JP2004123036A - ワイヤハーネスの車体固定構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自動車の樹脂製のインナーパネル12とアウターパネル11のうち、いずれか一方に設けられたワイヤハーネスW/Hの配策空間に、ワイヤハーネスW/Hを挟持するガイド部12c、12dを突出し、ガイド部12c、12dに仮止めしたワイヤハーネスW/Hをインナーパネル12あるいはアウターパネル11に接着剤13で固定している。ガイド部12c、12dは配策方向にオフセット状にずらして配置、あるいは、3つのガイド部22c、22d、22eを千鳥配置させてワイヤハーネスW/Hの配策方向へのズレを発生しにくくする。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤハーネスの車体固定構造に関し、詳しくは、車体を構成するインナーパネルあるいはアウターパネルに対してワイヤハーネスを接着剤で固定するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のパネルは金属製で、自動車に配索されるワイヤハーネスは、ドアに穿設された係止穴にワイヤハーネスに取り付けているクランプを挿入係止して取り付けている。
【0003】
例えば、ハッチバック式自動車の後部ドア(テールゲート)の場合、アウターパネル及びインナーパネルからなるドアパネルに、ハイマウントストップランプ、ワイパー、リア熱線、キースイッチ等に電力を供給するためのワイヤハーネスを、カーメーカーにおける車体組み立てライン(本ライン)においてワイヤハーネスをクランプでパネルに係止しながら配策している。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−336721号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ワイヤハーネスを車体パネルに配策する作業は、ワイヤハーネス・メーカーにおいて予め所要間隔をあけてバンドクランプを巻き付けて係止し、或いは基板型クランプをテープ巻き固定しておき、カーメーカーの本ラインで、これら多数のクランプを車体パネルのパネル孔に挿入係止する等して位置決め固定を行っているため、ワイヤハーネス固定のために多くの部品点数が必要となると共に、本ラインにおける作業工程も多くなる問題があった。
よって、特に本ラインにおける作業工程を削減するため、パネルにワイヤハーネスを予め固定した状態で配索しているモジュール化が求められている。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、アウターパネルとインナーパネルから構成される車体パネルへのワイヤハーネスの配策容易性を向上させることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、自動車のインナーパネルとアウターパネルを樹脂成形し、該インナーパネルとアウターパネルに囲まれる空間をワイヤハーネスの配索空間とし、上記インナーパネルとアウターパネル同士および上記ワイヤハーネスもインナーパネルあるいはアウターパネルに接着剤で固定するもので、
上記インナーパネルあるいはアウターパネルから上記配索空間に仮止め用のガイド部を突設し、該ガイド部でワイヤハーネスを挟持して上記接着剤で上記インナーパネルあるいはアウターパネルに固定していることを特徴とするワイヤハーネスの車体固定構造を提供している。
【0008】
上記インナーパネルとアウターパネルのうち、少なくともいずれか一方、好ましくはインナーパネルを繊維強化樹脂で成形し、該インナーパネルより上記ガイドを突設している。
【0009】
本発明では、車体パネルを樹脂成形しているため、上記ワイヤハーネス仮止め用のガイド部をパネルと一体成形で簡単に設けることが出来る。かつ、インナーパネルとアウターパネルとを樹脂成形しているので、車体の軽量化を図ることができる。
かつ、上記接着剤でワイヤハーネスをインナーパネルあるいはアウターパネルに接着するだけでワイヤハーネスを車体パネルに配策することができ、パネルにワイヤハーネスを組みつけたモジュール化した状態でカーメーカの本ラインに納入でき、車体へのワイヤハーネスの配索固定作業を不要とでき作業工程を大幅に削減できる。また、ワイヤハーネス組み立て時においても、従来必要としていたワイヤハーネスにクランプを取り付ける工程を廃止でき、部品点数の大幅削減およに作業工数の削減も図ることができる。
【0010】
さらに、上記接着剤によりワイヤハーネスをインナーパネルあるいはアウターパネルに接着する前に、ワイヤハーネスを配索する作業時にワイヤハーネスを上記ガイドに仮止めしながら配索していくことができるので、ワイヤハーネスの布線作業の作業性が良好となる。
さらにまた、ワイヤハーネスをインナーパネルあるいはアウターパネルに配策してから、接着剤でワイヤハーネスをパネルに接着するまでの工程間に、該パネルを移動させたりして動かしても、ワイヤハーネスが所定位置から外れてしまうことを防止することができる。
しかも、ワイヤハーネスが上記ガイドで仮止めされてズレないことにより、接着剤を塗布して本固定する作業時にワイヤハーネスの位置決めが容易になり、接着作業の作業性も向上する。
【0011】
上記ガイド部は、ワイヤハーネスの配索経路に沿ってオフセット状に位置ズレさせて設けた2つの板状あるいは棒状のガイド部からなり、上記ワイヤハーネスを長さ方向で位置ズレした位置でワイヤハーネスの両側外面に当接させて仮止め挟持している。
上記構成とすると、オフセットされた上記2つのガイド片あるいはガイド棒により上記ワイヤハーネスが蛇行するように配策され易くなり、真っ直ぐ配策される場合に比べて、ワイヤハーネスの寸法調節が容易に行える。
また、ガイド片を対向して突設するとガイド片の間隔をワイヤハーネスの外径に対応させる必要があり、かつ、ガイド片の間へのワイヤハーネスの通し作業が容易に出来ない問題が発生するため、上記のように位置ずれさせておくことが好ましい。
【0012】
あるいは、上記ガイド部は、ワイヤハーネスの配索経路に沿って千鳥状態に配置して設けた3つの板状あるいは棒状のガイド部からなり、該3つのガイド部の間に形成される三角形状のガイド空間を通る上記ワイヤハーネスを、長さ方向で位置ずれした位置で両側外面に当接させて仮止め挟持している。
【0013】
上記構成とした場合も、千鳥状に配置された3つのガイド片の間にワイヤハーネスを挿通することで、ワイヤハーネスが蛇行配策され易くなり、ワイヤハーネスの配策方向へのズレを防止することができる。
【0014】
上記ガイドを突設するインナーパネルは樋形状で、内面壁から両側壁を連結するリブを間隔をあけて突設し、これらリブ上に上記ワイヤハーネスを支持して上記インナーパネルより浮かせた状態で配索すると共に、上記リブにワイヤハーネスを接着剤で固定しており、
上記2つのガイドは上記リブの両面側で且つ嵌合溝を挟む位置に設け、また、上記3つのガイドは隣接する上記リブの間の設けている。なお、リブの先端より嵌合溝を凹設け、該嵌合溝にワイヤハーネスを嵌合してもよい。
上記2つのガイドは上記リブの両面側で且つ嵌合溝を挟む位置に設けている。また、上記3つのガイドは隣接するリブの間の設けている。
【0015】
上記構成とすると、インナーパネルを補強するリブをワイヤハーネス支持枠として利用でき、ワイヤハーネスをパネルに接触させずにパネルより浮かせた状態で配索するため、ワイヤハーネスが車両走行時に振動によりパネルと接触して異音を発生することも防止される。よって、防音・保護用の弾性体をワイヤハーネスに外装する必要もなくなり、部品点数の低減および作業性の向上が図られると共に、外装材が無いことでワイヤハーネス外径も小さくなり配策レイアウトも容易になる。
かつ、上記ガイドをインナーパネルより突設しているため、ガイドにパネルの補強の役目を兼用させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図5は第1実施形態を示す。
図1は、ハッチバック式自動車の後部のドア10を示す。
ドア10は、樹脂成形品からなるアウターパネル11の開口部にガラスGを接合すると共に、アウターパネル11の内面側に繊維強化樹脂成形品からなるインナーパネル12を接合して形成している。
【0017】
アウターパネル11は、スポイラー(空気抵抗調整板)やガーニッシュ(飾り板)を組み込んだ金型に樹脂を流し込んで一体成形しており、また、インナーパネル12はガラス繊維をポリプロピレン等の樹脂に混ぜたものである繊維強化樹脂で一体成形している。
【0018】
図2は、ドア10のピラー部分の断面を示し、樋形状のインナーパネル12とアウターパネル11とで囲まれる内部空間にワイヤハーネスW/Hを配策している。
インナーパネル12は、図3(A)(B)(C)に示すように、本体部12aは内面側に突出する底壁12a−1と、両側壁12a−2、該両側壁12a−2より突出する接着固定用の鍔部12a−3とからなる。
上記樋形状の本体部12aには、底壁12a−1から立設して両側壁12a−1を連結する補強用のリブ12bを設けている。これらリブ12bはワイヤハーネスの配索方向に沿って所要間隔をあけて設け、かつ、ワイヤハーネス配索方向と直交方向に立設される。
【0019】
上記リブ12bの一側には、底面12a−1およびリブ12bの一側面に連続した板状のガイド部12cを突出させている一方、リブ12bの他側には、底面12a−1およびリブ12bの他側面に連続した板状のガイド部12dを突出させ、2つのガイド部12c、12dをワイヤハーネス配策方向にオフセット状にずらして配置し、ガイド部12c、12dの間をワイヤハーネスW/Hの挿通箇所であるガイド空間Sとしている。
なお、隣接するリブ12bの間隔L1は100mm〜250mmで、リブ12bの厚みL2は1mm〜5mmで、ガイド片12c、12dの幅L3は5mm〜20mmとしている。
ガイド部12c、12dとの隙間L4の挿通するワイヤハーネスの外径と対応させて設定し、ワイヤハーネスを若干蛇行させて通すと共に、スムーズにワイヤハーネスを通すために、L4≦(ワイヤハーネス径)の関係に設定している。
なお、ガイド部12c、12dは、必ずしもリブ12bと連続させる必要はないが、ガイド部自体およびリブ12bの強度を高める点より連続させていることが好ましい。
【0020】
上記インナーパネル12に対して、図4(A)(B)(C)に示すように、ワイヤハーネスW/Hをガイド部12cとガイド部12dとの間のガイド空間Sに挿通して若干蛇行させ、リブ12b上に乗せてインナーパネル12より浮かせた状態で配索している。
なお、この際、ワイヤハーネスW/Hに、リブ12bあるいは/およびガイド部12c、12dに位置させる部位に目印用のテープを巻き付けておくことが好ましい。
【0021】
この状態において、ワイヤハーネスW/Hの外面の一面がガイド部12cと、他面が12dと接触し、オフセット状態で仮止め挟持された状態となる。よって、ワイヤハーネスW/Hがワイヤハーネス配策方向と垂直方向にずれるのを防止することができると共に配索方向に対してもずれが防止できる。また、ガイド部12cとガイド部12dはオフセット状に配置しているので、ワイヤハーネスW/Hを蛇行あせてワイヤハーネスの余長を吸収でき、ワイヤハーネスの寸法精度が厳しくならない。
【0022】
次いで、図5(A)(B)(C)に示すように、ワイヤハーネスW/Hとリブ12bとの間に加熱により硬化が促進される熱硬化性樹脂からなる接着剤13を塗布して仮接着している。
接着剤13は、リブ12bに対して交差状に塗布し、接着剤13の一端13aをリブ12bの一側面に当てて、他端13bをリブ12bの他側面に当てることにより、接着剤13でリブ12bを挟持して接着強度を高めている。
【0023】
上記接着剤13としては、ポリウレタン、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、熱硬化性アクリル樹脂、ポリイミドあるいは/およびシリコン樹脂等の熱硬化性接着剤が挙げられ、特に、ウレタン系接着剤が好適に用いられる。
【0024】
上記のように、ワイヤハーネスW/Hをガイド部12c、12dで挟持し、接着剤13でリブ12bに仮接着してインナーパネル12に取り付けた状態とし、インナーパネル12の鍔部12a−3に同種の接着剤13を塗布した後、アウターパネル11を貼り合わせて仮接着している。なお、アウターパネル11側に接着剤13を塗布しておいてもよい。また、ガラスGも同種の接着剤13を介在させてアウターパネル11に貼り付けて仮接着している。
【0025】
上記のように、ワイヤハーネスW/Hを内部に配索してインナーパネル12とアウターパネル11とを張り合わせた状態とした後、後部ドア10全体を雰囲気温度が70〜140℃程になるよう加熱処理を施して、接着剤13を熱硬化させ、複数の仮接着箇所を一括して固着している。
なお、本実施形態では、ウレタン系接着剤を用いて雰囲気温度80℃で熱硬化させているため、ワイヤハーネスW/Hに耐熱性のもの用いずに汎用のワイヤハーネスを用いることを可能にしている。
【0026】
上記構成とすると、接着剤13でワイヤハーネスW/Hをインナーパネル12のリブ12bに接着するだけで固定でき、予めワイヤハーネスが配索されたパネルとすることができモジュール化を図ることができる。よって、従来必要としていたワイヤハーネスにバンドクランプを巻き付ける工程や、該バンドクランプを車体パネルのパネル孔に挿入係止する工程等が廃止でき大幅な作業工程の削減が可能となると共に、バンドクリップ等の固定用部品が不要になるので、部品点数の大幅削減にもなる。
【0027】
また、ワイヤハーネスW/Hをインナーパネル12に配策してから、接着剤13でワイヤハーネスW/Hをリブ12bに接着するまでの工程間に、該インナーパネル12を移動させたりしても、ワイヤハーネスW/Hが外れてしまうことが防止される。
さらに、接着剤13の塗布作業時において、ワイヤハーネスW/Hがズレたりしないことにより接着剤の塗布作業性が向上すると共に、接着剤13の塗布後で接着剤硬化前の段階においても、ワイヤハーネスW/Hのズレが防止されことでワイヤハーネスW/Hを正規の位置に確実に固着することができる。
また、本発明ではクランプ等を用いていないが、ガイド片12c、12dによりワイヤハーネスW/Hをインナーパネル12に対して位置決めする役目も果たす。
【0028】
さらに、ワイヤハーネスW/Hはインナーパネル12の底面12a−1より突出したリブ12bの上端に架け渡して配策し、インナーパネル12の本体部12aから浮かせているので、車両の振動がワイヤハーネスW/Hに伝わり難く、また、伝わったとしても本体部12aに当たることがなく異音発生を防止できる。
【0029】
なお、上記構造を有するインナーパネル12の用途として、上述の後部ドアとして用いる他にも、サイドドア、ボンネット、ルーフ、トランクリッド等に用いても好適である。
また、本実施形態ではインナーパネル12側にワイヤハーネスW/Hの固定構造を設けているが、アウターパネル11側に設けてもよい。
また、アウターパネル側を繊維強化樹脂成形品とし、インナーパネル側を樹脂成形品としてもよいし、あるいは、アウターパネル側とインナーパネル側の両方を繊維強化樹脂成形品としてもよいし、あるいは、アウターパネル側とインナーパネル側の両方を樹脂成形品としてもよい。
【0030】
図6および図7は第2実施形態を示す。
本実施形態のインナーパネル22は、図6(A)(B)(C)に示すように、底面22a−1と側面22a−2とを備えた樋形状の本体部22aの内面側に補強用のリブ22bを間隔をあけて突出させていると共に、隣接するリブ22bの間に板状のガイド部22c、22d、22eを千鳥配置状で3つ突出させている。
【0031】
ガイド部22cは底面22a−1および一側面22a−2に連続してワイヤハーネス配策方向に対して垂直に突出させている一方、ガイド部22dと22eは、底面22a−1および他側面22a−2の他側面に連続してワイヤハーネス配策方向に対して垂直に突出させている。ガイド部22c、22d、22eは、その内端同士が二等辺三角形を形成するようにガイド空間Sをあけて千鳥状に配置されている。
上記ガイド部22dとガイド部22eとの最短距離をa、ガイド部22cとガイド部22d、22eとの最短距離をそれぞれbとすると、a>bの関係としており、ガイド部22cと22d、22eとの垂直方向の距離cはワイヤハーネスW/Hの外径以下、即ち、c≦(ハーネス径)としてW/Hを蛇行させることが出来るようにしている。
また、ガイド部22c、22d、22eは、内側上端の角部にアール部22c−1、22d−1、22e−1を設けて、ワイヤハーネスW/Hを上から挿入しやすくしている。
【0032】
図7(A)(B)に示すように、ワイヤハーネスW/Hを上記インナーパネル22の3つのガイド部22c、22d、22eの間のガイド空間Sに挿通し、ワイヤハーネスW/Hを蛇行させた状態で配策して仮止めしている。
次いで、第1実施形態と同様に、ワイヤハーネスW/Hを熱硬化性樹脂からなる接着剤13でリブ22bに仮接着し、該インナーパネル22を同種の接着剤13でアウターパネル11と貼り合わせると共に、ガラスGも同種の接着剤13を介在させてアウターパネル11に貼り付けた後、加熱処理を施すことにより、接着剤13を熱硬化させ、複数の仮接着箇所を一括して固着させている。
【0033】
上記構成とすると、隣接するリブ22bの間で、本体部22aの底面22a−1と側面22a−2との両方に一体的に連続するガイド部22c、22d、22eを設けているので、インナーパネル22の補強を兼ねることができる。
また、図7(B)に示すように、ワイヤハーネスW/Hをガイド部22c、22d、22eの間のガイド空間Sに下方へ押し込むことにより、ワイヤハーネスW/Hの余長を吸収し、ワイヤハーネスW/Hのバタツキによる異音発生を防ぐことができる。
なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0034】
図7は第3実施形態を示す。
第2実施形態との相違点は、インナーパネル32の本体32aに突設するガイド部32c、32d、32eを断面円形の棒状としている点である。
【0035】
本実施形態のインナーパネル32は、底面32a−1と側面32a−2とを備えた樋形状の本体部32aの内面側に補強用のリブ32bを間隔をあけて突出させていると共に、隣接するリブ32bの間に棒状の3つのガイド部32c、32d、32eを二等辺三角形を形成するようにガイド空間Sをあけて底面32a−1より突出させている。
上記ガイド部32dとガイド部32eとの最短距離をa、ガイド部32cとガイド部32d、32eとの最短距離をそれぞれbとすると、a>bの関係としており、ガイド部32cと32d、32eとの垂直方向の距離cはワイヤハーネスW/Hの外径以下としている。また、ガイド部32c、32d、32eの径は2mm〜5mmとしている。
【0036】
図9(A)(B)に示すように、ワイヤハーネスW/Hをインナーパネル32の3つのガイド部32c、32d、32eの間のガイド空間Sに挿通し、ワイヤハーネスW/Hを蛇行させた状態で配策して、まず、仮止めしている。
次いで、第1実施形態と同様に、ワイヤハーネスW/Hを熱硬化性接着剤からなる接着剤13でリブ32bに仮接着し、該インナーパネル32を同種の接着剤13でアウターパネル11と貼り合わせると共に、ガラスGも同種の接着剤13を介在させてアウターパネル11に貼り付けた後、加熱処理を施すことにより、接着剤13を熱硬化させ、複数の仮接着箇所を一括して本接着させる。
なお、ガイド部33c、33d、33eの形状は断面円形に限定されず、多角形でも良いし、円錐状、多角錐でもよい。
他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、ワイヤハーネスを樹脂成形したインナーパネルあるいはアウターパネルに予め配索して接着剤で接着するだけで車体パネルに配策固定することができるので、簡単にモジュール化しておくことができる。よって、従来のワイヤハーネスにクランプを取り付ける工程や、該クランプを車体パネルのパネル孔に挿入係止する工程等が廃止でき、大幅な作業工程の削減が可能となる。また、クランプ等の固定用部品が不要になるので、部品点数の大幅削減にもなる。
【0038】
また、ワイヤハーネスを上記配策空間に布線する作業では、パネルより突設したガイド部に仮止めしながら行えるので、作業性が良好となる。さらに、ワイヤハーネスをパネルに配策してから、接着剤でワイヤハーネスをパネルに接着するまでの工程間に、該パネルを動かしても、ワイヤハーネスを外れにくくすることができる。しかも、ワイヤハーネスが上記ガイドで仮止めされてズレないことにより、接着剤を塗布する際の作業性も向上する。
具体的には、オフセット位置に突設した2つのガイド部、あるいは、千鳥配置した3つのガイド部によりワイヤハーネスを寸法調節しながら蛇行させて配策することができ、ワイヤハーネスの配策方向へのズレも発生しにくくすることができる。
【0039】
さらに、上記ガイドを上記各リブの間の位置で突出させることで、上記ガイドにパネル面の補強の役目を兼用することができると共に、接着剤で固定されていない中間部位を上記ガイドに仮止めして車両振動時にバタつきによる異音発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のテールゲートを示す斜視図である。
【図2】図1のI−I線断面図である。
【図3】(A)はインナーパネルの要部斜視図、(B)は要部上面図、(C)は断面図である。
【図4】(A)はワイヤハーネス仮止後のインナーパネルの要部上面図、(B)は断面図、(C)は断面図である。
【図5】(A)はワイヤハーネス接着後のインナーパネルの要部上面図、(B)は断面図、(C)は断面図である。
【図6】(A)は第2実施形態のインナーパネルの要部斜視図、(B)は要部上面図、(C)は断面図である。
【図7】(A)はワイヤハーネス接着後のインナーパネルの要部上面図、(B)は断面図である。
【図8】(A)は第3実施形態のインナーパネルの要部斜視図、(B)は要部上面図、(C)は断面図である。
【図9】(A)はワイヤハーネス接着後のインナーパネルの要部上面図、(B)は断面図である。
【符号の説明】
10 後部ドア
11 アウターパネル
12 インナーパネル
12a 本体部
12b リブ
12c、12d ガイド部
13 接着剤
G ガラス
W/H ワイヤハーネス
Claims (6)
- 自動車のインナーパネルとアウターパネルを樹脂成形し、該インナーパネルとアウターパネルに囲まれる空間をワイヤハーネスの配索空間とし、上記インナーパネルとアウターパネル同士および上記ワイヤハーネスもインナーパネルあるいはアウターパネルに接着剤で固定するもので、
上記インナーパネルあるいはアウターパネルから上記配索空間に仮止め用のガイド部を突設し、該ガイド部でワイヤハーネスを挟持して上記接着剤で上記インナーパネルあるいはアウターパネルに固定していることを特徴とするワイヤハーネスの車体固定構造。 - 上記インナーパネルとアウターパネルのうち、少なくともいずれか一方は繊維強化樹脂で成形している請求項1に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
- 上記インナーパネルを繊維強化樹脂で成形し、該インナーパネルより上記ガイド部を突設している請求項1に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
- 上記ガイド部は、ワイヤハーネスの配索経路に沿ってオフセット状に位置ズレさせて設けた2つの板状あるいは棒状のガイド部からなり、上記ワイヤハーネスを長さ方向で位置ズレした位置でワイヤハーネスの両側外面に当接させて仮止め挟持している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
- 上記ガイド部は、ワイヤハーネスの配索経路に沿って千鳥状態に配置して設けた3つの板状あるいは棒状のガイド部からなり、該3つのガイド部の間に形成される三角形状のガイド空間を通る上記ワイヤハーネスを、長さ方向で位置ずれした位置で両側外面に当接させて仮止め挟持している請求項1乃至請求項3に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
- 上記インナーパネルは樋形状で、内面壁から両側壁を連結するリブを間隔をあけて突設し、これらリブ上に上記ワイヤハーネスを支持して上記インナーパネルより浮かせた状態で配索すると共に、上記リブにワイヤハーネスを接着剤で固定しており、
上記2つのガイドは上記リブの両面側で且つ嵌合溝を挟む位置に設け、また、上記3つのガイドは隣接する上記リブの間の設けている請求項4または請求項5に記載のワイヤハーネスの車体固定構造。
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