JP2004124374A - 複合床版のコンクリート充填方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】現場施工性に優れ、かつ、コンクリートの未充填部分を形成させることなく、鋼殻内部に確実に高流動コンクリートを充填する方法を提供する。
【解決手段】底鋼板3と、底鋼板3の上面に所要間隔で並列に配置した複数本の形鋼2と、形鋼2上に架け渡した上鋼板1と、端板としての仕切板5とで鋼殻bを構成する。コンクリート投入口6を設けたセルと排出口7を設けたセルを含めた複数のセルで1つの充填単位aを構成し、充填単位a内のセルどうしは形鋼2に設けた開口部8により連続させる。投入口6にコンクリートポンプ車からのホース9を接続し、ポンプの圧力によって充填単位a内へ高流動コンクリートを流し込む。排出口7からオーバーフローしたコンクリートはバケット等に排出するか、鋼殻bの別の充填単位へ流す。
【選択図】 図1
【解決手段】底鋼板3と、底鋼板3の上面に所要間隔で並列に配置した複数本の形鋼2と、形鋼2上に架け渡した上鋼板1と、端板としての仕切板5とで鋼殻bを構成する。コンクリート投入口6を設けたセルと排出口7を設けたセルを含めた複数のセルで1つの充填単位aを構成し、充填単位a内のセルどうしは形鋼2に設けた開口部8により連続させる。投入口6にコンクリートポンプ車からのホース9を接続し、ポンプの圧力によって充填単位a内へ高流動コンクリートを流し込む。排出口7からオーバーフローしたコンクリートはバケット等に排出するか、鋼殻bの別の充填単位へ流す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、道路橋等に用いられる複合床版を構成する鋼殻内へのコンクリートの充填方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、底鋼板および上鋼板とこれらの間に所要間隔で並列に配された形鋼とで形成された中空部を有する鋼殻内にコンクリートなどの充填材を充填してなる複合床版が開示されている。この複合床版は鉄筋コンクリート床版に比べ優れた強度と疲労耐久性を有する。
【0003】
このような複合床版の鋼殻内へのコンクリート充填方法には、大きく分けて工場打設と現場打設がある。
【0004】
工場打設については、運搬時の重量が大きくなること、桁上に架設する際に大型のクレーンが必要になることなど、輸送、施工上の課題がある。
【0005】
現場打設については、特許文献2に、形鋼によって仕切られた区画毎の連結鋼板にコンクリート投入口および排出口を設け、前記投入口に高流動コンクリートを加圧して送り込むことによって、鋼殻の中空部にコンクリートを充填する際、充填する区画の排出口と次に充填する区画の排出口とをホースで連結し、充填する区画の排出口に流すことを特徴とする複合床版のコンクリート充填方法が開示されている。
【0006】
特許文献2の方法は、鋼殻内部に未充填部を形成させずに確実にコンクリートを充填することができるとともに、コンクリートのオーバーフローに伴う捨てコンクリートの発生量を抑制することができるなどの利点を有している。
【0007】
【特許文献1】
特許第3191569号公報
【特許文献2】
特開平11−247442号公報
【特許文献3】
特許第3181786号公報
【特許文献4】
特開2000−355010号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献2記載の方法は、鋼殻の一区画(セル)の高流動コンクリートを充填する度に、コンクリート投入口のホースおよび排出口どうしを接続するホースを盛替える必要がある。
【0009】
このため、道路幅員が比較的小さく、床版パネル(鋼殻)が短い場合や、床版パネルが道路幅員方向に分割されている場合には、ホースの盛替え頻度が高くなり、施工能率が低下するという課題がある。
【0010】
本願発明は、上記課題の解決を図ったものであり、現場施工性に優れ、かつ、コンクリートの未充填部分を形成させることなく、鋼殻内部に確実に高流動コンクリートを充填する方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る発明は、上下に位置する上鋼板と底鋼板と、前記上鋼板と底鋼板間に所要間隔をおいて並列に配置された複数本の形鋼と、前記形鋼と交差する仕切板とを有する中空の鋼殻内に高流動コンクリートを充填する複合床版のコンクリート充填方法であって、前記形鋼または仕切板によって仕切られた隣接する複数のセルを1つの充填単位として、該充填単位の範囲内にコンクリート投入口と1以上の排出口とを設けておくとともに、該充填単位内のセルどうしを接続する開口部を前記形鋼または仕切板に設けておき、1つの充填単位に含まれる複数のセルに対し、1つのコンクリート投入口より高流動コンクリートを充填することを特徴とするものである。
【0012】
請求項1に係る発明では、複数のセルを連続させて充填単位を形成し、充填単位に対して1つのコンクリート投入口より高流動コンクリートを充填するので、一度に充填を行うことができ(ただし、必ずしも充填作業が連続しなければならないということではない)、投入口および排出口のホースの盛替え作業が軽減され、充填作業に要する工期を短縮することができる。
【0013】
なお、仕切板としては、通常、形鋼の両端位置に端板の形で架設単位としての単位鋼殻の外周部に設けられたものがあるが、補剛等の目的で単位鋼殻の内部を仕切る形で配されるものなども含む。
【0014】
請求項2は請求項1に係る複合床版のコンクリート充填方法において、前記1つの充填単位が2以上の鋼殻のセル間にわたって形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
ここでいう2以上の鋼殻とは、架設単位としての単位鋼殻が2以上であることを意味し、例えば橋梁の場合において、橋軸方向だけでなく、幅員方向に2つの鋼殻が架設される場合もあり、これらの鋼殻のセル間にわたって充填単位を形成することもできる。
【0016】
鋼殻の端板としての仕切板どうしが接する場合には、鋼殻どうしが接する部分のそれぞれの仕切板(端板)に開口部を設けることで、1つの充填単位が単一の鋼殻内の複数のセルによってを構成される場合と同様に考えることができる。
【0017】
本願の請求項3に係る発明は、上下に位置する上鋼板と底鋼板と、前記上鋼板と底鋼板間に所要間隔をおいて並列に配置された複数本の形鋼と、前記形鋼と交差する仕切板とを有する中空の鋼殻内に高流動コンクリートを充填する複合床版のコンクリート充填方法であって、2以上の鋼殻にわたる複数のセルを1つの充填単位として、該充填単位の範囲内にコンクリート投入口と1以上の排出口とを設けておくとともに、該充填単位内のセルどうしを接続するそれぞれのセルの開口部と該開口部間に介在する流動経路を設けておき、1つの充填単位に含まれる複数のセルに対し、1つのコンクリート投入口より高流動コンクリートを充填することを特徴とするものである。
【0018】
請求項2が主として2つの鋼殻の仕切板(端板)に設けた開口部どうしが直接連続するような場合を想定しているのに対し、請求項3は主として仕切板(端板)には開口部を設けず、鋼殻の端部が架設される主桁位置などについて、隣接する鋼殻の底鋼板などに設けた開口部どうしをつなぐ流動経路を形成させて、2以上の鋼殻にわたる複数のセルを1つの充填単位とする場合を想定している。
【0019】
請求項4は、請求項1、2または3に係る複合床版のコンクリート充填方法において、前記投入口および前記排出口を1箇所ずつ設け、1つの充填単位における前記高流動コンクリートの流動経路が分岐せずに一筆書きになるように、前記開口部を配置したことを特徴とするものである。
【0020】
このように、コンクリートの流動経路を一筆書きになるように規制することで、流動抵抗を増大させコンクリートの閉塞原因となる流れの分岐や合流が生じ難くなり、充填作業の確実さが増す。
【0021】
また、コンクリートの流動経路を規制しない場合には、鋼殻内に投入された高流動コンクリートは、一旦、水平に広がった後、コンクリート面が徐々に上昇して上鋼板の下面に到達するが、その際、上鋼板の下面とコンクリート面との間の空気が逃げにくく、充填不良の原因となりやすい。
【0022】
これに対して、請求項4のように流動経路を管路状に規制すると、コンクリートは充填単位内の各セルを、順次、充填しながら水平方向へ移動して行くので、上鋼板とコンクリートの間への空気き巻き込みが抑えられ、充填不良が生じ難いという利点もある。
【0023】
一筆書きの形態としては、開口部による断面欠損部分の分散等を考慮した場合、つづら折りの形態が望ましいが、その他細長いのの字状または渦巻き状の形態なども考えられる。
【0024】
請求項5は、請求項4に係る複合床版のコンクリート充填方法において、前記開口部の断面積を、前記高流動コンクリートの流動経路としてのセルの断面積とほぼ等しくしたことを特徴とするものである。
【0025】
請求項5の場合、高流動コンクリートの流動経路は一筆書き状で、かつ断面積がほぼ一定に保たれるため、コンクリートの流れが阻害されることなく、充填作業がスムーズになる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は、本願の請求項1に係るコンクリートの充填方法の一実施形態を示したものである。
【0027】
図1の実施形態における鋼殻bは、底鋼板3と、底鋼板3の上面に所要間隔で並列に配置した複数本の形鋼2と、形鋼2上に架け渡された上鋼板1と、鋼殻bの端面に設置した端板としての仕切板5とで構成され、図1の例では形鋼2の両端以外には形鋼2と交差する仕切板がなく、形鋼2によって鋼殻bが複数のセルに分割されている。
【0028】
図1では、コンクリート投入口6を設けたセルと2つの排出口7を設けたセルを含めて3つのセルで1つの充填単位aを形成しており、充填単位a内のセルは形鋼2に設けた開口部8により連続している。
【0029】
投入口6にはコンクリートポンプ車からのホース9を接続し、ポンプの圧力によって充填単位a内へ高流動コンクリートを流し込む。
【0030】
さらに、鋼殻b内に隙間なくコンクリートを充填するために、排出口7からある程度コンクリートを溢れ出させる。排出口7から溢れ出たコンクリートはバケット等に排出するか、鋼殻bの別の充填単位へ流す。
【0031】
図2は、本願の請求項2に係るコンクリートの充填方法の一実施形態として、コンクリート投入口6を設けたセルとその隣接セルを合わせた4つのセルで充填単位aを構成した例であり、輸送や施工条件の制約によって鋼殻bが道路幅員方向に2分割されている場合である。
【0032】
すなわち、図1の例では鋼殻bは形鋼2によって3つのセルに分割されているのに対し、この図2の例では鋼殻bは形鋼2と道路幅員方向に並列する2つの鋼殻の仕切板(端板)5とで4つのセルに分割されている。
【0033】
この場合でも、形鋼2および仕切板5に開口部8を設けることで、図1の例と同様、充填単位aに設けた一箇所の投入口6から複数のセルへコンクリートを充填することができる。なお、投入口6や排出口7の設置位置は鋼殻bの上面に限らず、下面や側面でもよい。
【0034】
図3は、本願の請求項3に係る充填方法の一実施形態を示したものである。図3の実施形態では、道路橋等の主桁10上で床版パネルとしての単位鋼殻bが幅員方向に連結され、主桁10上の底鋼板3に開口部8が設けられている。
【0035】
隣接する鋼殻bの下面(底鋼板3)と主桁10の上フランジとの間には、これらをつなぐハンチ鋼板4が取り付けられており、ハンチ鋼板4と主桁10の上面とで鋼殻bの底面を塞いでいる(図3(a) 参照)。
【0036】
さらに、主桁10と鋼殻bとの間には、充填単位aの幅に応じた間隔で、充填単位どうしを仕切るせき板11が取り付けられている(図3(b) 参照)。
【0037】
このような構成の鋼殻bを用いて、図1、図2の場合と同様に、一箇所のコンクリート投入口6から複数のセルへ一度に高流動コンクリートを充填する。
【0038】
なお、コンクリートの流動距離は、高流動コンクリートの材料分離に対する抵抗性を考慮して定めるが、一般には20m程度以下とするのがよい。
【0039】
以上の図1〜図3に示した実施形態では、充填単位a内の複数のセルへ一箇所からコンクリートを充填するので、特許文献2記載の方法のように1セルずつ配管を盛替えながらコンクリートを充填する場合に比べ、施工性が大幅に向上し、工期も短縮される。
【0040】
図4は、本願の請求項4に係る充填方法の一実施形態を示したもので、投入口6を設けたセルと排出口7を設けたセルを含めて3つのセルで充填単位aを構成しており、セルどうしを仕切る形鋼2には開口部8が設けられている。
【0041】
投入口6を設けた第1番目のセルと、これに隣接する第2番目のセルを仕切る形鋼2の開口部8はセル長手方向に関して、投入口6の反対側に設けられており、第2番目のセルと排出口7を設けた第3番目のセルとを仕切る形鋼2の開口部8は、セル長手方向に関して投入口6側に設けられている。
【0042】
投入口6、排出口7、形鋼2の開口部8をこのように配置した上で、ポンプの圧力によって投入口6から高流動コンクリートを鋼殻b内へ流し込むことで、コンクリートの流動経路は、セル長手方向につづら折りをなし、かつ、一筆書き状に規制される。
【0043】
このような充填方法を採用することで、コンクリートの流れに分岐や合流を生じさせることなく充填できるので、充填作業の確実さが増す。さらに、上鋼板1とコンクリートの間への空気の巻き込みが抑えられ、充填不良が生じ難いという利点もある。
【0044】
図5は、本願の請求項5に係る充填方法の一実施形態を示したものであり、請求項4に係る充填方法の実施形態(図4参照)のうち、形鋼2に設ける開口部8の断面積を、セルの長手方向と直角な面における断面積とほぼ等しくしたものである。
【0045】
【発明の効果】
本願発明によれば、以下のような効果が得られる。
(1) 複合床版の鋼殻内へ高流動コンクリートを充填する際に、投入口および排出口のホースの盛替え作業が軽減され、工期短縮が図れる。
(2) 充填作業中のコンクリートの閉塞が防止でき、また、コンクリート上面の空気の巻き込みを抑制できるので、未充填部分が形成されることなく、品質の高い床版を施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の請求項1に係る発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本願の請求項2に係る発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】本願の請求項3に係る発明の一実施形態を示したもので、(a) は橋軸方向に直角な断面図、(b) はそのA−A断面図(橋軸方向の断面図)である。
【図4】本願の請求項4に係る発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図5】本願の請求項5に係る発明の一実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…上鋼板、2…形鋼、3…底鋼板、4…ハンチ鋼板、5…仕切板(端板)、6…投入口、7…排出口、8…開口部、9…ホース、10…主桁、11…せき板、a…充填単位、b…鋼殻(単位鋼殻)、c…コンクリート
【発明の属する技術分野】
本願発明は、道路橋等に用いられる複合床版を構成する鋼殻内へのコンクリートの充填方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、底鋼板および上鋼板とこれらの間に所要間隔で並列に配された形鋼とで形成された中空部を有する鋼殻内にコンクリートなどの充填材を充填してなる複合床版が開示されている。この複合床版は鉄筋コンクリート床版に比べ優れた強度と疲労耐久性を有する。
【0003】
このような複合床版の鋼殻内へのコンクリート充填方法には、大きく分けて工場打設と現場打設がある。
【0004】
工場打設については、運搬時の重量が大きくなること、桁上に架設する際に大型のクレーンが必要になることなど、輸送、施工上の課題がある。
【0005】
現場打設については、特許文献2に、形鋼によって仕切られた区画毎の連結鋼板にコンクリート投入口および排出口を設け、前記投入口に高流動コンクリートを加圧して送り込むことによって、鋼殻の中空部にコンクリートを充填する際、充填する区画の排出口と次に充填する区画の排出口とをホースで連結し、充填する区画の排出口に流すことを特徴とする複合床版のコンクリート充填方法が開示されている。
【0006】
特許文献2の方法は、鋼殻内部に未充填部を形成させずに確実にコンクリートを充填することができるとともに、コンクリートのオーバーフローに伴う捨てコンクリートの発生量を抑制することができるなどの利点を有している。
【0007】
【特許文献1】
特許第3191569号公報
【特許文献2】
特開平11−247442号公報
【特許文献3】
特許第3181786号公報
【特許文献4】
特開2000−355010号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献2記載の方法は、鋼殻の一区画(セル)の高流動コンクリートを充填する度に、コンクリート投入口のホースおよび排出口どうしを接続するホースを盛替える必要がある。
【0009】
このため、道路幅員が比較的小さく、床版パネル(鋼殻)が短い場合や、床版パネルが道路幅員方向に分割されている場合には、ホースの盛替え頻度が高くなり、施工能率が低下するという課題がある。
【0010】
本願発明は、上記課題の解決を図ったものであり、現場施工性に優れ、かつ、コンクリートの未充填部分を形成させることなく、鋼殻内部に確実に高流動コンクリートを充填する方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る発明は、上下に位置する上鋼板と底鋼板と、前記上鋼板と底鋼板間に所要間隔をおいて並列に配置された複数本の形鋼と、前記形鋼と交差する仕切板とを有する中空の鋼殻内に高流動コンクリートを充填する複合床版のコンクリート充填方法であって、前記形鋼または仕切板によって仕切られた隣接する複数のセルを1つの充填単位として、該充填単位の範囲内にコンクリート投入口と1以上の排出口とを設けておくとともに、該充填単位内のセルどうしを接続する開口部を前記形鋼または仕切板に設けておき、1つの充填単位に含まれる複数のセルに対し、1つのコンクリート投入口より高流動コンクリートを充填することを特徴とするものである。
【0012】
請求項1に係る発明では、複数のセルを連続させて充填単位を形成し、充填単位に対して1つのコンクリート投入口より高流動コンクリートを充填するので、一度に充填を行うことができ(ただし、必ずしも充填作業が連続しなければならないということではない)、投入口および排出口のホースの盛替え作業が軽減され、充填作業に要する工期を短縮することができる。
【0013】
なお、仕切板としては、通常、形鋼の両端位置に端板の形で架設単位としての単位鋼殻の外周部に設けられたものがあるが、補剛等の目的で単位鋼殻の内部を仕切る形で配されるものなども含む。
【0014】
請求項2は請求項1に係る複合床版のコンクリート充填方法において、前記1つの充填単位が2以上の鋼殻のセル間にわたって形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
ここでいう2以上の鋼殻とは、架設単位としての単位鋼殻が2以上であることを意味し、例えば橋梁の場合において、橋軸方向だけでなく、幅員方向に2つの鋼殻が架設される場合もあり、これらの鋼殻のセル間にわたって充填単位を形成することもできる。
【0016】
鋼殻の端板としての仕切板どうしが接する場合には、鋼殻どうしが接する部分のそれぞれの仕切板(端板)に開口部を設けることで、1つの充填単位が単一の鋼殻内の複数のセルによってを構成される場合と同様に考えることができる。
【0017】
本願の請求項3に係る発明は、上下に位置する上鋼板と底鋼板と、前記上鋼板と底鋼板間に所要間隔をおいて並列に配置された複数本の形鋼と、前記形鋼と交差する仕切板とを有する中空の鋼殻内に高流動コンクリートを充填する複合床版のコンクリート充填方法であって、2以上の鋼殻にわたる複数のセルを1つの充填単位として、該充填単位の範囲内にコンクリート投入口と1以上の排出口とを設けておくとともに、該充填単位内のセルどうしを接続するそれぞれのセルの開口部と該開口部間に介在する流動経路を設けておき、1つの充填単位に含まれる複数のセルに対し、1つのコンクリート投入口より高流動コンクリートを充填することを特徴とするものである。
【0018】
請求項2が主として2つの鋼殻の仕切板(端板)に設けた開口部どうしが直接連続するような場合を想定しているのに対し、請求項3は主として仕切板(端板)には開口部を設けず、鋼殻の端部が架設される主桁位置などについて、隣接する鋼殻の底鋼板などに設けた開口部どうしをつなぐ流動経路を形成させて、2以上の鋼殻にわたる複数のセルを1つの充填単位とする場合を想定している。
【0019】
請求項4は、請求項1、2または3に係る複合床版のコンクリート充填方法において、前記投入口および前記排出口を1箇所ずつ設け、1つの充填単位における前記高流動コンクリートの流動経路が分岐せずに一筆書きになるように、前記開口部を配置したことを特徴とするものである。
【0020】
このように、コンクリートの流動経路を一筆書きになるように規制することで、流動抵抗を増大させコンクリートの閉塞原因となる流れの分岐や合流が生じ難くなり、充填作業の確実さが増す。
【0021】
また、コンクリートの流動経路を規制しない場合には、鋼殻内に投入された高流動コンクリートは、一旦、水平に広がった後、コンクリート面が徐々に上昇して上鋼板の下面に到達するが、その際、上鋼板の下面とコンクリート面との間の空気が逃げにくく、充填不良の原因となりやすい。
【0022】
これに対して、請求項4のように流動経路を管路状に規制すると、コンクリートは充填単位内の各セルを、順次、充填しながら水平方向へ移動して行くので、上鋼板とコンクリートの間への空気き巻き込みが抑えられ、充填不良が生じ難いという利点もある。
【0023】
一筆書きの形態としては、開口部による断面欠損部分の分散等を考慮した場合、つづら折りの形態が望ましいが、その他細長いのの字状または渦巻き状の形態なども考えられる。
【0024】
請求項5は、請求項4に係る複合床版のコンクリート充填方法において、前記開口部の断面積を、前記高流動コンクリートの流動経路としてのセルの断面積とほぼ等しくしたことを特徴とするものである。
【0025】
請求項5の場合、高流動コンクリートの流動経路は一筆書き状で、かつ断面積がほぼ一定に保たれるため、コンクリートの流れが阻害されることなく、充填作業がスムーズになる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は、本願の請求項1に係るコンクリートの充填方法の一実施形態を示したものである。
【0027】
図1の実施形態における鋼殻bは、底鋼板3と、底鋼板3の上面に所要間隔で並列に配置した複数本の形鋼2と、形鋼2上に架け渡された上鋼板1と、鋼殻bの端面に設置した端板としての仕切板5とで構成され、図1の例では形鋼2の両端以外には形鋼2と交差する仕切板がなく、形鋼2によって鋼殻bが複数のセルに分割されている。
【0028】
図1では、コンクリート投入口6を設けたセルと2つの排出口7を設けたセルを含めて3つのセルで1つの充填単位aを形成しており、充填単位a内のセルは形鋼2に設けた開口部8により連続している。
【0029】
投入口6にはコンクリートポンプ車からのホース9を接続し、ポンプの圧力によって充填単位a内へ高流動コンクリートを流し込む。
【0030】
さらに、鋼殻b内に隙間なくコンクリートを充填するために、排出口7からある程度コンクリートを溢れ出させる。排出口7から溢れ出たコンクリートはバケット等に排出するか、鋼殻bの別の充填単位へ流す。
【0031】
図2は、本願の請求項2に係るコンクリートの充填方法の一実施形態として、コンクリート投入口6を設けたセルとその隣接セルを合わせた4つのセルで充填単位aを構成した例であり、輸送や施工条件の制約によって鋼殻bが道路幅員方向に2分割されている場合である。
【0032】
すなわち、図1の例では鋼殻bは形鋼2によって3つのセルに分割されているのに対し、この図2の例では鋼殻bは形鋼2と道路幅員方向に並列する2つの鋼殻の仕切板(端板)5とで4つのセルに分割されている。
【0033】
この場合でも、形鋼2および仕切板5に開口部8を設けることで、図1の例と同様、充填単位aに設けた一箇所の投入口6から複数のセルへコンクリートを充填することができる。なお、投入口6や排出口7の設置位置は鋼殻bの上面に限らず、下面や側面でもよい。
【0034】
図3は、本願の請求項3に係る充填方法の一実施形態を示したものである。図3の実施形態では、道路橋等の主桁10上で床版パネルとしての単位鋼殻bが幅員方向に連結され、主桁10上の底鋼板3に開口部8が設けられている。
【0035】
隣接する鋼殻bの下面(底鋼板3)と主桁10の上フランジとの間には、これらをつなぐハンチ鋼板4が取り付けられており、ハンチ鋼板4と主桁10の上面とで鋼殻bの底面を塞いでいる(図3(a) 参照)。
【0036】
さらに、主桁10と鋼殻bとの間には、充填単位aの幅に応じた間隔で、充填単位どうしを仕切るせき板11が取り付けられている(図3(b) 参照)。
【0037】
このような構成の鋼殻bを用いて、図1、図2の場合と同様に、一箇所のコンクリート投入口6から複数のセルへ一度に高流動コンクリートを充填する。
【0038】
なお、コンクリートの流動距離は、高流動コンクリートの材料分離に対する抵抗性を考慮して定めるが、一般には20m程度以下とするのがよい。
【0039】
以上の図1〜図3に示した実施形態では、充填単位a内の複数のセルへ一箇所からコンクリートを充填するので、特許文献2記載の方法のように1セルずつ配管を盛替えながらコンクリートを充填する場合に比べ、施工性が大幅に向上し、工期も短縮される。
【0040】
図4は、本願の請求項4に係る充填方法の一実施形態を示したもので、投入口6を設けたセルと排出口7を設けたセルを含めて3つのセルで充填単位aを構成しており、セルどうしを仕切る形鋼2には開口部8が設けられている。
【0041】
投入口6を設けた第1番目のセルと、これに隣接する第2番目のセルを仕切る形鋼2の開口部8はセル長手方向に関して、投入口6の反対側に設けられており、第2番目のセルと排出口7を設けた第3番目のセルとを仕切る形鋼2の開口部8は、セル長手方向に関して投入口6側に設けられている。
【0042】
投入口6、排出口7、形鋼2の開口部8をこのように配置した上で、ポンプの圧力によって投入口6から高流動コンクリートを鋼殻b内へ流し込むことで、コンクリートの流動経路は、セル長手方向につづら折りをなし、かつ、一筆書き状に規制される。
【0043】
このような充填方法を採用することで、コンクリートの流れに分岐や合流を生じさせることなく充填できるので、充填作業の確実さが増す。さらに、上鋼板1とコンクリートの間への空気の巻き込みが抑えられ、充填不良が生じ難いという利点もある。
【0044】
図5は、本願の請求項5に係る充填方法の一実施形態を示したものであり、請求項4に係る充填方法の実施形態(図4参照)のうち、形鋼2に設ける開口部8の断面積を、セルの長手方向と直角な面における断面積とほぼ等しくしたものである。
【0045】
【発明の効果】
本願発明によれば、以下のような効果が得られる。
(1) 複合床版の鋼殻内へ高流動コンクリートを充填する際に、投入口および排出口のホースの盛替え作業が軽減され、工期短縮が図れる。
(2) 充填作業中のコンクリートの閉塞が防止でき、また、コンクリート上面の空気の巻き込みを抑制できるので、未充填部分が形成されることなく、品質の高い床版を施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の請求項1に係る発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本願の請求項2に係る発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】本願の請求項3に係る発明の一実施形態を示したもので、(a) は橋軸方向に直角な断面図、(b) はそのA−A断面図(橋軸方向の断面図)である。
【図4】本願の請求項4に係る発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図5】本願の請求項5に係る発明の一実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…上鋼板、2…形鋼、3…底鋼板、4…ハンチ鋼板、5…仕切板(端板)、6…投入口、7…排出口、8…開口部、9…ホース、10…主桁、11…せき板、a…充填単位、b…鋼殻(単位鋼殻)、c…コンクリート
Claims (5)
- 上下に位置する上鋼板と底鋼板と、前記上鋼板と底鋼板間に所要間隔をおいて並列に配置された複数本の形鋼と、前記形鋼と交差する仕切板とを有する中空の鋼殻内に高流動コンクリートを充填する複合床版のコンクリート充填方法であって、前記形鋼または仕切板によって仕切られた隣接する複数のセルを1つの充填単位として、該充填単位の範囲内にコンクリート投入口と1以上の排出口とを設けておくとともに、該充填単位内のセルどうしを接続する開口部を前記形鋼または仕切板に設けておき、1つの充填単位に含まれる複数のセルに対し、1つのコンクリート投入口より高流動コンクリートを充填することを特徴とする複合床版のコンクリート充填方法。
- 前記1つの充填単位が2以上の鋼殻のセル間にわたって形成されていることを特徴とする請求項1記載の複合床版のコンクリート充填方法。
- 上下に位置する上鋼板と底鋼板と、前記上鋼板と底鋼板間に所要間隔をおいて並列に配置された複数本の形鋼と、前記形鋼と交差する仕切板とを有する中空の鋼殻内に高流動コンクリートを充填する複合床版のコンクリート充填方法であって、2以上の鋼殻にわたる複数のセルを1つの充填単位として、該充填単位の範囲内にコンクリート投入口と1以上の排出口とを設けておくとともに、該充填単位内のセルどうしを接続するそれぞれのセルの開口部と該開口部間に介在する流動経路を設けておき、1つの充填単位に含まれる複数のセルに対し、1つのコンクリート投入口より高流動コンクリートを充填することを特徴とする複合床版のコンクリート充填方法。
- 前記投入口および前記排出口を1箇所ずつ設け、1つの充填単位における前記高流動コンクリートの流動経路が分岐せずに一筆書きになるように、前記開口部を配置したことを特徴とする請求項1、2または3記載の複合床版のコンクリート充填方法。
- 前記開口部の断面積を、前記高流動コンクリートの流動経路としてのセルの断面積とほぼ等しくしたことを特徴とする請求項4記載の複合床版のコンクリート充填方法。
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