JP2004121254A - 抗血小板剤スクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前記抗血小板剤スクリーニングツールは、ヒトADP受容体P2TACタンパク質、機能的等価改変体、又は相同タンパク質であるか、あるいは、前記の各種タンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターで形質転換され、前記ポリペプチドを発現している形質転換細胞である。また、抗血小板用医薬組成物の製造方法では、前記の各種タンパク質又は形質転換細胞を使用する。
【選択図】なし
Description
このような血行再建療法後の種々の血栓性弊害(再閉塞等)には、血小板が重要な役割を果たしている。従って、これらの血栓性弊害を予防・治療する薬剤として、抗血小板剤が期待されている。
しかしながら、これまで、血小板に存在するADP受容体P2TACタンパク質は、同定されておらず、簡便な化合物スクリーニング系の構築が困難であったため、ADP受容体P2TAC拮抗薬の開発は進展していなかった。
[1](1)配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド(以下、ヒトADP受容体P2TACタンパク質と称することがある)、又は(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列の1又は複数の箇所において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、しかも、ADPと結合し、Giに共役することにより、アデニル酸シクラーゼの活性を抑制する活性(以下、ADP受容体P2TAC活性と称する)を有するポリペプチド(以下、機能的等価改変体と称する)である、抗血小板剤スクリーニングツール;
[2]配列番号2で表されるアミノ酸配列との相同性が90%以上であるアミノ酸配列を有し、しかも、ADPと結合し、Giに共役することにより、アデニル酸シクラーゼの活性を抑制する活性を有するポリペプチド(以下、相同タンパク質と称する)である、抗血小板剤スクリーニングツール(以下、[1]又は[2]記載の抗血小板剤スクリーニングツールを、総称して、ポリペプチド型抗血小板剤スクリーニングツールと称する);
[3](1)配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド(すなわち、ヒトADP受容体P2TACタンパク質)、又は(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列の1又は複数の箇所において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、しかも、ADPと結合し、Giに共役することにより、アデニル酸シクラーゼの活性を抑制する活性を有するポリペプチド(すなわち、機能的等価改変体)をコードするDNAを含む発現ベクターで形質転換され、前記ポリペプチドを発現している形質転換細胞である、抗血小板剤スクリーニングツール;
[4]配列番号2で表されるアミノ酸配列との相同性が90%以上であるアミノ酸配列を有し、しかも、ADPと結合し、Giに共役することにより、アデニル酸シクラーゼの活性を抑制する活性を有するポリペプチド(すなわち、相同タンパク質)をコードするDNAを含む発現ベクターで形質転換され、前記ポリペプチドを発現している形質転換細胞である、抗血小板剤スクリーニングツール(以下、[3]又は[4]記載の抗血小板剤スクリーニングツールを、総称して、形質転換細胞型抗血小板剤スクリーニングツールと称する);
[5][1]若しくは[2]記載のポリペプチド(すなわち、ヒトADP受容体P2TACタンパク質、機能的等価改変体、又は相同タンパク質)、前記ポリペプチドを含む細胞膜画分、又は[3]若しくは[4]記載の形質転換細胞と、試験化合物とを、ADP受容体P2TAC標識リガンド存在下で、接触させる工程、及び
前記ポリペプチド、細胞膜画分、又は形質転換細胞への標識リガンドの結合量の変化を分析する工程
を含む、試験化合物がADP受容体P2TACリガンドであるか否かを検出する方法(以下、リガンド検出方法と称する);
[6]C末端のアミノ酸配列が、配列番号11で表されるアミノ酸配列であり、しかも、ホスホリパーゼC活性促進性Gタンパク質のホスホリパーゼC活性促進活性を有する部分ポリペプチドとGiの受容体共役活性を有する部分ポリペプチドとのキメラであるGタンパク質キメラを共発現している[3]又は[4]記載の形質転換細胞と、試験化合物とを接触させる工程、及び
前記形質転換細胞内におけるCa2+濃度の変化を分析する工程
を含む、試験化合物がADP受容体P2TACアンタゴニスト又はアゴニストであるか否かを検出する方法(以下、Ca2+型検出方法と称する);
[7][3]又は[4]記載の形質転換細胞と試験化合物とを、血小板ADP受容体P2TACのアゴニストの共存下において、接触させる工程、及び
前記形質転換細胞内におけるcAMP濃度の変化を分析する工程
を含む、試験化合物がADP受容体P2TACアンタゴニスト又はアゴニストであるか否かを検出する方法(以下、cAMP型検出方法と称する);
[8]前記リガンド検出方法、Ca2+型検出方法、又はcAMP型検出方法、あるいは、これらを組み合わせることにより、ADP受容体P2TACリガンド、アンタゴニスト、又はアゴニストであるか否かを検出する工程、及び
ADP受容体P2TACアンタゴニストを選択する工程
を含む、抗血小板剤をスクリーニングする方法;並びに
[9]前記リガンド検出方法、Ca2+型検出方法、又はcAMP型検出方法、あるいは、これらを組み合わせることにより、ADP受容体P2TACリガンド、アンタゴニスト、又はアゴニストであるか否かを検出する工程、及び
製剤化工程
を含む、抗血小板用医薬組成物の製造方法
に関する。
また、前記「ホスホリパーゼC活性促進性Gタンパク質」は、受容体と共役して細胞内へのシグナル伝達・増幅因子として機能するGタンパク質のサブファミリーの1つであって、ホスホリパーゼCの活性を促進するGタンパク質である。ホスホリパーゼCの活性が促進されると、例えば、細胞内Ca2+濃度が上昇する。ホスホリパーゼC活性促進性Gタンパク質としては、例えば、Gqを挙げることができる。
更に、前記「ADP受容体P2TAC」は、ADP受容体P2TACを有するポリペプチドを意味する。
従って、本発明の抗血小板剤スクリーニングツールによれば、抗血小板剤として有用な血小板ADP受容体P2TACアンタゴニストをスクリーニング及び評価することができる。
本発明のアンタゴニスト若しくはアゴニスト検出方法を用い、又は本発明のリガンド検出方法とアンタゴニスト若しくはアゴニスト検出方法とを組み合わせて用いることにより、血小板ADP受容体P2TACアンタゴニストを選択し、抗血小板剤として有用な物質をスクリーニングすることができる。
次いで、前記スクリーニング方法で選択された物質を有効成分とし、担体、賦形剤、及び/又はその他の添加剤を用いて製剤化することにより、抗血小板用医薬組成物を製造することができる。
また、本発明のリガンド、アンタゴニスト、又はアゴニスト検出方法は、抗血小板剤として有用な物質をスクリーニングする為のみでなく、抗血小板用医薬組成物の品質規格の確認試験において、用いることも可能である。
本発明のリガンド、アンタゴニスト又はアゴニスト検出方法を用いて、試験化合物が血小板ADP受容体P2TACリガンド、アンタゴニスト、又はアゴニストであるか否かを検出し、次いで、前記アンタゴニスト又はリガンドを製剤化することにより、抗血小板用医薬組成物を製造することができる。
(1)抗血小板剤スクリーニングツール
本発明の抗血小板剤スクリーニングツールには、ポリペプチド型抗血小板剤スクリーニングツールと、形質転換細胞型抗血小板剤スクリーニングツールとが含まれる。
本発明のポリペプチド型抗血小板剤スクリーニングツールには、
(i)ヒトADP受容体P2TACタンパク質、すなわち、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである、抗血小板剤スクリーニングツール;
(ii)機能的等価改変体、すなわち、配列番号2で表されるアミノ酸配列の1又は複数の箇所において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、しかも、ADP受容体P2TAC活性を有するポリペプチドである、抗血小板剤スクリーニングツール;及び
(iii)相同タンパク質、すなわち、配列番号2で表されるアミノ酸配列との相同性が90%以上であるアミノ酸配列を有し、しかも、ADP受容体P2TAC活性を有するポリペプチドである、抗血小板剤スクリーニングツール
が含まれる。
そして、本願の優先日後の文献で、初めて、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドが血小板ADP受容体であることが公表された[Nature,409,11 January 2001,202−207;J.B.C.,276,(11),March 16,8608−8615,2001;WO01/46454号パンフレット]。なお、WO01/46454号パンフレットの優先権の基礎となる特許出願では、ラットのADP受容体遺伝子をクローニングし、配列決定しているものの、ヒトのADP受容体遺伝子については、部分配列を含むクローンを取得し、配列決定しているにすぎない。従って、ヒトADP受容体P2TACタンパク質及びこれをコードするポリヌクレオチドを取得し、その機能を初めて解明し、これらを用いる抗血小板剤をスクリーニング方法の発明に関する特許出願を行なったのは、本願出願人の方が早い。
本発明の形質転換細胞型抗血小板剤スクリーニングツールには、
(i)ヒトADP受容体P2TACタンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターで形質転換され、前記ポリペプチドを発現している形質転換細胞である、抗血小板剤スクリーニングツール;
(ii)機能的等価改変体をコードするDNAを含む発現ベクターで形質転換され、前記ポリペプチドを発現している形質転換細胞である、抗血小板剤スクリーニングツール;及び
(iii)相同タンパク質をコードするDNAを含む発現ベクターで形質転換され、前記ポリペプチドを発現している形質転換細胞である、抗血小板剤スクリーニングツール
が含まれる。
例えば、脊椎動物細胞の発現ベクターとしては、通常発現しようとする遺伝子の上流に位置するプロモーター、RNAのスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写終結配列等を有するものを使用することができ、更に必要により、複製起点を有していることができる。前記発現ベクターの例としては、例えば、SV40の初期プロモーターを有するpSV2dhfr(Subramani,S.ら,Mol.Cell.Biol.,1,854−864,1981)、ヒトの延長因子プロモーターを有するpEF−BOS(Mizushima,S.及びNagata,S.,Nucleic Acids Res.,18,5322,1990)、又はサイトメガロウイルスプロモーターを有するpCEP4(Invitrogen社)等を挙げることができる。
前記スクリーニングツール用ポリペプチド、又はスクリーニングツール用形質転換細胞を検出ツールに用いて、試験化合物がADP受容体P2TACリガンド、アンタゴニスト、又はアゴニストであるか否かを検出することができる。
本発明による、試験化合物がADP受容体P2TACリガンド、アンタゴニスト、又はアゴニストであるか否かを検出する方法には、
1)血小板のADP受容体P2TACに対するリガンドであるか否かを検出する方法(すなわち、リガンド検出方法);
2)形質転換細胞内におけるCa2+濃度の変動を指標として、血小板のADP受容体P2TACに対するアンタゴニスト又はアゴニストであるか否かを検出する方法(すなわち、Ca2+型検出方法);
3)形質転換細胞内におけるcAMP量の変動を指標として、血小板のADP受容体P2TACに対するアンタゴニスト又はアゴニストであるか否かを検出する方法(すなわち、cAMP型検出方法);及び
4)GTPγS結合法を利用する血小板のADP受容体P2TACに対するアンタゴニスト又はアゴニストであるか否かを検出する方法(以下、GTPγS結合型検出方法と称する)
が含まれる。これらの検出方法について、順次説明する。
本発明のリガンド検出方法は、(i)ヒトADP受容体P2TACタンパク質、機能的等価改変体、又は相同タンパク質(以下、検出ツール用ポリペプチドと称する)、検出ツール用ポリペプチドを含む細胞膜画分、あるいは、検出ツール用ポリペプチドを発現させた形質転換細胞(以下、検出ツール用ポリペプチド、前記細胞膜画分、及び前記形質転換細胞を総称して、リガンド検出ツールと称する)と、(ii)標識リガンドとを用いる限り、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により実施することができる。
本発明のCa2+型検出方法は、形質転換細胞として、(i)検出ツール用ポリペプチドと、(ii)C末端のアミノ酸配列が、配列番号11で表されるアミノ酸配列であり、しかも、ホスホリパーゼC活性促進性Gタンパク質のホスホリパーゼC活性促進活性を有する部分ポリペプチドとGiの受容体共役活性を有する部分ポリペプチドとのキメラであるGタンパク質キメラ(例えば、Gqi)とを共発現している形質転換細胞(以下、Ca2+型検出用形質転換細胞と称する)を使用する。なお、前記形質転換細胞は、形質転換する前の宿主細胞が、ADPを作用させても細胞内Ca2+濃度が上昇しない細胞であることが好ましい。このような細胞としては、例えば、ラットグリオーマ細胞株の一種であるC6−15(Change,K.ら,J.Biol.Chem.,270,26152−26158,1995)を挙げることができる。
本発明のcAMP型検出方法は、形質転換細胞として、検出ツール用ポリペプチドを発現している形質転換細胞(以下、cAMP型検出用形質転換細胞と称する)を使用する。通常の宿主細胞ではGiが構成的に発現しているので、検出ツール用ポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換することにより、cAMP型検出用形質転換細胞を得ることができる。なお、前記形質転換細胞は、形質転換する前の宿主細胞が、ADPを作用させても細胞内cAMP濃度が低下しない細胞であることが好ましい。このような細胞としては、例えば、CHO細胞を挙げることができる。
本発明のGTPγS結合型検出方法は、検出ツール用ポリペプチド、前記ポリペプチドを含む細胞膜画分、あるいは、前記ポリペプチドを発現させた形質転換細胞を用いて、GTPγS結合法(Lazareno,S.及びBirdsall,N.J.M.,Br.J.Pharmacol.,109,1120−1127,1993)を利用して、血小板のADP受容体P2TACに対するアンタゴニスト又はアゴニストであるか否かを検出することができる。
すなわち、検出ツール用ポリペプチドを発現させた細胞膜を、20mmol/L−HEPES(pH 7.4)、100mmol/L−NaCl、10mmol/L−MgCl2、及び50mmol/L−GDP混合溶液中で、35Sで標識されたGTPγS(400pmol/L)と混合する。試験化合物存在下と試験化合物不在下とでインキュベートした後、反応液をガラスフィルター等で濾過し、フィルターに残存するGTPγSの放射活性を液体シンチレーションカウンター等で測定する。試験化合物存在下における特異的なGTPγS結合の上昇を指標に、ADP受容体P2TACに対するアゴニストであるか否かを検出することができる。また、試験化合物存在下における、血小板ADP受容体P2TACのリガンド(例えば、2MeSADP又はADP)によるGTPγS結合上昇の抑制を指標に、ADP受容体P2TACに対するアンタゴニストであるか否かを検出することができる。
本発明の抗血小板剤スクリーニングツール(ポリペプチド型抗血小板剤スクリーニングツール及び形質転換細胞型抗血小板剤スクリーニングツールの両方を含む)を用いると、血小板のADP受容体P2TACに対するリガンド、アンタゴニスト、又はアゴニストをスクリーニングすることができる。
1)血小板のADP受容体P2TACに対するリガンドをスクリーニングする方法(以下、リガンドスクリーニング方法と称する);
2)形質転換細胞内におけるCa2+濃度の変動を指標として、血小板のADP受容体P2TACに対するアンタゴニスト又はアゴニストをスクリーニングする方法(以下、Ca2+型スクリーニング方法と称する);
3)形質転換細胞内におけるcAMP量の変動を指標として、血小板のADP受容体P2TACに対するアンタゴニスト又はアゴニストをスクリーニングする方法(以下、cAMP型スクリーニング方法と称する);及び
4)GTPγS結合法を利用する血小板のADP受容体P2TACに対するアンタゴニスト又はアゴニストをスクリーニングする方法(以下、GTPγS結合型スクリーニング方法と称する)
について、順次説明する。
本発明のリガンドスクリーニング方法は、本発明のリガンド検出方法により、ADP受容体P2TACリガンドであるか否かを検出する工程、及びADP受容体P2TACリガンドを選択する工程を含む限り、特に限定されるものではない。
本発明のCa2+型スクリーニング方法は、本発明のCa2+型検出方法により、ADP受容体P2TACアンタゴニスト又はアゴニストであるか否かを検出する工程、及びADP受容体P2TACアンタゴニスト又はアゴニストを選択する工程を含む限り、特に限定されるものではない。
本発明のcAMP型スクリーニング方法は、本発明のcAMP型検出方法により、ADP受容体P2TACアンタゴニスト又はアゴニストであるか否かを検出する工程、及びADP受容体P2TACアンタゴニスト又はアゴニストを選択する工程を含む限り、特に限定されるものではない。
本発明のGTPγS結合型スクリーニング方法は、本発明のGTPγS結合型検出方法により、ADP受容体P2TACアンタゴニスト又はアゴニストであるか否かを検出する工程、及びADP受容体P2TACアンタゴニスト又はアゴニストを選択する工程を含む限り、特に限定されるものではない。
本発明には、前記2)〜4)記載のスクリーニング方法により、あるいは、1)〜4)記載のスクリーニング方法を組み合わせることにより選択されるADP受容体P2TACアンタゴニストである物質(例えば、化合物、ペプチド、抗体、又は抗体断片)を有効成分とする抗血小板剤が包含される。
例えば、経口投与の場合、その投与量は、通常、成人(体重60kgとして)において、1日につき約0.1〜100mg、好ましくは0.1〜50mgである。また、非経口投与の場合、注射剤の形では、1日につき0.01〜50mg、好ましくは0.01〜10mgである。
本実施例では、以下に示す手順に従って、ヒト脳cDNA(Clontech社製)をテンプレートとして、PCR法により、ADP受容体P2TAC遺伝子HORK3(以下、単に、HORK3遺伝子と称する)の全長cDNAを取得した。
配列番号1で表される塩基配列は、1029塩基のオープンリーディングフレーム(ORF)を有しており、このORFから予測されるアミノ酸配列(342アミノ酸)は、配列番号2で表されるアミノ酸配列のとおりであった。
健常人ボランティアよりヘパリン採血し、400×gで10分間遠心処理を行なった。得られた上層を多血小板血漿として分取した。
また、下層には6%デキストラン/生理食塩水を1/3量加えて室温にて1時間放置した。その上清を取り、150×gで5分間遠心処理した後、沈渣をHBSS(Hanks’ Balanced Solt Solution)に懸濁した。これを等量のフィコール(Ficoll Paque;Pharmacia社)に重層し、400×gで30分間遠心処理を行なった。こうして得られた中間層を「単核球画分」として、沈渣を多形核白血球として分取した。
前記多形核白血球にCD16マイクロビーズ(第一化学薬品社製)を加え、磁器スタンドにて「好中球画分」と「好酸球画分」とに分離した。
ADP又は2MeSADP(2−メチルチオ−ADP)等のプリン類の多くは、細胞に作用させると、内在性の細胞膜受容体を介して細胞内Ca2+の上昇を認める。そのため、外来性に導入した遺伝子由来のタンパク質が、ADP又は2MeSADPに反応するか否かを検定するためには、これらの物質に反応しない細胞を用いてタンパク質を発現させることが好ましい。ラットグリオーマ細胞株の一種であるC6−15は、ADP等に反応しないことが知られている(Change,K.ら,J.Biol.Chem.,270,26152−26158,1995)。本実施例では、HORK3タンパク質を発現させる細胞としてC6−15を使用した。
また、HORK3タンパク質を発現させるための発現プラスミドとして、前記実施例1で得られたプラスミドpEF−BOS−dhfr−HORK3を用いた。
プラスミドpEF−BOS−dhfr−HORK3とプラスミドpEF−BOS−Gqiとの組み合わせを遺伝子導入した細胞では、2MeSADP又はADPの濃度依存的な細胞内Ca2+濃度の上昇が観察された。一方、プラスミドpEF−BOS−dhfr(空ベクター)とプラスミドpEF−BOS−Gqiとの組み合わせを遺伝子導入した細胞では、2MeSADP又はADPによる細胞内Ca2+濃度の変化は観察されなかった。
前記実施例3により、前記ADP受容体がGi共役型受容体であることが判明したことから、前記ADP受容体はアデニル酸シクラーゼの活性を抑制する活性を持っていることが予測される。そこで、本発明のcAMP型スクリーニング方法を実施するには、前記ADP受容体タンパク質を発現させるための宿主細胞として、ADPや2MeSADPによってアデニル酸シクラーゼの活性を抑制する活性を持っていない細胞株を選択することが好ましい。以下の方法に従い、ADPや2MeSADPによってフォルスコリン刺激によるcAMPの産生量を下げない細胞を検索した結果、CHO細胞が最適であることが判明したので、前記ADP受容体タンパク質を発現させるための細胞としてCHO細胞を用いた。なお、本実施例では、核酸の新生合成に必須の酵素であるジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)を欠失した細胞株[CHO−dhfr(−)株]を特に使用した。HORK3タンパク質を発現させるための発現プラスミドとしてpEF−BOS−dhfr−HORK3を使用した。
前記の遺伝子導入操作から24時間経過した後、遺伝子導入した細胞を回収し、DHFRの競合的阻害剤である100nmol/Lメトトレキセート(和光純薬社製)を含有するαMEM(核酸非存在)培地に懸濁した後、段階希釈して10cmシャーレに播き直した。2週間後に出現したコロニーを個別に取得し、HORK3タンパク質発現CHO細胞、あるいは、コントロール用の空ベクター導入CHO細胞として、以下の実験に使用した。
一方、空ベクター導入CHO細胞では、2MeSADP又はADPを添加しても、フォルスコリン刺激によるcAMP産生量に変化は見られなかった。
ADPや2MeSADPによってフォルスコリン刺激によるcAMPの産生量を下げない細胞として、C6−15細胞も最適であることが判明したので、ADP受容体タンパク質を発現させるための細胞としてC6−15細胞も用いた。
ADP受容体を発現させるための発現ベクターとしてpEF−BOS−dhfr−HORK3を使用した。
前記の遺伝子導入操作から24時間経過した後、遺伝子導入した細胞を回収し、0.6mg/mL−G418(GIBCO BRL社製)を含有するDMEM培地に懸濁した後、段階希釈して10cmシャーレに播き直した。2週間後に出現したコロニーを個別に取得し、HORK3タンパク質発現C6−15細胞として、以下の実験に使用した。
実施例5で作製したHORK3タンパク質発現C6−15細胞を回収及び洗浄した後、5mmol/L−EDTAとプロテアーゼインヒビターカクテルセットCompleteTM(ベーリンガーマンハイム社製)とを含有する20mmol/L−Tris−HCl(pH7.4)に懸濁して、ポリトロンにてホモジェナイズした。超遠心を行った後、沈殿を1mmol/L−EDTA、100mmol/L−NaCl、0.1%BSA、及びCompleteTMを含有する50mmol/L−Tris−HCl(pH7.4)に懸濁し、これを膜画分とした。
以上、実施例2〜6の結果より、HORK3タンパク質は、血小板に発現しているGi共役型のADP受容体であることから、これまで存在が示唆されていた血小板のADP受容体P2TACの実体であると考えられる。
健常人(成人,男子)より1/10容クエン酸ナトリウムにて採血を行ない、De Marcoらの方法(J.Clin.Invest.,77,1272−1277,1986)に従い、多血小板血漿(PRP)を調製した。PRPは、自動血球計数器(MEK6258;日本光電)を用いて、3×108/mLに調製して使用した。凝集惹起剤であるADPは、MCメディカル社の製品を使用した。実施例5でHORK3タンパク質アンタゴニスト活性を示すことを確認した2MeSAMP又はAR−C69931MXを使用し、前記化合物を溶解する溶媒としては、生理食塩水を用いた。
血小板凝集は、血小板凝集計(MCMヘマトレーサー212;MCメディカル)を用いて測定した。すなわち、PRP(80μL)とサンプル(2MeSAMP又はAR−C69931MX)又は溶媒(10μL)とを、37℃で1分間インキュベートした後、ADP(20〜200μmol/L)10μLを添加し、透過光の変化を10分間記録し、その最大凝集率から凝集阻害(%)を算出した。
図1に、2MeSAMPを用いた場合の結果を示し、図2に、AR−C69931MXを用いた場合の結果を示す。2MeSAMPのデータ(図1)は、ボランティア2名を用いた実験結果の「平均値」で表し、AR−C69931MXのデータ(図2)は、ボランティア3名を用いた実験結果の「平均値+標準誤差」で表した。両薬剤ともに、ADP惹起血小板凝集を濃度依存的に阻害し、その阻害強度は、惹起剤であるADPの濃度に依存していた。
本実施例より、HORK3タンパク質アンタゴニストが抗血小板作用を示すことが明確である。
従って、本発明の抗血小板剤スクリーニングツールによれば、抗血小板剤として有用な血小板ADP受容体P2TACアンタゴニストをスクリーニング及び評価することができる。
本発明のアンタゴニスト若しくはアゴニスト検出方法を用い、又は本発明のリガンド検出方法とアンタゴニスト若しくはアゴニスト検出方法とを組み合わせて用いることにより、血小板ADP受容体P2TACアンタゴニストを選択し、抗血小板剤として有用な物質をスクリーニングすることができる。
次いで、前記スクリーニング方法で選択された物質を有効成分とし、担体、賦形剤、及び/又はその他の添加剤を用いて製剤化することにより、抗血小板用医薬組成物を製造することができる。
また、本発明のリガンド、アンタゴニスト、又はアゴニスト検出方法は、抗血小板剤として有用な物質をスクリーニングする為のみでなく、抗血小板用医薬組成物の品質規格の確認試験において、用いることも可能である。
本発明のリガンド、アンタゴニスト又はアゴニスト検出方法を用いて、試験化合物が血小板ADP受容体P2TACリガンド、アンタゴニスト、又はアゴニストであるか否かを検出し、次いで、前記アンタゴニスト又はリガンドを製剤化することにより、抗血小板用医薬組成物を製造することができる。
Claims (5)
- (1)配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列の1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、しかも、ADPと結合し、Giに共役することにより、アデニル酸シクラーゼの活性を抑制する活性を有するポリペプチド、又は(3)配列番号2で表されるアミノ酸配列との相同性が95%以上であるアミノ酸配列を有し、しかも、ADPと結合し、Giに共役することにより、アデニル酸シクラーゼの活性を抑制する活性を有するポリペプチドである、抗血小板剤スクリーニングツール。
- 配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである、請求項1に記載の抗血小板剤スクリーニングツール。
- 請求項1に記載のポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターで形質転換され、前記ポリペプチドを発現している形質転換細胞である、抗血小板剤スクリーニングツール。
- 配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターで形質転換され、前記ポリペプチドを発現している形質転換細胞である、請求項3に記載の抗血小板剤スクリーニングツール。
- (A)請求項1に記載のポリペプチド、前記ポリペプチドを含む細胞膜画分、又は請求項3に記載の形質転換細胞と、試験化合物とを、ADP受容体P2TAC標識リガンド存在下で、接触させる工程、及び
前記ポリペプチド、細胞膜画分、又は形質転換細胞への標識リガンドの結合量の変化を分析する工程
を含む、試験化合物がADP受容体P2TACリガンドであるか否かを検出する方法、
(B)C末端のアミノ酸配列が、配列番号11で表されるアミノ酸配列であり、しかも、ホスホリパーゼC活性促進性Gタンパク質のホスホリパーゼC活性促進活性を有する部分ポリペプチドとGiの受容体共役活性を有する部分ポリペプチドとのキメラであるGタンパク質キメラを共発現している請求項3に記載の形質転換細胞と、試験化合物とを接触させる工程、及び
前記形質転換細胞内におけるCa2+濃度の変化を分析する工程
を含む、試験化合物がADP受容体P2TACアンタゴニスト又はアゴニストであるか否かを検出する方法、又は
(C)請求項3に記載の形質転換細胞と試験化合物とを、血小板ADP受容体P2TACのアゴニストの共存下において、接触させる工程、及び
前記形質転換細胞内におけるcAMP濃度の変化を分析する工程
を含む、試験化合物がADP受容体P2TACアンタゴニスト又はアゴニストであるか否かを検出する方法
のいずれか1つの方法、あるいは、これらを組み合わせることによる、ADP受容体P2TACリガンド、アンタゴニスト、又はアゴニストであるか否かを検出する工程、及び
製剤化工程
を含む、抗血小板用医薬組成物の製造方法。
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