JP2004124313A - 衣服とその製造方法 - Google Patents
衣服とその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004124313A JP2004124313A JP2002291368A JP2002291368A JP2004124313A JP 2004124313 A JP2004124313 A JP 2004124313A JP 2002291368 A JP2002291368 A JP 2002291368A JP 2002291368 A JP2002291368 A JP 2002291368A JP 2004124313 A JP2004124313 A JP 2004124313A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fabric
- folded
- adhesive sheet
- garment
- stitch
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Outerwear In General, And Traditional Japanese Garments (AREA)
- Outer Garments And Coats (AREA)
- Details Of Garments (AREA)
Abstract
【課題】簡単な構造で縫いしわの抑制・防止を図り、外観状態が良好な衣服を提供する。
【解決手段】互いに表面同士を合わせて縫い合わされた一対の生地パーツ23,24と、一対の生地パーツ23,24の一端部に連続し生地パーツ23の裏面側に折り返された折返片である生地端23aと、折り返された生地端23aと各生地パーツ23,24を適宜縫い付けるステッチ32とが設けられている。ステッチ32が形成された部分の両側であって、折り返された生地23の間に挟まれて互いに対面する面同士を接着した接着シート30が設けられている。接着シート30は熱可塑性樹脂であり、生地パーツ23に対して折り返された生地端の全面が接着シート30により熱溶着されている。
【選択図】 図1
【解決手段】互いに表面同士を合わせて縫い合わされた一対の生地パーツ23,24と、一対の生地パーツ23,24の一端部に連続し生地パーツ23の裏面側に折り返された折返片である生地端23aと、折り返された生地端23aと各生地パーツ23,24を適宜縫い付けるステッチ32とが設けられている。ステッチ32が形成された部分の両側であって、折り返された生地23の間に挟まれて互いに対面する面同士を接着した接着シート30が設けられている。接着シート30は熱可塑性樹脂であり、生地パーツ23に対して折り返された生地端の全面が接着シート30により熱溶着されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、縫い目に発生する縫いしわを抑制・防止した衣服とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2002−242014号公報
例えば、図10に示すように、防水性の生地で作られた防水衣料1の各パーツは、袖の切替部2や、前身頃に形成されたフラップ部3、前中心に設けられて着脱用のスライドファスナー4が取り付けられるファスナー部5等により縫い合わされている。
【0003】
切替部2は、図11に示すように、防水衣料1を構成する防水性の生地で作られたパーツ6,7を縫い合わせて形成されている。パーツ6は、その生地端6a付近を、生地端6aに対して平行に沿う折曲線8で二つ折りにされ、折曲線8にはパーツ7に縫い付ける地縫い9が設けられている。パーツ6の、折曲線8から少し内側には、パーツが折り返された縫い代である生地端6aとパーツ7に縫い付けるステッチ10が設けられている。パーツ6,7の裏面には、地縫い9とステッチ10を覆う目止めテープ11が接着されている。目止めテープ11は、熱可塑性の合成樹脂層が接着面に形成され、地縫い9とステッチ10からの水漏れを防ぐ機能を有している。パーツ6,7に対して、目止めテープ11が取り付けられた部分を、この防水衣料1の接着部12とする。
【0004】
また、図12は、防水衣料1等のフラップ部3を示す部分破断斜視図であり、パーツ13,14を、折返片15を介して縫い合わせている。パーツ13の生地端13aと、折返片15の生地端15aは、表面同士を合わせて地縫いされた後で開いて、裏面同士を合わせ地縫いの近傍にさらにステッチが設けられ、パーツ13,14と各縫い代を押さえている。折返片15の反対側の生地端15bは、パーツ14の生地端14aに合わせられ、パーツ13,パーツ14,折返片15を縫い付けるステッチ16が設けられている。パーツ13,14の裏面には、ステッチ16を覆う目止めテープ11が接着されている。
【0005】
図13は、防水衣料1等のファスナー部5を示す部分破段斜視図であり、パーツ17とスライドファスナー4のファスナーテープ4aを縫い合わせている。パーツ17は、パーツ17の生地端17a付近を、生地端17aに対して平行に沿う折曲線18で二つ折りにされ、折曲線18にはファスナーテープ4aを縫い付けた地縫い9が設けられている。パーツ17の、折曲線18から少し内側には、パーツ17の折り返された縫い代である生地端17aとファスナーテープ4aを縫い付けるステッチ19が設けられている。パーツ17とファスナーテープ4aの裏面には、ステッチ19を覆う目止めテープ11が接着されている。
【0006】
ここで、衣服には縫製時の縫い縮み、縫いずれ等が原因で、縫い目の周りに縫いしわが発生する。縫いしわは、薄くて剛性の低い生地を縫製する場合に特に発生しやすい。特に、防水衣料1の防水性生地は、薄くて剛性が低いのでしわになりやすく、切替部2のステッチ10や、フラップ部5のステッチ16、ファスナー部5のステッチ19の周囲にしわ20が発生し、外観上好ましいものではなかった。また、各ステッチ10,16,19の周囲には、裏面に目止めテープ11が接着された接着部12が形成され、この接着部12は生地に目止めテープ11が一体に貼り付けられているため、剛性が高くしわ20が発生しない。一方、生地が折り返された縫い代部分や折返片15は、目止めテープ11が表側の生地に接着していないため、この部分のしわ20が逆に目立ち、より外観上が好ましくない状態となっていた。
【0007】
従来、縫いしわ20の抑制・防止策として縫製時に、縫いしわ20が発生しないように、ミシン糸の変更や、ミシン調整などの縫製条件を整えたり、芯地を貼ったり、アイロン等でしわを伸ばす方法が等が行われていた。
【0008】
しかし、近年しわ20が発生しやすい生地、例えば薄くて柔らかい生地や防水性地が増えてきており、従来の技術によるしわの防止方法では手間がかかり、また十分な効果が得られないものであった。また、縫いしわに対する顧客の要求も厳しくなってきており、従来以上に効果のある方法が求められている。
【0009】
一方、しわを抑制・防止する方法としては、特許文献1に開示されている衣服が提案されている。これは、地縫いをすることなくステッチにより生地を縫着したもので、縫着された部分は、縫着される一もしくは複数の生地の生地端部分の少なくとも一部に、テープ材を接着して縫着されている。これにより、縫製工程において、生地が応力を受けた状態で縫着されることにより生じる生地の伸張と生地組織の動きを抑え、捻れしわを軽減するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の特許文献1に開示されている技術の場合、縫着部分の地縫いをすることなく、単に生地端にテープを貼った後、縫着部分を内側へ折り込んで、その上からステッチを順次行って縫着するため、上述の図12,図13に示すような構造の部位には使用できず、さらに、図11のような部位でも、生地端の湾曲がきついと、適用できないものである。また、地縫いをしていないため、縦縮みや縫いずれが起きやすい易いという恐れがある。さらに、テープは単に生地端に貼り付けただけであり、ステッチをする部分で縫い合わせられる生地同士を接着しているものではなく、このステッチ部分で上記従来の技術と同様に縫いしわが発生するものである。また、テープは片側の生地にしか付いていないので、後工程で、縦皺を伸ばすような効果は期待できない。
【0011】
この発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で縫いしわの抑制・防止を図り、外観状態が良好な衣服を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、互いに表面同士を合わせて縫い合わされた一対の生地と、上記一対の生地の一端部に連続し上記生地の裏面側に折り返された折返片とを有し、上記折返片が折り返された生地と他方の生地とが縫い付けられている衣服であって、上記折返片が折り返された生地と上記折返片との間に挟まれて、互いに対面する面同士を接着した接着シートが設けられている衣服である。
【0013】
上記接着シートは熱可塑性樹脂であり、上記生地に対して上記折返片の全面が上記接着シートにより熱溶着されているとより好ましい。また、上記折返片は、上記生地の一方に縫い付けた別部材の布片でも良い。さらに、上記一対の生地は、衣服を構成するパーツと、このパーツに縫い付けられるスライドファスナーのファスナーテープでも良い。上記折返片には、上記生地と上記折返片を縫い付ける1または複数本のステッチが設けられ、上記ステッチが形成された部分の両側に上記接着シートが位置している。上記接着シートは、例えばポリウレタン系、ポリアミド系、EVA系、ポリエステル系等の樹脂をベースにしたフィルム状接着材料である。そして加熱圧着により各種素材と接着する。
【0014】
またこの発明は、一対の生地の一方の生地端に熱可塑性樹脂製の接着シートを溶着または縫製等により仮接合し、上記一方の生地端近傍で折り返して折返片を形成し、この折返片と上記一方の生地の裏面との間に上記接着シートを挟んだ状態で、上記生地の表面を加熱押圧手段で押圧し、しわを伸ばしながら上記接着シートを上記生地の裏面及び上記折返片に溶着する衣服の製造方法である。
【0015】
この発明の衣服は、ステッチの両側に接着シートが取り付けられて生地の剛性を高め、且つ生地の一方と折返片が接着されしわの発生が抑えられる。これにより縫い目部分の外観をきれいに仕上げることができ、商品の品質を向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1,図2はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の衣服21は、図10に示す防水衣料1とほぼ同じ形であり、防水性の生地で作られている。図1,図2は、防水衣料1の切替部2とほぼ同じ位置の切替部22を示したものである。
【0017】
切替部22は、防水性の生地で作られたパーツ23,24を縫い合わせて作られている。パーツ23は、その生地端23a付近を、生地端23aに対して平行に沿う折曲線26で二つ折りにされ、折曲線26にはパーツ23とパーツ24を縫い付けた地縫い28が設けられている。
【0018】
パーツ23と、二つ折りされた折返片である生地端23aとの間には、熱可塑性合成樹脂製の接着シート30が取り付けられている。接着シート30は、例えばポリウレタン系の樹脂をベースにしたフィルム状の接着材料で、厚みは20μ〜300μの範囲で生地と使用用途に合わせて選ぶ。薄すぎると生地との接着が不充分ではがれてきたり、接着後の剛性が不充分で十分な効果が得られない。また、厚すぎると樹脂が縫い目の穴から表にはみ出てきたり、縫い目が硬くなりすぎて品質を落とすことになる。接着シート30はテープ状に形成され、折曲線26に沿って取りつけられている。接着シート30の幅は、折曲線26と生地端23aの間を覆いわずかに生地端23aから外側にはみ出す程度のものであり、例えば約1cmである。接着シート30は、パーツ23と折り返された生地端23a側の両方に熱溶着されている。パーツ23の接着シート30が熱溶着された部分を、接着部38とする。パーツ23の、折曲線26から少し内側には、パーツ23と接着シート30、パーツ23の折り返された生地端23a、パーツ24を縫い付けるステッチ32が設けられている。
【0019】
パーツ23,24の裏面には、地縫い28とステッチ32を覆って目止めテープ34が接着されている。目止めテープ34は、熱可塑性の合成樹脂層が接着面に形成され、パーツ23,24に目止めテープ34が取り付けられた部分を接着部36とする。
【0020】
次にこの衣服21の切替部22の作り方について、図1に基づいて説明する。パーツ23の生地端23aとパーツ24の生地端24aを、表面同士を合わせて地縫い28をする。地縫い28の位置は、例えば生地端23a,24aから6mm程度内側である。次にテープ状の接着シート30を、パーツ23の裏面で地縫い28の生地端23a側にセットし、接着シート30の一方の端縁30aが各パーツ23,24の生地端23a,24aから1〜2mmはみ出した状態でアイロン等により溶着し仮接合する。仮接合方法は、高周波ウェルダー溶着や超音波溶着、熱プレス溶着でも良い。また、仮縫い等の縫製でも良い。ここで、接着シート30は地縫い28の生地端23a側ではなく、少なくとも生地端23aから折曲線26までに対面するパーツ23の裏面側に仮接合してもよい。
【0021】
次に、パーツ23,24の表面側を開き、パーツ23を地縫い28から二つ折りして折曲線26に沿ってステッチ32を形成する。そして、パーツ23,24の裏側に、地縫い28とステッチ32を覆って目止めテープ34をアイロンで溶着する。さらにパーツ23,24の表側にアイロンまたは熱プレスをかけて、しわを伸ばした状態で接着シート30を再度加熱し溶着する。このとき、生地端23a,24aから僅かにはみ出した接着シート30は、目止めテープ34にも溶着され、生地端23aを確実に生地23に溶着する。
【0022】
この実施形態の衣服21の切替部22によれば、ステッチ32の裏面の周囲に接着シート30が取り付けられた接着部38は、生地端23aが生地の裏面に接着され剛性が高くなり、ステッチ32の糸によりパーツ23に応力がかかってもしわが発生せず、平坦な縫い目となり外観が良好である。さらに、この実施形態の切替部22の作り方によれば、ステッチ32をした後にアイロンや熱プレスでしわを伸ばした状態で接着部38を再度溶着するため、ステッチ32を形性する際にしわが発生してもアイロンや熱プレスで解消することができる。また、接着部38は目止めテープ34が取り付けられた接着部36との剛性の差がなくなり、接着部36,38ともにしわが発生せず、この点からも外観がきれいな縫い目を形成することができ、商品の品質が向上する。その他、衣服21は簡単な構造であるため、ステッチ32を形成するときの作業が簡単であり、コストがかからない。また薄い生地や防水生地等しわになりやすかった生地のしわを防ぐことができ、利用範囲が広がる。さらに、接着シート30は、地縫い28とステッチ32を目止めする効果もあり、耐水性が向上する。
【0023】
なお、この実施形態の切替部22は、図3に示すようにパーツ24,23の裏面に目止めテープが設けられなくても良い。この場合でも、ステッチ32の周囲は接着部38により剛性が高まり、しわの発生を防ぐ効果がある。
【0024】
次にこの発明の第二実施形態について図4、図5に基づいて説明する。この実施形態の衣服21は、図10に示す防水衣料1とほぼ同じ形であり、防水性の生地で作られている。図4,図5は、防水衣料1のフラップ部5とほぼ同じ位置のフラップ部40を示したものである。
【0025】
フラップ部40は、防水性の生地で作られたパーツ42,44を、折返片46を介して縫い合わせている。パーツ42の生地端42aと、折返片46の生地端46aは、一旦、表面同士を合わせて地縫い48をした後、表面を開いてステッチ50で押さえて縫い付けられている。折返片46の反対側の生地端46bは、パーツ44の生地端44aに合わせられ、パーツ44,折返片46,パーツ42を縫い付けるステッチ52が設けられている。
【0026】
パーツ42と折返片46の間には、熱可塑性の合成樹脂製の接着シート54が取り付けられている。接着シート54は、例えばポリウレタン系の樹脂をベースにしたフィルム状接着材料であり、厚みは例えば20μ〜300μであり、ステッチ52に沿って取りつけられている。接着シート54の幅は、ステッチ52と生地端46bの間の長さの2倍程度であり、ステッチ52と生地端46bの間を覆いわずかに生地端46bから外側に達している。接着シート54は、パーツ42と折返片46の両方に熱溶着されている。パーツ42の接着シート54が熱溶着された部分は、接着部56とする。パーツ42,44の裏面には、ステッチ52を覆って目止めテープ34が接着されている。パーツ42に目止めテープ34が取り付けられた部分は接着部55とする。
【0027】
次にこの衣服21のフラップ部40の作り方について図4に基づいて説明する。先ず、パーツ42と折返片46を地縫い48とステッチ50で縫い合わせる。次に、接着シート54を、折返片46の裏面でステッチ52をする所定位置にセットし、接着シート54の一方の生地端54aが折返片46の生地端46bよりわずかに、例えば1mm〜2mmはみ出した状態でアイロンで仮溶着する。ここで、接着シート54は、折返片46ではなくパーツ42に仮溶着してもよい。
【0028】
なお、パーツ42と折返片46は、接着シート54を仮溶着した後に縫い合わされてもよい。次にパーツ42,折返片46,パーツ44を重ね、ステッチ52を形成する。そしてパーツ42,44の裏側に、ステッチ52を覆って目止めテープ34をアイロンで溶着する。さらにパーツ42の表側にアイロンまたは熱プレスをかけ、しわを伸ばした状態で接着シート54を再度溶着する。
【0029】
この実施形態の衣服21のフラップ部40によれば、上記実施の形態と同様の効果を有し、ステッチ52の周囲に設けられた接着部56は生地の剛性が高くなり、しわが発生せず平坦な縫い目となり外観が良好である。さらに、目止めテープ34が取り付けられた接着部55との剛性の差がなくなり、接着部55,56ともにしわが発生せず外観がきれいで商品の品質が向上する。また、接着シート54は、ステッチ52を目止めする効果があり、耐水性も向上する。
【0030】
なお、この実施形態のフラップ部40は、図6に示すようにパーツ42,44の裏面に目止めテープ34が設けられなくても良い。この場合でも、ステッチ52の周囲は接着部56により剛性が高まり、しわの発生を防ぐ効果がある。
【0031】
次にこの発明の第三実施形態について図7,図8に基づいて説明する。この実施形態の衣服21は、図10に示す防水衣料1とほぼ同じ形であり、防水性の生地で作られている。図7,図8は、防水衣料1のファスナー部5とほぼ同じ位置のファスナー部58を示したものである。
【0032】
ファスナー部58は、防水性の生地で作られたパーツ60に、ファスナーテープ62を縫い合わせている。パーツ60は、パーツ60の生地端60a付近を、生地端60aに対して平行に沿う折曲線64で二つ折りにされ、折曲線64にはパーツ60とファスナーテープ62を縫い付けた地縫い66が設けられている。
【0033】
パーツ60と、二つ折りされた折返片である生地端60aとの間には、熱可塑性の合成樹脂製の接着シート68が取り付けられている。接着シート68は、例えばポリウレタン系の樹脂をベースにしたフィルム状接着材料であり、厚みは例えば20μ〜300μである。接着シート68はテープ状に形成され、折曲線64に沿って取りつけられている。接着シート68の幅は、折曲線64と生地端60aの間を覆いわずかに生地端60aから外側に達するものであり、例えば1cmである。接着シート68は、パーツ60と折り返された生地端60a側の両方に熱溶着されている。パーツ60の接着シート68が熱溶着された部分は、接着部76とする。パーツ60の、折曲線64から少し内側には、パーツ60と接着シート68、パーツ60の折り返された生地端60a、ファスナーテープ62を縫い付けるステッチ70が設けられている。
【0034】
パーツ60と、ファスナーテープ62の裏面には、地縫い66とステッチ70を覆って目止めテープ34が接着されている。目止めテープ34は熱可塑性の合成樹脂製であり、パーツ60に目止めテープ34が取り付けられた部分を接着部74とする。
【0035】
次にこの衣服21のファスナー部58の作り方について図7に基づいて説明する。パーツ60の生地端60aとファスナーテープ62の生地端62aを、表面同士を合わせて地縫い66をする。次にテープ状の接着シート68を、パーツ60の裏面で地縫い66の生地端60a側にセットし、接着シート68の一方の生地端68aがパーツ60、ファスナーテープ62の生地端60a,62aから1〜2mmはみ出した状態でアイロンで仮溶着する。ここで、接着シート68は地縫い66の生地端60a側ではなくパーツ60の裏面側に仮溶着してもよい。次に、パーツ60とファスナーテープ62の表面を開き、パーツ60を地縫い66から二つ折りしてステッチ70をする。そして、パーツ60とファスナーテープ62の裏側に、地縫い66とステッチ70を覆って目止めテープ34をアイロンで溶着する。さらにパーツ60とファスナーテープ62の表側にアイロンまたは熱プレスをかけ、しわを伸ばした状態で接着シート68を再度溶着する。
【0036】
この実施形態の衣服21のファスナー部58によれば、上記実施の形態と同様の効果を有し、ステッチ70の周囲に設けられた接着部76は生地の剛性が高くなり、しわが発生せず平坦な縫い目となり外観が良好である。目止めテープ34が取り付けられた接着部74と接着部76との剛性の差がなくなり、接着部76,74ともにしわが発生せず、この点からも外観がきれいで商品の品質が向上する。また、接着シート68は地縫い64とステッチ70を目止めする効果もあり、耐水性が向上する。
【0037】
なお、この実施形態のファスナー部58は、図9に示すようにパーツ60とファスナーテープ62の裏面に目止めテープが設けられなくても良い。この場合でも、ステッチ70の周囲は接着部76により剛性が高まり、しわの発生をふせぐ効果がある。
【0038】
なお、この発明の衣服は上記各実施形態に限定されるものではなく、接着シートの素材や厚さ、幅等は、取り付ける衣服の素材や形状に合わせて適宜変更可能である。また、衣服以外にテントや袋など、布を縫い合わせて作られるものに使用することができる。接着シートは、上記実施形態のステッチをする部分に限らず、生地を縫い付けて連結したいろいろな部分に取り付けて、しわの発生を防ぐものである。
【0039】
【発明の効果】
この発明の衣服とその製造方法は、ステッチなどの縫い目の周囲の生地を平坦できれいな衣服に形成することができるものである。特に、縫製時等に、生地が糸による応力を受けても、生地の裏側の接着シ−トにより生地同士が接着し、剛性が高められているため、しわにならず外観が良好である。さらに、縫製時にしわが発生した場合でも、縫製後にアイロンまたは熱プレスをかけてしわを伸ばした状態で接着シートを再度溶着するため、確実にしわをなくすことができる。また、生地の裏に別体の折返片が設けられているときも、折返片と生地の間に接着シートを取りつけ、生地の剛性を高めることができ、しかも防水性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第一実施形態の衣服の切替部の製造方法を示す部分破断斜視図である。
【図2】この実施形態の衣服の切替部を示す部分破断斜視図である。
【図3】この実施形態の衣服の切替部の変形例を示す部分破断斜視図である。
【図4】この発明の第二実施形態の衣服のフラップ部の製造方法を示す部分破断斜視図である。
【図5】この実施形態の衣服のフラップ部を示す部分破断斜視図である。
【図6】この実施形態の衣服のフラップ部の変形例を示す部分破断斜視図である。
【図7】この発明の第三実施形態の衣服のファスナー部の製造方法を示す部分破断斜視図である。
【図8】この実施形態の衣服のファスナー部を示す部分破断斜視図である。
【図9】この実施形態の衣服のファスナー部の変形例を示す部分破断斜視図である。
【図10】防水衣服の例を示す正面図である。
【図11】従来の技術の衣服の切替部を示す部分破断斜視図である。
【図12】従来の技術の衣服のフラップ部を示す部分破断斜視図である。
【図13】従来の技術の衣服のファスナー部を示す部分破断斜視図である。
【符号の説明】
21 衣服
22 切替部
23,24 パーツ
23a,24a 生地端
26 折曲線
28 地縫い
30 接着シート
32 ステッチ
34 目止めテープ
36,38 接着部
【発明の属する技術分野】
この発明は、縫い目に発生する縫いしわを抑制・防止した衣服とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2002−242014号公報
例えば、図10に示すように、防水性の生地で作られた防水衣料1の各パーツは、袖の切替部2や、前身頃に形成されたフラップ部3、前中心に設けられて着脱用のスライドファスナー4が取り付けられるファスナー部5等により縫い合わされている。
【0003】
切替部2は、図11に示すように、防水衣料1を構成する防水性の生地で作られたパーツ6,7を縫い合わせて形成されている。パーツ6は、その生地端6a付近を、生地端6aに対して平行に沿う折曲線8で二つ折りにされ、折曲線8にはパーツ7に縫い付ける地縫い9が設けられている。パーツ6の、折曲線8から少し内側には、パーツが折り返された縫い代である生地端6aとパーツ7に縫い付けるステッチ10が設けられている。パーツ6,7の裏面には、地縫い9とステッチ10を覆う目止めテープ11が接着されている。目止めテープ11は、熱可塑性の合成樹脂層が接着面に形成され、地縫い9とステッチ10からの水漏れを防ぐ機能を有している。パーツ6,7に対して、目止めテープ11が取り付けられた部分を、この防水衣料1の接着部12とする。
【0004】
また、図12は、防水衣料1等のフラップ部3を示す部分破断斜視図であり、パーツ13,14を、折返片15を介して縫い合わせている。パーツ13の生地端13aと、折返片15の生地端15aは、表面同士を合わせて地縫いされた後で開いて、裏面同士を合わせ地縫いの近傍にさらにステッチが設けられ、パーツ13,14と各縫い代を押さえている。折返片15の反対側の生地端15bは、パーツ14の生地端14aに合わせられ、パーツ13,パーツ14,折返片15を縫い付けるステッチ16が設けられている。パーツ13,14の裏面には、ステッチ16を覆う目止めテープ11が接着されている。
【0005】
図13は、防水衣料1等のファスナー部5を示す部分破段斜視図であり、パーツ17とスライドファスナー4のファスナーテープ4aを縫い合わせている。パーツ17は、パーツ17の生地端17a付近を、生地端17aに対して平行に沿う折曲線18で二つ折りにされ、折曲線18にはファスナーテープ4aを縫い付けた地縫い9が設けられている。パーツ17の、折曲線18から少し内側には、パーツ17の折り返された縫い代である生地端17aとファスナーテープ4aを縫い付けるステッチ19が設けられている。パーツ17とファスナーテープ4aの裏面には、ステッチ19を覆う目止めテープ11が接着されている。
【0006】
ここで、衣服には縫製時の縫い縮み、縫いずれ等が原因で、縫い目の周りに縫いしわが発生する。縫いしわは、薄くて剛性の低い生地を縫製する場合に特に発生しやすい。特に、防水衣料1の防水性生地は、薄くて剛性が低いのでしわになりやすく、切替部2のステッチ10や、フラップ部5のステッチ16、ファスナー部5のステッチ19の周囲にしわ20が発生し、外観上好ましいものではなかった。また、各ステッチ10,16,19の周囲には、裏面に目止めテープ11が接着された接着部12が形成され、この接着部12は生地に目止めテープ11が一体に貼り付けられているため、剛性が高くしわ20が発生しない。一方、生地が折り返された縫い代部分や折返片15は、目止めテープ11が表側の生地に接着していないため、この部分のしわ20が逆に目立ち、より外観上が好ましくない状態となっていた。
【0007】
従来、縫いしわ20の抑制・防止策として縫製時に、縫いしわ20が発生しないように、ミシン糸の変更や、ミシン調整などの縫製条件を整えたり、芯地を貼ったり、アイロン等でしわを伸ばす方法が等が行われていた。
【0008】
しかし、近年しわ20が発生しやすい生地、例えば薄くて柔らかい生地や防水性地が増えてきており、従来の技術によるしわの防止方法では手間がかかり、また十分な効果が得られないものであった。また、縫いしわに対する顧客の要求も厳しくなってきており、従来以上に効果のある方法が求められている。
【0009】
一方、しわを抑制・防止する方法としては、特許文献1に開示されている衣服が提案されている。これは、地縫いをすることなくステッチにより生地を縫着したもので、縫着された部分は、縫着される一もしくは複数の生地の生地端部分の少なくとも一部に、テープ材を接着して縫着されている。これにより、縫製工程において、生地が応力を受けた状態で縫着されることにより生じる生地の伸張と生地組織の動きを抑え、捻れしわを軽減するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の特許文献1に開示されている技術の場合、縫着部分の地縫いをすることなく、単に生地端にテープを貼った後、縫着部分を内側へ折り込んで、その上からステッチを順次行って縫着するため、上述の図12,図13に示すような構造の部位には使用できず、さらに、図11のような部位でも、生地端の湾曲がきついと、適用できないものである。また、地縫いをしていないため、縦縮みや縫いずれが起きやすい易いという恐れがある。さらに、テープは単に生地端に貼り付けただけであり、ステッチをする部分で縫い合わせられる生地同士を接着しているものではなく、このステッチ部分で上記従来の技術と同様に縫いしわが発生するものである。また、テープは片側の生地にしか付いていないので、後工程で、縦皺を伸ばすような効果は期待できない。
【0011】
この発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で縫いしわの抑制・防止を図り、外観状態が良好な衣服を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、互いに表面同士を合わせて縫い合わされた一対の生地と、上記一対の生地の一端部に連続し上記生地の裏面側に折り返された折返片とを有し、上記折返片が折り返された生地と他方の生地とが縫い付けられている衣服であって、上記折返片が折り返された生地と上記折返片との間に挟まれて、互いに対面する面同士を接着した接着シートが設けられている衣服である。
【0013】
上記接着シートは熱可塑性樹脂であり、上記生地に対して上記折返片の全面が上記接着シートにより熱溶着されているとより好ましい。また、上記折返片は、上記生地の一方に縫い付けた別部材の布片でも良い。さらに、上記一対の生地は、衣服を構成するパーツと、このパーツに縫い付けられるスライドファスナーのファスナーテープでも良い。上記折返片には、上記生地と上記折返片を縫い付ける1または複数本のステッチが設けられ、上記ステッチが形成された部分の両側に上記接着シートが位置している。上記接着シートは、例えばポリウレタン系、ポリアミド系、EVA系、ポリエステル系等の樹脂をベースにしたフィルム状接着材料である。そして加熱圧着により各種素材と接着する。
【0014】
またこの発明は、一対の生地の一方の生地端に熱可塑性樹脂製の接着シートを溶着または縫製等により仮接合し、上記一方の生地端近傍で折り返して折返片を形成し、この折返片と上記一方の生地の裏面との間に上記接着シートを挟んだ状態で、上記生地の表面を加熱押圧手段で押圧し、しわを伸ばしながら上記接着シートを上記生地の裏面及び上記折返片に溶着する衣服の製造方法である。
【0015】
この発明の衣服は、ステッチの両側に接着シートが取り付けられて生地の剛性を高め、且つ生地の一方と折返片が接着されしわの発生が抑えられる。これにより縫い目部分の外観をきれいに仕上げることができ、商品の品質を向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1,図2はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の衣服21は、図10に示す防水衣料1とほぼ同じ形であり、防水性の生地で作られている。図1,図2は、防水衣料1の切替部2とほぼ同じ位置の切替部22を示したものである。
【0017】
切替部22は、防水性の生地で作られたパーツ23,24を縫い合わせて作られている。パーツ23は、その生地端23a付近を、生地端23aに対して平行に沿う折曲線26で二つ折りにされ、折曲線26にはパーツ23とパーツ24を縫い付けた地縫い28が設けられている。
【0018】
パーツ23と、二つ折りされた折返片である生地端23aとの間には、熱可塑性合成樹脂製の接着シート30が取り付けられている。接着シート30は、例えばポリウレタン系の樹脂をベースにしたフィルム状の接着材料で、厚みは20μ〜300μの範囲で生地と使用用途に合わせて選ぶ。薄すぎると生地との接着が不充分ではがれてきたり、接着後の剛性が不充分で十分な効果が得られない。また、厚すぎると樹脂が縫い目の穴から表にはみ出てきたり、縫い目が硬くなりすぎて品質を落とすことになる。接着シート30はテープ状に形成され、折曲線26に沿って取りつけられている。接着シート30の幅は、折曲線26と生地端23aの間を覆いわずかに生地端23aから外側にはみ出す程度のものであり、例えば約1cmである。接着シート30は、パーツ23と折り返された生地端23a側の両方に熱溶着されている。パーツ23の接着シート30が熱溶着された部分を、接着部38とする。パーツ23の、折曲線26から少し内側には、パーツ23と接着シート30、パーツ23の折り返された生地端23a、パーツ24を縫い付けるステッチ32が設けられている。
【0019】
パーツ23,24の裏面には、地縫い28とステッチ32を覆って目止めテープ34が接着されている。目止めテープ34は、熱可塑性の合成樹脂層が接着面に形成され、パーツ23,24に目止めテープ34が取り付けられた部分を接着部36とする。
【0020】
次にこの衣服21の切替部22の作り方について、図1に基づいて説明する。パーツ23の生地端23aとパーツ24の生地端24aを、表面同士を合わせて地縫い28をする。地縫い28の位置は、例えば生地端23a,24aから6mm程度内側である。次にテープ状の接着シート30を、パーツ23の裏面で地縫い28の生地端23a側にセットし、接着シート30の一方の端縁30aが各パーツ23,24の生地端23a,24aから1〜2mmはみ出した状態でアイロン等により溶着し仮接合する。仮接合方法は、高周波ウェルダー溶着や超音波溶着、熱プレス溶着でも良い。また、仮縫い等の縫製でも良い。ここで、接着シート30は地縫い28の生地端23a側ではなく、少なくとも生地端23aから折曲線26までに対面するパーツ23の裏面側に仮接合してもよい。
【0021】
次に、パーツ23,24の表面側を開き、パーツ23を地縫い28から二つ折りして折曲線26に沿ってステッチ32を形成する。そして、パーツ23,24の裏側に、地縫い28とステッチ32を覆って目止めテープ34をアイロンで溶着する。さらにパーツ23,24の表側にアイロンまたは熱プレスをかけて、しわを伸ばした状態で接着シート30を再度加熱し溶着する。このとき、生地端23a,24aから僅かにはみ出した接着シート30は、目止めテープ34にも溶着され、生地端23aを確実に生地23に溶着する。
【0022】
この実施形態の衣服21の切替部22によれば、ステッチ32の裏面の周囲に接着シート30が取り付けられた接着部38は、生地端23aが生地の裏面に接着され剛性が高くなり、ステッチ32の糸によりパーツ23に応力がかかってもしわが発生せず、平坦な縫い目となり外観が良好である。さらに、この実施形態の切替部22の作り方によれば、ステッチ32をした後にアイロンや熱プレスでしわを伸ばした状態で接着部38を再度溶着するため、ステッチ32を形性する際にしわが発生してもアイロンや熱プレスで解消することができる。また、接着部38は目止めテープ34が取り付けられた接着部36との剛性の差がなくなり、接着部36,38ともにしわが発生せず、この点からも外観がきれいな縫い目を形成することができ、商品の品質が向上する。その他、衣服21は簡単な構造であるため、ステッチ32を形成するときの作業が簡単であり、コストがかからない。また薄い生地や防水生地等しわになりやすかった生地のしわを防ぐことができ、利用範囲が広がる。さらに、接着シート30は、地縫い28とステッチ32を目止めする効果もあり、耐水性が向上する。
【0023】
なお、この実施形態の切替部22は、図3に示すようにパーツ24,23の裏面に目止めテープが設けられなくても良い。この場合でも、ステッチ32の周囲は接着部38により剛性が高まり、しわの発生を防ぐ効果がある。
【0024】
次にこの発明の第二実施形態について図4、図5に基づいて説明する。この実施形態の衣服21は、図10に示す防水衣料1とほぼ同じ形であり、防水性の生地で作られている。図4,図5は、防水衣料1のフラップ部5とほぼ同じ位置のフラップ部40を示したものである。
【0025】
フラップ部40は、防水性の生地で作られたパーツ42,44を、折返片46を介して縫い合わせている。パーツ42の生地端42aと、折返片46の生地端46aは、一旦、表面同士を合わせて地縫い48をした後、表面を開いてステッチ50で押さえて縫い付けられている。折返片46の反対側の生地端46bは、パーツ44の生地端44aに合わせられ、パーツ44,折返片46,パーツ42を縫い付けるステッチ52が設けられている。
【0026】
パーツ42と折返片46の間には、熱可塑性の合成樹脂製の接着シート54が取り付けられている。接着シート54は、例えばポリウレタン系の樹脂をベースにしたフィルム状接着材料であり、厚みは例えば20μ〜300μであり、ステッチ52に沿って取りつけられている。接着シート54の幅は、ステッチ52と生地端46bの間の長さの2倍程度であり、ステッチ52と生地端46bの間を覆いわずかに生地端46bから外側に達している。接着シート54は、パーツ42と折返片46の両方に熱溶着されている。パーツ42の接着シート54が熱溶着された部分は、接着部56とする。パーツ42,44の裏面には、ステッチ52を覆って目止めテープ34が接着されている。パーツ42に目止めテープ34が取り付けられた部分は接着部55とする。
【0027】
次にこの衣服21のフラップ部40の作り方について図4に基づいて説明する。先ず、パーツ42と折返片46を地縫い48とステッチ50で縫い合わせる。次に、接着シート54を、折返片46の裏面でステッチ52をする所定位置にセットし、接着シート54の一方の生地端54aが折返片46の生地端46bよりわずかに、例えば1mm〜2mmはみ出した状態でアイロンで仮溶着する。ここで、接着シート54は、折返片46ではなくパーツ42に仮溶着してもよい。
【0028】
なお、パーツ42と折返片46は、接着シート54を仮溶着した後に縫い合わされてもよい。次にパーツ42,折返片46,パーツ44を重ね、ステッチ52を形成する。そしてパーツ42,44の裏側に、ステッチ52を覆って目止めテープ34をアイロンで溶着する。さらにパーツ42の表側にアイロンまたは熱プレスをかけ、しわを伸ばした状態で接着シート54を再度溶着する。
【0029】
この実施形態の衣服21のフラップ部40によれば、上記実施の形態と同様の効果を有し、ステッチ52の周囲に設けられた接着部56は生地の剛性が高くなり、しわが発生せず平坦な縫い目となり外観が良好である。さらに、目止めテープ34が取り付けられた接着部55との剛性の差がなくなり、接着部55,56ともにしわが発生せず外観がきれいで商品の品質が向上する。また、接着シート54は、ステッチ52を目止めする効果があり、耐水性も向上する。
【0030】
なお、この実施形態のフラップ部40は、図6に示すようにパーツ42,44の裏面に目止めテープ34が設けられなくても良い。この場合でも、ステッチ52の周囲は接着部56により剛性が高まり、しわの発生を防ぐ効果がある。
【0031】
次にこの発明の第三実施形態について図7,図8に基づいて説明する。この実施形態の衣服21は、図10に示す防水衣料1とほぼ同じ形であり、防水性の生地で作られている。図7,図8は、防水衣料1のファスナー部5とほぼ同じ位置のファスナー部58を示したものである。
【0032】
ファスナー部58は、防水性の生地で作られたパーツ60に、ファスナーテープ62を縫い合わせている。パーツ60は、パーツ60の生地端60a付近を、生地端60aに対して平行に沿う折曲線64で二つ折りにされ、折曲線64にはパーツ60とファスナーテープ62を縫い付けた地縫い66が設けられている。
【0033】
パーツ60と、二つ折りされた折返片である生地端60aとの間には、熱可塑性の合成樹脂製の接着シート68が取り付けられている。接着シート68は、例えばポリウレタン系の樹脂をベースにしたフィルム状接着材料であり、厚みは例えば20μ〜300μである。接着シート68はテープ状に形成され、折曲線64に沿って取りつけられている。接着シート68の幅は、折曲線64と生地端60aの間を覆いわずかに生地端60aから外側に達するものであり、例えば1cmである。接着シート68は、パーツ60と折り返された生地端60a側の両方に熱溶着されている。パーツ60の接着シート68が熱溶着された部分は、接着部76とする。パーツ60の、折曲線64から少し内側には、パーツ60と接着シート68、パーツ60の折り返された生地端60a、ファスナーテープ62を縫い付けるステッチ70が設けられている。
【0034】
パーツ60と、ファスナーテープ62の裏面には、地縫い66とステッチ70を覆って目止めテープ34が接着されている。目止めテープ34は熱可塑性の合成樹脂製であり、パーツ60に目止めテープ34が取り付けられた部分を接着部74とする。
【0035】
次にこの衣服21のファスナー部58の作り方について図7に基づいて説明する。パーツ60の生地端60aとファスナーテープ62の生地端62aを、表面同士を合わせて地縫い66をする。次にテープ状の接着シート68を、パーツ60の裏面で地縫い66の生地端60a側にセットし、接着シート68の一方の生地端68aがパーツ60、ファスナーテープ62の生地端60a,62aから1〜2mmはみ出した状態でアイロンで仮溶着する。ここで、接着シート68は地縫い66の生地端60a側ではなくパーツ60の裏面側に仮溶着してもよい。次に、パーツ60とファスナーテープ62の表面を開き、パーツ60を地縫い66から二つ折りしてステッチ70をする。そして、パーツ60とファスナーテープ62の裏側に、地縫い66とステッチ70を覆って目止めテープ34をアイロンで溶着する。さらにパーツ60とファスナーテープ62の表側にアイロンまたは熱プレスをかけ、しわを伸ばした状態で接着シート68を再度溶着する。
【0036】
この実施形態の衣服21のファスナー部58によれば、上記実施の形態と同様の効果を有し、ステッチ70の周囲に設けられた接着部76は生地の剛性が高くなり、しわが発生せず平坦な縫い目となり外観が良好である。目止めテープ34が取り付けられた接着部74と接着部76との剛性の差がなくなり、接着部76,74ともにしわが発生せず、この点からも外観がきれいで商品の品質が向上する。また、接着シート68は地縫い64とステッチ70を目止めする効果もあり、耐水性が向上する。
【0037】
なお、この実施形態のファスナー部58は、図9に示すようにパーツ60とファスナーテープ62の裏面に目止めテープが設けられなくても良い。この場合でも、ステッチ70の周囲は接着部76により剛性が高まり、しわの発生をふせぐ効果がある。
【0038】
なお、この発明の衣服は上記各実施形態に限定されるものではなく、接着シートの素材や厚さ、幅等は、取り付ける衣服の素材や形状に合わせて適宜変更可能である。また、衣服以外にテントや袋など、布を縫い合わせて作られるものに使用することができる。接着シートは、上記実施形態のステッチをする部分に限らず、生地を縫い付けて連結したいろいろな部分に取り付けて、しわの発生を防ぐものである。
【0039】
【発明の効果】
この発明の衣服とその製造方法は、ステッチなどの縫い目の周囲の生地を平坦できれいな衣服に形成することができるものである。特に、縫製時等に、生地が糸による応力を受けても、生地の裏側の接着シ−トにより生地同士が接着し、剛性が高められているため、しわにならず外観が良好である。さらに、縫製時にしわが発生した場合でも、縫製後にアイロンまたは熱プレスをかけてしわを伸ばした状態で接着シートを再度溶着するため、確実にしわをなくすことができる。また、生地の裏に別体の折返片が設けられているときも、折返片と生地の間に接着シートを取りつけ、生地の剛性を高めることができ、しかも防水性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第一実施形態の衣服の切替部の製造方法を示す部分破断斜視図である。
【図2】この実施形態の衣服の切替部を示す部分破断斜視図である。
【図3】この実施形態の衣服の切替部の変形例を示す部分破断斜視図である。
【図4】この発明の第二実施形態の衣服のフラップ部の製造方法を示す部分破断斜視図である。
【図5】この実施形態の衣服のフラップ部を示す部分破断斜視図である。
【図6】この実施形態の衣服のフラップ部の変形例を示す部分破断斜視図である。
【図7】この発明の第三実施形態の衣服のファスナー部の製造方法を示す部分破断斜視図である。
【図8】この実施形態の衣服のファスナー部を示す部分破断斜視図である。
【図9】この実施形態の衣服のファスナー部の変形例を示す部分破断斜視図である。
【図10】防水衣服の例を示す正面図である。
【図11】従来の技術の衣服の切替部を示す部分破断斜視図である。
【図12】従来の技術の衣服のフラップ部を示す部分破断斜視図である。
【図13】従来の技術の衣服のファスナー部を示す部分破断斜視図である。
【符号の説明】
21 衣服
22 切替部
23,24 パーツ
23a,24a 生地端
26 折曲線
28 地縫い
30 接着シート
32 ステッチ
34 目止めテープ
36,38 接着部
Claims (6)
- 互いに表面同士を合わせて縫い合わされた一対の生地と、上記一対の生地の一端部に連続し上記生地の裏面側に折り返された折返片とを有し、上記折返片が折り返された生地と他方の生地とが縫い付けられている衣服において、上記折返片が折り返された生地と上記折返片との間に挟まれて、互いに対面する面同士を接着した接着シートが設けられたことを特徴とする衣服。
- 上記接着シートは熱可塑性樹脂であり、上記生地に対して上記折返片の全面が上記接着シートにより熱溶着されていることを特徴とする請求項1記載の衣服。
- 上記折返片は、上記生地の一方に縫い付けた別部材の布片であることを特徴とする請求項1または2記載の衣服。
- 上記一対の生地は、衣服を構成するパーツと、このパーツに縫い付けられるスライドファスナーのファスナーテープであることを特徴とする請求項1または2記載の衣服。
- 上記折返片には、上記生地と上記折返片を縫い付けるステッチが設けられ、上記ステッチが形成された部分の両側に上記接着シートが位置することを特徴とする請求項1または2記載の衣服。
- 一対の生地の一方の生地端に熱可塑性樹脂製の接着シートを仮接合し、上記一方の生地端近傍で折り返して折返片を形成し、この折返片と上記一方の生地の裏面との間に上記接着シートを挟んだ状態で、上記生地の表面を加熱押圧手段で押圧し、しわを伸ばしながら上記接着シートを上記生地の裏面及び上記折返片に溶着することを特徴とする衣服の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002291368A JP2004124313A (ja) | 2002-10-03 | 2002-10-03 | 衣服とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002291368A JP2004124313A (ja) | 2002-10-03 | 2002-10-03 | 衣服とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004124313A true JP2004124313A (ja) | 2004-04-22 |
Family
ID=32282982
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002291368A Pending JP2004124313A (ja) | 2002-10-03 | 2002-10-03 | 衣服とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004124313A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015045968A1 (ja) * | 2013-09-27 | 2015-04-02 | 日産自動車株式会社 | 内装用布帛 |
JP2015062611A (ja) * | 2013-09-26 | 2015-04-09 | 株式会社豊和化成 | 縫製装置とその縫製装置を用いた縫製方法 |
JP6247431B1 (ja) * | 2016-12-02 | 2017-12-13 | 株式会社オンワードホールディングス | 防寒素材、防寒素材の製造方法及び、防寒ウェア |
WO2018100763A1 (ja) * | 2016-12-02 | 2018-06-07 | 株式会社オンワードホールディングス | 防寒素材、防寒素材の製造方法及び、防寒ウェア |
-
2002
- 2002-10-03 JP JP2002291368A patent/JP2004124313A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015062611A (ja) * | 2013-09-26 | 2015-04-09 | 株式会社豊和化成 | 縫製装置とその縫製装置を用いた縫製方法 |
WO2015045968A1 (ja) * | 2013-09-27 | 2015-04-02 | 日産自動車株式会社 | 内装用布帛 |
JP6247431B1 (ja) * | 2016-12-02 | 2017-12-13 | 株式会社オンワードホールディングス | 防寒素材、防寒素材の製造方法及び、防寒ウェア |
WO2018100763A1 (ja) * | 2016-12-02 | 2018-06-07 | 株式会社オンワードホールディングス | 防寒素材、防寒素材の製造方法及び、防寒ウェア |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0861605B1 (en) | Pucker free garment side seam and method for production | |
RU2285438C2 (ru) | Одежда без морщин и способ ее изготовления | |
US7013818B2 (en) | Wrinkle free garment and method of manufacture | |
EP0855150B1 (en) | Pucker free seam for a garment hem and method for production | |
US20080196136A1 (en) | Laminated Fabric Panels and Method of Assembling Same | |
US5713292A (en) | Pucker free pocket garment seam and method for production | |
US20090126080A1 (en) | Pair of trousers stretchable around a waist | |
JP2004124313A (ja) | 衣服とその製造方法 | |
JP4537947B2 (ja) | 布地の縫製方法 | |
JP4533194B2 (ja) | 布帛の結合部分、衣料、及び衣料の製造方法 | |
CN112263055B (zh) | 双层拉链二合一式缝制方法及结构 | |
JPH08299627A (ja) | 布地の縫製方法 | |
JP3971548B2 (ja) | 生地の止着方法 | |
JP4011562B2 (ja) | ファスナーの取付構造、及びファスナーの取付方法 | |
JP3353269B2 (ja) | 滑らかなサイドシームを有する衣類及びその形成方法 | |
JP3434810B1 (ja) | 縫製物の縫合せ方法 | |
JP2015089985A (ja) | 上衣 | |
JP3469917B2 (ja) | 羽毛布団及びマチ布テープの布団地への取付方法 | |
Hayes | Joining techniques for high-performance apparel | |
CN219556420U (zh) | 一种面料接合结构 | |
CN212139532U (zh) | 一体式前幅门襟结构及裤子 | |
JPS5917852Y2 (ja) | 洋服等における縫返し部の仕上げ用テ−プ | |
JP3131864U (ja) | 無縫製ショーツ | |
JP3014234U (ja) | 縫製用の縫目補強テープ | |
JP2005105475A (ja) | 衣料、衣料の製造方法及び布帛の結合部分 |