JP2004122615A - レーザー印字カードとその情報書込方法 - Google Patents

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福山 徳博
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Abstract

【課題】隠蔽カードにした場合であっても、レーザーの照射により、デザイン上の制約を受けることなく、しかも、視認性よく、情報の書き込みが可能とする。
【解決手段】カード基材12と、カード基材12上に形成され、レーザー光の照射により発色する発色層13と、発色層13上に形成され、下層を隠蔽する隠蔽印刷層16とを備えたレーザー印字カードであって、隠蔽印刷層16を除去することにより情報を表示する第1の情報表示部J1と、第1の情報表示部J1と略同一位置であって、所定幅tの未発色の縁部J3を残した内側に形成され、発色層13を発色させることにより情報を表示する第2の情報表示部J2とを備えた。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光を照射することにより情報を表示するレーザー印字カードとその情報書込方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のレーザー印字カードは、カード基材と、そのカード基材の表面に形成された透明な表面保護層と、 カード基材と表面保護層との間に形成され、熱エネルギーにより情報が書き込み可能な情報書込層とを備えており、レーザー光線によって、情報書込層に情報を書き込むことが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−175838号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
最近のクレジットカードやキャッシュカードは、磁気ストライプが表面に出ると、デザインの制限となるので、下層の磁気ストライプを隠蔽する隠蔽層を設け、その上に自由な絵柄を印刷した隠蔽カードが多い。
しかし、上述した従来のレーザー印字カードは、隠蔽カードにした場合には、情報書込層が露出していないので、レーザーを照射して、印字することができなかった。
【0005】
本発明の課題は、隠蔽カードにした場合であっても、レーザーの照射により、デザイン上の制約を受けることなく、しかも、視認性よく、情報の書き込みが可能なレーザー印字カードとその情報書込方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、カード基材と、前記カード基材上に形成され、レーザー光の照射により発色する発色層と、前記発色層上に形成され、下層を隠蔽する不透明層と、を備えたレーザ−印字カードであって、前記不透明層を除去することにより情報を表示する第1の情報表示部と、前記第1の情報表示部と略同一位置であって、所定幅の未発色の縁部を残した内側に形成され、前記発色層を発色させることにより情報を表示する第2の情報表示部とを備えたことを特徴とするレーザー印字カードである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のレーザー印字カードにおいて、前記不透明層は、一部又は全面にホログラム層を含むことを特徴とするレーザー印字カードである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のレーザー印字カードに情報を書き込むレーザー印字カードの情報書込方法であって、前記不透明層を除去するパワーのレーザー光を照射する第1のレーザー照射工程と、前記第1のレーザー照射工程の後に、前記発色層を発色させるパワーのレーザー光を照射する第2のレーザー照射工程と、を備えたことを特徴とするレーザー印字カードの情報書込方法である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載のレーザー印字カードの情報書込方法において、前記第1のレーザー照射工程と前記第2のレーザー照射工程とは、異なるレーザーを用いることを特徴とするレーザー印字カードの情報書込方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しくに説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明によるレーザー印字カードの第1実施形態の層構成を示す模式図、図2は、本発明の第1実施形態にかかるレーザー印字カードの情報書込方法を説明する模式図である。
【0011】
この実施形態のレーザー印字カード10は、図1(A)に示すように、ICモジュール層11と、カード基材12(12A,12B)と、発色層13(13A,13B)と、透明保護層14(14A,14B)と、磁気ストライプ15(15A,15B)と、隠蔽印刷層16等とを備えている。
【0012】
このレーザー印字カード10は、シリアルナンバーや氏名などの個別情報を書き込む必要があるカードに好適に使用され、例えば、クレジットカード,キャッシュカードなどのカードや、ポイントカードなどのPETカード等に使用することができる。また、このレーザー印字カード10は、磁気ストライプやICチップ、もしくは、非接触ICを内蔵していてもよい。
【0013】
ICモジュール層11は、ICチップとアンテナとからなるICモジュールが形成される層である。
【0014】
カード基材12は、このカードの担体となるものであり、例えば、塩化ビニル樹脂,ポリエチレンテレフタレート,ポリカーボネート,PET−G,ABS,AES,PEN,PBT等の樹脂シートなどを使用することができ、厚み50〜360μm程度のものが好適に使用される。
【0015】
発色層13は、レーザー光の照射による熱エネルギーで発色する層であり、カード基材12の外側に形成されている。この実施形態では、発色層13は、図1(B)に示すように、カード基材12の片側に設けられている。この発色層13は、特定波長のレーザー光の吸収性のよい層であり、例えば、Nd:YAGレーザーなどを使用することができ、厚み10〜60μm程度のものが好適に使用される。
【0016】
透明保護層14は、カード基材12や発色層13を保護するための透明又は半透明な層であり、塩化ビニル樹脂,ポリエチレンテレフタレート(PET),PET−G,PP,PEN,PC,PBTなどの透明な樹脂シートを、熱融着や接着剤などによって積層して形成することができ、厚み40〜210μm程度のものが好適に使用される。
この実施形態では、透明保護層14は、図1(C)に示すように、PCシート141に両側に、PET−Gシート142(142A,142B)が形成されており、耐熱性と接着性を合せもつようにしてある。
【0017】
磁気ストライプ15は、磁気情報を記録するための層であり、この実施形態では、透明保護層14に予め形成されている。
【0018】
隠蔽印刷層16は、下層を隠蔽する層であり、その表面には、適宜絵柄を印刷することができる。この隠蔽印刷層16は、グラビア印刷,オフセット印刷等によって印刷した絵柄でもよいが、表面の一部又は全面にホログラム層が形成されていてもよい。
この隠蔽印刷層16は、その下地として、例えば、チタン白、亜鉛華、金,銀,アルミ等の金属粉、カーボンブラックなどを分散させた隠蔽インキをベタ印刷してあり、厚み8〜20μm程度のものが好適に使用される。
隠蔽印刷層16は、例えば、アルミ粉が散りばめられている隠蔽インキで下地を印刷し、その上に、YMCKで絵柄を印刷してある。下地が白い所に絵柄を印刷するものであれば、発色させるためには、その影響をうけてレーザーのパワーを適宜変えなければいけない。本実施形態のように、下地のアルミ粉というレーザーによって除去し易い物質の上に、絵柄を形成することで、ある程度の決まったパワーで飛ばせる利点がある。
【0019】
次に、図2を参照しながら、本実施形態にかかるレーザー印字カード10の情報書込方法について説明する。
このレーザー印字カード10は、上記の各層11〜16が形成され、生カードが完成した後に、個別情報の書き込みを行なう。
情報書込は、レーザ−発振装置20から発振するレーザー光20aの熱エネルギーによって、隠蔽印刷層16を焼損させることにより行なう。
レーザー発振装置20としては、Nd:YAGレーザー(1064nm/532nm),Nd:YVO4 レーザー(1064nm),炭酸ガスレーザー(10600nm)などを使用する。
【0020】
また、第1実施形態では、上記レーザー照射工程において、送風工程を行うレーザー照射部Aに風を送る送風部31と、吸気工程を行うレーザー照射部Aに発生する煙や屑を吸気除去する吸気部32とを備えている。
【0021】
第1実施形態では、隠蔽印刷層16を除去するレーザーと、発色層13を発色させるレーザーは、同一のものを使用した(レーザー照射工程)。
具体的には、PET−Gを用いた厚み100μmのカード基材12と、PET−Gを用いた厚み30μmの発色層13と、3層(PET−G/PC/PET−G)を用いた厚み100μmの透明保護層14と、印刷インキを用いた厚み8〜20μmの隠蔽印刷層16とを含むレーザー印字カード10を生カードとして、レーザ−発振装置20として、富士電機社製のNd:YAGレーザー(DW5200/30W)を用い、スキャン速度:300mm/sec、パルスくり返し周波数:3KHZ 、励起制御電流値13Aの条件で照射した。
【0022】
このように、第1実施形態によれば、隠蔽印刷層16を除去することにより情報を表示する第1の情報表示部J1と、第1の情報表示部J1と略同一位置であって、所定幅tの未発色の縁部J3を残した内側に形成され、発色層13を発色させることにより情報を表示する第2の情報表示部J2とによって、隠蔽印刷層16があるカード10であっても、必要な情報の表示を行うことができる。
【0023】
縁部の幅tの最適値は、デザインの大きさ、太さ、種類(文字、ロゴ、写真)によりさまざまである。
図5に示すような具体的な例を想定すると、任意の発色する数字デザインに対して、120%大の未発色デザインを縁部とすることが好ましい。
120%大より小さな110%大の縁部によっても可能だが、視認効果が120%大に比べ小さい。また、150%以上のデザインであれば、視認効果は大きいが、デザインの制約を受け得る。例えば、中を埋めるデザインには適当でない場合が生ずる。
【0024】
このように、縁部J3を残すことにより、隠蔽印刷層16を除去した第1の情報表示部J1と、発色層13を発色させた第2の情報表示部J2とのコントラストをよくすることができる。
特に、隠蔽印刷層16が、黒色系統の場合には、発色層13の発色も黒色であるので、上述した縁部J3を残すことにより、コントラストよくすることで、視認性を向上させ、デザイン上の制約の受けることなく、意匠性のあるデザインを実現することができる、という利点がある。
【0025】
また、これらを情報表示部Jは、隠蔽印刷層16を除去しただけであると、下層のカード基材12などの色で決まってしまう。つまり、印字情報は、発色層13が発色していないと、隠蔽印刷層16が削れた部分の下層のカード基材12の白い色に見えることになる。
しかし、使用している内に、隠蔽印刷層16がはげていくと、カード基材12の下地の色がでてきて、印字情報が消えてしまう。
そこで、第1実施形態では、発色層13を発色させることにより、隠蔽印刷層16が削られても、発色層13が発色した印字情報が残っているようにした。このため、磨耗に強く、情報の安全性が高いレーザー印字カード10を提供することができる。
【0026】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態にかかるレーザー印字カードの情報書込方法を説明する模式図である。
第2実施形態では、隠蔽印刷層16を除去するパワーのレーザー光を照射する第1のレーザー照射工程#101[図3(A)]と、第1のレーザー照射工程#101の後に、発色層13を発色させるパワーのレーザー光の照射する第2のレーザー照射工程#102[図3(B)]とを備えている。
このとき、第1のレーザー照射工程#101と第2のレーザー照射工程#102とは、異なるレーザーを用いるようにすればよい。
【0027】
例えば、PET−Gを用いた厚み100μmのカード基材12と、PET−Gを用いた厚み30μmの発色層13と、3層(PET−G/PC/PET−G)を用いた厚み100μmの透明保護層14と、印刷インキを用いた厚み8〜20μmの隠蔽印刷層16とを含むレーザー印字カード10を生カードとして用いる。そして、レーザ−発振装置20として、第1のレーザー照射工程#101では、キーエンス社製の炭酸ガスレーザー(ML−9100/12W)を用い、スキャン速度:200mm/sec、連続発振、10W程度の条件で、CO2 レーザー21で照射、第2のレーザー照射工程#102では、発色層13の略同一位置であって、所定幅tの未発色の縁部J3を残した内側に発色させるために、スキャン速度:300mm/sec、パルスくり返し周波数:3KHZ 、励起制御電流値:13Aの条件でYAGレーザ−22で照射した。
【0028】
(第3実施形態)
図4は、本発明によるレーザー印字カードの第3実施形態の層構成を示す模式図である。
第3実施形態のレーザー印字カード10−3は、図4(A)に示すように、カード基材12(12A,12B)と、発色層13と、透明保護層14(14A,14B)と、磁気ストライプ15(15A,15B)と、隠蔽印刷層16等とを備えている。
このカード10−3は、図4(B)に示すように、モジュール装着部に、接触型のICチップを備えたICモジュール17を接着剤層18で実装したものである。
このようなカード10−3であっても、第1実施形態と同様に、磨耗に強く、情報の安全性が高いカードを提供することができる。
【0029】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)第2実施形態において、第1のレーザー照射工程#101と第2のレーザー照射工程#102とは、異なるレーザーを用いる例で説明したが、同一のレーザーを異なるパワーで制御するようにしてもよい。
(2)レーザー照射を制御することにより、発色層13を黒又はグレーに発色させることができるので、隠蔽印刷層16の淡い絵柄には黒く、絵柄の上に自由にコントラストのよい文字がかける。
【0030】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、隠蔽カードにした場合であっても、レーザーの照射により、情報の書き込みが可能となった。
このとき、発色層は、不透明層を除去した第1の情報表示部と略同一位置であって、所定幅の未発色の縁部を残した内側を発色させるので、第1の情報表示部と第2の情報表示部2とのコントラストをよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明によるレーザー印字カードの第1実施形態の層構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるレーザー印字カードの情報書込方法を説明する模式図である。
【図3】本発明の第2実施形態にかかるレーザー印字カードの情報書込方法を説明する模式図である。
【図4】本発明によるレーザー印字カードの第3実施形態の層構成を示す模式図である。
【図5】本発明によるレーザー印字カードの印字例を示す図である。
【符号の説明】
10 レーザー印字カード
11 ICモジュール層
12(12A,12B) カード基材
13(13A,13B) 発色層
14(14A,14B) 透明保護層
15(15A,15B) 磁気ストライプ
16 隠蔽印刷層

Claims (4)

  1. カード基材と、
    前記カード基材上に形成され、レーザー光の照射により発色する発色層と、
    前記発色層上に形成され、下層を隠蔽する不透明層と、
    を備えたレーザー印字カードであって、
    前記不透明層を除去することにより情報を表示する第1の情報表示部と、
    前記第1の情報表示部と略同一位置であって、所定幅の未発色の縁部を残した内側に形成され、前記発色層を発色させることにより情報を表示する第2の情報表示部と
    を備えたことを特徴とするレーザー印字カード。
  2. 請求項1に記載のレーザー印字カードにおいて、
    前記不透明層は、一部又は全面にホログラム層を含むこと、
    を特徴とするレーザー印字カード。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のレーザー印字カードに情報を書き込むレーザー印字カードの情報書込方法であって、
    前記不透明層を除去するパワーのレーザー光を照射する第1のレーザー照射工程と、
    前記第1のレーザー照射工程の後に、前記発色層を発色させるパワーのレーザー光を照射する第2のレーザー照射工程と、
    を備えたことを特徴とするレーザー印字カードの情報書込方法。
  4. 請求項3に記載のレーザー印字カードの情報書込方法において、
    前記第1のレーザー照射工程と前記第2のレーザー照射工程とは、異なるレーザーを用いること
    を特徴とするレーザー印字カードの情報書込方法。
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