JP2004124119A - 焼結用原料粉末、焼結用造粒粉末、及びそれを用いた焼結体、並びに焼結体の製造方法 - Google Patents

焼結用原料粉末、焼結用造粒粉末、及びそれを用いた焼結体、並びに焼結体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】残留フェライト相が少ない、すなわち、実質的にオーステナイト相単相で、高密度の焼結体を得ることができ、高い鏡面光沢と耐食性、機械強度を有する焼結体が得られる焼結用原料粉末、焼結用造粒粉末、それらを用いて得られる焼結体、及び、焼結体の製造方法の提供。
【解決手段】オーステナイト系ステンレス鋼粉末及びNi質添加剤粉末を含んでなる焼結用原料粉末。バインダを用いて、Ni質添加剤粉末及びオーステナイト系ステンレス鋼粉末を造粒してなる、焼結用造粒粉末。焼結用原料粉末又は焼結用造粒粉末を成形した後、1200〜1400℃の温度条件で焼結する段階を備える、焼結体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼結用原料粉末、焼結用造粒粉末、及び、それらを用いて得られる焼結体、並びに焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
時計用のバンドやケース等に代表されるような、高い鏡面光沢を必要とする部品の製造方法としては、オーステナイト系ステンレス鋼の溶製材を切削加工する方法や、板材をプレス等で打ち抜く方法が多く使用されている。しかしながら、これらの方法を用いた場合には、材料からの歩留まりが悪く、また加工費がかかる等の理由によりコスト高になる傾向がある。その為、最終形状に近い部品が製造でき、コスト的に有利な粉末冶金法による部品製造が多く用いられている。
【0003】
ところで、粉末冶金法により、溶製材による部品と同様の高い鏡面光沢、耐食性及び機械強度を有する部品を製造するためには、第一に、焼結密度をできるだけ高いものとすること、つまり焼結体中の空孔量を少なくする必要がある。また、第二に、オーステナイト相以外の相の量(第2相析出量)を少なくする必要がある。さらに、第三として、焼結時の結晶粒成長を抑え、微細な組織にすることが必要である。結晶粒は、その1つ1つが方向性を持っており、その方向性により硬度や研磨のされ易さ、光の反射量が変わると考えられている。この特徴は結晶粒の粒径が大きいほど顕著に表れ、研磨面の大きなうねりを発生させたり、反射率の違う大きな結晶粒の混在組織となり目視上むらに見える為に、結果として光沢度を落とす原因になると考えられている。
【0004】
また、結晶粒の成長とともに粒界も成長する傾向があるが、この粒界には炭化物相などのオーステナイト相以外の相が析出しやすく、これも研磨むらの原因となりやすい。うねりや第2相の析出は錆び発生の起点となりやすいので、長期間の使用において、鏡面度をさらに低下させることにもなる。さらに、結晶粒の粗大化および結晶粒界への第2相の析出は機械的な強度を低下させるために好ましくない。これは粒界が破壊、破断の起点になるからとされている。
【0005】
一般に、オーステナイト相を主相とするステンレス鋼粉末は、拡散速度が遅いため、焼結性が低く、焼結密度を十分に高くするのが困難である。焼結密度を高くするために有効な手法としては、焼結温度を高くする、フェライト相を多く含む成分組成の原料粉末を使用することなどが挙げられる。しかし、焼結温度を高くした場合、焼結密度は高くなるが結晶粒が粗大化し、さらにオーステナイト相以外の相を析出しやすくなる。特に鏡面性が必要な、焼結体の表面層ほどその傾向が強い。また、フェライト相を多く含む成分組成の原料粉末を使用した場合、焼結密度は高くなるが残留フェライト相などの他の相を析出し易い傾向にある。
【0006】
粉末冶金法によって鏡面光沢の良い部品を製造する試みは数多く研究されており、例えば特許文献1では、焼結雰囲気にメタン、プロパン、ブタンの炭化水素ガスを用いることで焼結体表面近傍の酸化物をCO反応で還元することで鏡面光沢を改善する方法が開示されている。また、特許文献2では、焼結温度を融解直前の温度に設定し、昇温速度を適度に設定することにより、焼結体の表面近傍50μm程度の部分に高密度相を形成する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では結晶粒の粗大化やオーステナイト相以外の相の生成を抑制することはできず、しかも部品の表層部分が改善されるにすぎない。したがって、平坦部よりも研磨量が多くなる傾向にある部品の角部分や部品形状によっては、内部の結果部分が露出して鏡面光沢や耐食性を悪化させることになる。しかも内部と表層の密度や結晶組織が異なるので機械特性としても低くなり、部品による個体差が発生しやすくなる。このように、粉末焼結で、高密度、かつ、オーステナイト相単相という焼結体を得ることは困難とされており、粉末冶金法による部品は、鏡面光沢や耐食性及び機械強度においては溶製材に比べて若干劣る為にその適用範囲が限定されていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−222482号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平8−20848号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、残留フェライト相などのオーステナイト相以外の相が少ない、すなわち、実質的にオーステナイト相単相であり、高密度の焼結体であって、高い鏡面光沢性、耐食性、および機械強度を有する焼結体が得られる焼結用原料粉末、焼結用造粒粉末、それらを用いて得られる焼結体、及び焼結体の製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、オーステナイト系ステンレス鋼粉末及びNi質添加剤粉末を含んでなる焼結用原料粉末を用いて焼結することで、残留フェライト相などのオーステナイト相以外の相が少ない、すなわち、実質的にオーステナイト相単相となる焼結体が得られることを見出した。
【0011】
また、さらに、所定の化学成分を所定量で含むオーステナイト系ステンレス鋼粉末を用いることで、焼結性を高め、焼結密度の高い焼結体が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
すなわち、本発明の焼結用原料粉末は、焼結性の高い成分組成を有するオーステナイト系ステンレス鋼及びNi質添加剤粉末を含むことを特徴としている。
【0013】
前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末の平均粒径は、焼結性を確保する観点から、2〜20μmであることが好ましい。
【0014】
前記Ni質添加剤粉末は、ステンレス鋼粉末の平均粒径よりも小さいものとし、さらに1μm以下であることが望ましい。Ni質の粉末としては例えば純Niのアトマイズ粉末、Niのカルボニル粉末、電解Ni粉末、酸化Ni粉末、水酸化Ni粉末、Niのプラズマアークによる超微粉などの他、例えばFe又はCrなどのNi以外の元素を含んだ合金金属の粉末を使用することもできる。
【0015】
前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末は、Feを主成分とし、C:0.2重量%以下、Si:0.1〜3.0重量%、Mn:0.05〜2.0重量%、Cr:12.0〜26.0重量%、及びNi:3.0〜25.0重量%を含む合金組成を有することができ、必要に応じてMo:5.0重量%以下、Cu:5.0重量%以下、N:0.4重量%以下、及びS:0.3重量%以下、Ti:2.0重量%以下、及びNb:2.0重量%以下から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0016】
前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末は、下記式(I)で規定されるFの値が、F>0であることが好ましい。
【0017】
F[%]=0.0816×(Creq+5.975×(Creq)+0.0587×(Creq)×(Nieq)−3.786×(Nieq)−46.23       …(I)
(式(I)中、Creq[%]=(Cr%)+1.5×(Si%)+(Mo%)+0.5×(Nb%)、Nieq[%]=(Ni%)+30×(C%+N%)+0.5×(Mn%)であり、Cr%、Si%、Mo%、Nb%、Ni%、C%、N%及びMn%は、それぞれ、前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末中のCr、Si、Mo、Nb、Ni、C、N及びMnの含有量[重量%]を示す。)
本発明の焼結用造粒粉末は、前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末及び前記Ni質添加剤粉末を、バインダを用いて造粒してなる。
【0018】
本発明による焼結体の製造方法は、前記焼結用原料粉末を成形した後、1200〜1400℃の温度条件で焼結する段階を備えることが好ましい。
【0019】
本発明の焼結体は、前記焼結用原料粉末又は前記焼結用造粒粉末を用いて製造され、相対密度が97%以上であることを特徴としている。
【0020】
本発明の焼結体では、平均結晶粒度を、80μm以下とすることができ、また、表層から内部200μmまでの平均結晶粒度と、表面から200μm以上内部の平均結晶粒度との差が20μm以下であることを特徴とする。
【0021】
また、残留フェライト量を、1.0%以下とすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
焼結用原料粉末
本発明の焼結用原料粉末は、オーステナイト系ステンレス鋼粉末及びNi質添加剤粉末を含むものである。
【0023】
本発明の焼結用原料粉末は、上記構成からなるため、本発明の焼結用原料粉末を用いれば、残留フェライト相などのオーステナイト相以外の第2相が少ない、すなわち、実質的にオーステナイト相単相であり、高い鏡面光沢性、耐食性、および機械強度を有する焼結体が得られる。
【0024】
このような優れた性状は、下記のメカニズムにより得られると考えられる。
【0025】
焼結工程の温度パターンは、一般に、大まかに分けると3つのステップからなる。つまり昇温ステップ、最高温度キープステップ(約0.5〜3時間)、冷却ステップの3ステップである。焼結現象は原料粉末の材質の融点の約7〜8割の温度から開始するといわれ、温度上昇と共に焼結の進行も促進される。
【0026】
焼結工程中の最高温度に到達する前においては、オーステナイト系ステンレス粉末(以下、「ベース粉末」ともいう)よりも細かいNi質添加剤粉末は、ベース粉末の表面を覆うように拡散していく。さらにその拡散は結晶粒界に沿って進行してベース粉末の内部にまで浸透し、実質的にすべての粒界部分のNi濃度を高めることとなる。一般に、フェライト相などの第2相は結晶粒界に析出しやすいが、粒界に拡散したオーステナイト生成元素であるNiがその析出を防止したり、あるいは析出物に作用して析出物を消滅させるので、実質的にオーステナイト相単相の焼結体を得ることができる。また、Niの拡散は焼結性の面でも有効に作用する。Fe−Ni系合金の拡散速度は、合金中のFe及びNiの割合によっては、FeあるいはNi単体の拡散速度よりも速くなる場合がある。具体的には、Niの含有率がFeよりも高い場合、たとえば、FeとNiの合計100重量%に対し、Ni60〜95重量%の場合に速くなるとされている。本発明の焼結用原料粉末を用いた焼結工程では、前述のように、Ni質添加剤粉末がベース粉末の表面を覆い、結晶粒界に沿って拡散し次第に素地にまで拡散していくので、その過程において前記割合の合金組成となる箇所が部分的に発生する。つまり焼結において非常に重要な、隣接する粉末粒子表面と結晶粒界がこのような組成となるので、非常に焼結性の良い状態が、Ni質添加剤粉末を添加しない場合に比べ、低い温度で発生することとなる。従ってNi質添加剤粉末を添加しない場合に比べ、低温側である程度の焼結が進行し、結晶粒を均一に成長させることとなる。通常、Ni質添加剤粉末を用いない場合には、焼結温度キープステップに達するかその直前から急激に焼結が進行する。非常に細かい金属粉末が急激に焼結を開始すると、温度偏析の影響や焼結体からの発生ガスなどの影響で異常な焼結を起こす部分があり、結果として結晶粒の異常成長や結晶粒サイズのばらつきなどを生じさせるといった問題がある。温度偏析やガスの影響は、特に焼結体表面に強く現れる。これに対し、Ni質添加剤粉末を用いた場合には、事前に結晶粒を成長させた後に本格的な焼結工程へ移行するので異常焼結が起こりにくく、部品中の結晶粒の大きさをそろえることが可能となる。
【0027】
焼結用原料粉末を構成するオーステナイト系ステンレス鋼粉末の平均粒子径は、特に限定するものではないが、2〜20μm、好ましくは4〜15μmであることが望ましい。一般に粒子径が小さい程活性度が高くなり、焼結工程において高い焼結性を得ることが可能となる。ただし、過度に細かい粉末は、比表面積が大きいため表面酸化層が多くなり、酸化物生成の要因となる酸素の含有量が多くなる傾向にあり、またNi質添加剤粉末をベース粉末の粒度に応じて小さいものとする必要があるので選択幅がせまくなる傾向にある。また、過度に細かい粉末は、価格が高いので、安価に製造できるといった特徴をもつ粉末冶金法にはあまり適さない。従ってオーステナイト系ステンレス鋼粉末の粒子径を上記の範囲とすることで、高い焼結性を得ることができる。
【0028】
Ni質添加剤粉末の粒子径は、ベース粉末の平均粒径よりも小さいことが望ましく、好ましくは1μm以下、たとえば0.1〜1μmであることが望ましい。Ni質添加剤粉末の粒子径を上記範囲とすることで原料粉末中のベース粉末とNi質添加剤粉末の偏析を防止することができ均一な混合状態とすることができる。また、焼結過程において、ベース粉末の粒子表面へのNi質添加剤粉末の拡散性を高めることができる。
【0029】
また、前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末は、Feを主成分とし、C:0.2重量%以下、Si:0.1〜3.0重量%、Mn:0.05〜2.0重量%、Cr:12.0〜26.0重量%、及びNi:3.0〜25.0重量%を含む、合金組成を有することが好ましい。この組成はオーステナイト系ステンレスを構成する基本的な成分構成であり、高い耐食性と鏡面性を得るための基本となる成分構成である。また必要に応じてMo:5.0重量%以下、Cu:5.0重量%以下、N:0.4重量%以下、S:0.3重量%以下、Ti:2.0重量%以下、Nb:2.0重量%以下から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。これらの元素によれば、さらに耐食性や耐熱性などを改善することができる。また、いうまでもなく、上掲の成分以外の成分、すなわち残部すべてが、実質的にFeであってもよい。なお、ここで、実質的にとは、本発明の効果が達成できるかぎり、金属の溶解工程において溶解原料に含まれる微量元素、あるいは、精製工程においても取り除くことのできない成分といった、不可避な不純物が含まれていてもよいことを意味する。
【0030】
前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末において、さらに、下記式(I)で規定されるFの値が、F>0であるステンレス鋼粉末であることが好ましい。
【0031】
F[%]=0.0816×(Creq+5.975×(Creq)+0.0587×(Creq)×(Nieq)−3.786×(Nieq)−46.23       …(I)
(式(I)中、Creq[%]=(Cr%)+1.5×(Si%)+(Mo%)+0.5×(Nb%)、Nieq[%]=(Ni%)+30×(C%+N%)+0.5×(Mn%)であり、Cr%、Si%、Mo%、Nb%、Ni%、C%、N%及びMn%は、それぞれ、前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末中のCr、Si、Mo、Nb、Ni、C、N及びMnの含有量[重量%]を示す。)
上記Fの値は合金中のフェライト生成量の目安とされているが、F>0であると、フェライト相の析出が促進され、粒子間あるいは結晶粒子間の金属元素の拡散速度が早くなるため焼結性が高くなり、高い焼結密度が得られやすくなる傾向にある。
【0032】
ところで、本発明は、高い鏡面光沢が得られる焼結体を得ることを目的の一つとしており、フェライト相の析出が多いと十分な鏡面光沢が得られないおそれがある。しかし、本発明によれば、Ni質添加剤粉末は外添しており、Niをベース粉末の結晶粒界(ベース粉末の粒子表面も結晶粒界である)に選択的に拡散させているので、ベース粉末の焼結性を低下させることなく、粒界に析出するフェライト相などの第2相を、オーステナイト化することができ、結果として、焼結密度がより高く、しかも、実質的にオーステナイト単相である焼結体を得ることができる。すなわち、Niはオーステナイト生成元素であり、フェライト相などの第2相は、結晶粒界に析出しているので、外添されたNi質添加剤粉末由来のNiが、この第2相に拡散し、第2相をオーステナイト化するため、結果として、得られる焼結体は、実質的にオーステナイト単相になるのである。
【0033】
本発明で用いられるNi質添加剤粉末としては、Ni成分を含み、本発明の効果を達成し得るものであれば、特に制限されず、たとえば純Niのアトマイズ粉末、Niのカルボニル粉末、電解Ni粉末、酸化Ni粉末、水酸化Ni粉末、プラズマアークによる超微粉などの他、Ni以外の元素例えばFeやCrを含んだ合金金属の粉末を用いることができる。このようなNi質添加剤粉末は、一種単独で用いてもよく、また、二種以上を組み合わせて用いてもよい。このような中でも、特に、酸化ニッケルが、微細原料の観点から好ましいといえる。Ni質添加剤粉末の配合量は、本発明の効果を達成し得る限り特に制限はされないが、たとえば、析出物を抑制し、完全にオーステナイト化するという観点からは、オーステナイト系ステンレス鋼粉末100重量部に対して、0.01〜2.0重量部であることが好ましく、特に、0.1〜1.5重量部であることが好ましい。
【0034】
本発明の焼結用原料粉末はV型混合機などにより単純に混合したものであってもよいが、機械的圧力によりベース粉末の表面にNi質添加剤粉末を固定したものであることが好ましく、プレス成形、及び、金属粉末射出成形(MIM:Metal Injection Molding)に好適に用いられる。ただし、その他の成形法の採用を妨げるものではない。
焼結用造粒粉末
本発明の焼結用造粒粉末は、前記Ni質添加剤粉末及び前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末を、バインダを用いて造粒して形成されている。
【0035】
本発明の焼結用造粒粉末は、前記Ni質添加剤粉末及び前記バインダを、溶剤に溶解及び/又は懸濁させた溶液(以下、「バインダ溶液」ともいう)を用いて、オーステナイト系ステンレス鋼粉末を造粒して形成されていることが好ましい。Ni質添加剤粉末は、単独では、凝集しやすいが、溶液中に懸濁させることにより、均一に分散することができるので、ステンレス鋼粉末表面にも均一に付着させることができる。したがって、均一にオーステナイト化を進めることができる。
【0036】
溶媒にバインダとNi質添加剤粉末を添加する順序は、特に制限されないが、バインダを溶剤中にあらかじめ溶解及び/又は懸濁させておいた溶液に、Ni質添加剤粉末を添加して、懸濁させることが好ましい。バインダを、あらかじめ溶解及び/又は懸濁させた溶液に、Ni質添加剤粉末を添加することにより、Ni質添加剤粉末を、バインダ溶液中に、より均一に拡散することができ、焼結時に析出するであろうフェライト相を、満遍なくオーステナイト化することができるからである。
【0037】
Ni質添加剤粉末、バインダ、及び、オーステナイト系ステンレス鋼粉末としては、焼結用原料粉末の説明で記載したものと同様のものが用いられる。
【0038】
また、バインダ溶液に用いられる溶剤としては、たとえば、水、又は、メチルアルコール、エチルアルコールのようなアルコール類等の溶剤を用いることができる。なお、これらの溶剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組合わせて用いてもよい。
【0039】
本発明で用いられるバインダとしては、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ステアリン酸、パラフィン、ワックス、アルギン酸ソーダ、寒天、アラビアゴム、レジン、ショ糖等を用いることができる。このようなバインダは、一種単独で用いてもよく、また、二種以上を組合わせて用いてもよい。このような中でも、結合力の高さ、加熱による高い脱バインダ特性、また低価格の観点から、ポリビニルアルコールもしくはポリビニルピロリドンが好ましい。なお、本発明で用いられるバインダは、上記例示に限定されるものではなく、ステンレス鋼粉末同士及び/又はステンレス鋼粉末とNi質添加剤粉末との結合剤として機能するものであればよく、公知のものの中から鹸化度や重合度に応じて適宜選択して用いることができる。
【0040】
バインダの配合量は、成形法、用いるステンレス鋼粉末の量などによって異なり、これらに合わせて適宜調整される。したがって、バインダの配合量は、本発明の効果を達成し得る限り特に限定されるものではない。バインダの配合量の一例を挙げると、プレス成形法による場合には、ステンレス鋼粉末とNi質添加剤粉末の総量100重量部に対して、たとえば0.1〜5.0重量部、好ましくは、0.3〜2重量部配合される。また、射出成形法による場合には、ステンレス鋼粉末とNi質添加剤粉末の総量100重量部に対して、たとえば2〜20重量部、好ましくは、5〜15重量部の量で配合される。
【0041】
また、バインダ溶液中に用いられるバインダの配合量は、ステンレス鋼粉末の粒子形状や粒度分布により適宜決定され、特に限定されるものではないが、たとえば、水アトマイズステンレス鋼粉末((株)アトミックス社製、商品名:PF−20F、平均粒径10μm)の場合には、蒸留水100重量部に対して、0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部の量で配合されてもよい。
【0042】
本発明の焼結用造粒粉末は、プレス成形、及び、金属粉末射出成形(MIM:Metal Injection Molding)に好適に用いられる。
焼結体の製造方法
本発明の焼結体の製造方法は、前記焼結用原料粉末又は前記焼結用造粒粉末を成形した後、焼結する段階を備えている。
【0043】
また、本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼粉末及びNi質添加剤粉末を混合して焼結用原料(焼結用原料粉末又は焼結用造粒粉末)を製造する第1工程と、
前記第1工程により得られた焼結用原料を成形した後、焼結する第2工程
を備えているものであってもよい。
【0044】
前記第1工程である焼結用原料粉末の製造方法としては、前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末にNi質添加剤粉末を、V型混合機やヘンシェルミキサーなどで攪拌混合する方法を用いることができるが、望ましくはベース粉末の表面にNi質添加剤粉末を付着させる方法を用いることが好ましい。具体的には、ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)などの装置により、機械的圧力を加えることにより、ベース粉末の表面にNi質添加剤粉末を固定することができる。Ni質添加剤粉末が、ベース粉末の表面に付着されていると、ハンドリング時の振動などでの分離、飛散及び偏析を防止することができ、また焼結工程においてはベース粉末表面への拡散、結晶粒界への拡散をより均一に安定して進めることができるので、より確実に実質的にオーステナイト相単相の焼結体を得ることができるからである。
【0045】
焼結用造粒粉末は、オーステナイト系ステンレス鋼粉末、Ni質添加剤粉末、固体状又は液状のバインダをV型混合機やヘンシェルミキサーなどで攪拌混合することにより製造することができる。液状のバインダは、バインダ自体が液状であってもよく、また、適当な溶剤にバインダを溶解または懸濁させたものであってもよい。
【0046】
また、バインダ及びNi質添加剤粉末を、溶剤に溶解及び/又は懸濁して、Ni質添加剤粉末が懸濁したバインダ溶液を調製し、得られるバインダ溶液をオーステナイト系ステンレス鋼粉末に添加・造粒して製造してもよい。Ni質添加剤粉末は、単独では、凝集しやすいが、溶液中に懸濁させることにより、均一に分散することができるので、鋼粉末表面にも均一に付着させることができる。なお、バインダ溶液を添加する際、噴霧により添加すると、鋼粉末により均一にNi質添加剤粉末を付着することができるので好ましい。
【0047】
前記第2工程は、1200〜1400℃、好ましくは1250〜1380℃の温度条件で焼結する段階を少なくとも備えることが好ましい。
【0048】
上記温度条件で焼結することにより高密度でかつ鏡面性の高い部品を得ることができる。また、上記加熱は、Ar,N等の不活性ガス雰囲気中、もしくはH,アンモニア分解ガス等の還元性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。前記雰囲気での圧力条件は、加圧もしくは減圧であってもよく適時設定する。このような条件下で焼結を行うことで、成形体あるいは焼結体の酸化を防止できる。
【0049】
また、第1工程で得られた造粒粉末を成形後、焼結を行う前に、あらかじめ、脱脂処理をする工程が含まれていてもよい。特に、金属粉末射出成形を行う場合には、通常、プレス成形を行う場合よりもバインダ量を多く用いるため、脱脂処理することが好ましい。最終的に得られる焼結体に、バインダが多量に残留していると、たとえば、膨れや割れなどの不良が発生したり、バインダの成分が焼結体に残留し、得られる焼結体の性状に悪影響を及ぼす場合がある。特にバインダ等に由来する炭素が残留した場合、オーステナイトステンレスとしての耐食性を著しく低下させる為に、留意する必要がある。
【0050】
なお、成形及び脱脂処理の方法・条件は、特に制限するものではないが、一般にプレス成形の場合は、原料粉末同士の摩擦や粉末と金型の摩擦を低減し、圧縮性を改善する目的でステアリン酸亜鉛などの潤滑剤をたとえば、原料全体に対し、0.5〜1.5重量%の量で添加混合し、その後該粉末をダイス金型に充填した後、上下パンチで2〜8t/cmの圧力で圧縮し所定の形状に成形する。次に該成形体を水素あるいはアンモニア雰囲気中で500〜700度に0.5〜2時間加熱することで脱脂処理を行う。
【0051】
射出成形の場合、まず原料粉末にポリエチレンなどの熱可塑性ポリマー樹脂やカルナバワックスなどのバインダ、必要に応じて界面活性剤などを、原料粉末100重量部に対して、たとえば2〜20重量部、好ましくは、5〜15重量部配合した後に、150〜180度で0.5〜1時間混練する。次いで該混練物を解砕機にかけてペレット状にする。次に射出成形機にて、500〜1500Kgf/cmの圧力をかけて金型に押し込み成形する。次に該成形体を水素あるいはアンモニア雰囲気中で500〜700度に0.5〜2時間加熱することで脱脂処理を行う。
焼結体
本発明の焼結体は、上記焼結用原料粉末、又は、上記焼結用造粒粉末を用いて製造されるものである。
【0052】
また、本発明の焼結体は、上記焼結体の製造方法により製造されるものであり、またその他の従来公知の方法で製造されたものであってもよい。
【0053】
焼結体の相対密度は、97%以上、好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上であることが望ましい。相対密度が上記範囲あると、高い鏡面性が得られ、また耐食性、機械強度に優れた部品とすることができる。
【0054】
本発明の焼結体は、平均結晶粒度が、80μm以下、好ましくは10〜60μmであることが望ましい。結晶粒はその1つ1つが方向性を持っておりその方向性により硬度や研磨のされ易さ、光の反射量が変わると考えられている。この特徴は粒径が大きいほど顕著に表れ、研磨面の大きなうねりを発生させたり、反射率の違う大きな結晶粒の混在組織となり目視上むらに見える為に、結果として光沢度を落とす原因になると考えられている。
【0055】
また結晶粒の成長とともに粒界も成長する傾向があるが、この粒界には炭化物などのオーステナイト相以外のものが析出しやすく、これも研磨むらの原因となりやすい。うねりや析出物は錆びの原因にもなるので、長期間の使用においてさらに鏡面度を低下させることにもなる。さらに結晶粒の粗大化および結晶粒界への析出は機械的な強度を低下させるために好ましくない。これは粒界が破壊、破断の起点になるからとされている。従って、平均結晶粒度が上記範囲内にあると、前記理由により高い鏡面光沢が得られ、また耐食性、機械強度に優れた部品とすることができる。
【0056】
また、表層から内部200μmまでの平均結晶粒度と、表面から200μm以上内部の平均結晶粒度との差が20μm以下、好ましくは15μm以下であることが好ましい。表層と内部の平均結晶粒度が、上記範囲内にあると、研磨量によって鏡面光沢が変わることなく一様な鏡面状態の部品とすることができ、またの機械強度も高く、部品全体で均一な強度を備えたものとすることができる。
【0057】
なお、平均結晶粒度はJISG0551「鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法」に準じて測定する。
【0058】
また、フェライトスコープにより測定される残留フェライト量が、1.0%以下、好ましくは0.5%以下であることが望ましい。残留フェライト量が上記範囲にあると、高い鏡面性が得られ、また耐食性、機械強度に優れた部品とすることができる。
【0059】
本発明の焼結体は、上記のような物性等を有するので、研磨することにより、高い鏡面光沢性が得られ、また高い耐食性と均一な機械強度を備えた部品が得られる。
【0060】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す化学成分、及び表2に示す粒度分布及び平均粒径を有するステンレス鋼の水アトマイズ粉末を原料とした。なお、粒度分布及び平均粒径は、市販のレーザー回折式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、装置名:SRA7995)により測定した。また、表1の値より、式(I)のF[%]の値を計算したところ、F[%]は、4.44%であった。
【0061】
【表1】
Figure 2004124119
【0062】
【表2】
Figure 2004124119
【0063】
次に、バインダとしてポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名 PVA−117)2.0重量部を、蒸留水98.0重量部に混合し、加熱溶解した。得られた溶液に、ニッケル質添加剤粉末として、酸化ニッケル粉末(住友金属鉱山(株)製 高純度酸化ニッケル 平均粒径0.6μm)を1.0重量部外添加し、懸濁させて、バインダ溶液とした。
【0064】
上記ステンレス鋼粉末に対して酸化ニッケル粉末の添加率が0.5重量%となるように、ステンレス鋼粉末2Kg及び前記のバインダ懸濁液1.01kgを使用して、転動流動造粒装置(株式会社パウレック製、装置名:マルチプレックスグラニュレーターMP01)で造粒を行った。なお、バインダ溶液は、酸化ニッケル粉末が沈降分離しないように、バインダ溶液作成時から造粒終了までスターラーで撹拌を続けた。
【0065】
次に、上記で得られた造粒粉末をプレス成形し、直径37mm、厚さ5mmの円盤状の成形体を得た。この成形体を水素雰囲気中で、600℃で1時間保持し、脱脂を行った。
【0066】
この脱脂体を、アルゴン雰囲気中で、1380℃で1時間保持し、焼結を行った。
【0067】
この結果、7.82[g/cm]という密度の焼結体が得られた。これは、真密度7.95[g/m]とすると、相対密度で98.4%となり良好な値であった。フェライトスコープ(株式会社フィッシャーインストルメンツ製、装置名:MP30)による測定によると、フェライト量は、0.2%と良好な値であった。また、焼結体の断面腐食組織観察によると、表層より内部200μmまでの平均結晶粒度は、45μm、それ以上の内部の平均結晶粒度は40μmと良好であった。次に得られた焼結体の表面を研磨し鏡面状態を確認したところ、表5に示すように非常に良好であることが確認された。また該焼結体の耐食性を確認するために塩水噴霧試験機を用いて、CASS溶液(塩化ナトリウム、酢酸及び塩化第二銅の混合溶液)を噴霧し、JIS Z2371「塩水噴霧試験方法」に準じて発錆試験を96時間実施したところ、表5に示すように錆びの発生はなく、耐食性は良好であることが確認された。さらに、該焼結体の機械強度試験を行ったところ、表5に示すように良好な値が得られた。
【0068】
(比較例1)
バインダ溶液に、酸化ニッケル粉末を添加しないで造粒を行った以外は、実施例1と同様にして焼結を行ったところ、7.83[g/cm]という密度の焼結体が得られた。これは、真密度を7.95[g/cm]とすると、相対密度で98.5%と良好な値であった。フェライトスコープによる測定によるとフェライト量は、2.5%と多い事がわかった。また、焼結体の断面腐食組織観察によると、表層より内部200μmまでの平均結晶粒度は110μm、それ以上の内部の平均結晶粒度は45μmであり、表層部分の結晶粒が過剰に粗大化していることがわかった。次に得られた焼結体の表面を研磨し鏡面状態を確認したところ、表5に示すように鏡面光沢はやや劣ることが確認された。また該焼結体の耐食性を確認するために塩水噴霧試験機を用いて、CASS溶液(塩化ナトリウム、酢酸及び塩化第二銅の混合溶液)を噴霧し、JIS Z2371「塩水噴霧試験方法」に準じて、発錆試験を96時間実施したところ、表5に示すように若干の錆が発生し、耐食性はやや劣ることが確認された。さらに、該焼結体の機械強度試験を行ったところ、表5に示すように実施例1に比べて劣ることが確認された。
【0069】
(比較例2)
表3に示す化学成分、及び表4に示す粒度分布及び平均粒径を有するステンレス鋼の水アトマイズ粉末を原料とした以外は、実施例1と同様に実験を行った。また、表3の値より、式(I)のF[%]の値を計算したところ、F[%]は、−0.10%であった。
【0070】
【表3】
Figure 2004124119
【0071】
【表4】
Figure 2004124119
【0072】
この結果、7.44[g/cm]という密度の焼結体が得られた。これは、真密度7.95[g/m]とすると、93.6%となり、低い値であった。フェライトスコープ(株式会社フィッシャーインストルメンツ製、装置名:MP30)による測定によると、フェライト量は、0.0%であり良好であった。また、焼結体の断面腐食組織観察によると、表層より内部200μmまでの平均結晶粒度は、60μm、それ以上の内部の平均結晶粒度は65μmであり良好な値であった。次に得られた焼結体の表面を研磨し鏡面状態を確認したところ、表5に示すように鏡面光沢はやや劣ることが確認された。また該焼結体の耐食性を確認するために塩水噴霧試験機を用いて、CASS溶液(塩化ナトリウム、酢酸及び塩化第二銅の混合溶液)を噴霧し、JIS Z2371「塩水噴霧試験方法」に準じて、発錆試験を96時間実施したところ、表5に示すように若干の錆が発生し、耐食性はやや劣ることが確認された。さらに、該焼結体の機械強度試験を行ったところ、表5に示すように実施例1に比べて劣ることが確認された。
【0073】
【表5】
Figure 2004124119
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、残留フェライト相が少ない、すなわち、実質的にオーステナイト相単相で、高密度の焼結体を得ることができ、また結晶粒度のばらつきを抑えることができるので、高い鏡面光沢と耐食性、機械強度を有する焼結体を得ることができる。

Claims (12)

  1. オーステナイト系ステンレス鋼粉末及びNi質添加剤粉末を含んでなる焼結用原料粉末。
  2. 前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末の平均粒子径が、2〜20μmである、請求項1に記載の焼結用原料粉末。
  3. 前記Ni質添加剤粉末の平均粒子径が、前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末の平均粒子径よりも小さい、請求項1又は2に記載の焼結用原料粉末。
  4. 前記Ni質添加剤粉末の平均粒子径が、1μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結用原料粉末。
  5. 前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末が、Feを主成分とし、C:0.2重量%以下、Si:0.1〜3.0重量%、Mn:0.05〜2.0重量%、Cr:12.0〜26.0重量%、及びNi:3.0〜25.0重量%を含み、さらに必要に応じてMo:5.0重量%以下、Cu:5.0重量%以下、N:0.4重量%以下、S:0.3重量%以下、Ti:2.0重量%以下、及びNb:2.0重量%以下から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結用原料粉末。
  6. 前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末の下記式(I)で規定されるFの値が、F>0となる、請求項5に記載の焼結用原料粉末。
    F[%]=0.0816×(Creq+5.975×(Creq)+0.0587×(Creq)×(Nieq)−3.786×(Nieq)−46.23       …(I)
    (式(I)中、Creq[%]=(Cr%)+1.5×(Si%)+(Mo%)+0.5×(Nb%)、Nieq[%]=(Ni%)+30×(C%+N%)+0.5×(Mn%)であり、Cr%、Si%、Mo%、Nb%、Ni%、C%、N%及びMn%は、それぞれ、前記オーステナイト系ステンレス鋼粉末中のCr、Si、Mo、Nb、Ni、C、N及びMnの含有量[重量%]を示す。)
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のオーステナイト系ステンレス鋼粉末及びNi質添加剤粉末を、バインダを用いて造粒してなる、焼結用造粒粉末。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼結用原料粉末又は請求項7に記載の焼結用造粒粉末を成形した後、1200〜1400℃の温度条件で焼結する段階を備える、焼結体の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼結用原料粉末又は請求項7に記載の焼結用造粒粉末を用いて製造され、相対密度が97%以上である、焼結体。
  10. 平均結晶粒度が80μm以下である、請求項9に記載の焼結体。
  11. 表層から内部200μmまでの平均結晶粒度と、表面から200μm以上内部の平均結晶粒度との差が20μm以下であることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の焼結体。
  12. 残留フェライト量が1.0%以下である、請求項9〜11のいずれか1項に記載の焼結体。
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