JP2004124230A - 金属製ハニカムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒や各種フィルタ等に用いられる金属製ハニカムであって、耐酸化性および酸化皮膜の密着性に優れ、また、これに加えて接触面積の増大、あるいは軽量化した金属製ハニカムを得る。
【解決手段】組成が、Cr23〜26質量%、Al4〜6質量%、TiもしくはYの1種又は2種で、Ti0.15〜0.40質量%、Y0.03〜0.08質量%、残部が実質的にFeである金属粉末および熱ゲル化性樹脂を含む混練物を押出ダイスから押出して、ハニカム状成形体を得、乾燥、脱脂後、焼結する。好ましくは、混練物に造孔材である非水溶性物質を添加する。また、焼結後に酸化性雰囲気中で、1200〜1400℃の温度で焼成することが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】組成が、Cr23〜26質量%、Al4〜6質量%、TiもしくはYの1種又は2種で、Ti0.15〜0.40質量%、Y0.03〜0.08質量%、残部が実質的にFeである金属粉末および熱ゲル化性樹脂を含む混練物を押出ダイスから押出して、ハニカム状成形体を得、乾燥、脱脂後、焼結する。好ましくは、混練物に造孔材である非水溶性物質を添加する。また、焼結後に酸化性雰囲気中で、1200〜1400℃の温度で焼成することが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は例えばハニカム構造触媒担体、特にディーゼルエンジン排ガスの浄化用触媒担体に用いられる金属製ハニカムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、多孔質セラミックスハニカム構造体は、例えば自動車、自動二輪等の内燃機関から排出される排気ガス中の有害ガスを除去する為の触媒、触媒担体あるいは微粒子を除去する為のフィルターとして使用されている。
【0003】
しかしながら、これらのセラミックス構造体では触媒分野における要求特性を十分に満足しているとは言い難い。即ち、触媒担体においては、多孔質であると共に、コーティング剤や触媒の付着性が良好であること、強度が十分であって破壊し難いこと、化学的に安定であって、触媒活性に影響を及ぼさないこと等の特性が要求されるが、セラミックス自体が脆弱である為、機械的特性は低く、衝撃及びエンジンの振動等により破損しやすい等の問題がある。また、熱伝導性が低い為、微粒子を含むガス流の温度変動や未燃分がフィルター付近や表面で燃焼するなどして、一旦発生した温度分布を均一化することは困難であるため、熱が蓄積しやすく、極悪な条件下ではセラミックスが溶損する可能性も少なくない。
【0004】
これら問題を解決する為の従来の他の改良技術として、下記特許文献1に記載の金属製ハニカムが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特許第3091246号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1には、金属粉末に水溶性バインダー等を添加し、ハニカム状に押出し、焼結した金属製ハニカム状構造体が示されており、空隙率0〜50%(好ましくは25%未満)を開示する。
しかし、本発明者等の検討金属粉末の組成に関して、特許文献1のFe−Cr−Al系の三元系合金では、たとえば今後のエンジンの高温燃焼化の観点からすれば、耐酸化性および酸化皮膜の密着性が充分であるとは言いがたい。
【0007】
加えて、微粒子との接触面積が大きく、触媒反応のために充分に捕集または接触する構造も求められている。
さらに、このようなハニカムは金属であるから故に、セラミックスと比較すると比重が重く、同じサイズで比較すると、重量も重くなり、自動車等に搭載する場合、燃費効率の点から言えば、不利なものとなる。従って、金属粉末を適用した多孔質ハニカムといっても、更なる軽量化を達成することが望ましい。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑み、耐酸化性および酸化皮膜の密着性に優れた金属製ハニカムを得るための製造方法を提供することを目的とし、また、これに加えて接触面積の増大、あるいは軽量化といった課題をも解決できる製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の金属製ハニカムの製造方法は、組成が、Cr23〜26質量%、Al4〜6質量%、TiもしくはYの1種又は2種で、Ti0.15〜0.40質量%、Y0.03〜0.08質量%、残部がFeである金属粉末及び熱ゲル化性樹脂を含む混練物を押出ダイスから押出して、ハニカム状成形体を得、乾燥、脱脂後、焼結する金属製ハニカムの製造方法である。
【0010】
また、本発明は、混練物に造孔材として非水溶性物質を含ませ、多孔質に焼結することができる。好ましくは、多孔質金属部品が通気性を有するために、空孔率が50%を超える範囲に焼結することを特徴とする金属製ハニカムの製造方法である。
【0011】
また本発明は、焼結後、酸化性雰囲気中で、1200〜1400℃の温度で焼成することを特徴とする金属製ハニカムの製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の重要な特徴である組成について説明する。
Crは23%以下の場合は耐酸化性が劣り、26%を超えると脆化するため23〜26%の範囲とした。
【0013】
Alは表面にAl2O3層を析出させるために必須な元素であり、更なる耐酸化性を確保する為に、皮膜の保護性と密着性に優れたAl2O3の酸化皮膜を形成する為に添加する。しかし、熱膨張係数を増加する元素であり、熱疲労損失を防ぐためには少ない方が良い。耐酸化性と耐熱疲労損失を両立できる範囲としてAl量は4〜6%とした。
【0014】
また、本発明のFe−Cr−Al系合金としては、上述したCrとAlに加えて、TiやYといった酸素を固定する元素を添加すると耐酸化性が向上する。特に表面酸化皮膜の密着性を高める希土類元素であるYを添加すると有効である。但し、これらの元素はコストが高いので、Tiは0.15〜0.40%、Yは0.03〜0.08%の範囲とした。
熱ゲル化性樹脂としてはメチルセルロース等が挙げられる。この樹脂は、水温程度の温度において流動性が良いという特徴を持つ。
【0015】
本発明においては、混練物に造孔材として非水溶性物質を含ませ多孔質に焼結すること、即ち、多孔質性を向上させるために非水溶性物質を添加することが望ましい。
ハニカム状の押出成形を行うに当っては金属粉末と熱ゲル化性樹脂のみからなる混合物を用いるのも良いが、他の成分として脱脂・焼結によって消失する物質で、しかも非水溶性物質の添加が挙げられる。このような非水溶性物質は混練物の状態では非水溶性であるためにバインダーに固溶せずに存在しているが、一旦燃焼すると消失し、その跡に小空隙を残すことによって多孔質性および軽量化を向上させる。
【0016】
非水溶性物質としてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックス樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVA等の熱可塑性の樹脂が挙げられる。
【0017】
以下に、製造工程の一例に従って要点を記載する。
(混合・混練):金属粉末、熱ゲル化性樹脂及び非水溶性物質を混合し、さらに可塑剤、分散剤等及び水を添加し、ミキサーにて混練し、押出し成形可能な混練物とする。
(成形・乾燥):この混練物を押出し成型機により、水温にて成形を行う。この際、速やかに加熱を行い、硬化処理を行う。熱ゲル化性樹脂、即ち加熱により高粘度化するバインダーを使用した成形体であるので、熱風等による加熱処理を行う。
【0018】
(脱脂):焼結粉末として、酸化され易い金属を使用しているので、不活性ガス雰囲気下または還元性雰囲気下で行うのが最適である。
(焼結):脱脂した成形体を焼結する場合には非酸化性雰囲気で焼結することが望ましい。この非酸化性雰囲気として、真空雰囲気あるいは水素、アルゴン、窒素あるいは前記減圧雰囲気で焼結することが挙げられる。
【0019】
また、本発明では、金属製ハニカムをさらに、酸化性雰囲気化1200〜1400℃の温度で焼成することもできる。
本発明に係わるFe−Cr−Al系合金としては、合金組成としてCrが多く含まれているので、酸化性雰囲気で焼成した場合、Cr酸化物すなわち、Cr2O3が主体の酸化物が表層に被覆されることになるが、この温度が低温であるほど顕著である。一方、1200℃以上の温度においては、耐酸化性の高いAl2O3が析出し酸化皮膜になる。したがって、1200℃以上で焼成することにより、触媒を塗布した場合、より密着性が高いものとなる。但し、1400℃を超える温度においては、金属性ハニカムが保形出来ない為に、1200〜1400℃の範囲とすることが好ましい。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
実施例1および比較例1として、ガスアトマイズによって得られた平均粒径が約60μmであるFe−Cr−Al系の種々の組成である合金粉末と熱ゲル化性樹脂としてメチルセルロース及び水を配合比(重量%)90.5:2.7:6.8の割合で混合を行った。これに、可塑剤、分散剤を混練物に対し2.5質量%添加し、ミキサーにより混練し、押出し成形可能な混練物を作製した。この混練物を押出し成形し、四角セル形状を有する直径30mm、高さ100mmのハニカム成形体を得た。
【0021】
本ハニカム成形体のセル数は、16個/cm2で、肉厚は約0.4mmである。続いて、前記成形体を乾燥した後、その後、Ar雰囲気にて脱脂、真空雰囲気にて焼結を行い、多孔質金属製ハニカムを得た。次いで、得られた焼結体を大気中にて種々の条件にて焼成し、その表面に酸化皮膜を形成した。このハニカム焼結体の気孔率およびその耐酸化性(大気中900℃で1000時間経過後の重量増)を測定し、その結果を表1に示した。なお、気孔率はアルキメデス法により測定した。
【0022】
【表1】
【0023】
本発明例No.1〜No.3および比較例No.4を表1に示す。これより、本発明例No.1〜No.3は比較例No.4より、耐酸化性が良いことが確認される。また、表層にAl2O3の付着が多いことが確認された。
【0024】
(実施例2)
実施例2および比較例2として、ガスアトマイズによって得られた平均粒径が約60μmであるFe−Cr−Al系の種々の組成である合金粉末と熱ゲル化性樹脂としてメチルセルロースと非水溶性物質として平均粒径100μmであるポリプロピレン及び水を配合比(重量%)65:2.5:9.5:20の割合で混合を行った。これに、可塑剤、分散剤を若干量添加し、ミキサーにより混練し、押出し成形可能な混練物を作製した。この混練物を押出し成形し、四角セル形状を有する直径30mm、高さ100mmのハニカム成形体を得た。
【0025】
本ハニカム成形体のセル数は、16個/cm2で、肉厚は約0.4mmである。続いて、前記成形体を乾燥した後、その後、Ar雰囲気にて脱脂、真空雰囲気にて焼結を行い、多孔質金属製ハニカムを得た。次いで、得られた焼結体を大気中にて種々の条件にて焼成し、その表面に酸化皮膜を形成した。このハニカム焼結体の気孔率およびその耐酸化性(大気中900℃で1000時間経過後の重量増)を測定し、その結果を表2に示した。なお、気孔率はアルキメデス法により測定した。
【0026】
【表2】
【0027】
本発明例No.5〜No.9および比較例No.10〜No.13を表2に示す。これより、本発明例No.5〜No.9は比較例No.10〜No.13より、耐酸化性が良いことが確認される。さらに、No.6〜No.8はYを添加したものであるが、1200℃を超える焼成においては、耐酸化性が向上していることが判る。
また、No.12は過剰にAlを添加したもの、No.13は過剰にCrを添加したものであるが、これらの比較例は製品自体が脆くなっており、軽い打刻により焼結体の縁部分が崩れることが判明した。最後に焼成の効果において、焼成温度が1200℃以上であると、表層にAl2O3の皮膜の形成が多いことをNo.6およびNo.9で確認した。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、耐酸化性および酸化皮膜の密着性に優れた金属製ハニカムを得ることができ、また、これに加えて接触面積の増大、あるいは軽量化の達成も可能であって、工業上有用な技術となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は例えばハニカム構造触媒担体、特にディーゼルエンジン排ガスの浄化用触媒担体に用いられる金属製ハニカムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、多孔質セラミックスハニカム構造体は、例えば自動車、自動二輪等の内燃機関から排出される排気ガス中の有害ガスを除去する為の触媒、触媒担体あるいは微粒子を除去する為のフィルターとして使用されている。
【0003】
しかしながら、これらのセラミックス構造体では触媒分野における要求特性を十分に満足しているとは言い難い。即ち、触媒担体においては、多孔質であると共に、コーティング剤や触媒の付着性が良好であること、強度が十分であって破壊し難いこと、化学的に安定であって、触媒活性に影響を及ぼさないこと等の特性が要求されるが、セラミックス自体が脆弱である為、機械的特性は低く、衝撃及びエンジンの振動等により破損しやすい等の問題がある。また、熱伝導性が低い為、微粒子を含むガス流の温度変動や未燃分がフィルター付近や表面で燃焼するなどして、一旦発生した温度分布を均一化することは困難であるため、熱が蓄積しやすく、極悪な条件下ではセラミックスが溶損する可能性も少なくない。
【0004】
これら問題を解決する為の従来の他の改良技術として、下記特許文献1に記載の金属製ハニカムが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特許第3091246号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1には、金属粉末に水溶性バインダー等を添加し、ハニカム状に押出し、焼結した金属製ハニカム状構造体が示されており、空隙率0〜50%(好ましくは25%未満)を開示する。
しかし、本発明者等の検討金属粉末の組成に関して、特許文献1のFe−Cr−Al系の三元系合金では、たとえば今後のエンジンの高温燃焼化の観点からすれば、耐酸化性および酸化皮膜の密着性が充分であるとは言いがたい。
【0007】
加えて、微粒子との接触面積が大きく、触媒反応のために充分に捕集または接触する構造も求められている。
さらに、このようなハニカムは金属であるから故に、セラミックスと比較すると比重が重く、同じサイズで比較すると、重量も重くなり、自動車等に搭載する場合、燃費効率の点から言えば、不利なものとなる。従って、金属粉末を適用した多孔質ハニカムといっても、更なる軽量化を達成することが望ましい。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑み、耐酸化性および酸化皮膜の密着性に優れた金属製ハニカムを得るための製造方法を提供することを目的とし、また、これに加えて接触面積の増大、あるいは軽量化といった課題をも解決できる製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の金属製ハニカムの製造方法は、組成が、Cr23〜26質量%、Al4〜6質量%、TiもしくはYの1種又は2種で、Ti0.15〜0.40質量%、Y0.03〜0.08質量%、残部がFeである金属粉末及び熱ゲル化性樹脂を含む混練物を押出ダイスから押出して、ハニカム状成形体を得、乾燥、脱脂後、焼結する金属製ハニカムの製造方法である。
【0010】
また、本発明は、混練物に造孔材として非水溶性物質を含ませ、多孔質に焼結することができる。好ましくは、多孔質金属部品が通気性を有するために、空孔率が50%を超える範囲に焼結することを特徴とする金属製ハニカムの製造方法である。
【0011】
また本発明は、焼結後、酸化性雰囲気中で、1200〜1400℃の温度で焼成することを特徴とする金属製ハニカムの製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の重要な特徴である組成について説明する。
Crは23%以下の場合は耐酸化性が劣り、26%を超えると脆化するため23〜26%の範囲とした。
【0013】
Alは表面にAl2O3層を析出させるために必須な元素であり、更なる耐酸化性を確保する為に、皮膜の保護性と密着性に優れたAl2O3の酸化皮膜を形成する為に添加する。しかし、熱膨張係数を増加する元素であり、熱疲労損失を防ぐためには少ない方が良い。耐酸化性と耐熱疲労損失を両立できる範囲としてAl量は4〜6%とした。
【0014】
また、本発明のFe−Cr−Al系合金としては、上述したCrとAlに加えて、TiやYといった酸素を固定する元素を添加すると耐酸化性が向上する。特に表面酸化皮膜の密着性を高める希土類元素であるYを添加すると有効である。但し、これらの元素はコストが高いので、Tiは0.15〜0.40%、Yは0.03〜0.08%の範囲とした。
熱ゲル化性樹脂としてはメチルセルロース等が挙げられる。この樹脂は、水温程度の温度において流動性が良いという特徴を持つ。
【0015】
本発明においては、混練物に造孔材として非水溶性物質を含ませ多孔質に焼結すること、即ち、多孔質性を向上させるために非水溶性物質を添加することが望ましい。
ハニカム状の押出成形を行うに当っては金属粉末と熱ゲル化性樹脂のみからなる混合物を用いるのも良いが、他の成分として脱脂・焼結によって消失する物質で、しかも非水溶性物質の添加が挙げられる。このような非水溶性物質は混練物の状態では非水溶性であるためにバインダーに固溶せずに存在しているが、一旦燃焼すると消失し、その跡に小空隙を残すことによって多孔質性および軽量化を向上させる。
【0016】
非水溶性物質としてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックス樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVA等の熱可塑性の樹脂が挙げられる。
【0017】
以下に、製造工程の一例に従って要点を記載する。
(混合・混練):金属粉末、熱ゲル化性樹脂及び非水溶性物質を混合し、さらに可塑剤、分散剤等及び水を添加し、ミキサーにて混練し、押出し成形可能な混練物とする。
(成形・乾燥):この混練物を押出し成型機により、水温にて成形を行う。この際、速やかに加熱を行い、硬化処理を行う。熱ゲル化性樹脂、即ち加熱により高粘度化するバインダーを使用した成形体であるので、熱風等による加熱処理を行う。
【0018】
(脱脂):焼結粉末として、酸化され易い金属を使用しているので、不活性ガス雰囲気下または還元性雰囲気下で行うのが最適である。
(焼結):脱脂した成形体を焼結する場合には非酸化性雰囲気で焼結することが望ましい。この非酸化性雰囲気として、真空雰囲気あるいは水素、アルゴン、窒素あるいは前記減圧雰囲気で焼結することが挙げられる。
【0019】
また、本発明では、金属製ハニカムをさらに、酸化性雰囲気化1200〜1400℃の温度で焼成することもできる。
本発明に係わるFe−Cr−Al系合金としては、合金組成としてCrが多く含まれているので、酸化性雰囲気で焼成した場合、Cr酸化物すなわち、Cr2O3が主体の酸化物が表層に被覆されることになるが、この温度が低温であるほど顕著である。一方、1200℃以上の温度においては、耐酸化性の高いAl2O3が析出し酸化皮膜になる。したがって、1200℃以上で焼成することにより、触媒を塗布した場合、より密着性が高いものとなる。但し、1400℃を超える温度においては、金属性ハニカムが保形出来ない為に、1200〜1400℃の範囲とすることが好ましい。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
実施例1および比較例1として、ガスアトマイズによって得られた平均粒径が約60μmであるFe−Cr−Al系の種々の組成である合金粉末と熱ゲル化性樹脂としてメチルセルロース及び水を配合比(重量%)90.5:2.7:6.8の割合で混合を行った。これに、可塑剤、分散剤を混練物に対し2.5質量%添加し、ミキサーにより混練し、押出し成形可能な混練物を作製した。この混練物を押出し成形し、四角セル形状を有する直径30mm、高さ100mmのハニカム成形体を得た。
【0021】
本ハニカム成形体のセル数は、16個/cm2で、肉厚は約0.4mmである。続いて、前記成形体を乾燥した後、その後、Ar雰囲気にて脱脂、真空雰囲気にて焼結を行い、多孔質金属製ハニカムを得た。次いで、得られた焼結体を大気中にて種々の条件にて焼成し、その表面に酸化皮膜を形成した。このハニカム焼結体の気孔率およびその耐酸化性(大気中900℃で1000時間経過後の重量増)を測定し、その結果を表1に示した。なお、気孔率はアルキメデス法により測定した。
【0022】
【表1】
【0023】
本発明例No.1〜No.3および比較例No.4を表1に示す。これより、本発明例No.1〜No.3は比較例No.4より、耐酸化性が良いことが確認される。また、表層にAl2O3の付着が多いことが確認された。
【0024】
(実施例2)
実施例2および比較例2として、ガスアトマイズによって得られた平均粒径が約60μmであるFe−Cr−Al系の種々の組成である合金粉末と熱ゲル化性樹脂としてメチルセルロースと非水溶性物質として平均粒径100μmであるポリプロピレン及び水を配合比(重量%)65:2.5:9.5:20の割合で混合を行った。これに、可塑剤、分散剤を若干量添加し、ミキサーにより混練し、押出し成形可能な混練物を作製した。この混練物を押出し成形し、四角セル形状を有する直径30mm、高さ100mmのハニカム成形体を得た。
【0025】
本ハニカム成形体のセル数は、16個/cm2で、肉厚は約0.4mmである。続いて、前記成形体を乾燥した後、その後、Ar雰囲気にて脱脂、真空雰囲気にて焼結を行い、多孔質金属製ハニカムを得た。次いで、得られた焼結体を大気中にて種々の条件にて焼成し、その表面に酸化皮膜を形成した。このハニカム焼結体の気孔率およびその耐酸化性(大気中900℃で1000時間経過後の重量増)を測定し、その結果を表2に示した。なお、気孔率はアルキメデス法により測定した。
【0026】
【表2】
【0027】
本発明例No.5〜No.9および比較例No.10〜No.13を表2に示す。これより、本発明例No.5〜No.9は比較例No.10〜No.13より、耐酸化性が良いことが確認される。さらに、No.6〜No.8はYを添加したものであるが、1200℃を超える焼成においては、耐酸化性が向上していることが判る。
また、No.12は過剰にAlを添加したもの、No.13は過剰にCrを添加したものであるが、これらの比較例は製品自体が脆くなっており、軽い打刻により焼結体の縁部分が崩れることが判明した。最後に焼成の効果において、焼成温度が1200℃以上であると、表層にAl2O3の皮膜の形成が多いことをNo.6およびNo.9で確認した。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、耐酸化性および酸化皮膜の密着性に優れた金属製ハニカムを得ることができ、また、これに加えて接触面積の増大、あるいは軽量化の達成も可能であって、工業上有用な技術となる。
Claims (3)
- 組成が、Cr23〜26質量%、Al4〜6質量%、TiもしくはYの1種又は2種で、Ti0.15〜0.40質量%、Y0.03〜0.08質量%、残部が実質的にFeである金属粉末及び熱ゲル化性樹脂を含む混練物を押出ダイスから押出して、ハニカム状成形体を得、乾燥、脱脂後、金属粉末を焼結することを特徴とする金属製ハニカムの製造方法。
- 混練物に造孔材として非水溶性物質を含ませ、多孔質に焼結することを特徴とする請求項1に記載の金属製ハニカムの製造方法。
- 焼結後、酸化性雰囲気中で、1200〜1400℃の温度で焼成することを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載の金属製ハニカムの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002293785A JP2004124230A (ja) | 2002-10-07 | 2002-10-07 | 金属製ハニカムの製造方法 |
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JP2002293785A JP2004124230A (ja) | 2002-10-07 | 2002-10-07 | 金属製ハニカムの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004124230A true JP2004124230A (ja) | 2004-04-22 |
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Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2004124230A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009528443A (ja) * | 2006-02-27 | 2009-08-06 | プランゼー エスエー | 多孔質体 |
-
2002
- 2002-10-07 JP JP2002293785A patent/JP2004124230A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009528443A (ja) * | 2006-02-27 | 2009-08-06 | プランゼー エスエー | 多孔質体 |
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