JP2004124212A - メッキ部品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄型にして垂直面の高さが大きなメッキ部品を提供すること、及びかかるメッキ部品を高価かつ大掛かりな装置や複雑なプロセスを用いることなく容易かつ高能率に作製可能な方法を提供すること。
【解決手段】メッキ部品1については、プレート状の薄肉部2と当該薄肉部2の片面より起立された台座状の厚肉部3とからなり、薄肉部2の表裏両面が鏡面で、所定の角隅部に面取り4が施されているという構成にする。製造方法については、メッキ部品1の薄肉部2に相当する浅い第1凹部12とメッキ部品1の厚肉部3に相当する深い第2凹部13とが形成された犠牲基板11の凹部形成面に電気メッキを施して前記各凹部内にメッキ堆積物15を充填し、余剰のメッキ堆積物を除去して所定形状のメッキ部品1を成形した後、犠牲基板11より成形されたメッキ部品1を取り出すという構成にした。
【選択図】 図1
【解決手段】メッキ部品1については、プレート状の薄肉部2と当該薄肉部2の片面より起立された台座状の厚肉部3とからなり、薄肉部2の表裏両面が鏡面で、所定の角隅部に面取り4が施されているという構成にする。製造方法については、メッキ部品1の薄肉部2に相当する浅い第1凹部12とメッキ部品1の厚肉部3に相当する深い第2凹部13とが形成された犠牲基板11の凹部形成面に電気メッキを施して前記各凹部内にメッキ堆積物15を充填し、余剰のメッキ堆積物を除去して所定形状のメッキ部品1を成形した後、犠牲基板11より成形されたメッキ部品1を取り出すという構成にした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、メッキ部品及びその製造方法に係り、特に、エレクトロニクスやオプトエレクトロニクスの分野における精密部品として種々の用途に適用可能な微細メッキ部品とその製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種電子デバイス及び光学デバイス等において、微細メッキを用いた精密加工技術の開発が進展している。例えば電子デバイス関連では、従来から電解鋳造法を用いた精密マスクや各種微細部品が作製されており、最近では、LSIウェハ上にメッキにより再配線を施したり、微小コイルを形成することが盛んに行われている。また、厚膜レジストを用いて形成された狭い開口内にアスベクト比の高いメッキ構造を形成するLIGA法と呼ばれる技術が開発されており、これを用いて例えば光スイッチなどの光学部品用の垂直ミラーが作製されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、これらの方法はいずれもフォトレジストを用いて形成された開口内にメッキ堆積物を充填する方式のものであるため、前記LIGA法においても極度に開口幅を狭めた場合はメッキ液の滞留等により反応が進まず、薄型にして垂直面の高さが大きな垂直ミラーなどのメッキ部品を作製することが難しいという問題がある。また、これらの方法はいずれもワーク全体について加工するものであり、局所領域での選択メッキを行う場合にはきわめて複雑な工程を要するので、垂直ミラーなどのメッキ部品を効率よく作製することが難しいという問題もある。特に、LIGA法は、放射線によりフォトレジストの露光を行う方式であるため、高価かつ大掛かりな装置を必要とし、製品であるメッキ部品の製造コストが高価になる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−23074
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄型にして垂直面の高さが大きなメッキ部品を提供すること、及びかかるメッキ部品を高価かつ大掛かりな装置や複雑なプロセスを用いることなく容易かつ高能率に作製可能な方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の目的を達成するため、メッキ部品については、メッキ堆積物をもって一体に形成され、薄肉部と当該薄肉部の片面より起立された厚肉部とを有するという構成にした。
【0007】
このように、薄肉部と当該薄肉部の片面より起立された厚肉部とを有するメッキ部品をメッキ堆積物をもって一体に形成すると、薄肉部と厚肉部との間に継ぎ目が形成されないので、この種のメッキ部品の精度及び強度を高めることができる。また、機械加工などによって薄肉部と厚肉部とを有する部品を製造する場合に比べて所望形状のメッキ部品を容易に製造することができるので、この種の部品の製造コストを低減することができる。さらに、メッキ部品を例えばデバイス基板等に取り付ける際に厚肉部を台座として利用することができるので、デバイス基板等に対するメッキ部品の組立性を高めることができる。
【0008】
また、前記構成のメッキ部品において、前記薄肉部及び前記厚肉部に形成される各角隅部の全部又は一部に面取りが施されているという構成にした。
【0009】
このように、薄肉部及び厚肉部に形成される各角隅部の全部又は一部に面取りを施すと、製造段階及び組立段階におけるメッキ部品の取り扱いを容易なものにすることができるので、この種のメッキ部品の生産性及び組立性を高めることができる。
【0010】
また、前記構成のメッキ部品において、前記薄肉部及び前記厚肉部を構成する各面のうち、少なくとも前記薄肉部の片面が鏡面仕上げされているという構成にした。
【0011】
このように、少なくとも薄肉部の片面を鏡面仕上げすると、当該鏡面仕上げされた面を例えば光スイッチ等の垂直ミラーとして利用できるので、この種のメッキ部品の適用範囲を広げることができる。
【0012】
また、前記構成のメッキ部品において、前記薄肉部をプレート状に形成するという構成にした。
【0013】
このように、薄肉部をプレート状に形成すると、当該プレート状に形成された面を例えば光スイッチ等の垂直ミラーとして利用できるので、この種のメッキ部品の適用範囲を広げることができる。
【0014】
一方、本発明は、前記の目的を達成するため、メッキ部品の製造方法については、犠牲基板の片面に第1凹部を形成すると共に、前記第1凹部の底面に前記第1凹部の深さよりも大きな開口幅を有する第2凹部を形成する工程と、前記犠牲基板の凹部形成面にメッキを施し、前記第1凹部内及び前記第2凹部内にメッキ堆積物を充填する工程と、余剰の前記メッキ堆積物を除去し、前記第1凹部内に充填された前記メッキ堆積物の厚みを調整する工程と、前記犠牲基板より前記第1凹部内及び前記第2凹部内に充填されたメッキ堆積物よりなるメッキ部品を取り出す工程とを含むという構成にした。
【0015】
このように、犠牲基板の片面に第1凹部と当該第1凹部の深さよりも大きな開口幅を有する第2凹部を形成し、これら第1凹部内及び第2凹部内にメッキ堆積物を充填すると、浅い第1凹部をもってメッキ部品の薄肉部を形成することができるので、犠牲基板にLIGA法におけるような開口幅が小さくて深い凹部を形成する必要がなく、アスペクト比の高い薄肉部を有するメッキ部品を容易かつ精密に製造することができる。また、LIGA法を用いる場合のように高価かつ大掛かりな装置や複雑なプロセスを用いる必要がないので、所要形状のメッキ部品を高能率に製造することができる。さらに、犠牲基板の片面に第1凹部を形成すると共に、当該第1凹部の底面に第2凹部を形成するので、薄肉部と当該薄肉部の片面より起立された厚肉部とを有するメッキ堆積物からなるメッキ部品を得ることができる。
【0016】
また、前記構成のメッキ部品の製造方法において、導電性材料をもって前記犠牲基板を形成し、当該犠牲基板を一方の電極として前記メッキ堆積物の充填を行うという構成にした。
【0017】
このように、導電性材料をもって犠牲基板を形成し、当該犠牲基板を一方の電極としてメッキ堆積物の充填を行うと、犠牲基板に何ら前処理を行う必要がないので、メッキ部品の製造を容易化することができる。
【0018】
また、前記構成のメッキ部品の製造方法において、非導電性材料をもって前記犠牲基板を形成し、前記第1凹部及び前記第2凹部の形成後、前記メッキ堆積物の充填前に、前記犠牲基板の凹部形成面に給電膜の形成を行い、当該給電膜を一方の電極として前記メッキ堆積物の充填を行うという構成にした。
【0019】
このように、非導電性材料をもって犠牲基板を形成すると、犠牲基板材料としてガラスやファインセラミックそれにプラスチックを用いることができるので、犠牲基板の低コスト化ひいては製品であるメッキ部品の低コスト化を図ることができる。
【0020】
また、前記構成のメッキ部品の製造方法において、前記余剰のメッキ堆積物の除去を機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せにより行うという構成にした。
【0021】
このように、余剰のメッキ堆積物の除去を機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せにより行うと、余剰のメッキ堆積物を効率よく除去することができるので、メッキ部品の製造時間を短縮することができ、メッキ部品の低コスト化を図ることができる。また、研磨面を鏡面仕上げすることもできるので、光スイッチに適用される垂直ミラー等の製造を容易に行うことができる。
【0022】
また、前記構成のメッキ部品の製造方法において、前記機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せにより、前記メッキ堆積物の研磨面を鏡面仕上げするという構成にした。
【0023】
このように、機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せによりメッキ堆積物の研磨面を鏡面仕上げすると、余剰メッキ堆積物の除去と薄肉部の厚み調整と鏡面の形成とを一連の研磨加工によって同時に行うことができるので、ミラー面を有するメッキ部品の製造を容易化することができ、この種のメッキ部品の製造コストを低減することができる。
【0024】
また、前記構成のメッキ部品の製造方法において、前記犠牲基板の片面に前記第1凹部及び前記第2凹部を形成する工程で、前記第1凹部の底面及び/又は前記第2凹部の底面を鏡面仕上げするという構成にした。
【0025】
このように、第1凹部の底面及び/又は第2凹部の底面を鏡面仕上げすると、各凹部内にメッキ堆積物を充填するだけで鏡面を有するメッキ部品を製造することができるので、光スイッチに適用される垂直ミラー等の製造を容易に行うことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、光通信などの分野に適用される垂直ミラーを例にとって、本発明に係るメッキ部品及びその製造方法の実施形態を説明する。
【0027】
図1に示すように、本例のメッキ部品1は、プレート状の薄肉部2と当該薄肉部2の片面より起立された台座状の厚肉部3とからなり、薄肉部2の表裏両面が鏡面に仕上げられている。このメッキ部品1は、例えばニッケル、銅、銀、亜鉛、スズ、クロム又は鉄などの金属材料若しくはこれらの金属材料群より選択された1種の金属材料に他の金属材料又は非金属材料が添加された合金材料からなるメッキ堆積物をもって一体に形成されており、前記薄肉部2と前記厚肉部3との間には継ぎ目が形成されていない。また、本例のメッキ部品1には、厚肉部3が突出されない一面の角隅部を除く各角隅部に、それぞれ面取り4が施されている。なお、図1の例においては、曲面状の面取り4が施されているが、かかる構成に代えて斜面状の面取りを施すこともできる。
【0028】
本例のメッキ部品1は、図2に示すように、厚肉部3の裏面を例えばデバイス基板5の表面に接着し、薄肉部2をデバイス基板5に対して垂直に設定することによって、光通信機器における垂直ミラーなどとして使用される。
【0029】
このように、本例のメッキ部品1は、薄肉部2をプレート状に形成し、かつ、当該薄肉部2の表裏両面を鏡面に仕上げたので、例えば光通信機器に備えられる光スイッチの垂直ミラー等として利用することができる。そして、本例のメッキ部品1は、薄肉部2と当該薄肉部2の片面より起立された厚肉部3とを有するメッキ部品1をメッキ堆積物をもって一体に形成したので、薄肉部2と厚肉部3との間に継ぎ目が形成されず、薄肉部2と厚肉部3とを何らかの継手を介して接続する構成のメッキ部品に比べて精度及び強度を高めることができる。また、機械加工などによって薄肉部2と厚肉部3とを有する部品を製造する場合に比べて所望形状の部品を容易に製造することができるので、この種の部品の製造コストを低減することができる。また、メッキ部品1をデバイス基板5等に取り付ける際に、厚肉部3を台座として利用することができるので、デバイス基板5等に対するメッキ部品1の組立性を高めることができる。さらに、メッキ部品1の角隅部に面取り4を施したので、製造段階及び組立段階におけるメッキ部品1の取り扱いを容易なものにすることができ、メッキ部品1の生産性及び組立性を高めることができる。
【0030】
以下、前記実施形態例に係るメッキ部品1の製造方法を、図3乃至図6に基づいて説明する。
【0031】
まず、図3に示すように、犠牲基板11の片面に前記薄肉部2の基になる浅い第1凹部12を形成すると共に、当該第1凹部12の底面に前記厚肉部3の基になる第1凹部12の深さdよりも大きな開口幅sを有する第2凹部13を形成する。犠牲基板材料としては、ガラス、アクリルなどのプラスチック及びステンレスなどの金属が目的に応じて使い分けられる。また、第1凹部12及び第2凹部13の形成方法としては、機械研削、レーザ加工及びエッチング等が加工部の形状や加工量に応じて使い分けられる。前記実施形態例に係るメッキ部品1のように薄肉部2の表裏両面が鏡面仕上げされたメッキ部品を得る場合には、少なくとも第1凹部12の底面が鏡面仕上げされる。また、前記実施形態例に係るメッキ部品1のように厚肉部3が突出されない一面の角隅部を除く各角隅部に面取り4を有するメッキ部品1を得る場合には、犠牲基板11の対応する部分に面取り14が施される。このように、犠牲基板11に所要の鏡面仕上げ及び面取り14を施しておくと、第1凹部12及び第2凹部13内にメッキ堆積物を充填するだけで鏡面及び面取りを有するメッキ部品1を製造することができ、後加工を省略又は減少することができるので、所望のメッキ部品の製造を容易化できてその製造コストを低減することができる。また、犠牲基板11に所要の面取り14を施しておくと、犠牲基板11からのメッキ部品1の取り出しを容易化することができるので、メッキ部品1の量産性及び歩留まりを改善することができる。
【0032】
次に、図4に示すように、犠牲基板11の第1凹部12及び第2凹部13の形成面に電気メッキを施し、第2凹部13が完全に埋まるまでメッキ堆積物15が堆積される。なお、犠牲基板11としてガラスやプラスチックなどの非導電性材料からなるものを用いる場合には、電気メッキに先立って犠牲基板11の第1凹部12及び第2凹部13の形成面に給電膜の形成を行い、しかる後に電気メッキを行う。なお、給電膜の形成は、例えば無電解メッキや真空蒸着それにスパッタリング等によって行うことができる。犠牲基板11として導電性材料からなるものを用いると、メッキ堆積物15の形成に先立って犠牲基板11に何ら前処理を行う必要がないので、メッキ部品1の製造を容易化することができる。また犠牲基板11として非導電性材料からなるものを用いると、犠牲基板材料として安価なガラスやファインセラミックそれにプラスチックを用いることができるので、犠牲基板11の低コスト化ひいては製品であるメッキ部品1の低コスト化を図ることができる。
【0033】
次に、形成されたメッキ堆積物15の余剰部分を研磨し、図5に示すように、平坦で所定の厚みの薄肉部2を形成する。メッキ堆積物15の研磨は、犠牲基板11とメッキ堆積物15との界面まで行い、薄肉部2の厚みを犠牲基板11に形成された第1凹部12の深さdで規制することもできるし、犠牲基板11とメッキ堆積物15との界面以下まで行い、薄肉部2の厚みを所定の値に仕上げることもできる。前記実施形態例に係るメッキ部品1のように薄肉部2の表裏両面が鏡面仕上げされたメッキ部品を得る場合には、仕上げ段階において精密研磨が施される。なお、メッキ堆積物15の研磨は、機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せにより行うことができる。このように、メッキ堆積物15の研磨を機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せにより行うと、余剰のメッキ堆積物15を効率よく除去することができるので、メッキ部品1の製造時間を短縮することができ、メッキ部品1の低コスト化を図ることができる。また、余剰のメッキ堆積物15の除去と薄肉部2の厚み調整と鏡面の形成とを一連の研磨加工によって同時に行うことができるので、ミラー面を有するメッキ部品1の製造を容易化することができ、この種のメッキ部品1の製造コストを低減することができる。
【0034】
最後に、研磨後の加工品を犠牲基板11から取り出し、必要に応じてバリ取りなどの後処理を施して図6に示す製品であるメッキ部品1を得る。なお、1枚の犠牲基板11から複数個のメッキ部品1を多数個取りする場合には、必要に応じて犠牲基板11からの加工品の取り出し前若しくは取り出し後にエッチングやダイシング等によりメッキ部品1を各個片に分離する。
【0035】
このように、本例のメッキ部品の製造方法は、犠牲基板11の片面に第1凹部12と当該第1凹部12の深さdよりも大きな開口幅sを有する第2凹部13を形成し、これら第1凹部12内及び第2凹部13内にメッキ堆積物15を充填するので、浅い第1凹部12をもってメッキ部品1の薄肉部2を形成することができ、犠牲基板11にLIGA法におけるような開口幅が小さくて深い凹部を形成する必要がないことから、アスペクト比の高い薄肉部2を有するメッキ部品1を容易かつ精密に製造することができる。また、LIGA法を用いる場合のように高価かつ大掛かりな装置や複雑なプロセスを用いる必要がないので、所要形状のメッキ部品1を高能率に製造することができる。さらに、犠牲基板11の片面に第1凹部12を形成すると共に、当該第1凹部12の底面に第2凹部13を形成するので、薄肉部2と当該薄肉部2の片面より起立された厚肉部3とを有するメッキ堆積物からなるメッキ部品1を得ることができる。
【0036】
以下、本発明に係るメッキ部品1及びその製造方法の一実施例を示す。
【0037】
まず、厚さが1mmのガラス製犠牲基板11の片面に、機械加工により深さが10μm、幅が150μm、奥行きが150μmの第1凹部12を形成した。次いで、当該第1凹部12の底面に、同じく機械加工により深さが150μm、開口幅が50μm、奥行きが150μmの第2凹部13を形成した。
【0038】
次いで、犠牲基板11の第1凹部12及び第2凹部13の形成面にニッケル−リン合金を無電解メッキし、厚さが0.2μmの給電膜を形成した。この際、無電解メッキの条件を調整し、犠牲基板11と給電膜との密着性が強くなりすぎないように調整した。
【0039】
次いで、この給電膜を一方の電極としてニッケルを電気メッキし、第2凹部13が完全に埋まるまでニッケルメッキ堆積物15を堆積した。
【0040】
次いで、犠牲基板11とニッケルメッキ堆積物15との界面まで機械研磨を行い、機械研磨の最終段階で精密研磨を行って、厚みが10μmの薄肉部2を形成した。
【0041】
最後に、研磨後の加工品を犠牲基板11から取り出し、図1及び図6に示すメッキ部品1を得た。これにより、極めて垂直精度が高く、かつ光の反射率が高い光通信機器用の垂直ミラーが得られた。
【0042】
なお、前記実施例においては、電気メッキ材料としてニッケルを用いたが、メッキ部品1の用途によっては、銅、銀、亜鉛、スズ、クロム又は鉄などの金属材料若しくはこれらの金属材料群より選択された1種の金属材料に他の金属材料又は非金属材料が添加された合金材料を用いることもできる。
【0043】
また、前記実施例においては、薄肉部2の表裏両面を鏡面に仕上げたが、メッキ部品1の用途によっては、他の面を鏡面に仕上げることもできるし、鏡面仕上げを省略することもできる。
【0044】
さらに、前記実施例においては、犠牲基板11の角隅部に面取り14を施したが、犠牲基板11からのメッキ部品1の取り出しが容易に行える場合には、これを省略することもできる。
【0045】
その他、前記実施例においては、垂直ミラーの製造を例にとって説明したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、凹面鏡などの光学部品の製造及び高周波アンテナなどの無線通信部品の製造に応用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るメッキ部品は、薄肉部と当該薄肉部の片面より起立された厚肉部とを有するメッキ部品をメッキ堆積物をもって一体に形成したので、薄肉部と厚肉部との間に継ぎ目が形成されず、高精度にして耐久性に優れる。また、機械加工などによって薄肉部と厚肉部とを有する部品を製造する場合に比べて所望形状のメッキ部品を容易に製造することができるので、低コストに製造することができる。さらに、厚肉部を台座として利用することができるので、デバイス基板等に対する組立性に優れる。
【0047】
また、本発明に係るメッキ部品の製造方法は、犠牲基板の片面に第1凹部と当該第1凹部の深さよりも大きな開口幅を有する第2凹部を形成し、これら第1凹部内及び第2凹部内にメッキ堆積物を充填するので、浅い第1凹部をもってメッキ部品の薄肉部を形成することができ、犠牲基板にLIGA法におけるような開口幅が小さくて深い凹部を形成する必要がないことから、アスペクト比の高い薄肉部を有するメッキ部品を容易かつ精密に製造することができる。また、LIGA法を用いる場合のように高価かつ大掛かりな装置や複雑なプロセスを用いる必要がないので、所要形状のメッキ部品を高能率に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例に係るメッキ部品の斜視図である。
【図2】実施形態例に係るメッキ部品の使用状態の側面図である。
【図3】第1凹部及び第2凹部が形成された犠牲基板の断面図である。
【図4】メッキ堆積物が堆積された犠牲基板の断面図である。
【図5】研磨加工後の犠牲基板の断面図である。
【図6】製品であるメッキ部品の側面図である。
【符号の説明】
1 メッキ部品
2 薄肉部
3 厚肉部
4 面取り
5 デバイス基板
11 犠牲基板
12 第1凹部
13 第2凹部
14 面取り
15 メッキ堆積物
【発明の属する技術分野】
この発明は、メッキ部品及びその製造方法に係り、特に、エレクトロニクスやオプトエレクトロニクスの分野における精密部品として種々の用途に適用可能な微細メッキ部品とその製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種電子デバイス及び光学デバイス等において、微細メッキを用いた精密加工技術の開発が進展している。例えば電子デバイス関連では、従来から電解鋳造法を用いた精密マスクや各種微細部品が作製されており、最近では、LSIウェハ上にメッキにより再配線を施したり、微小コイルを形成することが盛んに行われている。また、厚膜レジストを用いて形成された狭い開口内にアスベクト比の高いメッキ構造を形成するLIGA法と呼ばれる技術が開発されており、これを用いて例えば光スイッチなどの光学部品用の垂直ミラーが作製されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、これらの方法はいずれもフォトレジストを用いて形成された開口内にメッキ堆積物を充填する方式のものであるため、前記LIGA法においても極度に開口幅を狭めた場合はメッキ液の滞留等により反応が進まず、薄型にして垂直面の高さが大きな垂直ミラーなどのメッキ部品を作製することが難しいという問題がある。また、これらの方法はいずれもワーク全体について加工するものであり、局所領域での選択メッキを行う場合にはきわめて複雑な工程を要するので、垂直ミラーなどのメッキ部品を効率よく作製することが難しいという問題もある。特に、LIGA法は、放射線によりフォトレジストの露光を行う方式であるため、高価かつ大掛かりな装置を必要とし、製品であるメッキ部品の製造コストが高価になる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−23074
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、薄型にして垂直面の高さが大きなメッキ部品を提供すること、及びかかるメッキ部品を高価かつ大掛かりな装置や複雑なプロセスを用いることなく容易かつ高能率に作製可能な方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の目的を達成するため、メッキ部品については、メッキ堆積物をもって一体に形成され、薄肉部と当該薄肉部の片面より起立された厚肉部とを有するという構成にした。
【0007】
このように、薄肉部と当該薄肉部の片面より起立された厚肉部とを有するメッキ部品をメッキ堆積物をもって一体に形成すると、薄肉部と厚肉部との間に継ぎ目が形成されないので、この種のメッキ部品の精度及び強度を高めることができる。また、機械加工などによって薄肉部と厚肉部とを有する部品を製造する場合に比べて所望形状のメッキ部品を容易に製造することができるので、この種の部品の製造コストを低減することができる。さらに、メッキ部品を例えばデバイス基板等に取り付ける際に厚肉部を台座として利用することができるので、デバイス基板等に対するメッキ部品の組立性を高めることができる。
【0008】
また、前記構成のメッキ部品において、前記薄肉部及び前記厚肉部に形成される各角隅部の全部又は一部に面取りが施されているという構成にした。
【0009】
このように、薄肉部及び厚肉部に形成される各角隅部の全部又は一部に面取りを施すと、製造段階及び組立段階におけるメッキ部品の取り扱いを容易なものにすることができるので、この種のメッキ部品の生産性及び組立性を高めることができる。
【0010】
また、前記構成のメッキ部品において、前記薄肉部及び前記厚肉部を構成する各面のうち、少なくとも前記薄肉部の片面が鏡面仕上げされているという構成にした。
【0011】
このように、少なくとも薄肉部の片面を鏡面仕上げすると、当該鏡面仕上げされた面を例えば光スイッチ等の垂直ミラーとして利用できるので、この種のメッキ部品の適用範囲を広げることができる。
【0012】
また、前記構成のメッキ部品において、前記薄肉部をプレート状に形成するという構成にした。
【0013】
このように、薄肉部をプレート状に形成すると、当該プレート状に形成された面を例えば光スイッチ等の垂直ミラーとして利用できるので、この種のメッキ部品の適用範囲を広げることができる。
【0014】
一方、本発明は、前記の目的を達成するため、メッキ部品の製造方法については、犠牲基板の片面に第1凹部を形成すると共に、前記第1凹部の底面に前記第1凹部の深さよりも大きな開口幅を有する第2凹部を形成する工程と、前記犠牲基板の凹部形成面にメッキを施し、前記第1凹部内及び前記第2凹部内にメッキ堆積物を充填する工程と、余剰の前記メッキ堆積物を除去し、前記第1凹部内に充填された前記メッキ堆積物の厚みを調整する工程と、前記犠牲基板より前記第1凹部内及び前記第2凹部内に充填されたメッキ堆積物よりなるメッキ部品を取り出す工程とを含むという構成にした。
【0015】
このように、犠牲基板の片面に第1凹部と当該第1凹部の深さよりも大きな開口幅を有する第2凹部を形成し、これら第1凹部内及び第2凹部内にメッキ堆積物を充填すると、浅い第1凹部をもってメッキ部品の薄肉部を形成することができるので、犠牲基板にLIGA法におけるような開口幅が小さくて深い凹部を形成する必要がなく、アスペクト比の高い薄肉部を有するメッキ部品を容易かつ精密に製造することができる。また、LIGA法を用いる場合のように高価かつ大掛かりな装置や複雑なプロセスを用いる必要がないので、所要形状のメッキ部品を高能率に製造することができる。さらに、犠牲基板の片面に第1凹部を形成すると共に、当該第1凹部の底面に第2凹部を形成するので、薄肉部と当該薄肉部の片面より起立された厚肉部とを有するメッキ堆積物からなるメッキ部品を得ることができる。
【0016】
また、前記構成のメッキ部品の製造方法において、導電性材料をもって前記犠牲基板を形成し、当該犠牲基板を一方の電極として前記メッキ堆積物の充填を行うという構成にした。
【0017】
このように、導電性材料をもって犠牲基板を形成し、当該犠牲基板を一方の電極としてメッキ堆積物の充填を行うと、犠牲基板に何ら前処理を行う必要がないので、メッキ部品の製造を容易化することができる。
【0018】
また、前記構成のメッキ部品の製造方法において、非導電性材料をもって前記犠牲基板を形成し、前記第1凹部及び前記第2凹部の形成後、前記メッキ堆積物の充填前に、前記犠牲基板の凹部形成面に給電膜の形成を行い、当該給電膜を一方の電極として前記メッキ堆積物の充填を行うという構成にした。
【0019】
このように、非導電性材料をもって犠牲基板を形成すると、犠牲基板材料としてガラスやファインセラミックそれにプラスチックを用いることができるので、犠牲基板の低コスト化ひいては製品であるメッキ部品の低コスト化を図ることができる。
【0020】
また、前記構成のメッキ部品の製造方法において、前記余剰のメッキ堆積物の除去を機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せにより行うという構成にした。
【0021】
このように、余剰のメッキ堆積物の除去を機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せにより行うと、余剰のメッキ堆積物を効率よく除去することができるので、メッキ部品の製造時間を短縮することができ、メッキ部品の低コスト化を図ることができる。また、研磨面を鏡面仕上げすることもできるので、光スイッチに適用される垂直ミラー等の製造を容易に行うことができる。
【0022】
また、前記構成のメッキ部品の製造方法において、前記機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せにより、前記メッキ堆積物の研磨面を鏡面仕上げするという構成にした。
【0023】
このように、機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せによりメッキ堆積物の研磨面を鏡面仕上げすると、余剰メッキ堆積物の除去と薄肉部の厚み調整と鏡面の形成とを一連の研磨加工によって同時に行うことができるので、ミラー面を有するメッキ部品の製造を容易化することができ、この種のメッキ部品の製造コストを低減することができる。
【0024】
また、前記構成のメッキ部品の製造方法において、前記犠牲基板の片面に前記第1凹部及び前記第2凹部を形成する工程で、前記第1凹部の底面及び/又は前記第2凹部の底面を鏡面仕上げするという構成にした。
【0025】
このように、第1凹部の底面及び/又は第2凹部の底面を鏡面仕上げすると、各凹部内にメッキ堆積物を充填するだけで鏡面を有するメッキ部品を製造することができるので、光スイッチに適用される垂直ミラー等の製造を容易に行うことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、光通信などの分野に適用される垂直ミラーを例にとって、本発明に係るメッキ部品及びその製造方法の実施形態を説明する。
【0027】
図1に示すように、本例のメッキ部品1は、プレート状の薄肉部2と当該薄肉部2の片面より起立された台座状の厚肉部3とからなり、薄肉部2の表裏両面が鏡面に仕上げられている。このメッキ部品1は、例えばニッケル、銅、銀、亜鉛、スズ、クロム又は鉄などの金属材料若しくはこれらの金属材料群より選択された1種の金属材料に他の金属材料又は非金属材料が添加された合金材料からなるメッキ堆積物をもって一体に形成されており、前記薄肉部2と前記厚肉部3との間には継ぎ目が形成されていない。また、本例のメッキ部品1には、厚肉部3が突出されない一面の角隅部を除く各角隅部に、それぞれ面取り4が施されている。なお、図1の例においては、曲面状の面取り4が施されているが、かかる構成に代えて斜面状の面取りを施すこともできる。
【0028】
本例のメッキ部品1は、図2に示すように、厚肉部3の裏面を例えばデバイス基板5の表面に接着し、薄肉部2をデバイス基板5に対して垂直に設定することによって、光通信機器における垂直ミラーなどとして使用される。
【0029】
このように、本例のメッキ部品1は、薄肉部2をプレート状に形成し、かつ、当該薄肉部2の表裏両面を鏡面に仕上げたので、例えば光通信機器に備えられる光スイッチの垂直ミラー等として利用することができる。そして、本例のメッキ部品1は、薄肉部2と当該薄肉部2の片面より起立された厚肉部3とを有するメッキ部品1をメッキ堆積物をもって一体に形成したので、薄肉部2と厚肉部3との間に継ぎ目が形成されず、薄肉部2と厚肉部3とを何らかの継手を介して接続する構成のメッキ部品に比べて精度及び強度を高めることができる。また、機械加工などによって薄肉部2と厚肉部3とを有する部品を製造する場合に比べて所望形状の部品を容易に製造することができるので、この種の部品の製造コストを低減することができる。また、メッキ部品1をデバイス基板5等に取り付ける際に、厚肉部3を台座として利用することができるので、デバイス基板5等に対するメッキ部品1の組立性を高めることができる。さらに、メッキ部品1の角隅部に面取り4を施したので、製造段階及び組立段階におけるメッキ部品1の取り扱いを容易なものにすることができ、メッキ部品1の生産性及び組立性を高めることができる。
【0030】
以下、前記実施形態例に係るメッキ部品1の製造方法を、図3乃至図6に基づいて説明する。
【0031】
まず、図3に示すように、犠牲基板11の片面に前記薄肉部2の基になる浅い第1凹部12を形成すると共に、当該第1凹部12の底面に前記厚肉部3の基になる第1凹部12の深さdよりも大きな開口幅sを有する第2凹部13を形成する。犠牲基板材料としては、ガラス、アクリルなどのプラスチック及びステンレスなどの金属が目的に応じて使い分けられる。また、第1凹部12及び第2凹部13の形成方法としては、機械研削、レーザ加工及びエッチング等が加工部の形状や加工量に応じて使い分けられる。前記実施形態例に係るメッキ部品1のように薄肉部2の表裏両面が鏡面仕上げされたメッキ部品を得る場合には、少なくとも第1凹部12の底面が鏡面仕上げされる。また、前記実施形態例に係るメッキ部品1のように厚肉部3が突出されない一面の角隅部を除く各角隅部に面取り4を有するメッキ部品1を得る場合には、犠牲基板11の対応する部分に面取り14が施される。このように、犠牲基板11に所要の鏡面仕上げ及び面取り14を施しておくと、第1凹部12及び第2凹部13内にメッキ堆積物を充填するだけで鏡面及び面取りを有するメッキ部品1を製造することができ、後加工を省略又は減少することができるので、所望のメッキ部品の製造を容易化できてその製造コストを低減することができる。また、犠牲基板11に所要の面取り14を施しておくと、犠牲基板11からのメッキ部品1の取り出しを容易化することができるので、メッキ部品1の量産性及び歩留まりを改善することができる。
【0032】
次に、図4に示すように、犠牲基板11の第1凹部12及び第2凹部13の形成面に電気メッキを施し、第2凹部13が完全に埋まるまでメッキ堆積物15が堆積される。なお、犠牲基板11としてガラスやプラスチックなどの非導電性材料からなるものを用いる場合には、電気メッキに先立って犠牲基板11の第1凹部12及び第2凹部13の形成面に給電膜の形成を行い、しかる後に電気メッキを行う。なお、給電膜の形成は、例えば無電解メッキや真空蒸着それにスパッタリング等によって行うことができる。犠牲基板11として導電性材料からなるものを用いると、メッキ堆積物15の形成に先立って犠牲基板11に何ら前処理を行う必要がないので、メッキ部品1の製造を容易化することができる。また犠牲基板11として非導電性材料からなるものを用いると、犠牲基板材料として安価なガラスやファインセラミックそれにプラスチックを用いることができるので、犠牲基板11の低コスト化ひいては製品であるメッキ部品1の低コスト化を図ることができる。
【0033】
次に、形成されたメッキ堆積物15の余剰部分を研磨し、図5に示すように、平坦で所定の厚みの薄肉部2を形成する。メッキ堆積物15の研磨は、犠牲基板11とメッキ堆積物15との界面まで行い、薄肉部2の厚みを犠牲基板11に形成された第1凹部12の深さdで規制することもできるし、犠牲基板11とメッキ堆積物15との界面以下まで行い、薄肉部2の厚みを所定の値に仕上げることもできる。前記実施形態例に係るメッキ部品1のように薄肉部2の表裏両面が鏡面仕上げされたメッキ部品を得る場合には、仕上げ段階において精密研磨が施される。なお、メッキ堆積物15の研磨は、機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せにより行うことができる。このように、メッキ堆積物15の研磨を機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せにより行うと、余剰のメッキ堆積物15を効率よく除去することができるので、メッキ部品1の製造時間を短縮することができ、メッキ部品1の低コスト化を図ることができる。また、余剰のメッキ堆積物15の除去と薄肉部2の厚み調整と鏡面の形成とを一連の研磨加工によって同時に行うことができるので、ミラー面を有するメッキ部品1の製造を容易化することができ、この種のメッキ部品1の製造コストを低減することができる。
【0034】
最後に、研磨後の加工品を犠牲基板11から取り出し、必要に応じてバリ取りなどの後処理を施して図6に示す製品であるメッキ部品1を得る。なお、1枚の犠牲基板11から複数個のメッキ部品1を多数個取りする場合には、必要に応じて犠牲基板11からの加工品の取り出し前若しくは取り出し後にエッチングやダイシング等によりメッキ部品1を各個片に分離する。
【0035】
このように、本例のメッキ部品の製造方法は、犠牲基板11の片面に第1凹部12と当該第1凹部12の深さdよりも大きな開口幅sを有する第2凹部13を形成し、これら第1凹部12内及び第2凹部13内にメッキ堆積物15を充填するので、浅い第1凹部12をもってメッキ部品1の薄肉部2を形成することができ、犠牲基板11にLIGA法におけるような開口幅が小さくて深い凹部を形成する必要がないことから、アスペクト比の高い薄肉部2を有するメッキ部品1を容易かつ精密に製造することができる。また、LIGA法を用いる場合のように高価かつ大掛かりな装置や複雑なプロセスを用いる必要がないので、所要形状のメッキ部品1を高能率に製造することができる。さらに、犠牲基板11の片面に第1凹部12を形成すると共に、当該第1凹部12の底面に第2凹部13を形成するので、薄肉部2と当該薄肉部2の片面より起立された厚肉部3とを有するメッキ堆積物からなるメッキ部品1を得ることができる。
【0036】
以下、本発明に係るメッキ部品1及びその製造方法の一実施例を示す。
【0037】
まず、厚さが1mmのガラス製犠牲基板11の片面に、機械加工により深さが10μm、幅が150μm、奥行きが150μmの第1凹部12を形成した。次いで、当該第1凹部12の底面に、同じく機械加工により深さが150μm、開口幅が50μm、奥行きが150μmの第2凹部13を形成した。
【0038】
次いで、犠牲基板11の第1凹部12及び第2凹部13の形成面にニッケル−リン合金を無電解メッキし、厚さが0.2μmの給電膜を形成した。この際、無電解メッキの条件を調整し、犠牲基板11と給電膜との密着性が強くなりすぎないように調整した。
【0039】
次いで、この給電膜を一方の電極としてニッケルを電気メッキし、第2凹部13が完全に埋まるまでニッケルメッキ堆積物15を堆積した。
【0040】
次いで、犠牲基板11とニッケルメッキ堆積物15との界面まで機械研磨を行い、機械研磨の最終段階で精密研磨を行って、厚みが10μmの薄肉部2を形成した。
【0041】
最後に、研磨後の加工品を犠牲基板11から取り出し、図1及び図6に示すメッキ部品1を得た。これにより、極めて垂直精度が高く、かつ光の反射率が高い光通信機器用の垂直ミラーが得られた。
【0042】
なお、前記実施例においては、電気メッキ材料としてニッケルを用いたが、メッキ部品1の用途によっては、銅、銀、亜鉛、スズ、クロム又は鉄などの金属材料若しくはこれらの金属材料群より選択された1種の金属材料に他の金属材料又は非金属材料が添加された合金材料を用いることもできる。
【0043】
また、前記実施例においては、薄肉部2の表裏両面を鏡面に仕上げたが、メッキ部品1の用途によっては、他の面を鏡面に仕上げることもできるし、鏡面仕上げを省略することもできる。
【0044】
さらに、前記実施例においては、犠牲基板11の角隅部に面取り14を施したが、犠牲基板11からのメッキ部品1の取り出しが容易に行える場合には、これを省略することもできる。
【0045】
その他、前記実施例においては、垂直ミラーの製造を例にとって説明したが、本発明の要旨はこれに限定されるものではなく、凹面鏡などの光学部品の製造及び高周波アンテナなどの無線通信部品の製造に応用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るメッキ部品は、薄肉部と当該薄肉部の片面より起立された厚肉部とを有するメッキ部品をメッキ堆積物をもって一体に形成したので、薄肉部と厚肉部との間に継ぎ目が形成されず、高精度にして耐久性に優れる。また、機械加工などによって薄肉部と厚肉部とを有する部品を製造する場合に比べて所望形状のメッキ部品を容易に製造することができるので、低コストに製造することができる。さらに、厚肉部を台座として利用することができるので、デバイス基板等に対する組立性に優れる。
【0047】
また、本発明に係るメッキ部品の製造方法は、犠牲基板の片面に第1凹部と当該第1凹部の深さよりも大きな開口幅を有する第2凹部を形成し、これら第1凹部内及び第2凹部内にメッキ堆積物を充填するので、浅い第1凹部をもってメッキ部品の薄肉部を形成することができ、犠牲基板にLIGA法におけるような開口幅が小さくて深い凹部を形成する必要がないことから、アスペクト比の高い薄肉部を有するメッキ部品を容易かつ精密に製造することができる。また、LIGA法を用いる場合のように高価かつ大掛かりな装置や複雑なプロセスを用いる必要がないので、所要形状のメッキ部品を高能率に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例に係るメッキ部品の斜視図である。
【図2】実施形態例に係るメッキ部品の使用状態の側面図である。
【図3】第1凹部及び第2凹部が形成された犠牲基板の断面図である。
【図4】メッキ堆積物が堆積された犠牲基板の断面図である。
【図5】研磨加工後の犠牲基板の断面図である。
【図6】製品であるメッキ部品の側面図である。
【符号の説明】
1 メッキ部品
2 薄肉部
3 厚肉部
4 面取り
5 デバイス基板
11 犠牲基板
12 第1凹部
13 第2凹部
14 面取り
15 メッキ堆積物
Claims (10)
- メッキ堆積物をもって一体に形成され、薄肉部と当該薄肉部の片面より起立された厚肉部とを有することを特徴とするメッキ部品。
- 前記薄肉部及び前記厚肉部に形成される各角隅部の全部又は一部に面取りが施されていることを特徴とする請求項1に記載のメッキ部品。
- 前記薄肉部及び前記厚肉部を構成する各面のうち、少なくとも前記薄肉部の片面が鏡面仕上げされていることを特徴とする請求項1に記載のメッキ部品。
- 前記薄肉部をプレート状に形成したことを特徴とする請求項1に記載のメッキ部品。
- 犠牲基板の片面に第1凹部を形成すると共に、前記第1凹部の底面に前記第1凹部の深さよりも大きな開口幅を有する第2凹部を形成する工程と、
前記犠牲基板の凹部形成面にメッキを施し、前記第1凹部内及び前記第2凹部内にメッキ堆積物を充填する工程と、
余剰の前記メッキ堆積物を除去し、前記第1凹部内に充填された前記メッキ堆積物の厚みを調整する工程と、
前記犠牲基板より前記第1凹部内及び前記第2凹部内に充填されたメッキ堆積物よりなるメッキ部品を取り出す工程とを含むことを特徴とするメッキ部品の製造方法。 - 導電性材料をもって前記犠牲基板を形成し、当該犠牲基板を一方の電極として前記メッキ堆積物の充填を行うことを特徴とする請求項5に記載のメッキ部品の製造方法。
- 非導電性材料をもって前記犠牲基板を形成し、前記第1凹部及び前記第2凹部の形成後、前記メッキ堆積物の充填前に、前記犠牲基板の凹部形成面に給電膜の形成を行い、当該給電膜を一方の電極として前記メッキ堆積物の充填を行うことを特徴とする請求項5に記載のメッキ部品の製造方法。
- 前記余剰のメッキ堆積物の除去を機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せにより行うことを特徴とする請求項5に記載のメッキ部品の製造方法。
- 前記機械研磨又は化学研磨若しくはこれらの組合せにより、前記メッキ堆積物の研磨面を鏡面仕上げすることを特徴とする請求項8に記載のメッキ部品の製造方法。
- 前記犠牲基板の片面に前記第1凹部及び前記第2凹部を形成する工程において、前記第1凹部の底面及び/又は前記第2凹部の底面を鏡面仕上げすることを特徴とする請求項5に記載のメッキ部品の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002292567A JP2004124212A (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | メッキ部品及びその製造方法 |
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JP (1) | JP2004124212A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012250357A (ja) * | 2011-05-31 | 2012-12-20 | Dainippon Printing Co Ltd | 偽造防止用粒子及びその製造方法、偽造防止用インク、偽造防止用シート、有価証券、カード |
JP2016125072A (ja) * | 2014-12-26 | 2016-07-11 | Towa株式会社 | 金属製品の製造方法 |
-
2002
- 2002-10-04 JP JP2002292567A patent/JP2004124212A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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