JP2004123358A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】ベルトクリーニング性能を向上させ、安定した静電気力を用いた記録紙の搬送を実現して信頼性向上を図ることができるインクジェット記録装置を提供すること。
【構成】搬送ベルト上に吐出されたインクをクリーニング液が含浸した当接部材により除去するベルトクリーニング機構を備えるインクジェット記録装置において、所望の位置でベルトに当接された当接部材をベルト移動に同期して順方向に回転させる。ここで、前記当接部材はローラ形状を有しており、前記当接部材はニップ部においてベルト速度より速い速度で順方向に回転する。又、前記当接位置前方にクリーニング液含浸量調整部材が設けられている。
【選択図】 図1
【構成】搬送ベルト上に吐出されたインクをクリーニング液が含浸した当接部材により除去するベルトクリーニング機構を備えるインクジェット記録装置において、所望の位置でベルトに当接された当接部材をベルト移動に同期して順方向に回転させる。ここで、前記当接部材はローラ形状を有しており、前記当接部材はニップ部においてベルト速度より速い速度で順方向に回転する。又、前記当接位置前方にクリーニング液含浸量調整部材が設けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体上にインク滴を吹き付けて記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録装置のように、インク滴を飛ばすことにより画像記録を行う装置においては、記録ヘッドの性能を維持するために、通常の記録時以外にもインクを飛翔させることが必要である。これらのインクは、通常画像記録時においては、記録紙上に吐出され、 非記録時には、記録紙上ではなく、キャップ上或はインク受け等に吐出される。
【0003】
特に、記録紙搬送手段として、搬送ベルトを用いた記録装置においては、 記録速度向上のために、搬送ベルト上に定期的にインクを吐出させることにより、記録ヘッドの性能が維持される装置も提案されている。
【0004】
これらの通常時(記録時・及び非記録時)とは別に、これら記録装置において考えておかなければならないことで、記録紙詰まり(以下、ジャムと言う)時の対応である。搬送ベルトを使用する記録装置においては、このジャム時におけるベルト上のインクの汚れに対して、そのクリーニング手段を備えることは必須である。
【0005】
又、インクを定期的に搬送ベルト上に吐出する場合には、次に搬送されてくる記録紙への裏移りを防ぐためにインクの付着したベルトを常に清浄な状態に保つためのクリーニング手段が重要な課題となる。
【0006】
又、搬送ベルトに高電圧を供給することにより静電気力を発生させて記録紙を保持し搬送を行う場合においては、搬送ベルトにインクが付着するとインクに含まれている成分により抵抗値が変化し、安定した静電気力を発生させることが困難になり、結果として搬送ジャムの原因となる。
【0007】
図6は搬送ベルトを有する記録装置の要部断面図である。
本従来例は、ベルトクリーニング部材としてインク吸収体を備えたベルトクリーナを有する装置を表している。
【0008】
1500はベルトクリーナ本体であり、インク吸収体1501は図示のようにベルト表面に対して一定接触圧力PB を保ちながら接触される。尚、インク吸収体1501は、インク吸収性の良好な材料で構成されている。
【0009】
ベルト上に付着したインクは、ベルト駆動ローラを経て、図中、インク吸収体1501との接触ニップ部へと移動される。接触ニップ部において、ベルト表面の付着インクはインク吸収体1501のインク吸収能力により吸収される。これにより、ベルト上に付着されたインクが清掃される。インク吸収体側へと吸収・回収されたインクは、吸収体自身のインク保持能力によって保持能力まで保持し続ける。
通常、装置の寿命までクリーニング性能を持続するためには、このインク吸収体部材の交換又は任意の送り量で不織布を搬送し、常にインク保持能力のある部分で接触することが必須となる。
【0010】
又、吸収体自身の能力及び寿命をアップさせるためには、吸収体の外形を大型化することが最も有効な手段である。
【0011】
これらの方法を採らない場合には、 定期的な清掃、吸収体の交換等のメインテナンス作業が必要となる。
【0012】
しかしながら、これらの手段を用いても、上記問題点、即ち、上記搬送ベルト上のインク除去を完全に行うことは困難であり、ベルト上のインクのクリーニング不良や回収インクの溢れ、装置の大型化等を生じていた。
【0013】
上記従来例のような構成においては、対策が不十分であり、特に、印字ヘッドの印字幅が広い装置や、記録領域に配される記録媒体の搬送方向に交差する方向の記録媒体の全幅に亘ってインク吐出口を配列した所謂フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドにおいては、使用するインクも大量であり、回収インク(=クリーニングすべきインクの量)も多大になる。又、装置寿命も、長寿命化を達成しなければならない。
【0014】
そこで、フルラインタイプの記録ヘッドを用いた装置においては、記録速度の高速化並びにヘッド信頼性の向上のために、ベルト上への定期的なインク吐出が行われるような装置も提案されている。
【0015】
このことは、ベルトクリーニング装置のインク回収能力も多く必要となる。その結果、インク吸収体の回収容量を超えてしまってのインク溢れやインク吸収能力の不足によるクリーニング不良等を引き起こすこともあった。
【0016】
次に、上記問題点を鑑み提案されている実施例を図7に示す。
【0017】
ベルトクリーナ1500において、ベルト搬送方向に対して、上流側にクリーニングブレード1502が配置される。このブレードに対して、搬送方向下流側にクリーニングウェッブ1503が配置される。 クリーニングブレード501は、ウレタンゴム等のゴム系の材料で図のようにベルト表面に対して一定角度θ、一定接触圧力PB を保ちながら接触される。クリーニングウェッブ1503は、不織布等から成る長尺の反物状の形状で、ベルト表面に対してウェッブローラ1506を介してベルト表面に対して一定の接触圧力Pw を保ちながら接触される。ウェッブ駆動モータ1507は、ベルト表面に接触されたクリーニングウェッブ1503を所定タイミング、所定速度にて巻き取っていくためのモータである。
【0018】
この構成により、ベルト上に吐出された付着インクは、先ず、ブレード手段1502によって掻き取られ、次にインク付着部がクリーニングウェッブニップ部1503を通過することによりベルト上の残留インクを完全に払拭され、ベルトが清浄化される構成が既に提案されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成においては、クリーニングブレードはヘッドの破壊等による突発的な大量のインクを除去に関しては有効であるが、微視的に見るとブレードを摺り抜けたインクが均一的に引き伸ばされてしまう状態で完全な除去は不可能である。又、搬送速度の高速化に伴いクリーニングブレードの当接部に紙紛が溜まり、その部分での掻き取り能力が低下し、インクの摺り抜けが発生してしまう現象が起こり、頻繁な清掃作業若しくはクリーニングブレードのクリーニング手段を設けなければならない。
【0020】
又、接触時間の短縮化により不織布等による充分なインク回収が困難であり、可能にするために接触面積を拡大する、接触位置での線圧力を上げるということも考えられるが、その結果として搬送ベルトの駆動負荷が増大し、結果高精度・高速搬送の実現が困難である。
【0021】
又、インクを回収するため不織布を大量に消費するため定期的な交換が必要であり、消耗品のコストアップになる。又、ベルト搬送方向に対して逆方向に回転させていたため、駆動負荷の増大に繋がった。又、印字速度の高速化に伴いインクの定着時間の短縮化によりクリーニング位置において既に或る程度定着しているため、ブレードと不織布によるクリーニングの場合、結果としてインクを均一にベルト上に塗布した状態になってしまい、良好なクリーニングが不可能であった。
【0022】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、ベルトクリーニング性能を向上させ、安定した静電気力を用いた記録紙の搬送を実現して信頼性向上を図ることができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、搬送ベルト上に吐出されたインクをクリーニング液が含浸した当接部材により除去するベルトクリーニング機構を備えるインクジェット記録装置において、所望の位置でベルトに当接された当接部材をベルト移動に同期して順方向に回転させることを特徴とする。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記当接部材がローラ形状であることを特徴とする。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記当接部材がニップ部においてベルト速度より速い速度で順方向に回転することを特徴とする。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記当接位置前方にクリーニング液含浸量調整部材が設けられていることを特徴とする。
【0027】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記ベルトに対する当接部材進入量が前記クリーニング液含浸量調整部材の進入量がより大きいことを特徴とする。
【0028】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、記録手段が、記録領域に配される記録媒体の搬送方向に交差する方向の記録媒体の全幅に亘ってインク吐出口を配列したフルラインタイプのインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする。
【0029】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れかに記載の発明において、搬送ベルトが記録媒体を静電気力により保持して記録手段へと搬送する記録媒体搬送手段を有し、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録手段を用いて記録領域に配される記録媒体に記録を行うことを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0031】
図1は本発明に係るインクジェット記録装置の概略断面図であり、本図を用いてインクジェット記録装置の概略構成について説明する。
【0032】
図1において、301は原稿を読み取りそれを電気信号に変換するスキャナ部である。そこで変換された信号に基づいた信号がプリンタ部302の記録ヘッド部305にドライブ信号として与えられる。給紙部303に収容された被記録部材の1つとしての記録紙は、必要時1枚ずつベルト搬送部304へ向かって送り出される。記録紙は、前記ベルト搬送部304を通過する際、記録ヘッド部305内に配置された各色の記録ヘッド1C,1M,1Y,1Bkにより画像記録がなされ、排紙部307を経てトレイ420へ送り出される。尚、306は回復キャップ部であり、前記記録ヘッド部305が常時印字可能な状態を維持させるための機能を果たす。
【0033】
本実施の形態においては、記録ヘッドとして、 記録紙搬送方向に対して直角を成す方向に互いに平行に配置したフルライン化された長尺ヘッドを用いている。
【0034】
図2はフルライン化された長尺記録ヘッドとインクの供給手段との構成を模式的に示す説明図である。
【0035】
図2において、1601はその記録ヘッド、1652は記録ヘッド1601内の共通液室、1653は記録液吐出面1654に配された液体吐出用の吐出口である。本実施の形態においては、吐出口1653は、対象とされる被記録材の記録可能幅一杯にその数が配されており、その個々の吐出口1653に通じる不図示の液路に設けられた発熱素子をドライブ信号により選択的に駆動することによって記録液を吐出し、ヘッド自体の移動走査なしに記録を実施することが可能である。
【0036】
1655は記録液を記録ヘッド1601に供給する記録液供給タンク、1656は供給タンク1655に記録液を補充するためのメインタンクであり、供給タンク1655から供給管1657により記録液を記録ヘッド1601の共通液室1652に供給し、又、記録液補充のときにはメインタンク1656から一方通行の補充整流弁1658を介して回復用ポンプ1659により供給タンク1655に記録液を補充可能である。
【0037】
又、1660は記録ヘッド1601の吐出機能回復のためになされる回復動作時に使用される一方通行の回復用整流弁、1661は回復整流弁1660が介装されている循環用管、更に、1662は先に述べた第1の供給管1657に介装されている電磁弁、1663は供給タンク用空気弁である。
【0038】
次に、 紙搬送について説明する。
【0039】
給紙ユニットより給送された記録紙8は、吸着ローラ52によりベルト搬送体上に吸着され、各記録ヘッド1C,1M,1Y,1Bkへと順次送られる。
【0040】
そして、記録紙は、各々の記録ヘッド下を順次通過することにより各色画像が形成され、最終色を形成した後に排出される。
本実施の形態に用いられるベルト搬送体について説明する。
【0041】
ベルト搬送体は、駆動ローラ350、従動ローラ1( 361) 、従動ローラ2(362)、従動ローラ3(363)によって巻架されている。ベルト搬送体351は、駆動ローラ軸に接続された不図示のモータによって回転駆動され、これによりベルトが一定速度にて搬送される。又、ベルト搬送体351の材質は、ゴムベルト、フィルムベルト等が通常用いられている。
【0042】
ベルト搬送体上への記録紙の貼付けは、電圧をヘッドが配置されている範囲の給電部で印加し電力静電気力を発生させることにより、記録紙をベルト上に吸着させることにより記録紙の搬送を行う静電吸着方式を用いることで安定したヘッドと記録媒体の距離を高精度に維持した状態での高速搬送が可能となり、高精細な印字が可能である。
【0043】
ベルト搬送体への静電吸着のための給電は、本実施の形態においては、ブラシ給電方式を用いている。給電ブラシには、予め決められた高圧(1kV程度)が印加され、これによりベルト表面を帯電させるて記録紙を吸着させる。
【0044】
ベルト搬送体の記録紙が分離されてから次の記録紙が吸着されるまでの間、即ち、図1において、搬送手段であるベルト装置下部分には、ベルト表面に付着した記録インクを清掃するためのベルトクリーナが配置されている。
【0045】
図3はベルトクリーナ部の要部断面図である。
【0046】
図3において、500はベルトクリーナであり、このベルトクリーナ500において、ベルト搬送方向(矢印A)に対して、除電、分離終了後駆動ローラ350に対向した位置にクリーニングローラ503が配置される。クリーニングローラ503は、本実施の形態においては、 図のように駆動ローラ350に対向した位置でベルト表面に対して一定の接触圧力Pw1を保ちながら接触される。
【0047】
ベルトクリーニングローラ503は、中心に金属の軸を持ち、吸水性の良いルビセル等から成るローラ形状で回転可能な状態でベルトクリーナ500に配置されている。507はクリーニング駆動モータである。クリーニング駆動モータ507はベルト表面に接触されたベルトクリーニングローラ503を駆動伝達手段を介して所定速度で回転させるためのモータである。
【0048】
本実施の形態においては、ベルトクリーニングローラ503は駆動モータ507により正方向(順方向)に駆動することで予め定められた速度で回転するようになっている。
【0049】
他の実施の形態として、ベルト速度に等速で回転させる場合、ベルト表面とクリーニングローラ503の間には押し当て力Pw1の影響で充分な摩擦力が発生するため、前記クリーニング駆動ローラが無くても等速回転が可能である。
【0050】
ベルトクリーニングローラ503は、ベルト表面との接触部でのニップ幅が充分に確保できるようなローラ直径(本実施の形態では直径25mm)と進入量(本実施の形態では2mm)の位置に配置されることで、約10mm程度のニップ幅(接触幅)を確保している。
【0051】
本実施の形態においては、ベルトクリーニングローラ503の底部位置においてクリーニング液を貯蔵するクリーニング液保持容器553が配置され、ベルトクリーニングローラ503が貯蔵しているクリーニング液に浸る位置に配置されているためニップ部でベルト表面と当接した後に必ずクリーニング液に浸ることになる。
【0052】
回転方向においてクリーニング液保持容器553の下流でニップ部上流の位置にクリーニング液含浸量調整部材520がクリーニングローラ503に対向し、予め定め定められた進入量を保った位置に配置されている。クリーニング液保持容器553でローラ内に最大含水量を含んだルビセルがクリーニング液量調整部材の位置で絞られ、予め定められた量のクリーニング液を残し、余分は再びクリーニング液保持容器553に戻されるようになっている。
【0053】
一般にインクジェット方式に用いられているインクの成分としては、色材が約5%、保湿材(グリセリン、尿素、等)が約15%、残りが蒸留水である。実験によると色材濃度、保湿材濃度ともに1/100以下に薄められることによりインク除去が行われ、安定した吸着力が発生して印字が可能となることが分かっている。そのためには0.016cc/cm3 以上の含水量をベルトクリーニングローラ503に含ませることが必要であり、ルビセルを用いることで容易に実現することが可能である。
【0054】
図3〜図5においてベルト上に付着したインクのクリーニングプロセスを説明する。
【0055】
先ず、ヘッドから吐出されベルト上に付着したインクは、ベルト駆動ローラを経てクリーニング液が含浸しているクリーニングローラ503との接触ニップ部へと移動される。
【0056】
一方、クリーニングローラ503は、クリーニング液保持容器553でルビセル内部に最大限のクリーニング液を吸収する。このため、クリーニングローラを構成する材料には、短時間での給水を可能にする給水力と給水量が求められており、本実施の形態では、性能的に優れているルビセル(発泡ウレタン)を用いている。実際には、ルビセルにおいて単位体積当たり30%の給水を短時間で行うことが可能である。これは、ローラ径、ルビセルの厚さ等の要因によって異なるため、後述する構成においてのみの値である。
【0057】
クリーニング液を最大量吸収したクリーニングローラ503は、駆動モータにより回転駆動され、クリーニング液保持容器553を構成するケースと一体形状で形成されたクリーニングインク液量調整部材520のにおいて、クリーニングインク液量調整部材520が1mm外周から侵入した位置に配置されているため、ルビセルに圧縮変形が生じる。その結果、最大量吸収していたクリーニング液が維持し切れなくなり、一定量の含水量(28.5%)を残して余分を排出する。排出されたクリーニング液は、クリーニング液保持容器の内壁を伝わって再び利用される。内部に残った液は、通過後再びローラ形状に戻り、その際、内部の水分は均等に拡散され保持される。ルビセルにおいては、硬度が低く進入量による変形(圧縮)率により含水量が決まるため、進入量により或る一定の量の含水率に調整することが可能である。
【0058】
一定の含水量を維持したクリーニングローラは、ニップ部においてベルト表面と接触する。このとき、接触開始から最大進入量位置に至るまでクリーニングローラのルビセルは圧縮変形し続ける。本実施の形態においては、調整部材進入量<ニップ部進入量の関係になるように配置してあり、ニップ部における進入量は2mmで、ニップ幅約10mmを確保している。この結果、最大進入位置において吸収できなくなったクリーニング液を放出する。放出されたクリーニング液は、ニップ部においてベルト表面とクリーニングローラの間に膜状に分布し、余分のものは、接触開始位置上流に溜まる。余り多過ぎると摺り抜けを起こしてしまうため、クリーニング液量調整部材とニップ部それぞれの進入量を調整し、適値にすることが大切である。
【0059】
最大侵入位置を通過したクリーニングローラは、元のローラ形状に復元していく。その過程において、再びクリーニングローラ503は、ベルト表面とクリーニングローラの間に膜状となって存在するクリーニング液の吸収を行う。その際、インク表面に付着したインクが膜状になったクリーニング液に拡散に溶け込んでいるため、クリーニング液と同時に付着したインクをクリーニングローラ503内に吸収する。
【0060】
更に、回転駆動されることでクリーニングローラ503は、再びクリーニング液保持容器でクリーニング液に浸される。その際、取り込んだインクがクリーニング保持容器553内で拡散し溶け出し、再びクリーニング液を最大量含むことになる。
【0061】
結果として、クリーニング保持容器553内のクリーニング液はインクを含むことになるが、インク量に対して充分な容量を確保しているため、定期的な交換でクリーニング性能を維持することが可能である。又、別の方法としては、図示していないが、ポンプ手段により別に設けたクリーニング液タンクからクリーニング液を循環させることで、クリーニング保持容器内のクリーニング液のクリーニング性能を維持させることが可能である。
【0062】
結果として、ウエッブ等の拭き部材の消耗品を無くし、クリーニング液の交換で、本実施の形態のようにベルト表面に対して電荷を掛けて静電吸着する装置におけるインク付着による表面抵抗値の低下等による静電気特性の劣化を防止し、信頼性のある印字が可能である。
尚、 本実施の形態に用いたインクジェット記録装置に用いられるインク供給系並びに回復系についての説明については当業者においては周知の技術であるため、その説明は省略する。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ベルト表面の残留インクを除去することでベルトクリーニング性能を向上させ、安定した静電気力を用いた記録紙の搬送を実現し、信頼性が向上されたインクジェット記録装置を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の概略断面図である。
【図2】本発明のインクジェット記録装置のフルラインヘッド供給手段の模式図である。
【図3】本発明のインクジェット記録装置のベルトクリーナ部の概略説明図である。
【図4】本発明のインクジェット記録装置のベルトクリーナ部の概略駆動説明図である。
【図5】本発明のインクジェット記録装置のクリーニングローラ含水量の変化を示すグラフである。
【図6】従来のインクジェット記録装置の概略断面図である。
【図7】従来のインクジェット記録装置の概略断面図である。
【符号の説明】
301 スキャナ部
302 プリンタ部
303 給紙部
304 ベルト搬送部
305 記録ヘッド部
307 排紙部
420 トレイ
1601 記録ヘッド
1652 共通液室
1653 吐出口
1654 記録液吐出面
1655 供給タンク
1656 メインタンク
1657 供給管
1658 補充整流弁
1659 回復用ポンプ
1660 回復用整流弁
1661 循環用管
1662 電磁弁
1663 供給タンク用空気弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体上にインク滴を吹き付けて記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録装置のように、インク滴を飛ばすことにより画像記録を行う装置においては、記録ヘッドの性能を維持するために、通常の記録時以外にもインクを飛翔させることが必要である。これらのインクは、通常画像記録時においては、記録紙上に吐出され、 非記録時には、記録紙上ではなく、キャップ上或はインク受け等に吐出される。
【0003】
特に、記録紙搬送手段として、搬送ベルトを用いた記録装置においては、 記録速度向上のために、搬送ベルト上に定期的にインクを吐出させることにより、記録ヘッドの性能が維持される装置も提案されている。
【0004】
これらの通常時(記録時・及び非記録時)とは別に、これら記録装置において考えておかなければならないことで、記録紙詰まり(以下、ジャムと言う)時の対応である。搬送ベルトを使用する記録装置においては、このジャム時におけるベルト上のインクの汚れに対して、そのクリーニング手段を備えることは必須である。
【0005】
又、インクを定期的に搬送ベルト上に吐出する場合には、次に搬送されてくる記録紙への裏移りを防ぐためにインクの付着したベルトを常に清浄な状態に保つためのクリーニング手段が重要な課題となる。
【0006】
又、搬送ベルトに高電圧を供給することにより静電気力を発生させて記録紙を保持し搬送を行う場合においては、搬送ベルトにインクが付着するとインクに含まれている成分により抵抗値が変化し、安定した静電気力を発生させることが困難になり、結果として搬送ジャムの原因となる。
【0007】
図6は搬送ベルトを有する記録装置の要部断面図である。
本従来例は、ベルトクリーニング部材としてインク吸収体を備えたベルトクリーナを有する装置を表している。
【0008】
1500はベルトクリーナ本体であり、インク吸収体1501は図示のようにベルト表面に対して一定接触圧力PB を保ちながら接触される。尚、インク吸収体1501は、インク吸収性の良好な材料で構成されている。
【0009】
ベルト上に付着したインクは、ベルト駆動ローラを経て、図中、インク吸収体1501との接触ニップ部へと移動される。接触ニップ部において、ベルト表面の付着インクはインク吸収体1501のインク吸収能力により吸収される。これにより、ベルト上に付着されたインクが清掃される。インク吸収体側へと吸収・回収されたインクは、吸収体自身のインク保持能力によって保持能力まで保持し続ける。
通常、装置の寿命までクリーニング性能を持続するためには、このインク吸収体部材の交換又は任意の送り量で不織布を搬送し、常にインク保持能力のある部分で接触することが必須となる。
【0010】
又、吸収体自身の能力及び寿命をアップさせるためには、吸収体の外形を大型化することが最も有効な手段である。
【0011】
これらの方法を採らない場合には、 定期的な清掃、吸収体の交換等のメインテナンス作業が必要となる。
【0012】
しかしながら、これらの手段を用いても、上記問題点、即ち、上記搬送ベルト上のインク除去を完全に行うことは困難であり、ベルト上のインクのクリーニング不良や回収インクの溢れ、装置の大型化等を生じていた。
【0013】
上記従来例のような構成においては、対策が不十分であり、特に、印字ヘッドの印字幅が広い装置や、記録領域に配される記録媒体の搬送方向に交差する方向の記録媒体の全幅に亘ってインク吐出口を配列した所謂フルラインタイプのインクジェット記録ヘッドにおいては、使用するインクも大量であり、回収インク(=クリーニングすべきインクの量)も多大になる。又、装置寿命も、長寿命化を達成しなければならない。
【0014】
そこで、フルラインタイプの記録ヘッドを用いた装置においては、記録速度の高速化並びにヘッド信頼性の向上のために、ベルト上への定期的なインク吐出が行われるような装置も提案されている。
【0015】
このことは、ベルトクリーニング装置のインク回収能力も多く必要となる。その結果、インク吸収体の回収容量を超えてしまってのインク溢れやインク吸収能力の不足によるクリーニング不良等を引き起こすこともあった。
【0016】
次に、上記問題点を鑑み提案されている実施例を図7に示す。
【0017】
ベルトクリーナ1500において、ベルト搬送方向に対して、上流側にクリーニングブレード1502が配置される。このブレードに対して、搬送方向下流側にクリーニングウェッブ1503が配置される。 クリーニングブレード501は、ウレタンゴム等のゴム系の材料で図のようにベルト表面に対して一定角度θ、一定接触圧力PB を保ちながら接触される。クリーニングウェッブ1503は、不織布等から成る長尺の反物状の形状で、ベルト表面に対してウェッブローラ1506を介してベルト表面に対して一定の接触圧力Pw を保ちながら接触される。ウェッブ駆動モータ1507は、ベルト表面に接触されたクリーニングウェッブ1503を所定タイミング、所定速度にて巻き取っていくためのモータである。
【0018】
この構成により、ベルト上に吐出された付着インクは、先ず、ブレード手段1502によって掻き取られ、次にインク付着部がクリーニングウェッブニップ部1503を通過することによりベルト上の残留インクを完全に払拭され、ベルトが清浄化される構成が既に提案されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成においては、クリーニングブレードはヘッドの破壊等による突発的な大量のインクを除去に関しては有効であるが、微視的に見るとブレードを摺り抜けたインクが均一的に引き伸ばされてしまう状態で完全な除去は不可能である。又、搬送速度の高速化に伴いクリーニングブレードの当接部に紙紛が溜まり、その部分での掻き取り能力が低下し、インクの摺り抜けが発生してしまう現象が起こり、頻繁な清掃作業若しくはクリーニングブレードのクリーニング手段を設けなければならない。
【0020】
又、接触時間の短縮化により不織布等による充分なインク回収が困難であり、可能にするために接触面積を拡大する、接触位置での線圧力を上げるということも考えられるが、その結果として搬送ベルトの駆動負荷が増大し、結果高精度・高速搬送の実現が困難である。
【0021】
又、インクを回収するため不織布を大量に消費するため定期的な交換が必要であり、消耗品のコストアップになる。又、ベルト搬送方向に対して逆方向に回転させていたため、駆動負荷の増大に繋がった。又、印字速度の高速化に伴いインクの定着時間の短縮化によりクリーニング位置において既に或る程度定着しているため、ブレードと不織布によるクリーニングの場合、結果としてインクを均一にベルト上に塗布した状態になってしまい、良好なクリーニングが不可能であった。
【0022】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、ベルトクリーニング性能を向上させ、安定した静電気力を用いた記録紙の搬送を実現して信頼性向上を図ることができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、搬送ベルト上に吐出されたインクをクリーニング液が含浸した当接部材により除去するベルトクリーニング機構を備えるインクジェット記録装置において、所望の位置でベルトに当接された当接部材をベルト移動に同期して順方向に回転させることを特徴とする。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記当接部材がローラ形状であることを特徴とする。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記当接部材がニップ部においてベルト速度より速い速度で順方向に回転することを特徴とする。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記当接位置前方にクリーニング液含浸量調整部材が設けられていることを特徴とする。
【0027】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記ベルトに対する当接部材進入量が前記クリーニング液含浸量調整部材の進入量がより大きいことを特徴とする。
【0028】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載の発明において、記録手段が、記録領域に配される記録媒体の搬送方向に交差する方向の記録媒体の全幅に亘ってインク吐出口を配列したフルラインタイプのインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする。
【0029】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れかに記載の発明において、搬送ベルトが記録媒体を静電気力により保持して記録手段へと搬送する記録媒体搬送手段を有し、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録手段を用いて記録領域に配される記録媒体に記録を行うことを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0031】
図1は本発明に係るインクジェット記録装置の概略断面図であり、本図を用いてインクジェット記録装置の概略構成について説明する。
【0032】
図1において、301は原稿を読み取りそれを電気信号に変換するスキャナ部である。そこで変換された信号に基づいた信号がプリンタ部302の記録ヘッド部305にドライブ信号として与えられる。給紙部303に収容された被記録部材の1つとしての記録紙は、必要時1枚ずつベルト搬送部304へ向かって送り出される。記録紙は、前記ベルト搬送部304を通過する際、記録ヘッド部305内に配置された各色の記録ヘッド1C,1M,1Y,1Bkにより画像記録がなされ、排紙部307を経てトレイ420へ送り出される。尚、306は回復キャップ部であり、前記記録ヘッド部305が常時印字可能な状態を維持させるための機能を果たす。
【0033】
本実施の形態においては、記録ヘッドとして、 記録紙搬送方向に対して直角を成す方向に互いに平行に配置したフルライン化された長尺ヘッドを用いている。
【0034】
図2はフルライン化された長尺記録ヘッドとインクの供給手段との構成を模式的に示す説明図である。
【0035】
図2において、1601はその記録ヘッド、1652は記録ヘッド1601内の共通液室、1653は記録液吐出面1654に配された液体吐出用の吐出口である。本実施の形態においては、吐出口1653は、対象とされる被記録材の記録可能幅一杯にその数が配されており、その個々の吐出口1653に通じる不図示の液路に設けられた発熱素子をドライブ信号により選択的に駆動することによって記録液を吐出し、ヘッド自体の移動走査なしに記録を実施することが可能である。
【0036】
1655は記録液を記録ヘッド1601に供給する記録液供給タンク、1656は供給タンク1655に記録液を補充するためのメインタンクであり、供給タンク1655から供給管1657により記録液を記録ヘッド1601の共通液室1652に供給し、又、記録液補充のときにはメインタンク1656から一方通行の補充整流弁1658を介して回復用ポンプ1659により供給タンク1655に記録液を補充可能である。
【0037】
又、1660は記録ヘッド1601の吐出機能回復のためになされる回復動作時に使用される一方通行の回復用整流弁、1661は回復整流弁1660が介装されている循環用管、更に、1662は先に述べた第1の供給管1657に介装されている電磁弁、1663は供給タンク用空気弁である。
【0038】
次に、 紙搬送について説明する。
【0039】
給紙ユニットより給送された記録紙8は、吸着ローラ52によりベルト搬送体上に吸着され、各記録ヘッド1C,1M,1Y,1Bkへと順次送られる。
【0040】
そして、記録紙は、各々の記録ヘッド下を順次通過することにより各色画像が形成され、最終色を形成した後に排出される。
本実施の形態に用いられるベルト搬送体について説明する。
【0041】
ベルト搬送体は、駆動ローラ350、従動ローラ1( 361) 、従動ローラ2(362)、従動ローラ3(363)によって巻架されている。ベルト搬送体351は、駆動ローラ軸に接続された不図示のモータによって回転駆動され、これによりベルトが一定速度にて搬送される。又、ベルト搬送体351の材質は、ゴムベルト、フィルムベルト等が通常用いられている。
【0042】
ベルト搬送体上への記録紙の貼付けは、電圧をヘッドが配置されている範囲の給電部で印加し電力静電気力を発生させることにより、記録紙をベルト上に吸着させることにより記録紙の搬送を行う静電吸着方式を用いることで安定したヘッドと記録媒体の距離を高精度に維持した状態での高速搬送が可能となり、高精細な印字が可能である。
【0043】
ベルト搬送体への静電吸着のための給電は、本実施の形態においては、ブラシ給電方式を用いている。給電ブラシには、予め決められた高圧(1kV程度)が印加され、これによりベルト表面を帯電させるて記録紙を吸着させる。
【0044】
ベルト搬送体の記録紙が分離されてから次の記録紙が吸着されるまでの間、即ち、図1において、搬送手段であるベルト装置下部分には、ベルト表面に付着した記録インクを清掃するためのベルトクリーナが配置されている。
【0045】
図3はベルトクリーナ部の要部断面図である。
【0046】
図3において、500はベルトクリーナであり、このベルトクリーナ500において、ベルト搬送方向(矢印A)に対して、除電、分離終了後駆動ローラ350に対向した位置にクリーニングローラ503が配置される。クリーニングローラ503は、本実施の形態においては、 図のように駆動ローラ350に対向した位置でベルト表面に対して一定の接触圧力Pw1を保ちながら接触される。
【0047】
ベルトクリーニングローラ503は、中心に金属の軸を持ち、吸水性の良いルビセル等から成るローラ形状で回転可能な状態でベルトクリーナ500に配置されている。507はクリーニング駆動モータである。クリーニング駆動モータ507はベルト表面に接触されたベルトクリーニングローラ503を駆動伝達手段を介して所定速度で回転させるためのモータである。
【0048】
本実施の形態においては、ベルトクリーニングローラ503は駆動モータ507により正方向(順方向)に駆動することで予め定められた速度で回転するようになっている。
【0049】
他の実施の形態として、ベルト速度に等速で回転させる場合、ベルト表面とクリーニングローラ503の間には押し当て力Pw1の影響で充分な摩擦力が発生するため、前記クリーニング駆動ローラが無くても等速回転が可能である。
【0050】
ベルトクリーニングローラ503は、ベルト表面との接触部でのニップ幅が充分に確保できるようなローラ直径(本実施の形態では直径25mm)と進入量(本実施の形態では2mm)の位置に配置されることで、約10mm程度のニップ幅(接触幅)を確保している。
【0051】
本実施の形態においては、ベルトクリーニングローラ503の底部位置においてクリーニング液を貯蔵するクリーニング液保持容器553が配置され、ベルトクリーニングローラ503が貯蔵しているクリーニング液に浸る位置に配置されているためニップ部でベルト表面と当接した後に必ずクリーニング液に浸ることになる。
【0052】
回転方向においてクリーニング液保持容器553の下流でニップ部上流の位置にクリーニング液含浸量調整部材520がクリーニングローラ503に対向し、予め定め定められた進入量を保った位置に配置されている。クリーニング液保持容器553でローラ内に最大含水量を含んだルビセルがクリーニング液量調整部材の位置で絞られ、予め定められた量のクリーニング液を残し、余分は再びクリーニング液保持容器553に戻されるようになっている。
【0053】
一般にインクジェット方式に用いられているインクの成分としては、色材が約5%、保湿材(グリセリン、尿素、等)が約15%、残りが蒸留水である。実験によると色材濃度、保湿材濃度ともに1/100以下に薄められることによりインク除去が行われ、安定した吸着力が発生して印字が可能となることが分かっている。そのためには0.016cc/cm3 以上の含水量をベルトクリーニングローラ503に含ませることが必要であり、ルビセルを用いることで容易に実現することが可能である。
【0054】
図3〜図5においてベルト上に付着したインクのクリーニングプロセスを説明する。
【0055】
先ず、ヘッドから吐出されベルト上に付着したインクは、ベルト駆動ローラを経てクリーニング液が含浸しているクリーニングローラ503との接触ニップ部へと移動される。
【0056】
一方、クリーニングローラ503は、クリーニング液保持容器553でルビセル内部に最大限のクリーニング液を吸収する。このため、クリーニングローラを構成する材料には、短時間での給水を可能にする給水力と給水量が求められており、本実施の形態では、性能的に優れているルビセル(発泡ウレタン)を用いている。実際には、ルビセルにおいて単位体積当たり30%の給水を短時間で行うことが可能である。これは、ローラ径、ルビセルの厚さ等の要因によって異なるため、後述する構成においてのみの値である。
【0057】
クリーニング液を最大量吸収したクリーニングローラ503は、駆動モータにより回転駆動され、クリーニング液保持容器553を構成するケースと一体形状で形成されたクリーニングインク液量調整部材520のにおいて、クリーニングインク液量調整部材520が1mm外周から侵入した位置に配置されているため、ルビセルに圧縮変形が生じる。その結果、最大量吸収していたクリーニング液が維持し切れなくなり、一定量の含水量(28.5%)を残して余分を排出する。排出されたクリーニング液は、クリーニング液保持容器の内壁を伝わって再び利用される。内部に残った液は、通過後再びローラ形状に戻り、その際、内部の水分は均等に拡散され保持される。ルビセルにおいては、硬度が低く進入量による変形(圧縮)率により含水量が決まるため、進入量により或る一定の量の含水率に調整することが可能である。
【0058】
一定の含水量を維持したクリーニングローラは、ニップ部においてベルト表面と接触する。このとき、接触開始から最大進入量位置に至るまでクリーニングローラのルビセルは圧縮変形し続ける。本実施の形態においては、調整部材進入量<ニップ部進入量の関係になるように配置してあり、ニップ部における進入量は2mmで、ニップ幅約10mmを確保している。この結果、最大進入位置において吸収できなくなったクリーニング液を放出する。放出されたクリーニング液は、ニップ部においてベルト表面とクリーニングローラの間に膜状に分布し、余分のものは、接触開始位置上流に溜まる。余り多過ぎると摺り抜けを起こしてしまうため、クリーニング液量調整部材とニップ部それぞれの進入量を調整し、適値にすることが大切である。
【0059】
最大侵入位置を通過したクリーニングローラは、元のローラ形状に復元していく。その過程において、再びクリーニングローラ503は、ベルト表面とクリーニングローラの間に膜状となって存在するクリーニング液の吸収を行う。その際、インク表面に付着したインクが膜状になったクリーニング液に拡散に溶け込んでいるため、クリーニング液と同時に付着したインクをクリーニングローラ503内に吸収する。
【0060】
更に、回転駆動されることでクリーニングローラ503は、再びクリーニング液保持容器でクリーニング液に浸される。その際、取り込んだインクがクリーニング保持容器553内で拡散し溶け出し、再びクリーニング液を最大量含むことになる。
【0061】
結果として、クリーニング保持容器553内のクリーニング液はインクを含むことになるが、インク量に対して充分な容量を確保しているため、定期的な交換でクリーニング性能を維持することが可能である。又、別の方法としては、図示していないが、ポンプ手段により別に設けたクリーニング液タンクからクリーニング液を循環させることで、クリーニング保持容器内のクリーニング液のクリーニング性能を維持させることが可能である。
【0062】
結果として、ウエッブ等の拭き部材の消耗品を無くし、クリーニング液の交換で、本実施の形態のようにベルト表面に対して電荷を掛けて静電吸着する装置におけるインク付着による表面抵抗値の低下等による静電気特性の劣化を防止し、信頼性のある印字が可能である。
尚、 本実施の形態に用いたインクジェット記録装置に用いられるインク供給系並びに回復系についての説明については当業者においては周知の技術であるため、その説明は省略する。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ベルト表面の残留インクを除去することでベルトクリーニング性能を向上させ、安定した静電気力を用いた記録紙の搬送を実現し、信頼性が向上されたインクジェット記録装置を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の概略断面図である。
【図2】本発明のインクジェット記録装置のフルラインヘッド供給手段の模式図である。
【図3】本発明のインクジェット記録装置のベルトクリーナ部の概略説明図である。
【図4】本発明のインクジェット記録装置のベルトクリーナ部の概略駆動説明図である。
【図5】本発明のインクジェット記録装置のクリーニングローラ含水量の変化を示すグラフである。
【図6】従来のインクジェット記録装置の概略断面図である。
【図7】従来のインクジェット記録装置の概略断面図である。
【符号の説明】
301 スキャナ部
302 プリンタ部
303 給紙部
304 ベルト搬送部
305 記録ヘッド部
307 排紙部
420 トレイ
1601 記録ヘッド
1652 共通液室
1653 吐出口
1654 記録液吐出面
1655 供給タンク
1656 メインタンク
1657 供給管
1658 補充整流弁
1659 回復用ポンプ
1660 回復用整流弁
1661 循環用管
1662 電磁弁
1663 供給タンク用空気弁
Claims (7)
- 搬送ベルト上に吐出されたインクをクリーニング液が含浸した当接部材により除去するベルトクリーニング機構を備えるインクジェット記録装置において、
所望の位置でベルトに当接された当接部材をベルト移動に同期して順方向に回転させることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記当接部材がローラ形状であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記当接部材がニップ部においてベルト速度より速い速度で順方向に回転することを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置。
- 前記当接位置前方にクリーニング液含浸量調整部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
- 前記ベルトに対する当接部材進入量が前記クリーニング液含浸量調整部材の進入量がより大きいことを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置。
- 記録手段が、記録領域に配される記録媒体の搬送方向に交差する方向の記録媒体の全幅に亘ってインク吐出口を配列したフルラインタイプのインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のインクジェット記録装置。
- 搬送ベルトが記録媒体を静電気力により保持して記録手段へと搬送する記録媒体搬送手段を有し、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録手段を用いて記録領域に配される記録媒体に記録を行うことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のインクジェット記録装置。
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