JP3922153B2 - 火花点火式エンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火花点火式エンジンの制御装置に関し、より詳しくは、多気筒エンジンにおいて燃費改善及びエミッション向上のために各気筒の燃焼状態および吸排気弁の開閉時期を制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、火花点火式エンジンにおいて、各気筒内の混合気の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせることにより燃費改善を図る技術が研究されており、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、低回転低負荷域等では上記燃料噴射弁から圧縮行程で燃料を噴射することにより成層燃焼を行わせ、これによって超リーン燃焼を実現するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記のように成層燃焼により超リーン燃焼を行うと、熱効率が向上されるとともに、吸入空気量が多くなって吸気負圧が低減され、これらによって大幅に燃費が改善される。また、このような超リーンの成層燃焼状態では過剰に存在する空気の一部がEGRに置き換わっても充分に燃焼し得るため、比較的多量のEGRが可能であって、これによりNOx低減等に有利となる。そして、このように多量のEGRを導入した場合でも、ポンピングロス低減効果は変わりなく得られ、かつ、非成層で吸入空気量及びEGR量を制限する通常の燃焼と比べれば熱効率も高められて、燃費改善効果が得られる。
【0004】
ところで、成層燃焼を行うとある程度までは空燃比がリーンになるにつれて燃費改善効果が高められるが、ある程度以上にリーンになると、燃焼速度が遅くなりすぎてその終期に近い燃焼が仕事に寄与しなくなることにより、却って燃費が悪化する傾向が生じる。このように、成層燃焼でのリーン化による燃費改善にも限界があった。
【0005】
一方、燃費改善のための別の手法として、圧縮自己着火が研究されている。この圧縮自己着火は、ディーゼルエンジンと同様に圧縮行程終期に燃焼室内を高温、高圧にして燃料を自己着火させるようにするものであり、空燃比が超リーンの状態や多量のEGRが導入されている状態でもこのような圧縮自己着火が行われれば燃焼室全体が一気に燃焼するため、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、燃費改善に有利となる。
【0006】
しかし通常の火花点火式エンジン(ガソリンエンジン)では燃焼のために強制点火が必要であって、圧縮上死点付近での燃焼室内の温度、圧力が圧縮自己着火を生じさせる程度までには高められず、圧縮自己着火を行わせるためには燃焼室内の温度または圧力を大幅に高めるための格別の工夫が必要となる。
【0007】
このような課題に対し、本願出願人は、吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行う多気筒エンジンにおいて、少なくとも低負荷低回転域では、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスをそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に導入し、この後続気筒から排出されるガスを排気通路に導くようにするとともに、この2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒において理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で強制点火により燃焼を行わせ、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給するとともに圧縮自己着火により燃焼を行わせるようにすることを考えた(特願2002−029836号)。
【0008】
これによると、少なくとも低負荷低回転域において、先行気筒ではリーン空燃比で強制点火による燃焼が行われ、熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減されることにより大幅な燃費改善効果が得られ、また、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて燃焼が行われる。このとき、先行気筒から気筒管ガス通路を介して導かれるガスは高温であるために圧縮行程終期に圧縮自己着火可能な程度にまで燃焼室内の温度が上昇し、圧縮自己着火が行われる。圧縮自己着火により急速に燃焼が行われるため、効率よく燃焼が仕事に寄与することとなり、これとポンピングロス低減とで燃費が大幅に改善される。
【0009】
しかしこのような2気筒接続状態とする運転領域のうち、低負荷側の領域では、燃料噴射量が比較的少ないため、先行気筒から後続気筒に導入される既燃ガスの温度が低く、後続気筒の筒内温度を圧縮自己着火に適した温度まで上昇させ難い場合があった。
【0010】
そこで後続気筒の筒内温度の上昇を促進するため、先行気筒の燃焼を比較的リッチ気味の空燃比で行って、既燃ガスの温度を上昇させる手段がとられていた。例えば、スロットルを絞って先行気筒に流入する空気量を削減したり、先行気筒で噴射する燃料を増加したりする等の方法があった。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−274085号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような方法では、いずれも燃費改善効果を目減りさせるものであった。即ち、スロットルバルブを絞って先行気筒に流入する空気量を削減すると、空燃比がリッチ気味となって既燃ガスの温度が上昇する反面、ポンピンピングロスの増大という、燃費悪化の要因も生じてしまう。また、先行気筒で噴射する燃料を増加させるという手段も、必然的に後続気筒に供給される燃料を減少させることになるので、熱効率の高い圧縮自己着火による燃焼を行う燃料の割合を低下させるものとなる。
【0013】
本発明は以上のような課題を考慮してなされたものであり、2気筒接続状態とする運転領域のうち、後続気筒の筒内温度が上昇し難い低負荷側の領域であっても、燃費改善効果を目減りさせることなく熱効率の高い圧縮自己着火による燃焼を行い得るようにすることにより、またその領域を従来よりもより低負荷側の領域まで拡大することにより、全体として更に大きな燃費改善効果が得られる火花点火式エンジンの制御装置を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンにおいて、少なくとも低負荷低回転域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態にガス流通経路を構成するとともに、上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒では理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で強制点火により燃焼を行わせ、上記後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせるようにしつつ、エンジン負荷の増大に伴って上記先行気筒と上記後続気筒とに供給する合計燃料を増加させるように各気筒の燃焼を制御する燃焼制御手段を備え、上記燃焼制御手段が、上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域において上記後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせつつ、その領域では上記先行気筒の排気損失が大きくなる方向に上記気筒管ガス通路の開通期間を制御することを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置である。
【0015】
この構成によると、少なくとも低負荷低回転域において、先行気筒では空気が過剰に存在するリーン空燃比で、強制点火による燃焼が行われ、このリーン燃焼によって熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減され、大幅な燃費善効果が得られる。また、後続気筒では、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに追加燃料が供給されて圧縮自己着火による燃焼が行われる。先行気筒から気筒間ガス通路を介して導入されるガスは高温であるために、追加燃料の気化が促進されるうえ、圧縮自己着火により燃焼室全体に亘り一気に燃焼するので、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、高い燃費改善効果が得られる。また、先行気筒ではリーン空燃比で燃焼が行われることによりNOx発生量が比較的少なく抑えられ、後続気筒では、先行気筒から既燃ガスが導入されることで多量のEGR(排気再循環)が行われているのと同等の状態となることからNOxの発生が充分に抑制され、排ガス浄化が促進される。
【0016】
更に所定の低負荷側の領域では、上記先行気筒の排気損失が大きくなる方向に上記気筒管ガス通路の開通期間を制御するので、先行気筒の排気行程における排気が充分になされず、結果的に気筒内に比較的多くの排ガスが残存した状態(内部EGR量が増大した状態)で以降の圧縮、膨張行程へ移行する。即ち高温の排ガスを吸気と混合することにより、吸気温度を上昇させたような効果が得られ、燃焼後の既燃ガス温度が上昇する。このため、この既燃ガスを導入する後続気筒の筒内温度が上昇し、圧縮自己着火し易くなる。また、その効果によって、後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行い得る運転領域をより低負荷側の領域まで拡大することができる。
【0017】
また、先行気筒において、後続気筒の筒内温度を上昇させるために増加する燃料噴射量を削減することができるので、後続気筒で熱効率の高い圧縮自己着火による燃焼を行う燃料が相対的に増加し、更に燃費を向上させることができる。
【0018】
しかも、先行気筒の内部EGR量を増大させると、必然的に新気が流入し難くなるので、スロットル開度を大きくすることにつながり、ポンピングロスをより低減させることができ、一層の燃費改善効果が得られる。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記先行気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの排気行程で既燃ガスを上記気筒間ガス通路に排出する既燃ガス排出弁と、上記後続気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で上記気筒間ガス通路から既燃ガスを導入する既燃ガス導入弁との一方または両方を備え、上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域で、上記既燃ガス排出弁または上記既燃ガス導入弁の少なくとも一方の閉弁時期が、上記先行気筒の排気行程上死点よりも早期になるように設定されていることを特徴とする。
【0020】
このようにすると、先行気筒の排気行程途中(ピストンが排気行程上死点に達する前)に、既燃ガス排出弁または既燃ガス導入弁によって、気筒管ガス通路が遮断される。従来のエンジンでは、排気弁の閉弁時期を、排気行程下死点よりも遅らせる(クランク角で30°程度)のが一般的である。これは燃焼室に残存する排ガスを充分排出するためである。
【0021】
しかし本構成のように先行気筒の排気行程上死点前に気筒管ガス通路を遮断すると、先行気筒の排気(2気筒接続状態では、気筒管ガス通路を介して後続気筒内に既燃ガスを排出すること)を抑制するので、効果的に内部EGR量を増加させることができる。
【0022】
なお、後続気筒の吸気行程で導入されるのはスロットルバルブに絞られた新気ではなく、先行気筒から排出された既燃ガスなので、気筒管ガス通路を早期に遮断してもその充填は充分になされる。
【0023】
また、各行程や上死点(TDC)、下死点(BDC)等の語は、ピストンの動作や位置を指すが、ピストン位置はクランク角の関数ともなっているので、一般になされているように、本明細書でも各行程やピストン位置をクランク角で示す表現に準ずる。たとえば、ピストンが上死点から下死点まで移動したとき、クランク軸が180°回転する場合、上死点と下死点との間隔はクランク角180°(以下180°CAと記す)である。また、吸気弁の開弁時期や吸気弁の開弁期間などという場合の時期や期間の単位は、クランク角とする。
【0024】
請求項3の発明は、請求項2記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記既燃ガス排出弁を備え、上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域で、上記既燃ガス排出弁の閉弁時期が、上記先行気筒の排気行程上死点よりも早期になるように設定されていることを特徴とする。
【0025】
このようにすると、気筒管ガス通路の遮断が、最も上流側(既燃ガス排出弁)でなされる。従って、下流側(例えば既燃ガス導入弁)でなされる場合に比べ、遮断後に気筒管ガス通路内に流入する既燃ガスの量を最小にすることができ、より応答良く先行気筒の内部EGR量を増大させることができる。
【0026】
請求項4の発明は、請求項3記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域では、上記既燃ガス排出弁の閉弁時期が、より高負荷側領域にあるときよりも早期になるように設定されていることを特徴とする。
【0027】
このようにすると、低負荷側領域では内部EGR量を増大させる一方、高負荷側領域となって、内部EGR量をあまり増大させなくても既燃ガス温度が上昇し、後続気筒の圧縮自己着火性が高いときは、既燃ガス排出弁の閉弁時期を遅らせて先行気筒の内部EGR量を削減することができる。このため、高負荷側の領域で新気割合が増加するので、燃料噴射量を増加して必要な出力を得る事ができる。
【0028】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記先行気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの排気行程で既燃ガスを上記気筒間ガス通路に排出する、少なくとも大・小の開弁角を有する既燃ガス排出弁を備え、その既燃ガス排出弁の開弁角を、上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域では小なる方に、より高負荷側の領域では大なる方に切換えることを特徴とする。
【0029】
このようにすると、低負荷側領域では内部EGR量を増大させる一方、高負荷側では内部EGR量を減少させる、という相反する特性を、大・小の開弁角を切換えるだけで容易に得る事ができる。また、それぞれの開弁角を狙いの設定値に合わせて切換えられるので、比較的開弁角が大きく異なる狙いであっても、容易にその特性を得る事ができる。
【0030】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記先行気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で新気を導入する先行気筒吸気弁を備え、上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域で、上記先行気筒吸気弁の開弁時期が、上記先行気筒の吸気行程上死点よりも遅れ側に設定されていることを特徴とする。
【0031】
このようにすると、先行気筒吸気弁から吸気ポート側に既燃ガスが逆流することを防止し易くなる。従来のエンジンでは、吸気弁の開弁時期を、吸気行程上死点(=排気行程上死点)よりも進ませる(クランク角で10°程度)のが一般的である。これは、吸気量の増大を狙ったものであるが、一方では排気の吸気ポート側への逆流が避けられないものであった。
【0032】
しかし本構成のように先行気筒吸気弁の開弁時期を遅らせると、その逆流が防止され、内部EGR量が増大する。特に先行気筒排出弁の閉弁時期を排気行程上死点よりも早期に設定すると、排気行程上死点付近で、全ての弁が閉弁した状態(以下マイナスオーバーラップという)が生じ、内部EGR量を大幅に増大することができる。
【0033】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記先行気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で新気を導入する、少なくとも大・小の開弁角を有する先行気筒吸気弁を備え、その先行気筒吸気弁の開弁角を、上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域では小なる方に、より高負荷側の領域では大なる方に切換えることを特徴とする。
【0034】
このようにすると、低負荷側領域では先行気筒吸気弁の開弁時期を遅らせて内部EGR量を増大させる一方、高負荷側では先行気筒吸気弁の開弁時期を早期化して新気の導入量を増大させるという相反する特性を、大・小の開弁角を切換えるだけで容易に得る事ができる。また、それぞれの開弁角を狙いの設定値に合わせて切換えられるので、比較的開弁角が大きく異なる狙いであっても、容易にその特性を得る事ができる。
【0035】
請求項8の発明は、請求項7記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記先行気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの排気行程で既燃ガスを上記気筒間ガス通路に排出する既燃ガス排出弁を備え、上記所定の低負荷側領域では、より高負荷側の領域にあるときに対し、上記先行気筒吸気弁の閉弁時期が相対的に早期になるように設定され、且つ、上記先行気筒の排気行程上死点付近で上記既燃ガス排出弁と上記先行気筒吸気弁とが共に閉弁している期間が相対的に長くなるように設定されていることを特徴とする。
【0036】
このようにすると、低負荷側領域ではマイナスオーバーラップ期間を長くして内部EGR量を増大させ、高負荷側ではマイナスオーバーラップ期間を短くして内部EGR量を減少させることができる。
【0037】
ところで、低負荷側領域でマイナスオーバーラップ期間を長くするため、先行気筒吸気弁の開弁時期を遅らせる場合、開弁期間が一定であれば必然的に閉弁時期も遅らせることになる。このように先行気筒吸気弁の閉弁時期を遅らせると、吸気行程から圧縮行程に移行後(ピストンが下死点を過ぎて上昇中)も先行気筒吸気弁が開弁している期間が長くなり、有効圧縮比を減少させることとなる。有効圧縮比の減少は、既燃ガス温度の低下を招くため、結果的に内部EGR量の増大効果を目減りさせてしまう。
【0038】
しかし本構成によると、大・小の開弁角を切換えて、低負荷側領域では高負荷側領域よりも開弁期間を短くすることができるので、低負荷側領域では先行気筒吸気弁の開弁時期を遅らせてマイナスオーバーラップ期間を長くしつつ、先行気筒吸気弁の閉弁時期を早期化して有効圧縮比の低下を防止する一方、高負荷側領域では先行気筒吸気弁の開弁時期を早期化してマイナスオーバーラップ期間を短くしつつ、開弁期間を長くして充分な量の新気を導入させることができる。
【0039】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記後続気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で新気を導入する後続気筒吸気弁を備え、上記2気筒接続状態にあるときの上記先行気筒の内部EGR量が増大しているとき、上記後続気筒吸気弁が上記気筒管ガス通路の開通前に開弁するように設定されていることを特徴とする。
【0040】
このようにすると、後続気筒に、既燃ガス以外の新気を別途導入することができる。従って、後続気筒で燃焼に寄与する酸素量が、先行気筒の内部EGR量の増大によって不足することを防止することができる。後続気筒では、新気を導入することにより若干の温度低下があるものの、先行気筒から高温の既燃ガスが相当量導入されるのでその影響は小さく、新気の導入により、必要な出力を得るための燃焼を行い易くなる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施形態によるエンジンの概略構成を示し、図2はエンジン本体1の一つの気筒とそれに対して設けられた吸・排気弁等の構造を概略的に示している。これらの図において、エンジン本体1は複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒2A〜2Dを有している。各気筒2A〜2Dにはピストン3が嵌挿され、ピストン3の上方に燃焼室4が形成されている。
【0042】
各気筒2A〜2Dの燃焼室4の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室4内に臨んでいる。この点火プラグ7には、電子制御による点火時期のコントロールが可能な点火回路8が接続されている。
【0043】
燃焼室4の側方部には、燃焼室4内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁9が設けられている。この燃料噴射弁9は、図略のニードル弁及びソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。なお、この燃料噴射弁9には、図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ、圧縮行程での燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
【0044】
また、各気筒2A〜2Dの燃焼室4に対して吸気ポート11、11a,11b及び排気ポート12、12a,12bが開口し、これらのポートに吸気通路15、排気通路20等が接続されるとともに、各ポートにはそれぞれ先行気筒吸気弁31、後続気筒吸気弁31a、既燃ガス導入弁31b、後続気筒排気弁32、先行気筒排気弁32aおよび既燃ガス排出弁32b(これらの弁は従来エンジンの吸排気弁に相当する)が設けられている。その上方にはロッカシャフト170を支軸として揺動し得るロッカアームセット160が設けられ、更にその上方にはカムシャフト33,34と、これらと一体回転することによりロッカアームセット160を揺動させるカム26,27が設けられている。
【0045】
そして、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっており、4気筒エンジンの場合、気筒列方向一端側から1番気筒2A、2番気筒2B、3番気筒2C、4番気筒2Dと呼ぶと、図9に示すように上記サイクルが1番気筒2A、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bの順にクランク角で180°ずつの位相差をもって行われるようになっている。なお、図9において、EXは排気行程、INは吸気行程であり、また、Fは燃料噴射、Sは強制点火を表し、図中の星マークは圧縮自己着火(条件によっては強制点火)が行われることを表している。
【0046】
排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間には、排気行程と吸気行程が重なるときの排気行程側の気筒(当明細書ではこれを先行気筒と呼ぶ)から吸気行程側の気筒(当明細書ではこれを後続気筒と呼ぶ)へ既燃ガスをそのまま導くことができるように、気筒間ガス通路22が設けられている。当実施形態の4気筒エンジンでは、図9に示すように1番気筒2Aの排気行程(EX)と2番気筒2Bの吸気行程(IN)とが重なり、また4番気筒2Dの排気行程(EX)と3番気筒2Cの吸気行程(IN)が重なるので、1番気筒2Aと2番気筒2B、及び、4番気筒2Dと3番気筒2Cがそれぞれ一対をなし、1番気筒2A及び4番気筒2Dが先行気筒、2番気筒2B及び3番気筒2Cが後続気筒となる。
【0047】
各気筒の吸・排気ポートとこれに接続される吸気通路、排気通路及び気筒間ガス通路は、具体的には次のように構成されている。
【0048】
先行気筒である1番気筒2A及び4番気筒2Dには、それぞれ、新気を導入するための吸気ポート11と、既燃ガス(排気ガス)を排気通路に送り出すための第1排気ポート12aと、既燃ガスを後続気筒に導出するための第2排気ポート12bとが配設されている。また、後続気筒である2番気筒2B及び3番気筒2Cには、それぞれ、新気を導入するための第1吸気ポート11aと、先行気筒からの既燃ガスを導入するための第2吸気ポート11bと、既燃ガスを排気通路に送り出すための排気ポート12とが配設されている。
【0049】
図1に示す例では、1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aが、1気筒当り2個ずつ、燃焼室の左半部側に並列的に設けられる一方、1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12a及び第2排気ポート12bならびに2番,3番気筒2B,2Cにおける第2吸気ポート11b及び排気ポート12が、燃焼室の右半部側に並列的に設けられている。
【0050】
1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aには、吸気通路15における気筒別の分岐吸気通路16の下流端が接続されている。各分岐吸気通路16の下流端近傍には、共通の軸を介して互いに連動する多連スロットル弁17が設けられており、この多連スロットル弁17は制御信号に応じてアクチュエータ18により駆動され、吸入空気量を調節するようになっている。分岐吸気通路16の集合部より上流には、吸気流量を検出するエアフローセンサ19が設けられている。
【0051】
1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12aおよび2番,3番気筒2B,2Cにおける排気ポート12には、排気通路20における気筒別の分岐排気通路21の上流端が接続されている。また、1番気筒2Aと2番気筒2Bとの間及び3番気筒2Cと4番気筒2Dとの間にそれぞれ気筒間ガス通路22が設けられ、先行気筒である1番,4番気筒2A,2Dの第2排気ポート12bに気筒間ガス通路22の上流端が接続されるとともに、後続気筒である2番,3番気筒2B,2Cの第2吸気ポート11bに気筒間ガス通路22の下流端が接続されている。
【0052】
気筒間ガス通路22には、酸素濃度に応じて出力がリニアに変化するリニアOセンサ25が設けられており、その出力に応じ、所定のリーン空燃比とされる先行気筒2A,2Dに対する燃料噴射量がフィードバック制御される。
【0053】
排気通路20における分岐排気通路21の下流の集合部には排気ガス中の酸素濃度を検出することにより空燃比を検出するOセンサ23が設けられている。Oセンサ23は、理論空燃比付近で出力が急変するλOセンサであり、このOセンサ23の出力に基いて後続気筒2B,2C(各気筒独立状態のときは気筒2A,2Dを含む)に対する燃料噴射量がフィードバック制御される。さらにOセンサ23の下流には、排気浄化用の三元触媒24が設けられている。この三元触媒24は、一般に知られているように、排気ガスの空燃比が理論空燃比(つまり空気過剰率λがλ=1)付近にあるときにHC,CO及びNOxに対して高い浄化性能を示す触媒である。
【0054】
各気筒の吸・排気ポートを開閉する各弁とこれらに対する動弁機構は、次のようになっている。
【0055】
1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11、第1排気ポート12a及び第2排気ポート12bにはそれぞれ先行気筒吸気弁31、先行気筒排気弁32a及び既燃ガス排出弁32bが設けられ、また、2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11a、第2吸気ポート11b及び排気ポート12にはそれぞれ後続気筒吸気弁31a、既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32が設けられている。これらの各弁は、各気筒が吸気行程または排気行程にあるとき、ロッカアームセット160の揺動に伴って開閉する(停止する場合もある)が、その開閉時期は必ずしも上死点や下死点に限らず、必要に応じて数度CA(クランク角)〜数十度CAずれた時期に設定されている。
【0056】
更に当実施形態では、カム位相可変機構33a,34aによって各弁の開閉時期を条件に応じて変動させるようになっている。カム位相可変機構33a,34aは、カムシャフト33,34の回転位相をクランクシャフトの回転位相に対して変動させる、従来から知られた機構である。図1に示すようにカムシャフト33にはカム位相可変機構33aが、カムシャフト34にはカム位相可変機構34aが設けられており、それぞれ独立して制御されている(図7参照)。従って、カムシャフト33の回転によって開閉する先行気筒吸気弁31および後続気筒吸気弁31aの開閉時期は、カム位相可変機構33aによって全体的に前後に変動する。同様に、カムシャフト34の回転によって開閉する既燃ガス導入弁31b、後続気筒排気弁32、先行気筒排気弁32aおよび既燃ガス排出弁32bの開閉時期は、カム位相可変機構34aによって全体的に前後に変動する。
【0057】
図3は、ロッカアームセット160の揺動状態を、カムの切換えによって変更させるカム切換機構150の部分斜視図である。この機構により、2点鎖線で示す既燃ガス導入弁31b等の開閉時期を変動させたり、閉弁状態で停止させたりすることができる。既燃ガス導入弁31bの上方にはカムシャフト34が配設されている。カムシャフト34にはカム27が一体回転するように設けられている。カム27は第1カム152,第2カム154および第3カム156という独立したリフト特性を有する3種類のカムからなる。これらのカムと既燃ガス導入弁31bとの間には、ロッカシャフト170に支持されたロッカアームセット160が設けられている。ロッカアームセット160は、第1ロッカアーム162,第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166という3種類のロッカアームの集合体である。第1ロッカアーム162の先端にはバルブ当接部163と、その軸線方向位置を微調整するためのアジャストスクリュー161が設けられており、バルブ当接部163は適切な位置で既燃ガス導入弁31b等の弁軸上端に当接している。第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166には、図外のスプリングが、これらのロッカアームを第2カム154および第3カム156に押圧するように設けられている。従って、ロッカアームセット160の各ロッカアームが、図示のように独立して可動である場合には、各ロッカアームの上面は第1カム152,第2カム154および第3カム156の外周部に当接し、カム当接部の形状(各カムの回転半径)に応じてロッカシャフト170を支軸として上下に揺動する。なお、カムシャフト33にも同様の機構が設けられている(図3中に括弧書きで示す。)。
【0058】
ロッカアームセット160の内部には、後述するように5本のプランジャが2列に設けられている(図4参照。図3ではそのプランジャ穴のひとつである第4プランジャ穴204が見えている)。これらのプランジャの動きにより、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164または第3ロッカアーム166と一体となり、連動し得る。ロッカシャフト170の内部には、プランジャを油圧作動させるためのオイルを導く第1作動油給排用の通路172および第2作動油給排用の通路174が設けられている。
【0059】
第1カム152は、弁停止用カムであり、カムシャフト34と同心円の外周形状を有する。したがって第1ロッカアーム162は、その上面が第1カム152の外周面に常時当接している(第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と切り離されている)とき、カムシャフト34が回転しても揺動しない。すなわち既燃ガス導入弁31b等は閉弁状態で停止している。
【0060】
第2カム154は、低負荷(または低速)用のカムであり、第1カム152と同一の外周形状を有する部分と、それより突出した外周形状を有する部分とからなる。したがって第2ロッカアーム164は、その上面が第2カム154の外周面に常時当接している(後述の第3ロッカアーム166と切り離されている)とき、カムシャフト34の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動する。そして、このとき第1ロッカアーム162と第2ロッカアーム164とが連動するようになっていれば、第1ロッカアーム162の動作は第2カム154による第2ロッカアーム164の揺動と同一のものとなる。すなわち既燃ガス導入弁31bは所定時期に所定量だけ開弁する。
【0061】
第3カム156は、高負荷(または高速)用のカムであり、第2カム154と同一の外周形状を有する部分と、それより突出した外周形状を有する部分とからなる。したがって第3ロッカアーム166は、その上面が第3カム156の外周面に常時当接しており、カムシャフト34の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動する。そして、このとき第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166とが連動するようになっていれば、第1ロッカアーム162の動作は第3カム156による第3ロッカアーム166の揺動と同一のものとなる。すなわち既燃ガス導入弁31bは所定時期に所定量だけ開弁する(開弁期間は第2ロッカアーム164のみが第1ロッカアーム162と連動する場合の開弁期間を包含する)。
【0062】
なお、第1カム152、第2カム154および第3カム156の形状を適宜変更することによって、種々の変形が可能である。例えば、第2カム154と第3カム156とを同形状とすることにより、実質的には既燃ガス導入弁31bを作動と停止の2段階に切換えるものとすることもできる。
【0063】
図4は、ロッカアームセット160の内部に設けられた5本のプランジャの作動を示す説明図である。図4(a)は第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と切り離された状態、図4(b)は第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164のみと連動する状態、図4(c)は第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と連動する状態を示す。
【0064】
第1ロッカアーム162の内部には第1プランジャ穴201および第4プランジャ穴204が設けられている。第1プランジャ穴201は第2ロッカアーム164側に開口した円形断面の凹穴である。第1プランジャ穴201の底部には第1作動油給排用の通路172から第1作動油導入路173が導かれている。第1プランジャ穴201内には円柱状の第1プランジャ181が嵌挿されている。第1プランジャ181は、その外周面で第1作動油導入路173に導かれた作動油をシールしつつ、第1プランジャ穴201内を滑らかに摺動する。第1プランジャ181の全長は、第1プランジャ穴201の深さよりも短い。
【0065】
第4プランジャ穴204は第2ロッカアーム164側と第3ロッカアーム166側とを貫通する貫通穴である。第4プランジャ穴204内には円柱状の第4プランジャ184が嵌挿されている。第4プランジャ184の全長は、第4プランジャ穴204の深さ(第1ロッカアーム162の板厚)と等しい。第4プランジャ184は、第4プランジャ穴204内を滑らかに摺動する。
【0066】
第2ロッカアーム164の内部には第2プランジャ穴202および第5プランジャ穴205が設けられている。第2プランジャ穴202は第1ロッカアーム162側に開口した円形断面の凹穴であり、第1プランジャ穴201と等しい直径となっている。第2プランジャ穴202の底部にはエア抜き穴206が設けられ、リークしたオイルを逃がしつつ内部の気圧を大気圧に保つ。第2プランジャ穴202内には有底円筒状で外径が第1プランジャ181と等しい第2プランジャ182が嵌挿されている。第2プランジャ182は、第2プランジャ穴202内を滑らかに摺動する。第2プランジャ182の全長は、第2プランジャ穴202の深さと等しい。第2プランジャ182の第1プランジャ181と当接する端部は、球状に成形されている。第2プランジャ182の内側凹部には第2プランジャスプリング187が設けられ、第2プランジャ182を常時第1プランジャ181側に付勢している。
【0067】
第5プランジャ穴205は第1ロッカアーム162側に開口した円形断面の凹穴であり、第4プランジャ穴204と等しい直径となっている。第5プランジャ穴205の底部にはエア抜き穴207が設けられ、リークしたオイルを逃がしつつ内部の気圧を大気圧に保つ。第5プランジャ穴205内には有底円筒状で外径が第4プランジャ184と等しい第5プランジャ185が嵌挿されている。第5プランジャ185は、第5プランジャ穴205内を滑らかに摺動する。第5プランジャ185の全長は、第5プランジャ穴205の深さよりも短い。第5プランジャ185の第4プランジャ184と当接する端部は、球状に成形されている。第5プランジャ185の内側凹部には第5プランジャスプリング189が設けられ、第5プランジャ185を常時第4プランジャ184側に付勢している。
【0068】
第3ロッカアーム166の内部には第3プランジャ穴203が設けられている。第3プランジャ穴203は第1ロッカアーム162側に開口した円形断面の凹穴であり、第4プランジャ穴204と等しい直径となっている。第3プランジャ穴203の底部には第2作動油給排用の通路174から第2作動油導入路175が導かれている。第3プランジャ穴203内には円柱状で外径が第4プランジャ184と等しい第3プランジャ183が嵌挿されている。第3プランジャ183は、その外周面で第2作動油導入路175に導かれた作動油をシールしつつ、第3プランジャ穴203内を滑らかに摺動する。第3プランジャ183の全長は、第3プランジャ穴203の深さと等しい。第3プランジャ183の第4プランジャ184と当接する端部は、球状に成形されている。
【0069】
なお、この機構を後続気筒吸気弁31aに適用する場合は、第1作動油給排用の通路172に替えて第1作動油給排用の通路172aが、第2作動油給排用の通路174に替えて第2作動油給排用の通路174aが設けられる。これらは、油圧切換弁178(図7参照)によって第1作動油給排用の通路172および第2作動油給排用の通路174の通路を互いに入れ替え得る通路である。即ち、油圧切換弁178をONにすると、第1作動油給排用の通路172に作動油圧が供給(以下油圧ONという)されたときは第2作動油給排用の通路174aが油圧ONとなり、第2作動油給排用の通路174が油圧ONとなったときは第1作動油給排用の通路172aが油圧ONとなる。また、第1作動油給排用の通路172に作動油圧が供給されない(以下油圧OFFという)ときは第2作動油給排用の通路174aが油圧OFFとなり、第2作動油給排用の通路174が油圧OFFとなったときは第1作動油給排用の通路172aが油圧OFFとなる。油圧切換弁178をOFFにすると、このような油圧の逆転は解除される。
【0070】
図4(a)は、第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と切り離された状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧ONとなり、第2作動油給排用の通路174が油圧OFFとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173が油圧ONとなり、第1プランジャ181を右側(図の矢印方向)に押圧する。その押圧力は第2プランジャスプリング187の付勢力よりも大きく、第1プランジャ181は第2プランジャ182と一体となって右側に移動している。第2プランジャ182の全長が第2プランジャ穴202の深さと等しいので、第1プランジャ181と第2プランジャ182との接点は第1ロッカアーム162と第2ロッカアーム164との合わせ面内にある。
【0071】
一方、第2作動油給排用の通路174から導かれた第2作動油導入路175が油圧OFFとなっているので、第3プランジャ183、第4プランジャ184および第5プランジャ185は、第5プランジャスプリング189の付勢力によって一体となって左側(図の矢印方向)に移動している。第3プランジャ183の全長が第3プランジャ穴203の深さと等しいので、第3プランジャ183と第4プランジャ184との接点は第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166との合わせ面内にある。更に第4プランジャ184の全長が第4プランジャ穴204の深さと等しいので、第4プランジャ184と第5プランジャ185との接点は第1ロッカアーム162と第2ロッカアーム164との合わせ面内にある。
【0072】
このように、各プランジャの接点が各ロッカアームの合わせ面内にあるため、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166から切り離された状態となっている。このため第1ロッカアーム162は、その上面に当接する第1カム152による作動、すなわちロッカシャフト170まわりの揺動停止を行い、既燃ガス導入弁31b等を閉弁状態で停止させる。
【0073】
図4(b)は、第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164のみと連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172、第2作動油給排用の通路174ともに油圧OFFとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173が油圧OFFとなっているので、第1プランジャ181および第2プランジャ182は、第2プランジャスプリング187の付勢力によって左側(図の矢印方向)に移動している。第1プランジャ181の全長が第1プランジャ穴201の深さより短いので、第2プランジャ182の一部は第1プランジャ穴201に入り込んでいる。
【0074】
一方、第2作動油給排用の通路174から導かれた第2作動油導入路175が油圧OFFとなっているので、図4(a)と同様、第3プランジャ183と第4プランジャ184との接点は第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166との合わせ面内にあり、第4プランジャ184と第5プランジャ185との接点は第1ロッカアーム162と第2ロッカアーム164との合わせ面内にある。
【0075】
このように、第2プランジャ182の一部が第1プランジャ穴201に入り込むことにより、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164と連動する。また、第3プランジャ183と第4プランジャ184との接点が第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166との合わせ面内にあるので、第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166とは切り離された状態となっている。従って第1ロッカアーム162は、第2ロッカアーム164の上面に当接する第2カム154による作動を行う。すなわちカムシャフト34の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動し、既燃ガス導入弁31b等を開閉させる。
【0076】
図4(c)は、第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧OFF、第2作動油給排用の通路174が油圧ONとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173が油圧OFFとなっているので、図4(b)と同様、第2プランジャ182の一部は第1プランジャ穴201に入り込んでいる。
【0077】
一方、第2作動油給排用の通路174から導かれた第2作動油導入路175が油圧ONとなっているので、第3プランジャ183を右側(図の矢印方向)に押圧する。その押圧力は第5プランジャスプリング189の付勢力よりも大きく、第3プランジャ183は第4プランジャ184および第5プランジャ185と一体となって右側に移動している。第5プランジャ185の全長が第5プランジャ穴205の深さよりも短いので、第4プランジャ184の一部が第5プランジャ穴205に入り込み、さらに第3プランジャ183の一部が第4プランジャ穴204に入り込んでいる。
【0078】
このように、第2プランジャ182の一部が第1プランジャ穴201に入り込み、第3プランジャ183の一部が第4プランジャ穴204に入り込むことにより、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と連動する。従って第1ロッカアーム162は、第3ロッカアーム166の上面に当接する、最も回転半径の大きな第3カム156による作動を行う。すなわちカムシャフト34の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動し、既燃ガス導入弁31b等を開閉させる。その開弁期間は図4(b)の場合よりも長くなっている。
【0079】
以上のカム切換機構150は、後続気筒吸気弁31a、既燃ガス導入弁31bおよび既燃ガス排出弁32bのためのものであるが、先行気筒排気弁32aにも同様のカム切換機構150a(図3に括弧書きで示す)が設けられている。但し、カム切換機構150aでは第2カム154と第3カム156は同一形状である。それらのカムに当接するロッカアームセット160aは、図3に示すように第1ロッカアーム162a、第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aからなる。カム切換機構150aは、第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aから切り離され、後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aを閉弁状態で停止させる状態と、第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと連動し、第2カム154および第3カム156の回転によって後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aを開閉させる状態とに切換える。
【0080】
図5は、ロッカアームセット160aの内部に設けられた3本のプランジャの作動を示す説明図である。図5(a)は第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと切り離された状態、図5(b)は第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと連動する状態を示す。
【0081】
ロッカアームセット160a内のプランジャ構造は、ロッカアームセット160内のプランジャ構造のうち、第3プランジャ183、第4プランジャ184および第5プランジャ185まわりの構造を設けたようなものとなっており、その詳細構造の説明はロッカアームセット160における記述と重複するので省略する。但し、第3プランジャ183の左端には、第1作動油給排用の通路172から第1作動油導入路173aが導かれている点がロッカアームセット160とは異なる。また、第2作動油給排用の通路174は、構造上省略できる場合にはなくても良い。
【0082】
図5(a)は、第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと切り離された状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧OFFとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173aが油圧OFFとなっているので、第3プランジャ183、第4プランジャ184および第5プランジャ185は、第5プランジャスプリング189の付勢力によって一体となって左側(図の矢印方向)に移動している。従って、第3プランジャ183と第4プランジャ184との接点は第1ロッカアーム162aと第3ロッカアーム166aとの合わせ面内にあり、第4プランジャ184と第5プランジャ185との接点は第1ロッカアーム162aと第2ロッカアーム164aとの合わせ面内にある。
【0083】
このように、各プランジャの接点が各ロッカアームの合わせ面内にあるため、第1ロッカアーム162aは第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aから切り離された状態となっている。このため第1ロッカアーム162aは、その上面に当接する第1カム152による作動、すなわちロッカシャフト170まわりの揺動停止を行い、先行気筒排気弁32aを閉弁状態で停止させる。
【0084】
図5(b)は、第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧ONとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173aが油圧ONとなっているので、第3プランジャ183を右側(図の矢印方向)に押圧する。その押圧力は第5プランジャスプリング189の付勢力よりも大きく、第3プランジャ183は第4プランジャ184および第5プランジャ185と一体となって右側に移動している。従って第4プランジャ184の一部が第5プランジャ穴205に入り込み、さらに第3プランジャ183の一部が第4プランジャ穴204に入り込んでいる。
【0085】
このように、第4プランジャ184の一部が第5プランジャ穴205に入り込み、さらに第3プランジャ183の一部が第4プランジャ穴204に入り込むことにより、第1ロッカアーム162aは第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと連動する。従って第1ロッカアーム162aは、第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aの上面に当接する第2カム154および第3カム156(同形状)による作動を行う。すなわちカムシャフト34の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動し、既燃ガス排出弁32bを開閉させる。
【0086】
更に、先行気筒吸気弁31にも類似のカム切換機構150bが設けられている(図3に括弧書きで示す。)。カム切換機構150bでは第1カム152が停止用カムではなく、突出部を有する低負荷用カムとなっている。また、第2カム154と第3カム156は同一形状であり、高負荷用カムとなっている。それらのカムに当接するロッカアームセット160bは、図3に確固書きで示すように第1ロッカアーム162b、第2ロッカアーム164bおよび第3ロッカアーム166bからなる。カム切換機構150bは、第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bおよび第3ロッカアーム166bから切り離され、先行気筒吸気弁31を比較的短期間開弁させる状態と、第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bまたは第3ロッカアーム166bと連動し、第2カム154または第3カム156の回転によって先行気筒吸気弁31を比較的長期間開弁させる状態とに切換える。
【0087】
図6は、ロッカアームセット160bの内部に設けられた3本のプランジャの作動を示す説明図である。図6(a)は第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bおよび第3ロッカアーム166bと切り離された状態、図6(b)は第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bのみと連動する状態、図6(c)は第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bおよび第3ロッカアーム166bと連動する状態を示す。
【0088】
ロッカアームセット160b内のプランジャ構造は、ロッカアームセット160内のプランジャ構造のうち、第1プランジャ181と第2プランジャ182の全長と第2プランジャスプリング187の仕様とを変更してそれぞれ第1プランジャ181b、第2プランジャ182bおよび第2プランジャスプリング187bとしたものである。この構造により、カム切換機構150bはカム切換機構150に対し、第1作動油給排用の通路172および第2作動油給排用の通路174の油圧のON、OFFの組み合わせによるカムの切換え状態が異なっている。
【0089】
図6(a)は、第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bおよび第3ロッカアーム166bと切り離された状態を示し、第1作動油給排用の通路172および第2作動油給排用の通路174が共に油圧OFFとなっている。図6(b)は、第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bのみと連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧ON、第2作動油給排用の通路174が油圧OFFとなっている。図6(c)は、第1ロッカアーム162bが第2ロッカアーム164bおよび第3ロッカアーム166bと連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧OFF、第2作動油給排用の通路174が油圧ONとなっている。
【0090】
図7は当実施形態における駆動、制御系統の構成を示している。第1コントロール弁176および第2コントロール弁177は、第1作動油給排用の通路172および第2作動油給排用の通路174に導く第1作動油および第2作動油を制御(油圧ON/OFF)するためのコントロール弁である。また、油圧切換弁178は、第1作動油給排用の通路172と第2作動油給排用の通路174とをそのまま第1作動油給排用の通路172aや第2作動油給排用の通路174aに連結するか、逆転(通路を入れ替える)させて連結するかを切換える弁である。油圧切換弁178がOFFのときはそのまま連結し、ONのときは逆転させる。カム切換機構150は後続気筒吸気弁31a、既燃ガス導入弁31bおよび既燃ガス排出弁32bに設けられ、カム切換機構150aは先行気筒排気弁32aに設けられ、カム切換機構150bは先行気筒吸気弁31に設けられている。
【0091】
マイクロコンピュータ等からなるエンジン制御用のECU(コントロールユニット)40には、エアフローセンサ19、Oセンサ23およびリニアOセンサ25からの信号が入力され、運転状態を判別するためにエンジン回転数を検出する回転数センサ47とアクセル開度(アクセルペダル踏込み量)を検出するアクセル開度センサ48とからの信号が入力される。このECU40から、点火回路8、各燃料噴射弁9、多連スロットル弁17のアクチュエータ18、第1,第2のコントロール弁37,39およびカム位相可変機構33a,34aのそれぞれに対して制御信号が出力される。
【0092】
ECU40は、少なくとも低負荷低回転域で、ガス流通経路を2気筒接続状態(図10参照)としつつ燃焼を行わせる制御手段を構成するものであって、運転状態判別手段41、カム切換制御手段190、吸入空気量制御手段43、燃焼制御手段44およびカム位相制御手段49を備えている。
【0093】
運転状態判別手段41は、回転数センサ47およびアクセル開度センサ48等からの信号によりエンジンの運転状態(エンジン回転数およびエンジン負荷)を調べ、運転状態が図8に示すような低負荷低回転側の運転領域A(エンジン負荷T1以下かつエンジン回転数r1以下)と、高負荷側ないし高回転側の運転領域B(エンジン負荷がT1を超えるか又はエンジン回転数がr1を越える)とのいずれの領域にあるかを判別する。運転領域Aの中でも、運転領域A1は低負荷側の領域であり、運転領域A2は高負荷側の領域である。所定の条件下(たとえばエンジンが完全に暖機された状態)において、運転領域Aでは2気筒接続状態とする特殊運転モードでの運転を行い、運転領域Bでは各気筒独立状態とする通常運転モードでの運転を行う。
【0094】
カム切換制御手段190は、特殊運転モードと通常運転モードとに応じ、あるいは運転領域に応じ、第1コントロール弁176、第2コントロール弁177および油圧切換弁178を制御することにより、カム切換機構150,150a,150bを次のように制御する。
【0095】
特殊運転モード(領域A):
・第1作動油圧−OFF,第2作動油圧−ON,油圧切換弁178−ON
・先行気筒排気弁32a、後続気筒吸気弁31aを
第1カム152による停止状態(図5(a),図4(a))
・既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31b、先行気筒吸気弁31を
第3カム156(高負荷用カム)による作動状態(図4(c),図6(c))
通常運転モード(領域B):
・第1作動油圧−ON,第2作動油圧−OFF,油圧切換弁178−ON
・先行気筒排気弁32a、後続気筒吸気弁31a、先行気筒吸気弁31を
第3カム156または第2カム154による作動状態(図5(b),図4(c),図6(b))
・既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bを
第1カム152による停止状態(図4(a))
【0096】
吸入空気量制御手段43は、アクチュエータ18を制御することによりスロットル弁17の開度(スロットル開度)を制御するものであり、運転状態に応じてマップ等から目標吸入空気量を求め、その目標吸入空気量に応じてスロットル開度を制御する。この場合、特殊運転モードでは、後述のように後続気筒(2番、3番気筒2B,2C)においては分岐吸気通路16からの吸気導入が遮断された状態で先行気筒から導入されるガス中の過剰空気と新たに供給される燃料とで燃焼が行われるので、先行、後続の2気筒分の要求トルクに応じた燃料の燃焼に必要な量の空気が先行気筒(1番、4番気筒2A,2D)に供給されるように、スロットル開度が調節される。
【0097】
燃焼制御手段44は、燃料噴射制御手段45と点火制御手段46とからなっており、燃料噴射制御手段45により、各気筒2A〜2Dに設けられた燃料噴射弁9からの燃料噴射量及び噴射タイミングをエンジンの運転状態に応じて制御するとともに、点火制御手段46により運転状態に応じた点火時期の制御及び点火停止等の制御を行う。そして、特に運転状態が特殊運転モードである場合と通常運転モードである場合とで燃焼の制御(燃料噴射の制御及び点火の制御)が変更される。
【0098】
すなわち、特殊運転モードの低負荷側領域(図8の領域A)において、先行気筒(1番、4番気筒2A,2D)に対しては、空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比、好ましくは理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上とするように燃料噴射量を制御し、後続気筒(2番、3番気筒2B,2C)に対しては、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに対して燃料を供給し、実質的な理論空燃比またはそれよりもリーンな空燃比となるように燃料噴射量を制御する。そして、後続気筒2B,2Cでは燃料噴射が吸気行程で行われ、圧縮自己着火による燃焼が行われる。
【0099】
通常運転モードの領域(図8の領域B)では、各気筒2A〜2Dの空燃比を理論空燃比もしくはそれ以下とするように燃料噴射量を制御し、例えば通常運転モードのうちの大部分の領域において理論空燃比とし、全開負荷及びその付近の運転領域で理論空燃比よりリッチとする。そして、この場合に、各気筒2A〜2Dに対して吸気行程で燃料を噴射して混合気を均一化するように噴射タイミングを設定し、かつ、各気筒2A〜2Dとも強制点火を行わせるようにする。
【0100】
カム位相制御手段49は、運転状態判別手段41の結果に基き、カム位相可変機構33a,34aの制御を行う。制御の詳細は後述するが、例えば特殊運転モードにおいて、低負荷側の領域(図8の領域A1)ではカム26の位相を遅らせる側にカム位相可変機構33aを制御するとともにカム27の位相を進ませる側にカム位相可変機構34aを制御する。このため、カムシャフト33の回転によって作動する先行気筒吸気弁31および後続気筒吸気弁31aの開閉時期が全体的に遅くなり、カムシャフト34の回転によって作動する既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32の開閉時期が全体的に早期になる。一方、高負荷側の領域(図8の領域A2)や通常運転モードの領域(図8の領域B)ではカム26,27の位相をそれぞれ逆側に制御し、先行気筒吸気弁31および後続気筒吸気弁31aの開閉時期が全体的に早期になり、既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32の開閉時期が全体的に遅くなるようにする。なお、カム位相可変機構33a,34aは作動中の弁に対して作用するので、停止状態となっている弁は、カム位相可変機構33a,34aの制御にかかわらず停止状態を維持する。
【0101】
以上のような当実施形態の装置の作用を、図9〜図13を参照しつつ説明する。特殊運転モードでは前述のように先行気筒排気弁32a及び後続気筒吸気弁31aが停止状態、既燃ガス排出弁32b及び既燃ガス導入弁31bが作動状態とされることにより、実質的な新気及びガスの流通経路は図10に示すようになり、先行気筒(1番,4番気筒)2A,2Dから排出される既燃ガスがそのまま気筒間ガス通路22を介して後続気筒(2番,3番気筒)2B,2Cに導入されるとともに、この後続気筒2B,2Cから排出されるガスのみが排気通路20に導かれるような2気筒接続状態とされる。
【0102】
この状態において、先行気筒2A,2Dにそれぞれ吸気行程で吸気通路15から新気が導入され(図10中の矢印a)、先行気筒2A,2DではリニアOセンサ25により検出される空燃比が理論空燃比の略2倍ないしそれ以上の超リーン空燃比となるように燃料噴射量がフィードバック制御されつつ燃料が噴射され、強制点火によって超リーン空燃比での成層燃焼が行われる(図9参照)。
【0103】
その後、先行気筒2A,2Dの吸気行程と後続気筒2B,2Cの排気行程が重なる期間に、先行気筒2A,2Dから排出された既燃ガスがガス通路22を通って後続気筒2B,2Cに導入される(図9中の白抜き矢印及び図10中の矢印b)。そして、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて、実質的な理論空燃比またはそれよりリーンな空燃比となるように燃料噴射量が制御されつつ、燃料が噴射される。このとき、後続気筒2B,2Cでは圧縮行程の上死点付近で燃焼室内の圧力、温度の上昇により圧縮自己着火が行われる(条件によっては強制点火)。
【0104】
こうして後続気筒2B,2Cでは、多量のEGRガス相当の既燃ガス成分を含み、かつ、空燃比がリーンであるという条件下でも、同時圧縮自己着火により燃焼が急速に行われ、これにより熱効率が大幅に向上されることとなる。
【0105】
このように、先行気筒2A,2Dでは超リーンでの成層燃焼により熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減されて燃費が向上し、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dと同様にポンピングロス低減効果が得られるとともに、圧縮自己着火による燃焼を行う場合には、均一な混合気分布状態で圧縮自己着火が行われることにより熱効率が高められ、燃費向上効果が得られる。
【0106】
また、先行気筒2A,2Dでは理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上のリーン空燃比とされることでNOx発生量が比較的少なく抑えられ、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから既燃ガスが導入されることで多量のEGRが行われているのと同等の状態となることからNOxの発生が充分に抑制される。このような点からもエミッションの向上に有利となる。
【0107】
但し、領域特殊運転モード中であって、圧縮自己着火を行うような運転領域であっても、筒内温度が低く、圧縮自己着火し難い状態のときには何れの気筒も強制点火に切換える。それでもリーン燃焼等による燃費等の改善効果は得られるが、後続気筒で圧縮自己着火による運転を行うよりはその効果が抑制される。従って、これらの効果をより多く得るためには、特殊運転モード中に後続気筒で圧縮自己着火を行う運転領域を拡大することが望ましい。
【0108】
特殊運転モード中に後続気筒で圧縮自己着火を行う運転領域を拡大するため、吸排気弁の開閉時期は次のように設定されている。
【0109】
図12は、図9の吸排気行程部分を詳細に示したものであり、特殊運転モードにおける先行気筒2A,2Dの先行気筒吸気弁31および既燃ガス排出弁32bの開閉時期と、後続気筒2B,2Cの既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32の開閉時期とを示す説明図である。図12(a)は特殊運転モードを行う運転状態のうち、低負荷側の領域(図8の領域A1)の場合であり、図12(b)は高負荷側の領域(図8の領域A2)の場合である。これらの図で、横軸はクランク角を示し、Tは上死点(TDC)、Bは下死点(BDC)である。TとBとの間隔は180°CAである。また、上段は先行気筒2A,2Dを示し、下段はそれに対応する後続気筒2B,2Cを示す。そして、帯線で示す各部分は、各弁の開弁期間を示す。上段から下段に向かう白抜き矢印は、先行気筒2A,2Dの排気行程と後続気筒2B,2Cの吸気行程とが重なっており、先行気筒2A,2Dでの既燃ガスが後続気筒2B,2Cに導かれる状態を示す。
【0110】
図12(a)において、上段には先行気筒2A,2Dの既燃ガス排出弁32bが開弁する既燃ガス排出弁の開弁期間300と、先行気筒吸気弁31が開弁する先行気筒吸気弁の開弁期間310(斜線で示す)とを示す。下段には後続気筒2B,2Cの後続気筒排気弁32が開弁する後続気筒排気弁の開弁期間320と、既燃ガス導入弁31bが開弁する既燃ガス導入弁の開弁期間330とを示す。
【0111】
先行気筒の既燃ガス排出弁の開弁期間300は、BDC前約85°CAからTDC前約30°CA(トータル約235°CA)に設定されている。これは、従来のエンジンの一般的な設定値(BDC前30°CAからTDC後25°CA程度)よりも全体的に55°CAほど早期化した設定である。特に既燃ガス排出弁の閉弁時期302は、TDCよりも早期に設定されており、排気行程途中に既燃ガス排出弁32bが閉弁する設定となっている。
【0112】
また、先行気筒吸気弁の開弁期間310は、TDC後約20°CAからBDC後約85°CA(トータル約245°CA)に設定されている。これは、従来のエンジンの一般的な設定値(TDC前10°CAからBDC後55°CA程度)よりも全体的に30°CAほど遅らせた設定である。これらの設定により、先行気筒2A,2Dでは、既燃ガス排出弁の閉弁時期302から先行気筒吸気弁の開弁時期312までの間、何れの吸排気弁とも閉じ切った状態(以下マイナスオーバーラップという)が生じている。図12(a)では、先行気筒のマイナスオーバーラップはTDCを挟んで約50°CAとなっている。
【0113】
後続気筒排気弁の開弁期間320は、BDC前約85°CAからTDC前約30°CA(トータル約235°CA)に設定されている。既燃ガス導入弁の開弁期間330は、TDC前約65°CAからほぼBDC(トータル約245°CA)に設定されている。これらは何れも、従来のエンジンの一般的な設定値よりも全体的に55°CAほど早期化した設定となっている。
【0114】
以上のような設定により、先行気筒2A,2Dでは既燃ガス排出弁の閉弁時期302の早期化により排気損失が大きくなっている。更に、先行気筒吸気弁の開弁時期312を遅らせる設定と相俟ってマイナスオーバーラップの大きな設定となっている。このため、内部EGR量が増大しており、既燃ガス温度が高くなっている。そして、この既燃ガスを導入する後続気筒の筒内温度が上昇し、圧縮自己着火性が向上している。また、その効果によって、後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行い得る運転領域をより低負荷側の領域まで拡大している。
【0115】
更に、先行気筒2A,2Dにおいて、後続気筒2B,2Cの筒内温度を上昇させるために増加する燃料噴射量が削減されるので、後続気筒2B,2Cで熱効率の高い圧縮自己着火による燃焼を行う燃料が相対的に増加し、更に燃費を向上させている。
【0116】
しかも、先行気筒2A,2Dの内部EGR量の増大によって新気が流入し難くなっているので、スロットル開度を比較的大きくしており、ポンピングロスが低減され、一層の燃費改善効果を得ている。
【0117】
図12(b)は高負荷側の領域(図8の領域A2)の場合であり、上段に既燃ガス排出弁の開弁期間340および先行気筒吸気弁の開弁期間350(斜線で示す)を、下段に後続気筒排気弁の開弁期間360および既燃ガス導入弁の開弁期間370を示す。既燃ガス排出弁の開弁期間340、後続気筒排気弁の開弁期間360および既燃ガス導入弁の開弁期間370は、図12(a)の既燃ガス排出弁の開弁期間300、後続気筒排気弁の開弁期間320および既燃ガス導入弁の開弁期間330に対し、全体的に55°CAだけ遅らせた設定となっている。これは、カム位相可変機構34aによってカムシャフト34の位相を55°CA遅らせることによってなされる。一方、先行気筒吸気弁の開弁期間350は、図12(a)の先行気筒吸気弁の開弁期間310に対し、30°CAだけ進ませた設定となっている。これは、カム位相可変機構33aによってカムシャフト33の位相を25°CA進ませることによってなされる。従って、既燃ガス排出弁の閉弁時期342はTDC後約25°CAであり、先行気筒吸気弁の開弁時期352はTDC前約10°CAである。即ち、マイナスオーバーラップではなく、一般的なオーバーラップ(TDC付近で吸排気弁が共に開く状態)の設定となっている。
【0118】
このような設定により、先行気筒2A,2Dの内部EGR量が減少しているが、この運転領域では既燃ガス温度が充分上昇しているので、後続気筒2B,2Cの圧縮自己着火性は保たれる。そして内部EGR量を削減した分、新気の割合が増加するので、燃料噴射量を増加して必要な出力を得る事ができている。
【0119】
図13は、通常運転モード(図8の領域B)における先行気筒2A,2Dの先行気筒吸気弁31および既燃ガス排出弁32bの開閉時期と、後続気筒2B,2Cの既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32の開閉時期とを示す説明図である。通常運転モードでは各気筒独立運転となっているので、先行気筒2A,2D、後続気筒2B,2Cともに新気を導入して強制点火による燃焼を行っている。上段には先行気筒2A,2Dの先行気筒排気弁32aが開弁する既燃ガス排出弁の開弁期間380と、先行気筒吸気弁31が開弁する先行気筒吸気弁の開弁期間350(斜線で示す)とを示す。下段には後続気筒2B,2Cの後続気筒排気弁32が開弁する後続気筒排気弁の開弁期間360と、後続気筒吸気弁31aが開弁する後続気筒吸気弁の開弁期間390とを示す。
【0120】
先行気筒2A,2Dでの排気および後続気筒2B,2Cでの吸気は、特殊運転モードとは異なる弁によってなされるので、その開閉は異なるカムによりなされる。従って、先行気筒排気弁の開弁期間380および後続気筒吸気弁の開弁期間390は、既燃ガス排出弁の開弁期間および既燃ガス導入弁の開弁期間とは独立して設定されている。図13では、使用する弁は異なるものの、各期間の設定値は図12(b)のものと同様に設定されている。そして、先行気筒吸気弁の開弁期間350および後続気筒吸気弁の開弁期間390は、カム位相可変機構33aによって前後に変動可能であり、先行気筒排気弁の開弁期間380および後続気筒排気弁の開弁期間360は、カム位相可変機構34aによって前後に変動可能である。従って、カム位相可変機構33a,34aを制御することにより、先行気筒でのオーバーラップを変動し得る。カム位相制御手段49は、高負荷になるほどバルブオーバーラップが大きくなるようにカム位相可変機構33a,34aを制御して、負荷に応じて最適な熱効率が得られるようにしている。後続気筒2B,2Cに対しても同様の制御がなされている。
【0121】
このようにして通常運転モードでは、負荷に応じて最適な吸排気時期に制御されるとともに、理論空燃比もしくはそれよりリッチとなるように吸入空気量及び燃料噴射量が制御されることにより、出力性能が確保される。
【0122】
次に、本発明の第2の実施形態について図14に基いて説明する。第2の実施形態では、基本構造は第1の実施形態と同様であるが、カム切換制御手段190による第1コントロール弁176、第2コントロール弁177および油圧切換弁178の制御が異なっており、カム切換機構150,150a,150bを次のように制御する。
【0123】
特殊運転モードのうち、低負荷側領域(領域A1):
・第1作動油圧−OFF,第2作動油圧−OFF,油圧切換弁−OFF
・先行気筒排気弁32aを
第1カム152による停止状態(図5(a))
後続気筒吸気弁31a、既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bを
第2カム154(低負荷用カム)による作動状態(図4(b))
・先行気筒吸気弁31を
第1カム152(低負荷用カム)による作動状態(図6(a))。
【0124】
特殊運転モードのうち、高負荷側領域(領域A2):
・第1作動油圧−OFF,第2作動油圧−ON,油圧切換弁−ON
・先行気筒排気弁32a、後続気筒吸気弁31aを
第1カム152による停止状態(図5(a),図4(a))
・既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bを
第3カム156(高負荷用カム)による作動状態(図4(c))
・先行気筒吸気弁31を
第3カム156(高負荷用カム)による作動状態(図6(c))。
【0125】
通常運転モード(領域B):
・第1作動油圧−ON,第2作動油圧−OFF,油圧切換弁−ON
・先行気筒排気弁32a、後続気筒吸気弁31aを
第3カム156による作動状態(図5(b),図4(c))
・既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bを
第1カム152による停止状態(図4(a))
・先行気筒吸気弁31を
第2カム154(高負荷用カム)による作動状態(図6(b))。
【0126】
なお、既燃ガス導入弁31bに適用される第2カム154と第3カム156は同形状であり、カムの切換によって開弁期間は変動しない。
【0127】
図14(a)は特殊運転モードを行う運転状態のうち、低負荷側の領域(図8の領域A1)の場合である。上段には既燃ガス排出弁の開弁期間400および先行気筒吸気弁の開弁期間410(斜線で示す)を示す。これらは何れも低負荷用カムによる開弁期間である。それぞれの帯線の下に、高負荷用カムによる開弁期間(既燃ガス排出弁の開弁期間340、先行気筒吸気弁の開弁期間350)を参考として示す。下段には後続気筒排気弁の開弁期間360、後続気筒吸気弁の開弁期間420(斜線で示す)および既燃ガス導入弁の開弁期間370を示す。後続気筒吸気弁の開弁期間420は低負荷用カムによる開弁期間である。その帯線の下に、高負荷用カムによる開弁期間(後続気筒吸気弁の開弁期間430)を参考として示す。
【0128】
既燃ガス排出弁の開弁期間400は、BDC後約10°CAからTDC前約15°CA(トータル約155°CA)に設定されている。先行気筒吸気弁の開弁期間410は、TDC後約25°CAからBDC後約20°CA(トータル約175°CA)に設定されている。従って、既燃ガス排出弁の閉弁時期404から先行気筒吸気弁の開弁時期412までが40°CAというマイナスオーバーラップの大きな設定となっている。
【0129】
このようなオーバーラップの大きな設定により、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。即ち、後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行い得る運転領域をより低負荷側の領域まで拡大する等により、燃費改善効果が得られる。
【0130】
後続気筒吸気弁の開弁期間420は、TDC前約10°CAからTDC後約40°CA(トータル約50°CA)に設定されている。後続気筒吸気弁の開弁時期422は、既燃ガス排出弁の開弁時期402よりも早期に設定されており、気筒間ガス通路22の開通前となっている。このため、後続気筒2B,2Cに、既燃ガス以外の新気を別途導入することができ、後続気筒で燃焼に寄与する酸素量が、先行気筒の内部EGR量の増大によって不足することを防止している。この新気の導入により、必要な出力を得るための燃焼が行い易くなっている。
【0131】
先行気筒吸気弁の開弁期間410は、後述する高負荷側領域での開弁期間350に対し、先行気筒吸気弁の開弁時期412は遅く、かつ先行気筒吸気弁の閉弁時期414は早期になるように設定されている。このため、マイナスオーバーラップを大きくとりながらも吸気行程から圧縮行程に以降後(ピストンが下死点を過ぎて上昇中)も先行気筒吸気弁が開弁している期間が短く、有効圧縮比の低下を防止して圧縮自己着火性を確保している。
【0132】
図14(b)は特殊運転モードを行う運転状態のうち、高負荷側の領域(図8の領域A2)の場合である。上段には既燃ガス排出弁の開弁期間340および先行気筒吸気弁の開弁期間350(斜線で示す)を示す。これらは何れも高負荷用カムによる開弁期間に切換わった状態である。それぞれの帯線の下に、低負荷用カムによる開弁期間(既燃ガス排出弁の開弁期間400、先行気筒吸気弁の開弁期間410)を参考として示す。下段には後続気筒排気弁の開弁期間360および既燃ガス導入弁の開弁期間370を示す。後続気筒吸気弁は停止カムに切換えられており、作動しない。低負荷用カム、高負荷用カムによる開弁期間420、430(斜線で示す)を参考として示す。
【0133】
図14(b)の設定は、結果的に第1実施形態における図12(b)の設定と同等になっている。従って同様の作用効果が得られる。即ち内部EGR量を削減した分、新気の割合が増加するので、燃料噴射量を増加して必要な出力を得る事ができている。なお、第2実施形態の通常モードの設定は、図13と同様となっている。
【0134】
以上、各実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能である。例えば図12乃至図14に示すパターンは、各開弁期間や開弁時期を限定するものではなく、特許請求の範囲内でエンジンの要求特性に応じて適宜好適な値に設定して良い。また、その設定値の変動手段は、カム切換機構150等やカム位相可変機構33a等及びそれらの制御手段に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載の設定値が得られるものであれば他の機構、他の制御手段を用いても良い。第1実施形態のように開弁期間の切換えを行わない場合には、カム切換機構150等を設けなくても良い。
【0135】
また、気筒間ガス通路22を開通または遮断させる手段としては、既燃ガス排出弁32bや既燃ガス導入弁31bに限らず、例えば気筒管ガス通路中に別途弁機構を設け、それを独自に開閉制御するものとしても良い。
【0136】
特殊運転モードでの走行領域Aを、領域A1、A2といった2分割ではなく、それ以上に分割し、それぞれの領域に適した弁開閉時期を設定するようにしても良い。更に分割による段階的な設定ではなく、連続的に変化させるようにしても良い。通常運転モードでの走行領域Bを設けず、全域を走行領域Aとしても良い。
【0137】
本発明は4気筒エンジンに限定するものではなく、先行気筒と後続気筒とからなる1対の気筒対を、3対以上好適に組み合わせた6気筒以上のエンジンに適用しても良い。
【0138】
【発明の効果】
以上のように本発明の制御装置は、少なくとも低負荷低回転域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態にガス流通経路を構成するとともに、上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒では理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で強制点火により燃焼を行わせ、上記後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせるようにしつつ、エンジン負荷の増大に伴って上記先行気筒と上記後続気筒とに供給する合計燃料を増加させるように各気筒の燃焼を制御する燃焼制御手段を備え、上記燃焼制御手段が、上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域において上記後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせつつ、その領域では上記先行気筒の排気損失が大きくなる方向に上記気筒管ガス通路の開通期間を制御することを特徴とするので、リーン燃焼やポンピングロス低減等による燃費改善効果を得るとともに、後続気筒の筒内温度が上昇し難い低負荷側の領域であっても、燃費改善効果を目減りさせることなく熱効率の高い圧縮自己着火による燃焼を行い得るようにすることにより、またその領域を従来よりもより低負荷側の領域まで拡大することにより、全体として更に大きな燃費改善効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による装置を備えたエンジン全体の概略平面図である。
【図2】エンジン本体等の概略断面図である。
【図3】カム切換機構の部分斜視図である。
【図4】ロッカアームセットの断面図である。
【図5】ロッカアームセットの断面図である。
【図6】ロッカアームセットの断面図である。
【図7】制御系統のブロック図である。
【図8】運転領域を示す説明図である。
【図9】各気筒の排気行程、吸気行程、燃料噴射時期および点火時期等を示す図である。
【図10】低負荷低回転時の実質的な新気およびガスの流通経路を示す説明図である。
【図11】高負荷、高低回転側の運転領域にある時の実質的な新気およびガスの流通経路を示す説明図である。
【図12】第1実施形態の特殊運転モードにおける吸排気弁の開閉時期を示す説明図であり、(a)は、そのうち低負荷側の場合、(b)は、高負荷側の場合を示す。
【図13】通常運転モードにおける吸排気弁の開閉時期を示す説明図である。
【図14】第2実施形態の特殊運転モードにおける吸排気弁の開閉時期を示す説明図であり、(a)は、そのうち低負荷側の場合、(b)は、高負荷側の場合を示す。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2A,2D 1番,4番気筒(先行気筒)
2B,2C 2番,3番気筒(後続気筒)
9 燃料噴射弁
11 吸気ポート
11,11a,11b 吸気ポート
12,12a,12b 排気ポート
15 吸気通路
20 排気通路
22 気筒間ガス通路
31 先行気筒吸気弁
31a 後続気筒吸気弁
31b 既燃ガス導入弁
32 後続気筒排気弁
32a 先行気筒排気弁
32b 既燃ガス排出弁
33a,34a カム位相可変機構
40 ECU
42 弁停止機構制御手段
44 燃焼制御手段
49 カム位相制御手段
150,150a,150b カム切換機構
160,160a,160b ロッカアームセット
190 カム切換制御手段

Claims (9)

  1. 各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンにおいて、
    少なくとも低負荷低回転域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態にガス流通経路を構成するとともに、
    上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒では理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で強制点火により燃焼を行わせ、上記後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して燃焼を行わせるようにしつつ、エンジン負荷の増大に伴って上記先行気筒と上記後続気筒とに供給する合計燃料を増加させるように各気筒の燃焼を制御する燃焼制御手段を備え、
    上記燃焼制御手段が、上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域において上記後続気筒で圧縮自己着火による燃焼を行わせつつ、その領域では上記先行気筒の排気損失が大きくなる方向に上記気筒管ガス通路の開通期間を制御する
    ことを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
  2. 上記先行気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの排気行程で既燃ガスを上記気筒間ガス通路に排出する既燃ガス排出弁と、上記後続気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で上記気筒間ガス通路から既燃ガスを導入する既燃ガス導入弁との一方または両方を備え、
    上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域で、上記既燃ガス排出弁または上記既燃ガス導入弁の少なくとも一方の閉弁時期が、上記先行気筒の排気行程上死点よりも早期になるように設定されている
    ことを特徴とする請求項1記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  3. 上記既燃ガス排出弁を備え、上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域で、上記既燃ガス排出弁の閉弁時期が、上記先行気筒の排気行程上死点よりも早期になるように設定されている
    ことを特徴とする請求項2記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  4. 上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域では、上記既燃ガス排出弁の閉弁時期が、より高負荷側領域にあるときよりも早期になるように設定されている
    ことを特徴とする請求項3記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  5. 上記先行気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの排気行程で既燃ガスを上記気筒間ガス通路に排出する、少なくとも大・小の開弁角を有する既燃ガス排出弁を備え、
    その既燃ガス排出弁の開弁角を、上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域では小なる方に、より高負荷側の領域では大なる方に切換える
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  6. 上記先行気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で新気を導入する先行気筒吸気弁を備え、
    上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域で、上記先行気筒吸気弁の開弁時期が、上記先行気筒の吸気行程上死点よりも遅れ側に設定されている
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  7. 上記先行気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で新気を導入する、少なくとも大・小の開弁角を有する先行気筒吸気弁を備え、
    その先行気筒吸気弁の開弁角を、上記2気筒接続状態にあるときの所定の低負荷側領域では小なる方に、より高負荷側の領域では大なる方に切換える
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  8. 上記先行気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの排気行程で既燃ガスを上記気筒間ガス通路に排出する既燃ガス排出弁を備え、
    上記所定の低負荷側領域では、より高負荷側の領域にあるときに対し、上記先行気筒吸気弁の閉弁時期が相対的に早期になるように設定され、且つ、上記先行気筒の排気行程上死点付近で上記既燃ガス排出弁と上記先行気筒吸気弁とが共に閉弁している期間が相対的に長くなるように設定されている
    ことを特徴とする請求項7記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  9. 上記後続気筒に設けられて上記2気筒接続状態にあるときの吸気行程で新気を導入する後続気筒吸気弁を備え、
    上記2気筒接続状態にあるときの上記先行気筒の内部EGR量が増大しているとき、上記後続気筒吸気弁が上記気筒管ガス通路の開通前に開弁するように設定されている
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
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