JP2005016360A - 火花点火式エンジンの制御装置 - Google Patents

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光夫 人見
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洋 稲富
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Abstract

【課題】エンジンの圧縮自己着火を適正に行わせて燃費およびエミッション性の改善を図る。
【解決手段】特殊運転モードでは、先行気筒2A,2Dから排出される既燃ガスが、気筒間ガス通路22を介して吸気行程にある後続気筒2B,2Cに導入される2気筒接続状態としつつ、この後続気筒2B,2Cでは先行気筒2A,2Dから導入された既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせるようにした火花点火式エンジンの制御装置において、上記特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域で、後続気筒2B,2Cが圧縮自己着火を生じにくい状態にあるか否かを判別し、圧縮自己着火を生じにくい状態にあると判別された場合には、着火アシスト手段46により後続気筒2B,2Cの圧縮自己着火を促進するとともに、後続気筒2B,2Cが圧縮自己着火を生じ易い状態にある場合に比べて先行気筒2A,2Dの空燃比をリーンに設定する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火花点火式エンジンの制御装置に関し、より詳しくは多気筒のエンジンにおいて燃費改善およびエミッション向上のために各気筒の燃焼状態を制御するようにしたエンジンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、火花点火式エンジンにおいて、各気筒内の混合気の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせることにより燃費の改善を図る技術が知られており、例えば特許文献1に示されるように、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、低速低負荷領域等では上記燃料噴射弁から圧縮行程で燃料を噴射して成層燃焼を行わせることにより、燃費効率のよい超リーン燃焼を実現するようにしたものが知られている。
【0003】
このようなエンジンにおいては、排気ガス浄化用の触媒として通常の三元触媒(HC,COおよびNOxに対して理論空燃比付近で浄化性能の高い触媒)だけではリーン運転時にNOxに対して充分な浄化性能が得られないため、上記公報にも示されるように、酸素過剰雰囲気でNOxを吸着するとともに、酸素濃度の低下雰囲気でNOxの離脱、還元を行うリーンNOx触媒を設けている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−274085号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のリーン運転を行うエンジンでは、リーン運転中にNOx浄化性能を確保するために上記リーンNOx触媒が必要となってコスト的に不利である。また、上記リーンNOx触媒の浄化性能を維持するためには、NOx吸着量の増大時に、NOxの離脱、還元を行うために空燃比を一時的にリッチ化する必要がある。さらに、使用燃料が硫黄分を多く含む場合には、上記リーンNOx触媒の硫黄被毒を解消するために触媒の加熱および還元材供給等のリジェネレーション処理が必要となり、これらによって燃費改善効果が低下するという問題があった。
【0006】
また、燃費改善のための別の手法として、圧縮自己着火が研究されており、この圧縮自己着火は、ディーゼルエンジンと同様に圧縮行程終期に燃焼室内を高温・高圧にして混合気を自己着火させるようにするものであり、空燃比が超リーンの状態や多量のEGRが導入されている状態でも、このような圧縮自己着火が行われれば燃焼室全体で一気に燃焼が行われるため、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられて燃費改善に有利となる。
【0007】
しかし、通常の火花点火式ガソリンエンジンでは、燃焼のために強制点火が必要であって、圧縮上死点付近での燃焼室内の温度、圧縮自己着火を生じさせる程度まで圧力を高めることが困難であり、圧縮自己着火を行わせるために燃焼室内の温度または圧力を大幅に高め得るようにする格別の工夫が必要であるという問題があった。
【0008】
そこで、本出願人は、各気筒の燃焼サイクルが所定の位相差をもって行われる多気筒4サイクルエンジンにおいて、エンジンの部分負荷領域で、排気行程と吸気行程とが重なる一対の気筒間において排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスをそのまま吸気行程にある後続気筒に導入し、この後続気筒から排出されるガスを、三元触媒を備えた排気通路に導くようにするとともに、このような2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒において理論空燃比よりも所定量だけ大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせ、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して理論空燃比とした状態で圧縮自己着火による燃焼を行わせるように燃焼状態等を制御(特殊運転モードという)する一方、高速領域や高負荷領域では、通常通り、各気筒において理論空燃比で燃焼を行わせるように燃焼状態等を制御(通常運転モードという)することを考えた(特願2002−024548号)。
【0009】
上記のように構成した場合には、特殊運転モードとされているときに、先行気筒でのリーン燃焼、各気筒におけるポンピングロスの低減等および後続気筒での圧縮自己着火の実現により大幅な燃費改善効果が得られ、しかも後続気筒から排出される理論空燃比の既燃ガスのみが三元触媒を備えた排気通路に導かれるため、三元触媒だけで充分に排気浄化性能が確保される。
【0010】
ところで、上記の構成を有するエンジンにおいて、特殊運転モードの制御状態にある後続気筒で確実に圧縮自己着火を生じさせるためには、先行気筒に対する燃料噴射量を確保して後続気筒に導入される既燃ガスを高温状態とする必要がある。しかし、エンジン負荷が低く、各気筒に噴射される燃料の総噴射量が少ない運転状態にある場合に、先行気筒に対する燃料噴射量を多くすると、後続気筒に対する燃料噴射量が相対的に少なくなるために後続気筒を却って圧縮自己着火させることが困難になるという問題がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑み、エンジンの部分負荷領域で上記特殊運転モードとすることにより燃費およびエミッション性の改善を図るとともに、後続気筒の圧縮自己着火を適正に行わせることができる火花点火式エンジンを提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、複数の気筒を備えて、各気筒の燃焼サイクルが所定の位相差をもって行われるように構成するとともに、エンジンの部分負荷領域でエンジンの吸・排気および燃焼状態についての制御モードを特殊運転モードとし、この特殊運転モードでは、排気行程と吸気行程とが重なる一対の気筒間において排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスが、気筒間ガス通路を介して吸気行程にある後続気筒に導入され、この後続気筒から排出されるガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態としつつ、上記先行気筒では空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比で燃焼を行わせ、上記後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせるようにした火花点火式エンジンの制御装置であって、後続気筒の圧縮自己着火を促進する着火アシスト手段と、先行気筒の空燃比を制御する空燃比制御手段とを備え、上記特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域で、後続気筒が圧縮自己着火を生じにくい状態にあるか否かを判別し、圧縮自己着火を生じにくい状態にあると判別された場合には、上記着火アシスト手段により後続気筒の圧縮自己着火を促進するとともに、後続気筒が圧縮自己着火を生じ易い状態にある場合に比べて先行気筒の空燃比をリーンに設定するものである。
【0013】
この構成によると、エンジンの部分負荷領域で上記特殊運転モードとされた場合に、先行気筒でのリーン燃焼による熱効率向上および各気筒でのポンピングロス低減等により燃費改善効果が得られる。そして、上記特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域において、後続気筒が圧縮自己着火を生じにくい運転状態にある場合には、上記着火アシスト手段により後続気筒の圧縮自己着火を促進する制御が適正に実行されるとともに、先行気筒の空燃比が圧縮自己着火し易い状態にある場合に比べてリーンに設定されることにより、エンジンの運転状態の如何に拘わらず、後続気筒を適正に圧縮自己着火させて顕著な燃費改善効果が得られるとともに、エミッション性の改善効果が得られることになる。
【0014】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、着火アシスト手段を、圧縮上死点前の上死点近傍で後続気筒内の混合気を点火する火花点火制御手段により構成したものである。
【0015】
上記構成によれば、特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域において、後続気筒が圧縮自己着火を生じにくい運転状態にある場合には、後続気筒の圧縮上死点前の上死点近傍で混合気を点火して気筒内圧力を瞬時に高める制御が実行されることにより、後続気筒が適正時期に圧縮自己着火することになる。
【0016】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域で、後続気筒が圧縮自己着火を生じにくい状態から圧縮自己着火を生じ易い状態への移行時に、先行気筒の空燃比を予め設定された量だけリッチ側に急変させるものである。
【0017】
上記構成によれば、特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域で、エンジンの運転状態が変化して後続気筒が圧縮自己着火を生じにくい状態から圧縮自己着火を生じ易い状態に移行した場合には、この時点で先行気筒の空燃比を予め設定された量だけリッチ側に急変させる制御が実行されることにより、先行気筒から導出された高温の既燃ガスが後続気筒内に導入されるため、上記着火アシスト手段による圧縮自己着火の促進制御を実行することなく、後続気筒を圧縮自己着火させることが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態によるエンジンの概略構成を示し、図2はエンジン本体1の一つの気筒とそれに対して設けられた吸・排気弁等の構造を概略的に示している。これらの図において、エンジン本体1は、シリンダヘッド1aおよびシリンダブロック1bで構成された複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒2A〜2Dを有している。各気筒2A〜2Dにはピストン3が嵌挿され、ピストン3の上方に燃焼室4が形成されている。
【0019】
各気筒2の燃焼室4の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室4内に臨んでいる。この点火プラグ7には、電子制御による点火時期のコントロールが可能な点火回路8が接続されている。
【0020】
燃焼室4の側方部には、燃焼室4内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁9が設けられている。この燃料噴射弁9は、図略のニードル弁およびソレノイドを内蔵し、後述のパルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。なお、この燃料噴射弁9には図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ、圧縮行程での燃焼室4内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
【0021】
また、各気筒2A〜2Dの燃焼室4に対して吸気ポート11、11a,11bおよび排気ポート12、12a,12bが開口し、これらのポートに吸気通路15、排気通路20等が接続されるとともに、各ポートが吸気弁31、31a,31bおよび排気弁32、32a,32bにより開閉されるようになっている。
【0022】
そして、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うように構成され、4気筒エンジンの場合において、気筒列方向一端側から1番気筒2A、2番気筒2B、3番気筒2C、4番気筒2Dと呼ぶと、図6に示すように、上記サイクルが1番気筒2A、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bの順にクランク角で180°ずつの位相差をもって行われるようになっている。なお、図7は4サイクル4気筒エンジンにおいて後に詳述するように特殊運転モードとされたときの各気筒の行程、燃料噴射時期、点火時期等を示すものであり、この図において、EXは排気行程、INは吸気行程、Fは燃料噴射、Sは火花点火を表し、図中の星マークは圧縮自己着火が行われることを表している。
【0023】
排気行程と吸気行程とが重なる一対の気筒間には、排気行程と吸気行程とが重なるときの排気行程側の気筒(当明細書ではこれを先行気筒と呼ぶ)から、吸気行程側の気筒(当明細書ではこれを後続気筒と呼ぶ)へ既燃ガスをそのまま導くことができるように、気筒間ガス通路22が設けられている。当実施形態の4サイクル4気筒エンジンでは、1番気筒2Aの排気行程(EX)と2番気筒2Bの吸気行程(IN)とが重なり、また4番気筒2Dの排気行程(EX)と3番気筒2Cの吸気行程(IN)が重なるので(図6参照)、1番気筒2Aと2番気筒2B、および、4番気筒2Dと3番気筒2Cがそれぞれ一対をなし、1番気筒2Aおよび4番気筒2Dが先行気筒となるとともに、2番気筒2Bおよび3番気筒2Cが後続気筒となる。
【0024】
各気筒の吸・排気ポートとこれに接続される吸気通路、排気通路および気筒間ガス通路は、具体的には次のように構成されている。先行気筒である1番気筒2Aおよび4番気筒2Dには、それぞれ新気を導入するための吸気ポート11と、既燃ガス(排気ガス)を排気通路20に送り出すための第1排気ポート12aと、既燃ガスを後続気筒に導出するための第2排気ポート12bとが配設されている。また、後続気筒である2番気筒2Bおよび3番気筒2Cには、それぞれ新気を導入するための第1吸気ポート11aと、先行気筒2A,2Dからの既燃ガスを導入するための第2吸気ポート11bと、既燃ガスを排気通路20に送り出すための排気ポート12とが配設されている。
【0025】
図1に示す例では、1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aが、1気筒当り2個ずつ、燃焼室の左半部側に並列的に設けられる一方、1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12aおよび第2排気ポート12bならびに2番,3番気筒2B,2Cにおける第2吸気ポート11bおよび排気ポート12が、燃焼室の右半部側に並列的に設けられている。
【0026】
1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aには、吸気通路15における気筒別の分岐吸気通路16の下流端が接続されている。各分岐吸気通路16の下流端近傍には、共通の軸を介して互いに連動する多連スロットル弁17が設けられており、この多連スロットル弁17は制御信号に応じてアクチュエータ18により駆動され、吸入空気量を調節するようになっている。なお、吸気通路15における集合部より上流の共通吸気通路15aには、吸気流量を検出するエアフローセンサ19が設けられている。
【0027】
1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12aおよび2番,3番気筒2B,2Cにおける排気ポート12には、排気通路20における気筒別の分岐排気通路21の上流端が接続されている。また、1番気筒2Aと2番気筒2Bとの間および3番気筒2Cと4番気筒2Dとの間に、それぞれ気筒間ガス通路22が設けられ、先行気筒である1番,4番気筒2A,2Dの第2排気ポート12bに気筒間ガス通路22の上流端が接続されるとともに、後続気筒である2番,3番気筒2B,2Cの第2吸気ポート11bに気筒間ガス通路22の下流端が接続されている。
【0028】
排気通路20における分岐排気通路21の下流の集合部には排気ガス中の酸素濃度を検出することにより空燃比を検出するOセンサ23が設けられている。さらにOセンサ23の下流の排気通路20には、排気浄化のために三元触媒24が設けられている。この三元触媒24は、一般に知られているように、排気ガスの空燃比が理論空燃比(つまり空気過剰率λがλ=1)付近にあるときにHC,COおよびNOxに対して高い浄化性能を示す触媒である。また、上記Oセンサ23は、排気ガス中の酸素濃度を検出することにより空燃比を検出するもので、特に理論空燃比付近で出力が急変するλOセンサにより構成されている。
【0029】
上記気筒間ガス通路22には、排気ガス中における酸素濃度の変化(空燃比の変化)に対して出力がリニアに変化するリニアOセンサ25が設けられている。各気筒2A〜2Dの吸・排気ポートを開閉する吸・排気弁とこれらに対する動弁機構は、次のようになっている。
【0030】
先行気筒2A,2Dにおける吸気ポート11、第1排気ポート12aおよび第2排気ポート12bには、それぞれ吸気弁31、第1排気弁32aおよび第2排気弁32bが設けられ、また、後続気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11a、第2吸気ポート11bおよび排気ポート12には、それぞれ第1吸気弁31a、第2吸気弁31bおよび排気弁32が設けられている。そして、各気筒の吸気行程や排気行程が上述のような所定の位相差をもって行われるように、これら吸・排気弁がそれぞれカムシャフト34,34等からなる動弁機構により所定のタイミングで開閉するように駆動される。
【0031】
さらに、上記吸・排気弁のうちで第1吸気弁31aおよび第1排気弁32aの動弁機構には、各弁を作動状態から閉止状態に切り換える第1切換手段35aが設けられている。また、上記吸・排気弁のうちで第2吸気弁31bおよび第2排気弁32bの動弁機構には、各弁を閉止状態から作動状態に切り換える第2切換手段35bが設けられている。これらの第2,第2切換手段35a,35bにより、吸・排気流通通路を後記の2気筒接続状態と、通常の各気筒独立状態とに切り換える切換機構が構成されている。
【0032】
上記第1,第2切換手段35a,35bは、例えば図3に示すように、各吸・排気弁31a〜32bの上方に配設されたカムシャフト34と、このカムシャフト34と上記各弁31a〜32bとの間に配設されたロッカシャフト55と、このロッカシャフト55に支持された第1〜第3ロッカアーム56〜58とを有している。また、上記カムシャフト34には、円形の外周面を有する弁停止用の第1カム52と、弁駆動用の突部(カムノーズ)を有する第2,第3カム53,54とが一体に形成されている。この第2,第3カム53,54は、同一形状を有し、上記第1カム52を挟むようにその左右に配設されている。
【0033】
上記第1ロッカアーム56は、第1カム52に対応した位置に配設されるとともに、その先端部には各弁31a〜32bの弁軸上端に当接する当接部60が設けられている。一方、上記第2,第3ロッカアーム57,58は、第1ロッカアーム56を挟むようにその両側方に配設されるとともに、第1ロッカアーム56とは切り離された状態で、図外の付勢手段により、それぞれ上記第2,第3カム53,54に圧接されるように付勢されている。
【0034】
また、第2,第3ロッカアーム57,58は、上記第1ロッカアーム56と連結可能に構成されている。具体的には、上記第2,第3ロッカアーム57,58に設けられたプランジャー(図示せず)が、後述する第1,第2作動油給排通路36,38から供給された作動油により駆動され、その先端部が上記第1ロッカアーム56に形成された連結孔(図示せず)内に挿入される等により、上記第1ロッカアーム56と第2,第3ロッカアーム57,58とが一体に連結された状態で揺動変位するようになっている。
【0035】
すなわち、第1,第2作動油給排通路36,38に設けられた第1,第2コントロール弁37,39により上記第1,第2作動油給排通路36,38からの作動油の給排を制御して第1ロッカアーム56と第2,第3ロッカアーム57,58とを一体に連結することにより、上記第2,第3カム53,54により駆動される第1,第2ロッカアーム57,58の駆動力が第1ロッカアーム56に伝達されて各弁31a〜32bが開閉駆動されることになる。
【0036】
一方、第1ロッカアーム56と第2,第3ロッカアーム57,58との連結状態が解除されると、第2,第3ロッカアーム57,58から第1ロッカアーム56への駆動力の伝達が遮断され、カムシャフト34が回転しても第1ロッカアーム56が揺動変位することなく、上記各弁31a〜32bが閉弁状態に維持されるようになっている。なお、上記第2,第3カム53,54のカムノーズを異なる形状とするとともに、第2,第3ロッカーアーム57,58の一方を選択的に第1ロッカーアーム56に連結することにより、各弁31a〜32bの開弁期間を変化させるように構成してもよい。
【0037】
図4は、エンジンの駆動、制御系統の構成を示している。この図の中に示すように、上記第1排気弁32a用の第1切換手段35aと、第1吸気弁31a用の第1切換手段35aとに対する作動油給排用の通路36には、第1コントロール弁37が設けられ、また上記第2排気弁32b用の第2切換手段35bと、第2吸気弁31b用の第2切換手段35bとに対する作動油給排用の通路38には、第2コントロール弁39が設けられている。
【0038】
同図において、40はマイクロコンピュータ等からなるエンジン制御用のECU(エンジンコントロールユニット)であり、このECU40には、エアフローセンサ19、Oセンサ23およびリニアOセンサ25からの信号が入力され、さらに運転状態を判別するためにエンジン回転数を検出する回転数センサ61およびアクセル開度(アクセルペダル踏込み量)を検出するアクセル開度センサ62等からの信号も入力されている。また、このECU40から、各点火プラグ8および燃料噴射弁9と、多連スロットル弁17のアクチュエータ18と、上記第1,第2のコントロール弁37,39とに対して制御信号が出力されている。
【0039】
上記ECU40は、運転状態判別手段41、モード設定手段42、切換機構制御手段43、吸入空気量制御手段44、燃料噴射制御手段45および着火アシスト手段46を備えている。
【0040】
上記運転状態判別手段41は、図5に示すように、エンジンの運転領域が低速低負荷側の領域A(部分負荷領域)と、高速側ないし高負荷側の領域(全負荷領域)Bとに区画された制御用マップを有し、低速低負荷側の部分負荷領域Aを特殊運転モード領域、高速側ないし高負荷側の全負荷領域Bを通常運転モード領域として設定し、上記回転数センサ61およびアクセル開度センサ62等からの信号により調べられるエンジンの運転状態(エンジン回転数およびエンジン負荷)が、上記領域A,Bのいずれにあるかを判別するようになっている。さらに、上記特殊運転モード領域となる部分負荷領域Aは、その中でもエンジンの回転速度および負荷が低い低負荷側領域A1と、この低負荷側領域A1よりもエンジン回転数および負荷が高い高負荷側領域A2とに区画されている。
【0041】
上記モード設定手段42は、運転状態判別手段41による判別に基づき、上記特殊運転モード領域Aでは、排気行程にある先行気筒2A,2Dから排出される既燃ガスをそのまま吸気行程にある後続気筒2B,2Cに導入して燃焼させる特殊運転モードを選択し、上記通常運転モード領域Bでは、各気筒をそれぞれ独立させ燃焼させる通常運転モードを選択するようになっている。
【0042】
上記切換機構制御手段43は、モード設定手段42による運転モードの設定に応じ、特殊運転モードでは気筒間ガス通路22を介して先行気筒の既燃ガスを後続気筒に導入させる2気筒接続状態とし、通常運転モードでは各気筒にそれぞれ新気を導入させる各気筒独立状態とするように吸・排気流通経路を変更すべく第1,第2切換手段35a,35bを制御するもので、具体的には運転状態が領域A,Bのいずれにあるかに応じ、上記各コントロール弁37,39を制御して第1,第2切換手段35a,35bを作動させることにより、吸・排気弁を次のように制御する。
【0043】
Figure 2005016360
上記吸入空気量制御手段44は、アクチュエータ18を制御することによりスロットル弁17の開度(スロットル開度)を制御するものであり、予め設定されたマップ等から運転状態に対応した目標吸入空気量を求め、その目標吸入空気量に応じてスロットル開度を制御する。この場合、特殊運転モードとされる運転領域Aでは、後続気筒2B,2Cにおいて分岐吸気通路16からの吸気導入が遮断された状態で先行気筒2A,2Dから導入されるガス中の過剰空気と新たに供給される燃料との比が理論空燃比とされつつ燃焼が行われるので、先行・後続の2気筒分の要求トルクに応じた燃料の燃焼に必要な量の空気(2気筒分の燃料の量に対して理論空燃比となる量の空気)が先行気筒2A,2Dに供給されるように、スロットル開度が調節される。
【0044】
上記燃料噴射制御手段45は、各気筒2A〜2Dに設けられた燃料噴射弁9からの燃料噴射量および噴射タイミングをエンジンの運転状態に応じて制御する。そして、特に上記モード設定手段42により設定される運転モードに応じ、燃料噴射量および噴射タイミングが変更される。
【0045】
すなわち、特殊運転モードの制御が実行される部分負荷領域Aでは、先行気筒2A,2Dの空燃比が理論空燃比よりも大幅にリーンな空燃比、例えば理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上となるように燃料噴射量を制御するとともに、圧縮行程で先行気筒2A,2Dに燃料を噴射して混合気の成層化を行わせるように噴射時期を設定する。上記部分負荷領域Aにおける先行気筒2A,2Dの空燃比は、エンジン負荷が高くなるのに対応して空燃比A/Fが低下し、エンジン負荷が高いほど先行気筒2A,2Dの混合気がリッチ側に変化するように、先行気筒2A,2Dに対する燃料噴射量が設定される。
【0046】
また、図6に示すように、後続気筒2B,2Cが圧縮自己着火を生じにくい低負荷側領域A1から圧縮自己着火を生じ易い高負荷側領域A2への移行時点で、先行気筒2A,2Dの空燃比A/Fが、予め設定された量δだけリッチ側に急変するように設定されている。この低負荷側領域A1から高負荷側領域A2への移行時点で後続気筒2B,2Cを圧縮自己着火させ得る程度に空燃比を急変させるための上記設定量δは、エンジンの部分負荷領域Aにおける高負荷側領域A2で後続気筒2B,2Aに高温の既燃ガスを導入させ、上記着火アシスト手段46による圧縮自己着火を促進する制御を実行することなく、後続気筒2B,2Cを圧縮自己着火させ得る値に設定され、例えば上記の低負荷側領域A1から高負荷側領域A2への移行前の時点における空燃比A/Fが35であ場合に、移行後の空燃比A/を25程度に低下させるように上記設定量δが設定されるようになっている。
【0047】
一方、後続気筒2B,2Cに対しては、先行気筒2A,2Dから導入されたリーン空燃比の既燃ガスに対して燃料を供給し、後続気筒2B,2Cでの燃焼の際に実質的に理論空燃比となるように燃料噴射量を制御するとともに、既燃ガスが多い状況下で着火、燃焼が可能なように噴射タイミングを設定する。例えば、先行気筒2A,2Dから導入される既燃ガスの温度が充分に高く、後続気筒2B,2Cが圧縮行程で自己着火し得るような温度状態となる場合は、後続気筒2B,2Cの吸気行程で燃料を噴射することにより混合気を均一化するように噴射時期を設定する。
【0048】
また、通常運転モードの制御が実行される全負荷領域Bでは、各気筒2A〜2Dの空燃比を理論空燃比もしくはそれ以下とするように燃料噴射量を制御し、例えば通常運転モード領域Bのうち大部分の領域において理論空燃比とし、最大負荷領域およびその付近の運転領域で理論空燃比よりリッチとする。そして、この場合に、各気筒2A〜2Dに対して吸気行程で燃料を噴射して混合気を均一化するように噴射時期を設定する。
【0049】
上記着火アシスト手段46は、エンジンの運転領域が上記部分負荷領域Aの低負荷側領域A1にあって、後続気筒2B,2Cが圧縮自己着火しにくい状態にあることが上記運転状態判別手段41において判別された場合に、後続気筒2B,2C内の混合気を、その圧縮上死点前における上死点の近傍で点火することにより、上記後続気筒2B,2Cで圧縮自己着火が行われるように促進する火花点火制御手段により構成されている。すなわち、後続気筒2B,2Cのピストン位置が圧縮上死点に近づいた時点で、点火プラグ7に点火指令信号を出力して混合気を点火することにより、点火プラグ7周りの圧力を急激に上昇させて混合気の圧縮自己着火を誘発させるようになっている。
【0050】
以上のような当実施形態の装置の作用を、図7〜図9を参照しつつ説明する。上記低速低負荷側の部分領域Aでは、特殊運転モードとされ、前述のように第1排気弁32aおよび第1吸気弁31aが停止状態、第2排気弁32bおよび第2吸気弁31bが作動状態とされることにより、実質的な新気およびガスの流通経路は図8に示すような2気筒接続状態とされ、先行気筒2A,2Dから排出される既燃ガスがそのまま気筒間ガス通路22を介して後続気筒2B,2Cに導入されるとともに、この後続気筒2B,2Cから排出される既燃ガスのみが排気通路20に導かれる。
【0051】
この状態において、先行気筒2A,2Dにそれぞれ吸気行程で吸気通路15から新気が導入され(図8中の矢印a)、先行気筒2A,2Dでは、空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比となるように燃料噴射量が制御されつつ、図7に示すように、圧縮行程で燃料噴射Fが実行され、かつ、所定時期に点火Sが行われることにより、先行気筒2A,2Dが成層燃焼となる。
【0052】
そして、先行気筒2A,2Dの吸気行程と後続気筒2B,2Cの排気行程とが重なる期間に、先行気筒2A,2Dから排出された既燃ガスが気筒間ガス通路22を通って後続気筒2B,2Cに導入されるとともに(図7中の白抜き矢印および図8中の矢印b)、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて理論空燃比となるように、Oセンサ23の出力に基づいて燃料噴射量が制御されつつ、適当なタイミングで燃料が噴射されて燃焼が行われる。例えば、先行気筒2A,2Dから導入される既燃ガスの温度が充分に高い場合、後続気筒2B,2Cにおいて吸気行程で燃料が噴射され、この燃料が均一に分散した状態で、圧縮行程の上死点付近において自己着火が生じ、この圧縮自己着火による燃焼が行われる(図7参照)。そして、後続気筒2B,2Cでの燃焼後の既燃ガスは、三元触媒24を備えた排気通路20に排出される(図8中の矢印c)。
【0053】
このように、先行気筒2A,2Dではリーン空燃比での成層燃焼が行われることにより、熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減され、これらの相乗効果で大幅に燃費が改善される。また、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒から押出された既燃ガスが導入されるためポンピングロス低減効果が高められ、さらに、上記圧縮自己着火が行われる場合、略均一な混合気分布状態での同時多点自己着火により燃焼が急速に進行し、これによって熱効率が大幅に向上される。
これらの作用で後続気筒2B,2Cにおいても大幅な燃費の改善効果が得られる。しかも、後続気筒2B,2Cから排気通路20に排出されるガスは理論空燃比であるため、従来のリーンバーンエンジンのようにリーンNOx触媒を排気通路20に設ける必要がなく、三元触媒24を設けるだけで充分に排気浄化性能が確保されることになる。
【0054】
また、先行気筒2A,2Dでは、その空燃比が理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上のリーン空燃比とされることでNOx発生量が比較的少なく抑えられ、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dからの既燃ガスが導入されることで多量のEGRが行われているのと同等の状態となることからNOxの発生が充分に抑制される。このような点からもエミッション性の向上に有利となる。
【0055】
一方、高負荷側ないし高回転側の全負荷領域Bでは、通常運転モードとされ、前述のように第1排気弁32aおよび第1吸気弁31aが作動状態、第2排気弁32bおよび第2吸気弁31bが停止状態とされることにより、実質的な新気およびガスの流通経路は図9に示すような各気筒独立状態とされ、実質的に各気筒2A〜2Dの吸気ポート31,31aおよび排気ポート12a,12が独立し、吸気通路15から各気筒2A〜2Dの吸気ポート31,31aに新気が導入されるとともに、各気筒2A〜2Dの排気ポート32,32aから排気通路20に既燃ガスが排出される。そして、この場合には各気筒の空燃比が理論空燃比もしくはそれよりリッチとなるように吸入空気量および燃料噴射量が制御されることにより、エンジンの出力性能が確保される。
【0056】
このように、エンジンの運転領域によって上記特殊運転モードと通常運転モードとが選択され、低速低負荷側の部分負荷領域Aにおける燃費およびエミッション性の改善効果が得られるとともに、高負荷側ないし高回転側の全負荷領域Bにおける出力性能の確保が図られることになる。
【0057】
そして、上記特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域Aでは、後続気筒2B,2Cが圧縮自己着火を生じにくい状態にあるか否か、つまり低負荷側領域A1にあるか否かが判定され、エンジンの運転領域が上記低負荷側領域A1にあって後続気筒2B,2Cが圧縮自己着火を生じにくい状態あることが確認された場合には、上記着火アシスト手段46により後続気筒2B,2Cの圧縮自己着火を促進するとともに、後続気筒2B,2Cが圧縮自己着火を生じ易い状態にある場合に比べて先行気筒2A,2Dの空燃比をリーンに設定する制御が実行される。これにより、後続気筒2B,2Cにおけるノッキングの発生を効果的に防止しつつ、後続気筒2B,2Cを適正に圧縮自己着火させることにより、効果的に燃費を改善およびエミッション性を改善できるという利点がある。
【0058】
すなわち、先行気筒2A,2Dから導出される既燃ガスの温度が比較的低いために、後続気筒2B,2Cが圧縮自己着火を生じにくい状態にある部分負荷領域Aの低負荷側領域A1では、上記着火アシスト手段46により後続気筒2B,2C内の混合気を圧縮上死点前に点火して点火プラグ7周りの圧力を急上昇させるように構成したため、後続気筒2B,2Cを圧縮自己着火させることにより、後続気筒2B,2Cの燃焼室全体で混合気を急速に燃焼させて気筒内の圧力を急上昇させることができる。したがって、特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域Aの低負荷側領域A1で、熱効率を向上させて効果的に燃費を改善することができるとともに、上記後続気筒2B,2C内における酸素と窒素との反応を可及的に回避してNOxの発生を充分に抑制することができる。
【0059】
しかも、後続気筒2B,2Cが圧縮自己着火を生じにくい状態にある部分負荷領域Aの低負荷側領域A1では、後続気筒2B,2Cが圧縮自己着火を生じ易い状態にある高負荷側領域A2に比べて先行気筒2A,2Dの空燃比をリーンに設定するように構成したため、後続気筒2B,2Cに対する燃料噴射量を充分に確保することできる。したがって、上記部分負荷領域Aの低負荷側領域A1で、後続気筒2B,2Cへの燃料噴射量が少なくなることに起因した圧縮自己着火性の低下を効果的に防止することができる。
【0060】
一方、上記部分負荷領域Aにおける高負荷側領域A2では、低負荷側領域A1に比べ、先行気筒2A,2Dの空燃比が相対的にリッチに設定されることにより、高温の既燃ガスが後続気筒2B,2Cに導入されるため、上記着火アシスト手段46により後続気筒2B,2Cの圧縮自己着火を促進する制御を実行することなく、後続気筒2B,2Cを確実に圧縮自己着火させて効果的に燃費を改善することができるとともに、NOxの発生を充分に抑制することができる。
【0061】
さらに、上記実施形態に示すように、特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域Aの低負荷側領域A1で、火花点火制御手段からなる着火アシスト手段56により圧縮上死点前に後続気筒2B,2C内の混合気を点火して圧縮自己着火を促進するように構成した場合には、先行気筒2A,2Dから導出される既燃ガスの温度が低いために後続気筒2B,2Cで圧縮自己着火を行わせることが困難な低負荷側領域A1においても、簡単な構成で後続気筒2B,2Cを適正時期に確実に圧縮自己着火させて効果的に燃費を改善することができるとともに、NOxの発生を充分に抑制できるという利点がある。
【0062】
さらに、上記実施形態に示すように、特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域Aで、後続気筒2B,2Cが圧縮自己着火を生じにくい領域A1から圧縮自己着火を生じ易い領域A2に移行する際に、先行気筒2A,2Dの空燃比を予め設定された量δだけリッチ側に急変させるように構成した場合には、上記部分負荷領域A内において後続気筒2Aが圧縮自己着火を生じ易い状態に移行した時点で、先行気筒2A,2Dから導出される温度を急上昇させることができるため、上記着火アシスト手段46による圧縮自己着火の促進制御を必要とすることなく、後続気筒2B,2Cを確実に圧縮自己着火させることができる。
【0063】
しかも、上記部分負荷領域Aの低負荷側領域A1では、先行気筒2A,2Dの空燃比を、例えば理論空燃比の3倍以上の超リーン空燃比として成層燃焼させることにより、顕著な燃費の改善効果を得ることができるとともに、NOxの発生を効果的に抑制することができる。なお、上記部分負荷領域Aの低負荷側領域A1で、先行気筒2A,2Dの空燃比を超リーンの空燃比に設定すると、後続気筒2B,2Cに導入される既燃ガスの温度が大きく低下することになるが、このような場合に後続気筒2B,2Cの圧縮自己着火を促進して適正時期に圧縮自己着火させる制御が上記着火アシスト手段46により実行されるため、後続気筒2B,2Cを確実に圧縮自己着火させて効果的に燃費を改善できるとともに、NOxの発生を充分に抑制できるという利点がある。
【0064】
また、上記実施形態では、特殊運転モードにおいて後続気筒2B,2Cの空燃比を略理論空燃比とし、この理論空燃比で燃焼した排気ガスのみを後続気筒2B,2Cから排気通路20に排出させるように構成したため、リーンNOx触媒を排気通路20に設けることなく、三元触媒24だけで充分に排気ガスの浄化性能を確保することができる。しかも、上記リーンNOx触媒を設ける必要がないことから、リーンNOx触媒のNOx吸蔵量増大時におけるNOxの放出、還元のための一時的なリッチ化を行う必要がなく、燃費改善効果の目減りを防止できるとともに、リーンNOx触媒が硫黄被毒するという問題が生じるのを防止できるという利点がある。
【0065】
なお、上記実施形態では先行気筒2A,2D、後続気筒2B,2Cのいずれに対しても燃料噴射弁9は燃焼室に直接燃料を噴射する直噴タイプとしているが、後続気筒2B,2Cに対する燃料噴射弁は必ずしも直噴タイプに限定されず、例えば吸気ポートおよび気筒間ガス通路に燃料噴射弁を設け、通常運転モードでは吸気ポートの燃料噴射弁を駆動し、特殊運転モードでは気筒間ガス通路の燃料噴射弁を駆動するようにしてもよい。また、上記吸・排気気弁を開閉駆動するソレノイドアクチュエータを備えた電磁動弁機構を設け、この電磁動弁機構の作動状態を制御することにより、上記2気筒接続状態と各気筒独立状態とに切り換えるように構成してもよい。
【0066】
本発明の装置は、4気筒以外の多気筒エンジンにも適用可能である。そして、例えば6気筒等では1つの気筒の排気行程と別の気筒の吸気行程が完全に重なり合うことはないが、このような場合は、一方の気筒の排気行程が他方の気筒の吸気行程より先行するとともに、両行程が部分的に重なり合う2つの気筒を先行、後続の一対の気筒とすればよい。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したようには、本発明は、複数の気筒を備えて、各気筒の燃焼サイクルが所定の位相差をもって行われるように構成するとともに、エンジンの部分負荷領域でエンジンの吸・排気および燃焼状態についての制御モードを特殊運転モーとし、この特殊運転モードでは、排気行程と吸気行程とが重なる一対の気筒間において排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスが、気筒間ガス通路を介して吸気行程にある後続気筒に導入され、この後続気筒から排出されるガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態としつつ、上記先行気筒では空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比で燃焼を行わせ、上記後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせるようにした火花点火式エンジンの制御装置であって、後続気筒の圧縮自己着火を促進する着火アシスト手段と、先行気筒の空燃比を制御する空燃比制御手段とを備え、上記特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域で、後続気筒が圧縮自己着火を生じにくい状態にあるか否かを判別し、圧縮自己着火を生じにくい状態にあると判別された場合には、上記着火アシスト手段により後続気筒の圧縮自己着火を促進するとともに、後続気筒が圧縮自己着火を生じ易い状態にある場合に比べて先行気筒の空燃比をリーンに設定するように構成したため、エンジンの運転状態の如何に拘わらず後続気筒を確実に圧縮自己着火させることにより、後続気筒の燃焼室全体で混合気を急速に燃焼させて気筒内の圧力を急上昇させることにより、効果的に燃費を改善することができるとともに、上記後続気筒内における酸素と窒素との反応を可及的に回避してNOxの発生を充分に抑制できる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る火花点火式エンジンの制御装置を備えたエンジン全体の概略平面図である。
【図2】エンジン本体等の概略断面図である。
【図3】動弁機構の切換手段の具体的構成を示す正面断面図である。
【図4】制御系統の具体的構成を示すブロック図である。
【図5】運転状態に応じた制御を行うための運転領域設定の一例を示す説明図である。
【図6】先行気筒の空燃比とエンジン負荷との対応関係を示す特性図である。
【図7】特殊運転モードにあるときの、各気筒の排気行程、吸気行程、燃料噴射時期および点火時期等を示す図である。
【図8】特殊運転モードにあるときの実質的な新気およびガスの流通経路を示す説明図である。
【図9】通常運転モードにあるときの実質的な新気およびガスの流通経路を示す説明図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2A〜2D 気筒
9 燃料噴射弁
22 気筒間ガス通路
31a 第1吸気弁(新気導入弁)
31b 第2吸気弁(既燃ガス導入弁)
40 ECU
46 着火アシスト手段

Claims (3)

  1. 複数の気筒を備えて、各気筒の燃焼サイクルが所定の位相差をもって行われるように構成するとともに、エンジンの部分負荷領域でエンジンの吸・排気および燃焼状態についての制御モードを特殊運転モードとし、この特殊運転モードでは、排気行程と吸気行程とが重なる一対の気筒間において排気行程にある先行気筒から排出される既燃ガスが、気筒間ガス通路を介して吸気行程にある後続気筒に導入され、この後続気筒から排出されるガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態としつつ、上記先行気筒では空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比で燃焼を行わせ、上記後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせるようにした火花点火式エンジンの制御装置であって、後続気筒の圧縮自己着火を促進する着火アシスト手段と、先行気筒の空燃比を制御する空燃比制御手段とを備え、上記特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域で、後続気筒が圧縮自己着火を生じにくい状態にあるか否かを判別し、圧縮自己着火を生じにくい状態にあると判別された場合には、上記着火アシスト手段により後続気筒の圧縮自己着火を促進するとともに、後続気筒が圧縮自己着火を生じ易い状態にある場合に比べて先行気筒の空燃比をリーンに設定することを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
  2. 着火アシスト手段は、圧縮上死点前の上死点近傍で後続気筒内の混合気を点火する火花点火制御手段からなることを特徴とする請求項1に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  3. 特殊運転モードの燃焼が行われる部分負荷領域で、後続気筒が圧縮自己着火を生じにくい状態から圧縮自己着火を生じ易い状態への移行時に、先行気筒の空燃比を予め設定された量だけリッチ側に急変させることを特徴とする請求項1または2に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
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