JP2004122602A - 塗布具用チップ、塗布具及び塗布具用チップの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ボールペンのボールペンチップ1のボールハウス15には、座面45及び円筒壁41が設けられて、座面45を含む仮想円錐面よりも後端側であって座面45と円筒壁41との間には第1空間40が設けられている。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性ボールペン等の塗布具及び塗布具用チップに関するものであり、また塗布具用チップの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、先端にボールを有し、前記ボールを押しつけて、ボールに付着した塗布液を塗布対象に塗布する塗布具が知られている。そして、前記塗布具として、例えば、塗布液にインキを用いたボールペンであり、さらに、インキとして、水やアルコール、エーテル等を溶剤とした水溶性のインキを内蔵した水性ボールペンが知られている。
水性ボールペンに採用されるボールペンチップは、チップ本体の中に筆記用ボールが回転可能に保持されたものであり、インキ収納部内のインキを筆記用ボールに導き、筆記用ボールの回転に応じてインキを紙等に付着させる機能を果たす。
【0003】
図10(a)は、従来技術のボールペンチップ120の先端部分の断面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
従来技術のボールペンチップ120は、ボールペンチップ本体100とボール102によって構成されている。チップ本体100の外形は先端101が円錐状をしており、ボール102はボールハウス103内に挿入され、さらにボール102はボールペンチップ本体100の先端101で挟持されている。
【0004】
ボールペンチップ本体100の内部構造は、先端に凹状のボールハウス103があり、後端に中心孔110が設けられている。ボールハウス103の座面105はすり鉢の様な略円錐形であり、その表面には矢溝と称される放射状の溝107が設けられている。
またボールハウス103の座面105には「座打ち」と称される加工が施され、クレータ状の窪み108が形成されている。なお「座打ち」とは、チップ本体100のボールハウス103に筆記用ボール102を挿入し、チップ本体100の開口部をかしめた後、ボール102を座面105側に叩く加工工程であり、座面105の表面を凹変させることによって筆記用ボール102を沈め、筆記用ボール102とチップ本体100の開口部との間に隙間を形成させるものである。従来技術の水性ボールペンでは、上記した様な座打ちを行うため、チップ本体100の座面105の断面における傾斜線に座打ちによる凹変部112がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、塗布具の性能向上が求められている。例えば、塗布の際には塗布液の流出をスムーズにすることができ、かすれや塗布液のぼたつきがなく、筆記抵抗が小さく、引っかかりの無いものが望ましい。また、筆記具を製造する際には、製造しやすく、品質のばらつきの少ないものが望ましい。さらに、塗布しないときにはボール側からインキが漏れることなく、またボール側から空気が流入していわゆるインキドロップと呼ばれている現象がないことが望ましい。
【0006】
特に、インキに顔料を添加したものは、流動性が低下するので流出しにくく、従来技術のチップ本体100では、充分に流出性を確保できなかった。また、隙間を大きくするなどして流出性を確保すると、インキ漏れや、インキドロップなどの不具合が起こりやすかった。
さらに、ボールペンチップの加工性を良くして、生産性をより向上させることが望ましい。
【0007】
また、中心孔110を大きくしてより流出性を良くするような場合には、図11に示されるボールペンチップ121の様に、ボール102受ける座面105は必然的に外側となる。しかし、折角、溝107を設けても、溝107の先端側がボール102によって塞がれて流出口61が小さくなるため、インキの流れを妨げてしまい、その結果、思うようにインキの流量が多くならない。
【0008】
そこで、流出性を確保しつつ、上記不具合の起こりにくい塗布具用チップ及び塗布具を提供し、また、塗布具用チップの製造が容易な塗布具用チップの製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そして、上記した目的を達成するための請求項1に記載の発明は、塗布具用チップ本体と、塗布具用チップ本体の先端側で保持されるボールを有し、塗布具用チップ本体は、ボールハウス、中心孔及びバック孔が設けられて、バック孔、中心孔及びボールハウスは連通して一連の塗布液の流路を有し、ボールハウスには、座面及び側壁が設けられてボールを回転可能に保持する塗布具用チップにおいて、前記座面と側壁との間には第1空間が設けられ、前記第1空間は、座面を含む仮想円錐面よりも外側に設けられていることを特徴とする塗布具用チップである。
ここで、「座面を含む仮想円錐面」とは、図12に示されるように、座面を含む円錐状の面160であり、具体的には、リング状をしているボールペンチップ本体(塗布具用チップ本体)103の座面105に有している円状の先端側辺150及び後端側辺151を通る面であり、座面105より後端側に円錐の頂点152をもつ円錐の円錐面である。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、前記座面と側壁との間には第1空間が設けられているので、より多くの塗布液をボールハウス内に溜めることができ、チップ内での塗布液の流れを良くすることができ、さらにインキ流出UPが可能になる。また、前記第1空間は、座面を含む仮想円錐面よりも外側に設けられているので、ボールと塗布具用チップ本体との接触部分を減少させることができる。
例えば、図12に図示したボールペンチップ本体103に、第1空間40を設けることが出来る。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記中心孔又は前記バック孔と連通する溝又は孔を有し、前記溝又は孔の先端側は、前記第1空間につながっていることを特徴とする請求項1に記載の塗布具用チップである。
ここで、塗布具用チップの先端側は、ボールハウス側であって筆記具に取り付けられた状態で塗布部側となる側を示すものであり、後端側は、先端側は反対側であってバック孔側を示すものである。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記中心孔又は前記バック孔と連通する溝又は孔を有し、前記溝又は孔の先端側は、前記第1空間につながっているので、塗布具の使用の際に塗布液が、中心孔又はバック孔から、前記溝又は孔を経て第1空間に至るので、塗布液がスムーズに流れる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、ボール付勢部材が設けられ、前記ボール付勢部材はボールを先端側に付勢することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布具用チップである。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、ボールを先端側に付勢するボール付勢部材が設けられているので、ボール側からのインキ漏れを防止することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記ボールを前記座面側に押すと、前記ボールは前記座面の一部であって第1空間との境界部分と密接することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗布具用チップである。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、前記ボールを前記座面側に押すと、前記ボールは前記座面の一部であって第1空間との境界部分と密接するので、ボールペンチップを傾斜させながら使用する場合に、前記傾斜が大きくなっても、ボールが座面により保持が可能であるので、ボールとボールハウスとの隙間が確保され、ボールが軸からぶれにくく、塗布液のかすれやぼたおちなどが発生しにくい。
【0017】
請求項5に記載の発明は、前記座面は、ボールの形状に合わせて全体的に変形していることを特徴とする請求項4に記載の塗布具用チップである。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、前記座面は、ボールの形状に合わせて全体的に変形しているので、ボールと座面の密着性が向上する。
【0019】
請求項6に記載の発明は、前記座面とボールが接触する際におけるボールの中心と、前記座面の先端側の端部とを通過する直線は、塗布具用チップの軸に対して、40°以上傾斜していることを特徴とする請求項4又は5に記載の塗布具用チップである。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、前記座面とボールが接触する際におけるボールの中心と、前記座面の先端側の端部とを通過する直線は、塗布具用チップの軸に対して、40°以上傾斜しているので、傾斜して使用された場合にも、ボールが軸からぶれにくく、塗布液のかすれやぼたおちなどが発生しにくい。
【0021】
請求項7に記載の発明は、ボールと座面とが接触する部分の、ボールペンチップの軸方向断面における円弧の中心角は、15〜25°であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の塗布具用チップである。
ここで、「ボールと座面とが接触する部分の、ボールペンチップの軸方向断面における円弧の中心角」は、後述するように、図4における中心角γであり、両側に有する円弧の内、一方の円弧の角度を指すものである。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、ボールと座面とが接触する部分の、ボールペンチップの軸方向断面における円弧の中心角は、15〜25°であるので、座打ちが容易であり、ボールペンチップを使用の際にボールの保持を確実とすることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、ボールハウスの、前記第1空間の後端側の面は、塗布具の軸に対して略垂直な面であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の塗布具用チップである。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、前記第1空間の塗布液導通孔側の面は、塗布具の軸に対して略垂直な面であるので、エンドミルなどを用いて加工することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、塗布液が収納された塗布液収納部と、当該塗布液収納部に接続されボールが一部露出した状態で回転可能に保持された請求項1〜8のいずれかに記載の塗布具用チップを有し、前記塗布液は水性インキであって、前記塗布具は水性ボールペンであることを特徴とする塗布具である。
【0026】
一般に水性ボールペンはぼたつきなどの発生しやすいが、請求項9に記載の発明により、ぼたつきなどの発生を防止することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の塗布具用チップの製造方法であって、前記ボールハウスの座面部分を、開き角度が60〜95°となるように円錐状に削り取る工程を有することを特徴とする塗布具チップの製造方法である。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、前記ボールハウスの座面部分を、開き角度が60〜95°となるように円錐状に削り取る工程を有するので、加工の際に摩耗しやすい鋭角状の工具の使用を最小限にして、座面部分の加工を行うことができる。
【0029】
請求項11に記載の発明は、前記ボールを仮想円錐面上に乗せるようにして前記ボールハウスに収納した後に、ボールハウスの先端側を変形させてボールを保持し、ボールを中心孔側に押圧して座面を変形させる工程を有することを特徴とする請求項10に記載の塗布具用チップの製造方法である。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、前記ボールを仮想円錐面上に乗せるようにして前記ボールハウスに収納した後に、ボールハウスの先端側を変形させてボールを保持し、ボールを中心孔側に押圧して座面を変形させる工程を有するので、ボールが、ボールハウスから出ている寸法(いわゆるボール出寸法)が安定した塗布具用チップを製造することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態におけるボールペンチップを用いた芯の断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態におけるボールペンチップの断面図である。図3(a)は、本発明のボールペンチップの先端部分の断面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。図4は、本発明のボールペンチップの先端部分の拡大断面図である。図5〜8はは、本発明のボールペンチップの加工段階での先端部分の断面図である。図9は、本発明の変形例におけるボールペンチップの先端部分の断面図である。
なお、図3(b)、図7(b)、図8(b)においては、ボール10を除いた状態で、先端側から図示したものである。
【0032】
本発明の第1の実施形態のボールペンの芯7は図1に示されている。そして、芯7の先端にボールペンチップ(塗布具用チップ)1が、取り付けられている。また、図1に示されるように、ボールペンチップ1は、水性インキであるインキ5を内部に有するインキ筒(塗布液収納部)6と接合されている。そして、芯7は、ボールペンの軸筒(図示せず)の内部に装着されて、水性ボールペンとして使用される。
ボールペンチップ1の先端に有するボール10を押圧しながら移動させることによって、塗布液たるインキ5がボールペンチップ1の内部を通って、ボール10に適当量付着しながら流出し、筆記することができる。
【0033】
ボールペンチップ1は、図2に示されるように、ボールペンチップ本体(塗布具用チップ本体)11、ボール10及びボール付勢部材12からなっている。
【0034】
ボールペンチップ本体11は、外観的には先端側が略円錐形状であり、後端側が略円柱形状であり、全体では、これらを軸方向に結合させた、ロケットような形状である。そして、先端側には円錐部25を有し、後端側には円筒部26を有している。また、円筒部26の後端側は、やや外径が縮径しているインキ筒結合段部26aを有して、インキ筒6と接続する。また、内側にはボールハウス15、中心孔16及びバック孔17が設けられて連通し、インキ5の一連の流路となっている。さらに、バック孔17の後端側は、後端側開口28を有している。
【0035】
図3に示されるように、ボールハウス15は、円筒内部の形状をした側壁である円筒壁41と、円筒壁41の後端側に位置する座面45を有している。座面45は、中心孔16に向かって縮径し、中心孔16とつながっている。また、ボールハウス15には第1空間40が設けられている。
【0036】
図4を用いて、第1空間40を詳しく説明すると、第1空間40は座面45と円筒壁41との間に位置している。また、第1空間40は座面45を含む仮想円錐面よりも外側であって座面45を含む仮想円錐面よりも後端側に位置している。そして、第1空間40は、ボール10の周りを環状に取り巻いている。また、第1空間40の軸方向の断面は、略三角形状である。
また、第1空間40の側面側には円筒状の垂直壁49が、第1空間40の後端側には、水平壁50が設けられている。垂直壁49はボールペンチップ本体11の軸に対して平行であり、水平壁50はボールペンチップ本体11の軸に対して垂直である。水平壁50と座面45は段状であり、水平壁50の面と座面45の面とは不連続な状態でつながっている。
【0037】
座面45の、水平壁50との境界には座面先端側部54を有している。座面先端側部54は、座面45の先端側に位置している。
【0038】
座面先端側部54とボール10の中心を通る直線L2と、ボールペンチップ1の軸L1との傾きの角度βは、40°以上であり、好ましくは45°以上である。
【0039】
さらに、図4に示されるように、ボールペンチップ本体11の中心孔16の周りには、放射状に、いわゆる矢溝と呼ばれる溝47が設けられている。そして、溝47は第1空間40とつながり、インキ5は、溝47から、溝47のボールハウス15側の流出口61を通過して、第1空間40に流出することができる。
【0040】
ボール付勢部材12はコイル状のばねであり、図2に示されるように、ボールペンチップ本体11の内部に設けられて、ボール付勢部材12が圧縮状態となっており、後端側から先端側にボール10を付勢している。具体的には、先端に棒状部23が設けられて、棒状部23の先端23aがボール10と接触している。そして、ボールペンが使用されない場合には前記付勢によりインキ5の外部の流出を防止し、ボールペンを使用する際には、筆記圧によりボール10が後端に移動して、インキ5の流出を容易とするものである。
【0041】
ボール10は、球状であり、ボールペンチップ本体11のボールハウス15に回転可能に保持されている。すなわち、後端側は座面45により、側面側は円筒壁41により、先端側は後述するように、ボール10挿入後にボールペンチップ本体11の先端を内側に向かって変形するようにかしめられた部分である変形部43により、ボール10が保持されている。
【0042】
次に、ボールペンチップ1の組み立て方法について説明する。まず、ボールペンチップ本体11を形成する。まず、円柱状の材料の外形を、上記したように、先端側を略円錐形状とをして円錐部25を設け、さらに円筒部26にインキ筒結合段部26aを設ける。
【0043】
そして、ボールペンチップ本体11の内部を形成する。バック孔17は後端側からドリルなどにより所定の形状に削って形成する。
また、ボールハウス15及び中心孔16を、上記した形状に先端側からドリル等で断面が円形となるように削り取る。この状態を示した図が図5である。そうして、ボールハウス15に円筒壁41が形成され、円筒壁41と中心孔16をつなぐようにすり鉢状の傾斜壁48が形成される。そして、傾斜壁48の一部が座面45となる。傾斜壁48の開き角度αは、約90°である。
【0044】
次に、第1空間40及び溝47を形成して、図6の状態に示されるようにボールペンチップ本体11を加工する。
第1空間40は、傾斜壁48の先端側を円筒内部の形状に削り取ることにより形成され、垂直壁49、水平壁50及び座面先端側部54が設けられる。
【0045】
また、溝47は、中心孔16とつながり、中心孔16の外側に向かって削ることにより形成される。本実施形態では溝47は、間隔が同じとなるように5カ所設けられている。また、溝47の外側の壁47aは、前記垂直壁49とほぼ同一面である。
【0046】
そして、ボールペンチップ本体11のボールハウス15にボール10を入れて、図7に示される状態とし、さらに、ボールペンチップ本体11の先端側を内側に変形させて変形部43を形成し、図8の状態とする。このとき、変形部43とボール10との間は、ほとんど隙間がない状態である。
【0047】
さらに、ボール10を先端側から押圧する「座打ち」により、ボール10の後端側で接触している座面45を変形させ、ボール10を所定距離だけ移動させる。そして、ボールペンチップ1は、図3に示されるような状態となって完成する。
【0048】
本実施形態では、第1空間40が設けられており、座面45が小さいので、座打ちしやすい。すなわち、図11に示されるような、第1空間40の設けられていないボールペンチップ本体11では、座面45が大きくなり、「座打ち」の際、ボール10を同じ距離だけ移動させる場合にも、変形部分が広くなり、より大きい力が必要となるが、本実施形態では、そのようなことがない。
【0049】
この「座打ち」によりボール10は後端側に移動するので、図3に示されるように、ボール10とボールペンチップ本体11の変形部43との間には隙間52が形成される。また、「座打ち」によって、座面45の全体がボール10の曲面に合わせて変形される。
そして、使用の際などに、先端側から座面45側にボール10を押した場合には、座面45全体がボール10と接触し、座面45の水平壁50との境界の座面先端側部54もボール10と接触する構造となる。このとき、図4に示されるように、ボール10表面の座面45との接触する部分は、ボールペンチップ1の軸方向断面における円弧の中心角γが15〜25°となっている。したがって、座打ちが容易であり、ボールペンチップ1を使用する際にボール10の保持が確実に行うことができる。
【0050】
そして、ボール付勢部材12を取り付け後、インキ筒6を取り付け、インキ5を充填して、芯7が完成し、さらに、芯7を軸筒などに入れることにより、ボールペンが完成する。
【0051】
本実施形態のボールペンチップ1は、第1空間40内にインキ5が満たされるので、より多くの塗布液をボールハウス内に溜めることができ、チップ内での塗布液の流れを良くすることができる。
【0052】
また、溝47が第1空間40とつながっているので、中心孔16側からボールハウス15内への流れがスムーズとなり、ボール10と円筒壁41との間や隙間52の幅を調節することによって、インキ5の流量の調整が可能となり製品の品質が安定する。
さらに、溝47の流出口61の幅は、第1空間40の水平方向の幅とほぼ等しくなり、流出口61の面積が確保されるので、筆記時のインキ5の流出が安定する。すなわち、図11に示される従来技術のボールペンチップ120のように、第1空間40が無いと流出口61の径方向の幅が小さくなり、溝107の先端側がボール102によって塞がれてしまうが、図3に示される本実施形態のボールペンチップ1では、溝47の先端側がボール10によって塞がれる部分が小さくなって流出口61の面積が大きくなる。
【0053】
また、本発明のボールペンチップ1を用いたボールペンを傾斜させて筆記する場合でも、かすれやぼたつきが発生しにくい。ボールペンを傾斜して筆記した場合には、図4に示されるように、筆記面Mとボールペンチップ1の軸L1とが傾斜する。そして、ボール10と筆記面Mとが接点Pで接する。この状態で、筆記圧がかかると、ボールペンチップ本体11とボール10との間に力が発生し、その方向は、筆記面Mに垂直な方向である。また、筆記により、ボール10が回転しながらボールペンチップ1が移動すると、ボール10と筆記面Mとの摩擦などにより筆記方向と反対向きの方向にF1、F2のような力が、ボール10との間に発生する。そして、ボールペンチップ本体11は、F1又はF2と、N1との合力であるN2又はN3の力を受けることになる。
これらのN1、N2又はN3の力が、ボール10の中心と座面先端側部54を結ぶ直線よりも傾くと、ボール10は、座面45で支えることができない。そして、ボール10は、円筒壁41と接触するなどして、ボール10の位置がボールペンチップ本体11の軸とずれる。そして、隙間52の大きさや円筒壁41とボール10の隙間が不均一となり、かすれやぼたつきの原因となる。
しかし、本発明のボールペンチップ1では、座面45とボール10が接触する際におけるボール10の中心と、前記座面の先端側の端部とを通過する直線L2は、塗布具の軸L1に対する角度βが、40°以上であるので、ボール10の位置がずれにくく、かすれやぼたつきが発生しにくい。
【0054】
また、本実施形態では、「座打ち」が行われ、座面45の全体がボール10の曲面に合わせて変形している。第1空間40が設けられているので、座面45の変形部分が小さくなるので、小さい力で「座打ち」でき、また、ボールペンチップ1を使用する際に、ボール10との接触面積が小さくなって、ボール10が回転しやすく、スムーズに筆記することができる。
【0055】
本発明の第1の実施形態の第1空間40では、後端側には軸に対して垂直な水平壁50が設けられていたが、水平でなくても良く、図9(a)に示されるように、先端側から後端側に向かって拡径するように傾斜する面でも良く、また、図9(b)に示されるような、円状の溝であっても良い。
【0056】
本発明の第1の実施形態では、中心孔16と連通する放射状の溝47が設けられて、溝47の先端側が第1空間40とつながるものであったが、溝でなく貫通孔でも良く、また、バック孔17と連通している貫通孔でもよい。
【0057】
本発明の第1の実施形態のインキ5は、水性インキであったが、これに限らず油性インキやその他の塗布液でも良い。また、本発明の第1の実施形態では、ボール付勢部材12が設けられているが、ボール付勢部材12を設けなくともよい。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、流出性を確保しつつ、上記不具合の起こりにくい塗布具用チップ及び塗布具を提供することができる。また、塗布具用チップの製造がしやすい塗布具用チップの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるボールペンチップを用いた芯の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるボールペンチップの断面図である。
【図3】(a)は、本発明のボールペンチップの先端部分の断面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図4】本発明のボールペンチップの先端部分の拡大断面図である。
【図5】(a)は、本発明のボールペンチップの加工段階での先端部分の断面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図6】(a)は、本発明のボールペンチップの加工段階での先端部分の断面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図7】(a)は、本発明のボールペンチップの加工段階での先端部分の断面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図8】(a)は、本発明のボールペンチップの加工段階での先端部分の断面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図9】(a)は、本発明の変形例におけるボールペンチップの先端部分の断面図であり、(b)は、他の変形例である。
【図10】(a)は、従来技術のボールペンチップの先端部分の断面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図11】(a)は、従来技術のボールペンチップの先端部分の断面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図12】座面を含む仮想円錐面を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 ボールペンチップ(塗布具用チップ)
10 ボール
11 ボールペンチップ本体(塗布具用チップ本体)
12 ボール付勢部材
15 ボールハウス
16 中心孔
17 バック孔
40 第1空間
41 円筒壁(側壁)
45 座面
Claims (11)
- 塗布具用チップ本体と、塗布具用チップ本体の先端側で保持されるボールを有し、塗布具用チップ本体は、ボールハウス、中心孔及びバック孔が設けられて、バック孔、中心孔及びボールハウスは連通して一連の塗布液の流路を有し、ボールハウスには、座面及び側壁が設けられてボールを回転可能に保持する塗布具用チップにおいて、前記座面と側壁との間には第1空間が設けられ、前記第1空間は、座面を含む仮想円錐面よりも外側に設けられていることを特徴とする塗布具用チップ。
- 前記中心孔又は前記バック孔と連通する溝又は孔を有し、前記溝又は孔の先端側は、前記第1空間につながっていることを特徴とする請求項1に記載の塗布具用チップ。
- ボール付勢部材が設けられ、前記ボール付勢部材はボールを先端側に付勢することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布具用チップ。
- 前記ボールを前記座面側に押すと、前記ボールは前記座面の一部であって第1空間との境界部分と密接することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗布具用チップ。
- 前記座面は、ボールの形状に合わせて全体的に変形していることを特徴とする請求項4に記載の塗布具用チップ。
- 前記座面とボールが接触する際におけるボールの中心と、前記座面の先端側の端部とを通過する直線は、塗布具用チップの軸に対して、40°以上傾斜していることを特徴とする請求項4又は5に記載の塗布具用チップ。
- ボールと座面とが接触する部分の、ボールペンチップの軸方向断面における円弧の中心角は、15〜25°であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の塗布具用チップ。
- ボールハウスの、前記第1空間の後端側の面は、塗布具の軸に対して略垂直な面であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の塗布具用チップ。
- 塗布液が収納された塗布液収納部と、当該塗布液収納部に接続されボールが一部露出した状態で回転可能に保持された請求項1〜8のいずれかに記載の塗布具用チップを有し、前記塗布液は水性インキであって、前記塗布具は水性ボールペンであることを特徴とする塗布具。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の塗布具用チップの製造方法であって、前記ボールハウスの座面部分を、開き角度が60〜95°となるように円錐状に削り取る工程を有することを特徴とする塗布具チップの製造方法。
- 前記ボールを仮想円錐面上に乗せるようにして前記ボールハウスに収納した後に、ボールハウスの先端側を変形させてボールを保持し、ボールを中心孔側に押圧して座面を変形させる工程を有することを特徴とする請求項10に記載の塗布具用チップの製造方法。
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