JP2004122184A - アルミニウム板状体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特徴的な外観を有するアルミニウム板状体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム箔、アルミニウムシート等のアルミニウム板状体1の表面に、表面粗さが異なる複数の帯状領域3を隣接させて配置する。これにより、外観の異なる領域が現れ、アルミニウム板状体の表面にバンド模様を形成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】アルミニウム箔、アルミニウムシート等のアルミニウム板状体1の表面に、表面粗さが異なる複数の帯状領域3を隣接させて配置する。これにより、外観の異なる領域が現れ、アルミニウム板状体の表面にバンド模様を形成することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば台所用品等の家庭用、包装用、装飾用等に使用されるアルミニウム箔、アルミニウムシート等のアルミニウム板状体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アルミニウム箔等のアルミニウム板状体は、圧延ロールによって形成されている。このようなアルミニウム板状体には、圧延ロールからの転写によってロールマークと呼ばれる表面スジが形成されている。この表面スジは、圧延ロールの表面形態、例えばロール表面の凹凸の深さ、或いは凹凸の数等により決定される。
【0003】
このような圧延ロールの表面形態は、その圧延ロールの研磨条件によって決まり、艶面、粗面、ヘヤーライン等に呼称される種々の表面形態が付与される。圧延ロールの研磨は、回転するロールに対して砥石、研磨紙等の研磨材を押さえつけることによってなされるのが一般的である。そのため、ロール表面には周方向に延びるスジが形成され、このスジがロールマークとなってアルミニウム板状体の表面に現れる。なお、本発明に関連する先行出願としては、例えば先行出願1がある。
【0004】
【先行出願1】
特願2001−163127号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アルミニウム箔に代表されるアルミニウム板状体は、物品の包装材、台所用品等、種々の分野で用いられているが、従来のアルミニウム板状体は、上記のようなロールマーク以外目立った外観上の特徴を有するものが存在していなかった。そのため、従来のものとは異なる意匠的な配慮がされた特徴的な外観を有するアルミニウム板状体が要望されていた。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、特徴的な外観を有するアルミニウム板状体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記目的は、表面に2以上の領域を有し、隣接する前記領域の表面粗さが異なることを特徴とするアルミニウム板状体により達成される。
【0008】
隣接する前記領域の中心線平均表面粗さ(Ra)の差は、0.10μm以上であることが好ましい。また、前記各領域は、帯状に形成され、平行に配置されていることがさらに好ましい。
【0009】
また、本発明の前記目的は、表面に2以上の領域を有し、隣接する前記領域の表面粗さが異なるロールを用い、アルミニウム素材の表面に前記ロールの表面性状を転写することを特徴とするアルミニウム板状体の製造方法により達成される。ここで、前記ロールが圧延ロールであることが好ましい。また、前記各領域が前記ロールの周方向に沿って形成されるとともに、前記ロールの軸方向に隣接されていることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るアルミニウム板状体をアルミニウム箔に適用した場合の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係るアルミニウム箔の平面図である。
【0011】
図1に示すように、このアルミニウム箔1は、矩形状に形成され、表面にバンド模様を有している。このバンド模様は、平行に配置された複数の帯状領域3により構成されたものであり、各帯状領域3は同一の幅を有している。また、このバンド模様は、異なる表面粗さを有する2種類の帯状領域3を交互に並べたものである。このように表面粗さを異ならせることで、隣接する帯状領域3の外観性状が異なるものとなる。したがって、これらを並べることによって全体としてバンド模様が形成される。
【0012】
上記帯状領域3の表面粗さは、種々のパラメータによって表すことができるが、例えば中心線平均表面粗さ(以下、「Ra」という)を用いて表すことができる。この場合、Raを0.10μm以上にすることが好ましく、0.30μm以上にすることがさらに好ましい。これは、隣接する帯状領域3のRaが0.10μm未満になると、帯状領域3の境界が認識しにくくなり、バンド模様の装飾性が損なわれるからである。これに対して、表面粗さの差を大きくすると、各領域の外観の差が明瞭になり、バンド模様が鮮明になる。Raの最大値は、アルミニウム箔の強度等を考慮して定めればよいが、例えば、1.0μm以下にすることが好ましく、0.8μm以下にすることがさらに好ましい。これは、Raが1.0μmより大きくなると、生産が困難になり、また後述する圧延時にアルミニウム箔が圧延方向に平行に裂けることがあるからである。
【0013】
なお、表面粗さは、Ra以外にも種々のパラメータで表すことができ、例えば、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)、凹凸の平均間隔(Sm)、或いはピークカウント(Pc)等を用いて表すことができる。したがって、例えばRaがほぼ同一であっても、Ry,Rz,Sm,Pc等が異なることにより、隣接する帯状領域で形成されるバンド模様を認識させることも可能である。
【0014】
上記のようなアルミニウム箔1は、種々の公知のアルミニウム材料から製造することができ、例えば純度99.0%程度の純アルミニウム、Mn単独又はMn及びMgを含む3XXX系、Mgを含む5XXX系、Fe単独又はFe及びSiを含む8XXX系等から製造することができる。また、アルミニウム箔の厚みは、上記した表面粗さを考慮して5μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0015】
次に、上記のようなアルミニウム箔1の製造方法について図2及び図3を参照しつつ説明する。このアルミニウム箔1は、図2に示すような圧延ロール5を用いて形成される。このロール5の表面は、上記したアルミニウム箔1のバンド模様に対応した表面性状にされている。すなわち、ロール表面に、異なる表面粗さを有する2種類の同一幅の帯状領域7が軸方向に交互に配置されている。ロール5の材質は、後述するように研磨材によって所定の表面粗さを形成できるように、例えばクロム鋼、クロム−モリブデン鋼、クロム−ニッケル鋼、ニッケル−クロム−モリブデン鋼等にすることが好ましい。
【0016】
そして、アルミニウム箔を製造するには、図3に示すように、所定の厚さでコイル状に巻き取られたシート状のアルミニウム材料9(アルミニウム素材)を繰り出し、これを上記のように構成された一対の圧延ロールによって圧延する。これにより、表面及び裏面にバンド模様が転写されたアルミニウム箔1が形成される。そして、圧延されたアルミニウム箔1は下流側のロール11に巻き取られる。なお、一対の圧延ロールのうち、一方のロールのみを上記のような帯状領域7を有するロール5にすると、一方の面のみにバンド模様が転写されたアルミニウム箔を形成することができる。
【0017】
上記のようなロール表面は、例えば次のようにして形成することができる。まず、ロール表面全体を予め所定の表面粗さに仕上げておく。続いて、このロールを回転させ、ロール表面に砥石、研磨紙等の研磨材を所定の圧力で押し当てて表面粗さの異なる領域を形成する。より詳細には、所定の幅に形成され、所定間隔で配置された複数の研磨材をロール表面に押し当てる。これにより、ロール表面に表面粗さの異なる領域が交互に現れ、バンド模様に対応する表面性状が形成される。なお、表面粗さの調整は、研磨材の粗さを変えたり、或いは研磨材をロール表面に押し当てる圧力を変えることで行うことができる。
【0018】
以上のように本実施形態によれば、アルミニウム箔1の表面に表面粗さの異なる複数の領域3を隣接して設けているため、アルミニウム箔1の表面に外観の異なる複数の領域3を混在させることができる。その結果、アルミニウム箔1に特徴的な外観を付与することができる。特に、本実施形態では、これら領域3を帯状に形成して互いに平行に配置しているため、アルミニウム箔1の表面にバンド模様を形成することができる。したがって、従来のアルミニウム箔とは異なった特徴的な外観を有する装飾性の高いアルミニウム箔を提供することができる。
【0019】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記アルミニウム箔では、各帯状領域の幅を同一にしているが、これに限定されるものではなく、異なる幅を有する複数の帯状領域を規則的に、或いは不規則に配置することもできる。また、帯状領域の数も任意に決定することができる。さらに、上記実施形態では、表面粗さの異なる2種類の帯状領域を交互に配置しているが、表面粗さの異なる3種類以上の帯状領域を配置することもできる。例えば、各帯状領域の表面粗さをすべて異なったものにすると、すべての帯状領域の外観が相違したものになり、斬新なバンド模様を形成することができる。
【0020】
これらの一例を図4に示す。図4(a)は表面粗さ(a1,a2)及び幅(d1,d2)の異なる2種類の帯状領域を交互に配置したものである。図4(b)のアルミニウム箔は表面粗さ(a1〜a4)の異なる4種類の帯状領域から構成されているが、幅(d1,d2)は2種類にされており、それらが交互に配置されている。また、図4(c)のアルミニウム箔は表面粗さ(a1〜a3)及び幅(d1〜d3)がそれぞれ異なる3種類の帯状領域を幅が大きくなる順番に同図の左側から並べたものである。図4(d)は表面粗さ(a1〜a9)及び幅(d1〜d9)がそれぞれ異なる9種類の帯状領域を不規則に配置したアルミニウム箔である。
【0021】
上記実施形態では、圧延によってアルミニウム箔を製造することについて説明したが、本発明に係るアルミニウム板状体の製造方法はこれに限定されるものではない。例えば上記圧延ロールのように表面粗さの異なる領域を設けたエンボスロールを準備し、圧延後のアルミニウム箔の表面にこのエンボスロールで表面性状を転写することもできる。また、上記図4に示すような種々の外観のアルミニウム板状体を形成するには、各模様に対応した表面性状をロール表面に形成し、これをアルミニウム材料に転写すればよい。ロール表面の形成方法は、上述したのと同様であり、対応する粗さの研磨材をそれぞれロール表面に押し当てて所望の表面粗さを有する領域を形成すればよい。
【0022】
また、上記実施形態では、本発明のアルミニウム板状体をアルミニウム箔に適用した場合について説明したが、これ以外にも例えばシート状、或いは板状に形成したアルミニウム板状体に適用することができるのは勿論である。これらは、上記したアルミニウム箔と同様の方法、つまり所望のバンド模様が形成された圧延ロール又はエンボスロールを用いて製造することができる。
【0023】
上記説明では、表面粗さの異なる領域を矩形の帯状に形成して平行に並べているが、その形状は特に限定されるものではない。例えば、波形に延びる領域を形成したり、幅が変化しながら延びる領域を形成することもできる。或いは、所定の表面粗さを有する素地に、それとは異なる表面粗さの円形、矩形等の領域を形成することもできる。すなわち、表面粗さの異なる複数の領域を隣接させるものであれば、その形状は特に限定されるものではない。
【0024】
また、上記のような種々の表面性状を有するアルミニウム板状体は、所望の表面性状に対応する圧延ロール又はエンボスロールを用いて製造すると高い生産性を得ることができ有利であるが、アルミニウム板状体の表面に表面粗さの異なる複数の領域を形成できるものであれば、その方法は特には限定されない。
【0025】
以上のようなアルミニウム板状体は、種々の分野で用いることができ、例えば、菓子、酪農品、化粧品、又は薬品等を包装する包装材や、壁材、襖紙、表紙、カード、ポスター類、容器、建材、建具、家具、電気製品、又は自動車等のエッジ装飾等の装飾材として使用することができる。さらに、家庭で用いられるガスレンジパネル、天ぷらガード、ホイルケース、キッチンテープ、レンジマット、その他の台所用品としても使用することもできる。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るアルミニウム板状体によれば、アルミニウム板状体の表面に表面粗さの異なる複数の領域を隣接して設けているため、アルミニウム板状体の表面に外観の異なる領域を混在させることができる。その結果、従来のアルミニウム板状体とは異なった特徴的な外観を有するアルミニウム板状体を提供することができる。ここで、これら領域を帯状に形成して互いに平行に配置すると、バンド模様を形成することができるため、アルミニウム板状体に高い装飾性を付与することができる。
【0027】
また、本発明に係るアルミニウム板状体の製造方法によれば、表面に2以上の領域を有し、隣接する領域の表面粗さが異なるロールを用い、アルミニウム素材の表面に前記ロールの表面性状を転写している。これにより、表面粗さの異なる複数の領域、つまり外観の異なる領域をアルミニウム板状体の表面に形成することができ、特徴的な外観を有するアルミニウム板状体を製造することができる。このとき、各領域をロールの周方向に沿って形成し、これらをロールの軸方向に隣接すると、バンド模様を有する装飾性のあるアルミニウム板状体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアルミニウム板状体の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示すアルミニウム板状体を製造する圧延ロールの斜視図である。
【図3】図1のアルミニウム板状体を製造する装置の概略構成図である。
【図4】本発明に係るアルミニウム板状体の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム箔
3 帯状領域
5 圧延ロール
7 帯状領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば台所用品等の家庭用、包装用、装飾用等に使用されるアルミニウム箔、アルミニウムシート等のアルミニウム板状体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アルミニウム箔等のアルミニウム板状体は、圧延ロールによって形成されている。このようなアルミニウム板状体には、圧延ロールからの転写によってロールマークと呼ばれる表面スジが形成されている。この表面スジは、圧延ロールの表面形態、例えばロール表面の凹凸の深さ、或いは凹凸の数等により決定される。
【0003】
このような圧延ロールの表面形態は、その圧延ロールの研磨条件によって決まり、艶面、粗面、ヘヤーライン等に呼称される種々の表面形態が付与される。圧延ロールの研磨は、回転するロールに対して砥石、研磨紙等の研磨材を押さえつけることによってなされるのが一般的である。そのため、ロール表面には周方向に延びるスジが形成され、このスジがロールマークとなってアルミニウム板状体の表面に現れる。なお、本発明に関連する先行出願としては、例えば先行出願1がある。
【0004】
【先行出願1】
特願2001−163127号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アルミニウム箔に代表されるアルミニウム板状体は、物品の包装材、台所用品等、種々の分野で用いられているが、従来のアルミニウム板状体は、上記のようなロールマーク以外目立った外観上の特徴を有するものが存在していなかった。そのため、従来のものとは異なる意匠的な配慮がされた特徴的な外観を有するアルミニウム板状体が要望されていた。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、特徴的な外観を有するアルミニウム板状体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の前記目的は、表面に2以上の領域を有し、隣接する前記領域の表面粗さが異なることを特徴とするアルミニウム板状体により達成される。
【0008】
隣接する前記領域の中心線平均表面粗さ(Ra)の差は、0.10μm以上であることが好ましい。また、前記各領域は、帯状に形成され、平行に配置されていることがさらに好ましい。
【0009】
また、本発明の前記目的は、表面に2以上の領域を有し、隣接する前記領域の表面粗さが異なるロールを用い、アルミニウム素材の表面に前記ロールの表面性状を転写することを特徴とするアルミニウム板状体の製造方法により達成される。ここで、前記ロールが圧延ロールであることが好ましい。また、前記各領域が前記ロールの周方向に沿って形成されるとともに、前記ロールの軸方向に隣接されていることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るアルミニウム板状体をアルミニウム箔に適用した場合の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係るアルミニウム箔の平面図である。
【0011】
図1に示すように、このアルミニウム箔1は、矩形状に形成され、表面にバンド模様を有している。このバンド模様は、平行に配置された複数の帯状領域3により構成されたものであり、各帯状領域3は同一の幅を有している。また、このバンド模様は、異なる表面粗さを有する2種類の帯状領域3を交互に並べたものである。このように表面粗さを異ならせることで、隣接する帯状領域3の外観性状が異なるものとなる。したがって、これらを並べることによって全体としてバンド模様が形成される。
【0012】
上記帯状領域3の表面粗さは、種々のパラメータによって表すことができるが、例えば中心線平均表面粗さ(以下、「Ra」という)を用いて表すことができる。この場合、Raを0.10μm以上にすることが好ましく、0.30μm以上にすることがさらに好ましい。これは、隣接する帯状領域3のRaが0.10μm未満になると、帯状領域3の境界が認識しにくくなり、バンド模様の装飾性が損なわれるからである。これに対して、表面粗さの差を大きくすると、各領域の外観の差が明瞭になり、バンド模様が鮮明になる。Raの最大値は、アルミニウム箔の強度等を考慮して定めればよいが、例えば、1.0μm以下にすることが好ましく、0.8μm以下にすることがさらに好ましい。これは、Raが1.0μmより大きくなると、生産が困難になり、また後述する圧延時にアルミニウム箔が圧延方向に平行に裂けることがあるからである。
【0013】
なお、表面粗さは、Ra以外にも種々のパラメータで表すことができ、例えば、最大高さ(Ry)、十点平均粗さ(Rz)、凹凸の平均間隔(Sm)、或いはピークカウント(Pc)等を用いて表すことができる。したがって、例えばRaがほぼ同一であっても、Ry,Rz,Sm,Pc等が異なることにより、隣接する帯状領域で形成されるバンド模様を認識させることも可能である。
【0014】
上記のようなアルミニウム箔1は、種々の公知のアルミニウム材料から製造することができ、例えば純度99.0%程度の純アルミニウム、Mn単独又はMn及びMgを含む3XXX系、Mgを含む5XXX系、Fe単独又はFe及びSiを含む8XXX系等から製造することができる。また、アルミニウム箔の厚みは、上記した表面粗さを考慮して5μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0015】
次に、上記のようなアルミニウム箔1の製造方法について図2及び図3を参照しつつ説明する。このアルミニウム箔1は、図2に示すような圧延ロール5を用いて形成される。このロール5の表面は、上記したアルミニウム箔1のバンド模様に対応した表面性状にされている。すなわち、ロール表面に、異なる表面粗さを有する2種類の同一幅の帯状領域7が軸方向に交互に配置されている。ロール5の材質は、後述するように研磨材によって所定の表面粗さを形成できるように、例えばクロム鋼、クロム−モリブデン鋼、クロム−ニッケル鋼、ニッケル−クロム−モリブデン鋼等にすることが好ましい。
【0016】
そして、アルミニウム箔を製造するには、図3に示すように、所定の厚さでコイル状に巻き取られたシート状のアルミニウム材料9(アルミニウム素材)を繰り出し、これを上記のように構成された一対の圧延ロールによって圧延する。これにより、表面及び裏面にバンド模様が転写されたアルミニウム箔1が形成される。そして、圧延されたアルミニウム箔1は下流側のロール11に巻き取られる。なお、一対の圧延ロールのうち、一方のロールのみを上記のような帯状領域7を有するロール5にすると、一方の面のみにバンド模様が転写されたアルミニウム箔を形成することができる。
【0017】
上記のようなロール表面は、例えば次のようにして形成することができる。まず、ロール表面全体を予め所定の表面粗さに仕上げておく。続いて、このロールを回転させ、ロール表面に砥石、研磨紙等の研磨材を所定の圧力で押し当てて表面粗さの異なる領域を形成する。より詳細には、所定の幅に形成され、所定間隔で配置された複数の研磨材をロール表面に押し当てる。これにより、ロール表面に表面粗さの異なる領域が交互に現れ、バンド模様に対応する表面性状が形成される。なお、表面粗さの調整は、研磨材の粗さを変えたり、或いは研磨材をロール表面に押し当てる圧力を変えることで行うことができる。
【0018】
以上のように本実施形態によれば、アルミニウム箔1の表面に表面粗さの異なる複数の領域3を隣接して設けているため、アルミニウム箔1の表面に外観の異なる複数の領域3を混在させることができる。その結果、アルミニウム箔1に特徴的な外観を付与することができる。特に、本実施形態では、これら領域3を帯状に形成して互いに平行に配置しているため、アルミニウム箔1の表面にバンド模様を形成することができる。したがって、従来のアルミニウム箔とは異なった特徴的な外観を有する装飾性の高いアルミニウム箔を提供することができる。
【0019】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記アルミニウム箔では、各帯状領域の幅を同一にしているが、これに限定されるものではなく、異なる幅を有する複数の帯状領域を規則的に、或いは不規則に配置することもできる。また、帯状領域の数も任意に決定することができる。さらに、上記実施形態では、表面粗さの異なる2種類の帯状領域を交互に配置しているが、表面粗さの異なる3種類以上の帯状領域を配置することもできる。例えば、各帯状領域の表面粗さをすべて異なったものにすると、すべての帯状領域の外観が相違したものになり、斬新なバンド模様を形成することができる。
【0020】
これらの一例を図4に示す。図4(a)は表面粗さ(a1,a2)及び幅(d1,d2)の異なる2種類の帯状領域を交互に配置したものである。図4(b)のアルミニウム箔は表面粗さ(a1〜a4)の異なる4種類の帯状領域から構成されているが、幅(d1,d2)は2種類にされており、それらが交互に配置されている。また、図4(c)のアルミニウム箔は表面粗さ(a1〜a3)及び幅(d1〜d3)がそれぞれ異なる3種類の帯状領域を幅が大きくなる順番に同図の左側から並べたものである。図4(d)は表面粗さ(a1〜a9)及び幅(d1〜d9)がそれぞれ異なる9種類の帯状領域を不規則に配置したアルミニウム箔である。
【0021】
上記実施形態では、圧延によってアルミニウム箔を製造することについて説明したが、本発明に係るアルミニウム板状体の製造方法はこれに限定されるものではない。例えば上記圧延ロールのように表面粗さの異なる領域を設けたエンボスロールを準備し、圧延後のアルミニウム箔の表面にこのエンボスロールで表面性状を転写することもできる。また、上記図4に示すような種々の外観のアルミニウム板状体を形成するには、各模様に対応した表面性状をロール表面に形成し、これをアルミニウム材料に転写すればよい。ロール表面の形成方法は、上述したのと同様であり、対応する粗さの研磨材をそれぞれロール表面に押し当てて所望の表面粗さを有する領域を形成すればよい。
【0022】
また、上記実施形態では、本発明のアルミニウム板状体をアルミニウム箔に適用した場合について説明したが、これ以外にも例えばシート状、或いは板状に形成したアルミニウム板状体に適用することができるのは勿論である。これらは、上記したアルミニウム箔と同様の方法、つまり所望のバンド模様が形成された圧延ロール又はエンボスロールを用いて製造することができる。
【0023】
上記説明では、表面粗さの異なる領域を矩形の帯状に形成して平行に並べているが、その形状は特に限定されるものではない。例えば、波形に延びる領域を形成したり、幅が変化しながら延びる領域を形成することもできる。或いは、所定の表面粗さを有する素地に、それとは異なる表面粗さの円形、矩形等の領域を形成することもできる。すなわち、表面粗さの異なる複数の領域を隣接させるものであれば、その形状は特に限定されるものではない。
【0024】
また、上記のような種々の表面性状を有するアルミニウム板状体は、所望の表面性状に対応する圧延ロール又はエンボスロールを用いて製造すると高い生産性を得ることができ有利であるが、アルミニウム板状体の表面に表面粗さの異なる複数の領域を形成できるものであれば、その方法は特には限定されない。
【0025】
以上のようなアルミニウム板状体は、種々の分野で用いることができ、例えば、菓子、酪農品、化粧品、又は薬品等を包装する包装材や、壁材、襖紙、表紙、カード、ポスター類、容器、建材、建具、家具、電気製品、又は自動車等のエッジ装飾等の装飾材として使用することができる。さらに、家庭で用いられるガスレンジパネル、天ぷらガード、ホイルケース、キッチンテープ、レンジマット、その他の台所用品としても使用することもできる。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るアルミニウム板状体によれば、アルミニウム板状体の表面に表面粗さの異なる複数の領域を隣接して設けているため、アルミニウム板状体の表面に外観の異なる領域を混在させることができる。その結果、従来のアルミニウム板状体とは異なった特徴的な外観を有するアルミニウム板状体を提供することができる。ここで、これら領域を帯状に形成して互いに平行に配置すると、バンド模様を形成することができるため、アルミニウム板状体に高い装飾性を付与することができる。
【0027】
また、本発明に係るアルミニウム板状体の製造方法によれば、表面に2以上の領域を有し、隣接する領域の表面粗さが異なるロールを用い、アルミニウム素材の表面に前記ロールの表面性状を転写している。これにより、表面粗さの異なる複数の領域、つまり外観の異なる領域をアルミニウム板状体の表面に形成することができ、特徴的な外観を有するアルミニウム板状体を製造することができる。このとき、各領域をロールの周方向に沿って形成し、これらをロールの軸方向に隣接すると、バンド模様を有する装飾性のあるアルミニウム板状体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアルミニウム板状体の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示すアルミニウム板状体を製造する圧延ロールの斜視図である。
【図3】図1のアルミニウム板状体を製造する装置の概略構成図である。
【図4】本発明に係るアルミニウム板状体の他の例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム箔
3 帯状領域
5 圧延ロール
7 帯状領域
Claims (6)
- 表面に2以上の領域を有し、隣接する前記領域の表面粗さが異なることを特徴とするアルミニウム板状体。
- 隣接する前記領域の中心線平均表面粗さ(Ra)の差が0.10μm以上である請求項1に記載のアルミニウム板状体。
- 前記各領域が帯状に形成され、互いに平行に配置されている請求項1または2に記載のアルミニウム板状体。
- 表面に2以上の領域を有し、隣接する前記領域の表面粗さが異なるロールを用い、アルミニウム素材の表面に前記ロールの表面性状を転写することを特徴とするアルミニウム板状体の製造方法。
- 前記ロールは、圧延ロールである請求項4に記載のアルミニウム板状体の製造方法。
- 前記各領域が、前記ロールの周方向に沿って形成されるとともに、前記ロールの軸方向に隣接されている請求項4または5に記載のアルミニウム板状体の製造方法。
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