衝撃性を得る事ができる。また、樹脂製のフィン部材(8)を巻き回す場合も、図2〜図4の如く基板部(9)の隣接する両端を密着させて伝熱体(5)の外周面全体をフィン部材(8)で被覆しても良いが、図5、図6の如く、一定間隔でフィン部材(8)を巻き回し、熱伝導性の良い耐食金属製の伝熱体(5)の外表面の一部を外部に露出させれば、伝熱管(7)の伝熱特性を更に高める事ができる。
【0034】
また、樹脂製のフィン部材(8)とした場合は、前記樹脂材中に銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属やガラスで形成した粒子や繊維を含有させて形成しても良く、フィン部材(8)の伝熱特性を高める事ができる。更に、樹脂製のフィン部材(8)を黒色とする事により、放熱の場合は輻射熱の放射特性に優れ、吸熱の場合は熱吸収に優れたものとなり、熱交換効率の更なる向上が可能となる。
【0035】
また、上記樹脂材に含有させる繊維として、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等のカーボンナノファイバーを使用する事により、樹脂製のフィン部材(8)の放熱性や熱吸収性を高く向上させる事ができる。また、このようなカーボンナノファイバーを、5wt%より多く30wt%より少ない含有量で含有させるのが好ましく、より良好な伝熱効果が得られるとともに伝熱管(7)の生産も容易である。
【0036】
そして、図2に示す第2実施例では、断面形状がL字状で外径方向への突出部(10)の表面全体が平滑なフィン部材(8)を配設しているので、フィン部材(8)の構造が単純で使用する材料も少なく、低コストな伝熱管(7)が得られる。また、この断面形状がL字状のフィン部材(8)は、長尺な帯材をL字状に折曲して基板部(9)と突出部(10)を設けても良いし、帯状の基板部(9)の一側に直交して帯状の突出部(10)を突出形成したり、基板部(9)の一側にピン状や突起状等の複数の突出部(10)を一定間隔又はランダムに突設しても良い。
【0037】
また、図3に示す第3実施例では、断面形状がL字状で表面全体が平滑なフィン部材(8)に、更にフィン部材(8)の外径方向への突出部(10)の表面に、ピン(11)を複数本垂直に突出固定し、伝熱管(7)の外部を流通する流体を乱流化するための乱流化手段を設けている。
【0038】
この乱流化手段であるピン(11)は、伝熱体(5)の外周面に固定する前のフィン部材(8)に予め固定し、このピン(11)を固定したフィン部材(8)を伝熱体(5)の外周面に巻き付けている。また、ピン(11)をフィン部材(8)に固定する手段は、図3に示す如く、フィン部材(8)に複数の貫通孔(12)を開口し、この貫通孔(12)に挿通したピン(11)を、ろう付けまたは溶接によりフィン部材(8)に、一定間隔又はランダムに固定している。
【0039】
このように、フィン部材(8)にピン(11)を設ける事により、フィン部材(8)の表面積を更に増大させ、外部を流通する流体との熱交換効率を向上させる事ができる。また、フィン部材(8)の平滑な外表面にピン(11)を突出することにより、フィン部材(8)の両表面に流体の渦巻状の乱流を発生させ、螺旋状に巻き回されたフィン部材(8)間に発生し易い境界層を剥離し、伝熱特性を向上させて熱交換効率を更に向上させる事ができるものである。
【0040】
上記第3実施例では、フィン部材(8)の両面にピン(11)を設けて乱流化手段としているが、他の異なる実施例として、片面のみにピン(11)を設けても良い。また、ピン(11)を突設せず、貫通孔(12)のみであっても流体の乱流化が可能となる。
【0041】
また、図4に示す第4実施例では、フィン部材(8)の外径方向への突出部(10)の表面を波形に加工して凹凸(13)を形成する事により、フィン部材(8)の表面積を増やすとともに、流体の乱流化手段とし、伝熱管(7)の熱交換効率を高めている。また、前記凹凸(13)は、突出部(10)全体を波形に成形するのではなく、複数の小さな突起や凹部を設けて凹凸(13)を設けても良いし、突起のみや凹部のみで乱流化手段としても良い。
【0042】
次に、図5に示す第5実施例では、断面形状がU字形のフィン部材(8)を伝熱体(5)の外周面に、飛び石を防げる程度の一定間隔を介して螺旋状に巻き回すとともに、外径方向への突出部(10)に、貫通孔(12)を設けて、乱流化手段を形成している。このように、フィン部材(8)をU字形とする事により、L字状としたフィン部材(8)に比べて、流体と伝熱体(5)との接触面積を更に増大させる事ができ、伝熱体(5)と流体との熱交換効率をより高める事ができる。
【0043】
また、上記第3、第4、第5実施例では、流体の乱流化手段として、各々ピン(11)、凹凸(13)、貫通孔(12)、突起を設けているが、短冊状の板材により乱流化手段を形成しても良い。この短冊状の板材では、ピン(11)、貫通孔(12)、凹凸(13)、突起に比べてフィン部材(8)の表面積が更に増大し、流体の渦巻状の乱流を大きく発生させ、境界層の剥離により伝熱特性を向上させて、熱交換効率を更に向上させる事ができる。また、上記ピン(11)、貫通孔(12)、突起、凹凸(13)、短冊状の板材等の何れか1種から成る乱流化手段であっても良いし、これらを複数種組み合わせて乱流化手段を形成しても良い。
【0044】
また、図6に示す第6実施例では、断面形状が逆T字状のフィン部材(8)を伝熱体(5)の外周面に一定間隔を介して巻き回している。この逆T字状のフィン部材(8)は、長尺な帯状の基板部(9)に、帯状の突出部(10)を外径方向に突設して形成しても良いし、帯状の基板部(9)に、ピン状又は突起状の突出部(10)を一定間隔又はランダムに複数突設させて形成しても良い。また、第6実施例では、突出部(10)の表面全体が平滑なフィン部材(8)としているが、突出部(10)に前記適宜の乱流化手段を設けても良い。
【0045】
また、上記各実施例では、細径金属管(1)の外周面に防食メッキ層(2)を設けているが、耐食金属製の伝熱体(5)により十分な耐食性が得られるので、防食メッキ層(2)を設けずに伝熱管(7)を形成しても良い。また、上記各実施例では伝熱体(5)の外表面には何ら表面処理を施してないが、伝熱体(5)の外表面に亜鉛、銅、錫、錫−亜鉛合金、ニッケル、亜鉛−ニッケル合金等のメッキ処理を施し、その外表面に必要に応じクロメート被膜等を設けても良く、より過酷な腐食環境下であっても優れた耐食性を持続可能となる。また、細径金属管(1)及び伝熱体(5)は、前記メッキ処理に限らず、陽極酸化処理等の他の表面処理を施しても良い。また、金属製のフィン部材(8)を使用する場合には、フィン部材(8)に前記表面処理を施しても良い。
【0046】
また、上記メッキ処理や陽極酸化処理等の表面処理作業は、伝熱管(7)の製作工程に組み込んでも良いが、予めこれらの表面処理の施された細径金属管(1)、伝熱体(5)用の肉薄金属管(6)、金属製のフィン部材(8)を使用しても良く、表面処理の手間を省いて伝熱管(7)の生産性を高める事ができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したもので、鋼管、アルミニウム管、ステンレス鋼管、その他の細径金属管の外周面に、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の耐食金属製の伝熱体を配設する事により、耐食性及び伝熱特性の高い伝熱管を得る事ができる。従って、伝熱管の耐久性が高まるとともに、伝熱管の内部を流動する流体と外部を流動する流体との効率的な熱交換を長期に行う事が可能となる。また、耐食金属製の伝熱体の配設により、飛び石等に対する耐衝撃性も得られるものとなり、伝熱管の優れた耐食性を長期に維持可能となる。また、細径金属管の外周面に伝熱管を配設するだけなので、伝熱管の構造が単純で製造も容易となり、生産性を高める事ができる。また、本発明の熱交換効率に優れた伝熱管を使用する事により、自動車や建設機械の燃料冷却管、油冷却管、居住用空間の温湿度を調整する空調機等の製品の品質を向上させる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の伝熱管の一部拡大断面図で、肉薄金属管で伝熱体を形成したものである。
【図2】第2実施例の伝熱管の一部拡大断面図で、断面形状がL字状のフィン部材を螺旋状に巻き回したものである。
【図3】第3実施例の伝熱管の一部拡大断面図で、断面形状がL字状のフィン部材の表面にピンを突設して乱流化手段を設けたものである。
【図4】第4実施例の伝熱管の一部拡大断面図で、断面形状がL字状のフィン部材の表面に波形の凹凸から成る乱流化手段を設けたものである。
【図5】第5実施例の伝熱管の一部拡大断面図で、断面形状がU字形のフィン部材に貫通孔を開口して乱流化手段を設けたものである。
【図6】第6実施例の伝熱管の一部拡大断面図で、断面形状が逆T字状のフィン部材を螺旋状に巻き回したものである。
【符号の説明】
1 細径金属管
2 防食メッキ層
5 伝熱体
6 肉薄金属管
8 フィン部材
11 ピン
12 貫通孔
13 凹凸

Claims (9)

  1. 細径金属管と、この細径金属管の外周面に配設した耐食金属製の伝熱体とから成る事を特徴とする耐食性を有する伝熱管。
  2. 伝熱体は、細径金属管の外周面に装着した肉薄金属管である事を特徴とする請求項1の耐食性を有する伝熱管。
  3. 細径金属管は、外表面に少なくとも1層の防食メッキ層を設け、この防食メッキ層の外周面に伝熱体を配設した事を特徴とする請求項1又は2の耐食性を有する伝熱管。
  4. 伝熱体は、外表面に少なくとも1層の防食メッキ層を設けた事を特徴とする請求項1、2又は3の耐食性を有する伝熱管。
  5. 伝熱体は、外周面に金属製又は樹脂製のフィン部材を螺旋状に巻き回した事を特徴とする請求項1、2、3又は4の耐食性を有する伝熱管。
  6. フィン部材は、ピン、突起、短冊状の板材、凹凸、貫通孔の何れか一つ又はこれらの組み合わせから成る乱流化手段を外周面に設けた事を特徴とする請求項5の耐食性を有する伝熱管。
  7. 肉薄金属管は、肉厚0.2〜0.4mmの二重巻ステンレス鋼管である事を特徴とする請求項2の耐食性を有する伝熱管。
  8. 樹脂製のフィン部材は、カーボンナノファイバーを含有させた事を特徴とする請求項5の耐食性を有する伝熱管。
  9. カーボンナノファイバーは、5wt%より多く30wt%より少ない含有量で含有させた事を特徴とする請求項8の耐食性を有する伝熱管。
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