JP5627177B2 - 金属デザインモックアップの作成方法および金属デザインモックアップ - Google Patents
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また、従来デザインモックアップはプラスチックなどを素材として作成されていたが、携帯電話機のごとく、そのサイズの小型化や薄型化に対する強度の観点から、一部、金属素材を加工(深絞り、ブランキング等)した金属素材を使用する為、デザインモックアップを金属素材をもって作成する方向に代わりつつある。
しかしながら、薄い金属板をもって携帯用電話機の「金属板製デザインモックアップ」を作成するには、その成型金型の作成や成形作業に、繊細な技術と膨大な時間とを要し、経費の上昇や開発スピードの遅延を招いていた。
従って、安価で迅速、且つ精密な実態に近いデザインモックアップの製造方法に対する強い要求があり、これに対する十分な技術の出現が望まれている。
(1)プラスチック基材を加工して金属デザインモックアップの下型を成形する工程と、
少なくとも該下型の金属デザインモックアップ側の表面を平滑化する工程と、
前記平滑化された表面で、前記金属デザインモックアップの開口部に相当する範囲にマスキングを施す工程と、
前記平滑化された表面および前記マスキングに導電性被覆を施す工程と、
前記マスキングを撤去する工程と、
該導電性被覆に、厚さ200〜800μmの金属電気メッキ層を施す工程と、
前記導電性被覆および金属電気メッキ層を前記下型より離型する工程と、を有し、
該離型された前記導電性被覆および金属電気メッキ層を金属デザインモックアップとする。
(4)また、前記(1)乃至(3)の何れかにおいて、 前記金属電気メッキ層が、Fe、Ni、Cu、Al、Ag、Au、Fe合金、Ni合金、Cu合金、Al合金、Ag合金またはAu合金の何れかであることを特徴とする。
(5)また、前記(1)乃至(4)の何れかにおいて、前記平滑化された表面の表面アラサは、JIS中心線平均粗さが0.05Ra〜0.20Raであることを特徴とする。
少なくとも該下型の金属デザインモックアップ側の表面を平滑化する工程と、
該平滑化された表面に、厚さ100〜800μmの無電解金属被覆を施す工程と、
該無電解金属被覆を前記下型より離型する工程と、を有し、
該離型された無電解金属被覆を金属デザインモックアップとする。
少なくとも該下型の金属デザインモックアップ側の表面を平滑化する工程と、
該平滑化された表面を除く面にマスキング処理を施す工程と、
前記平滑化された表面と前記マスキング処理が施された面の全部または一部とに、厚さ100〜800μmの無電解金属被覆を施す工程と、
前記マスキング処理が施された面に余剰付着した無電解金属被覆がある場合、該余剰付着した無電解金属被覆を除去する工程と、
前記無電解金属被覆を前記下型より離型する工程と、を有し、
該離型された無電解金属被覆を金属デザインモックアップとする。
前記マスキング処理が施された面に余剰付着した無電解金属被覆がある場合、該余剰付着した無電解金属被覆を除去することを特徴とする。
(10)また、前記(6)乃至(9)の何れかにおいて、前記無電解金属被覆が、無電解メッキまたは真空蒸着による被覆であって、Fe、Ni、Cu、Al、Ag、Au、Fe合金、Ni合金、Cu合金、Al合金、Ag合金またはAu合金の何れかであることを特徴とする。
(12)金属電気メッキ層の厚さが200〜500μmであって、前記(1)乃至(5)の何れかに記載の金属デザインモックアップの作成方法によって作成されたことを特徴とする。
(14)また、 前記(13)において、携帯電話機を対象製品とすることを特徴とする。
なお、本発明において、便宜上、金属板素材から作成されたデザインモックアップを「金属板製デザインモックアップ」と称し、本発明によって作成されたデザインモックアップを「金属デザインモックアップ(または単に「モックアップ」)と称している。
一方、実施の形態2は、金属メッキをすることができる(または容易な)プラスチック基体(以下「プラスチック基体B」と称す)を用いて、マスキング処理工程と無電解金属被覆工程とを有するものである。
なお、以下の図において、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、図示された形状や相対的な大きさ、特に、層厚さ等は、説明の便宜上、模式的に誇張したものであって、本発明はかかる形態に限定されるものではない。
図1および図2は、本発明の実施の形態1に係る金属デザインモックアップの作成方法を説明するものであって、図1は作成工程を説明するフロー図、図2は図1の作成工程に対応する作成物の状態を模式的に示す断面図である。
図2において、1はデザインモックアップの下型(以下「下型」と称す)、11は下型1の金属デザインモックアップ側の表面、12は下型1の表面11を除く面(以下「裏面」と称す)である。また、110は表面平滑化処理後の表面11、2は導電性被覆、3は金属電気メッキ層、4は金属デザインモックアップ(以下「モックアップ」と称す)である。
本実施の形態1において、比較的に加工性がよいプラスチック基体Aのブロックを基体として、マシニングセンタを初め一般的な工作機械を利用して、下型1を作成する。
プラスチック基体Aの工作機械による加工表面は通常表面粗さが粗く、特に最大粗さに相当するピーク高さが高く、粗さ曲線も比較的均一性に乏しい。このプラスチック基体Aの粗さ特性は、最終のモックアップ4の表面状態に影響し、本発明の下型1としては十分ではない。
従って、本発明においては、少なくとも下型1の表面11の表面状態を平滑にするものである。すなわち、次工程である導電性被覆2(蒸着、イオンプレーティング、金属電気メッキ層、スパッタリング等による)の構成に極めて影響するものであり、多くの実験の結果より、その表面粗さを中心線平均粗さRaとして0.05μmRa〜0.2μmRaの範囲とすることが好ましい。
0.05μmRa以下では、従来におけるエッチング処理によって施される微細な孔に相当する表面が期待出来ない。また、0.2μmRa以上では粗さ曲線のピーク値が高くなり、俗に言うエンドエフェクト(端面効果)により析出がピーク部に集中し、モックアップ4としての仕上がり時の表面状態が好ましくない。
実用的には予め準備された粗さモデルを用いて、表面を目視比較により行うが、簡便には表面光沢により判断することもできる。なお、本発明はかかる表面粗度の測定(判断)方法を限定するものではない。
次に、OP2により得られた下型1のモックアップ側の平滑化処理後表面110に、蒸着、イオンプレーティング、金属電気メッキ層、スパッタリング等による導電性被覆2を構成する。蒸着、イオンプレーティング、金属電気メッキ層、スパッタリングの材料としては、次工程の金属電気メッキ層の電着性を確保できる金属材料であればなんでも良いが、Cu、Fe、Ni、Al等の金属やCu合金、Fe合金(ステンレス鋼を含む)、Ni合金、Al合金等が好ましい。
また、その厚さは金属電気メッキ層の電着性を均一に確保できる厚さ範囲であればよい。すなわち、 作業性から200〜500μmが好ましい。
次に、モックアップを構成する本体として金属電気メッキ層3により形成されるものであり、モックアップとしての好ましい剛性を維持出来る必要があり、300〜800μmであることが好ましい。200μmを境にモックアップの剛性は急激に低下する。また800μm以上では精度、コストの面で好ましくない。
金属電気メッキ層3の材料は、比較的に均一電着性の良いCu、Fe、Ni、Al、Ag、Cu合金、Fe合金(ステンレス鋼を含む)、Ni合金、Al合金、Ag合金が好ましい。
さらに、OP4の金属電気メッキ層工程において下型1の裏面12(反モックアップ側)に金属メッキが回り込み、余剰メッキがある場合には、かかる余剰部分を除去する工程を設け、いわゆる除メッキ処理により余剰分を取り除くものである。通常の酸性液体例えば塩酸等を用いて除メッキする。なお、余剰メッキがない場合には、OP5工程を省略することができる。
そして、OP6工程は、OP4の金属電気メッキ層工程において形成された金属電気メッキ層3を下型1より離型する工程である。適度の加熱により導電性被覆2(金属電気メッキ層3が一体的に形成されている)と下型1との熱膨張率差を利用して容易に離型することが出来る。すなわち、導電性被覆2と金属電気メッキ層3とが一体化したものを、モックアップ4とすることができる。
図3は、本発明の実施の形態1に係る金属デザインモックアップの作成方法を説明するものであって、複雑形状デザインの例についての作成工程に対応する作成物の状態を模式的に示す断面図である。
図3の(a)において、下型1の所定位置に、貫通孔13が穿設されている。
図3の(b)において、OP2工程において、貫通孔13の内周も平滑化され、平滑化処理後内周面130になっている。さらに、表面状態が平滑にされた平滑化処理後表面110の所定範囲(モックアップ4の開口部4aに相当する範囲)にマスキング5を施している(OP2の2工程)。
図3の(d)において、導電性被覆2が形成されたマスキング5が撤去された(OP3の2)後、導電性被覆2に金属電気メッキ層3が形成されている。
このとき、導電性被覆2および金属電気メッキ層3が形成されない範囲として、表面に穿設した開口部(貫通孔に同じ)4aと、内側に陥没したフランジを具備する開口部(欠損部に同じ)4bとが形成されている。なお、開口部4a、4bの形状や数量は限定するものではない。また、下型1に形成された貫通孔13に替えて、止まり穴(凹部)を形成して、最終的に、凹部が形成されたモックアップを作成してもよい。
なお、マスキング5の形状や数量は限定するものではなく、所望の形状のマスキング5を施すことができるから、複雑な形状を有するデザインのモックアップ4を容易に且つ安価に提供することができる。
図4および図5は、本発明の実施の形態2に係る金属デザインモックアップの作成方法を説明するものであって、図4は作成工程を説明するフロー図、図5は図4の作成工程に対応する作成物の状態を模式的に示す断面図である。
図5において、6はマスキング被覆、7は無電解金属被覆、60は金属デザインモックアップ(以下「モックアップ」と称す)であり、これを除く部材は、実施の形態1と同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
OP10は下型作成工程であり、実施の形態1と同じく、比較的に加工性がよく、且つ後の工程による無電解金属被覆が析出し易いプラスチック基体Bのブロックを基体として、マシニングセンタを初め一般的な工作機械を利用して、モックアップの下型1を作成する。なお、下型1には所定位置に、貫通孔13が穿設されている。
プラスチック基体Bの材料としては、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、PET樹脂のいずれかが好ましい。プラスチック基体Bの工作機械加工表面は、通常表面粗さが粗く、特に最大粗さに相当するピーク高さが高く、粗さ曲線も比較的均一性に乏しい。このプラスチック基体Bの粗さ特性は、最終のモックアップの成型性や表面状態に影響し、本発明の下型1としては十分ではない。
0.05μmRa以下では、従来におけるエッチング処理による施される微細な孔に相当する表面が期待出来ない。また、0.2μmRa以上では粗さ曲線のピーク値が高くなり、俗に言うエンドエフェクト(端面効果)により析出がピーク部に集中し、モックアップ4としての仕上がり時の表面状態が好ましくない。
OP20の表面平滑化処理工程は、下型1の少なくともモックアップ側の表面11(貫通孔13の内周面を含む)の表面状態を平滑にするものである。この下型1の表面平滑処理は、実施の形態1に同じである。なお、貫通孔13の内周面で、表面平滑処理後の貫通孔13の内周面を、平滑化処理後内周面130としている。
OP30は、マスキング処理工程である。非電導性インキまたは塗料により裏面12(金属デザインモックアップ側の表面11を除く面、反モックアップ側の面に同じ)を被覆するものである。
この被覆により、次工程における無電解金属被覆工程による無電解金属被覆の析出をこの部分より排除するものである。従って、前記インキまたは塗料には界面活性剤を添加して非付着性効果をアップすることができる。また、マスキング被覆6の厚さは、その目的から必要以上に厚い必要はなく、たとえば、2〜10μmで十分である。
OP40は、無電解金属被覆工程である。下型1のマスキング被覆6されていない範囲に、無電解銅、無電解ニッケル等による無電解メッキ、Fe、Ni、Cu、Al、Fe合金(ステンレス鋼を含む)、Ni合金、Cu合金、Al合金の何れかによる真空蒸着等により無電解金属被覆7を形成する。
無電解金属被覆7の厚さは、モックアップを構成する本体の厚さに同じであるから、モックアップとしての好ましい剛性を維持出来る必要があり、たとえば、100〜800μmであることが好ましい。
電気メッキによる金属被覆に比較して、金属被覆7はメッキ脆性効果がなく、その分実施の形態1の金属電気メッキ層3の厚さよりは薄くすることが可能であるが、100μmを境としてモックアップの剛性は急激に低下する。また、800μm以上に厚くすると、精度、コストの面で好ましくない。
OP50は、反モックアップ側の裏面12にはマスキング被覆6が被覆され、非付着性効果が発揮されているが、裏面12に余剰に被覆された無電解金属被覆7がある場合には、これを剥離除去する工程である。マニュアル、ケミカルなどの手段により剥離除去する。
OP60は、下型1の表面より無電解金属被覆7を剥離して、最終のモックアップを得る工程である。適度の加熱により無電解金属被覆7と下型1との熱膨張率差を利用して容易に離型することが出来る。すなわち、最終のモックアップである無電解金属被覆7には、所定の位置に、表面に穿設した開口部(貫通孔に同じ)7aと、内側に陥没したフランジを具備する開口部(欠損部に同じ)7bとが形成されている。なお、開口部7a、7bの形状や数量は限定するものではない。また、下型1に形成された貫通孔13に替えて、止まり穴(凹部)を形成して、最終的に、凹部が形成されたモックアップを作成してもよい。
2 導電性被覆
3 金属電気メッキ層
4 モックアップ(実施の形態1)
4a 開口部
5 マスキング
6 マスキング被覆
7 無電解金属被覆(実施の形態2)
7a 開口部
7b 開口部
11 表面
12 裏面
13 貫通孔
110 平滑化処理後表面
130 平滑化処理後内周面
Claims (14)
- プラスチック基材を加工して金属デザインモックアップの下型を成形する工程と、
少なくとも該下型の金属デザインモックアップ側の表面を平滑化する工程と、
前記平滑化された表面で、前記金属デザインモックアップの開口部に相当する範囲にマスキングを施す工程と、
前記平滑化された表面および前記マスキングに導電性被覆を施す工程と、
前記マスキングを撤去する工程と、
該導電性被覆に、厚さ200〜800μmの金属電気メッキ層を施す工程と、
前記導電性被覆および金属電気メッキ層を前記下型より離型する工程と、を有し、
該離型された前記導電性被覆および金属電気メッキ層を金属デザインモックアップとする、金属デザインモックアップの作成方法。 - 前記下型の金属デザインモックアップ側の表面を除く範囲に、余剰付着した金属電気メッキ層がある場合、該余剰付着した金属電気メッキ層を除去することを特徴とする請求項1記載の金属デザインモックアップの作成方法。
- 前記導電性被覆が、イオンプレーティング、無電解メッキまたはスパッタリングの何れかによることを特徴とする請求項1または2記載の金属デザインモックアップの作成方法。
- 前記金属電気メッキ層が、Fe、Ni、Cu、Al、Ag、Au、Fe合金、Ni合金、Cu合金、Al合金、Ag合金またはAu合金の何れかであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の金属デザインモックアップの作成方法。
- 前記平滑化された表面の表面アラサは、JIS中心線平均粗さが0.05Ra〜0.20Raであることを特徴とすると請求項1乃至4の何れかに記載の金属デザインモックアップの作成方法。
- 無電解金属被覆が可能なプラスチック基材を加工して金属デザインモックアップの下型を成形する工程と、
少なくとも該下型の金属デザインモックアップ側の表面を平滑化する工程と、
該平滑化された表面に、厚さ100〜800μmの無電解金属被覆を施す工程と、
該無電解金属被覆を前記下型より離型する工程と、を有し、
該離型された無電解金属被覆を金属デザインモックアップとする、金属デザインモックアップの作成方法。 - 無電解金属被覆が可能なプラスチック基材を加工して金属デザインモックアップの下型を成形する工程と、
少なくとも該下型の金属デザインモックアップ側の表面を平滑化する工程と、
該平滑化された表面を除く面にマスキング処理を施す工程と、
前記平滑化された表面と前記マスキング処理が施された面の全部または一部とに、厚さ100〜800μmの無電解金属被覆を施す工程と、
前記マスキング処理が施された面に余剰付着した無電解金属被覆がある場合、該余剰付着した無電解金属被覆を除去する工程と、
前記無電解金属被覆を前記下型より離型する工程と、を有し、
該離型された無電解金属被覆を金属デザインモックアップとする、金属デザインモックアップの作成方法。 - 前記平滑化された表面で、前記金属デザインモックアップの開口部に相当する範囲にマスキングを施した後、前記無電解金属被覆を施し、
前記マスキング処理が施された面に余剰付着した無電解金属被覆がある場合、該余剰付着した無電解金属被覆を除去することを特徴とする請求項6または7記載の金属デザインモックアップの作成方法。 - 前記無電解金属被覆が可能なプラスチック基材が、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、PET樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載の金属デザインモックアップの作成方法。
- 前記無電解金属被覆が、無電解メッキまたは真空蒸着による被覆であって、Fe、Ni、Cu、Al、Ag、Au、Fe合金、Ni合金、Cu合金、Al合金、Ag合金またはAu合金の何れかであることを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載の金属デザインモックアップの作成方法。
- 前記平滑化された表面の表面アラサは、JIS中心線平均粗さが0.05Ra〜0.20Raであることを特徴とする請求項6乃至10の何れかに記載の金属デザインモックアップの作成方法。
- 金属電気メッキ層の厚さが200〜500μmであって、請求項1乃至5の何れかに記載の金属デザインモックアップの作成方法によって作成されたことを特徴とする金属デザインモックアップ。
- 前記無電解金属被覆の厚さが100〜800μmであって、請求項6乃至11の何れかに記載の金属デザインモックアップの作成方法によって作成されたことを特徴とする金属デザインモックアップ。
- 携帯電話機を対象製品とすることを特徴とする請求項13記載の金属デザインモックアップ。
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