JP2004124760A - 火花点火式エンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】リーン燃焼および圧縮自己着火による燃焼により、燃費を向上させるとともに、その効果が大きく得られる走行領域を拡大する。
【解決手段】排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の先行気筒2A,2Dから排出される既燃ガスが吸気行程側の後続気筒2B,2Cに導入され、後続気筒2B,2Cから排出されるガスのみが排気通路20に導かれるようにする。そして、先行気筒2A,2Dではリーン空燃比で圧縮自己着火による燃焼を行わせ、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから導入された既燃ガスに燃料を供給して圧縮自己着火による燃焼を行わせる。更に、各吸排気バルブ31,32a,32b等の開閉時期を制御して先行気筒2A,2Dの内部EGR量を変動させ、先行気筒2A,2Dが圧縮自己着火による燃焼を行い得る走行領域を拡大する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火花点火式エンジンの制御装置に関し、より詳しくは、多気筒エンジンにおいて燃費改善及びエミッション向上のために各気筒の燃焼状態および吸排気弁の開閉時期を制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、火花点火式エンジンにおいて、各気筒内の混合気の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせることにより燃費改善を図る技術が研究されており、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、低回転低負荷域等では上記燃料噴射弁から圧縮行程で燃料を噴射することにより成層燃焼を行わせ、これによって超リーン燃焼を実現するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記のように成層燃焼により超リーン燃焼を行うと、熱効率が向上されるとともに、吸入空気量が多くなって吸気負圧が低減され、これらによって大幅に燃費が改善される。また、このような超リーンの成層燃焼状態では過剰に存在する空気の一部がEGRに置き換わっても充分に燃焼し得るため、比較的多量のEGRが可能であって、これによりNOx低減等に有利となる。そして、このように多量のEGRを導入した場合でも、ポンピングロス低減効果は変わりなく得られ、かつ、非成層で吸入空気量及びEGR量を制限する通常の燃焼と比べれば熱効率も高められて、燃費改善効果が得られる。
【0004】
ところで、成層燃焼を行うとある程度までは空燃比がリーンになるにつれて燃費改善効果が高められるが、ある程度以上にリーンになると、燃焼速度が遅くなりすぎてその終期に近い燃焼が仕事に寄与しなくなることにより、却って燃費が悪化する傾向が生じる。このように、成層燃焼でのリーン化による燃費改善にも限界があった。
【0005】
一方、燃費改善のための別の手法として、圧縮自己着火が研究されている。この圧縮自己着火は、ディーゼルエンジンと同様に圧縮行程終期に燃焼室内を高温、高圧にして燃料を自己着火させるようにするものであり、空燃比が超リーンの状態や多量のEGRが導入されている状態でもこのような圧縮自己着火が行われれば燃焼室全体が一気に燃焼するため、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、燃費改善に有利となる。
【0006】
しかし通常の火花点火式エンジン(ガソリンエンジン)では燃焼のために強制点火が必要であって、圧縮上死点付近での燃焼室内の温度、圧力が圧縮自己着火を生じさせる程度までには高められず、圧縮自己着火を行わせるためには燃焼室内の温度または圧力を大幅に高めるための格別の工夫が必要となる。
【0007】
このような課題に対し、本願出願人は、吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行う多気筒エンジンにおいて、少なくとも低負荷低回転域では、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスをそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に導入し、この後続気筒から排出されるガスを排気通路に導くようにするとともに、この2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒において理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で強制点火により燃焼を行わせ、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給するとともに圧縮自己着火により燃焼を行わせるようにすることを考えた(特願2002−029836号)。
【0008】
これによると、少なくとも低負荷低回転域において、先行気筒ではリーン空燃比で強制点火による燃焼が行われ、熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減されることにより大幅な燃費改善効果が得られ、また、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて燃焼が行われる。このとき、先行気筒から気筒管ガス通路を介して導かれるガスは高温であるために圧縮行程終期に圧縮自己着火可能な程度にまで燃焼室内の温度が上昇し、圧縮自己着火が行われる。圧縮自己着火により急速に燃焼が行われるため、効率よく燃焼が仕事に寄与することとなり、これとポンピングロス低減とで燃費が大幅に改善される。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−274085号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、リーン空燃比による燃焼によって大幅な燃費改善効果を得るためには、2気筒接続状態での燃焼制御を行い、特に圧縮自己着火による燃焼を行うことが有効である。
【0011】
しかし、上記の2気筒接続状態における圧縮自己着火による燃焼は、既燃ガスの導入によって筒内温度が上昇し易い後続気筒に限られたものであった。すなわち、先行気筒では強制点火による燃焼を行うものであったため、圧縮自己着火による燃焼を行う場合ほどの高い熱効率が得られていなかった。
【0012】
本発明は以上のような課題を考慮してなされたものであり、リーン燃焼やポンピングロス低減等による燃費改善効果を得るとともに、特に熱効率の高い圧縮自己着火による燃焼の頻度を高めることにより、更に大きな燃費改善効果が得られる火花点火式エンジンの制御装置を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンにおいて、少なくとも低負荷低回転域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態にガス流通経路を構成するとともに、上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒では理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比となるように燃料を噴射して燃焼を行わせ、上記後続気筒では、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせるように各気筒の燃焼を制御する燃焼制御手段を備え、上記燃焼制御手段は、上記2気筒接続状態となる運転領域の一部又は全部において、上記後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせるとともに、後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域のうち、比較的低負荷側の所定の領域では、上記先行気筒の内部EGR量を増大させつつ、上記先行気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせ、負荷の増大に伴い、内部EGR割合を減少させるように構成されていることを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置である。
【0014】
この構成によると、少なくとも低負荷低回転域において、先行気筒では空気が過剰に存在するリーン空燃比で燃焼が行われ、このリーン燃焼によって熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減され、大幅な燃費改善効果が得られる。また、後続気筒では、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに追加燃料が供給されて圧縮自己着火による燃焼が行われる。先行気筒から気筒間ガス通路を介して導入されるガスは高温であるために、追加燃料の気化が促進されるうえ、圧縮自己着火により燃焼室全体に亘り一気に燃焼するので、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、高い燃費改善効果が得られる。また、先行気筒ではリーン空燃比で燃焼が行われることによりNOx発生量が比較的少なく抑えられ、後続気筒では、先行気筒から既燃ガスが導入されることで多量のEGR(排気再循環)が行われているのと同等の状態となることからNOxの発生が充分に抑制され、排ガス浄化が促進される。
【0015】
更に、後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域のうち、比較的低負荷側の所定の領域では、先行気筒の内部EGR量を増大させ、先行気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせるようにしている。先行気筒の内部EGR量を増大させると、高温の既燃ガスが先行気筒内に残存した状態で次の吸気行程、圧縮行程へと移行するので、筒内温度が上昇し、圧縮自己着火させることが容易となる。こうして先行気筒で圧縮自己着火による燃焼を行うことにより、後続気筒と同様、高い熱効率と、NOxの発生抑制作用を得ることができ、更なる燃費向上効果および排ガス浄化効果を奏することができる。
【0016】
なお、先行気筒では内部EGR量の増大によって新気の量が減少する上、リーン空燃比で燃焼させるので、噴射燃料は比較的少ないものとなる。しかし、先行気筒で内部EGRを増大させる領域を、比較的低負荷側の所定の領域としているので、比較的少ない燃料噴射量でも要求出力を得る事ができる。
【0017】
そして、負荷の増大に伴い、先行気筒の内部EGR割合を減少させるので、新気の割合が増加する。このため、増大した要求出力を得るために燃料噴射量が増加しても、その燃焼を行うに充分な新気を確保することができる。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域の一部または全部で、上記先行気筒に設けられて排気行程で既燃ガスを上記気筒間ガス通路に排出する既燃ガス排出弁の閉弁時期を、上記先行気筒の排気行程上死点よりも早期に設定することを特徴とする。
【0019】
このように既燃ガス排出弁の閉弁時期を設定すると、先行気筒の排気行程において、排気行程上死点よりも早期に既燃ガス排出弁が閉弁する。このため、既燃ガスの排出を抑制し、筒内に多く残存させた状態で次の吸気行程、圧縮行程へと移行させることができる。すなわち、内部EGR量を増大させることができる。
【0020】
なお、各行程や上死点(TDC)、下死点(BDC)等の語は、ピストンの動作や位置を指すが、ピストン位置はクランク角の関数ともなっているので、一般になされているように、本明細書でも各行程やピストン位置をクランク角で示す表現に準ずる。たとえば、ピストンが上死点から下死点まで移動したときにクランク軸が180°回転する場合、上死点と下死点との間隔はクランク角180°(以下180°CAと記す)である。また、吸気弁の開弁時期や吸気弁の開弁期間などという場合の時期や期間の単位は、クランク角とする。
【0021】
請求項3の発明は、請求項2記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域の一部または全部で、上記燃焼制御手段は、上記先行気筒への燃料の噴射時期を、上記既燃ガス排出弁の閉弁時期よりも遅く、かつその排気行程上死点付近に設定することを特徴とする。
【0022】
このようにすると、既燃ガスが多く残存した先行気筒内に燃料を噴射するので、その高温によって燃料の活性化がはかられる上、その燃料噴射が排気行程上死点付近という早期に行われるので、活性化が充分に促進される。このため、圧縮自己着火性を向上させることができる。なお燃料噴射が既燃ガス排出弁の閉弁後になされるので、噴射された燃料が既燃ガス排出弁からそのまま排出されることが防止される。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域の一部または全部で、上記燃焼制御手段は、上記後続気筒での実質的な空燃比が、リーン空燃比となるように制御することを特徴とする。
【0024】
ここで、後続気筒での実質的な空燃比とは、後続気筒での燃焼に関る酸素と燃料との比に相当する新気の空気と燃料との比をいう。
【0025】
このようにすると、先行気筒のみならず、後続気筒においてもリーン空燃比による燃焼を行うので、更に熱効率を高めることができ、燃費改善効果を高めることができる。また、先行気筒、後続気筒ともにリーン空燃比によってNOxの生成が抑制される上、圧縮自己着火によって燃焼室全体に亘り一気に燃焼するのでNOxの生成が更に抑制される。このため、一層排気浄化性能を高めることができる。
【0026】
請求項5の発明は、請求項4記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記排気通路に設けられる排ガス浄化のための触媒が、3元触媒のみ、または3元触媒と酸化触媒のみであることを特徴とする。
【0027】
このようにすると、NOxを還元処理するための比較的高価なリーンNOx触媒が不要となり、コストを削減することができる。この構成では、先行気筒、後続気筒ともにリーン空燃比および圧縮自己着火による効果でNOxの生成が充分抑制されているため、3元触媒のみ、または3元触媒と酸化触媒のみであっても充分な排ガス浄化性能を得る事ができる。
【0028】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記後続気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で上記気筒間ガス通路から既燃ガスを導入する既燃ガス導入弁と、上記後続気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で新気を導入する後続気筒吸気弁とを備え、上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域の一部または全部で、上記既燃ガス導入弁の開弁時期が、その後続気筒の吸気行程上死点よりも遅れ側に設定され、上記既燃ガス導入弁の開弁時期よりも早期に上記後続気筒吸気弁が開弁されるようになっていることを特徴とする。
【0029】
このようにすると、後続気筒には、既燃ガス導入弁を経由して先行気筒から導かれる既燃ガスの他に、後続気筒吸気弁から新気も導入される。そのため、先行気筒において内部EGR量を増大させることによって後続気筒に導入される既燃ガス中の酸素が少なくなっても、後続気筒に別途導入される新気によって酸素が補填され、後続気筒での発生出力を高めることができる。またその効果により、先行気筒における内部EGR量の増大限界か向上するので、先行気筒で圧縮自己着火し得る領域を更に拡大することができる。
【0030】
なお、既燃ガス導入弁の開弁時期を、その後続気筒の吸気行程上死点よりも遅れ側に設定するとともに、後続気筒吸気弁の開弁時期を、既燃ガス導入弁の開弁時期よりも早期に設定することにより、導入された既燃ガスが、そのまま後続気筒吸気弁を介して排出されることを防止している。
【0031】
請求項7の発明は、請求項6記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記先行気筒がロングストローク型であり、かつ上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で新気を導入する先行気筒吸気弁を備え、上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域の一部または全部で、上記既燃ガス排出弁および上記既燃ガス導入弁の閉弁時期が、上記先行気筒の排気行程上死点よりも遅れ側に設定され、上記先行気筒吸気弁の開時期が、その先行気筒の吸気行程上死点より早期に設定されていることを特徴とする。
【0032】
このようにすると、先行気筒では、既燃ガス排出弁(従来エンジンの排気弁に相当する)と先行気筒吸気弁とが共に開いている期間、いわゆるバルブオーバーラップ期間が増大する。バルブオーバーラップ期間を増大させることにより、新気と既燃ガスとの混流量を増大させ、内部EGR量を増大させることができる。
【0033】
一方、バルブオーバーラップ期間を増大させると、バルブとピストン上面との干渉懸念が生じる。そこでロングストローク型(ストローク>シリンダボア径)としてピストンが上死点付近にある期間を短縮することにより、その干渉を防止することができる。
【0034】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記先行気筒に対して吸気を過給する過給機を備え、少なくとも上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域の一部または全部で、上記過給機による過給を行うことを特徴とする。
【0035】
このようにすると、先行気筒に導入される新気(特に酸素)の絶対量を増大させることができる。それに伴い、内部EGR量も増大させることができるので、先行気筒で圧縮自己着火させ易くなる。また、過給により吸気温が上昇することによっても圧縮自己着火性が向上する。このように先行気筒での圧縮自己着火性を向上させることにより、先行気筒で圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域を拡大することができ、更なる燃費向上をはかることができる。
【0036】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行う上記運転領域のうち、比較的高負荷側の所定の領域では、上記燃焼制御手段は、上記先行気筒で強制点火による燃焼を行わせるとともに、上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域にある場合よりも、上記先行気筒の実質的な空燃比が大きくなるように設定することを特徴とする。
【0037】
このようにすると、比較的高負荷側領域の先行気筒において、内部EGR割合を減少させて新気の導入量を増加させたとき、筒内温度が低下しても強制点火による燃焼を行うので、安定した燃焼を得る事ができる。
【0038】
また、先行気筒で圧縮自己着火による燃焼を行うときは、その空燃比をリーン空燃比であっても比較的小さな空燃比(リッチ気味)としておく必要があるが、比較的高負荷側領域に移行して強制点火に切換えた後は特にその必要がなくなる。従って、先行気筒では空燃比を大きく(よりリーンに)設定し、その分熱効率の良い圧縮自己着火による燃焼を行う後続気筒をリッチ気味に設定することにより、更に燃費を向上させることができる。
【0039】
なお、先行気筒で空燃比を大きくするには燃料噴射量を減少させれば良いが、内部EGR割合を減少させるだけでも新気の導入量が増加するので、空燃比を大きくすることができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施形態によるエンジンの概略構成を示し、図2はエンジン本体1の一つの気筒とそれに対して設けられた吸・排気弁等の構造を概略的に示している。これらの図において、エンジン本体1は複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒2A〜2Dを有している。各気筒2A〜2Dにはピストン3が嵌挿され、ピストン3の上方に燃焼室4が形成されている。
【0041】
各気筒2A〜2Dの燃焼室4の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室4内に臨んでいる。この点火プラグ7には、電子制御による点火時期のコントロールが可能な点火回路8が接続されている。
【0042】
燃焼室4の側方部には、燃焼室4内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁9が設けられている。この燃料噴射弁9は、図略のニードル弁及びソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。なお、この燃料噴射弁9には、図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ、圧縮行程での燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
【0043】
また、各気筒2A〜2Dの燃焼室4に対して吸気ポート11、11a,11b及び排気ポート12、12a,12bが開口し、これらのポートに吸気通路15c、排気通路20等が接続されるとともに、各ポートにはそれぞれ先行気筒吸気弁31、後続気筒吸気弁31a、既燃ガス導入弁31b、後続気筒排気弁32、先行気筒排気弁32aおよび既燃ガス排出弁32b(これらの弁は従来エンジンの吸排気弁に相当する)が設けられている。その上方にはロッカシャフト170を支軸として揺動し得るロッカアームセット160が設けられ、更にその上方にはカムシャフト33,34と、これらと一体回転することによりロッカアームセット160を揺動させるカム26,27が設けられている。
【0044】
そして、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっており、4気筒エンジンの場合、気筒列方向一端側から1番気筒2A、2番気筒2B、3番気筒2C、4番気筒2Dと呼ぶと、図9に示すように上記サイクルが1番気筒2A、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bの順にクランク角で180°ずつの位相差をもって行われるようになっている。なお、図9において、EXは排気行程、INは吸気行程であり、また、Fは燃料噴射、Sは強制点火(条件によっては圧縮自己着火)を表し、図中の星マークは圧縮自己着火(条件によっては強制点火)が行われることを表している。
【0045】
排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間には、排気行程と吸気行程が重なるときの排気行程側の気筒(当明細書ではこれを先行気筒と呼ぶ)から吸気行程側の気筒(当明細書ではこれを後続気筒と呼ぶ)へ既燃ガスをそのまま導くことができるように、気筒間ガス通路22が設けられている。当実施形態の4気筒エンジンでは、図9に示すように1番気筒2Aの排気行程(EX)と2番気筒2Bの吸気行程(IN)とが重なり、また4番気筒2Dの排気行程(EX)と3番気筒2Cの吸気行程(IN)が重なるので、1番気筒2Aと2番気筒2B、及び、4番気筒2Dと3番気筒2Cがそれぞれ一対をなし、1番気筒2A及び4番気筒2Dが先行気筒、2番気筒2B及び3番気筒2Cが後続気筒となる。
【0046】
各気筒の吸・排気ポートとこれに接続される吸気通路、排気通路及び気筒間ガス通路は、具体的には次のように構成されている。
【0047】
先行気筒である1番気筒2A及び4番気筒2Dには、それぞれ、新気を導入するための吸気ポート11と、既燃ガス(排気ガス)を排気通路に送り出すための第1排気ポート12aと、既燃ガスを後続気筒に導出するための第2排気ポート12bとが配設されている。また、後続気筒である2番気筒2B及び3番気筒2Cには、それぞれ、新気を導入するための第1吸気ポート11aと、先行気筒からの既燃ガスを導入するための第2吸気ポート11bと、既燃ガスを排気通路に送り出すための排気ポート12とが配設されている。
【0048】
図1に示す例では、1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aが、1気筒当り2個ずつ、燃焼室の左半部側に並列的に設けられる一方、1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12a及び第2排気ポート12bならびに2番,3番気筒2B,2Cにおける第2吸気ポート11b及び排気ポート12が、燃焼室の右半部側に並列的に設けられている。
【0049】
1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aには、吸気通路15cにおける気筒別の分岐吸気通路16の下流端が接続されている。各分岐吸気通路16の下流端近傍には、共通の軸を介して互いに連動する多連スロットル弁17が設けられており、この多連スロットル弁17は制御信号に応じてアクチュエータ18により駆動され、吸入空気量を調節するようになっている。なお、吸気通路15における集合部より上流には、上流側から順に吸気通路15、吸気流量を検出するエアフローセンサ19、吸気通路15a、排気ガスのエネルギを利用して過給を行うターボ過給機50のコンプレッサ52、吸気通路15b及びインタークーラ53が設けられている。
【0050】
1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12aおよび2番,3番気筒2B,2Cにおける排気ポート12には、排気通路20における気筒別の分岐排気通路21の上流端が接続されている。また、1番気筒2Aと2番気筒2Bとの間及び3番気筒2Cと4番気筒2Dとの間にそれぞれ気筒間ガス通路22が設けられ、先行気筒である1番,4番気筒2A,2Dの第2排気ポート12bに気筒間ガス通路22の上流端が接続されるとともに、後続気筒である2番,3番気筒2B,2Cの第2吸気ポート11bに気筒間ガス通路22の下流端が接続されている。
【0051】
気筒間ガス通路22には、酸素濃度に応じて出力がリニアに変化するリニアOセンサ25が設けられており、その出力に応じ、所定のリーン空燃比とされる先行気筒2A,2Dに対する燃料噴射量がフィードバック制御される。
【0052】
排気通路20における分岐排気通路21の下流の集合部には排気ガス中の酸素濃度を検出することにより空燃比を検出するOセンサ23が設けられている。Oセンサ23は、理論空燃比付近で出力が急変するλOセンサであり、このOセンサ23の出力に基いて後続気筒2B,2C(各気筒独立状態のときは気筒2A,2Dを含む)に対する燃料噴射量がフィードバック制御される。さらにOセンサ23の下流には、上流側から順に排気通路20、ターボ過給機50のタービン51、排気通路20a及び排気浄化用の三元触媒24が設けられている。この三元触媒24は、一般に知られているように、排気ガスの空燃比が理論空燃比(つまり空気過剰率λがλ=1)付近にあるときにHC,CO及びNOxに対して高い浄化性能を示す触媒である。
【0053】
各気筒の吸・排気ポートを開閉する各弁とこれらに対する動弁機構は、次のようになっている。
【0054】
1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11、第1排気ポート12a及び第2排気ポート12bにはそれぞれ先行気筒吸気弁31、先行気筒排気弁32a及び既燃ガス排出弁32bが設けられ、また、2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11a、第2吸気ポート11b及び排気ポート12にはそれぞれ後続気筒吸気弁31a、既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32が設けられている。これらの各弁は、各気筒が吸気行程または排気行程にあるとき、ロッカアームセット160の揺動に伴って開閉する(停止する場合もある)が、その開閉時期は必ずしも上死点や下死点に限らず、必要に応じて数度CA(クランク角)〜数十度CAずれた時期に設定されている。
【0055】
更に当実施形態では、カム位相可変機構33a,34aによって各弁の開閉時期を条件に応じて変動させるようになっている。カム位相可変機構33a,34aは、カムシャフト33,34の回転位相をクランクシャフトの回転位相に対して変動させる、従来から知られた機構である。図1に示すようにカムシャフト33にはカム位相可変機構33aが、カムシャフト34にはカム位相可変機構34aが設けられており、それぞれ独立して制御されている(図7参照)。従って、カムシャフト33の回転によって開閉する先行気筒吸気弁31および後続気筒吸気弁31aの開閉時期は、カム位相可変機構33aによって全体的に前後に変動する。同様に、カムシャフト34の回転によって開閉する既燃ガス導入弁31b、後続気筒排気弁32、先行気筒排気弁32aおよび既燃ガス排出弁32bの開閉時期は、カム位相可変機構34aによって全体的に前後に変動する。
【0056】
図3は、ロッカアームセット160の揺動状態を、カムの切換えによって変更させるカム切換機構150の部分斜視図である。この機構により、2点鎖線で示す既燃ガス導入弁31b等の開閉時期を変動させたり、閉弁状態で停止させたりすることができる。既燃ガス導入弁31bの上方にはカムシャフト34が配設されている。カムシャフト34にはカム27が一体回転するように設けられている。カム27は第1カム152,第2カム154および第3カム156という独立したリフト特性を有する3種類のカムからなる。これらのカムと既燃ガス導入弁31bとの間には、ロッカシャフト170に支持されたロッカアームセット160が設けられている。ロッカアームセット160は、第1ロッカアーム162,第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166という3種類のロッカアームの集合体である。第1ロッカアーム162の先端にはバルブ当接部163と、その軸線方向位置を微調整するためのアジャストスクリュー161が設けられており、バルブ当接部163は適切な位置で既燃ガス導入弁31b等の弁軸上端に当接している。第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166には、図外のスプリングが、これらのロッカアームを第2カム154および第3カム156に押圧するように設けられている。従って、ロッカアームセット160の各ロッカアームが、図示のように独立して可動である場合には、各ロッカアームの上面は第1カム152,第2カム154および第3カム156の外周部に当接し、カム当接部の形状(各カムの回転半径)に応じてロッカシャフト170を支軸として上下に揺動する。なお、カムシャフト33にも同様の機構が設けられている(図3中に括弧書きで示す。)。
【0057】
ロッカアームセット160の内部には、後述するように5本のプランジャが2列に設けられている(図4参照。図3ではそのプランジャ穴のひとつである第4プランジャ穴204が見えている)。これらのプランジャの動きにより、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164または第3ロッカアーム166と一体となり、連動し得る。ロッカシャフト170の内部には、プランジャを油圧作動させるためのオイルを導く第1作動油給排用の通路172および第2作動油給排用の通路174が設けられている。
【0058】
第1カム152は、弁停止用のカムであり、カムシャフト151と同心円の外周形状を有する。したがって第1ロッカアーム162は、その上面が第1カム152の外周面に常時当接している(第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と切り離されている)とき、カムシャフト151が回転しても揺動しない。すなわち既燃ガス導入弁31b等は閉弁状態で停止している。
【0059】
第2カム154は、低負荷(または低速)用のカムであり、第1カム152と同一の外周形状を有する部分と、それより突出した外周形状を有する部分とからなる。したがって第2ロッカアーム164は、その上面が第2カム154の外周面に常時当接している(後述の第3ロッカアーム166と切り離されている)とき、カムシャフト151の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動する。そして、このとき第1ロッカアーム162と第2ロッカアーム164とが連動するようになっていれば、第1ロッカアーム162の動作は第2カム154による第2ロッカアーム164の揺動と同一のものとなる。すなわち既燃ガス導入弁31bは所定時期に所定量だけ開弁する。
【0060】
第3カム156は、高負荷(または高速)用のカムであり、第2カム154と同一の外周形状を有する部分と、それより突出した外周形状を有する部分とからなる。したがって第3ロッカアーム166は、その上面が第3カム156の外周面に常時当接しており、カムシャフト151の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動する。そして、このとき第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166とが連動するようになっていれば、第1ロッカアーム162の動作は第3カム156による第3ロッカアーム166の揺動と同一のものとなる。すなわち既燃ガス導入弁31bは所定時期に所定量だけ開弁する(開弁期間は第2ロッカアーム164のみが第1ロッカアーム162と連動する場合の開弁期間を包含する)。
【0061】
なお、第1カム152、第2カム154および第3カム156の形状を適宜変更することによって、種々の変形が可能である。例えば、第2カム154と第3カム156とを同形状とすることにより、実質的には既燃ガス導入弁31bを作動と停止の2段階に切換えるものとしたり、第1カム152の一部を突出させることにより、弁停止状態に替えて開閉するようにすることもできる。
【0062】
図4は、ロッカアームセット160の内部に設けられた5本のプランジャの作動を示す説明図である。図4(a)は第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と切り離された状態、図4(b)は第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164のみと連動する状態、図4(c)は第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と連動する状態を示す。
【0063】
第1ロッカアーム162の内部には第1プランジャ穴201および第4プランジャ穴204が設けられている。第1プランジャ穴201は第2ロッカアーム164側に開口した円形断面の凹穴である。第1プランジャ穴201の底部には第1作動油給排用の通路172から第1作動油導入路173が導かれている。第1プランジャ穴201内には円柱状の第1プランジャ181が嵌挿されている。第1プランジャ181は、その外周面で第1作動油導入路173に導かれた作動油をシールしつつ、第1プランジャ穴201内を滑らかに摺動する。第1プランジャ181の全長は、第1プランジャ穴201の深さよりも短い。
【0064】
第4プランジャ穴204は第2ロッカアーム164側と第3ロッカアーム166側とを貫通する貫通穴である。第4プランジャ穴204内には円柱状の第4プランジャ184が嵌挿されている。第4プランジャ184の全長は、第4プランジャ穴204の深さ(第1ロッカアーム162の板厚)と等しい。第4プランジャ184は、第4プランジャ穴204内を滑らかに摺動する。
【0065】
第2ロッカアーム164の内部には第2プランジャ穴202および第5プランジャ穴205が設けられている。第2プランジャ穴202は第1ロッカアーム162側に開口した円形断面の凹穴であり、第1プランジャ穴201と等しい直径となっている。第2プランジャ穴202の底部にはエア抜き穴206が設けられ、リークしたオイルを逃がしつつ内部の気圧を大気圧に保つ。第2プランジャ穴202内には有底円筒状で外径が第1プランジャ181と等しい第2プランジャ182が嵌挿されている。第2プランジャ182は、第2プランジャ穴202内を滑らかに摺動する。第2プランジャ182の全長は、第2プランジャ穴202の深さと等しい。第2プランジャ182の第1プランジャ181と当接する端部は、球状に成形されている。第2プランジャ182の内側凹部には第2プランジャスプリング187が設けられ、第2プランジャ182を常時第1プランジャ181側に付勢している。
【0066】
第5プランジャ穴205は第1ロッカアーム162側に開口した円形断面の凹穴であり、第4プランジャ穴204と等しい直径となっている。第5プランジャ穴205の底部にはエア抜き穴207が設けられ、リークしたオイルを逃がしつつ内部の気圧を大気圧に保つ。第5プランジャ穴205内には有底円筒状で外径が第4プランジャ184と等しい第5プランジャ185が嵌挿されている。第5プランジャ185は、第5プランジャ穴205内を滑らかに摺動する。第5プランジャ185の全長は、第5プランジャ穴205の深さよりも短い。第5プランジャ185の第4プランジャ184と当接する端部は、球状に成形されている。第5プランジャ185の内側凹部には第5プランジャスプリング189が設けられ、第5プランジャ185を常時第4プランジャ184側に付勢している。
【0067】
第3ロッカアーム166の内部には第3プランジャ穴203が設けられている。第3プランジャ穴203は第1ロッカアーム162側に開口した円形断面の凹穴であり、第4プランジャ穴204と等しい直径となっている。第3プランジャ穴203の底部には第2作動油給排用の通路174から第2作動油導入路175が導かれている。第3プランジャ穴203内には円柱状で外径が第4プランジャ184と等しい第3プランジャ183が嵌挿されている。第3プランジャ183は、その外周面で第2作動油導入路175に導かれた作動油をシールしつつ、第3プランジャ穴203内を滑らかに摺動する。第3プランジャ183の全長は、第3プランジャ穴203の深さと等しい。第3プランジャ183の第4プランジャ184と当接する端部は、球状に成形されている。
【0068】
図4(a)は、第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と切り離された状態を示し、第1作動油給排用の通路172に作動油圧が供給(以下油圧ONという)され、第2作動油給排用の通路174に作動油圧が供給されていない(以下油圧OFFという)。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173が油圧ONとなり、第1プランジャ181を右側(図の矢印方向)に押圧する。その押圧力は第2プランジャスプリング187の付勢力よりも大きく、第1プランジャ181は第2プランジャ182と一体となって右側に移動している。第2プランジャ182の全長が第2プランジャ穴202の深さと等しいので、第1プランジャ181と第2プランジャ182との接点は第1ロッカアーム162と第2ロッカアーム164との合わせ面内にある。
【0069】
一方、第2作動油給排用の通路174から導かれた第2作動油導入路175が油圧OFFとなっているので、第3プランジャ183、第4プランジャ184および第5プランジャ185は、第5プランジャスプリング189の付勢力によって一体となって左側(図の矢印方向)に移動している。第3プランジャ183の全長が第3プランジャ穴203の深さと等しいので、第3プランジャ183と第4プランジャ184との接点は第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166との合わせ面内にある。更に第4プランジャ184の全長が第4プランジャ穴204の深さと等しいので、第4プランジャ184と第5プランジャ185との接点は第1ロッカアーム162と第2ロッカアーム164との合わせ面内にある。
【0070】
このように、各プランジャの接点が各ロッカアームの合わせ面内にあるため、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166から切り離された状態となっている。このため第1ロッカアーム162は、その上面に当接する第1カム152による作動、すなわちロッカシャフト170まわりの揺動停止を行い、既燃ガス導入弁31bを閉弁状態で停止させる。
【0071】
図4(b)は、第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164のみと連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172、第2作動油給排用の通路174ともに油圧OFFとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173が油圧OFFとなっているので、第1プランジャ181および第2プランジャ182は、第2プランジャスプリング187の付勢力によって左側(図の矢印方向)に移動している。第1プランジャ181の全長が第1プランジャ穴201の深さより短いので、第2プランジャ182の一部は第1プランジャ穴201に入り込んでいる。
【0072】
一方、第2作動油給排用の通路174から導かれた第2作動油導入路175が油圧OFFとなっているので、図4(a)と同様、第3プランジャ183と第4プランジャ184との接点は第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166との合わせ面内にあり、第4プランジャ184と第5プランジャ185との接点は第1ロッカアーム162と第2ロッカアーム164との合わせ面内にある。
【0073】
このように、第2プランジャ182の一部が第1プランジャ穴201に入り込むことにより、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164と連動する。また、第3プランジャ183と第4プランジャ184との接点が第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166との合わせ面内にあるので、第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166とは切り離された状態となっている。従って第1ロッカアーム162は、第2ロッカアーム164の上面に当接する第2カム154による作動を行う。すなわちカムシャフト151の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動し、既燃ガス導入弁31bを開閉させる。
【0074】
図4(c)は、第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧OFF、第2作動油給排用の通路174が油圧ONとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173が油圧OFFとなっているので、図4(b)と同様、第2プランジャ182の一部は第1プランジャ穴201に入り込んでいる。
【0075】
一方、第2作動油給排用の通路174から導かれた第2作動油導入路175が油圧ONとなっているので、第3プランジャ183を右側(図の矢印方向)に押圧する。その押圧力は第5プランジャスプリング189の付勢力よりも大きく、第3プランジャ183は第4プランジャ184および第5プランジャ185と一体となって右側に移動している。第5プランジャ185の全長が第5プランジャ穴205の深さよりも短いので、第4プランジャ184の一部が第5プランジャ穴205に入り込み、さらに第3プランジャ183の一部が第4プランジャ穴204に入り込んでいる。
【0076】
このように、第2プランジャ182の一部が第1プランジャ穴201に入り込み、第3プランジャ183の一部が第4プランジャ穴204に入り込むことにより、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と連動する。従って第1ロッカアーム162は、第3ロッカアーム166の上面に当接する、最も回転半径の大きな第3カム156による作動を行う。すなわちカムシャフト151の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動し、既燃ガス導入弁31bを開閉させる。その開弁期間は図4(b)の場合よりも長くなっている。
【0077】
以上のカム切換機構150は、既燃ガス導入弁31bおよび既燃ガス排出弁32bのためのものであるが、後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aにも同様のカム切換機構150a(図3に括弧書きで示す)が設けられている。但し、カム切換機構150aでは第2カム154と第3カム156は同一形状である。それらのカムに当接するロッカアームセット160aは、図3に示すように第1ロッカアーム162a、第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aからなる。カム切換機構150aは、第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aから切り離され、後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aを閉弁状態で停止させる状態と、第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと連動し、第2カム154および第3カム156の回転によって後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aを開閉させる状態とに切換える。
【0078】
図5は、ロッカアームセット160aの内部に設けられた3本のプランジャの作動を示す説明図である。図5(a)は第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと切り離された状態、図5(b)は第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと連動する状態を示す。
【0079】
ロッカアームセット160a内のプランジャ構造は、ロッカアームセット160内のプランジャ構造のうち、第3プランジャ183、第4プランジャ184および第5プランジャ185まわりの構造を設けたようなものとなっており、その詳細構造の説明はロッカアームセット160における記述と重複するので省略する。但し、第3プランジャ183の左端には、第1作動油給排用の通路172から第1作動油導入路173aが導かれている点がロッカアームセット160とは異なる。また、第2作動油給排用の通路174は、構造上省略できる場合にはなくても良い。
【0080】
図5(a)は、第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと切り離された状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧OFFとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173aが油圧OFFとなっているので、第3プランジャ183、第4プランジャ184および第5プランジャ185は、第5プランジャスプリング189の付勢力によって一体となって左側(図の矢印方向)に移動している。従って、第3プランジャ183と第4プランジャ184との接点は第1ロッカアーム162aと第3ロッカアーム166aとの合わせ面内にあり、第4プランジャ184と第5プランジャ185との接点は第1ロッカアーム162aと第2ロッカアーム164aとの合わせ面内にある。
【0081】
このように、各プランジャの接点が各ロッカアームの合わせ面内にあるため、第1ロッカアーム162aは第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aから切り離された状態となっている。このため第1ロッカアーム162aは、その上面に当接する第1カム152による作動、すなわちロッカシャフト170まわりの揺動停止を行い、既燃ガス導入弁後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aを閉弁状態で停止させる。
【0082】
図5(b)は、第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧ONとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173aが油圧ONとなっているので、第3プランジャ183を右側(図の矢印方向)に押圧する。その押圧力は第5プランジャスプリング189の付勢力よりも大きく、第3プランジャ183は第4プランジャ184および第5プランジャ185と一体となって右側に移動している。従って第4プランジャ184の一部が第5プランジャ穴205に入り込み、さらに第3プランジャ183の一部が第4プランジャ穴204に入り込んでいる。
【0083】
このように、第4プランジャ184の一部が第5プランジャ穴205に入り込み、さらに第3プランジャ183の一部が第4プランジャ穴204に入り込むことにより、第1ロッカアーム162aは第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと連動する。従って第1ロッカアーム162aは、第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aの上面に当接する第2カム154および第3カム156(同形状)による作動を行う。すなわちカムシャフト34の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動し、後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aを開閉させる。
【0084】
更に、先行気筒吸気弁31にも類似のカム切換機構150bが設けられている(図3に括弧書きで示す。)。カム切換機構150bでは第1カム152が停止用カムではなく、突出部を有する低負荷用カムとなっている。また、第2カム154と第3カム156は同一形状であり、高負荷用カムとなっている。それらのカムに当接するロッカアームセット160bは、図3に確固書きで示すように第1ロッカアーム162b、第2ロッカアーム164bおよび第3ロッカアーム166bからなる。カム切換機構150bは、第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bおよび第3ロッカアーム166bから切り離され、先行気筒吸気弁31を比較的短期間開弁させる状態と、第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bまたは第3ロッカアーム166bと連動し、第2カム154または第3カム156の回転によって先行気筒吸気弁31を比較的長期間開弁させる状態とに切換える。
【0085】
図6は、ロッカアームセット160bの内部に設けられた3本のプランジャの作動を示す説明図である。図6(a)は第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bおよび第3ロッカアーム166bと切り離された状態、図6(b)は第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bのみと連動する状態、図6(c)は第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bおよび第3ロッカアーム166bと連動する状態を示す。
【0086】
ロッカアームセット160b内のプランジャ構造は、ロッカアームセット160内のプランジャ構造のうち、第1プランジャ181と第2プランジャ182の全長と第2プランジャスプリング187の仕様とを変更してそれぞれ第1プランジャ181b、第2プランジャ182bおよび第2プランジャスプリング187bとしたものである。この構造により、カム切換機構150bはカム切換機構150に対し、第1作動油給排用の通路172および第2作動油給排用の通路174の油圧のON、OFFの組み合わせによるカムの切換え状態が異なっている。
【0087】
図6(a)は、第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bおよび第3ロッカアーム166bと切り離された状態を示し、第1作動油給排用の通路172および第2作動油給排用の通路174が共に油圧OFFとなっている。図6(b)は、第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bのみと連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧ON、第2作動油給排用の通路174が油圧OFFとなっている。図6(c)は、第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bおよび第3ロッカアーム166bと連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧OFF、第2作動油給排用の通路174が油圧ONとなっている。
【0088】
図7は当実施形態における駆動、制御系統の構成を示している。第1コントロール弁176および第2コントロール弁177は、第1作動油給排用の通路172および第2作動油給排用の通路174に導く第1作動油および第2作動油を制御(油圧ON/OFF)するためのコントロール弁である。カム切換機構150は既燃ガス導入弁31b、既燃ガス排出弁32bに設けられ、カム切換機構150aは後続気筒吸気弁31a、先行気筒排気弁32aに設けられ、カム切換機構150bは先行気筒吸気弁31に設けられている。
【0089】
マイクロコンピュータ等からなるエンジン制御用のECU(コントロールユニット)40には、エアフローセンサ19、Oセンサ23およびリニアOセンサ25からの信号が入力され、運転状態を判別するためにエンジン回転数を検出する回転数センサ47とアクセル開度(アクセルペダル踏込み量)を検出するアクセル開度センサ48とからの信号が入力される。このECU40から、点火回路8、各燃料噴射弁9、多連スロットル弁17のアクチュエータ18、第1,第2のコントロール弁37,39およびカム位相可変機構33a,34aのそれぞれに対して制御信号が出力される。
【0090】
ECU40は、少なくとも低負荷低回転域で、ガス流通経路を2気筒接続状態(図10参照)としつつ燃焼を行わせる制御手段を構成するものであって、運転状態判別手段41、カム切換制御手段190、吸入空気量制御手段43、燃焼制御手段44およびカム位相制御手段49を備えている。
【0091】
運転状態判別手段41は、回転数センサ47およびアクセル開度センサ48等からの信号によりエンジンの運転状態(エンジン回転数およびエンジン負荷)を調べ、運転状態が図8に示すような低負荷低回転側の運転領域A(エンジン負荷T1以下かつエンジン回転数r1以下)と、高負荷側ないし高回転側の運転領域B(エンジン負荷がT1を超えるか又はエンジン回転数がr1を越える)とのいずれの領域にあるかを判別する。運転領域Aの中でも、運転領域A1は比較的低負荷低回転の領域であり、運転領域A3は比較的高負荷高回転の領域、運転領域A2はその中間の領域である。所定の条件下(たとえばエンジンが完全に暖機された状態)において、運転領域Aでは2気筒接続状態とする特殊運転モードでの運転を行い、運転領域Bでは各気筒独立状態とする通常運転モードでの運転を行う。
【0092】
カム切換制御手段190は、特殊運転モードと通常運転モードとに応じ、あるいは運転領域に応じ、第1コントロール弁176および第2コントロール弁177を制御することにより、カム切換機構150およびカム切換機構150aを次のように制御する。
【0093】
特殊運転モードのうち、低、中負荷領域(領域A1、A2):
・第1作動油圧−OFF,第2作動油圧−OFF
・先行気筒排気弁32a、後続気筒吸気弁31aを
第1カム152による停止状態(図5(a))
・既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bを
第2カム154(低負荷用カム)による作動状態(図4(b))
・先行気筒吸気弁31を
第1カム152(低負荷用カム)による作動状態(図6(a))。
【0094】
特殊運転モードのうち、高負荷領域(領域A3):
・第1作動油圧−OFF,第2作動油圧−ON
・先行気筒排気弁32a、後続気筒吸気弁31aを
第1カム152による停止状態(図5(a))
・既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bを
第3カム156(高負荷用カム)による作動状態(図4(c))
・先行気筒吸気弁31を
第2カム154b(高負荷用カム)による作動状態(図6(b))。
【0095】
通常運転モード(領域B):
・第1作動油圧−ON,第2作動油圧−OFF
・先行気筒排気弁32a、後続気筒吸気弁31aを
第2カム154および第3カム156による作動状態(図5(b))
・既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bを
第1カム152による停止状態(図4(a))
・先行気筒吸気弁31を
第3カム156b(高負荷用カム)による作動状態(図6(c))。
【0096】
吸入空気量制御手段43は、アクチュエータ18を制御することによりスロットル弁17の開度(スロットル開度)を制御するものであり、運転状態に応じてマップ等から目標吸入空気量を求め、その目標吸入空気量に応じてスロットル開度を制御する。この場合、特殊運転モードでは、後述のように後続気筒(2番、3番気筒2B,2C)においては分岐吸気通路16からの吸気導入が遮断された状態で先行気筒から導入されるガス中の過剰空気と新たに供給される燃料とで燃焼が行われるので、先行、後続の2気筒分の要求トルクに応じた燃料の燃焼に必要な量の空気が先行気筒(1番、4番気筒2A,2D)に供給されるように、スロットル開度が調節される。
【0097】
燃焼制御手段44は、燃料噴射制御手段45と点火制御手段46とからなっており、燃料噴射制御手段45により、各気筒2A〜2Dに設けられた燃料噴射弁9からの燃料噴射量及び噴射タイミングをエンジンの運転状態に応じて制御するとともに、点火制御手段46により運転状態に応じた点火時期の制御及び点火停止等の制御を行う。そして、特に運転状態が特殊運転モードである場合と通常運転モードである場合とで燃焼の制御(燃料噴射の制御及び点火の制御)が変更される。
【0098】
すなわち、特殊運転モードの低、中負荷領域(図8の領域A1、A2)において、先行気筒(1番、4番気筒2A,2D)に対しては、空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比、好ましくは理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上とするように燃料噴射量を制御し、後続気筒(2番、3番気筒2B,2C)に対しては、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに対して燃料を供給し、実質的な理論空燃比またはそれよりもリーンな空燃比となるように燃料噴射量を制御する。そして、これらの燃料噴射は吸気行程で行われ、先行気筒2A,2D、後続気筒2B,2Cともに圧縮自己着火による燃焼を行う。
【0099】
また特殊運転モードの高負荷領域(図8の領域A3)において、先行気筒(1番、4番気筒2A,2D)に対しては、空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比、好ましくは理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上とするように燃料噴射量を制御し、かつ、圧縮上死点付近で強制点火を行わせるように点火タイミングを設定する。後続気筒(2番、3番気筒2B,2C)に対しては、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに対して燃料を供給し、実質的な理論空燃比となるように燃料噴射量を制御するとともに、吸気行程で燃料を噴射するように噴射タイミングを設定する。そして運転状態に応じて圧縮自己着火または強制点火による燃焼を行う。
【0100】
通常運転モードの領域(図8の領域B)では、各気筒2A〜2Dの空燃比を理論空燃比もしくはそれ以下とするように燃料噴射量を制御し、例えば通常運転モードのうちの大部分の領域において理論空燃比とし、全開負荷及びその付近の運転領域で理論空燃比よりリッチとする。そして、この場合に、各気筒2A〜2Dに対して吸気行程で燃料を噴射して混合気を均一化するように噴射タイミングを設定し、かつ、各気筒2A〜2Dとも強制点火を行わせるようにする。
【0101】
カム位相制御手段49は、運転状態判別手段41の結果に基き、カム位相可変機構33a,34aの制御を行う。制御の詳細は後述するが、例えば特殊運転モードにおいて、低負荷の領域(図8の領域A1)ではカム26の位相を遅らせる側にカム位相可変機構33aを制御するとともにカム27の位相を進ませる側にカム位相可変機構34aを制御する。このため、カムシャフト33の回転によって作動する先行気筒吸気弁31および後続気筒吸気弁31aの開閉時期が全体的に遅くなり、カムシャフト34の回転によって作動する既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32の開閉時期が全体的に早期になる。一方、中、高負荷の領域(図8の領域A2,A3)や通常運転モードの領域(図8の領域B)ではカム26,27の位相をそれぞれ逆側に制御し、先行気筒吸気弁31および後続気筒吸気弁31aの開閉時期が全体的に早期になり、既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32の開閉時期が全体的に遅くなるようにする。なお、カム位相可変機構33a,34aは作動中の弁に対して作用するので、停止状態となっている弁は、カム位相可変機構33a,34aの制御にかかわらず停止状態を維持する。
【0102】
以上のような当実施形態の装置の作用を、図9〜図14を参照しつつ説明する。特殊運転モードでは前述のように先行気筒排気弁32a及び後続気筒吸気弁31aが停止状態、既燃ガス排出弁32b及び既燃ガス導入弁31bが作動状態とされることにより、実質的な新気及びガスの流通経路は図10に示すようになり、先行気筒(1番,4番気筒)2A,2Dから排出される既燃ガスがそのまま気筒間ガス通路22を介して後続気筒(2番,3番気筒)2B,2Cに導入されるとともに、この後続気筒2B,2Cから排出されるガスのみが排気通路20に導かれるような2気筒接続状態とされる。
【0103】
この状態において、先行気筒2A,2Dにそれぞれ吸気行程で吸気通路15から新気が導入され(図10中の矢印a)、先行気筒2A,2DではリニアOセンサ25により検出される空燃比が理論空燃比の略2倍ないしそれ以上の超リーン空燃比となるように燃料噴射量がフィードバック制御されつつ燃料が噴射され、圧縮自己着火(領域A1,A2)または強制点火(領域A3)によって超リーン空燃比での成層燃焼が行われる(図9参照。この図では、先行気筒は強制点火を行っている。)。
【0104】
その後、先行気筒2A,2Dの吸気行程と後続気筒2B,2Cの排気行程が重なる期間に、先行気筒2A,2Dから排出された既燃ガスがガス通路22を通って後続気筒2B,2Cに導入される(図9中の白抜き矢印及び図10中の矢印b)。そして、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて、実質的な理論空燃比またはそれよりリーンな空燃比となるように燃料噴射量が制御されつつ、燃料が噴射される。このとき、後続気筒2B,2Cでは圧縮行程の上死点付近で燃焼室内の圧力、温度の上昇により圧縮自己着火が行われる。
【0105】
こうして後続気筒2B,2Cでは、多量のEGRガス相当の既燃ガス成分を含み、かつ、空燃比がリーンであるという条件下でも、同時圧縮自己着火により燃焼が急速に行われ、これにより熱効率が大幅に向上されることとなる。
【0106】
このように、先行気筒2A,2Dでは超リーンでの成層燃焼により熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減されて燃費が向上し、特に圧縮自己着火を行う場合には、一層の燃費向上効果が得られる。一方、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dと同様にポンピングロス低減効果が得られるとともに、圧縮自己着火による燃焼を行う場合には、均一な混合気分布状態で圧縮自己着火が行われることにより熱効率が高められ、燃費向上効果が得られる。
【0107】
また、先行気筒2A,2Dでは理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上のリーン空燃比とされることでNOx発生量が比較的少なく抑えられ、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから既燃ガスが導入されることで多量のEGRが行われているのと同等の状態となることからNOxの発生が充分に抑制される。このような点からもエミッションの向上に有利となる。
【0108】
但し、領域特殊運転モード中であって、圧縮自己着火を行うような運転領域であっても、筒内温度が低く、圧縮自己着火し難い状態のときには何れの気筒も強制点火に切換える。また逆に、後続気筒2B,2Cの筒内温度が高過ぎてノッキング等の異常燃焼が起こるような状態のときには、特殊運転モードから通常運転モードに切換える。何れの場合も圧縮自己着火による特殊運転モードに比べ、燃費等の向上効果が抑制される。従って、これらの効果をより多く得るためには、特殊運転モード中の圧縮自己着火に適した運転領域を拡大することが望ましく、更には先行気筒2A,2Dにおいて圧縮自己着火に適した運転領域を拡大することがより望ましい。
【0109】
特殊運転モード中の圧縮自己着火、特に先行気筒2A,2Dにおける圧縮自己着火に適した運転領域を拡大するため、吸排気弁の開閉時期は次のように設定されている。
【0110】
図12は、図9の吸排気行程部分を詳細に示したものであり、特殊運転モードにおける先行気筒2A,2Dの先行気筒吸気弁31および既燃ガス排出弁32bの開閉時期と、後続気筒2B,2Cの既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32の開閉時期とを示す説明図である。図12(a)は特殊運転モードを行う運転状態のうち、比較的低負荷の領域(図8の領域A1)の場合であり、図12(b)は同様に中程度の負荷の領域(図8の領域A2)の場合である。これらの図で、横軸はクランク角を示し、Tは上死点(TDC)、Bは下死点(BDC)である。TとBとの間隔は180°CAである。また、上段は先行気筒2A,2Dを示し、下段はそれに対応する後続気筒2B,2Cを示す。そして、帯線で示す各部分は、各弁の開弁期間を示す。上段から下段に向かう白抜き矢印は、先行気筒2A,2Dの排気行程と後続気筒2B,2Cの吸気行程とが重なっており、先行気筒2A,2Dでの既燃ガスが後続気筒2B,2Cに導かれる状態を示す。
【0111】
図12(a)において、上段には先行気筒2A,2Dの既燃ガス排出弁32bが開弁する既燃ガス排出弁の開弁期間300と、先行気筒吸気弁31が開弁する先行気筒吸気弁の開弁期間310(斜線で示す)とを示す。これらは何れも低負荷用カムによる開弁期間である。それぞれの帯線の下に、高負荷用のカムによる開弁期間(既燃ガス排出弁の開弁期間380、先行気筒吸気弁の開弁期間390)を参考として示す。下段には後続気筒2B,2Cの後続気筒排気弁32が開弁する後続気筒排気弁の開弁期間320と、既燃ガス導入弁31bが開弁する既燃ガス導入弁の開弁期間330とを示す。先行気筒の既燃ガス排出弁の開弁期間300は、BDC前約35°CAからTDC前約40°CA(トータル約175°CA)に設定されている。特に既燃ガス排出弁の閉弁時期302は、TDCよりも早期に設定されている。これは、従来のエンジンの一般的な設定値(BDC前30°CAからTDC後25°CA程度)よりも短く、かつ早期化した設定である。また、先行気筒吸気弁の開弁期間310は、TDC後約50°CAからBDC後約45°CA(トータル約175°CA)に設定されている。これは、従来のエンジンの一般的な設定値(TDC前10°CAからBDC後55°CA程度)よりも短く、かつ遅らせた設定である。これらの設定により、先行気筒2A,2Dでは、既燃ガス排出弁の閉弁時期302から先行気筒吸気弁の開弁時期312までの間、何れの吸排気弁とも閉じ切った状態(以下マイナスオーバーラップという)が生じている。図12(a)では、先行気筒のマイナスオーバーラップはTDCを挟んで約90°CAとなっている。そして、先行気筒2A,2Dにおいて、先行気筒の燃料噴射時期305は、TDC付近に設定され、圧縮自己着火による燃焼を行う。
【0112】
後続気筒排気弁の開弁期間320および既燃ガス導入弁の開弁期間330は一般的な設定値であるが、全体的に早期化した設定となっている。そして、後続気筒2B,2Cでの燃料噴射量は、実質的な空燃比よりもリーンとなるような設定となっている。
【0113】
以上のような設定により、先行気筒2A,2Dでは、大きなマイナスオーバーラップのため内部EGR量が多くなっている。内部EGR量が多いと高温の既燃ガスが先行気筒内に多く残存した状態で次の吸気行程、圧縮行程へと移行するので、筒内温度が上昇し、圧縮自己着火し易くなる。先行気筒2A,2Dでは圧縮自己着火による燃焼を行うので、高い熱効率と、NOxの発生抑制作用によって燃費向上効果および排ガス浄化効果を奏している。
【0114】
このように先行気筒2A,2Dの内部EGR量を増大させると、反面、後続気筒2B,2Cでの新気の量が不足しがちになる。しかし、当実施形態ではターボ過給機50による過給を行い、新気(特に酸素)の絶対量を増大させることにより、先行気筒2A,2Dの内部EGR量が多くても後続気筒2B,2Cに充分な酸素を導入し得るようにしている。また過給により吸気温が上昇することによって、先行気筒2A,2Dの圧縮自己着火性を向上させている。このように過給を行うことにより、先行気筒2A,2Dの内部EGR増大に伴う後続気筒2B,2Cの新気不足を緩和するとともに先行気筒2A,2Dでの圧縮自己着火性も向上させ、先行気筒で圧縮自己着火し得る運転領域を拡大させている。
【0115】
また、先行気筒2A,2Dの燃料噴射時期305を、既燃ガス排出弁の閉弁時期302よりも遅く、かつ同気筒のTDC付近に設定しているので、燃料は既燃ガスが多く残存した先行気筒2A,2D内に噴射される。このため、噴射燃料は高温によって活性化がはかられる上、TDC付近という早期に噴射されるので、活性化が充分に促進され、圧縮自己着火性が向上している。なお燃料噴射を既燃ガス排出弁の閉弁時期302より後に行うことで、噴射された燃料が既燃ガス排出弁32bからそのまま排出されることを防止している。
【0116】
更に、後続気筒2B,2Cでも実質的な理論空燃比よりもリーンとなるような設定としているので、実質的な理論空燃比とする場合よりも熱効率が高く、燃費改善効果が大きくなっている。また、先行気筒2A,2D、後続気筒2B,2Cともにリーン空燃比および圧縮自己着火による効果でNOxの生成が充分抑制されているため、排気通路20aには三元触媒24を設けるだけ(必要に応じて酸化触媒を併用しても良い。)で排ガス浄化性能を満足している。即ち、NOxを還元処理するための比較的高価なリーンNOx触媒が不要となり、低コストとなっている。
【0117】
図12(b)は中程度の負荷の領域(図8の領域A2)の場合であり、上段に既燃ガス排出弁の開弁期間340および先行気筒吸気弁の開弁期間350(斜線で示す)を、下段に後続気筒排気弁の開弁期間360および既燃ガス導入弁の開弁期間370を示す。既燃ガス排出弁の開弁期間340、後続気筒排気弁の開弁期間360および既燃ガス導入弁の開弁期間370は、図12(a)の既燃ガス排出弁の開弁期間300、後続気筒排気弁の開弁期間320および既燃ガス導入弁の開弁期間330に対し、全体的に30°CAだけ遅らせた設定となっている。これは、カム位相可変機構34aによってカムシャフト34の位相を30°CA遅らせることによってなされる。一方、先行気筒吸気弁の開弁期間350は、図12(a)の先行気筒吸気弁の開弁期間310に対し、25°CAだけ進ませた設定となっている。これは、カム位相可変機構33aによってカムシャフト33の位相を25°CA進ませることによってなされる。従って、既燃ガス排出弁の閉弁時期342はTDC前約10°CAであり、先行気筒吸気弁の開弁時期352はTDC後約25°CAである。そのマイナスオーバーラップは約35°CAであり、図12(a)の状態より55°CAだけ短くなっている。
【0118】
このように、負荷の増大(運転領域A1からA2へ)に伴ってマイナスオーバーラップを短縮し、先行気筒2A,2Dの内部EGR割合を減少させている。そのため、負荷の増大に伴って新気の割合が増加するので、要求出力を得るために増加した燃料噴射量に対し、その燃焼を行うに充分な新気を確保している。
【0119】
図13は特殊運転モードを行う運転状態のうち、比較的高負荷の領域(図8の領域A3)の場合である。表記方法は図12に準ずる(以下同様の図において同じ。)。上段には既燃ガス排出弁の開弁期間380および先行気筒吸気弁の開弁期間390(斜線で示す)を示す。これらは、何れも高負荷用カムによる開弁期間であり、図12の状態からカム切換機構150,150bによって切換えられている。それぞれの帯線の下に、低負荷用のカムによる開弁期間(既燃ガス排出弁の開弁期間340、先行気筒吸気弁の開弁期間350)を参考として示す。また、カム位相可変機構33aは、図12(b)と同様の設定とし、カム位相可変機構34aは、図12(b)の状態から更に5°CAだけカムシャフト34の位相を遅れ側に設定している。その結果、既燃ガス排出弁の開弁期間380はBDC前約30°CAからTDC後約25°CA(トータル約235°CA)、先行気筒吸気弁の開弁期間390はTDC前約10°CAからBDC後約55°CA(トータル約245°CA)に設定されている。従って、先行気筒吸気弁の開弁時期392よりも約35°CA遅れて既燃ガス排出弁の閉弁時期382が設定されている。この間、両弁は共に開弁している(以下オーバーラップという。)。これらの設定は、従来の一般的なエンジンの吸排気弁の設定値に相当するものとなっている。また、先行気筒2A,2Dでは領域A1,A2にある場合よりもリーンな空燃比とした上で強制点火による燃焼を行っている。燃料の噴射は圧縮行程の後期に切換えられている。そして、後続気筒2B,2Cでは実質的な理論空燃比とした状態で圧縮自己着火による燃焼を行っている。
【0120】
このような設定のため、先行気筒2A,2Dにおける吸気および既燃ガスの排出は長い開弁期間中に充分になされる。特に一般的なオーバーラップの設定としているので内部EGR量も少なく、充分に新気を吸気するので、必要な出力を得る事ができる。内部EGR量の減少に伴い、圧縮自己着火性が低下するが、強制点火による燃焼に切換え、安定した燃焼を得ている。そして、先行気筒2A,2Dでは空燃比をよりリーンに設定し、その分熱効率の良い圧縮自己着火による燃焼を行う後続気筒2B,2Cがリッチ気味に設定されるので、更に燃費を向上させている。また、後続気筒での燃焼を実質的な理論空燃比としているので、排気通路20aに設けた三元触媒24のみで充分な排ガス浄化性能が得られている。
【0121】
図14は、通常運転モードにおける先行気筒2A,2Dの先行気筒吸気弁31および既燃ガス排出弁32bの開閉時期と、後続気筒2B,2Cの既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32の開閉時期とを示す説明図である。通常運転モードでは各気筒独立運転となっているので、先行気筒2A,2D、後続気筒2B,2Cともに新気を導入して強制点火による燃焼を行っている。上段には先行気筒2A,2Dの先行気筒排気弁32aが開弁する既燃ガス排出弁の開弁期間420と、先行気筒吸気弁31が開弁する先行気筒吸気弁の開弁期間390(斜線で示す)とを示す。下段には後続気筒2B,2Cの後続気筒排気弁32が開弁する後続気筒排気弁の開弁期間440と、後続気筒吸気弁31aが開弁する後続気筒吸気弁の開弁期間450とを示す。
【0122】
先行気筒2A,2Dでの排気および後続気筒2B,2Cでの吸気は、特殊運転モードとは異なる弁によってなされるので、その開閉は異なるカムによりなされる。従って、先行気筒排気弁の開弁期間420および後続気筒吸気弁の開弁期間450は、既燃ガス排出弁の開弁期間および既燃ガス導入弁の開弁期間とは独立して設定されている。図14では、使用する弁は異なるものの、各期間の設定値は図13(b)のものと同様に設定されている。そして、先行気筒吸気弁の開弁期間390および後続気筒吸気弁の開弁期間450は、カム位相可変機構33aによって前後に変動可能であり、先行気筒排気弁の開弁期間420および後続気筒排気弁の開弁期間440は、カム位相可変機構34aによって前後に変動可能である。従って、カム位相可変機構33a,34aを制御することにより、先行気筒でのオーバーラップを変動し得る。カム位相制御手段49は、高負荷になるほどバルブオーバーラップが大きくなるようにカム位相可変機構33a,34aを制御して、負荷に応じて最適な熱効率が得られるようにしている。後続気筒2B,2Cに対しても同様の制御がなされている。
【0123】
このようにして通常運転モードでは、負荷に応じて最適な吸排気時期に制御されるとともに、理論空燃比もしくはそれよりリッチとなるように吸入空気量及び燃料噴射量が制御されることにより、出力性能が確保される。
【0124】
次に、本発明の第2の実施形態について図15に基いて説明する。第2の実施形態では、基本構造および制御の構成は第1の実施形態と同様であるが、低負荷用カムと高負荷用カムとの切換えを行わず、カム位相可変機構33a,34aによってカムシャフト33,34の位相を変動させている。
【0125】
図15(a)は特殊運転モードを行う運転状態のうち、比較的低負荷の領域(図8の領域A1)の場合である。上段には既燃ガス排出弁の開弁期間460および先行気筒吸気弁の開弁期間470を、下段には後続気筒排気弁の開弁期間480および既燃ガス導入弁の開弁期間490を示す。既燃ガス排出弁の開弁期間460は、BDC前約5°CAからTDC後約50°CA(トータル約235°CA)に設定されている。先行気筒吸気弁の開弁期間470は、TDC前約65°CAからほぼBDC(トータル約245°CA)に設定されている。従って、先行気筒吸気弁の開弁時期472から既燃ガス排出弁の閉弁時期462までが115°CAというオーバーラップの大きな設定となっている。
【0126】
このようなオーバーラップの大きな設定とすると、そのオーバーラップ期間に既燃ガス排出弁32b側から先行気筒吸気弁31側へ既燃ガスが逆流し、内部EGRが増大する。従って、第1の実施形態で記したような燃費改善効果が得られ、排気浄化が促進される。なお、オーバーラップ期間を増大させると、バルブとピストン3の上面との干渉が発生し易くなるが、当実施形態ではロングストローク型(ストローク>シリンダボア径)とすることにより、ピストン3が上死点付近にある期間を短縮し、その干渉を防止している。
【0127】
更にエンジンの負荷が増大し、図8の領域A2の状態に入ると、カム位相可変機構33a,34aによって既燃ガス排出弁の開弁期間460は早期側へ、先行気筒吸気弁の開弁期間470は遅れ側に変動する。即ち、オーバーラップ期間が短縮され、内部EGR量が減少する。このため、新気の割合が増加し、要求出力を得ることができる。
【0128】
図15(b)は更に高負荷となり、図8の領域A3となった場合を示す。上段に既燃ガス排出弁の開弁期間500および先行気筒吸気弁の開弁期間510(斜線で示す)を、下段に後続気筒排気弁の開弁期間520および既燃ガス導入弁の開弁期間530を示す。これらは、図15(a)の状態に対し、カム位相可変機構33aによってカムシャフト33の位相を55°CAだけ遅れ側に、カム位相可変機構34aによってカムシャフト34の位相を30°CAだけ進める側に変動させることにより得られる。従って先行気筒吸気弁の開弁時期512がBDC前約10°CA、既燃ガス排出弁の閉弁時期502がBDC後約20°CAとなり、オーバーラップが30°CAの設定(従来エンジンの一般的な設定値に相当)となっている。従って内部EGR量は減少し、新気の割合が増加するので要求出力を得ることができる。
【0129】
次に、本発明の第3の実施形態について図16に基いて説明する。第3の実施形態は、基本構造および制御の構成は第2の実施形態と同様であり、低負荷用カムと高負荷用カムとの切換えを行わず、カム位相可変機構33a,34aによってカムシャフト33,34の位相を変動させている。
【0130】
図16(a)は特殊運転モードを行う運転状態のうち、比較的低負荷の領域(図8の領域A1)の場合である。上段には既燃ガス排出弁の開弁期間540および先行気筒吸気弁の開弁期間550(斜線で示す)を、下段には後続気筒排気弁の開弁期間560および既燃ガス導入弁の開弁期間570を示す。既燃ガス排出弁の開弁期間540は、BDC前約95°CAからTDC前約40°CA(トータル約235°CA)に設定されている。先行気筒吸気弁の開弁期間550は、TDC前約10°CAからBDC後約55°CA(トータル約245°CA)に設定されている。また、後続気筒排気弁の開弁期間560は、BDC前約100°CAからTDC前約45°CA(トータル約235°CA)に設定されている。既燃ガス導入弁の開弁期間570は、TDC前約75°CAからBDC前約60°CA(トータル約195°CA)に設定されている。
【0131】
従って、先行気筒2A,2Dだけを見れば、既燃ガス排出弁の閉弁時期542から先行気筒吸気弁の開弁時期552までが30°CAのマイナスオーバーラップという設定になっている。しかし、既燃ガス導入弁の閉弁時期572が既燃ガス排出弁の閉弁時期542よりも早期に設定されているため、既燃ガス導入弁の閉弁時期572後は先行気筒2A,2Dから後続気筒2B,2Cに既燃ガスが導入されない。従って既燃ガス排出弁32bが開弁していても、閉弁しているのと同様の状態となっている。即ち、実質的には、既燃ガス導入弁の閉弁時期572から先行気筒吸気弁の開弁時期552までの50°CAがマイナスオーバーラップに相当する。このような大きなマイナスオーバーラップにより、先行気筒2A,2Dの内部EGRが増大し、第1の実施形態で記したような燃費改善効果が得られ、排気浄化が促進される。
【0132】
更にエンジンの負荷が増大し、図8の領域A2の状態に入ると、カム位相可変機構34aによって既燃ガス排出弁の開弁期間540は遅れ側に変動する。即ち、マイナスオーバーラップ期間が短縮され、内部EGR量が減少する。このため、新気の割合が増加し、要求出力を得ることができる。
【0133】
図16(b)は更に高負荷となり、図8の領域A3となった場合を示す。上段に既燃ガス排出弁の開弁期間580および先行気筒吸気弁の開弁期間590(斜線で示す)を、下段に後続気筒排気弁の開弁期間600および既燃ガス導入弁の開弁期間610を示す。これらは、図16(a)の状態に対し、カム位相可変機構34aによってカムシャフト34の位相を60°CAだけ遅れ側に変動させることにより得られる。従って先行気筒吸気弁の開弁時期592がBDC前約10°CA、既燃ガス排出弁の閉弁時期582がBDC後約20°CAとなり、オーバーラップが30°CAの設定(従来エンジンの一般的な設定値に相当)となっている。従って内部EGR量は減少し、新気の割合が増加するので要求出力を得ることができる。
【0134】
次に、本発明の第4の実施形態について図17に基いて説明する。第4の実施形態では、基本構造および制御の構成は第1の実施形態と同様であるが、特殊運転モードにおいて、第1実施形態では停止としていた後続気筒吸気弁31aを、条件によって一部作動させるようにしている。その機構は、後続気筒吸気弁31aに設けられたカム切換機構150aの第1カム152aの外周形状を、一部突出したものとすることで得られる。
【0135】
図17(a)は特殊運転モードを行う運転状態のうち、比較的低負荷の領域(図8の領域A1)の場合である。上段には既燃ガス排出弁の開弁期間620および先行気筒吸気弁の開弁期間630(斜線で示す)を、下段には後続気筒排気弁の開弁期間640、後続気筒吸気弁の開弁期間650(斜線で示す)および既燃ガス導入弁の開弁期間660を示す。後続気筒吸気弁の開弁期間650の直下に、通常運転モードにおける後続気筒吸気弁の開弁期間690(カムを切換えた状態)を参考として示す。既燃ガス排出弁の開弁期間620は、BDC前約35°CAからTDC後約20°CA(トータル約235°CA)に設定されている。先行気筒吸気弁の開弁期間630は、TDC前約55°CAからBDC後約10°CA(トータル約245°CA)に設定されている。従って、先行気筒吸気弁の開弁時期632から既燃ガス排出弁の閉弁時期622までが75°CAというオーバーラップの大きな設定となっている。
【0136】
このようなオーバーラップの大きな設定とすると、そのオーバーラップ期間に既燃ガス排出弁32b側から先行気筒吸気弁31側へ既燃ガスが逆流し、内部EGRが増大する。従って、第1の実施形態で記したような燃費改善効果が得られ、排気浄化が促進される。なお、オーバーラップ期間を増大させると、バルブとピストン3の上面との干渉が発生し易くなるが、当実施形態ではロングストローク型(ストローク>シリンダボア径)とすることにより、ピストン3が上死点付近にある期間を短縮し、その干渉を防止している。
【0137】
一方、後続気筒2B,2Cでは、後続気筒吸気弁の開弁期間650を設けて、先行気筒2A,2Dから導入される既燃ガスとは別に新気を導入するようにしている。後続気筒吸気弁の開弁期間650は、TDC前約65°CAからTDC後約70°CA(トータル約135°CA)に設定されている。また既燃ガス導入弁の開弁期間660は、BDC前約120°CAからBDC後約40°CA(トータル約160°CA)に設定されている。従って、後続気筒2B,2Cでは後続気筒吸気弁の開弁時期652から既燃ガス排出弁の閉弁時期664までの間、新気または既燃ガスの吸気がなされる。
【0138】
先行気筒2A,2Dにおいて内部EGR量を増大させることによって後続気筒2B,2Cに導入される既燃ガス中の酸素が少なくなっても、後続気筒吸気弁の開弁期間650を設けることにより、後続気筒2B,2Cに別途導入される新気によって酸素を補填し、後続気筒2B,2Cでの発生出力を高めている。またその効果により、先行気筒2A,2Dにおける内部EGR量の増大限界か向上するので、先行気筒2A,2Dで圧縮自己着火し得る領域を更に拡大している。
【0139】
また、既燃ガス導入弁の開弁時期662を後続気筒2B,2CのTDCよりも遅れ側に設定するとともに、後続気筒吸気弁の開弁時期652を既燃ガス導入弁の開弁時期662よりも早期、かつ後続気筒2B,2CのTDCよりも早期に設定しているので、導入された既燃ガスが、そのまま後続気筒吸気弁を介して排出されることを防止している。
【0140】
図17(b)は更に高負荷となり、図8の領域A2となった場合を示す。上段には既燃ガス排出弁の開弁期間620および先行気筒吸気弁の開弁期間670(斜線で示す)を、下段には後続気筒排気弁の開弁期間640、後続気筒吸気弁の開弁期間680(斜線で示す)および既燃ガス導入弁の開弁期間660を示す。これらは、図17(a)の状態に対し、カム位相可変機構33aによってカムシャフト33の位相を35°CAだけ遅れ側に変動させることにより得られる。従って先行気筒吸気弁の開弁時期672がBDC前約20°CA、既燃ガス排出弁の閉弁時期622がBDC後約20°CAとなり、オーバーラップが40°CAに減少している。このため内部EGR量は減少し、新気の割合が増加するので高負荷における要求出力を得ることができる。なお、更に負荷が増大して図8の領域A3になると、更にカムシャフト33の位相を10°CA遅らせるとともに、強制点火による燃焼に切換える。
【0141】
以上、第1乃至第4の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能である。例えば図12乃至図17に示すパターンは、各開弁期間や開弁時期を限定するものではなく、特許請求の範囲内でエンジンの要求特性に応じて適宜好適な値に設定して良い。また、その設定値の変動手段は、カム切換機構150等やカム位相可変機構33a等及びそれらの制御手段に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載の設定値が得られるものであれば他の機構、他の制御手段を用いても良い。
【0142】
特殊運転モードでの走行領域Aを、領域A1乃至A3といった3分割ではなく、それ以上に分割し、それぞれの領域に適した弁開閉時期を設定するようにしても良い。更に分割による段階的な設定ではなく、連続的に変化させるようにしても良い。通常運転モードでの走行領域Bを設けず、全域を走行領域Aとしても良い。
【0143】
本発明は4気筒エンジンに限定するものではなく、先行気筒と後続気筒とからなる1対の気筒対を、3対以上好適に組み合わせた6気筒以上のエンジンに適用しても良い。
【0144】
【発明の効果】
以上のように本発明の制御装置は、少なくとも低負荷低回転域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態にガス流通経路を構成するとともに、上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒では理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比となるように燃料を噴射して燃焼を行わせ、上記後続気筒では、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせるように各気筒の燃焼を制御する燃焼制御手段を備え、上記燃焼制御手段は、上記2気筒接続状態となる運転領域の一部又は全部において、上記後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせるとともに、後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域のうち、比較的低負荷側の所定の領域では、上記先行気筒の内部EGR量を増大させつつ、上記先行気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせ、負荷の増大に伴い、内部EGR割合を減少させるように構成されていることを特徴とするので、リーン燃焼やポンピングロス低減等による燃費改善効果を得るとともに、特に熱効率の高い圧縮自己着火による燃焼の頻度を高めることにより、更に大きな燃費改善効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による装置を備えたエンジン全体の概略平面図である。
【図2】エンジン本体等の概略断面図である。
【図3】カム切換機構の部分斜視図である。
【図4】ロッカアームセットの断面図である。
【図5】ロッカアームセットの断面図である。
【図6】ロッカアームセットの断面図である。
【図7】制御系統のブロック図である。
【図8】運転領域を示す説明図である。
【図9】各気筒の排気行程、吸気行程、燃料噴射時期および点火時期等を示す図である。
【図10】低負荷低回転時の実質的な新気およびガスの流通経路を示す説明図である。
【図11】高負荷、高低回転側の運転領域にある時の実質的な新気およびガスの流通経路を示す説明図である。
【図12】第1実施形態の特殊運転モードにおける吸排気弁の開閉時期を示す説明図であり、(a)は、そのうち比較的低負荷の場合、(b)は、同じく中程度の負荷の場合を示す。
【図13】第1実施形態の特殊運転モードにおける吸排気弁の開閉時期を示す説明図であり、比較的高負荷の場合を示す。
【図14】通常運転モードにおける吸排気弁の開閉時期を示す説明図である。
【図15】第2実施形態の特殊運転モードにおける吸排気弁の開閉時期を示す説明図であり、(a)は、そのうち比較的低負荷の場合、(b)は、同じく比較的高負荷の場合を示す。
【図16】第3実施形態の特殊運転モードにおける吸排気弁の開閉時期を示す説明図であり、(a)は、そのうち比較的低負荷の場合、(b)は、同じく比較的高負荷の場合を示す。
【図17】第3実施形態の特殊運転モードにおける吸排気弁の開閉時期を示す説明図であり、(a)は、そのうち比較的低負荷の場合、(b)は、同じく中程度の負荷の場合を示す。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2A,2D 1番,4番気筒(先行気筒)
2B,2C 2番,3番気筒(後続気筒)
9 燃料噴射弁
11 吸気ポート
11,11a,11b 吸気ポート
12,12a,12b 排気ポート
15,15a,15b,15c 吸気通路
20,20a 排気通路
22 気筒間ガス通路
31 先行気筒吸気弁
31a 後続気筒吸気弁
31b 既燃ガス導入弁
32 後続気筒排気弁
32a 先行気筒排気弁
32b 既燃ガス排出弁
33a,34a カム位相可変機構
40 ECU
42 弁停止機構制御手段
44 燃焼制御手段
49 カム位相制御手段
50 ターボ過給機
150 カム切換機構
160 ロッカアームセット
190 カム切換制御手段

Claims (9)

  1. 各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンにおいて、
    少なくとも低負荷低回転域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態にガス流通経路を構成するとともに、
    上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒では理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比となるように燃料を噴射して燃焼を行わせ、上記後続気筒では、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせるように各気筒の燃焼を制御する燃焼制御手段を備え、
    上記燃焼制御手段は、上記2気筒接続状態となる運転領域の一部又は全部において、上記後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせるとともに、後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域のうち、比較的低負荷側の所定の領域では、上記先行気筒の内部EGR量を増大させつつ、上記先行気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせ、負荷の増大に伴い、内部EGR割合を減少させるように構成されている
    ことを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
  2. 上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域の一部または全部において、
    上記先行気筒に設けられて排気行程で既燃ガスを上記気筒間ガス通路に排出する既燃ガス排出弁の閉弁時期を、上記先行気筒の排気行程上死点よりも早期に設定することを特徴とする請求項1記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  3. 上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域の一部または全部において、
    上記燃焼制御手段は、上記先行気筒への燃料の噴射時期を、上記既燃ガス排出弁の閉弁時期よりも遅く、かつその排気行程上死点付近に設定することを特徴とする請求項2記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  4. 上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域の一部または全部において、
    上記燃焼制御手段は、上記後続気筒での実質的な空燃比が、リーン空燃比となるように制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  5. 上記排気通路に設けられる排ガス浄化のための触媒が、3元触媒のみ、または3元触媒と酸化触媒のみであることを特徴とする請求項4記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  6. 上記後続気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で上記気筒間ガス通路から既燃ガスを導入する既燃ガス導入弁と、
    上記後続気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で新気を導入する後続気筒吸気弁とを備え、
    上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域の一部または全部において、
    上記既燃ガス導入弁の開弁時期が、その後続気筒の吸気行程上死点よりも遅れ側に設定され、
    上記既燃ガス導入弁の開弁時期よりも早期に上記後続気筒吸気弁が開弁されるようになっている
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  7. 上記先行気筒がロングストローク型であり、かつ上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で新気を導入する先行気筒吸気弁を備え、
    上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域の一部または全部において、
    上記既燃ガス排出弁および上記既燃ガス導入弁の閉弁時期が、上記先行気筒の排気行程上死点よりも遅れ側に設定され、
    上記先行気筒吸気弁の開時期が、その先行気筒の吸気行程上死点より早期に設定されている
    ことを特徴とする請求項6記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  8. 上記先行気筒に対して吸気を過給する過給機を備え、
    少なくとも上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域の一部または全部において、
    上記過給機による過給を行う
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  9. 上記後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行う上記運転領域のうち、比較的高負荷側の所定の領域では、
    上記燃焼制御手段は、上記先行気筒で強制点火による燃焼を行わせるとともに、上記先行気筒および上記後続気筒ともに圧縮自己着火による燃焼を行う運転領域にある場合よりも、上記先行気筒の実質的な空燃比が大きくなるように設定する
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
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