JP2004124214A - キャリア箔付電解銅箔並びにその製造方法及びそのキャリア箔付電解銅箔を用いた銅張積層板 - Google Patents

キャリア箔付電解銅箔並びにその製造方法及びそのキャリア箔付電解銅箔を用いた銅張積層板 Download PDF

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Abstract

【課題】250℃以上の温度での高温プレス加工をした後でも、キャリア箔と電解銅箔層との引き剥がし強度が適正に確保できるプリント配線板製造用のキャリア箔付電解銅箔の供給を目的とする。
【解決手段】キャリア箔Cの片面に、接合界面層を備え、その接合界面層上に電解銅箔層CFを備えたキャリア箔付電解銅箔において、当該接合界面層は、酸化クロム、水酸化クロム及びクロム酸塩からなるクロム化合物系接合界面層2としたキャリア箔付電解銅箔1a等を用いる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャリア箔付電解銅箔並びにそのキャリア箔付電解銅箔の製造方法並びにそれらを用いた銅張積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、キャリア箔付電解銅箔は、広く電気、電子産業の分野で用いられるプリント配線板製造の基礎材料として用いられてきた。このキャリア箔付電解銅箔は、ガラス−エポキシ基材、フェノール基材、ポリイミド等の高分子絶縁基材と熱間プレス成形にて張り合わされ銅張積層板とし、プリント配線板製造に用いられるものである。
【0003】
このキャリア箔付電解銅箔は、Bステージに硬化させたプリプレグと、高温雰囲気下で高圧をかけ熱圧着し(以下、この工程を「プレス成形」と称する。)、銅張積層板を製造する際に発生する銅箔層の皺を防止し、皺部において銅箔にクラックが生じ、プリプレグからの樹脂の染み出しを防止することを可能にする。そして、薄い銅箔層を銅張積層板の表面に形成することを容易にするのである。
【0004】
このキャリア箔付電解銅箔は、一般にピーラブルタイプとエッチャブルタイプに大別することが可能である。違いを一言で言えば、ピーラブルタイプはプレス成形後にキャリア箔を引き剥がして除去するタイプのものであり、エッチャブルタイプとは、プレス成形後にキャリア箔をエッチング法にて除去するタイプのものである。
【0005】
この内、ピーラブルタイプは、プレス成形後、そのキャリア箔の引き剥がし強度の値が極めて不安定であり、極端な場合には、キャリア箔が引き剥がせないという事態も生じるなど、目的の引き剥がし強度が得られにくいと言う欠点を有していた。この問題を解決するため、本件発明者等は、従来のピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔の持つ欠点を解消し、キャリア箔と電解銅箔との界面の引き剥がし強度を低位で安定させることの出来るものとして、キャリア箔の表面上に、接合界面層を形成し、その接合界面層上に銅を電解析出させ、その析出銅層を電解銅箔として用いるキャリア箔付電解銅箔において、当該接合界面層に有機剤を用いたことを特徴とするキャリア箔付電解銅箔を特開2000−309898にて開示して提唱してきた。
【0006】
本件発明者等の提唱してきたキャリア箔付電解銅箔の接合界面層は、接合界面層を構成する有機剤を含んだ水溶液を用いて、キャリア箔の表面に有機剤を吸着させて形成するものであった。このキャリア箔付電解銅箔は、従来のクロム等の金属材を接合界面層に用いたピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔と比べると、通常のFR−4プリプレグを用いる場合の180℃前後のプレス後においても、非常に良好な性能を示し、キャリア箔は極めて容易に引き剥がしが可能であった。
【0007】
【特許文献1】
特公昭53−18329号公報
【特許文献2】
特公昭61−34385号公報
【特許文献3】
特公平8−18401号公報
【特許文献4】
特開2000−269637号公報
【特許文献5】
特開2001−301087号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、接合界面層に有機剤を用いたキャリア箔付電解銅箔は、その接合界面層が有機剤であるが故に、250℃を越える高温プレス環境下では、接合界面層を構成する有機剤が消失しやすく、ピーラブルタイプの接合界面層としての役割を果たさず、使用できないものとなるのである。
【0009】
その結果、高温プレス操作が要求されるフッ素樹脂基板に代表される高温耐熱基板において、使用できるピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔としては、▲1▼ 特許文献1及び特許文献4等に開示されているクロム、ニッケル、鉛等の金属系接合界面を備えたもの、▲2▼ 特許文献5に開示されている金属クロムと、クロムの酸化物、又はクロムの水酸化物との混合物に代表される、金属と非金属の混合接合界面を備えたもの、▲3▼ 特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示されているクロム酸化物等の非金属系接合界面を備えたものがある。
【0010】
ところが、特許文献1及び特許文献4等に開示されている金属系接合界面、又は金属と非金属の混合接合界面を備えたキャリア箔付電解銅箔は、生産時の管理が煩雑であったり、品質の安定性の確保が困難であったりして、結果として剥離強度の安定性に欠ける。また、引き剥がした後のキャリア箔を回収し、再度電解銅箔の製造原料として硫酸で溶解し、硫酸銅溶液にする際、金属クロムは硫酸溶液に極めて溶解しづらいために再利用が困難であるため、スクラップ処理を要することになる。さらに、金属系接合界面においては、特に300℃を越える高温プレス加工後の引き剥がし強度が急激に上昇してしまうこと、以上の問題を抱えているのである。
【0011】
一方、クロム酸化物等の非金属接合界面を備えたキャリア箔が、特許文献1、特許文献2及び特許文献3で開示されているが、特許文献1には「クロム酸塩の離型被覆は、極めて薄い箔を形成できるようにする程の銅めっきに対する受容性を持ち且つ所望の分離が出来るようにするクロム酸塩被覆を形成するのに困難がある」と記載されており、安定した剥離特性を持つキャリア箔付電解銅箔を、クロメート接合界面層を使用して製造出来ないことを示唆している。
【0012】
また特許文献2では上記の問題に対し、クロメート接合界面層中のクロム量を20〜200μg/dmに調整すると共に、クロメート接合界面層上にNi、Co、Cu、Sn、Znのいずれかの金属またはそれらの金属の合金剥離層を設ける事により改善を試みている。特許文献2に開示の発明では、接合界面層中のクロム量を20〜200μg/dmとして規定しており、特に30μg/dmを越えるクロム量が接合界面層中に存在すると、引き剥がし強度がプレス前後の工程で誤剥離を起こすレベルまで軽くなるという問題を抱えていた。また、電解銅箔層を直接硫酸銅浴から形成することは実用性にかけるとし、接合界面層上に金属または合金剥離層を設ける必要があるとしている。
【0013】
さらに特許文献3に開示の発明は、特許文献2の問題に対し、粗面を有する銅箔単体の粗面側に、浸漬クロメート法で形成したクロメート被膜を形成し、クロメート被膜の離型層と極薄銅箔層の間に銅−ニッケル合金層を介在させることで改善を試みている。しかし、浸漬クロメート法では、特に高温プレス加工後に、離型層として十分に機能するだけのクロメート被膜を形成する事が困難であり、また引き剥がし強度を調整する為に、銅−ニッケル合金層が必要であること等の問題点を有するものであった。
【0014】
従って市場では、リサイクルが可能であり、且つプレス加工前後の工程において、誤剥離を招かない程度の引き剥がし強度を持ち、さらに250℃以上の温度での高温プレス加工をした後においても低位で安定したキャリア箔の引き剥がし強度を持つ、新たなキャリア箔付電解銅箔の供給が望まれてきたのである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そこで、本件発明に係る発明者等は、鋭意研究の結果、金属クロムを含まないクロム化合物のみで接合界面層を形成し、且つ、そのクロム化合物の付着量を最適化することで、従来の高温耐熱箔として知られたキャリア付電解銅箔に比べ、誤剥離を防止するための適正な品質を備え、かつ高温プレス後のキャリア箔の引き剥がし強度を遥かに安定化させたものとすることが可能であり、高温耐熱用途のキャリア箔付電解銅箔としての品質安定性を飛躍的に向上させることを見いだしたのである。
【0016】
本件発明に係るキャリア箔付電解銅箔は、「キャリア箔の片面に、接合界面層を備え、その接合界面層上に電解銅箔層を備えたキャリア箔付電解銅箔において、当該接合界面層は、酸化クロム、水酸化クロム及びクロム酸塩からなるクロム化合物系接合界面層であることを特徴とするキャリア箔付電解銅箔。」及び「キャリア箔の両面に、接合界面層を備え、その各々の接合界面層上に電解銅箔層を備えたキャリア箔付電解銅箔において、当該接合界面層は、酸化クロム、水酸化クロム及びクロム酸塩からなるクロム化合物系接合界面層であることを特徴とするキャリア箔付電解銅箔。」前者が図1に示すように、キャリア箔の片面に電解銅箔層を備える形態を採り、後者が図2に示すようにキャリア箔の両面に電解銅箔層を備える形態を採用したものである。
【0017】
これらのキャリア箔付電解銅箔の特徴は、酸化クロム、水酸化クロム及びクロム酸塩からなるクロム化合物系接合界面層を、電解により形成し、その付着量を最適化することで、クロム化合物接合界面層の単独層で、高温加熱後のキャリア箔の安定した目的の引き剥がし強度が得られる事にある。このようなクロム化合物系接合界面層は、特許文献1及び特許文献4で開示された金属クロムによる接合界面層、特許文献5に開示された金属クロムと、クロムの酸化物又はクロムの水酸化物との混合接合界面層とも異なるものである。また、特許文献2で示される発明とも、クロム化合物中のクロム量を削減することにより、プレス工程前後の工程において誤剥離が発生しないように改良している点、及び、電解銅箔層を直接硫酸銅浴から形成することが可能であり、接合界面層上に金属又は合金剥離層を設ける必要が無い点で異なるものである。更に、特許文献3で示される浸漬クロメート法によるクロメート接合界面層では、高温プレス加工後の引き剥がしがしが困難な点、引き剥がし強度を安定させる為に銅−ニッケル合金層を必要とする点で本件発明と大きく異なる。
【0018】
これに対し、本件発明のように、「適量の酸化クロム、水酸化クロム及びクロム酸塩からなるクロム化合物系接合界面層を備えたキャリア箔付電解銅箔」とすれば、プレス前後の工程において誤剥離を招くことがなく、高温プレス後のキャリア箔の引き剥がし強度の安定性が飛躍的に向上するのである。即ち、従来のカルボキシベンゾトリアゾール系等の有機剤を用いた接合界面層を備えるキャリア箔付電解銅箔は、250℃以上の高温加熱に弱く、300℃程度の加熱を受けた後は、キャリア箔の引き剥がしが不可能となる場合がある。これに対し、本件発明に係るキャリア箔付電解銅箔は、250℃〜300℃以上の高温域でのプレス成形を受けても、クロム化合物系接合界面層が分解消失することなく、キャリア箔層と電解銅箔層との相互拡散を極めて効果的に抑制し、結果として、プレス成形後までピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔として十分に使用可能なものとすることが可能なのである。そして、後述する如き製造方法を採用すれば、生産時の工程安定性が向上し高い生産歩留まりが得られるのである。
【0019】
本件発明に係るキャリア箔付電解銅箔のクロム化合物系接合界面層は、酸化クロム、水酸化クロム及びクロム酸塩で構成されるものであるが、酸化クロム、水酸化クロム、クロム酸塩の個々の構成成分量を厳密に定義する必要はなく、そこに含まれるクロム含有量換算で0.5mg/m〜3.0mg/mで管理すれば足りるのである。当該クロム含有量が0.5mg/m未満の場合には、高温加熱後のキャリア箔の引き剥がし強度が大きくなり、人間の手作業で引き剥がせるレベルのものとはならないのである。これに対し、当該クロム含有量が3.0mg/mを越えるとキャリア箔の引き剥がし強度が弱くなり、高温加熱する前後の工程でのハンドリング時に、キャリア箔の意図せぬ剥離が発生しやすくなるのである。更に、製品品質の一定のバラツキを考慮して、確実に高温加熱後のキャリア箔の引き剥がし強度を低位安定させ、且つ、ハンドリング時のキャリア箔の意図せぬ剥離を確実に防止するためには、当該クロム含有量を2.0mg/m未満とすることが望ましいのである。
【0020】
以上に述べたキャリア箔付電解銅箔1a,1bの使用方法として、銅張積層板の製造方法に関して説明する。この図1に示したキャリア箔付電解銅箔1aとは、キャリア箔Cと電解銅箔CFとが、あたかも貼り合わされた状態となった製品のことである。そして、このキャリア箔付電解銅箔1aは、キャリア箔Cの付いた状態で、樹脂基材に電解銅箔層CFを張り合わせた後に、キャリア箔Cを引き剥がして銅張積層板を得ることに用いられる。以上及び以下において、電解銅箔と電解銅箔層、キャリア箔とキャリア箔層、接合界面と接合界面層とは、それぞれ同じ部位を示し、説明内容に応じて適宜使い分けるものとする。
【0021】
図2に示したキャリア箔付電解銅箔1bは、先に説明したキャリア箔付電解銅箔1aが、図1に示す如きキャリア箔Cの片面に電解銅箔CFを貼り合わせた形状のものであるのに対して、このキャリア箔付電解銅箔1bは、図2の模式断面図で明らかなように、キャリア箔Cの両面に電解銅箔CFを貼り合わせた如き形状のものである。
【0022】
例えば、図1に示したキャリア箔付電解銅箔1aを用いて、図4のようにレイアップしてプレス加工すれば、確かに中間層の鏡板Mの省略も可能となる。ところが、このキャリア箔付電解銅箔1bとすることで、更に容易に、銅張積層板の製造時の鏡板を省略することが可能で、しかもプレス成型時の銅箔面への異物混入を完全に防止することが可能となるのである。通常の両面張り銅張積層板の製造は、一般に図3に示すように、上下のプレス板Pの間に、ステンレス鋼等の耐熱素材を鏡面仕上げした鏡板M、銅箔CF、1枚若しくは複数枚のプリプレグPP、銅箔CF、鏡板Mという順序を繰り返し積層(通称、レイアップと称する。)して、プレス板Pを高温加熱し、挟み込むことでプリプレグPPの樹脂成分を溶融させ、銅箔CFとプリプレグPPとを高温加圧接着させるものである。
【0023】
このとき、上述のキャリア箔付電解銅箔1bを用いると、図5に示すように、レイアップした状態の最下層及び最上層OFには、通常の電解銅箔若しくはキャリア箔付電解銅箔を用い、それ以外の中間層に位置するものをキャリア箔付電解銅箔1bとすることで、中間層部に位置する鏡板Mを全て省略することができ、プレス成形後の解体時に、キャリア箔Cと電解銅箔層CFとのクロム化合物系接合界面層2から引き剥がせばよいことになる。
【0024】
中間層の鏡板Mが不要になると言うことは、省略した鏡板M相当の厚さ分だけ、プレス板Pのデイライト間に納められる銅箔CFとプリプレグPPとの段数を大きくすることができ、1回のプレスで製造する銅張積層板の枚数を増加させることができる。また、伝熱性も良くなり、生産性を向上させることが可能となる。鏡板Mの厚さが通常は、0.8mm〜3.0mmのものが使用され、銅箔CFが3〜50μm厚、プリプレグPPの1枚が30〜180μm厚であることを考慮すれば、極めて大きな生産性向上効果となることが予測できるのである。
【0025】
本件発明に係るキャリア箔付電解銅箔を構成する電解銅箔層に関して説明する。電解銅箔層とは、図1及び図2の記載から分かるように、バルク銅層と、そのバルク銅層の表面に微細銅粒を付着形成した粗面化処理層とから構成するのが通常である。しかしながら、本件発明では、バルク銅層を省略し、当該クロム系化合物接合界面層上に電解法で微細銅粒のみを付着形成させた図6及び図7に示すキャリア箔付電解銅箔1c,1dをも対象としている。そして、微細銅粒4のみを付着形成させた場合も、説明を分かり易くするために電解銅箔層と称しているのである。
【0026】
電解銅箔層を微細銅粒4のみで構成したキャリア箔付電解銅箔1c,1dを用いた銅張積層板の製造時には、微細銅粒4のみがプリプレグと貼り合わせられ、バルク銅層は存在しないことになる。しかし、バルク銅層は導体回路を形成するために必須のものであるから、プリント配線板製造工程において、プリント配線板製造者が、キャリア箔Cを除去し、目的に応じたタイミング及び任意の銅メッキ方法により、微細銅粒4の上に所定厚のバルク銅層を形成することができるのである。例えば、その電解銅箔層としての微細銅粒4の表面上にバルク銅層をパネルメッキ法で形成する、又は無電解銅メッキ法を用いて行うことができる。このような方法によれば、バルク銅層の厚さを形成回路の種類に応じて、任意に調節でき、目的の回路幅に応じた適正なエッチング処理が行なえる厚さのバルク銅層とできるのである。従って、このようなプリント配線板製造方法は、作成回路が、より微細になるほど有効なものであり、プリント配線板の回路の高密度化が容易となるのである。
【0027】
また、この電解銅箔層には、12μm以下の極薄銅箔といわれる電解銅箔のみならず、12μmより厚い場合をも含むものである。従来のキャリア箔付電解銅箔は、専ら極薄銅箔の提供を目的として使用されており、本発明に係るキャリア箔付電解銅箔のように12μm以上の電解銅箔層を有するものは市場に供給されていなかった。このような厚い電解銅箔層を備えるキャリア箔付電解銅箔とすることの利点は、キャリア箔層と電解銅箔層とが、高温プレス後に安定して容易に剥離することで、後述するキャリア箔付電解銅箔の使用方法が可能となることにある。
【0028】
以上に述べてきたキャリア箔付電解銅箔1a〜1dにおいて用いるキャリア箔は、特に材質は限定していない。キャリア箔としてアルミニウム箔、銅箔、表面をメタルコーティングした樹脂フィルムなど、キャリアとして用いることの可能な全てのものを含む概念として用いている。但し、少なくともクロム化合物系接合界面を電解法で形成するため、キャリア箔自体に電流を流すことのできる導電性が付与されていることが必要となる。また、キャリア箔としての厚さについても、特に限定はない。工業的視点から、箔としての概念は、一般に200μm厚以下のものを箔と称しており、この概念を用いれば足りるものである。中でも、キャリア箔には、電解銅箔を用いることが好ましい。
【0029】
キャリア箔として、電解銅箔を使う有利な効果は、次のようになる。アルミ圧延材に代表されるように、圧延法により得られた箔をキャリア箔として用いた場合には、その箔に圧延油が付着することが避けられない、また酸化防止を考慮して油成分を塗布する場合もある。これらをキャリア箔として使用する場合には、キャリア上へ接合界面層及び銅を析出させる際の障害となるため、工程内で油分の除去が必要となる。電解銅箔であれば、その製造法からして、不可避的に油分が付着することもなく、たとえ酸化被膜が出来ても、容易に酸洗除去することが可能であり、工程数の削減又は工程管理を容易にすることができるのである。
【0030】
また、キャリア箔付電解銅箔1a〜1dのキャリア箔Cに電解銅箔を用いると、キャリア箔Cと、そのキャリア箔Cと貼り合わせた形の電解銅箔CFとは、物性的にも成分的にも同じものと考えることができ、同種のエッチング液で、双方のエッチング処理が可能となる。従って、銅張積層板に加工し、キャリア箔Cを引き剥がすことなく、キャリア箔C上にエッチングレジスト層を形成し、エッチング処理してプリント配線回路を作成した後に、キャリア箔Cを引き剥がすことも可能となる。このようにすれば、エッチング加工が終了するまで、銅箔回路の表面は汚染、異物付着から保護され、その後行われるメッキ工程等の作業信頼性を大幅に向上させることが可能となる。
【0031】
更に、キャリア箔Cとした電解銅箔の純度は、99.99%以上の純度を有するものである。そして、本発明に係るキャリア箔付電解銅箔1a〜1dは、その接合界面層2にリサイクル時に不純物となりうる金属元素を含んでいない。従って、引き剥がした後のキャリア箔は、リサイクルが容易に可能なものであり、環境保護の観点からも、不必要に産業廃棄物を発生させないものとなる。例えば、キャリア箔を回収し、再溶解して銅のインゴットとすることも可能であるし、再度電解銅箔の製造原料として硫酸で溶解し硫酸銅溶液とすることも可能となるのである。
【0032】
このときのキャリア箔Cとしての電解銅箔には、粗化処理を行っていない未処理箔又は粗化処理を行った表面処理箔のいずれを用いても構わない。未処理箔と表面処理箔とは、その光沢面の粗度に差はなく、その光沢面上に電解銅箔層を形成すれば何ら電解銅箔層自体に差異はないのである。図8(a)には未処理箔をキャリア箔として用いた場合を、図8(b)には表面処理箔をキャリア箔として用いた場合の断面模式図を示している。これらのキャリア箔付電解銅箔1e,1fにおいて、キャリア箔Cに未処理箔を用いるか、表面処理箔を用いるかにより、それぞれを用いて得られる銅張積層板の製造時における使用方法が異なってくるのである。
【0033】
ここで、キャリア箔に未処理箔を用いた場合と表面処理箔を用いた場合の、それぞれのキャリア箔付電解銅箔1e,1fの銅張積層板製造において採用できる方法について説明する。最初に、第1の銅張積層板の製造方法として、キャリア箔Cに未処理箔を用いた場合について説明する。かかる場合のキャリア箔付電解銅箔1eは、図8(a)に示す断面形状を持つものである。この図から分かるように、プリプレグと接着することの可能な面は、粗面化処理として、微細銅粒4を付着させた電解銅箔層CFの面のみである。
【0034】
従って、図4で示したようにレイアップし、通常銅箔を使用する場合と同様のプロセスで、当該キャリア箔付電解銅箔1e、プリプレグPP(多層基板の外層銅箔層を形成する場合はプリプレグ及び内層基板)及び鏡板Mを用いてプレス成形して銅張積層板を得ることが可能である。また、当該キャリア箔付電解銅箔を用いることで、内層鏡板を省略してのプレス成形も可能となる。即ち、図9に記載したように、プレス板Pと直接接触する最外層のみに鏡板Mを配し、その2枚の鏡板Mの間に、当該キャリア箔付電解銅箔1eとプリプレグPPとを積層してレイアップするのである。
【0035】
このレイアップしたときの最上層と最下層とには、1枚のキャリア箔付電解銅箔又は通常銅箔が外層箔OFとして配される。そして、レイアップした際のその他の内層に位置する銅箔は、図9の拡大図に示すように、2枚のキャリア箔付電解銅箔1eのキャリア箔C面とキャリア箔C面とを背中あわせにし、電解銅箔層CFの粗面化処理を施した面がプリプレグPPと接触するように配置する。そして、プレス成形終了後の解体作業時に、キャリア箔Cを接合界面層2より剥離させることで、両面基板若しくは多層基板の外層銅箔層の形成が可能となるのである。
【0036】
これに対し、第2の銅張積層板の製造方法として、キャリア箔Cに表面処理箔を用いたキャリア箔付電解銅箔1fの、銅張積層板製造における使用方法について説明する。かかる場合のキャリア箔付電解銅箔1fは、図8(b)に示す断面形状を持つものである。この図から分かる通りに、プリプレグPPと接着することの可能な面は、粗面化処理して微細銅粒4を付着させた面であるから、電解銅箔CF側のみならず、キャリア箔C側にも存在することになる。
【0037】
即ち、2枚の表面処理を施した通常電解銅箔の光沢面同士を貼り合わせた如き形状として、キャリア箔付電解銅箔1fが仕上がるのである。従って、キャリア箔までもが銅張積層板の電解銅箔として使用することができるのである。このような構造を有するが故に、以下のように使用することができるのである。
【0038】
当該キャリア箔付電解銅箔1f、プリプレグPP(多層基板の外層銅箔層を形成する場合はプリプレグ及び内層基板)及び鏡板Mを用いてプレス成形して銅張積層板を得るのであるが、当該キャリア箔付電解銅箔1fを用いることで、内層鏡板を省略してのプレス成形が可能となる。即ち、図10に記載したように、プレス板Pと直接接触する最外層のみに鏡板Mを配し、その2枚の鏡板Mの間に、当該キャリア箔付電解銅箔1fとプリプレグPPとをレイアップするのである。
【0039】
このレイアップしたときの最上層と最下層とには、1枚のキャリア箔付電解銅箔又は通常銅箔が外層箔OFとして配される。そして、レイアップした際のその他の内層に位置する銅箔は、図10の拡大図に示すように、当該キャリア箔付電解銅箔1fの両面にプリプレグPPを配置する。このようにして、プレス成形することで、鏡板Mを用いることなく成形可能となる。そして、プレス成形終了後の解体作業時に、キャリア箔付電解銅箔1fの接合界面層2より剥離させることで、両面基板若しくは多層基板の外層銅箔層の形成が可能となるのである。この方法によれば、一切スクラップとなるものが発生しないと言う利点も併せ持つものである。
【0040】
以上に述べた本件発明に係るキャリア箔付電解銅箔1a〜1fの使用方法は、キャリア箔付電解銅箔の接合界面層2の引き剥がし強度を、高温プレス加工後にも低く維持でき、しかも安定化させることができるようになって、初めて実現可能なプレス成形方法である。よって、本件発明に係るキャリア箔付電解銅箔1a〜1fがもたらす有用な効果は、プリント配線板業界にとっては非常に大きな影響を与えるものであり、銅張積層板の製造コストの低減に大きく寄与するものと言えるのである。
【0041】
このとき、キャリア箔Cとした電解銅箔の光沢面に析出形成した電解銅箔層の厚さを極薄のものとしていれば、その極薄銅箔を貼り付けた銅張積層板を用いて、50μm程度のピッチを有する回路を形成する場合に、銅箔部のエッチング時間を極めて速くすることができ、アスペクト比が非常に良好な微細回路の形成が可能となる。
【0042】
更に、キャリア箔Cとして用いる電解銅箔の粗面上に、クロム化合物系接合界面層2を形成し、そのクロム化合物系接合界面層2上に銅を電解析出させ、その析出銅層を電解銅箔として用いるキャリア箔付電解銅箔とすることもできる。ここで用いるキャリア箔には、前述した未処理箔を用いるものである。図11に、このキャリア箔付電解銅箔1gの断面模式図を示している。この図11から分かるように、極薄の電解銅箔層は、キャリア箔Cである電解銅箔の粗面の凹凸形状に沿って形成されている。即ち、電解銅箔層CFは波打った形状を持つものとなっている。
【0043】
従って、このキャリア箔付電解銅箔1gを用いて銅張積層板を製造すると、波打った形状をそのまま維持してプレス成形されたものとなる。この形状が微細回路を形成する上で、非常に有用に作用するのである。なお、このキャリア箔付電解銅箔1gを用いて銅張積層板を製造する際のレイアップ方法については、図3及び図4に記載したと同様の手法であるため、重複した記載は省略するものとする。
【0044】
微細回路の形成を行うために必要な電解銅箔に求められる要因を大まかに捉えれば、▲1▼良好なエッチングレジストとの密着性の確保、▲2▼良好な露光状態の確保、▲3▼速いエッチング時間、▲4▼その他基材との間での引き剥がし強度(耐薬品性等を含む)等の物理的特性が考えられる。ここに言う諸特性のほとんどが良好なものとなるが、中でも、波打った形状を持つ電解銅箔は、良好なエッチングレジストとの密着性の確保と、良好な露光状態の確保に主に寄与するものである。
【0045】
波打った形状を持つ電解銅箔を、銅張積層板に用いることで、各種レジスト類と電解銅箔表面との密着性が向上する。例えば、エッチングレジストとの密着性が向上すれば、銅箔とエッチングレジストとの接合界面に対するエッチング液の侵入を防止でき、良好なアスペクト比を持つ回路断面の形成が可能となるため、インピーダンスコントロール等を考慮した微細回路の形成が容易になる。また、波打った表面形状を持つことにより、通常のフラットな光沢面にくらべ、艶消しに近い光沢となっている。この結果、エッチングパターンのエッチングレジストに対し、露光時の露光光の余分な散乱を抑制することが可能であり、回路パターンのエッジ部での、いわゆる露光ボケの影響を軽減することができるのである。更に、レーザー穴明け加工性を改善することも可能となるのである。
【0046】
この結果、通常の電解銅箔を使用して50μmピッチレベルの微細回路を形成した際に見られる回路断面のアスペクト比の悪化を防止し、理想的なアスペクト比を持つ回路形成が可能となる。しかも、エッチングレジストの露光ボケが少ないため、形成回路のエッジ部の直線安定性が向上し、微細回路の形成を容易なものとできる。形成回路のエッジ部の直線安定性が向上するということは、エッチングで形成した回路の上部エッジ部及び下部エッジ部の直線性が優れていること、及びプリント配線板への部品実装に用いるランド部等の円形回路部のエッジ形状等の形成回路全体のエッジ部が滑らかであることを意味している。即ち、回路の直線安定性が優れるため、プリント配線板として使用する際に発生する可能性のある銅マイグレーションの抑制、高周波信号を用いた場合の回路エッジ部の突起部からの放電現象の解消等も可能となるといえる。
【0047】
以上に述べた本件発明に係るキャリア箔付電解銅箔1a〜1gの使用方法は、前述したと同様に、キャリア箔付電解銅箔1a〜1gの接合界面層2の引き剥がし強度を低く維持し、しかも安定化させることができるようになり、初めて実現可能なプレス成形方法である。
【0048】
なお、ここで、確認的に記載しておくが、図面中に示したキャリア箔付電解銅箔は、特殊な用途は別として、銅張積層板及びプリント配線板用途に使用する場合には、電解銅箔層CFの外表面には、微細銅粒4を均一に付着させて用いるものである。これは、一般の電解銅箔の樹脂基材との貼り合わせ面に形成するものと同様の微細銅粒であり、接着した基材に対するアンカー効果を得て、容易に電解銅箔が基材から剥離しないようにするものである。また、通常は、電解銅箔層の外層部には防錆処理層等を施しているが、非常に薄い膜であるため、図面中では記載を省略している。
【0049】
続いて、以下に本件発明に係るキャリア箔付電解銅箔の製造方法に関して、図12を参照しつつ説明する。本件発明に係るキャリア箔付電解銅箔の製造方法において、以下に示す工程を備えたことを特徴としたキャリア箔付電解銅箔の製造方法を開示している。第1の製造方法は、▲1▼ キャリア箔を酸洗洗浄する。 ▲2▼酸洗洗浄の終了したキャリア箔を、クロム濃度が0.1g/l〜2.0g/l、pH2.5以上、浴温20℃〜40℃のクロム酸(CrO)溶液中で、電流密度0.05A/dm〜3.00A/dmで電解することにより、キャリア箔の表面にクロム化合物系接合界面層を形成する。 ▲3▼ 当該クロム化合物系接合界面層の表面に電解銅箔層を形成することで、キャリア箔付電解銅箔とするのである。
【0050】
▲1▼の工程として、最初に行うキャリア箔の酸洗処理(以上及び以下において、「キャリア酸洗処理」と称する。)は、キャリア箔に付いた油脂成分を完全に除去する脱脂処理及び金属箔を用いた場合の表面酸化被膜除去を目的に行うものである。この酸溶液にキャリア箔を通過させることで、キャリア箔の清浄化を図り、以下の工程での均一付着性及び電着性等を確保するのである。この酸洗処理には、塩酸系溶液、硫酸系溶液、硫酸−過酸化水素系溶液等種々の溶液を用いることが可能で、特に限定する必要性はない。そして、その溶液濃度や液温等に関しては、生産ラインの特質に応じて調整すれば足りるものである。
【0051】
▲2▼の工程として、キャリア酸洗処理の後に行われる接合界面層の形成は、クロム濃度が0.1g/l〜2.0g/l、pH2.5以上、浴温20℃〜40℃のクロム酸(CrO)溶液中で、電流密度0.05A/dm〜3.00A/dmで電解することにより、キャリア箔の表面にクロム化合物系接合界面層を形成するのである。ここで、前記溶液のpH調整には、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリを用いるものとした。ここに示した溶液組成及び条件で、キャリア箔をカソード分極して、クロム化合物系接合界面層を形成すると、金属クロムを含まず、酸化クロム、水酸化クロム及びクロム酸塩からなるものとなるのである。
【0052】
ここで、クロム濃度を0.1g/l〜2.0g/lとしたのは、クロム濃度が0.1g/l未満となると、クロム化合物の成長速度が遅くなり、工業的に使用できるものとならない。一方で、クロム濃度が2.0g/lを越えると、メッキ液の廃液処理に多大な費用が掛かるようになり、また濃度が高いほど電着速度自体は速くなるが、金属クロムも同時に析出するようになると共に、厚さの薄いクロム化合物系接合界面層の析出量制御が困難となるのである。
【0053】
そして、pH2.5以上としたのは、pHの値が最も大きく金属クロムの析出に係わる因子であり、この値の範囲で金属クロムの析出を最も効果的に防止できるのであり、この値より酸性になると、金属クロムの析出が起こりやすくなるのである。
【0054】
次に電流密度は、0.05A/dm〜3.00A/dmを採用することが好ましい。本件発明で用いる溶液は、そこに含有されるクロム濃度が、比較的に薄いため、3.00A/dm を越えた電流密度を採用しても、これ以上の電流密度領域では、主に水素の還元反応が優先し、クロム化合物系接合界面層の形成の促進には繋がらないのである。これに対し、0.05A/dm 未満の電流密度を採用すると、酸化クロム、水酸化クロム及びクロム酸塩の析出速度が極めて遅くなり、工業的観点から使用できるものとはならないのである。
【0055】
更に、液温に関しては、工程の特質、溶液品質の安定性等を考慮して、原則として実施する者が任意に決定できるものである。ところが、本件発明では、工程での溶液管理の容易性、溶液寿命等の諸要因を考慮するとともに、上述した条件との組み合わせにおいて、金属クロムの析出を防止して、酸化クロム、水酸化クロム及びクロム酸塩のみを析出させるに適した液温を採用しなければならない。このような観点から液温を20℃〜40℃としたのである。
【0056】
▲3▼の工程として、当該クロム化合物系接合界面層の表面に電解銅箔層を形成するのである。最初に、電解銅箔層が微細銅粒のみで構成されたキャリア箔付電解銅箔を除き、バルク銅層の形成が行われる。バルク銅層の形成を行う場合に用いる銅電解液は、直接、硫酸銅溶液等の酸性溶液を用いると、クロム化合物系接合界面の損傷が激しいため、濃度が銅30〜100g/l、硫酸50〜200g/l、液温30〜80℃の硫酸銅溶液を用いる場合には、硫酸銅電解液に浸漬したと同時に初期の銅電着を迅速に行うため、少なくとも最初の段階では、10A/dm以上に電流密度を上げて高速電解を行う必要がある。このようにすれば、クロム化合物接合界面層上に、その他の金属層又は金属合金層を設けずに、安定した引き剥がし特性を備えたキャリア箔付電解銅箔が製造可能である。
【0057】
これに対し、ピロ燐酸銅系溶液等のアルカリ性の銅イオン供給源として使用可能な溶液を用いるのであれば、クロム化合物系接合界面層の損傷を免れる。例えば、ピロ燐酸銅溶液であれば、Cu・3HOが30〜85g/l、Kが100〜300g/l、pH8〜11、液温35〜50℃、電流密度0.5〜10A/dmの条件とする等である。また、バルク銅層の形成は、最初にアルカリ性銅電解液を用い薄いバルク銅層を形成し、その後、酸性銅電解液を用いてバルク銅層の目的厚さに成長させることも可能である。ここでは、当該溶液中に、接合界面層を形成したキャリア箔を浸漬し、接合界面層を形成したキャリア箔の面に対しアノード電極を平行配置し、キャリア箔自体をカソード分極することで、バルク銅層を形成する銅成分を接合界面層上に均一且つ平滑に電析させるのである。
【0058】
そして、バルク銅層の形成が終了すると、次にはバルク銅層の表面に微細銅粒を形成するのである。微細銅粒を付着させる場合には、バルク銅層の上に微細銅粒を析出付着させ、その後、この微細銅粒の脱落を防止するための被せメッキを行うのが一般的である。なお、電解銅箔層を微細銅粒のみで構成する場合には、電解銅箔層の形成が、バルク銅層の形成を省略し、この工程から始まることになる。
【0059】
バルク銅層の上に微細銅粒を析出付着させるには、酸性、アルカリ性を問わず一般的な銅電解液を用いることができる。但し、バルク銅の形成槽内で用いられる電解条件は平滑メッキ条件が採用されるのに対し、ここでの電解条件はヤケメッキの条件が採用される。従って、一般的にバルク銅層の上に微細銅粒を析出付着させる工程で用いる溶液濃度は、バルク銅の形成層内で用いる溶液濃度に比べ、ヤケメッキ条件を作り出しやすいよう、低い濃度となっている。このヤケメッキ条件は、特に限定されるものではなく、生産ラインの特質を考慮して定められるものである。例えば、硫酸銅系溶液を用いるのであれば、濃度が銅5〜20g/l、硫酸50〜200g/l、その他必要に応じた添加剤(α−ナフトキノリン、デキストリン、ニカワ、チオ尿素等)、液温15〜40℃、電流密度10〜50A/dmの条件とする等である。
【0060】
そして、微細銅粒の脱落を防止するための被せメッキを必要とする場合には、析出付着させた微細銅粒の脱落を防止するために、平滑メッキ条件で微細銅粒の形状を消失させない程度に被覆するように銅を均一析出させるのである。従って、この平滑メッキ条件は、特に限定されるものではなく、生産ラインの特質を考慮して定められるものである。例えば、硫酸銅系溶液を用いるのであれば、濃度が銅50〜80g/l、硫酸50〜150g/l、液温40〜50℃、電流密度10〜50A/dmの条件とする等である。
【0061】
上述のようにして、キャリア箔付電解銅箔の基本的構成が出来上がると、通常は次に防錆処理が施される。この防錆処理は、銅張積層板及びプリント配線板の製造過程で支障をきたすことの無いよう、電解銅箔層の表面が酸化腐食することを防止し、高温耐熱性等を付与するためのものである。防錆処理としては、ベンゾトリアゾール、イミダゾール等を用いる有機防錆、若しくは亜鉛、クロメート、亜鉛合金等を用いる無機防錆のいずれを採用しても問題はない。キャリア箔付電解銅箔の使用目的に合わせた防錆を選択すればよい。有機防錆の場合は、有機防錆剤を浸漬塗布、シャワーリング塗布、電着法等の手法を採用することが可能となる。
【0062】
無機防錆の場合は、電解で防錆元素を電解銅箔層の表面上に析出させる方法、その他いわゆる置換析出法等を用いることが可能である。例えば、亜鉛防錆処理を行うとして、ピロ燐酸亜鉛メッキ浴、シアン化亜鉛メッキ浴、硫酸亜鉛メッキ浴等を用いることが可能である。例えば、ピロ燐酸亜鉛メッキ浴であれば、濃度が亜鉛5〜30g/l、K50〜500g/l、液温20〜50℃、pH9〜12、電流密度0.3〜10A/dmの条件とする等である。
【0063】
防錆処理が終了すると、水洗して、乾燥処理することで、完成したキャリア箔付電解銅箔となるのである。なお、各工程間には、適宜、水洗出来るような手段を設けて、前工程の溶液の後工程への持ち込みを防止する操作は、当然のものであるため、製造フローの説明としては、敢えて明記していない。
【0064】
第2の製造方法として、▲1▼キャリア酸洗処理を行う。 ▲2▼キャリア酸洗処理の終了したキャリア箔を、クロム濃度が0.1g/l〜2.0g/l、pH2.5以上、浴温20℃〜40℃のクロム酸溶液中で、電流密度0.05A/dm〜3.00A/dmで電解することにより、キャリア箔の表面にクロム化合物系接合界面層を形成する。 ▲3▼クロム化合物系接合界面層中のクロム量を調整することを目的に酸洗処理を行う(以上及び以下において、「接合界面酸洗処理」と称する。)。 ▲4▼当該クロム化合物系接合界面層の表面に電解銅箔層を形成することで、キャリア箔付電解銅箔とするのである。この製造フローを、図13に示している。
【0065】
この第2の製造方法が、第1の製造方法と異なるのは、クロム化合物系接合界面層の形成直後に、当該クロム化合物系接合界面層のクロム化合物の付着量を調整すると共に、当該クロム化合物系接合界面層の表面を意図的に粗化しキャリア箔の引き剥がし強度を調整するための接合界面酸洗処理を行う点である。従って、その他の工程に関しては、上述したと同様であるため、重複した記載を避けるため説明を省略するものとする。
【0066】
接合界面酸洗処理に使用する酸は任意のもので良く、例えば硫酸、硝酸、燐酸等が挙げられる。処理条件は使用する酸の種類、濃度、液温、処理時間、攪拌の有無等で異なり、工程に合わせて任意の条件を選択使用すれば足りるのである。具体的な一例を挙げれば、硫酸濃度が60g/l〜70g/l、液温35〜40℃の溶液を用いて、この溶液と一旦形成したクロム化合物系接合界面層とを、除去するクロム量に応じて必要な時間だけ接触させることにより行うのである。なお、接合界面酸洗処理を行ったクロム化合物系接合界面と、当該接合界面酸洗処理を行っていないクロム化合物系接合界面とを区別するため、前者のクロム化合物系接合界面の処理後表面を、図13では波線で表している。
【0067】
以上に述べた工程を経て、本件発明に係るキャリア箔付電解銅箔の製造が行われるのである。そして、これらのキャリア箔付電解銅箔は、主にプリント配線板製造の基礎材料として用いられる銅張積層板に加工されることとなる。ここでいう銅張積層板とは、片面基板、両面基板及び多層基板の全ての層構成の概念を含み、しかも基材材質は、リジット系の基板に限らず、いわゆるTAB、COF等の特殊基板をも包含するフレキシブル基板、ハイブリッド基板等の全てを含むものである。
【0068】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るキャリア箔付電解銅箔の製造方法を用いて、キャリア箔付電解銅箔を製造した。そして、銅張積層板にプレス成形した後のキャリア箔の電解銅箔層からの引き剥がし強度及びその安定性を確認するため、得られたキャリア箔付電解銅箔にプレス成形と同等の加熱処理を行い、加熱後のキャリア箔の引き剥がし強度を測定し、その結果を示すこととする。ここではキャリア箔に電解銅箔を用いた場合を中心に説明するものとする。
【0069】
第1実施形態: 本実施形態においては、キャリア箔Cに35μm厚のグレード3に分類される粗化処理及び防錆処理を行っていない電解銅箔を用い、図12に示した手順でキャリア箔付電解銅箔1aを製造した。以下、各工程の順序に従って説明を行う。
【0070】
最初にキャリア酸洗処理工程で、キャリア箔Cの酸洗処理を行った。酸洗処理槽の内部に、濃度150g/l、液温30℃の希硫酸溶液を満し、この中にキャリア箔Cが30秒浸漬されるようにして、キャリア箔Cに付いた油脂成分を除去し、表面酸化被膜の除去を行った。
【0071】
このキャリア酸洗処理の終了したキャリア箔Cの片面に、クロム化合物系接合界面層2を形成した。このクロム化合物系接合界面層2の形成は、酸洗処理が終了し水洗されたキャリア箔Cの表面に、クロム濃度が0.5g/l、pH12.0、浴温30℃のクロム酸(CrO)溶液中で、電流密度1.5A/dmで、5秒間電解することにより行い、その後水洗を施した。ここで得られたクロム化合物系接合界面層2をESCA(X線光電子分析装置)を用いて、平面内及び深さ方向の3次元方向において、クロム化合物系接合界面層2を分析した結果、そこには金属クロムは見られず、クロム酸化物、クロム水酸化物及びクロム酸塩のみが含有されていることが確認できた。また、このクロム化合物系接合界面層2に含まれたクロム量は1.2mg/mであった。
【0072】
クロム化合物系接合界面層2の形成が終了すると、キャリア箔Cに形成したクロム化合物系接合界面層2の上に、電解銅箔層CFを構成するバルク銅層3を形成した。バルク銅層3の形成は、銅電解槽内に、銅濃度65g/l、硫酸濃度70g/l、液温40℃の硫酸銅溶液を満たした。そして、電流密度25A/dmの平滑メッキ条件で電解し、5μm厚のバルク銅層3をキャリア箔Cの片面側のクロム化合物系接合界面層2上に形成した。
【0073】
バルク銅層3の形成が終了すると、次にはバルク銅層3の表面に粗化処理を施した。粗化処理は、まず微細銅粒4をバルク銅層3に付着形成し、更に、微細銅粒4の脱落を防止するための被せメッキを行った。
【0074】
微細銅粒4の付着形成は、硫酸銅溶液であって、硫酸濃度が100g/l、銅濃度が12g/l、液温25℃の銅電解液を用い、電流密度15A/dmのヤケメッキ条件で10秒間電解することにより行った。
【0075】
そして、被せメッキは、硫酸銅溶液であって、硫酸濃度150g/l、銅濃度65g/l、液温45℃の銅電解液を用い、電流密度15A/dmの平滑メッキ条件で20秒間電解することにより行った。
【0076】
粗化処理が終了すると、キャリア箔Cと粗化処理の終了した電解銅箔面の腐食防止を目的として、防錆処理工程で、電解法により亜鉛を両面に析出させることで防錆処理を行った。ここでの亜鉛を電析させる条件は、硫酸亜鉛浴を用い、硫酸濃度70g/l、亜鉛濃度20g/lの濃度とし、液温40℃、電流密度15A/dmの条件を採用した。ここまでの工程を経て、キャリア箔付電解銅箔1を製造した。
【0077】
最終的に防錆処理が終了すると、水洗し、最終的に乾燥することにより完成したキャリア箔付電解銅箔1aが得られた。
【0078】
このキャリア箔付電解銅箔1aの、キャリア箔層Cと電解銅箔層CFとの引き剥がし強度を測定した。以下に示す本件明細書における各実施形態の引き剥がし強度の値は、全て10ロット分の平均値であり、引き剥がし強度の安定性を対比する指標として10ロット測定したときの引き剥がし強度の標準偏差を示した。その結果、当該引き剥がし強度は加熱前22gf/cm(標準偏差2.51gf/cm)、250℃で1時間加熱後は25gf/cm(標準偏差2.73gf/cm)、300℃で1時間加熱後は30gf/cm(標準偏差3.11gf/cm)であった。これらの値を、以下に述べる比較例と対比して判断するに、高温プレス加工前後の工程におけるハンドリングによるキャリア箔Cの誤剥離が十分に防止できる信頼性を確保し、加熱後も極めて容易に手作業でキャリア箔の除去が可能で、しかも、標準偏差が著しく小さくなっていることから従来のキャリア箔付電解銅箔の持つ品質安定性を遙かに超えた理想的な製品であることが分かるのである。
【0079】
第2実施形態: 本実施形態においては、キャリア箔Cに35μm厚のグレード3に分類される粗化処理及び防錆処理を行っていない電解銅箔を用い、図13に示した手順でキャリア箔付電解銅箔1aを製造した。以下、各工程の順序に従って説明を行う。但し、本実施形態においては、キャリア箔Cに35μm厚のグレード3に分類される粗化処理及び防錆処理を行っていない電解銅箔を用い、酸洗処理、クロム化合物系接合界面層2の形成、バルク銅層の形成、微細銅粒形成、被せメッキ、防錆処理の各工程に関しては、第1実施形態と同様の方法で行った。従って、これらの説明の内、重複した記載となることを避けるため、以下の異なる内容に関してのみ説明する。
【0080】
図13に記載の製造フローから分かるように、第1実施形態の接合界面層形成工程とバルク銅層形成工程との間に、接合界面酸洗処理工程を設けたものである。第1実施形態と異なるのは、接合界面層形成の条件、及び、この接合界面酸洗処理工程を新たに設けた点である。よって、これらに関してのみ説明する。
【0081】
キャリア酸洗処理の終了したキャリア箔Cの片面に、クロム化合物系接合界面層2を形成した。このクロム化合物系接合界面層2の形成は、酸洗処理が終了し水洗されたキャリア箔Cの表面に、クロム濃度が0.5g/l、pH12.0、浴温30℃のクロム酸(CrO)溶液中で、電流密度1.5A/dmで、30秒間電解することにより行い、その後水洗した。ここで得られたクロム化合物系接合界面層2をESCA(X線光電子分析装置)を用いて、平面内及び深さ方向の3次元方向において、クロム化合物系接合界面層2を分析した結果、そこには金属クロムは見られず、クロム酸化物、クロム水酸化物及びクロム酸塩のみが含有されていることが確認できた。また、このクロム化合物系接合界面層2に含まれたクロム量は3.2mg/mであった。
【0082】
クロム化合物系接合界面層2の形成が終了すると、接合界面酸洗処理として硫酸濃度が10g/l、液温30℃の硫酸溶液中に30秒間浸漬し、クロム化合物系接合界面層2の一部を溶解させ、クロム化合物系接合界面層2の表面形状に粗さを付けると共に、クロム化合物系接合界面層2のクロム量を1.8mg/mに調整したのである。
【0083】
以下、第1実施形態と同様の方法で、バルク銅層の形成、微細銅粒形成、被せメッキ、防錆処理の各工程を行い、水洗し、最終的に乾燥することにより完成したキャリア箔付電解銅箔1aが得られた。
【0084】
このキャリア箔付電解銅箔1aの、キャリア箔層Cと電解銅箔層CFとの引き剥がし強度を測定した。その結果、当該引き剥がし強度は加熱前14gf/cm(標準偏差2.01gf/cm)、250℃で1時間加熱後は17gf/cm(標準偏差2.36gf/cm)、300℃で1時間加熱後は21gf/cm(標準偏差2.82gf/cm)であった。これらの値を、以下に述べる比較例と対比して判断するに、高温プレス加工後のハンドリングによるキャリア箔Cの誤剥離が十分に防止できる信頼性を確保し、加熱後も極めて容易に手作業でキャリア箔の除去が可能で、しかも、標準偏差が著しく小さくなっていることから従来のキャリア箔付電解銅箔の持つ品質安定性を遙かに超えた理想的な製品であることが分かるのである。
【0085】
第3実施形態: 本実施形態においては、キャリア箔Cに35μm厚のグレード3に分類される粗化処理及び防錆処理を行っていない電解銅箔を用い、図13に示した手順でキャリア箔付電解銅箔1aを製造した。即ち、キャリア箔Cに35μm厚のグレード3に分類される粗化処理及び防錆処理を行っていない電解銅箔を用い、酸洗処理、クロム化合物系接合界面層2の形成(この工程は第2実施形態と同様)、接合界面酸洗処理、バルク銅層の形成、微細銅粒形成、被せメッキ、防錆処理の各工程をフローしている。そして、クロム化合物系接合界面層2の形成工程のみが第2実施形態と同様であり、バルク銅層形成工程を除きその他の該当する工程に関しては、第1実施形態と同様の方法で行った。従って、これらの説明の内、新たな条件を採用したのは、接合界面酸洗処理及びバルク銅層形成工程であり、以下にこの点のみ説明する。
【0086】
図13に記載の製造フローでクロム化合物系接合界面層2を形成した後に、接合界面酸洗処理として硫酸濃度が70g/l、液温40℃の硫酸溶液中に30秒間浸漬し、クロム化合物系接合界面層2の一部を溶解させ、クロム化合物系接合界面層2の表面形状に粗さを付けると共に、クロム化合物系接合界面層2のクロム量を1.7mg/mに調整したのである。
【0087】
そして、バルク銅層の形成を行ったのであるが、本実施形態におけるバルク銅層の形成は、最初にアルカリ性銅電解液を用い0.1〜1.0μmの薄いバルク銅層を形成し、その後、酸性銅電解液を用いて目的厚さのバルク銅層に成長させる方法を採用した。従って、最初にCu・3HOが60g/l、Kが200g/l、pH10、液温40℃、電流密度1A/dmで90秒間電解し、その後銅濃度が65g/l、硫酸濃度が70g/l、液温40℃、電流密度25A/dmで電解して5μm厚さのバルク銅層とした。
【0088】
以下、第1実施形態と同様の方法で、バルク銅層の形成、微細銅粒形成、被せメッキ、防錆処理の各工程を行い、水洗し、最終的に乾燥することにより完成したキャリア箔付電解銅箔1aが得られた。
【0089】
このキャリア箔付電解銅箔1aの、キャリア箔層Cと電解銅箔層CFとの引き剥がし強度を測定した。その結果、当該引き剥がし強度は加熱前16gf/cm(標準偏差1.68gf/cm)、250℃で1時間加熱後は17gf/cm(標準偏差1.89gf/cm)、300℃で1時間加熱後は19gf/cm(標準偏差2.21gf/cm)であった。これらの値を、以下に述べる比較例と対比して判断するに、高温プレス加工前後の工程におけるハンドリングによるキャリア箔Cの誤剥離が十分に防止できる信頼性を確保し、加熱後も極めて容易に手作業でキャリア箔の除去が可能で、しかも、標準偏差が著しく小さくなっていることから従来のキャリア箔付電解銅箔の持つ品質安定性を遙かに超えた理想的な製品であることが分かるのである。
【0090】
第4実施形態: 本実施形態においては、キャリア箔Cに35μm厚のグレード3に分類される粗化処理及び防錆処理を行っていない電解銅箔を用い、図12に示した手順から、バルク銅層形成工程を抜き、電解銅箔層CFを微細銅粒4のみで構成したキャリア箔付電解銅箔1cを製造した。即ち、キャリア箔Cに35μm厚のグレード3に分類される粗化処理及び防錆処理を行っていない電解銅箔を用い、キャリア酸洗処理、クロム化合物系接合界面層2の形成、微細銅粒形成、被せメッキ、防錆処理の各工程をフローしており、いずれの工程の条件も第1実施形態と同様である。従って、これらの説明の内、新たに説明を要するものは無いと考える。
【0091】
以上のようにして、第1実施形態で示した工程条件を採用して、最終的に完成したキャリア箔付電解銅箔1cが得られた。このキャリア箔付電解銅箔1cの、キャリア箔層Cと微細銅粒のみで構成した電解銅箔層CFとの引き剥がし強度を測定した。その結果、当該引き剥がし強度は加熱前18gf/cm(標準偏差2.46gf/cm)、250℃で1時間加熱後は21gf/cm(標準偏差2.87gf/cm)、300℃で1時間加熱後は25gf/cm(標準偏差2.92gf/cm)であった。これらの値を、以下に述べる比較例と対比して判断するに、プレス加工前後の工程におけるハンドリングによるキャリア箔Cの自然剥離が十分に防止できる信頼性を確保し、加熱後も極めて容易に手作業でキャリア箔Cの除去が可能で、しかも、標準偏差が著しく小さくなっていることから従来のキャリア箔付電解銅箔の持つ品質安定性を遙かに超えた理想的な製品であることが分かるのである。
【0092】
第5実施形態: 本実施形態においては、キャリア箔Cに35μm厚の粗化処理及び防錆処理を行っていない圧延銅箔を用いた。以下、各工程の順序に従って説明を行う。
【0093】
最初にキャリア箔Cである圧延箔を、キャリア酸洗処理し、その表面にクロム化合物系接合界面層2を形成するまでは、第1実施形態と同様の方法で行った。従って、これらの説明は、重複した記載を避けるため、ここでは省略する。但し、本実施形態では、クロム化合物系接合界面層2を当該キャリア箔Cの両面に形成したのである。
【0094】
クロム化合物系接合界面層2の形成が終了すると、キャリア箔Cの両面に電解銅箔層CFを備えたキャリア箔付銅箔1bを製造するため、キャリア箔Cの両面に形成したクロム化合物系接合界面層2の、それぞれの表面に、電解銅箔層CFを構成するバルク銅層3を形成した。バルク銅層3の形成は、銅電解槽内に、硫酸濃度150g/l、銅濃度65g/l、液温45℃の硫酸銅溶液を満たし、電流密度15A/dmの平滑メッキ条件で電解し、5μm厚のバルク銅層3をキャリア箔Cの両面の各々のクロム化合物系接合界面層2上に形成した。
【0095】
両面のバルク銅層3形成が終了すると、次には両面のそれぞれのバルク銅層3の表面に粗化処理を施した。粗化処理は、まず微細銅粒4をバルク銅層3上に付着形成し、更に、微細銅粒4の脱落を防止するための被せメッキを行った。
【0096】
微細銅粒4の付着形成及び被せメッキは、第1実施形態と同様の方法を採用した。従って、重複した記載を避けるため、ここでの説明は省略する。以上のようにして、電解銅箔層CFの形成が終了すると、第1実施形態と同様の方法で、両面に防錆処理を行い、水洗し、最終的に乾燥することにより完成したキャリア箔付電解銅箔1bを得た。
【0097】
このキャリア箔付電解銅箔1bの、キャリア箔層Cと電解銅箔層CFとの引き剥がし強度を測定した。その結果、一面側の当該引き剥がし強度は加熱前23gf/cm(標準偏差2.79gf/cm)、250℃で1時間加熱後は26gf/cm(標準偏差3.07gf/cm)、300℃で1時間加熱後は31gf/cm(標準偏差3.31gf/cm)であった。また、他面側の当該引き剥がし強度は加熱前19gf/cm(標準偏差2.46gf/cm)、250℃で1時間加熱後は23gf/cm(標準偏差2.81gf/cm)、300℃で1時間加熱後は25gf/cm(標準偏差2.99gf/cm)であった。これらの値を、以下に述べる比較例と対比して判断するに、プレス加工前後の工程におけるハンドリングによるキャリア箔Cの自然剥離が十分に防止できる信頼性を確保し、加熱後も極めて容易に手作業でキャリア箔Cの除去が可能で、しかも、標準偏差が著しく小さくなっていることから従来のキャリア箔付電解銅箔の持つ品質安定性を遙かに超えた理想的な製品であることが分かるのである。
【0098】
比較例1: 本比較例においては、第1実施形態におけるクロム化合物系接合界面層中のクロム量を、3.0mg/mを超える値とするため、第1実施形態のクロム化合物系接合界面の形成条件を、次のようにしたのである。
【0099】
キャリア酸洗処理の終了したキャリア箔Cの片面に、クロム化合物系接合界面層2を形成した。このクロム化合物系接合界面層2の形成は、酸洗処理が終了し水洗されたキャリア箔Cを、クロム濃度が0.5g/l、pH12.0、浴温30℃のクロム酸(CrO)溶液中で、電流密度1.5A/dmで、15分間電解することにより、キャリア箔Cの表面にクロム化合物系接合界面層2を形成し、水洗した。そして、このクロム化合物系接合界面層2に含まれるクロム量は3.6mg/mであった。
【0100】
このキャリア箔付電解銅箔の、キャリア箔層と電解銅箔層との引き剥がし強度を測定した。その結果、当該引き剥がし強度は加熱前2gf/cm(標準偏差0.54gf/cm)、250℃で1時間加熱後は2gf/cm(標準偏差0.63gf/cm)、300℃で1時間加熱後は4gf/cm(標準偏差0.87gf/cm)であった。これらの値を、以上に述べた各実施形態と対比して判断するに、標準偏差の値が小さな事から引き剥がし強度のバラツキは小さなものであることが分かる。しかしながら、加熱前及び300℃加熱後においても、キャリア箔の引き剥がし強度が5.0gf/cm以下と、小さすぎるためプレス加工前後の工程において誤剥離を起こすレベルであり、銅張積層板製造の現場において、使用時の作業安全性が確保できるレベルのものではないことが明らかとなるのである。
【0101】
比較例2: 本比較例においては、第1実施形態におけるクロム化合物系接合界面層中のクロム量を、0.5mg/m未満の値とするため、第1実施形態のクロム化合物系接合界面の形成条件を、次のようにしたのである。
【0102】
キャリア酸洗処理の終了したキャリア箔Cの片面に、クロム化合物系接合界面層2を形成した。このクロム化合物系接合界面層2の形成は、酸洗処理が終了し水洗されたキャリア箔Cを、クロム濃度が0.5g/l、pH12.0、浴温30℃のクロム酸(CrO)溶液中で、電流密度0.01A/dmで、30秒間電解することにより、キャリア箔Cの表面にクロム化合物系接合界面層2を形成し、水洗した。そして、このクロム化合物系接合界面層2に含まれるクロム量を0.2mg/mとしたのである。
【0103】
このキャリア箔付電解銅箔の、キャリア箔層と電解銅箔層との引き剥がし強度を測定した。その結果、当該引き剥がし強度は加熱前87gf/cm(標準偏差13.65gf/cm)、250℃及び300℃で1時間加熱後は、引き剥がしが不可能であった。これらの値を、以上に述べた各実施形態と対比して判断するに、標準偏差の値が高く、バラツキが大きなものである事が分かる。また、250℃以上での加熱にも対応できるものでないことも明らかである。従って、銅張積層板製造の現場において、使用環境が低温側のみに制限されると共に、使用時の作業安全性が確保できるレベルのものではないことが明らかとなるのである。
【0104】
比較例3: 本比較例においては、第3実施形態におけるクロム化合物接合界面の形成の変わりに、クロム酸(CrO)が250g/l、HSOが2.5g/l、液温25℃、電流密度10A/dmの条件で、厚さ0.1μmの金属クロム接合界面層を形成したのである。
【0105】
そして、ここで得られたキャリア箔付電解銅箔の、キャリア箔層と電解銅箔層との引き剥がし強度を測定した。その結果、当該引き剥がし強度は加熱前30gf/cm(標準偏差5.32gf/cm)、250℃で1時間加熱後は82gf/cm(標準偏差28.25gf/cm)、300℃で1時間加熱後は328gf/cm(標準偏差70.29gf/cm)であった。これらの値を、以上に述べた各実施形態と対比して判断するに、加熱前の引き剥がし強度は、標準偏差が多少大きくなっているものの、上記実施形態と大きな差は見られない。しかしながら、高温加熱後の引き剥がし強度及び標準偏差は、非常に大きな値となっており、特に300℃加熱後での上昇は著しいものがある。200gf/cmを超える引き剥がし強度となる場合には、引き剥がし作業時に電解銅箔層の破れ等を誘発し、品質上大きな問題を発生させるだけでなく、手作業での引き剥がしが困難となるのである。従って、銅張積層板製造の現場において、使用環境が低温側のみに制限されると共に、使用時の作業安全性が確保できるレベルのものではないことが明らかとなるのである。
【0106】
【発明の効果】
本発明に係るキャリア箔付電解銅箔は、接合界面層の形成にクロム化合物を用いることで、加熱前及び250℃を越える高温加熱後のキャリア箔層と電解銅箔層との界面での剥離が誤剥離を起こさない程度に適正な小さな力で行え、且つ、製品間の品質のバラツキが非常に小さくなる。しかも、本件出願に係るキャリア箔付電解銅箔の製造方法を採用することで、工程変動が起こりにくく、非常に安定した製造プロセスとなるため、製品の製造歩留まりが飛躍的に向上することになるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。
【図2】キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。
【図3】プレス成形時のレイアップ構成を示した模式図。
【図4】プレス成形時のレイアップ構成を示した模式図。
【図5】プレス成形時のレイアップ構成を示した模式図。
【図6】キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。
【図7】キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。
【図8】キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。
【図9】プレス成形時のレイアップ構成を示した模式図。
【図10】プレス成形時のレイアップ構成を示した模式図。
【図11】キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。
【図12】キャリア箔付電解銅箔の製造フローを表す模式図。
【図13】キャリア箔付電解銅箔の製造フローを表す模式図。
【符号の説明】
1a〜1h キャリア箔付電解銅箔
2 接合界面層
3 バルク銅層
4 微細銅粒
C キャリア箔
CF 電解銅箔層

Claims (10)

  1. キャリア箔の片面に、接合界面層を備え、その接合界面層上に電解銅箔層を備えたキャリア箔付電解銅箔において、
    当該接合界面層は、酸化クロム、水酸化クロム及びクロム酸塩からなるクロム化合物系接合界面層であることを特徴とするキャリア箔付電解銅箔。
  2. キャリア箔の両面に、接合界面層を備え、その各々の接合界面層上に電解銅箔層を備えたキャリア箔付電解銅箔において、
    当該接合界面層は、酸化クロム、水酸化クロム及びクロム酸塩からなるクロム化合物系接合界面層であることを特徴とするキャリア箔付電解銅箔。
  3. 前記クロム化合物系接合界面層は、クロム含有量換算で0.5mg/m〜3mg/mである請求項1又は請求項2に記載のキャリア箔付電解銅箔。
  4. 電解銅箔層は、電解法で析出付着させた微細銅粒のみで構成するものである請求項1〜3のいずれかに記載のキャリア箔付電解銅箔。
  5. キャリア箔は、銅箔である請求項1〜請求項4のいずれかに記載のキャリア箔付電解銅箔。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のキャリア箔付電解銅箔の製造方法において、以下に示す工程を備えたことを特徴としたキャリア箔付電解銅箔の製造方法。
    ▲1▼ キャリア箔を酸洗洗浄する。
    ▲2▼ 酸洗洗浄の終了したキャリア箔を、クロム濃度が0.1g/l〜2.0g/l、pH2.5以上、浴温20℃〜40℃のクロム酸溶液中で、電流密度0.05A/dm〜3.00A/dmで電解することにより、キャリア箔の表面にクロム化合物系接合界面層を形成する。
    ▲3▼ 当該クロム化合物系接合界面層の表面に電解銅箔層を形成することで、キャリア箔付電解銅箔とする。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のキャリア箔付電解銅箔の製造方法において、以下に示す工程を備えたことを特徴としたキャリア箔付電解銅箔の製造方法。
    ▲1▼ キャリア箔を酸洗洗浄する。
    ▲2▼ 酸洗洗浄の終了したキャリア箔を、クロム濃度が0.1g/l〜2.0g/l、pH2.5以上、浴温20℃〜40℃のクロム酸溶液中で、電流密度0.05A/dm〜3.00A/dmで電解することにより、キャリア箔の表面にクロム化合物系接合界面層を形成する。
    ▲3▼ クロム化合物系接合界面層中のクロム化合物の付着量を調整することを目的に酸洗処理を行う。
    ▲4▼ 当該クロム化合物系接合界面層の表面に電解銅箔層を形成することで、キャリア箔付電解銅箔とする。
  8. 電解銅箔層の形成は、アルカリ銅メッキ液を用いて電解法で形成するものである請求項6又は請求項7のいずれかに記載のキャリア箔付電解銅箔の製造方法。
  9. 電解銅箔層の形成は、アルカリ銅メッキ液を用いて電解法で0.1〜1.0μm厚さの銅層を形成し、その後酸性銅メッキ液を用いて電解法で銅層を成長させるものである請求項6又は請求項7に記載のキャリア箔付電解銅箔の製造方法。
  10. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のキャリア箔付電解銅箔を用いて得られる銅張積層板。
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