JP2004123891A - 一液型液状エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一液型液状エポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小型継電器(以下、「リレー」という)はエレクトロニクス産業の発展とともに、その生産量も順調に伸びてきており、通信機器、OA機器、家電機器、自販機等と使用される分野も多岐にわたっている。特に、プリント配線基板に搭載されるマイクロリレーが増加しつつある。
【0003】
リレーに要求される必要特性としては、半田フラックスの侵入を防止できること、部品の丸洗いができること、動作音を低減すること、海岸地方での使用においてリレー端子間の絶縁を保持できること、あるいは半田リフロー処理後に気密性を保持できることなどが挙げられる。これらはいずれも、リレーの封止に用いられる封止材料による高い気密性が必要であり、その信頼性の要求も益々厳しくなってきている。
【0004】
さらに、電子部品の軽薄短小化の流れに伴い、リレーの小型化が進み、ケース材料およびボディ材料で使用されているポリブチレンテレフタレート(PBT)に代わり、成形時にバリの発生が少なく、寸法精度に優れ、さらに、半田リフロー処理に対応可能な耐熱性に優れた液晶ポリマー(以下、「LCP」という)が使用されている。また、近年のハンダにおける鉛フリー化の流れから、さらにハンダリフロー温度が高くなり、より耐熱性の要求が厳しくなりつつある。
【0005】
このように、リレーはその気密性、具体的には、封止材料とLCP及び金属端子との密着性が強く要求され、かつ、リード界面およびケース間隔の絶縁封止のため、優れた封止材料が必要になってきている。このような目的のための封止材料としては、エポキシ樹脂組成物が用いられてきた。しかし、従来のエポキシ樹脂組成物では、半田リフロー処理時の耐熱性が低く、気密性が充分に保てないという問題があった。
【0006】
封止材料として用いられるエポキシ樹脂組成物には、液状エポキシ樹脂と、ポリアミドアミン、酸無水物等の硬化剤とを使用直前に混合して使用するいわゆる二液型エポキシ樹脂組成物と、潜在性硬化剤を予め液状エポキシ樹脂組成物と混合して使用する一液型エポキシ樹脂組成物とがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。最近では、材料ロスが少なく生産性を向上できる一液型エポキシ樹脂組成物の使用に移行している。
【0007】
従来の一液型液状エポキシ樹脂組成物においては、被着材であるLCPや金属端子との密着性を向上させるために、被着材と組成物との線膨張係数を近づける目的で、組成物に無機充填材を多く配合する手法が採られることがあった。しかし、無機充填材の高配合は、線膨張係数の低下には有効であるものの、配合量によっては組成物粘度が高くなって作業性が悪くなり、被着材との密着力も低下することがあった。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−207029号公報
【特許文献2】
特開2001−247746号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、LCPからなるリレーにおいて、気密性、特に半田リフロー処理時の高温下でもLCPおよび金属端子との密着性に優れた一液型液状エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明(1)〜(2)により達成される。
(1)小型継電器を封止するための一液型エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、及び無機充填材(D)を必須成分とし、前記エポキシ樹脂(A)は、下記一般式(I)又は(II)で示されるエポキシ樹脂(E)を含有することを特徴とする一液型液状エポキシ樹脂組成物。
【化2】
(2)前記エポキシ樹脂(E)は、前記エポキシ樹脂(A)中、5重量%以上含有されるものである上記(1)に記載の一液型液状エポキシ樹脂組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物(以下、単に「組成物」ということがある)は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、及び無機充填材(D)を必須成分とし、前記エポキシ樹脂(A)は、上記一般式(I)又は(II)で示されるエポキシ樹脂(E)を含有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の組成物に用いられる、エポキシ樹脂(E)以外のエポキシ樹脂(A)としては特に限定されないが、例えば、ビスフェノールタイプエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラックタイプエポキシ樹脂、飽和脂肪族あるいは不飽和脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられ、単独あるいは混合で使用される。
これらの中でも、エポキシ当量160〜190のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、組成物製造時の作業性や、組成物の保存安定性を向上させることができる。
【0013】
本発明の組成物に用いられる硬化剤(B)としては特に限定されないが、例えば、ジシアンジアミド、あるいは、アジピン酸ヒドラジドのようなヒドラジド系化合物が挙げられる。
硬化剤(B)の配合量は特に限定されないが、エポキシ樹脂(A)100重量部に対し、5〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは5〜15重量部である。硬化剤(B)の配合量が前記下限値未満の場合は、硬化が不十分となることがある。また、前記上限値を越えると、保存性が低下することがある。
【0014】
本発明の組成物に用いられる硬化促進剤(C)としては特に限定されないが、潜在性硬化剤として市販されているアダクト系化合物が優れている。例えば、味の素ファインテクノ(株)製・アミキュアPN−23、MY−24や富士化成工業社製・フジキュアFX−1000などが代表的である。また、特開平1−70523号公報に開示されている一液性エポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(旭化成エポキシ社製・ノバキュアHX−3721)や特開平6−73156号公報に開示されているエポキシ樹脂と2−エチル−4−メチルイミダゾールの付加物にホウ酸エステル化合物で表面処理したような潜在性硬化剤でもよく、これらの硬化剤が適宜使用される。
硬化促進剤(C)の配合量は特に限定されないが、エポキシ樹脂(A)100重量部に対し、5〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは10〜20重量部である。硬化促進剤(C)の配合量が前記下限値未満の場合は、硬化が不十分となることがある。また、前記上限値を越えると保存性が低下する傾向がある。
【0015】
本発明の組成物において用いられる無機充填剤(D)としては特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
無機充填剤(D)の配合量は特に限定されないが、エポキシ樹脂(A)100重量部に対し、10〜100重量部であることが好ましい。これにより、組成物としての粘度が作業性に優れたものとなり、かつ、硬化物特性、具体的には、電気的特性、機械的特性、耐熱性、耐薬品性が向上する。
無機充填材(D)の配合量が前記下限値未満では硬化物特性が不充分となることがある。一方、前記上限値を超えると、組成物の粘度が高くなり、作業性が低下することがある。
【0016】
本発明の組成物に用いられるエポキシ樹脂(E)は、下記一般式(I)又は(II)で表される構造を有するものである。
【化3】
上記のエポキシ樹脂(E)はナフタレン骨格を有しているため、組成物に耐熱性、低線膨張性を付与することができる。これにより、組成物をリレーの封止に用いた場合に、特に高温下においてもLCPおよび金属端子との密着性を維持することができ、リレーの気密性を向上させることができるものである。
エポキシ樹脂(E)の配合量は特に限定されないが、エポキシ樹脂(A)中、5重量%以上含有されることが好ましい。さらに好ましくは5〜50重量%である。これにより、他の特性に実質的に影響を与えることなく、上記の効果を充分に発現させることができる。エポキシ樹脂(E)の配合量が前記下限値未満では、配合の効果が小さく、耐熱性の向上が充分ではないことがある。また、前記上限値を超えると、耐熱性を付与する効果については問題ないが、組成物の配合によっては、組成物が高粘度化して作業性が低下することがある。
なお、上記エポキシ樹脂(E)としては、例えばこのように調製された市販品を用いることができる。
【0017】
本発明の組成物には、以上の成分の他に、必要により通常のエポキシ樹脂組成物に添加される成分を加えてもよい。即ち、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、可塑剤、染料、顔料、カップリング剤、湿潤材、レベリング剤、チキソトロピック性付与剤、消泡剤等である。
【0018】
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物の製造方法は、通常のエポキシ樹脂組成物の製造方法と同様な一般的な撹拌混合設備と加工条件が適用できる。使用される設備としては、ミキシングロール、ディゾルバ、プラネタリミキサ、ニーダ、押し出し機等である。加工条件としてはエポキシ樹脂等を溶解および/または低粘度化し撹拌混合効率を向上させるために加熱してもよい。また、摩擦発熱、反応発熱等を除去するために冷却してもよい。撹拌混合の時間は必要により定めればよく、特に制約されることはない。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
【0020】
1.組成物の調製
表1に示した配合量(配合量は全て重量部を表す)で、下記方法により組成物を調製した。
(1)実施例1〜5
エポキシ樹脂を予め100℃で溶融混合した。これを室温まで冷ました後に、硬化剤、硬化促進剤、チキソ付与剤、無機充填材、着色剤を混合し、ミキシングロールを使って25℃で2分間混練して組成物を調製した。
(2)比較例1〜4
エポキシ樹脂に、硬化剤、硬化促進剤、チキソ付与剤、無機充填材、着色剤を混合し、ミキシングロールを使って25℃で2分間混練して組成物を調製した。
【0021】
2.組成物の評価
実施例及び比較例で得られた組成物及びその硬化物の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表の注(原材料)
(1)エポキシ樹脂1:ジャパン エポキシ レジン(株)製・エピコート828、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190[g/eq])
(2)エポキシ樹脂2:ジャパン エポキシ レジン(株)製・エピコート807、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量170[g/eq])
(3)エポキシ樹脂3:大日本インキ化学工業(株)製・HP−4032D(エポキシ当量:140[g/eq])、上記一般式(I)に相当する構造を有するもの。
(4)エポキシ樹脂4:大日本インキ化学工業(株)製・EXA−4700(エポキシ当量:162[g/eq])、上記一般式(II)に相当する構造を有するもの。
(5)硬化剤:ジシアンジアミド
(6)硬化促進剤:味の素ファインテクノ(株)製・アミキュアPN−23
(7)チキソ付与剤:日本アエロジル(株)製・#200
(8)無機充填材:炭酸カルシウム
(9)着色剤:カーボンブラック
【0024】
【表2】
【0025】
表の注(評価方法)
(1)粘度:25℃における粘度をE型粘度計で測定した。
(2)ゲルタイム:120℃の熱盤上で、組成物がゲル化するまでの所要時間を測定した。
(3)リン青銅引張剪断強さ:JIS K 6850に規定された引張剪断接着強さの測定方法に従って測定した。試験片は、組成物を120℃で60分硬化させて作製した。
(4)LCP引張剪断強さ:JIS K 6850に規定された引張剪断接着強さの測定方法に従って測定した。試験片は、組成物を120℃で60分硬化させて作製した。
(5)リレー気密性:
LCP製のケース1(内形寸法15×10×10mm)に、LCP製の模擬リレー2(寸法10×6×10mm)を内装し、この隙間に組成物を注入した後、赤外線リフロー処理を行い、その後、80℃に加熱したフロリナートに浸漬させ気密性を確認した。フロリナート浸漬時に気泡が発生しない場合を○、気泡が発生した場合を×とした。
赤外線リフロー処理として、下記の2種類の条件を適用した。
条件1:予備加熱を150℃で90〜120秒間行い、その後、さらに最高温度が240℃以下になるように昇温して、200℃を越えた温度域を約30秒間維持するようにした。
条件2:予備加熱を150℃で90〜120秒間行い、その後、さらに最高温度が255℃以下になるように昇温して、200℃を越えた温度域を約90秒間維持するようにした。
【0026】
実施例1〜5はいずれも、本発明の組成物である。これを用いた硬化物の評価の結果、エポキシ樹脂(E)を配合しない比較例1〜2、及び、エポキシ樹脂(E)を配合せず、無機充填材を多量に配合した比較例3〜4と比べて、特に高温時の密着性、気密性において良好なものであった。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、及び無機充填材(D)を必須成分とし、さらに、エポキシ樹脂(A)は、特定の構造を有するエポキシ樹脂(E)を含有することを特徴とする一液型液状エポキシ樹脂組成物である。本発明の組成物を、LCPからなるリレーにおいて封止材料として用いると、特にリフロー処理時の高温下においても、LCPおよび金属端子との密着性に優れ、良好な気密性を得ることができる。また、組成物の取り扱い性も良好である。
従って本発明の組成物は、電話機や通信機あるいは自動車等の電源周辺に利用されるLCPリレーの封止材料として、好適に用いることができるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、一液型液状エポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小型継電器(以下、「リレー」という)はエレクトロニクス産業の発展とともに、その生産量も順調に伸びてきており、通信機器、OA機器、家電機器、自販機等と使用される分野も多岐にわたっている。特に、プリント配線基板に搭載されるマイクロリレーが増加しつつある。
【0003】
リレーに要求される必要特性としては、半田フラックスの侵入を防止できること、部品の丸洗いができること、動作音を低減すること、海岸地方での使用においてリレー端子間の絶縁を保持できること、あるいは半田リフロー処理後に気密性を保持できることなどが挙げられる。これらはいずれも、リレーの封止に用いられる封止材料による高い気密性が必要であり、その信頼性の要求も益々厳しくなってきている。
【0004】
さらに、電子部品の軽薄短小化の流れに伴い、リレーの小型化が進み、ケース材料およびボディ材料で使用されているポリブチレンテレフタレート(PBT)に代わり、成形時にバリの発生が少なく、寸法精度に優れ、さらに、半田リフロー処理に対応可能な耐熱性に優れた液晶ポリマー(以下、「LCP」という)が使用されている。また、近年のハンダにおける鉛フリー化の流れから、さらにハンダリフロー温度が高くなり、より耐熱性の要求が厳しくなりつつある。
【0005】
このように、リレーはその気密性、具体的には、封止材料とLCP及び金属端子との密着性が強く要求され、かつ、リード界面およびケース間隔の絶縁封止のため、優れた封止材料が必要になってきている。このような目的のための封止材料としては、エポキシ樹脂組成物が用いられてきた。しかし、従来のエポキシ樹脂組成物では、半田リフロー処理時の耐熱性が低く、気密性が充分に保てないという問題があった。
【0006】
封止材料として用いられるエポキシ樹脂組成物には、液状エポキシ樹脂と、ポリアミドアミン、酸無水物等の硬化剤とを使用直前に混合して使用するいわゆる二液型エポキシ樹脂組成物と、潜在性硬化剤を予め液状エポキシ樹脂組成物と混合して使用する一液型エポキシ樹脂組成物とがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。最近では、材料ロスが少なく生産性を向上できる一液型エポキシ樹脂組成物の使用に移行している。
【0007】
従来の一液型液状エポキシ樹脂組成物においては、被着材であるLCPや金属端子との密着性を向上させるために、被着材と組成物との線膨張係数を近づける目的で、組成物に無機充填材を多く配合する手法が採られることがあった。しかし、無機充填材の高配合は、線膨張係数の低下には有効であるものの、配合量によっては組成物粘度が高くなって作業性が悪くなり、被着材との密着力も低下することがあった。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−207029号公報
【特許文献2】
特開2001−247746号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、LCPからなるリレーにおいて、気密性、特に半田リフロー処理時の高温下でもLCPおよび金属端子との密着性に優れた一液型液状エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明(1)〜(2)により達成される。
(1)小型継電器を封止するための一液型エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、及び無機充填材(D)を必須成分とし、前記エポキシ樹脂(A)は、下記一般式(I)又は(II)で示されるエポキシ樹脂(E)を含有することを特徴とする一液型液状エポキシ樹脂組成物。
【化2】
(2)前記エポキシ樹脂(E)は、前記エポキシ樹脂(A)中、5重量%以上含有されるものである上記(1)に記載の一液型液状エポキシ樹脂組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一液型エポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物(以下、単に「組成物」ということがある)は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、及び無機充填材(D)を必須成分とし、前記エポキシ樹脂(A)は、上記一般式(I)又は(II)で示されるエポキシ樹脂(E)を含有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の組成物に用いられる、エポキシ樹脂(E)以外のエポキシ樹脂(A)としては特に限定されないが、例えば、ビスフェノールタイプエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラックタイプエポキシ樹脂、飽和脂肪族あるいは不飽和脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられ、単独あるいは混合で使用される。
これらの中でも、エポキシ当量160〜190のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、組成物製造時の作業性や、組成物の保存安定性を向上させることができる。
【0013】
本発明の組成物に用いられる硬化剤(B)としては特に限定されないが、例えば、ジシアンジアミド、あるいは、アジピン酸ヒドラジドのようなヒドラジド系化合物が挙げられる。
硬化剤(B)の配合量は特に限定されないが、エポキシ樹脂(A)100重量部に対し、5〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは5〜15重量部である。硬化剤(B)の配合量が前記下限値未満の場合は、硬化が不十分となることがある。また、前記上限値を越えると、保存性が低下することがある。
【0014】
本発明の組成物に用いられる硬化促進剤(C)としては特に限定されないが、潜在性硬化剤として市販されているアダクト系化合物が優れている。例えば、味の素ファインテクノ(株)製・アミキュアPN−23、MY−24や富士化成工業社製・フジキュアFX−1000などが代表的である。また、特開平1−70523号公報に開示されている一液性エポキシ樹脂用マスターバッチ型硬化剤(旭化成エポキシ社製・ノバキュアHX−3721)や特開平6−73156号公報に開示されているエポキシ樹脂と2−エチル−4−メチルイミダゾールの付加物にホウ酸エステル化合物で表面処理したような潜在性硬化剤でもよく、これらの硬化剤が適宜使用される。
硬化促進剤(C)の配合量は特に限定されないが、エポキシ樹脂(A)100重量部に対し、5〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは10〜20重量部である。硬化促進剤(C)の配合量が前記下限値未満の場合は、硬化が不十分となることがある。また、前記上限値を越えると保存性が低下する傾向がある。
【0015】
本発明の組成物において用いられる無機充填剤(D)としては特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
無機充填剤(D)の配合量は特に限定されないが、エポキシ樹脂(A)100重量部に対し、10〜100重量部であることが好ましい。これにより、組成物としての粘度が作業性に優れたものとなり、かつ、硬化物特性、具体的には、電気的特性、機械的特性、耐熱性、耐薬品性が向上する。
無機充填材(D)の配合量が前記下限値未満では硬化物特性が不充分となることがある。一方、前記上限値を超えると、組成物の粘度が高くなり、作業性が低下することがある。
【0016】
本発明の組成物に用いられるエポキシ樹脂(E)は、下記一般式(I)又は(II)で表される構造を有するものである。
【化3】
上記のエポキシ樹脂(E)はナフタレン骨格を有しているため、組成物に耐熱性、低線膨張性を付与することができる。これにより、組成物をリレーの封止に用いた場合に、特に高温下においてもLCPおよび金属端子との密着性を維持することができ、リレーの気密性を向上させることができるものである。
エポキシ樹脂(E)の配合量は特に限定されないが、エポキシ樹脂(A)中、5重量%以上含有されることが好ましい。さらに好ましくは5〜50重量%である。これにより、他の特性に実質的に影響を与えることなく、上記の効果を充分に発現させることができる。エポキシ樹脂(E)の配合量が前記下限値未満では、配合の効果が小さく、耐熱性の向上が充分ではないことがある。また、前記上限値を超えると、耐熱性を付与する効果については問題ないが、組成物の配合によっては、組成物が高粘度化して作業性が低下することがある。
なお、上記エポキシ樹脂(E)としては、例えばこのように調製された市販品を用いることができる。
【0017】
本発明の組成物には、以上の成分の他に、必要により通常のエポキシ樹脂組成物に添加される成分を加えてもよい。即ち、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、可塑剤、染料、顔料、カップリング剤、湿潤材、レベリング剤、チキソトロピック性付与剤、消泡剤等である。
【0018】
本発明の一液型エポキシ樹脂組成物の製造方法は、通常のエポキシ樹脂組成物の製造方法と同様な一般的な撹拌混合設備と加工条件が適用できる。使用される設備としては、ミキシングロール、ディゾルバ、プラネタリミキサ、ニーダ、押し出し機等である。加工条件としてはエポキシ樹脂等を溶解および/または低粘度化し撹拌混合効率を向上させるために加熱してもよい。また、摩擦発熱、反応発熱等を除去するために冷却してもよい。撹拌混合の時間は必要により定めればよく、特に制約されることはない。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
【0020】
1.組成物の調製
表1に示した配合量(配合量は全て重量部を表す)で、下記方法により組成物を調製した。
(1)実施例1〜5
エポキシ樹脂を予め100℃で溶融混合した。これを室温まで冷ました後に、硬化剤、硬化促進剤、チキソ付与剤、無機充填材、着色剤を混合し、ミキシングロールを使って25℃で2分間混練して組成物を調製した。
(2)比較例1〜4
エポキシ樹脂に、硬化剤、硬化促進剤、チキソ付与剤、無機充填材、着色剤を混合し、ミキシングロールを使って25℃で2分間混練して組成物を調製した。
【0021】
2.組成物の評価
実施例及び比較例で得られた組成物及びその硬化物の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表の注(原材料)
(1)エポキシ樹脂1:ジャパン エポキシ レジン(株)製・エピコート828、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190[g/eq])
(2)エポキシ樹脂2:ジャパン エポキシ レジン(株)製・エピコート807、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量170[g/eq])
(3)エポキシ樹脂3:大日本インキ化学工業(株)製・HP−4032D(エポキシ当量:140[g/eq])、上記一般式(I)に相当する構造を有するもの。
(4)エポキシ樹脂4:大日本インキ化学工業(株)製・EXA−4700(エポキシ当量:162[g/eq])、上記一般式(II)に相当する構造を有するもの。
(5)硬化剤:ジシアンジアミド
(6)硬化促進剤:味の素ファインテクノ(株)製・アミキュアPN−23
(7)チキソ付与剤:日本アエロジル(株)製・#200
(8)無機充填材:炭酸カルシウム
(9)着色剤:カーボンブラック
【0024】
【表2】
【0025】
表の注(評価方法)
(1)粘度:25℃における粘度をE型粘度計で測定した。
(2)ゲルタイム:120℃の熱盤上で、組成物がゲル化するまでの所要時間を測定した。
(3)リン青銅引張剪断強さ:JIS K 6850に規定された引張剪断接着強さの測定方法に従って測定した。試験片は、組成物を120℃で60分硬化させて作製した。
(4)LCP引張剪断強さ:JIS K 6850に規定された引張剪断接着強さの測定方法に従って測定した。試験片は、組成物を120℃で60分硬化させて作製した。
(5)リレー気密性:
LCP製のケース1(内形寸法15×10×10mm)に、LCP製の模擬リレー2(寸法10×6×10mm)を内装し、この隙間に組成物を注入した後、赤外線リフロー処理を行い、その後、80℃に加熱したフロリナートに浸漬させ気密性を確認した。フロリナート浸漬時に気泡が発生しない場合を○、気泡が発生した場合を×とした。
赤外線リフロー処理として、下記の2種類の条件を適用した。
条件1:予備加熱を150℃で90〜120秒間行い、その後、さらに最高温度が240℃以下になるように昇温して、200℃を越えた温度域を約30秒間維持するようにした。
条件2:予備加熱を150℃で90〜120秒間行い、その後、さらに最高温度が255℃以下になるように昇温して、200℃を越えた温度域を約90秒間維持するようにした。
【0026】
実施例1〜5はいずれも、本発明の組成物である。これを用いた硬化物の評価の結果、エポキシ樹脂(E)を配合しない比較例1〜2、及び、エポキシ樹脂(E)を配合せず、無機充填材を多量に配合した比較例3〜4と比べて、特に高温時の密着性、気密性において良好なものであった。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化促進剤(C)、及び無機充填材(D)を必須成分とし、さらに、エポキシ樹脂(A)は、特定の構造を有するエポキシ樹脂(E)を含有することを特徴とする一液型液状エポキシ樹脂組成物である。本発明の組成物を、LCPからなるリレーにおいて封止材料として用いると、特にリフロー処理時の高温下においても、LCPおよび金属端子との密着性に優れ、良好な気密性を得ることができる。また、組成物の取り扱い性も良好である。
従って本発明の組成物は、電話機や通信機あるいは自動車等の電源周辺に利用されるLCPリレーの封止材料として、好適に用いることができるものである。
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JP2002289532A JP2004123891A (ja) | 2002-10-02 | 2002-10-02 | 一液型液状エポキシ樹脂組成物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2004069894A1 (ja) * | 2003-02-06 | 2006-05-25 | 松下電工株式会社 | エポキシ樹脂組成物、同組成物の硬化層を有する半導体装置、および同半導体装置の製造方法 |
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2002
- 2002-10-02 JP JP2002289532A patent/JP2004123891A/ja active Pending
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JPWO2004069894A1 (ja) * | 2003-02-06 | 2006-05-25 | 松下電工株式会社 | エポキシ樹脂組成物、同組成物の硬化層を有する半導体装置、および同半導体装置の製造方法 |
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