JP2004122942A - 車両用制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】メイン制御手段とサブ制御手段とを備えた車両用制御装置において、単一のCANドライバを備えるのみで回路構成の複雑化、コスト高を招くことなしに、CAN通信ラインによるメイン制御手段から他のコントロールユニットへの誤った制御情報の送信出力をサブ制御手段側で確実に停止させることができる車両用制御装置の提供。
【解決手段】異常監視手段がサブマイコンB側でメインマイコンA側の異常を検出した時または5V高電圧監視回路Fにより電源の過電圧が検出された時は、可逆式電動モータMの駆動を停止すると共に、CANドライバGに対し該CANドライバGからCANバスHへの誤ったCAN出力を停止させ、ワーニングランプW/Lの点灯を制御するワーニングコントロールユニットでは、CANドライバGからCANバスHへのCAN出力が所定時間停止されると、ワーニングランプW/Lを強制点灯させる。
【選択図】 図2
【解決手段】異常監視手段がサブマイコンB側でメインマイコンA側の異常を検出した時または5V高電圧監視回路Fにより電源の過電圧が検出された時は、可逆式電動モータMの駆動を停止すると共に、CANドライバGに対し該CANドライバGからCANバスHへの誤ったCAN出力を停止させ、ワーニングランプW/Lの点灯を制御するワーニングコントロールユニットでは、CANドライバGからCANバスHへのCAN出力が所定時間停止されると、ワーニングランプW/Lを強制点灯させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用制御装置に関し、特に、制御装置の異常発生時における対応技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の車両用制御装置の異常発生時における対応技術としては、電動パワーステアリング装置のコントロールユニット内にメインマイコンとサブマイコンとを備え、両マイコンが相互に他方のマイコンの異常を監視すると共に、いずれかのマイコンで他方のマイコンの異常を検出すると、該異常を検出したマイコンから異常の警報を発するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−59464号公報 (第(3)頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来例において、メインマイコンおよびサブマイコンからそれぞれ発信されるコントロールユニット異常の警報を、各々の制御情報を送受信するCAN(Contoroller Area Network)通信で行おうとすると、メインマイコン側とサブマイコン側のそれぞれにCANドライバを備える必要があり、このため、CANドライバはもちろん、その他にもハーネスやコネクタ等の回路構成部品が増加し、回路構成が複雑化すると共に、コスト高になるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述の従来の問題点に着目してなされたもので、メイン制御手段とサブ制御手段とを備えた車両用制御装置において、単一のCANドライバを備えるのみで回路構成の複雑化、コスト高を招くことなしに、CAN通信ラインによるメイン制御手段から他のコントロールユニットへの誤った制御情報の送信出力をサブ制御手段側で確実に停止させることができる車両用制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明請求項1記載の車両用制御装置は、コントロールユニットはメイン制御手段とサブ制御手段を備えていて両制御手段が相互に他方の制御手段の制御信号を監視することにより両制御手段の異常を相互に監視する異常監視手段と、前記メイン制御手段から他のコントロールユニットに接続されて相互の制御情報を送受信するCAN通信ラインと、前記異常監視手段が前記サブ制御手段側においてメイン制御手段側の異常を検出した時は前記メイン制御手段から他のコントロールユニットへのCAN通信ラインによる制御情報の送信出力を停止する送信出力停止手段と、を備えていることを特徴とする手段とした。
【0007】
この請求項1では、上述のように、前記異常監視手段が前記サブ制御手段側においてメイン制御手段側の異常を検出した時は、送信出力停止手段において、メイン制御手段から他のコントロールユニットへのCAN通信ラインによる誤った制御情報の送信出力を、メイン制御手段に代わってサブ制御手段側で停止させることができる。そして、この時、メイン制御手段からの制御情報に基づく送信出力およびサブ制御手段によるメイン制御手段の異常検出に基づく送信出力停止手段からの送信出力停止処理は、単一のCANドライバにおいて行うことが可能である。
従って、単一のCANドライバを備えるのみで回路構成の複雑化、コスト高を招くことなしに、CAN通信ラインによるメイン制御手段から他のコントロールユニットへの誤った制御情報の送信出力をサブ制御手段側で確実に停止させることができるようになるという効果が得られる。
【0008】
この発明請求項2記載の車両用制御装置は、請求項1において、過電圧監視手段により電源の過電圧が検出された時は前記メイン制御手段から他のコントロールユニットへのCAN通信ラインによる制御情報の送信出力を停止する第2の送信出力停止手段と、を備えていることを特徴とする手段とした。
【0009】
この請求項2では、上述のように、電源の過電圧が検出された時は、第2の送信出力停止手段において、メイン制御手段から他のコントロールユニットへのCAN通信ラインによる制御情報の送信出力を停止させることができる。
従って、電源の過電圧に起因するコントロールユニットの暴走等による誤った制御情報を他のコントロールユニットに向け送信することを防止することができるようになる。
【0010】
この発明請求項3記載の車両用制御装置は、請求項2において、前記車両用制御装置が電動モータによる操舵補助を行う電動パワーステアリングの制御装置であって、前記CAN通信ラインのCANバスに接続されていてワーニングランプの点灯を制御するコントロールユニットと、前記メイン制御手段からの制御情報である制御手段の異常情報に基づいて前記ワーニングコントロールユニットに対しワーニングランプの点灯・消灯を指令するデータを出力するCANドライバと、を備え、前記異常監視手段が前記サブ制御手段側においてメイン制御手段側の異常を検出した時または前記過電圧監視手段により電源の過電圧が検出された時は、前記電動モータの駆動を停止すると共に、前記送信出力停止手段または第2の送信出力停止手段において、前記CANドライバに対し該CANドライバからCANバスへのデータ出力を停止させ、前記ワーニングコントロールユニットが、前記CANドライバからCANバスへのデータ出力が所定時間停止されると、前記ワーニングランプを強制点灯させるように構成されていることを特徴とする手段とした。
【0011】
この請求項3では、上述のように、電動パワーステアリングの制御装置において、異常監視手段がサブ制御手段側においてメイン制御手段側の異常を検出した時、または、過電圧監視手段により電源の過電圧が検出された時は、電動モータの駆動を停止させると共に、前記送信出力停止手段または第2の送信出力停止手段において、CANドライバに対し該CANドライバからCANバスへのデータ出力を停止させる。そして、このデータ出力が所定時間停止されると、ワーニングコントロールユニットにおいてワーニングランプを強制点灯させる処理がなされるもので、これにより、異常が発生したこと、および、この異常発生に基づいて電動モータによる操舵アシストが停止されて操舵感覚が重くなることを運転者に確実に知らせることができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明の実施の形態の構成を図1に基づいて説明する。
図1は、発明の実施の形態の車両用制御装置が適用された電動パワーステアリングの制御装置を示す全体概略図であり、この図に示すように、ステアリングホイールSWを手動で回転させると、その回転がラックL&ピニオンPによりラックLの直線運動に変換され、これにより、左右の前輪TL、TRの向きを変更(操舵)することができる。また、ピニオンPを可逆式電動モータMにより減速ギヤGを介し回転可能に構成することにより、前記手動による操舵力のアシストが行われるようになっている。
【0013】
また、前記可逆式電動モータMは、手動による操舵力を検出するトルクセンサTS等からの信号に基づいて、車載のコントロールユニットECUによりその駆動制御が行われ、これにより、手動による操舵力のアシスト制御が行われる。なお、同図において、Rはフェールセーフ用のリレー、Baは車載のバッテリ(電源)である。
【0014】
次に、図2は、発明の実施の形態の車両用制御装置を示すシステムブロック図であり、この図に示すように、コントロールユニットECU内には、メインマイコン(メイン制御手段)A、サブマイコン(サブ制御手段)B、モータ駆動回路C、電源IC&ウオッチドックタイマD、モータ電流検出回路E、5V高電圧監視回路(過電圧監視手段)F、CANドライバG、フェールセーフ用のリレーR等が組み込まれている。
そして、前記メインマイコンAおよびサブマイコンBには、それぞれトルクセンサTSからのトルク信号が入力される。
【0015】
さらに詳述すると、前記フェールセーフ用のリレーRは、可逆式電動モータMとバッテリBaとを接続するバッテリラインBLに介装されている。即ち、このリレーRは、電動パワーステアリング装置のフェールセーフ時にバッテリラインBLを切断するためのものであり、リレーコイルの通電時にON状態に保持され、非通電時にOFF状態に保持される。そして、前記メインマイコンA、サブマイコンBおよび5V高電圧監視回路FからのON信号が全て3入力のアンド回路1の各入力端に入力されている場合にのみリレー駆動回路2への駆動信号が出力され、該リレー駆動回路2からのリレー駆動信号によりリレーRがON制御され、これにより、モータ駆動回路Cへ電源が供給され、ON信号の1つでも入力されていない時は、リレーRがOFF制御され、これにより、モータ駆動回路Cへの電源供給が停止されるようになっている。
【0016】
前記モータ駆動回路Cは、可逆式電動モータMを正逆回転駆動制御するもので、電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2、および、地落側スイッチングトランジスタFET L1、FET L2で構成されるブリッジ回路と、各スイッチングトランジスタFET H1、FET H2、FET L1、FET L2を駆動するためのプリドライバPD H1 、PD H2 、PD L1 、PD L2 で構成されている。
【0017】
そして、メインマイコンAからプリドライバPD H1 、PD H2 、PD L1 、PD L2 に向けて出力される右方向駆動指示信号または左方向駆動指示信号に基づいてブリッジ回路の各スイッチングトランジスタFET H1、FET H2、FET L1、FET L2がON・OFF駆動制御されることにより、該ブリッジ回路に接続された可逆式電動モータMの正逆回転駆動制御が行われる。
【0018】
ちなみに、スイッチングトランジスタFET H1、FET L2のプリドライバPDH1、P D L2に対し右方向駆動指示信号が出力されると可逆式電動モータMが右方向に回転駆動され、スイッチングトランジスタFET H2、FET L1のプリドライバPD H2 、PD L1 に対し左方向駆動指示信号が出力されると可逆式電動モータMが左方向に回転駆動される。
【0019】
前記各電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2の各プリドライバPD H1 、PD H2 の入力側にはそれぞれ2入力のアンド回路3、4の出力端が接続されており、この両アンド回路3、4の一方の入力端に前記メインマイコンAからの右方向駆動指示信号と左方向駆動指示信号がそれぞれ入力され、もう一方の入力端には3入力のアンド回路5のからのイネーブル信号がそれぞれ入力されるようになっている。このアンド回路5は、フェール時に可逆式電動モータMの回転駆動信号を遮断する役目をなすもので、正常時には、各入力端にメインマイコンA、サブマイコンB、および、5V高電圧監視回路FからそれぞれON信号が入力されるようになっている。
【0020】
前記モータ電流検出回路Eは、可逆式電動モータMに流れる電流を検出するもので、前記バッテリラインBLの途中に介装されたシャント抵抗SRの両端子部21、22間の電圧差を検出し、この電圧差(電圧降下値)を増幅器6で増幅した値をメインマイコンAおよびサブマイコンBに入力し、両マイコンA、Bにおいてそれぞれ電流値が求められる。
【0021】
前記メインマイコンAとサブマイコンBとは、相互に他方の異常を監視し(異常監視手段)、両マイコンがそれぞれ正常に作動している時はメインマイコンAからサブマイコンBに向けプログラムランパルスP−RUN_Mが出力され、サブマイコンBからメインマイコンAおよび電源ICウオッチドックタイマDに向けてプログラムランパルスP−RUN_Sがそれぞれ出力される。
【0022】
そして、サブマイコンBに異常が発生すると、サブマイコンBからメインマイコンAおよび電源IC&ウオッチドックタイマDに向けたプログラムランパルスP−RUN_Sの出力が停止し、その停止状態が所定時間継続されることで、メインマイコンAでは、アンド回路1およびアンド回路5に向けたON信号をそれぞれ停止することにより、アンド回路1からリレー駆動回路2に向けた駆動信号が停止されることで、リレーRがOFF制御され、これにより、モータ駆動回路Cの電源供給が停止されると共に、アンド回路5から両アンド回路3、4に向けたイネーブル信号が停止されることで、両アンド回路3、4から電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2の各プリドライバPD H1 、PD H2 に向けた右方向駆動指示信号または左方向駆動指示信号が停止されるため、可逆式電動モータMの駆動が停止され、これにより操舵アシストが停止された状態となる。
【0023】
前記CANドライバGは、メインマイコンA側から出力されるフェール信号であるCAN信号に基づいて、CAN通信ラインを構成するCANバスHを介して車室内メータユニットMU内に設けられたワーニングコントロールユニット(図示せず)に対し、ワーニングランプW/Lの点灯(または消灯)を指令するデータを出力するもので、このCANドライバGには、メインマイコンAからのCAN信号の他に、ノア回路7からのCAN出力禁止信号(Loで出力禁止、Hiで出力許可)が入力され、CAN出力禁止信号Loが入力されると、CANバスHに向けたCAN出力が停止されるようになっている。
【0024】
そして、前記ワーニングコントロールユニットでは、CANドライバGからCANバスHに向けたCAN出力が所定時間停止されると、ワーニングランプW/Lを強制点灯させるようになっている。
【0025】
前記ノア回路7の一方の入力端には、サブマイコンBから出力されるフェール信号である出力禁止信号(Hiで出力禁止、Loで出力許可)が入力され(送信出力停止手段)、もう一方の入力端には、5V高電圧監視回路Fから出力されるフェール信号である出力禁止信号(Hiで出力禁止、Loで出力許可)が入力される(第2送信出力停止手段)。そして、両出力禁止信号のいずれか一方でもHiである時は、CANドライバGに対しCAN出力禁止信号Lo(出力禁止)が出力され、これにより、CANドライバGからCANバスHに向けたCAN出力が停止されるようになっている。
【0026】
前記5V高電圧監視回路Fは、コントロールユニットECUに供給される5Vの電源電圧を監視し、5.5V未満である時は、前記アンド回路1、および、アンド回路5に対しON信号を出力すると共に、前記ノア回路7に対し出力禁止信号Loが出力され、5.5V以上になると、前記アンド回路1、および、アンド回路5に対しON信号に代えてOFF信号を出力すると共に、前記ノア回路7に対し出力禁止信号Hiが出力されるようになっている。
【0027】
次に、前記メインマイコンAにおけるフェールセーフ制御の内容を図3のフローチャートに基づいて説明する。
まずステップS101でメインマイコンAが初期化されることで、それまで発生していたフェール状態が回復される。
続くステップS102でトルクセンサTSで検出されたトーションバートルクを読み込み、ステップS103で操舵アシストトルクを算出し、ステップS104で可逆式電動モータMに印加する目標電流を算出し、ステップS105ではモータ電流検出回路Eで検出された可逆式電動モータMに流れる電流(フィードバック電流値)を読み込み、ステップS106では目標電流値とフィードバックバック電流値とからモータ電圧を算出し、ステップS107では、該モータ電圧をPWM出力する。即ち、右操舵時にはアンド回路3および地落側スイッチングトランジスタFET L2のプリドライバPD L2 に向けて右方向駆動指示信号としてのモータ電圧をPWM出力し、左操舵時にはアンド回路4および地落側スイッチングトランジスタFET L1のプリドライバPD L1 に向けて左方向駆動指示信号としてのモータ電圧をPWM出力する。
【0028】
続くステップS108では、トルクセンサTSの異常等、メインマイコンAで検出可能な異常の判断が行われ、ステップS109で異常有り(YES)の判定がなされると、ステップS110に進み、CANドライバGに対しワーニングランプW/Lの点灯を指令するCAN信号を出力し、これにより、CANドライバからCANバスHに対するCAN出力としてワーニングランプW/L点灯指令信号が出力される。すると、メータユニットMUに設けられたワーニングコントロールユニットにおいて、ワーニングランプW/Lを点灯させることにより、運転者に異常発生を知らせる。
【0029】
続くステップS111では、アンド回路5に対しイネーブル信号OFFを出力することにより、両アンド回路3、4の一方の入力端に対するアンド回路5からの入力が停止されるもので、これにより、電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2の各プリドライバPD H1 、PD H2 に対する駆動信号PWM出力が停止され、その結果、可逆式電動モータMの駆動が停止され、操舵アシストが停止された状態となる。
【0030】
さらに、続くステップS112では、アンド回路1にリレーOFFを出力することにより、リレー駆動回路2に対する駆動指示信号がOFFになるため、リレーRに対するリレー駆動信号が停止されるため、リレーRがOFFになり、その結果、モータ駆動回路Cに対する電源供給自体が停止される。従って、トルクセンサTS等の異常発生や、メインマイコンAの暴走等の異常発生により可逆式電動モータMの回転軸がロックされることが防止され、可逆式電動モータMの操舵アシスト無しの状態で操舵することができる状態となる。
そして、続くステップS113では、イグニッションスイッチIGNがOFFになった時点で、これで一回のフローを終了する。
【0031】
また、前記ステップS109の判定がNO(異常無し)である時は、ステップS114に進み、CANドライバGに対しワーニングランプW/Lの消灯を指令するCAN信号を出力し、これにより、CANドライバGからCANバスHに対するCAN出力として、ワーニングランプW/L消灯指令信号が出力される。
そして、続くステップS113においてイグニッションスイッチIGNがOFFになったか否かを判定し、YES(OFF)である時は、これで一回のフローを終了し、また、NO(ON)である時は、前記ステップS102に戻る。
【0032】
次に、前記サブマイコンBにおけるフェールセーフ制御の内容を図4のフローチャートに基づいて説明する。
まずステップS201でサブマイコンBが初期化されることで、それまで発生していたフェール状態が回復される。
【0033】
続くステップS202でトルクセンサTSで検出されたトーションバートルクを読み込み、ステップS203ではモータ電流検出回路Eで検出された可逆式電動モータMに流れる電流(フィードバック電流値)を読み込み、ステップS204では、メインマイコンAの異常、トルクセンサTSの異常等、サブマイコンBで検出可能な異常の判断が行われ、ステップS205で異常有り(YES)の判定がなされると、ステップS206に進む。
【0034】
このステップS206では、アンド回路5に対しイネーブル信号OFFを出力することにより、両アンド回路3、4の一方の入力端に対するアンド回路5からの入力が停止されるもので、これにより、電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2の各プリドライバPD H1 、PD H2 に対する駆動信号PWM出力が停止され、その結果、可逆式電動モータMの駆動が停止され、操舵アシストが停止された状態となる。
【0035】
さらに、続くステップS207では、アンド回路1にリレーOFFを出力することにより、リレー駆動回路2に対する駆動指示信号がOFFになるため、リレーRに対するリレー駆動信号が停止されるため、リレーRがOFFになり、その結果、モータ駆動回路Cに対する電源供給自体が停止される。従って、トルクセンサTS等の異常発生等、サブマイコンBで判断可能な異常発生により可逆式電動モータMの回転軸がロックされることが防止され、可逆式電動モータMの操舵アシスト無しの状態で操舵することができる状態となる。
【0036】
そして、続くステップ208では、ノア回路7の一方の入力端に対する信号がHiに設定され、これにより、ノア回路7からCANドライバGに対しCAN出力禁止信号Loが出力され、これにより、CANドライバGからCANバスHに対するCAN出力である点灯および消灯の両指令信号出力が禁止される。そして、ワーニングコントロールユニットでは、CANドライバGからCANバスHに向けたCAN出力が所定時間停止されると、ワーニングランプW/Lを強制点灯させるようになっている。
【0037】
続くステップS209では、イグニッションスイッチIGNがOFFになった時点で、これで一回のフローを終了する。
また、前記ステップS205の判定がNO(異常無し)である時は、ステップS210においてイグニッションスイッチIGNがOFFになったか否かを判定し、YES(OFF)である時は、これで一回のフローを終了し、また、NO(ON)である時は、ステップS202に戻る。
【0038】
次に、本発明の実施の形態の作用・効果を説明する。
(イ)サブマイコンBの異常発生時
サブマイコンBに暴走等の異常が発生すると、サブマイコンBからメインマイコンAおよび電源ICウオッチドックタイマDに向けたプログラムランパルスP−RUN_Sの出力が所定時間停止されることで、メインマイコンAからCANドライバGに対しワーニングランプW/Lの点灯を指令するCAN信号が出力され、これにより、CANドライバGからCANバスHに対するCAN出力としてワーニングランプW/L点灯指令信号が出力され、メータユニットMUに設けられたワーニングコントロールユニットにおいて、ワーニングランプW/Lを点灯させることにより、運転者に異常発生を知らせる一方、メインマイコンAからアンド回路1およびアンド回路5に向けたON信号をそれぞれ停止し、アンド回路1からリレー駆動回路2に向けた駆動信号が停止されることで、リレーRがOFF制御され、これにより、モータ駆動回路Cへの電源供給が停止されると共に、アンド回路5から両アンド回路3、4に向けたイネーブル信号が停止されることで、両アンド回路3、4から電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2の各プリドライバPD H1 、PD H2 に向けた右方向駆動指示信号または左方向駆動指示信号が停止されるため、可逆式電動モータMの駆動が停止され、これにより、操舵アシストが停止された状態となる(図3のステップS101〜115の流れ)。
【0039】
(ロ)メインマイコンAの異常発生時
メインマイコンAに暴走等の異常が発生すると、サブマイコンBからアンド回路1およびアンド回路5に向けたON信号をそれぞれ停止し、アンド回路1からリレー駆動回路2に向けた駆動信号が停止されることで、リレーRがOFF制御され、これにより、モータ駆動回路Cへの電源供給が停止されると共に、アンド回路5から両アンド回路3、4に向けたイネーブル信号が停止されることで、両アンド回路3、4から電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2の各プリドライバPD H1 、PD H2 に向けた右方向駆動指示信号または左方向駆動指示信号が停止されるため、可逆式電動モータMの駆動が停止され、これにより、操舵アシストが停止される一方、メインマイコンAからサブマイコンBに向けたプログラムランパルスP−RUN_Mの出力が所定時間停止されることで、サブマイコンBからノア回路7に向けて出力されるCAN出力禁止信号がHiに設定され、これにより、ノア回路7からCANドライバGに対しCAN出力禁止信号Loが出力され、CANドライバGからCANバスHに対するCAN出力である点灯および消灯の両指令信号出力が禁止されることで、ワーニングコントロールユニットでは、CANドライバGからCANバスHに向けたCAN出力が所定時間停止されると、ワーニングランプW/Lを強制点灯させることにより、運転者に異常発生を知らせる(図4のステップS201〜208の流れ)。
【0040】
(ハ)電源電圧異常時
コントロールユニットECUに供給される5Vの電源電圧が5.5V以上になると、5V高電圧監視回路Fからアンド回路1、および、アンド回路5に対しON信号に代えてOFF信号が出力されると共に、前記ノア回路7に対し出力禁止信号Hiが出力され、これにより、操舵アシストが停止されると共に、ワーニングランプW/Lが強制点灯されることにより、運転者に異常発生を知らせる。
【0041】
以上詳細に説明してきたように、この発明の実施の形態によれば、メインマイコンAとサブマイコンBとを備えた電動パワーステアリングの制御装置において、単一のCANドライバGを備えるのみで回路構成の複雑化、コスト高を招くことなしに、CAN通信ラインによるメインマイコンAからCANドライバGに向けた誤ったCAN信号(消灯を指令する信号)に基づくCANバスHへの誤ったCAN出力をサブマイコンB側で確実に停止させることでワーニングランプW/Rを強制点灯させ、これにより、異常発生状態を運転者に知らせることができると共に、電源電圧の異常時においても、ワーニングランプW/Rを強制点灯させることにより異常発生状態を運転者に知らせることができるようになるという効果が得られる。
【0042】
以上発明の実施の形態を図面により説明したが、具体的な構成はこれらの発明の実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、発明の実施の形態では、フェールセーフ時に、両電源側プリドライバPD H1、PD H2 への駆動指示信号出力を停止すると同時に、リレーRをOFFしてモータ駆動回路Cに対する電源供給を停止させるようにしたが、いずれか一方のみを停止させるようにしてもよい。
【0043】
また、発明の実施の形態では、電動パワーステアリングの制御装置に本発明を適用した例を示したが、その他の車両用制御装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態の車両用制御装置を示す全体概略図である。
【図2】発明の実施の形態の車両用制御装置を示すシステムブロック図である。
【図3】発明の実施の形態の車両用制御装置におけるメインマイコンにおけるフェールセーフ制御の内容を示すフローチャートである。
【図4】発明の実施の形態の車両用制御装置におけるサブマイコンにおけるフェールセーフ制御の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
ECU コントロールユニット
A メインマイコン(メイン制御手段)
B サブマイコン(サブ制御手段)
F 5V高電圧監視回路(過電圧監視手段)
M 可逆式電動モータ
G CANドライバ
H CANバス
W/L ワーニングランプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用制御装置に関し、特に、制御装置の異常発生時における対応技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の車両用制御装置の異常発生時における対応技術としては、電動パワーステアリング装置のコントロールユニット内にメインマイコンとサブマイコンとを備え、両マイコンが相互に他方のマイコンの異常を監視すると共に、いずれかのマイコンで他方のマイコンの異常を検出すると、該異常を検出したマイコンから異常の警報を発するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−59464号公報 (第(3)頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来例において、メインマイコンおよびサブマイコンからそれぞれ発信されるコントロールユニット異常の警報を、各々の制御情報を送受信するCAN(Contoroller Area Network)通信で行おうとすると、メインマイコン側とサブマイコン側のそれぞれにCANドライバを備える必要があり、このため、CANドライバはもちろん、その他にもハーネスやコネクタ等の回路構成部品が増加し、回路構成が複雑化すると共に、コスト高になるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述の従来の問題点に着目してなされたもので、メイン制御手段とサブ制御手段とを備えた車両用制御装置において、単一のCANドライバを備えるのみで回路構成の複雑化、コスト高を招くことなしに、CAN通信ラインによるメイン制御手段から他のコントロールユニットへの誤った制御情報の送信出力をサブ制御手段側で確実に停止させることができる車両用制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明請求項1記載の車両用制御装置は、コントロールユニットはメイン制御手段とサブ制御手段を備えていて両制御手段が相互に他方の制御手段の制御信号を監視することにより両制御手段の異常を相互に監視する異常監視手段と、前記メイン制御手段から他のコントロールユニットに接続されて相互の制御情報を送受信するCAN通信ラインと、前記異常監視手段が前記サブ制御手段側においてメイン制御手段側の異常を検出した時は前記メイン制御手段から他のコントロールユニットへのCAN通信ラインによる制御情報の送信出力を停止する送信出力停止手段と、を備えていることを特徴とする手段とした。
【0007】
この請求項1では、上述のように、前記異常監視手段が前記サブ制御手段側においてメイン制御手段側の異常を検出した時は、送信出力停止手段において、メイン制御手段から他のコントロールユニットへのCAN通信ラインによる誤った制御情報の送信出力を、メイン制御手段に代わってサブ制御手段側で停止させることができる。そして、この時、メイン制御手段からの制御情報に基づく送信出力およびサブ制御手段によるメイン制御手段の異常検出に基づく送信出力停止手段からの送信出力停止処理は、単一のCANドライバにおいて行うことが可能である。
従って、単一のCANドライバを備えるのみで回路構成の複雑化、コスト高を招くことなしに、CAN通信ラインによるメイン制御手段から他のコントロールユニットへの誤った制御情報の送信出力をサブ制御手段側で確実に停止させることができるようになるという効果が得られる。
【0008】
この発明請求項2記載の車両用制御装置は、請求項1において、過電圧監視手段により電源の過電圧が検出された時は前記メイン制御手段から他のコントロールユニットへのCAN通信ラインによる制御情報の送信出力を停止する第2の送信出力停止手段と、を備えていることを特徴とする手段とした。
【0009】
この請求項2では、上述のように、電源の過電圧が検出された時は、第2の送信出力停止手段において、メイン制御手段から他のコントロールユニットへのCAN通信ラインによる制御情報の送信出力を停止させることができる。
従って、電源の過電圧に起因するコントロールユニットの暴走等による誤った制御情報を他のコントロールユニットに向け送信することを防止することができるようになる。
【0010】
この発明請求項3記載の車両用制御装置は、請求項2において、前記車両用制御装置が電動モータによる操舵補助を行う電動パワーステアリングの制御装置であって、前記CAN通信ラインのCANバスに接続されていてワーニングランプの点灯を制御するコントロールユニットと、前記メイン制御手段からの制御情報である制御手段の異常情報に基づいて前記ワーニングコントロールユニットに対しワーニングランプの点灯・消灯を指令するデータを出力するCANドライバと、を備え、前記異常監視手段が前記サブ制御手段側においてメイン制御手段側の異常を検出した時または前記過電圧監視手段により電源の過電圧が検出された時は、前記電動モータの駆動を停止すると共に、前記送信出力停止手段または第2の送信出力停止手段において、前記CANドライバに対し該CANドライバからCANバスへのデータ出力を停止させ、前記ワーニングコントロールユニットが、前記CANドライバからCANバスへのデータ出力が所定時間停止されると、前記ワーニングランプを強制点灯させるように構成されていることを特徴とする手段とした。
【0011】
この請求項3では、上述のように、電動パワーステアリングの制御装置において、異常監視手段がサブ制御手段側においてメイン制御手段側の異常を検出した時、または、過電圧監視手段により電源の過電圧が検出された時は、電動モータの駆動を停止させると共に、前記送信出力停止手段または第2の送信出力停止手段において、CANドライバに対し該CANドライバからCANバスへのデータ出力を停止させる。そして、このデータ出力が所定時間停止されると、ワーニングコントロールユニットにおいてワーニングランプを強制点灯させる処理がなされるもので、これにより、異常が発生したこと、および、この異常発生に基づいて電動モータによる操舵アシストが停止されて操舵感覚が重くなることを運転者に確実に知らせることができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明の実施の形態の構成を図1に基づいて説明する。
図1は、発明の実施の形態の車両用制御装置が適用された電動パワーステアリングの制御装置を示す全体概略図であり、この図に示すように、ステアリングホイールSWを手動で回転させると、その回転がラックL&ピニオンPによりラックLの直線運動に変換され、これにより、左右の前輪TL、TRの向きを変更(操舵)することができる。また、ピニオンPを可逆式電動モータMにより減速ギヤGを介し回転可能に構成することにより、前記手動による操舵力のアシストが行われるようになっている。
【0013】
また、前記可逆式電動モータMは、手動による操舵力を検出するトルクセンサTS等からの信号に基づいて、車載のコントロールユニットECUによりその駆動制御が行われ、これにより、手動による操舵力のアシスト制御が行われる。なお、同図において、Rはフェールセーフ用のリレー、Baは車載のバッテリ(電源)である。
【0014】
次に、図2は、発明の実施の形態の車両用制御装置を示すシステムブロック図であり、この図に示すように、コントロールユニットECU内には、メインマイコン(メイン制御手段)A、サブマイコン(サブ制御手段)B、モータ駆動回路C、電源IC&ウオッチドックタイマD、モータ電流検出回路E、5V高電圧監視回路(過電圧監視手段)F、CANドライバG、フェールセーフ用のリレーR等が組み込まれている。
そして、前記メインマイコンAおよびサブマイコンBには、それぞれトルクセンサTSからのトルク信号が入力される。
【0015】
さらに詳述すると、前記フェールセーフ用のリレーRは、可逆式電動モータMとバッテリBaとを接続するバッテリラインBLに介装されている。即ち、このリレーRは、電動パワーステアリング装置のフェールセーフ時にバッテリラインBLを切断するためのものであり、リレーコイルの通電時にON状態に保持され、非通電時にOFF状態に保持される。そして、前記メインマイコンA、サブマイコンBおよび5V高電圧監視回路FからのON信号が全て3入力のアンド回路1の各入力端に入力されている場合にのみリレー駆動回路2への駆動信号が出力され、該リレー駆動回路2からのリレー駆動信号によりリレーRがON制御され、これにより、モータ駆動回路Cへ電源が供給され、ON信号の1つでも入力されていない時は、リレーRがOFF制御され、これにより、モータ駆動回路Cへの電源供給が停止されるようになっている。
【0016】
前記モータ駆動回路Cは、可逆式電動モータMを正逆回転駆動制御するもので、電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2、および、地落側スイッチングトランジスタFET L1、FET L2で構成されるブリッジ回路と、各スイッチングトランジスタFET H1、FET H2、FET L1、FET L2を駆動するためのプリドライバPD H1 、PD H2 、PD L1 、PD L2 で構成されている。
【0017】
そして、メインマイコンAからプリドライバPD H1 、PD H2 、PD L1 、PD L2 に向けて出力される右方向駆動指示信号または左方向駆動指示信号に基づいてブリッジ回路の各スイッチングトランジスタFET H1、FET H2、FET L1、FET L2がON・OFF駆動制御されることにより、該ブリッジ回路に接続された可逆式電動モータMの正逆回転駆動制御が行われる。
【0018】
ちなみに、スイッチングトランジスタFET H1、FET L2のプリドライバPDH1、P D L2に対し右方向駆動指示信号が出力されると可逆式電動モータMが右方向に回転駆動され、スイッチングトランジスタFET H2、FET L1のプリドライバPD H2 、PD L1 に対し左方向駆動指示信号が出力されると可逆式電動モータMが左方向に回転駆動される。
【0019】
前記各電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2の各プリドライバPD H1 、PD H2 の入力側にはそれぞれ2入力のアンド回路3、4の出力端が接続されており、この両アンド回路3、4の一方の入力端に前記メインマイコンAからの右方向駆動指示信号と左方向駆動指示信号がそれぞれ入力され、もう一方の入力端には3入力のアンド回路5のからのイネーブル信号がそれぞれ入力されるようになっている。このアンド回路5は、フェール時に可逆式電動モータMの回転駆動信号を遮断する役目をなすもので、正常時には、各入力端にメインマイコンA、サブマイコンB、および、5V高電圧監視回路FからそれぞれON信号が入力されるようになっている。
【0020】
前記モータ電流検出回路Eは、可逆式電動モータMに流れる電流を検出するもので、前記バッテリラインBLの途中に介装されたシャント抵抗SRの両端子部21、22間の電圧差を検出し、この電圧差(電圧降下値)を増幅器6で増幅した値をメインマイコンAおよびサブマイコンBに入力し、両マイコンA、Bにおいてそれぞれ電流値が求められる。
【0021】
前記メインマイコンAとサブマイコンBとは、相互に他方の異常を監視し(異常監視手段)、両マイコンがそれぞれ正常に作動している時はメインマイコンAからサブマイコンBに向けプログラムランパルスP−RUN_Mが出力され、サブマイコンBからメインマイコンAおよび電源ICウオッチドックタイマDに向けてプログラムランパルスP−RUN_Sがそれぞれ出力される。
【0022】
そして、サブマイコンBに異常が発生すると、サブマイコンBからメインマイコンAおよび電源IC&ウオッチドックタイマDに向けたプログラムランパルスP−RUN_Sの出力が停止し、その停止状態が所定時間継続されることで、メインマイコンAでは、アンド回路1およびアンド回路5に向けたON信号をそれぞれ停止することにより、アンド回路1からリレー駆動回路2に向けた駆動信号が停止されることで、リレーRがOFF制御され、これにより、モータ駆動回路Cの電源供給が停止されると共に、アンド回路5から両アンド回路3、4に向けたイネーブル信号が停止されることで、両アンド回路3、4から電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2の各プリドライバPD H1 、PD H2 に向けた右方向駆動指示信号または左方向駆動指示信号が停止されるため、可逆式電動モータMの駆動が停止され、これにより操舵アシストが停止された状態となる。
【0023】
前記CANドライバGは、メインマイコンA側から出力されるフェール信号であるCAN信号に基づいて、CAN通信ラインを構成するCANバスHを介して車室内メータユニットMU内に設けられたワーニングコントロールユニット(図示せず)に対し、ワーニングランプW/Lの点灯(または消灯)を指令するデータを出力するもので、このCANドライバGには、メインマイコンAからのCAN信号の他に、ノア回路7からのCAN出力禁止信号(Loで出力禁止、Hiで出力許可)が入力され、CAN出力禁止信号Loが入力されると、CANバスHに向けたCAN出力が停止されるようになっている。
【0024】
そして、前記ワーニングコントロールユニットでは、CANドライバGからCANバスHに向けたCAN出力が所定時間停止されると、ワーニングランプW/Lを強制点灯させるようになっている。
【0025】
前記ノア回路7の一方の入力端には、サブマイコンBから出力されるフェール信号である出力禁止信号(Hiで出力禁止、Loで出力許可)が入力され(送信出力停止手段)、もう一方の入力端には、5V高電圧監視回路Fから出力されるフェール信号である出力禁止信号(Hiで出力禁止、Loで出力許可)が入力される(第2送信出力停止手段)。そして、両出力禁止信号のいずれか一方でもHiである時は、CANドライバGに対しCAN出力禁止信号Lo(出力禁止)が出力され、これにより、CANドライバGからCANバスHに向けたCAN出力が停止されるようになっている。
【0026】
前記5V高電圧監視回路Fは、コントロールユニットECUに供給される5Vの電源電圧を監視し、5.5V未満である時は、前記アンド回路1、および、アンド回路5に対しON信号を出力すると共に、前記ノア回路7に対し出力禁止信号Loが出力され、5.5V以上になると、前記アンド回路1、および、アンド回路5に対しON信号に代えてOFF信号を出力すると共に、前記ノア回路7に対し出力禁止信号Hiが出力されるようになっている。
【0027】
次に、前記メインマイコンAにおけるフェールセーフ制御の内容を図3のフローチャートに基づいて説明する。
まずステップS101でメインマイコンAが初期化されることで、それまで発生していたフェール状態が回復される。
続くステップS102でトルクセンサTSで検出されたトーションバートルクを読み込み、ステップS103で操舵アシストトルクを算出し、ステップS104で可逆式電動モータMに印加する目標電流を算出し、ステップS105ではモータ電流検出回路Eで検出された可逆式電動モータMに流れる電流(フィードバック電流値)を読み込み、ステップS106では目標電流値とフィードバックバック電流値とからモータ電圧を算出し、ステップS107では、該モータ電圧をPWM出力する。即ち、右操舵時にはアンド回路3および地落側スイッチングトランジスタFET L2のプリドライバPD L2 に向けて右方向駆動指示信号としてのモータ電圧をPWM出力し、左操舵時にはアンド回路4および地落側スイッチングトランジスタFET L1のプリドライバPD L1 に向けて左方向駆動指示信号としてのモータ電圧をPWM出力する。
【0028】
続くステップS108では、トルクセンサTSの異常等、メインマイコンAで検出可能な異常の判断が行われ、ステップS109で異常有り(YES)の判定がなされると、ステップS110に進み、CANドライバGに対しワーニングランプW/Lの点灯を指令するCAN信号を出力し、これにより、CANドライバからCANバスHに対するCAN出力としてワーニングランプW/L点灯指令信号が出力される。すると、メータユニットMUに設けられたワーニングコントロールユニットにおいて、ワーニングランプW/Lを点灯させることにより、運転者に異常発生を知らせる。
【0029】
続くステップS111では、アンド回路5に対しイネーブル信号OFFを出力することにより、両アンド回路3、4の一方の入力端に対するアンド回路5からの入力が停止されるもので、これにより、電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2の各プリドライバPD H1 、PD H2 に対する駆動信号PWM出力が停止され、その結果、可逆式電動モータMの駆動が停止され、操舵アシストが停止された状態となる。
【0030】
さらに、続くステップS112では、アンド回路1にリレーOFFを出力することにより、リレー駆動回路2に対する駆動指示信号がOFFになるため、リレーRに対するリレー駆動信号が停止されるため、リレーRがOFFになり、その結果、モータ駆動回路Cに対する電源供給自体が停止される。従って、トルクセンサTS等の異常発生や、メインマイコンAの暴走等の異常発生により可逆式電動モータMの回転軸がロックされることが防止され、可逆式電動モータMの操舵アシスト無しの状態で操舵することができる状態となる。
そして、続くステップS113では、イグニッションスイッチIGNがOFFになった時点で、これで一回のフローを終了する。
【0031】
また、前記ステップS109の判定がNO(異常無し)である時は、ステップS114に進み、CANドライバGに対しワーニングランプW/Lの消灯を指令するCAN信号を出力し、これにより、CANドライバGからCANバスHに対するCAN出力として、ワーニングランプW/L消灯指令信号が出力される。
そして、続くステップS113においてイグニッションスイッチIGNがOFFになったか否かを判定し、YES(OFF)である時は、これで一回のフローを終了し、また、NO(ON)である時は、前記ステップS102に戻る。
【0032】
次に、前記サブマイコンBにおけるフェールセーフ制御の内容を図4のフローチャートに基づいて説明する。
まずステップS201でサブマイコンBが初期化されることで、それまで発生していたフェール状態が回復される。
【0033】
続くステップS202でトルクセンサTSで検出されたトーションバートルクを読み込み、ステップS203ではモータ電流検出回路Eで検出された可逆式電動モータMに流れる電流(フィードバック電流値)を読み込み、ステップS204では、メインマイコンAの異常、トルクセンサTSの異常等、サブマイコンBで検出可能な異常の判断が行われ、ステップS205で異常有り(YES)の判定がなされると、ステップS206に進む。
【0034】
このステップS206では、アンド回路5に対しイネーブル信号OFFを出力することにより、両アンド回路3、4の一方の入力端に対するアンド回路5からの入力が停止されるもので、これにより、電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2の各プリドライバPD H1 、PD H2 に対する駆動信号PWM出力が停止され、その結果、可逆式電動モータMの駆動が停止され、操舵アシストが停止された状態となる。
【0035】
さらに、続くステップS207では、アンド回路1にリレーOFFを出力することにより、リレー駆動回路2に対する駆動指示信号がOFFになるため、リレーRに対するリレー駆動信号が停止されるため、リレーRがOFFになり、その結果、モータ駆動回路Cに対する電源供給自体が停止される。従って、トルクセンサTS等の異常発生等、サブマイコンBで判断可能な異常発生により可逆式電動モータMの回転軸がロックされることが防止され、可逆式電動モータMの操舵アシスト無しの状態で操舵することができる状態となる。
【0036】
そして、続くステップ208では、ノア回路7の一方の入力端に対する信号がHiに設定され、これにより、ノア回路7からCANドライバGに対しCAN出力禁止信号Loが出力され、これにより、CANドライバGからCANバスHに対するCAN出力である点灯および消灯の両指令信号出力が禁止される。そして、ワーニングコントロールユニットでは、CANドライバGからCANバスHに向けたCAN出力が所定時間停止されると、ワーニングランプW/Lを強制点灯させるようになっている。
【0037】
続くステップS209では、イグニッションスイッチIGNがOFFになった時点で、これで一回のフローを終了する。
また、前記ステップS205の判定がNO(異常無し)である時は、ステップS210においてイグニッションスイッチIGNがOFFになったか否かを判定し、YES(OFF)である時は、これで一回のフローを終了し、また、NO(ON)である時は、ステップS202に戻る。
【0038】
次に、本発明の実施の形態の作用・効果を説明する。
(イ)サブマイコンBの異常発生時
サブマイコンBに暴走等の異常が発生すると、サブマイコンBからメインマイコンAおよび電源ICウオッチドックタイマDに向けたプログラムランパルスP−RUN_Sの出力が所定時間停止されることで、メインマイコンAからCANドライバGに対しワーニングランプW/Lの点灯を指令するCAN信号が出力され、これにより、CANドライバGからCANバスHに対するCAN出力としてワーニングランプW/L点灯指令信号が出力され、メータユニットMUに設けられたワーニングコントロールユニットにおいて、ワーニングランプW/Lを点灯させることにより、運転者に異常発生を知らせる一方、メインマイコンAからアンド回路1およびアンド回路5に向けたON信号をそれぞれ停止し、アンド回路1からリレー駆動回路2に向けた駆動信号が停止されることで、リレーRがOFF制御され、これにより、モータ駆動回路Cへの電源供給が停止されると共に、アンド回路5から両アンド回路3、4に向けたイネーブル信号が停止されることで、両アンド回路3、4から電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2の各プリドライバPD H1 、PD H2 に向けた右方向駆動指示信号または左方向駆動指示信号が停止されるため、可逆式電動モータMの駆動が停止され、これにより、操舵アシストが停止された状態となる(図3のステップS101〜115の流れ)。
【0039】
(ロ)メインマイコンAの異常発生時
メインマイコンAに暴走等の異常が発生すると、サブマイコンBからアンド回路1およびアンド回路5に向けたON信号をそれぞれ停止し、アンド回路1からリレー駆動回路2に向けた駆動信号が停止されることで、リレーRがOFF制御され、これにより、モータ駆動回路Cへの電源供給が停止されると共に、アンド回路5から両アンド回路3、4に向けたイネーブル信号が停止されることで、両アンド回路3、4から電源側スイッチングトランジスタFET H1、FET H2の各プリドライバPD H1 、PD H2 に向けた右方向駆動指示信号または左方向駆動指示信号が停止されるため、可逆式電動モータMの駆動が停止され、これにより、操舵アシストが停止される一方、メインマイコンAからサブマイコンBに向けたプログラムランパルスP−RUN_Mの出力が所定時間停止されることで、サブマイコンBからノア回路7に向けて出力されるCAN出力禁止信号がHiに設定され、これにより、ノア回路7からCANドライバGに対しCAN出力禁止信号Loが出力され、CANドライバGからCANバスHに対するCAN出力である点灯および消灯の両指令信号出力が禁止されることで、ワーニングコントロールユニットでは、CANドライバGからCANバスHに向けたCAN出力が所定時間停止されると、ワーニングランプW/Lを強制点灯させることにより、運転者に異常発生を知らせる(図4のステップS201〜208の流れ)。
【0040】
(ハ)電源電圧異常時
コントロールユニットECUに供給される5Vの電源電圧が5.5V以上になると、5V高電圧監視回路Fからアンド回路1、および、アンド回路5に対しON信号に代えてOFF信号が出力されると共に、前記ノア回路7に対し出力禁止信号Hiが出力され、これにより、操舵アシストが停止されると共に、ワーニングランプW/Lが強制点灯されることにより、運転者に異常発生を知らせる。
【0041】
以上詳細に説明してきたように、この発明の実施の形態によれば、メインマイコンAとサブマイコンBとを備えた電動パワーステアリングの制御装置において、単一のCANドライバGを備えるのみで回路構成の複雑化、コスト高を招くことなしに、CAN通信ラインによるメインマイコンAからCANドライバGに向けた誤ったCAN信号(消灯を指令する信号)に基づくCANバスHへの誤ったCAN出力をサブマイコンB側で確実に停止させることでワーニングランプW/Rを強制点灯させ、これにより、異常発生状態を運転者に知らせることができると共に、電源電圧の異常時においても、ワーニングランプW/Rを強制点灯させることにより異常発生状態を運転者に知らせることができるようになるという効果が得られる。
【0042】
以上発明の実施の形態を図面により説明したが、具体的な構成はこれらの発明の実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、発明の実施の形態では、フェールセーフ時に、両電源側プリドライバPD H1、PD H2 への駆動指示信号出力を停止すると同時に、リレーRをOFFしてモータ駆動回路Cに対する電源供給を停止させるようにしたが、いずれか一方のみを停止させるようにしてもよい。
【0043】
また、発明の実施の形態では、電動パワーステアリングの制御装置に本発明を適用した例を示したが、その他の車両用制御装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態の車両用制御装置を示す全体概略図である。
【図2】発明の実施の形態の車両用制御装置を示すシステムブロック図である。
【図3】発明の実施の形態の車両用制御装置におけるメインマイコンにおけるフェールセーフ制御の内容を示すフローチャートである。
【図4】発明の実施の形態の車両用制御装置におけるサブマイコンにおけるフェールセーフ制御の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
ECU コントロールユニット
A メインマイコン(メイン制御手段)
B サブマイコン(サブ制御手段)
F 5V高電圧監視回路(過電圧監視手段)
M 可逆式電動モータ
G CANドライバ
H CANバス
W/L ワーニングランプ
Claims (3)
- 車両の制御対象を目標値に制御するコントロールユニットを備えた車両用制御装置において、
前記コントロールユニットはメイン制御手段とサブ制御手段を備えていて両制御手段が相互に他方の制御手段の制御信号を監視することにより両制御手段の異常を相互に監視する異常監視手段と、
前記メイン制御手段から他のコントロールユニットに接続されて相互の制御情報を送受信するCAN通信ラインと、
前記異常監視手段が前記サブ制御手段側においてメイン制御手段側の異常を検出した時は前記メイン制御手段から他のコントロールユニットへのCAN通信ラインによる制御情報の送信出力を停止する送信出力停止手段と、
を備えていることを特徴とする車両用制御装置。 - 前記コントロールユニットに供給される電源の過電圧を監視する過電圧監視手段と、
該過電圧監視手段により電源の過電圧が検出された時は前記メイン制御手段から他のコントロールユニットへのCAN通信ラインによる制御情報の送信出力を停止する第2の送信出力停止手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。 - 前記車両用制御装置が電動モータによる操舵補助を行う電動パワーステアリングの制御装置であって、
前記CAN通信ラインのCANバスに接続されていてワーニングランプの点灯を制御するワーニングコントロールユニットと、
前記メイン制御手段からの制御情報である制御手段の異常情報に基づいて前記ワーニングコントロールユニットに対しワーニングランプの点灯・消灯を指令するデータを出力するCANドライバと、
を備え、
前記異常監視手段が前記サブ制御手段側においてメイン制御手段側の異常を検出した時または前記過電圧監視手段により電源の過電圧が検出された時は、前記電動モータの駆動を停止すると共に、前記送信出力停止手段または第2の送信出力停止手段において、前記CANドライバに対し該CANドライバからCANバスへのデータ出力を停止させ、
前記ワーニングコントロールユニットが、前記CANドライバからCANバスへのデータ出力が所定時間停止されると、前記ワーニングランプを強制点灯させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用制御装置。
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