JPWO2003027142A1 - 新規g蛋白質共役型受容体 - Google Patents

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Abstract

摂食障害又は肥満症の予防及び/又は治療剤の開発に必要な、新規なGタンパク質共役型レセプターをコードする遺伝子を単離及び同定し、前記レセプターの発現生産系を構築し、摂食障害又は肥満症の予防及び/又は治療に有用な前記レセプター活性を制御する物質を探索するためのスクリーニング法を提供する。

Description

技術分野
本発明は、新規G蛋白質共役型受容体に関する。
背景技術
医学的に重要な生物学的プロセスの多くが、Gタンパク質を含めたシグナル伝達経路に関与しているタンパク質及び/又はセカンドメッセンジャーにより媒介されることはよく知られている(Lefkowitz,Nature,351,353−354,1991)。その中でも、三量体型GTP結合タンパク質の活性化を介して細胞内にシグナルを伝達する細胞膜レセプター群は、「Gタンパク質共役型レセプター」と総称されている。現在までに知られている全てのGタンパク質共役型レセプターは、アミノ末端を細胞外に、カルボキシル末端を細胞内とし、細胞膜を7回貫通する構造を共有するスーパーファミリーを形成していることから、「7回膜貫通型レセプター」と総称される場合もある。Gタンパク質共役型レセプターは、様々な生理活性物質の情報を、三量体型GTP結合タンパク質の活性化、そして、それにより引き起こされる細胞内セカンドメッセンジャーの変動を介して、細胞膜から細胞内へと伝達する。三量体型GTP結合タンパク質により制御される細胞内セカンドメッセンジャーは、アデニレートシクラーゼを介するcAMP、あるいは、フォスフォリパーゼCを介するCa2+などがよく知られているが、三量体型GTP結合タンパク質を介したチャネルの制御、そして、リン酸化酵素の活性化など、多くの細胞タンパク質がその標的となっていることが最近明らかとなってきた(Gudermann,T.ら,Annu.Rev.Neurosci.,20,399−427,1997)。Gタンパク質共役型レセプターを介して情報を伝達する生理活性物質の中には、神経伝達物質、ホルモン、ケモカイン、脂質由来の情報伝達物質、2価イオン、又はプロテアーゼなど、既存の生理活性物質の多くが含まれる。これらの生理活性物質にはそれぞれ特異的なGタンパク質共役型レセプターが存在し、その情報を細胞内に伝達する。
Gタンパク質共役型レセプターは、遺伝子のクローニングが先行する場合も多く、内在性リガンドとの対応がとれていないレセプターは、オーファンGタンパク質共役型レセプターと呼ばれている。近年、充実された化合物ライブラリーと高性能ハイスループットスクリーニングとを組み合わせることで、オーファンGタンパク質共役型レセプターをターゲットとした薬剤の創製が提唱されている(▲1▼Stadel,J.ら,Trends Pharmacol.Sci.,18,430−437,1997)。すなわち、多くのGタンパク質共役型レセプターのセカンドメッセンジャーとなっているcAMP又はCa2+の測定、三量体型GTP結合タンパク質の活性化の指標となるGTPase活性、あるいは、GTPγSのGタンパク質結合測定などをハイスループット化することで、化合物ライブラリーからオーファンGタンパク質共役型レセプターに対するアゴニストをスクリーニングすることが可能であり、その化合物を利用した特異的なアゴニスト及びアンタゴニストの発見、ひいては特定の疾患治療薬の開発が可能であるということである。このような状況下では、新しい疾患の治療ターゲットとなり得る新規Gタンパク質共役型レセプターの発見が、Gタンパク質共役型レセプターに作用する薬剤創製の最も重要なステップと見なすことができる。
現在までに数百種類のGタンパク質共役型レセプターが真核生物からクローニングされている。ヒトに関しては百種類以上の内在性リガンドとの対応がとれたGタンパク質共役型レセプターがクローニングされている。これまでにそれらの受容体をターゲットとする数百種類もの疾患治療薬が利用されている(Wilson,J.ら,British J.of Pharmacol.,125,1387−1392,1998)。Gタンパク質共役型レセプターが標的となっている疾患は多岐にわたり、中枢神経系、循環器系、炎症免疫系、消化器系、運動器系、又は泌尿器生殖器系それぞれの分野でGタンパク質共役型レセプターに作用する有効な薬剤が存在する(前述▲1▼Stadel,J.ら)。このことは、Gタンパク質共役型レセプターのアゴニスト又はアンタゴニストが疾患の治療剤となる可能性が高いことを示唆し、各種疾患を予防、改善、又は治療する上で重要な役割を果たすと考えられる新たな受容体を同定し、疾患との関わりを解明する必要がある。
ところで、摂食亢進物質として、ニューロペプチドY(neuropeptide Y;以下、NPYと略称する)、ペプチドYY(PYY)、及び膵臓ペプチド(pancreatic polypeptide;PP)が知られており[Biochem.Cell.Biol.,78,371−92,2000;Am.J.Physiol.,259(2 Pt 2),R317−23,1990;Brain Res.,341,200−3,1985;Brain Res.,805,20−8,1998;Physiol.Behav.,58,731−5,1995;及びAm.J.Physiol.,269(5 Pt 2),R983−7,1995]、これら3種は、NPYファミリーを構成している。
NPYファミリーの機能発現は、NPY特異的受容体との結合を介して行なわれる(▲2▼Blomqvist,A.G.及びHerzog,H.,Trends Neurosci.,20,294−8,1997)。NPYファミリーの受容体としては、これまで5つの異なるサブタイプが存在することが知られており、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)Y1、Y2、Y4、Y5、及びY6が遺伝子レベルで同定されている。Y1受容体は、抹消組織では血管に発現しており、NPYとの結合により血管収縮を惹起する。一方、Y5受容体は、組織発現分布解析から、摂食に対する関与が示唆されている(前述▲2▼Blomqvist,A.G.ら)。
NPYのGPCRは、摂食障害(前述▲2▼Blomqvist,A.G.ら)の治療ターゲットであると考えられており、NPYファミリー阻害剤である、1229U91、BMS−192548、J−104870、及びBIBP3226等について、抗肥満薬の研究が進められている[J.Pharmacol.Exp.Ther.,275,1261−6,1995;J.Antibiot,(Tokyo),48,1055−9,1995;Biochem.Biophys.Res.Commun.,266,88−91,1991;及びJ.Pharmacol.Exp.Ther.,275,136−42,1995]。しかしながら、摂食調節の異常に起因する摂食障害、又は肥満症等の疾患に関与するGタンパク質共役型レセプターとそれに作用する分子について全てが理解されたわけではない。
発明の開示
本発明の課題は、摂食障害又は肥満症の予防及び/又は治療剤の開発に必要な、新規なGタンパク質共役型レセプターをコードする遺伝子を単離及び同定し、前記レセプターの発現生産系を構築し、摂食障害又は肥満症の予防及び/又は治療に有用な前記レセプター活性を制御する物質を探索するためのスクリーニング法を提供することにある。また、本発明の課題は、摂食作用は抑制するが、摂食以外の作用に影響を与えない物質をスクリーニングするための方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を行なった結果、GPCRであるGPRg1をコードし、摂食機能を司る視床下部特異的に発現している配列番号1で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドを取得した。そして、GPRg1のセカンドメッセンジャーは、Ca2+上昇及び/又はcAMP抑制であることを見出し、GPRg1を用いた摂食作用を抑制する物質のスクリーニング系を提供した。また、GPRg1に結合するリガンドが結合するGPCRであり、視床下部及び摂食機能に関連しない様々な組織で発現しているGPRg1b並びにこれをコードするポリヌクレオチドを取得した。そして、GPRg1とGPRg1bを用い、GPRg1活性に影響を与えるが、GPRg1b活性に影響を与えない物質をスクリーニングすることにより、摂食機能のみを特異的に制御する、摂食障害及び/又は肥満症の予防及び/又は治療に有用な物質をスクリーニングするための方法を提供し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
[1](1)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、しかも、(a)細胞において活性化されることにより、前記細胞内Ca2+量を増加させる活性、及び/又は(b)細胞において活性化されることにより、前記細胞内cAMP量を減少させる活性を示すポリペプチド、あるいは、
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列の1〜5個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも、(a)細胞において活性化されることにより、前記細胞内Ca2+量を増加させる活性、及び/又は(b)細胞において活性化されることにより、前記細胞内cAMP量を減少させる活性を示すポリペプチド、
[2]配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
[3]配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
[4][1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
[5][4]に記載のポリヌクレオチドを含むベクター、
[6][5]に記載のベクターを含む細胞、
[7][6]に記載の細胞を培養する工程を含むことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のポリペプチドを製造する方法、
[8][1]又は[2]に記載のポリペプチドを発現している細胞又はその細胞膜と、試験物質とを接触させる工程、及び前記ポリペプチドが活性化されるか否かを分析する工程を含む前記ポリペプチドの活性を制御できる物質をスクリーニングする方法、
[9](1)[1]又は[2]に記載のポリペプチドを発現している細胞又はその細胞膜と、試験物質とを接触させる工程、及び前記ポリペプチドが活性化されるか否かを分析する工程、および、
(2)[3]に記載のポリペプチドを発現している細胞又はその細胞膜と、試験物質とを接触させる工程、及び前記ポリペプチドが活性化されるか否かを分析する工程を含む、[1]又は[2]に記載のポリペプチドの活性を制御できる物質であって、しかも、[3]に記載のポリペプチドの活性に影響を与えない物質をスクリーニングする方法、
に関する。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリペプチドとしては、具体的には、
(1)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド(以下、GPRg1タンパク質と称することがある);
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、しかも、(a)細胞において活性化されることにより、前記細胞内Ca2+量を増加させる活性(以下、細胞内Ca2+増加活性と称することがある)、及び/又は(b)細胞において活性化されることにより、前記細胞内cAMP量を減少させる活性(以下、細胞内cAMP減少活性と称することがある)を示すポリペプチド;
(3)配列番号2で表されるアミノ酸配列の1又は複数の箇所(好ましくは1〜3箇所、特に好ましくは1箇所)において、全体として1〜5個、更に好ましくは1〜3個、特に好ましくは1個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも、(a)細胞内Ca2+増加活性、及び/又は(b)細胞内cAMP減少活性を示すポリペプチド(以下、GPRg1タンパク質機能的等価改変体と称する);あるいは、
(4)配列番号2で表されるアミノ酸配列との相同性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、(a)細胞内Ca2+増加活性、及び/又は(b)細胞内cAMP減少活性を示すポリペプチド(以下、GPRg1タンパク質相同ポリペプチドと称する)
を挙げることができる[以下、これらのポリペプチド(1)〜(4)を総称して、「GPRg1タンパク質群」と称する]。
更に、本発明のポリペプチドとしては、具体的には、
(5)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド(以下、GPRg1bタンパク質と称することがある);
(6)配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも、GPRg1及びGPRg1bに結合する生体内生理活性物質が結合するポリペプチド;
(7)配列番号4で表されるアミノ酸配列の1又は複数の箇所(好ましくは1〜3箇所、特に好ましくは1箇所)において、全体として1〜5個、更に好ましくは1〜3個、特に好ましくは1個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも、GPRg1及びGPRg1bに結合する生体内生理活性物質が結合するポリペプチド(以下、GPRg1bタンパク質機能的等価改変体と称する);あるいは、
(8)配列番号4で表されるアミノ酸配列との相同性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、GPRg1及びGPRg1bに結合する生体内生理活性物質が結合するポリペプチド(以下、GPRg1bタンパク質相同ポリペプチドと称する)
を挙げることができる[以下、これらのポリペプチド(5)〜(8)を総称して、「GPRg1bタンパク質群」と称する]。
本発明のポリペプチドの1つであるGPRg1タンパク質、すなわち、「配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」は、353個のアミノ酸残基からなるヒト由来のGタンパク質共役型受容体(GPCR)である。GPRg1タンパク質は、後述の実施例4に示すように、摂食機能を司る視床下部に発現しており、摂食機能を司るGPCRである。
本願優先日後に公開されたWO01/94582(2001年12月13日公開)には、配列番号2で表されるアミノ酸配列が記載されている。しかし、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを取得したことは記載されておらず、本ポリペプチドが摂食機能を司ることは開示も示唆もない。また、本願優先日後に公開されたWO01/70978(2001年9月27日公開)には、配列番号2で表されるアミノ酸配列と1アミノ酸異なる配列が記載されている。しかし、該配列からなるポリペプチドを取得したこと及び本ポリペプチドの現実的な用途は記載されておらず、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドが摂食機能を司ることは開示も示唆もない。
GPRg1タンパク質は、後述の実施例5に示すように、セカンドメッセンジャーがCa2+上昇及び/又はcAMP抑制であるGPCRであり、細胞内Ca2+増加活性及び/又は細胞内cAMP減少活性を示す。
本明細書において、或るポリペプチドが「細胞内Ca2+増加活性及び/又は細胞内cAMP減少活性」を示すか否かは、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法(好ましくは、後述の実施例5に記載の方法)により確認することができる。
すなわち、(1)試験ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターと、(2)Gαタンパク質の一種であるGqとGiとのキメラタンパク質(例えば、Gqi5)、又はGqをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターと、(3)血清応答配列(serum response element;SRE)の下流にレポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ)を連結したプラスミドとを、動物細胞(例えば、HEK293−EBNA細胞)に3者同時に遺伝子導入した後、細胞内ルシフェラーゼ活性を測定する。この際、コントロールとして、(1)試験ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含まないコントロール用ベクターと、(2)GqとGiとのキメラタンパク質、又はGqをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターと、(3)SREの下流にレポーター遺伝子を連結したプラスミドとを、3者同時に遺伝子導入した動物細胞においても、細胞内ルシフェラーゼ活性を測定する。
コントロール用発現ベクターを遺伝子導入した細胞に比べて、試験ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを遺伝子導入した細胞におけるルシフェラーゼ活性が上昇していれば、前記試験ポリペプチドが「細胞内Ca2+増加活性及び/又は細胞内cAMP減少活性」を示す、すなわち、「細胞において活性化されることにより、前記細胞内Ca2+量を増加させる活性、及び/又は前記細胞内cAMP量を減少させる活性」を示すと判定することができる。
なお、前記「Gq」は、受容体と共役して細胞内へのシグナル伝達・増幅因子として機能するGタンパク質のサブファミリーの1つであって、ホスホリパーゼCの活性を促進するGタンパク質である。ホスホリパーゼCの活性が促進されると、例えば、細胞内Ca2+濃度が上昇する。
また、前記「Gi」は、受容体と共役して細胞内へのシグナル伝達・増幅因子として機能するGタンパク質のサブファミリーの1つであって、アデニル酸シクラーゼの活性を抑制するGタンパク質である。アデニル酸シクラーゼの活性が抑制されると、例えば、細胞内cAMP濃度が低下する。
また、本明細書において、新規Gタンパク質共役型受容体である本発明のポリペプチドが細胞において「活性化」された状態とは、リガンドとの結合の有無に関わらず、Gタンパク質共役型受容体の下流にシグナルが伝達されている状態を意味する。活性型Gタンパク質共役型受容体の絶対量が一定量を越えた場合に、本発明のポリペプチドは活性化される。
Gタンパク質共役型受容体は、不活性型と活性型との間の平衡状態にあり、リガンドがGタンパク質共役型受容体に結合することにより、平衡が活性型にシフトする。Gタンパク質共役型受容体を過剰に発現させた場合にも、活性型Gタンパク質共役型受容体の絶対量が増えるため、リガンド非存在下であっても、活性化され、下流にシグナルが伝達されることが知られている(Milano,C.A.ら,Science,264,582−586,1994)。すなわち、Gタンパク質共役型受容体は、リガンドが特定されていない場合であっても、Gタンパク質共役型受容体を細胞に過剰発現させることにより、その受容体からのシグナルを検出することが可能な場合がある。後述の実施例5に記載の実験では、本発明のポリペプチドに対するリガンド非存在下であっても、本発明のポリペプチドを過剰発現させることにより、アゴニストの結合による活性化と同じ状態に活性化されている。
本発明による、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、しかも、細胞内Ca2+増加活性及び/又は細胞内cAMP減少活性を示すポリペプチド」には、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端に、適当なマーカー配列等を付加したポリペプチド(但し、細胞内Ca2+増加活性及び/又は細胞内cAMP減少活性を示すことが必要)を挙げることができる。
本発明において用いることのできるマーカー配列としては、ペプチドの発現の確認、細胞内局在の確認、あるいは、精製等を容易に行なうための配列を用いることができ、例えば、FLAGエピトープ、ヘキサーヒスチジン・タグ、ヘマグルチニン・タグ、又はmycエピトープなどを挙げることができる。
本発明のGPRg1タンパク質群の起源は、ヒトに限定されない。例えば、本発明のGPRg1タンパク質機能的等価改変体には、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドのヒトにおける天然のアレル変異体(但し、細胞内Ca2+増加活性及び/又は細胞内cAMP減少活性を示す)、あるいは、一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism;SNP)などのアミノ酸置換で生じたポリペプチド(但し、細胞内Ca2+増加活性及び/又は細胞内cAMP減少活性を示す)が含まれるだけでなく、ヒト以外の生物[例えば、ヒト以外の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、又はイヌ)]由来の天然に存在する機能的等価改変体が含まれる。また、これらの天然のポリペプチド、特には、配列番号2で表されるアミノ酸配列を基にして遺伝子工学的に人為的に改変したポリペプチドなどが含まれる。
本発明のGPRg1タンパク質相同ポリペプチドは、配列番号2で表されるアミノ酸配列との相同性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、細胞内Ca2+増加活性及び/又は細胞内cAMP減少活性を示すポリペプチドである限り、特に限定されるものではないが、本発明のGPRg1タンパク質相同ポリペプチドとしては、配列番号2で表されるアミノ酸配列との相同性が、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上であるアミノ酸配列を有し、しかも、細胞内Ca2+増加活性及び/又は細胞内cAMP減少活性を示すポリペプチドが好ましい。
なお、本明細書における前記「相同性」とは、BLASTパッケージ[sgi32bit版,バージョン2.0.12;National Center for Biotechnology Information(NCBI)より入手]のbl2seqプログラム(Tatiana A.Tatusova,Thomas L.Madden,FEMS Microbiol Lett.,174,247−250,1999)のデフォルトパラメーターを用いて得られた値を意味する。なお、デフォルトパラメーターでは、ペアワイズアラインメントパラメーターとして、
「プログラム名」として「blastp」を、
「Gap挿入Cost値」を「0」で、
「Gap伸長Cost値」を「0」で、
「Query配列のフィルター」として「SEG」を、
「Matrix」として「BLOSUM62」を、
それぞれ使用する。
本発明には、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの部分断片であって、しかも、細胞内Ca2+増加活性及び/又は細胞内cAMP減少活性を示す部分断片も含まれる。
本発明のポリペプチドの1つであるGPRg1bタンパク質、すなわち、「配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」は、374個のアミノ酸残基からなるヒト由来のGタンパク質共役型受容体(GPCR)である。GPRg1bタンパク質は、後述の実施例4に示すように、摂食機能を司る視床下部以外にも、様々な組織で発現している。
GPRg1bタンパク質は、後述の実施例3に示すように、前記GPRg1タンパク質と高い相同性(46%)を有しており、GPRg1タンパク質及びGPRg1bタンパク質には、生体内の同一生理活性物質が結合すると考えられる。
本発明による、「配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも、GPRg1及びGPRg1bに結合する生体内生理活性物質が結合するポリペプチド」には、例えば、配列番号4で表されるアミノ酸配列のN末端及び/又はC末端に、適当なマーカー配列等を付加したポリペプチド(但し、GPRg1及びGPRg1bに結合する生体内生理活性物質が結合することが必要)を挙げることができる。
本願優先日後に公開されたWO02/06466(2002年1月24日公開)には、配列番号4で表されるアミノ酸配列が記載されている。しかし、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドを取得したことは記載されておらず、産業上の利用可能性としては、リガンドの決定、抗体および抗血清の入手、組換え型レセプター蛋白質の発現系の構築等の漠然とした用途が記載されているに過ぎず、摂食作用を特異的に抑制する物質のスクリーニングに有用であることは開示も示唆もない。
本発明において用いることのできるマーカー配列としては、ペプチドの発現の確認、細胞内局在の確認、あるいは、精製等を容易に行なうための配列を用いることができ、例えば、FLAGエピトープ、ヘキサーヒスチジン・タグ、ヘマグルチニン・タグ、又はmycエピトープなどを挙げることができる。
本発明のGPRg1bタンパク質群の起源は、ヒトに限定されない。例えば、本発明のGPRg1bタンパク質機能的等価改変体には、例えば、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドのヒトにおける天然のアレル変異体(但し、GPRg1及びGPRg1bに結合する生体内生理活性物質が結合することが必要)、あるいは、一塩基多型(SNP)などのアミノ酸置換で生じたポリペプチド(但し、GPRg1及びGPRg1bに結合する生体内生理活性物質が結合することが必要)が含まれるだけでなく、ヒト以外の生物[例えば、ヒト以外の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、又はイヌ)]由来の天然に存在する機能的等価改変体が含まれる。また、これらの天然のポリペプチド、特には、配列番号4で表されるアミノ酸配列を基にして遺伝子工学的に人為的に改変したポリペプチドなどが含まれる。
本発明のGPRg1bタンパク質相同ポリペプチドは、配列番号4で表されるアミノ酸配列との相同性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、GPRg1及びGPRg1bに結合する生体内生理活性物質が結合するポリペプチドである限り、特に限定されるものではないが、本発明のGPRg1bタンパク質相同ポリペプチドとしては、配列番号4で表されるアミノ酸配列との相同性が、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上であるアミノ酸配列を有し、しかも、GPRg1及びGPRg1bに結合する生体内生理活性物質が結合するポリペプチドが好ましい。
本発明には、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの部分断片であって、しかも、GPRg1及びGPRg1bに結合する生体内生理活性物質が結合する部分断片も含まれる。
本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである限り、特に限定されるものではない。本発明のポリヌクレオチドには、具体的には、
「配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド(GPRg1タンパク質)」をコードするポリヌクレオチド;
「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、しかも、細胞内Ca2+増加活性及び/又は細胞内cAMP減少活性を示すポリペプチド」をコードするポリヌクレオチド;
「GPRg1タンパク質機能的等価改変体」をコードするポリヌクレオチド;
「GPRg1タンパク質相同ポリペプチド」をコードするポリヌクレオチド;
「配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの部分断片であって、しかも、細胞内Ca2+増加活性及び/又は細胞内cAMP減少活性を示すポリペプチド」をコードするポリヌクレオチド;
「配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド(GPRg1bタンパク質)」をコードするポリヌクレオチド;
「配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも、GPRg1及びGPRg1bに結合する生体内生理活性物質が結合するポリペプチド」をコードするポリヌクレオチド;
「GPRg1bタンパク質機能的等価改変体」をコードするポリヌクレオチド;
「GPRg1bタンパク質相同ポリペプチド」をコードするポリヌクレオチド;
あるいは、「配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの部分断片であって、しかも、GPRg1及びGPRg1bに結合する生体内生理活性物質が結合するポリペプチド」をコードするポリヌクレオチド
が含まれる。
本発明のポリヌクレオチドとしては、配列番号2又は4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが好ましく、配列番号1又は3で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドがより好ましい。
なお、本明細書における用語「ポリヌクレオチド」には、DNA及びRNAの両方が含まれる。
本発明のポリヌクレオチドの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、(1)PCRを用いた方法、(2)常法の遺伝子工学的手法(すなわち、cDNAライブラリーで形質転換した形質転換株から、所望のcDNAを含む形質転換株を選択する方法)を用いる方法、又は(3)化学合成法などを挙げることができる。以下、各製造方法について、順次、説明する。
PCRを用いた方法では、例えば、以下の手順により、本発明のポリヌクレオチドを製造することができる。
すなわち、本発明のポリペプチドを産生する能力を有するヒト細胞又は組織(例えば、脳・視床下部又は胎児脳)からmRNAを抽出する。次いで、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの塩基配列に基づいて、本発明のポリペプチドに相当するmRNAの全長を挟むことのできる2個1組のプライマーセット、あるいは、その一部のmRNA領域を挟むことのできる2個1組のプライマーセットを作成する。逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を行なうことにより、本発明のポリペプチドの全長cDNA又はその一部を得ることができる。
常法の遺伝子工学的手法を用いる方法では、例えば、以下の手順により、本発明のポリヌクレオチドを製造することができる。
まず、前記のPCRを用いた方法で調製したmRNAを鋳型として、逆転写酵素を用いて1本鎖cDNAを合成した後、この1本鎖cDNAから2本鎖cDNAを合成する。
次に、前記2本鎖cDNAを含む組換えプラスミドを作製した後、大腸菌(例えば、DH5α株)に導入して形質転換させ、例えば、テトラサイクリン又はアンピシリンに対する薬剤耐性を指標として、組換体を選択する。
このようにして得られる形質転換株から、目的のcDNAを有する形質転換株を選択する方法としては、例えば、以下に示す(1)合成オリゴヌクレオチドプローブを用いるスクリーニング法、(2)PCRにより作製したプローブを用いるスクリーニング法を採用することができる。
合成オリゴヌクレオチドプローブを用いるスクリーニング法では、例えば、以下の手順により、目的のcDNAを有する形質転換株を選択することができる。
すなわち、本発明のポリペプチドの全部又は一部に対応するオリゴヌクレオチドを合成し、これをプローブ(32P又は33Pで標識する)として、形質転換株のDNAを変性固定したニトロセルロースフィルターとハイブリダイズさせ、得られた陽性株を検索して、これを選択する。なお、プローブ用のオリゴヌクレオチドを合成する場合には、コドン使用頻度を用いて導いたヌクレオチド配列とすることもできるし、あるいは、考えられるヌクレオチド配列を組合せた複数個のヌクレオチド配列とすることもできる。後者の場合には、イノシンを含ませてその種類を減らすことができる。
PCRにより作製したプローブを用いるスクリーニング法では、例えば、以下の手順により、目的のcDNAを有する形質転換株を選択することができる。
すなわち、本発明のポリペプチドの一部に対応するセンスプライマー及びアンチセンスプライマーの各オリゴヌクレオチドを合成し、これらを組合せてPCRを行ない、目的ポリペプチドの全部又は一部をコードするDNA断片を増幅する。ここで用いる鋳型DNAとしては、本発明のポリペプチドを産生する細胞のmRNAより逆転写反応にて合成したcDNA、又はゲノムDNAを用いることができる。このようにして調製したDNA断片を、例えば、32P又は33Pで標識し、これをプローブとして用いてコロニーハイブリダイゼーション又はプラークハイブリダイゼーションを行なうことにより、目的のcDNAを有する形質転換株を選択する。
得られた目的の形質転換株より本発明のポリヌクレオチドを採取する方法は、公知の方法(例えば、▲3▼Maniatis,T.ら,″Molecular Cloning−A Laboratory Manual″,Cold Spring Harbor Laboratory,NY,1982)に従って実施することができる。例えば、細胞よりプラスミドDNAに相当する画分を分離し、得られたプラスミドDNAからcDNA領域を切り出すことにより行なうことができる。
化学合成法を用いた方法では、例えば、化学合成法によって製造したDNA断片を結合することによって、本発明のポリヌクレオチドを製造することができる。各DNAは、DNA合成機[例えば、Oligo 1000M DNA Synthesizer(Beckman社製)、又は394DNA/RNA Synthesizer(Applied Biosystems社製)など]を用いて合成することができる。
また、本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドの情報に基づいて、例えば、ホスファイト・トリエステル法(Humkapiller,Mら,Nature,10,105−111,1984)等の常法に従い、核酸の化学合成により製造することもできる。なお、所望アミノ酸に対するコドンは、それ自体公知であり、その選択も任意でよく、例えば、利用する宿主のコドン使用頻度を考慮して、常法に従って決定することができる(Crantham,Rら,Nucleic Acids Res.,8,r43−r74,1981)。更に、これら塩基配列のコドンの一部改変は、常法に従い、所望の改変をコードする合成オリゴヌクレオチドからなるプライマーを利用した部位特異的突然変異誘発法(site specific mutagenesis)(Mark,D.F.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81,5662−5666,1984)等により実施することができる。
これまで述べた種々の方法により得られるDNAの配列決定は、例えば、マキサム−ギルバートの化学修飾法(Maxam,A.M.及びGilbert,W.,″Methods in Enzymology″,65,499−559,1980)やジデオキシヌクレオチド鎖終結法(Messing,J.及びVieira,J.,Gene,19,269−276,1982)等により行なうことができる。
単離された本発明のポリヌクレオチドを、適当なベクターDNAに再び組込むことにより、宿主細胞(好ましくは真核生物、特に好ましくは293−EBNA細胞)を形質転換させることができる。また、これらのベクターに適当なプロモーター及び形質発現にかかわる配列を導入することにより、それぞれの宿主細胞においてポリヌクレオチドを発現させることが可能である。
本発明者は、本発明のポリペプチドのN末端にシグナルシークエンスを付加することが可能な発現ベクターを用いることにより、本発明のポリペプチドを細胞膜に過剰発現させることを可能とした。本発明の発現ベクターは、本発明のポリヌクレオチドを含む限り、特に限定されるものではなく、例えば、用いる宿主細胞に応じて適宜選択した公知の発現ベクターに、本発明のポリヌクレオチドを挿入することにより得られる発現ベクターを挙げることができる。
また、本発明者は、293−EBNA細胞を用いることにより、本発明のポリペプチドを細胞膜に過剰発現させることを可能とした。本発明の細胞も、本発明の前記発現ベクターで形質転換され、本発明のポリヌクレオチドを含む限り、特に限定されるものではなく、例えば、本発明のポリヌクレオチドが、宿主細胞の染色体に組み込まれた細胞であることもできるし、あるいは、本発明によるポリヌクレオチドを含む発現ベクターの形で含有する細胞であることもできる。また、本発明のポリペプチドを発現している細胞であることもできるし、あるいは、本発明のポリペプチドを発現していない細胞であることもできる。本発明の細胞は、例えば、本発明の発現ベクターにより、所望の宿主細胞を形質転換することにより得ることができる。
例えば、真核生物の宿主細胞には、脊椎動物、昆虫、及び酵母等の細胞が含まれ、脊椎動物細胞としては、例えば、サルの細胞であるCOS細胞(Gluzman,Y.,Cell,23,175−182,1981)、チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞(CHO)のジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株(Urlaub,G.及びChasin,L.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77,4216−4220,1980)、ヒト胎児腎臓由来HEK293細胞、及び前記HEK293細胞にエプスタイン・バーウイルスのEBNA−1遺伝子を導入した293−EBNA細胞(Invitrogen社)等を挙げることができる。
脊椎動物細胞の発現ベクターとしては、通常発現しようとするポリヌクレオチドの上流に位置するプロモーター、RNAのスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写終結配列等を有するものを使用することができ、更に必要により、複製起点を有していることができる。前記発現ベクターの例としては、例えば、SV40の初期プロモーターを有するpSV2dhfr(Subramani,Sら,Mol.Cell.Biol.,1,854−864,1981)、ヒトの延長因子プロモーターを有するpEF−BOS(▲4▼Mizushima,S.及びNagata,S.,Nucleic Acids Res.,18,5322,1990)、サイトメガロウイルスプロモーターを有するpCEP4(Invitrogen社)等を挙げることができる。また、発現しようとするポリペプチドの上流に、細胞外への分泌シグナル配列(シグナルシークエンス)、例えば、インフルエンザヘマグルチニンシグナルシークエンスをインフレームで融合することができるようにデザインした発現ベクターを用いることもできる(J.Biol.Chem.,267,21995−21998,1992)。このような発現ベクターとして、例えば、前記pEF−BOSに、シグナルシークエンス及びFLAGエピトープをコードする配列を導入したプラスミド(pEF−BOS signal sequence flag plasmid)を用いることができる。
宿主細胞として293−EBNA細胞を用いる場合には、発現ベクターとして、エプスタイン・バーウイルスの複製起点を有し、293−EBNA細胞で自己増殖が可能なpCEP4(Invitrogen社)などを用いることができる。
また、宿主細胞としてCOS細胞を用いる場合には、発現ベクターとして、SV40複製起点を有し、COS細胞において自律増殖が可能であり、更に、転写プロモーター、転写終結シグナル、及びRNAスプライス部位を備えたものを用いることができ、例えば、pME18S(Maruyama,K.及びTakebe,Y.,Med.Immunol.,20,27−32,1990)、pEF−BOS(前述▲4▼Mizushima,S.ら)、又はpCDM8(Seed,B.,Nature,329,840−842,1987)等を挙げることができる。
前記発現ベクターは、例えば、DEAE−デキストラン法(Luthman,H.及びMagnusson,G.,Nucleic Acids Res.,11,1295−1308,1983)、リン酸カルシウム−DNA共沈殿法(Graham,F.L.及びvan der Ed,A.J.,Virology,52,456−457,1973)、市販の遺伝子導入試薬(例えば、FuGENETM6 Transfection Reagent;Roche Diagnostics社製)を用いた方法、あるいは、電気パスル穿孔法(Neuman,E.ら,EMBO J.,1,841−845,1982)等により、COS細胞に取り込ませることができる。
更に、宿主細胞としてCHO細胞を用いる場合には、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターと共に、G418耐性マーカーとして機能するneo遺伝子を発現することのできるベクター、例えば、pRSVneo(Sambrook,J.ら,″Molecular Cloning−A Laboratory Manual″,Cold Spring Harbor Laboratory,NY,1989)又はpSV2−neo(Southern,P.J.及びBerg,P.,J.Mol.Appl.Genet.,1,327−341,1982)等をコ・トランスフェクトし、G418耐性のコロニーを選択することにより、本発明のポリペプチドを安定に産生する形質転換細胞を得ることができる。
本発明の細胞は、常法に従って培養することができ、前記培養により細胞表面に本発明のポリペプチドが生産される。前記培養に用いることのできる培地としては、採用した宿主細胞に応じて慣用される各種の培地を適宜選択することができる。例えば、COS細胞の場合には、例えば、RPMS−1640培地又はダルベッコ修正イーグル最小必須培地(DMEM)等の培地に、必要に応じて牛胎仔血清(FBS)等の血清成分を添加した培地を使用することができる。また、293−EBNA細胞の場合には、牛胎仔血清(FBS)等の血清成分を添加したダルベッコ修正イーグル最小必須培地(DMEM)等の培地にG418を加えた培地を使用することができる。
本発明の細胞を培養することにより、前記細胞の細胞表面に生産される本発明のポリペプチドは、前記ポリペプチドの物理的性質や生化学的性質等を利用した各種の公知の分離操作法により、分離精製することができる。具体的には、例えば、本発明のポリペプチドを表面に発現した細胞を培養し、これらをバッファーに懸濁した後、ホモジナイズし、遠心分離することにより、本発明のポリペプチドを含む細胞膜画分を得ることができる。得られた細胞膜画分を可溶化した後、通常のタンパク質沈殿剤による処理、限外濾過、各種液体クロマトグラフィー[例えば、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換体クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等]、若しくは透析法、又はこれらの組合せ等により、本発明のポリペプチドを精製することができる。なお、細胞膜画分を可溶化する際には、できるだけ緩和な可溶化剤(例えば、CHAPS,Triton X−100,又はジキトニン等)を用いることにより、可溶化後も受容体の特性を保持することができる。
本発明のポリペプチドは、マーカー配列とインフレームで融合して発現させることにより、本発明のポリペプチドの発現の確認、細胞内局在の確認、又は精製等が容易になる。前記マーカー配列としては、例えば、FLAGエピトープ、ヘキサーヒスチジン・タグ、ヘマグルチニン・タグ、又はmycエピトープなどを挙げることができる。また、マーカー配列と本発明のポリペプチドとの間に、プロテアーゼ(例えば、エンテロキナーゼ、ファクターXa、又はトロンビンなど)が認識する特異的なアミノ酸配列を挿入することにより、マーカー配列部分をこれらのプロテアーゼにより切断除去することが可能である。例えば、ムスカリンアセチルコリン受容体とヘキサーヒスチジン・タグとをトロンビン認識配列で連結した報告がある(Hayashi,M.K.及びHaga,T.,J.Biochem.,120,1232−1238,1996)。
本発明の細胞の内、GPRg1タンパク質群を発現している細胞、又はその細胞膜を用いると、本発明のGPRg1タンパク質群の活性を制御可能な物質をスクリーニングすることができる。本発明のポリペプチドの1つであるGPRg1タンパク質は、先に述べたように、摂食機能を司る視床下部に発現しており、摂食機能を司るGPCRであると考えられる。従って、GPRg1タンパク質の活性を制御することのできる物質は、摂食障害及び/又は肥満症の治療及び/又は予防剤の有効成分として有用である。従って、本発明の細胞の内、GPRg1タンパク質群を発現している細胞、又はその細胞膜それ自体を、摂食障害及び/又は肥満症治療用物質のスクリーニングツールとして使用することができる。以下、「GPRg1タンパク質群を発現している細胞」を、本発明のスクリーニング用細胞と称する。
本発明の摂食障害及び/又は肥満症治療用物質スクリーニングツールを用いてスクリーニングにかけることのできる試験物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ケミカルファイルに登録されている種々の公知化合物(ペプチドを含む)、コンビナトリアル・ケミストリー技術(Terrett,N.K.ら,Tetrahedron,51,8135−8137,1995)によって得られた化合物群、あるいは、ファージ・ディスプレイ法(Felici,F,ら,J.Mol.Biol.,222,301−310,1991)などを応用して作成されたランダム・ペプチド群を用いることができる。また、微生物の培養上清、植物若しくは海洋生物由来の天然成分、又は動物組織抽出物などもスクリーニングの試験物質として用いることができる。更には、本発明の摂食障害及び/又は肥満症治療用物質スクリーニングツールにより選択された化合物(ペプチドを含む)を、化学的又は生物学的に修飾した化合物(ペプチドを含む)を用いることができる。
本発明の摂食障害及び/又は肥満症治療用物質スクリーニング方法は、受容体として機能するように本発明のGPRg1タンパク質群(好ましくはGPRg1タンパク質)を発現している細胞又はその細胞膜と、試験物質とを接触させる工程、及び前記GPRg1タンパク質群が活性化されるか否かを分析する工程を含む限り、特に限定されるものではないが、例えば、GqとGiとのキメラタンパク質(例えば、Gqi5)、又はGqを利用するスクリーニング方法を挙げることができる。
GqとGiとのキメラタンパク質、又はGqを利用して、摂食障害及び/又は肥満症治療剤の有効成分として有用な、本発明のGPRg1タンパク質群の活性を制御する物質をスクリーニングする場合には、本発明のスクリーニング用細胞として、例えば、(1)GPRg1タンパク質群をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターと、(2)Gαタンパク質の一種であるGqとGiとのキメラタンパク質(例えば、Gqi5)、又はGqをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターと、(3)血清応答配列(SRE)の下流にレポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ)を連結したプラスミドとを、3者同時に遺伝子導入した動物細胞(例えば、HEK293−EBNA細胞)を用いることができる。
前記の本発明のスクリーニング用細胞と、試験物質とを接触させ、前記細胞内のルシフェラーゼ活性を分析(すなわち、測定又は検出)することにより、GPRg1タンパク質群が活性化されるか否かを分析する。本発明のスクリーニング用細胞と試験物質とを接触させた場合に、前記細胞内のルシフェラーゼ活性が上昇すれば、前記試験物質は、本発明のGPRg1タンパク質群に対するアゴニストであると判定することができる。一方、本発明のスクリーニング用細胞と試験物質とを接触させた場合に、前記細胞内のルシフェラーゼ活性が抑制されば、前記試験物質は、本発明のGPRg1タンパク質群に対するアンタゴニストであると判定することができる。
なお、コントロールとして、本発明のスクリーニング用細胞の代わりに、(1)GPRg1タンパク質群をコードするポリヌクレオチドを含まないコントロール用ベクターと、(2)GqとGiとのキメラタンパク質、又はGqをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターと、(3)SREの下流にレポーター遺伝子を連結したプラスミドとを、3者同時に遺伝子導入したコントロール用細胞を用いて同様の操作を行ない、前記試験物質によりこれらのコントロール用細胞内のルシフェラーゼ活性が上昇又は抑制しないことを確認することが好ましい。
GqとGiとのキメラタンパク質、又はGqを利用するスクリーニング方法は、より具体的には、後述の実施例5に示す条件に準じて実施することが好ましい。すなわち、コラーゲンタイプIをコーティングした24ウェルプレート(例えば、Collagen−TypeI−Coated 24 well plate;ASAHI TECHNO GLASS社)に、HEK293−EBNA細胞を1ウェル当たり7x10細胞となるように播種し、24時間培養した後、(1)プラスミドpEF−BOS−SSF−GPRg1又はプラスミドpEF−BOS(コントロールとしての空ベクター)(1ウェル当たり100ng)と、(2)各プラスミドpEF−BOS−Gqi5、pEF−BOS−Gqo、pEF−BOS−Gqs、pEF−BOS−Gq、又はpEF−BOS−G15のいずれか1種類のプラスミド(1ウェル当たり100ng)と、(3)プラスミドpSRE−luc(STRATAGENE社)(1ウェル当たり20ng)とを、遺伝子導入試薬(例えば、FuGENETM6 Transfection Reagent;Roche Diagnostics社製)を用いて、3者同時に遺伝子導入する。遺伝子導入直後に、あるいは、遺伝子導入から所定時間(例えば、18時間)経過した後に、試験物質を添加し、遺伝子導入から24時間経過した後、培地を廃棄し、ルシフェラーゼ・アッセイシステム(和光純薬社)の方法に従い、細胞内ルシフェラーゼ活性を測定する。なお、使用した各プラスミドの詳細については、後述の実施例5を参照されたい。
また、前記GPRg1タンパク質群(好ましくはGPRg1タンパク質)を発現している細胞と併せて、本発明のGPRg1bタンパク質群(好ましくはGPRg1bタンパク質)を発現している細胞を用いると、GPRg1タンパク質群の活性を制御することのできる物質であって、しかも、GPRg1bタンパク質群の活性に影響を与えない(すなわち、GPRg1bタンパク質群の活性化及び阻害を行なわない)物質をスクリーニングすることができる。このような物質は、摂食機能のみを特異的に制御することができるため、摂食障害及び/又は肥満症治療用物質として、より好ましい物質である。
なお、GPRg1bタンパク質群の活性に影響を与えない物質は、例えば、GPRg1bタンパク質群を用いた結合実験により、GPRg1bタンパク質群に結合する物質を除外することによって選択することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、特に断りのない場合には、公知の方法(前述▲3▼Maniatis,Tら,″Molecular Cloning−A Laboratory Manual″)に従って、実施可能である。
《実施例1 新規GPCRタンパク質をコードする遺伝子の単離》
本発明の新規GPCRタンパク質(GPRg1及びGPRg1b)をコードする全長cDNAは、以下に示す手順に従って、PCRにより取得した。
まず、本発明の新規GPCRタンパク質GPRg1をコードするcDNAの増幅には、ヒト脳の視床下部由来のcDNAを鋳型として用いた。ヒト脳の視床下部由来の鋳型cDNAは、前記組織由来のmRNA(Clontech社)を購入し、逆転写反応用試薬(Super Script;GIBCO社)を用いて逆転写反応を行なうことにより調製した。また、フォワードプライマーとして、配列番号5で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして、配列番号6で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、パイロベストDNAポリメラーゼ(Pyrobest DNA polymerase;宝酒造社)を用い、5%ホルムアミド存在下で、94℃(2分間)の後、96℃(5秒間)及び72℃(1.5分間)からなるサイクルを5回、96℃(5秒間)及び70℃(1.5分間)からなるサイクルを5回、並びに96℃(5秒間)及び68℃(1.5分間)からなるサイクルを20回繰り返すことにより実施した。
その結果、約1.1kbpのDNA断片が増幅された。この断片をプラスミドpCR2.1(Invitrogen社)を用いてクローニングした。得られたクローンの塩基配列を、ジデオキシターミネーター(dideoxy terminator)法により、DNAシークエンサー(ABI377 DNA Sequencer;Applied Biosystems社)を用いて解析したところ、配列番号1で表される塩基配列が得られた。
この塩基配列は、1062塩基からなるオープンリーディングフレーム(配列番号1で表される塩基配列の1番目〜1062番目)を有する。このオープンリーディングフレームから予測されるアミノ酸配列(アミノ酸残基数=353個)は、配列番号2で表されるアミノ酸配列である。得られた予想アミノ酸配列は、GPCRの特徴である7個の膜貫通ドメインと思われる疎水性領域を有していることから、本遺伝子がGPCRをコードすることが判明した。
本発明の新規GPCRタンパク質GPRg1bをコードするcDNAの増幅には、ヒト精巣由来のcDNA(Marathon Ready cDNA;Clontech社)を鋳型として用いた。また、フォワードプライマーとして、配列番号7で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして、配列番号8で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、パイロベストDNAポリメラーゼ(Pyrobest DNA polymerase;宝酒造社)を用い、94℃(2分間)の後、96℃(5秒間)及び72℃(1.5分間)からなるサイクルを5回、96℃(5秒間)及び70℃(1.5分間)からなるサイクルを5回、並びに96℃(5秒間)及び68℃(1.5分間)からなるサイクルを20回繰り返すことにより実施した。
その結果、約1.1kbpのDNA断片が増幅された。この断片をプラスミドpCR2.1(Invitrogen社)を用いてクローニングした。得られたクローンの塩基配列を、ジデオキシターミネーター法により、DNAシークエンサー(ABI377 DNA Sequencer;Applied Biosystems社)を用いて解析したところ、配列番号3で表される塩基配列が得られた。
この塩基配列は、1125塩基からなるオープンリーディングフレーム(配列番号1で表される塩基配列の1番目〜1125番目)を有する。このオープンリーディングフレームから予測されるアミノ酸配列(アミノ酸残基数=374個)は、配列番号4で表されるアミノ酸配列である。得られた予想アミノ酸配列は、GPCRの特徴である7個の膜貫通ドメインと思われる疎水性領域を有していることから、本遺伝子がGPCRをコードすることが判明した。
《実施例2 新規GPCRタンパク質(GPRg1及びGPRg1b)のアミノ酸配列でのSWISS−PROTに対するBLAST検索》
実施例1で得られた、本発明の新規GPCRタンパク質GPRg1のアミノ酸配列でのSWISS−PROTに対するBLAST(Basic local alignment search tool;S.F.Altschulら,J.Mol.Biol.,215,403−410,1990)検索を行なった。GPRg1タンパク質は、既知GPCRの中では、ノシセプチン(NOCICEPTIN)受容体(P47748;アミノ酸残基数=370個)に対して最も高い相同性(20%)を示したが、アミノ酸配列が同一の分子は存在しなかった。この結果から、GPRg1タンパク質が新規GPCRであることが判明した。
同様に、本発明の新規GPCRタンパク質GPRg1bのアミノ酸配列でのSWISS−PROTに対するBLAST検索を行なった。GPRg1bタンパク質は、既知GPCRの中では、B1ブラジキニン(B1 BRADYKININ)受容体(P48748;アミノ酸残基数=352個)に対して最も高い相同性(25%)を示したが、アミノ酸配列が同一の分子は存在しなかった。この結果から、GPRg1bタンパク質が新規GPCRであることが判明した。
《実施例3 GPRg1タンパク質及びGPRg1bタンパク質のアラインメント解析》
GPRg1タンパク質及びGPRg1bタンパク質のアミノ酸配列での相同性を解析するために、BLASTパッケージ[sgi32bit版,バージョン2.0.12;National Center for Biotechnology Information(NCBI)より入手]のbl2seqプログラム(Tatiana A.Tatusova,Thomas L.Madden,FEMS Microbiol Lett.,174,247−250,1999)のデフォルトパラメーターに従って解析を行なった。[デフォルトパラメーターは既に9頁後半部分で説明済であることより、ここの箇所は削除しました。]
その結果、GPRg1タンパク質とGPRg1bタンパク質とは、46%と高い相同性を有することが判明した。GPRg1タンパク質及びGPRg1bタンパク質には、生体内の同一生理活性物質が結合すると考えられる。
《実施例4 ヒト組織におけるGPRg1遺伝子及びGPRg1b遺伝子の発現分布》
GPRg1遺伝子の組織発現分布を解析するために、実施例1と同様に、市販のヒト各組織由来のmRNA(Clontech社)を購入し、逆転写反応用試薬(Super Script;GIBCO社)を用いて逆転写反応を行なうことにより、ヒト各組織由来cDNAを調製した。合成された各cDNAを鋳型とし、5%ジメチルスルホキシド(DMSO)存在下で、Tag DNAポリメラーゼ(SIGMA)を用いてPCRを行なった。フォワードプライマーとして、配列番号9で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして、配列番号10で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCR条件は、94℃(30秒間)、55℃(30秒間)、及び72℃(1分間)からなるサイクルを40回繰り返した。
その結果、約0.5kbpのDNA断片が、摂食機能を司ることが知られている視床下部、全脳、及び胎児脳に由来する各cDNAで増幅された。一方、脳梁、小脳、前頭葉、心臓、胎盤、肺、気管支、肝臓、骨格筋、腎臓、すい臓、小腸、胃、脾臓、骨髄、胸腺、甲状腺、唾液腺、副腎、乳腺、前立腺、精巣、子宮、胎児腎臓、胎児肝臓、及び胎児肺由来の各cDNAでは、増幅が確認されなかった。
GPRg1b遺伝子の組織発現分布を解析するために、GPRg1遺伝子の組織発現分布を解析するために先に調製したヒト各組織由来cDNAを鋳型とし、LA−Taq DNAポリメラーゼ(宝酒造社)を用いてPCRを行なった。フォワードプライマーとして、配列番号11で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして、配列番号12で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCR条件は、94℃(2分間)の後、94℃(30秒間)、50℃(30秒間)、及び72℃(1分間)からなるサイクルを35回繰り返した。
その結果、約0.5kbpのDNA断片が、扁桃核、尾状核、海馬、脳梁、黒質、視床、小脳、前頭葉、視床下部、脊髄、脳下垂体、全脳、心臓、胎盤、肺、気管支、肝臓、骨格筋、腎臓、すい臓、小腸、胃、脾臓、骨髄、胸腺、甲状腺、唾液腺、副腎、乳腺、前立腺、精巣、子宮、胎児脳、胎児腎臓、胎児肝臓、及び胎児肺に由来するcDNAで増幅された。この結果から、GPRg1bは、摂食機能に関連しない様々な組織で発現していることが判明した。
《実施例5 HEK293−EBNA細胞におけるGPRg1タンパク質の発現による細胞内情報伝達系の解析》
実施例1でクローニングしたGPRg1の全長cDNAを、フォワードプライマーとして、配列番号13で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして、配列番号14で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いて、パイロベストDNAポリメラーゼ(宝酒造社)によるPCRを行なうことにより増幅した。PCR産物を制限酵素XbaI及びSpeIで処理し、pEF−BOS(前述▲4▼Mizushima,S及びら)のXbaI部位に挿入した(以下、得られたプラスミドを、プラスミドpEF−BOS−SSF−GPRg1と称する)。前記プラスミドpEF−BOS−SSF−GPRg1によれば、N末端にシグナルシークエンスを付加したGPRg1タンパク質を発現させることができるため、目的ポリペプチドを細胞膜に高頻度に発現させることができる。
一方、Gαタンパク質の一種であるGqとGiとのキメラタンパク質Gqi5を、Conklin,B.R.らの方法(▲5▼Nature,363,274−276,1993)に従って、Gq(GenBank Acc No.XM_040974)のC末端側の5アミノ酸(EYNLV;配列番号15)をGiのC末端の5アミノ酸(DCGLF;配列番号16)に置換することにより構築し、pEF−BOSにクローニングした(以下、構築したプラスミドを、プラスミドpEF−BOS−Gqi5と称する)。同様の方法で、GqとGoとのキメラタンパク質Gqo、GqとGsとのキメラタンパク質Gqs、Gq、及びG15(Genbank Acc No.BCO11098)についても、それぞれ、プラスミドpEF−BOSにクローニングした(得られた各プラスミドを、pEF−BOS−Gqo、pEF−BOS−Gqs、pEF−BOS−Gq、及びpEF−BOS−G15と称する)。
具体的には、プラスミドpEF−BOS−Gqi5は、鋳型として、GqをコードするcDNAを含むプラスミド(前述▲5▼Nature)を、フォワードプライマーとして、配列番号17で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして、配列番号18で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物を、制限酵素SpeIで処理し、プラスミドpEF−BOSのXbaI部位に挿入することにより、調製した。
プラスミドpEF−BOS−Gqは、鋳型として、GqをコードするcDNAを含むプラスミドを、フォワードプライマーとして、配列番号17で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして、配列番号19で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物を、制限酵素SpeIで処理し、プラスミドpEF−BOSのXbaI部位に挿入することにより、調製した。
プラスミドpEF−BOS−G15は、鋳型として、G15をコードするcDNAを含むプラスミドを、フォワードプライマーとして、配列番号20で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして、配列番号21で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物を、制限酵素XbaIで処理し、プラスミドpEF−BOSのXbaI部位に挿入することにより、調製した。
コラーゲンタイプIをコーティングした24ウェルプレート(Collagen−TypeI−Coated 24 well plate;ASAHI TECHNO GLASS社)に、HEK293−EBNA細胞(Invitrogen社)を1ウェル当たり7x10細胞となるように播種し、24時間培養した後、(1)プラスミドpEF−BOS−SSF−GPRg1又はプラスミドpEF−BOS(コントロールとしての空ベクター)(1ウェル当たり100ng)と、(2)各プラスミドpEF−BOS−Gqi5、pEF−BOS−Gqo、pEF−BOS−Gqs、pEF−BOS−Gq、又はpEF−BOS−G15のいずれか1種類のプラスミド(1ウェル当たり100ng)と、(3)プラスミドpSRE−luc(STRATAGENE社)(1ウェル当たり20ng)とを、遺伝子導入試薬(FuGENETM6 Transfection Reagent;Roche Diagnostics社製)を用いて、3者同時に遺伝子導入した。遺伝子導入から24時間経過した後、培地を廃棄し、ルシフェラーゼ・アッセイシステム(和光純薬社)の方法に従い、細胞内ルシフェラーゼ活性を測定した。
結果を図1に示す。図1に示すように、プラスミドpEF−BOS−SSF−GPRg1及びプラスミドpSRE−lucと一緒に、プラスミドpEF−BOS−Gqi5又はプラスミドpEF−BOS−Gqを導入した細胞では、細胞内ルシフェラーゼ活性が特異的に上昇しており、GPRg1タンパク質のセカンドメッセンジャーは、Ca2+上昇及び/又はcAMP抑制であることが判明した。
産業上の利用可能性
本発明のポリペプチド、それをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、及び前記発現ベクターを含む細胞は、摂食障害及び/又は肥満症治療剤として有効な物質のスクリーニングに有用である。
配列表フリーテキスト
以下の配列表の数字見出し<223>には、「Artifitial Sequence」の説明を記載する。具体的には、配列表の配列番号13、14、17〜21の配列で表される各塩基配列は、人工的に合成したプライマー配列である。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
図1はGPRg1タンパク質のレポーター活性を示すグラフである。得られた結果のルシフェラーゼ活性値をY軸に示す。
記号「Gqi5」は、プラスミドpEF−BOS−Gqi5を用いた場合の結果を意味し、記号「Gqo」は、プラスミドpEF−BOS−Gqoを用いた場合の結果を意味し、記号「Gqs」は、プラスミドpEF−BOS−Gqsを用いた場合の結果を意味し、記号「Gq」は、プラスミドpEF−BOS−Gqを用いた場合の結果を意味し、記号「G15」は、プラスミドpEF−BOS−G15を用いた場合の結果を意味する。

Claims (9)

  1. (1)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、しかも、(a)細胞において活性化されることにより、前記細胞内Ca2+量を増加させる活性、及び/又は(b)細胞において活性化されることにより、前記細胞内cAMP量を減少させる活性を示すポリペプチド、あるいは、
    (2)配列番号2で表されるアミノ酸配列の1〜5個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも、(a)細胞において活性化されることにより、前記細胞内Ca2+量を増加させる活性、及び/又は(b)細胞において活性化されることにより、前記細胞内cAMP量を減少させる活性を示すポリペプチド。
  2. 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
  3. 配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
  4. 請求の範囲1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  5. 請求の範囲4に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  6. 請求の範囲5に記載のベクターを含む細胞。
  7. 請求の範囲6に記載の細胞を培養する工程を含むことを特徴とする、請求の範囲1〜3のいずれか一項に記載のポリペプチドを製造する方法。
  8. 請求の範囲1又は2に記載のポリペプチドを発現している細胞又はその細胞膜と、試験物質とを接触させる工程、及び前記ポリペプチドが活性化されるか否かを分析する工程を含む前記ポリペプチドの活性を制御できる物質をスクリーニングする方法。
  9. (1)請求の範囲1又は2に記載のポリペプチドを発現している細胞又はその細胞膜と、試験物質とを接触させる工程、及び前記ポリペプチドが活性化されるか否かを分析する工程、および、
    (2)請求の範囲3に記載のポリペプチドを発現している細胞又はその細胞膜と、試験物質とを接触させる工程、及び前記ポリペプチドが活性化されるか否かを分析する工程を含む、請求の範囲1又は2に記載のポリペプチドの活性を制御できる物質であって、しかも、請求の範囲3に記載のポリペプチドの活性に影響を与えない物質をスクリーニングする方法。
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