JP2004120545A - フィードフォワード型歪補償増幅器の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電源投入時の消費電力を抑制し、動作を安定化することができるようにする。
【解決手段】歪検出ループL1では、主増幅器5で発生してその出力信号(マルチキャリア信号)Bに混入する歪成分が、分配器7において、差分信号Eとして検出される。この差分信号Eはベクトル調整器9で振幅,位相が調整され、誤差増幅器10で増幅されて分配器11に供給され、遅延線8からのマルチキャリア信号に混入している歪信号をキャンセルする。分配器7からの差信号Eのレベルが所定の値よりも大きくなる電源投入後の起動期間では、制御部14により、誤差増幅器10の電源電圧の供給を禁止し、歪検出ループL1が最適化すると、誤差増幅器10に電源電圧の供給を開始して、歪除去ループL2が最適化するようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】歪検出ループL1では、主増幅器5で発生してその出力信号(マルチキャリア信号)Bに混入する歪成分が、分配器7において、差分信号Eとして検出される。この差分信号Eはベクトル調整器9で振幅,位相が調整され、誤差増幅器10で増幅されて分配器11に供給され、遅延線8からのマルチキャリア信号に混入している歪信号をキャンセルする。分配器7からの差信号Eのレベルが所定の値よりも大きくなる電源投入後の起動期間では、制御部14により、誤差増幅器10の電源電圧の供給を禁止し、歪検出ループL1が最適化すると、誤差増幅器10に電源電圧の供給を開始して、歪除去ループL2が最適化するようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力信号を増幅する主増幅器と、この主増幅器で発生する歪、例えば、該入力信号をマルチキャリア信号とした場合などでの相互変調歪を補償するフィードフォワード(Feed Forward:以下、FFという)ループを備えた歪補償増幅器に係り、特に、そのFFループを最適化するための制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信用の基地局・中継局では、所定の周波数間隔で夫々適宜変調された複数の搬送波からなるマルチキャリア信号を、高周波増幅した後、無線送信するが、この高周波増幅に用いる増幅器の線形性が充分良好でないと、例えば、相互変調歪などの各種の歪が発生する。このため、マルチキャリア信号などの異なる周波数の複数搬送波からなる信号を増幅する増幅器に対しては、かかる信号の周波数帯域全体に亘って良好な線形性が要求される。
【0003】
いま、マルチキャリア信号を例として、マルチキャリア信号の増幅に適する超低歪増幅器を実現する手法の1つに、従来、FF増幅方式が知られている。これは、入力したマルチキャリア信号を主増幅器で増幅して出力する本線と、この主増幅器で増幅されたマルチキャリア信号からこの主増幅器で発生した歪成分を検出するFFループの歪検出ループと、この歪検出ループで検出された歪成分を用いて主増幅器で増幅されたマルチキャリア信号から歪成分を除去するFFループの歪補償ループとから構成されるものである。
【0004】
かかるFF増幅方式による歪補償増幅器(即ち、FF型歪補償増幅器)の従来例が、例えば、特開平7ー303050号公報や特開平8ー307161号公報に開示されているが、図5により、かかる従来のFF型歪補償増幅器の基本的な構成及びその動作について説明する。なお、1は入力端子、2は前置増幅器、3は分配器、4はベクトル調整器、5は主増幅器、6は遅延線、7は分配器、8は遅延線、9はベクトル調整器、10は誤差増幅器、11,12は分配器、13は出力端子、14は制御回路、15は検波器、16はパイロット信号送受信部である。
【0005】
同図において、入力端子1から前置増幅器2,分配器3,主増幅器5,分配器7,遅延線8,分配器11を通って出力端子13に至る信号経路が本線を形成するものである。この本線では、入力端子1からの入力信号(以下では、マルチキャリア信号とする)は、前置増幅器2で増幅され、分配器3で一部分配された後、可変減衰器と可変移相器とからなるベクトル調整器4を経由して主増幅器5に供給される。この主増幅器5で高周波増幅されたマルチキャリア信号は、分配器7で一部分配された後、遅延線8で所定の遅延量だけ遅延され、分配器11を通って出力端子13から出力される。
【0006】
かかる本線において、主増幅器5で良好な線形性が得られない場合、マルチキャリア信号で、例えば、相互変調が生じ、これによる歪(相互変調歪)などといった各種の歪が発生してマルチキャリア信号に混入する。かかる歪を除去するために、かかるFF型歪補償増幅器では、いずれもFFループの歪検出ループL1と歪除去ループL2とが設けられ、歪検出ループL1により、主増幅器5で発生してマルチキャリア信号に混入した歪成分を検出し、歪除去ループL2により、検出したかかる歪成分を用いて、マルチキャリア信号に混入している歪成分を除去するようにしている。
【0007】
歪検出ループL1は、本線でのベクトル調整器4及び主増幅器5と、遅延線6と、分配器3,7とから構成される。かかる構成の歪検出ループL1では、入力端子1から入力された図示する周波数スペクトルaのマルチキャリア信号Aが前置増幅器2で増幅されて分配器3に供給され、その一部が分配されて残りが本線に供給される。この分配された信号は、遅延線6で所定の遅延量だけ遅延された後、分配信号Cとして分配器7に供給される。この分配信号Cは、入力信号Aと同じ周波数スペクトルcを有している。
【0008】
この分配器7は、主増幅器5の歪成分が混入した図示するスペクトルbの出力信号Bを、その一部を分配して残りを本線の遅延線8に供給する分配機能とともに、この主増幅器5の出力信号Bの分配信号から遅延線6からの分配信号Cを互いに逆位相で加算する減算機能をも有している。そこで、分配器7では、主増幅器5の出力信号Bから分配されて信号(図示しないが、これを、以下、分配信号Dという)から遅延線6からの分配信号Cが減算される。この減算処理によって得られる差信号Eは歪除去ループL2の可変減衰器と可変移相器とからなるベクトル調整器9に供給される。
【0009】
ここで、分配器7から出力される差信号Eは検波器15でレベル検波され、制御部14はこの検波器15の検波出力を取り込んで、この検波出力レベルが最小となるように、ベクトル調整器4の減衰量や位相量を制御する。これにより、主増幅器5の出力信号Bからの分配器7による分配信号Dと遅延線6からの分配信号Cとが等しい振幅でかつ逆位相の関係となり、従って、分配器7から出力される差信号Eは、主増幅器5で発生する相互変調歪などの歪成分となる(かかる状態を、以下、歪検出ループL1が最適化されている、という)。
【0010】
歪除去ループL2は、本線での遅延線8と、ベクトル調整器9及び誤差増幅器10と、分配器7,11とから構成されるものである。かかる構成の歪除去ループL2では、分配器7で主増幅器5の出力信号Bのうちの分配信号D以外の信号、即ち、マルチキャリア信号Fが、遅延線8で所定の遅延量だけ遅延された後、分配器11に供給される。また、分配器7で得られた歪成分Eは、ベクトル調整器9を経由して誤差増幅器10に供給される。誤差増幅器10で増幅された図示する周波数スペクトルdの歪成分Gは分配器11に供給される。この分配器11は減算機能を有しており、遅延線8からのマルチキャリア信号Fから誤差増幅器10からの歪成分Gを減算する。これにより、主増幅器5で生じた歪を除去されたマルチキャリア信号Gが得られ、出力端子13から出力される。
【0011】
ここで、パイロット信号送受信部16は、上記のマルチキャリア信号とは異なる周波数帯のパイロット信号▲1▼を主増幅器5の出力端子に供給する。このパイロット信号▲1▼は分配器7で分配され、その一方は遅延線8を介して分配器11に供給され、他方はベクトル調整器9及び誤差増幅器10で処理されて分配器11に供給される。この分配器11では、遅延線8からのパイロット信号▲1▼と誤差増幅器10からのパイロット信号▲1▼とが減算処理される。分配器11の出力信号は、また、分配器12で一部分配され、これがパイロット信号送受信部16に供給される。このパイロット信号送受信部16では、分配器12からの信号からパイロット信号▲1▼が抽出され、そのレベルが検波される。制御部14は、この検波レベルを取り込んで、この検波レベルがゼロとなるように、ベクトル調整器9の減衰量と位相量とを制御する。
【0012】
かかる制御部14によるベクトル調整器9の制御により、遅延線8から分配器11に供給されるパイロット信号▲1▼と誤差増幅器10から分配器11に供給されるパイロット信号▲1▼とが等しい振幅で互いに逆位相の関係となるように、従って、誤差増幅器10から出力される歪成分Gと遅延線8からのマルチキャリア信号中の歪成分とが等しい振幅で互いに逆位相の関係となるように、ベクトル調整器9の減衰量及び位相量が設定されたことになり、出力端子13には、精度良く歪成分が除かれたマルチキャリア信号Hが得られることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上の構成の従来のFF型歪補償増幅器では、起動に際しては、電源の投入とともに、前置増幅器2や主増幅器5,誤差増幅器10に電源電圧が供給されるのであるが、かかる電源投入時では、ベクトル調整器4,9での減衰量や位相量はそのときの状況に応じた正しい値に設定されておらず、歪検出ループL1では、正常な歪検出動作が行われない。その後、制御部14が、検波器15の検波出力やパイロット信号送受信部16でのパイロット信号▲1▼の検波レベルに応じて、ベクトル調整器4での減衰量や位相量を制御するにつれて、歪検出ループL1が正常な歪検出を行なうようになり(即ち、歪検出ループL1が最適化されていき)、出力端子13から歪成分が除去されたマルチキャリア信号Hが得られるようになる。即ち、電源が投入されると、ベクトル調整器4,9での減衰量や位相量が所定の値に設定されるまでは、分配器11で歪成分を精度良く除去する正常動作が行なわれないことになる。この電源投入から歪検出ループL1が最適化するまでの期間を、以下、電源投入後の起動期間という。
【0014】
このような電源投入後の起動期間では、分配器7での分配信号Dと遅延線6からの分配信号Cとが同振幅,逆位相の関係とはならないため、分配器7からは歪成分にマルチキャリア信号が混入した大きな振幅の信号が出力されることになり、これがベクトル調整器9を介して誤差増幅器10に供給されることになる。このため、誤差増幅器10では、大振幅の信号が入力され、振幅が大きい分この誤差増幅器10での消費電力が増大化する。
【0015】
図6は従来のFF型歪補償増幅器の電源投入時からの消費電力の時間的変化を示す図であって、電源が投入されると(t=0)、消費電力が急激に増加し、しかる後、時間経過とともに減少していって、制御部14の制御により、ベクトル調整器4,9の減衰量や位相量が所定の値となっていって歪検出ループL1が最適化されるようになるにつれて、定常の消費電力に収束していく。
【0016】
このように、従来のFF型歪補償増幅器では、電源の投入とともに、消費電力が定常時よりも急激に増加するという問題があった。
【0017】
また、かかる電源投入後の起動期間では、誤差増幅器10からは、遅延線8からのマルチキャリア信号とは位相が正常でない大振幅の信号が出力されるので、歪補償が安定しないという問題もあった。
【0018】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、電源投入時の消費電力を抑制し、動作を安定化することができるようにしたフィードフォワード型歪補償増幅器を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、入力信号を主増幅器で増幅し、該主増幅器の出力信号から該主増幅器で生じた歪成分を検出する歪検出ループと、減衰量と位相量とを可変とするベクトル調整器で該歪成分の振幅と位相を調整し、該ベクトル調整器から出力される該歪成分を誤差増幅器で増幅し、該誤差増幅器から出力される該歪成分で該主増幅器の出力信号の歪成分を除去する歪除去ループとからなるフィードフォワード型歪補償増幅器であって、電源を投入してから該歪検出ループが最適化するまでの起動期間、該歪除去ループでの該誤差増幅器の動作を停止させるものである。
【0020】
また、同様のフィードフォワード型歪補償増幅器において、電源を投入してから歪検出ループが最適化するまでの起動期間、誤差増幅器の構成素子のバイアスを抑え、該誤差増幅器を流れる電流を抑制するものである。
【0021】
このように、電源を投入してから起動期間、誤差増幅器の動作を抑制することにより、誤差増幅器が高レベルの信号を増幅する動作をしなくなり、この誤差増幅器での高レベルの信号入力による消費電力の増大化を回避できるし、また、かかる高レベルの信号による歪補償動作の不安定化も回避できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明によるフィードフォワード型歪補償増幅器の制御方法の第1の実施形態を示すブロック図であって、14aは電源部、14bはメモリ部であり、図5に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0023】
同図において、起動時には、電源が投入されるとともに、制御部14がその電源部14aから前置増幅器2や主増幅器5に電源電圧を供給し、これらを動作状態にする。しかし、このとき、制御部14は、検波器15の検波レベルによって歪検出ループL1が最適化されてないと判定し、電源部14aからの誤差増幅器への電源電圧を禁止する。このため、誤差増幅器10は動作しない。
【0024】
即ち、電源の投入とともに、入力端子1から入力されるマルチキャリア信号Aは、前置増幅器2で増幅されて分配器3に供給され、図5に示した従来のフィードフォワード型歪補償増幅器と同様にして、分配器7からは、その減算処理動作により、差信号Eが出力される。しかし、このときには、分配器7での主増幅器5の出力信号Bからの分配信号Dと遅延線6からの分配信号Cとが等振幅,逆位相の関係となっておらず、歪検出ループL1が最適化されていないので、この差信号Eは主増幅器5で発生する歪成分以外の信号成分を含んでおり、高レベルの信号となっている。制御部14は、電源投入とともに、検波器15からのこの差信号Eの検波レベルをメモリ部14bに格納されている閾値と比較し、この比較の結果、差信号Eの検波レベルがこの閾値以下のときには、歪検出ループL1が最適化されていると判定するが、差信号Eの検波レベルがこの閾値を越えるときには、歪検出ループL1が最適化されていないと判定する。
【0025】
そこで、電源が投入されて歪検出ループL1が起動したときには、これが最適化されていないので、検波器15からの差信号Eの検波レベルがこの閾値を越えることになり、制御部14は歪検出ループL1が最適化されてないと判定して、電源部14aからの誤差増幅器10への電源電圧の供給を禁止する。
【0026】
制御部14は、また、電源の投入とともに、検波器15の検波出力レベルをもとに、これが最小となるように、ベクトル調整器4の減衰量や位相量を制御する。この制御により、ベクトル調整器4の減衰量や位相量が夫々所望とする値に近づいていき、これにより、検波器15の検波出力レベルも小さくなっていき、遂には、歪検出ループL1が最適化されてメモリ部14bに格納されている上記の閾値以下となる。
【0027】
そこで、制御部14は、歪検出ループL1が最適化されたと判定し、電源部14aから誤差増幅器10への電源電圧の供給を開始させる。これにより、誤差増幅器10は動作を開始する。
【0028】
ここで、電源投入から歪検出ループL1が最適化した誤差増幅器10に電源電圧が供給開始されるまでの期間を起動期間ということにすると、この起動期間では、誤差増幅器10の出力信号Gはゼロもしくはほぼゼロのレベルの信号となるから、分配器11では、上記の減算処理がほとんど行なわれず、ほぼ遅延線8からのマルチキャリア信号Fが出力端子13に得られることになる。
【0029】
このようにして、この第1の実施形態では、電源投入後の起動期間では、誤差増幅器10に電源電圧を供給せずに動作をさせないものであるから、この期間での誤差増幅器10の消費電力をなくすことができ、図2に実線で示すように、破線で示す従来のFF型歪補償増幅器に比べて、消費電力を大幅に低減することが可能となる。また、歪検出ループL1が最適化されていないかかる電源投入後の起動期間では、歪除去ループL2での分配器11への差信号Gの供給が遮断されるので、従来のFF型歪補償増幅器のようなかかる差信号Gを用いた減算処理に伴う歪補償動作の不安定化を回避することができ、電源投入時から歪補償動作の安定化を図ることができる。勿論、この起動期間では、分配器11で歪成分の減算処理が行なわれないから、歪補償は行なわれないことになるが、歪成分以外も含む大きなレベルの差信号Gを用いて減算処理がなされる場合よりも、動作が安定していることになり、より良好な出力マルチキャリア信号が出力端子13に得られることになる。
【0030】
なお、歪検出ループL1が最適化されていない電源投入後の起動期間でも、入力端子1からの入力マルチキャリア信号Aのレベルが充分低く、入力レベル検波器17の検波出力レベルが上記の閾値以下の場合には、誤差増幅器10への電源電圧の供給が、主増幅器5や前置増幅器2と同時に、電源投入とともに行なわれる。
【0031】
図3は図1における誤差増幅器10の電源電圧供給制御手段の一具体例を示す回路図であって、17はFET(電界効果型トランジスタ)、18は制御端子、19は出力端子である。
【0032】
同図において、この具体例はFET17をスイッチング素子として用いたものであって、そのゲートが制御端子18に接続され、検波器15(図1)の検波出力が制御信号としてこの制御端子18に供給される。このFET17のドレインには、電源部14a(図1)から誤差増幅器10用の電源電圧Vccが供給され、FET17のソースが出力端子19に接続されている。この出力端子19の出力電圧が、誤差増幅器10の電源電圧となる。
【0033】
かかる構成においては、ゲート・ドレイン間の抵抗20aとゲート・制御端子18間の抵抗20bとがメモリ部14bの一部に相当し、これら抵抗20a,20bにより、制御端子18の入力制御電圧(検波器15の検波出力)が上記閾値以下のとき、FET17がオンし、制御端子18の入力制御電圧が上記閾値を越えるとき、FET17がオフする。
【0034】
そこで、歪検出ループL1が最適化されず、制御端子18の入力制御電圧が上記閾値を越えるときには、FET17がオフし、その出力端子19での出力電圧はゼロとなり、この結果、誤差増幅器10は、電源電圧が供給されず、動作しない。また、歪検出ループL1が最適化され、制御端子18の入力制御電圧が上記閾値以下となると、FET17がオンし、電源部14a(図1)からの電源電圧VccがFET17を通り、その出力端子19から誤差増幅器10にその電源電圧として供給される。これにより、誤差増幅器10が動作開始する。
【0035】
なお、FET17の代わりに、バイポーラトランジスタやリレースイッチなどのスイッチング機能を持つ素子を用いてもよい。
【0036】
また、かかる電源電圧供給制御手段は、制御部14内に設けられるが、誤差増幅器10内に設けるようにしてもよい。
【0037】
以上のように、この第1の実施形態では、起動期間、誤差増幅器10への電源電圧の供給を禁止してその動作を停止させるものであるから、起動期間に生じていた誤差増幅器10での大きな消費電力をなくすことができ、装置全体での消費電力の変動を抑えることができるし、歪検出ループL1が最適化しないときの歪補償制御動作を安定化することができる。
【0038】
図4は本発明によるフィードフォワード型歪補償増幅器の制御方法の第2の実施形態を示すブロック図であって、14cはD/A(デジタル/アナログ)コンバータであり、図1に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0039】
同図において、この第2の実施形態では、制御部14が、電源投入とともに、電源部14aから前置増幅器2,主増幅器5,誤差増幅器10に電源電圧を供給するものであるが、誤差増幅器10では、この電源電圧が供給されただけでは、誤差増幅器10を構成するMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuits:モノリシックマイクロ波集積回路)やFETなどの増幅素子のバイアス電圧が所定値に設定されず、検出部15の検出出力レベルをもとに、起動期間では、誤差増幅器10をこの状態にして電流がほとんど流れないようにする。
【0040】
検出部15の検出出力レベルがメモリ部14bに記憶されている上記の閾値以下になると、制御部14は歪検出ループL1が最適化されたと判定し、メモリ部14bに記憶されている所定のバイアス値を読み取り、これをD/Aコンバータ14cでアナログバイアス値に変換させて誤差増幅器10に供給する。このアナログバイアス値により、電源部14aからの電源電圧とともに、誤差増幅器10を構成する上記のMMICやFETに所定値のバイアス電圧を設定することになり、この誤差増幅器10が動作状態となる。
【0041】
これにより、歪除去ループL2も歪補償動作を開始し、正常の歪補償が行なわれる。このようにして、この第2の実施形態においても、図2に示すように、起動期間での消費電力の低減を実現でき、上記第1の実施形態と同様の効果が得られることになる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電源投入から歪検出ループの最適化までの起動期間では、高レベルの差信号が供給される誤差増幅器の動作を禁止するものであるから、該起動時での消費電力を大幅に低減することができて消費電力の安定化が図れ、また、かかる高レベルの差信号を歪補償に用いないようにしたものであるから、かかる差信号による歪補償動作の不安定化を防止することができ、電源投入時から動作の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるフィードフォワード型歪補償増幅器の制御方法の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示す実施形態の消費電力の時間経過による変化を示す図である。
【図3】図1における誤差増幅器の電源電圧供給制御手段の一具体例を示す回路図である。
【図4】本発明によるフィードフォワード型歪補償増幅器の制御方法の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図5】フィードフォワード型歪補償増幅器の一従来例を示すブロック図である。
【図6】図5に示す従来例の消費電力の時間経過による変化を示す図である。
【符号の説明】
1 入力端子
2 前置増幅器
3 分配器
4 ベクトル調整器
5 主増幅器
6 遅延線
7 分配器
8 遅延線
9 ベクトル調整器
10 誤差増幅器
11,12 分配器
13 出力端子
14 制御部
14a 電源部
14b メモリ部
14c D/Aコンバータ
15 検波器
16 パイロット信号送受信部
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力信号を増幅する主増幅器と、この主増幅器で発生する歪、例えば、該入力信号をマルチキャリア信号とした場合などでの相互変調歪を補償するフィードフォワード(Feed Forward:以下、FFという)ループを備えた歪補償増幅器に係り、特に、そのFFループを最適化するための制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信用の基地局・中継局では、所定の周波数間隔で夫々適宜変調された複数の搬送波からなるマルチキャリア信号を、高周波増幅した後、無線送信するが、この高周波増幅に用いる増幅器の線形性が充分良好でないと、例えば、相互変調歪などの各種の歪が発生する。このため、マルチキャリア信号などの異なる周波数の複数搬送波からなる信号を増幅する増幅器に対しては、かかる信号の周波数帯域全体に亘って良好な線形性が要求される。
【0003】
いま、マルチキャリア信号を例として、マルチキャリア信号の増幅に適する超低歪増幅器を実現する手法の1つに、従来、FF増幅方式が知られている。これは、入力したマルチキャリア信号を主増幅器で増幅して出力する本線と、この主増幅器で増幅されたマルチキャリア信号からこの主増幅器で発生した歪成分を検出するFFループの歪検出ループと、この歪検出ループで検出された歪成分を用いて主増幅器で増幅されたマルチキャリア信号から歪成分を除去するFFループの歪補償ループとから構成されるものである。
【0004】
かかるFF増幅方式による歪補償増幅器(即ち、FF型歪補償増幅器)の従来例が、例えば、特開平7ー303050号公報や特開平8ー307161号公報に開示されているが、図5により、かかる従来のFF型歪補償増幅器の基本的な構成及びその動作について説明する。なお、1は入力端子、2は前置増幅器、3は分配器、4はベクトル調整器、5は主増幅器、6は遅延線、7は分配器、8は遅延線、9はベクトル調整器、10は誤差増幅器、11,12は分配器、13は出力端子、14は制御回路、15は検波器、16はパイロット信号送受信部である。
【0005】
同図において、入力端子1から前置増幅器2,分配器3,主増幅器5,分配器7,遅延線8,分配器11を通って出力端子13に至る信号経路が本線を形成するものである。この本線では、入力端子1からの入力信号(以下では、マルチキャリア信号とする)は、前置増幅器2で増幅され、分配器3で一部分配された後、可変減衰器と可変移相器とからなるベクトル調整器4を経由して主増幅器5に供給される。この主増幅器5で高周波増幅されたマルチキャリア信号は、分配器7で一部分配された後、遅延線8で所定の遅延量だけ遅延され、分配器11を通って出力端子13から出力される。
【0006】
かかる本線において、主増幅器5で良好な線形性が得られない場合、マルチキャリア信号で、例えば、相互変調が生じ、これによる歪(相互変調歪)などといった各種の歪が発生してマルチキャリア信号に混入する。かかる歪を除去するために、かかるFF型歪補償増幅器では、いずれもFFループの歪検出ループL1と歪除去ループL2とが設けられ、歪検出ループL1により、主増幅器5で発生してマルチキャリア信号に混入した歪成分を検出し、歪除去ループL2により、検出したかかる歪成分を用いて、マルチキャリア信号に混入している歪成分を除去するようにしている。
【0007】
歪検出ループL1は、本線でのベクトル調整器4及び主増幅器5と、遅延線6と、分配器3,7とから構成される。かかる構成の歪検出ループL1では、入力端子1から入力された図示する周波数スペクトルaのマルチキャリア信号Aが前置増幅器2で増幅されて分配器3に供給され、その一部が分配されて残りが本線に供給される。この分配された信号は、遅延線6で所定の遅延量だけ遅延された後、分配信号Cとして分配器7に供給される。この分配信号Cは、入力信号Aと同じ周波数スペクトルcを有している。
【0008】
この分配器7は、主増幅器5の歪成分が混入した図示するスペクトルbの出力信号Bを、その一部を分配して残りを本線の遅延線8に供給する分配機能とともに、この主増幅器5の出力信号Bの分配信号から遅延線6からの分配信号Cを互いに逆位相で加算する減算機能をも有している。そこで、分配器7では、主増幅器5の出力信号Bから分配されて信号(図示しないが、これを、以下、分配信号Dという)から遅延線6からの分配信号Cが減算される。この減算処理によって得られる差信号Eは歪除去ループL2の可変減衰器と可変移相器とからなるベクトル調整器9に供給される。
【0009】
ここで、分配器7から出力される差信号Eは検波器15でレベル検波され、制御部14はこの検波器15の検波出力を取り込んで、この検波出力レベルが最小となるように、ベクトル調整器4の減衰量や位相量を制御する。これにより、主増幅器5の出力信号Bからの分配器7による分配信号Dと遅延線6からの分配信号Cとが等しい振幅でかつ逆位相の関係となり、従って、分配器7から出力される差信号Eは、主増幅器5で発生する相互変調歪などの歪成分となる(かかる状態を、以下、歪検出ループL1が最適化されている、という)。
【0010】
歪除去ループL2は、本線での遅延線8と、ベクトル調整器9及び誤差増幅器10と、分配器7,11とから構成されるものである。かかる構成の歪除去ループL2では、分配器7で主増幅器5の出力信号Bのうちの分配信号D以外の信号、即ち、マルチキャリア信号Fが、遅延線8で所定の遅延量だけ遅延された後、分配器11に供給される。また、分配器7で得られた歪成分Eは、ベクトル調整器9を経由して誤差増幅器10に供給される。誤差増幅器10で増幅された図示する周波数スペクトルdの歪成分Gは分配器11に供給される。この分配器11は減算機能を有しており、遅延線8からのマルチキャリア信号Fから誤差増幅器10からの歪成分Gを減算する。これにより、主増幅器5で生じた歪を除去されたマルチキャリア信号Gが得られ、出力端子13から出力される。
【0011】
ここで、パイロット信号送受信部16は、上記のマルチキャリア信号とは異なる周波数帯のパイロット信号▲1▼を主増幅器5の出力端子に供給する。このパイロット信号▲1▼は分配器7で分配され、その一方は遅延線8を介して分配器11に供給され、他方はベクトル調整器9及び誤差増幅器10で処理されて分配器11に供給される。この分配器11では、遅延線8からのパイロット信号▲1▼と誤差増幅器10からのパイロット信号▲1▼とが減算処理される。分配器11の出力信号は、また、分配器12で一部分配され、これがパイロット信号送受信部16に供給される。このパイロット信号送受信部16では、分配器12からの信号からパイロット信号▲1▼が抽出され、そのレベルが検波される。制御部14は、この検波レベルを取り込んで、この検波レベルがゼロとなるように、ベクトル調整器9の減衰量と位相量とを制御する。
【0012】
かかる制御部14によるベクトル調整器9の制御により、遅延線8から分配器11に供給されるパイロット信号▲1▼と誤差増幅器10から分配器11に供給されるパイロット信号▲1▼とが等しい振幅で互いに逆位相の関係となるように、従って、誤差増幅器10から出力される歪成分Gと遅延線8からのマルチキャリア信号中の歪成分とが等しい振幅で互いに逆位相の関係となるように、ベクトル調整器9の減衰量及び位相量が設定されたことになり、出力端子13には、精度良く歪成分が除かれたマルチキャリア信号Hが得られることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上の構成の従来のFF型歪補償増幅器では、起動に際しては、電源の投入とともに、前置増幅器2や主増幅器5,誤差増幅器10に電源電圧が供給されるのであるが、かかる電源投入時では、ベクトル調整器4,9での減衰量や位相量はそのときの状況に応じた正しい値に設定されておらず、歪検出ループL1では、正常な歪検出動作が行われない。その後、制御部14が、検波器15の検波出力やパイロット信号送受信部16でのパイロット信号▲1▼の検波レベルに応じて、ベクトル調整器4での減衰量や位相量を制御するにつれて、歪検出ループL1が正常な歪検出を行なうようになり(即ち、歪検出ループL1が最適化されていき)、出力端子13から歪成分が除去されたマルチキャリア信号Hが得られるようになる。即ち、電源が投入されると、ベクトル調整器4,9での減衰量や位相量が所定の値に設定されるまでは、分配器11で歪成分を精度良く除去する正常動作が行なわれないことになる。この電源投入から歪検出ループL1が最適化するまでの期間を、以下、電源投入後の起動期間という。
【0014】
このような電源投入後の起動期間では、分配器7での分配信号Dと遅延線6からの分配信号Cとが同振幅,逆位相の関係とはならないため、分配器7からは歪成分にマルチキャリア信号が混入した大きな振幅の信号が出力されることになり、これがベクトル調整器9を介して誤差増幅器10に供給されることになる。このため、誤差増幅器10では、大振幅の信号が入力され、振幅が大きい分この誤差増幅器10での消費電力が増大化する。
【0015】
図6は従来のFF型歪補償増幅器の電源投入時からの消費電力の時間的変化を示す図であって、電源が投入されると(t=0)、消費電力が急激に増加し、しかる後、時間経過とともに減少していって、制御部14の制御により、ベクトル調整器4,9の減衰量や位相量が所定の値となっていって歪検出ループL1が最適化されるようになるにつれて、定常の消費電力に収束していく。
【0016】
このように、従来のFF型歪補償増幅器では、電源の投入とともに、消費電力が定常時よりも急激に増加するという問題があった。
【0017】
また、かかる電源投入後の起動期間では、誤差増幅器10からは、遅延線8からのマルチキャリア信号とは位相が正常でない大振幅の信号が出力されるので、歪補償が安定しないという問題もあった。
【0018】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、電源投入時の消費電力を抑制し、動作を安定化することができるようにしたフィードフォワード型歪補償増幅器を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、入力信号を主増幅器で増幅し、該主増幅器の出力信号から該主増幅器で生じた歪成分を検出する歪検出ループと、減衰量と位相量とを可変とするベクトル調整器で該歪成分の振幅と位相を調整し、該ベクトル調整器から出力される該歪成分を誤差増幅器で増幅し、該誤差増幅器から出力される該歪成分で該主増幅器の出力信号の歪成分を除去する歪除去ループとからなるフィードフォワード型歪補償増幅器であって、電源を投入してから該歪検出ループが最適化するまでの起動期間、該歪除去ループでの該誤差増幅器の動作を停止させるものである。
【0020】
また、同様のフィードフォワード型歪補償増幅器において、電源を投入してから歪検出ループが最適化するまでの起動期間、誤差増幅器の構成素子のバイアスを抑え、該誤差増幅器を流れる電流を抑制するものである。
【0021】
このように、電源を投入してから起動期間、誤差増幅器の動作を抑制することにより、誤差増幅器が高レベルの信号を増幅する動作をしなくなり、この誤差増幅器での高レベルの信号入力による消費電力の増大化を回避できるし、また、かかる高レベルの信号による歪補償動作の不安定化も回避できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明によるフィードフォワード型歪補償増幅器の制御方法の第1の実施形態を示すブロック図であって、14aは電源部、14bはメモリ部であり、図5に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0023】
同図において、起動時には、電源が投入されるとともに、制御部14がその電源部14aから前置増幅器2や主増幅器5に電源電圧を供給し、これらを動作状態にする。しかし、このとき、制御部14は、検波器15の検波レベルによって歪検出ループL1が最適化されてないと判定し、電源部14aからの誤差増幅器への電源電圧を禁止する。このため、誤差増幅器10は動作しない。
【0024】
即ち、電源の投入とともに、入力端子1から入力されるマルチキャリア信号Aは、前置増幅器2で増幅されて分配器3に供給され、図5に示した従来のフィードフォワード型歪補償増幅器と同様にして、分配器7からは、その減算処理動作により、差信号Eが出力される。しかし、このときには、分配器7での主増幅器5の出力信号Bからの分配信号Dと遅延線6からの分配信号Cとが等振幅,逆位相の関係となっておらず、歪検出ループL1が最適化されていないので、この差信号Eは主増幅器5で発生する歪成分以外の信号成分を含んでおり、高レベルの信号となっている。制御部14は、電源投入とともに、検波器15からのこの差信号Eの検波レベルをメモリ部14bに格納されている閾値と比較し、この比較の結果、差信号Eの検波レベルがこの閾値以下のときには、歪検出ループL1が最適化されていると判定するが、差信号Eの検波レベルがこの閾値を越えるときには、歪検出ループL1が最適化されていないと判定する。
【0025】
そこで、電源が投入されて歪検出ループL1が起動したときには、これが最適化されていないので、検波器15からの差信号Eの検波レベルがこの閾値を越えることになり、制御部14は歪検出ループL1が最適化されてないと判定して、電源部14aからの誤差増幅器10への電源電圧の供給を禁止する。
【0026】
制御部14は、また、電源の投入とともに、検波器15の検波出力レベルをもとに、これが最小となるように、ベクトル調整器4の減衰量や位相量を制御する。この制御により、ベクトル調整器4の減衰量や位相量が夫々所望とする値に近づいていき、これにより、検波器15の検波出力レベルも小さくなっていき、遂には、歪検出ループL1が最適化されてメモリ部14bに格納されている上記の閾値以下となる。
【0027】
そこで、制御部14は、歪検出ループL1が最適化されたと判定し、電源部14aから誤差増幅器10への電源電圧の供給を開始させる。これにより、誤差増幅器10は動作を開始する。
【0028】
ここで、電源投入から歪検出ループL1が最適化した誤差増幅器10に電源電圧が供給開始されるまでの期間を起動期間ということにすると、この起動期間では、誤差増幅器10の出力信号Gはゼロもしくはほぼゼロのレベルの信号となるから、分配器11では、上記の減算処理がほとんど行なわれず、ほぼ遅延線8からのマルチキャリア信号Fが出力端子13に得られることになる。
【0029】
このようにして、この第1の実施形態では、電源投入後の起動期間では、誤差増幅器10に電源電圧を供給せずに動作をさせないものであるから、この期間での誤差増幅器10の消費電力をなくすことができ、図2に実線で示すように、破線で示す従来のFF型歪補償増幅器に比べて、消費電力を大幅に低減することが可能となる。また、歪検出ループL1が最適化されていないかかる電源投入後の起動期間では、歪除去ループL2での分配器11への差信号Gの供給が遮断されるので、従来のFF型歪補償増幅器のようなかかる差信号Gを用いた減算処理に伴う歪補償動作の不安定化を回避することができ、電源投入時から歪補償動作の安定化を図ることができる。勿論、この起動期間では、分配器11で歪成分の減算処理が行なわれないから、歪補償は行なわれないことになるが、歪成分以外も含む大きなレベルの差信号Gを用いて減算処理がなされる場合よりも、動作が安定していることになり、より良好な出力マルチキャリア信号が出力端子13に得られることになる。
【0030】
なお、歪検出ループL1が最適化されていない電源投入後の起動期間でも、入力端子1からの入力マルチキャリア信号Aのレベルが充分低く、入力レベル検波器17の検波出力レベルが上記の閾値以下の場合には、誤差増幅器10への電源電圧の供給が、主増幅器5や前置増幅器2と同時に、電源投入とともに行なわれる。
【0031】
図3は図1における誤差増幅器10の電源電圧供給制御手段の一具体例を示す回路図であって、17はFET(電界効果型トランジスタ)、18は制御端子、19は出力端子である。
【0032】
同図において、この具体例はFET17をスイッチング素子として用いたものであって、そのゲートが制御端子18に接続され、検波器15(図1)の検波出力が制御信号としてこの制御端子18に供給される。このFET17のドレインには、電源部14a(図1)から誤差増幅器10用の電源電圧Vccが供給され、FET17のソースが出力端子19に接続されている。この出力端子19の出力電圧が、誤差増幅器10の電源電圧となる。
【0033】
かかる構成においては、ゲート・ドレイン間の抵抗20aとゲート・制御端子18間の抵抗20bとがメモリ部14bの一部に相当し、これら抵抗20a,20bにより、制御端子18の入力制御電圧(検波器15の検波出力)が上記閾値以下のとき、FET17がオンし、制御端子18の入力制御電圧が上記閾値を越えるとき、FET17がオフする。
【0034】
そこで、歪検出ループL1が最適化されず、制御端子18の入力制御電圧が上記閾値を越えるときには、FET17がオフし、その出力端子19での出力電圧はゼロとなり、この結果、誤差増幅器10は、電源電圧が供給されず、動作しない。また、歪検出ループL1が最適化され、制御端子18の入力制御電圧が上記閾値以下となると、FET17がオンし、電源部14a(図1)からの電源電圧VccがFET17を通り、その出力端子19から誤差増幅器10にその電源電圧として供給される。これにより、誤差増幅器10が動作開始する。
【0035】
なお、FET17の代わりに、バイポーラトランジスタやリレースイッチなどのスイッチング機能を持つ素子を用いてもよい。
【0036】
また、かかる電源電圧供給制御手段は、制御部14内に設けられるが、誤差増幅器10内に設けるようにしてもよい。
【0037】
以上のように、この第1の実施形態では、起動期間、誤差増幅器10への電源電圧の供給を禁止してその動作を停止させるものであるから、起動期間に生じていた誤差増幅器10での大きな消費電力をなくすことができ、装置全体での消費電力の変動を抑えることができるし、歪検出ループL1が最適化しないときの歪補償制御動作を安定化することができる。
【0038】
図4は本発明によるフィードフォワード型歪補償増幅器の制御方法の第2の実施形態を示すブロック図であって、14cはD/A(デジタル/アナログ)コンバータであり、図1に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0039】
同図において、この第2の実施形態では、制御部14が、電源投入とともに、電源部14aから前置増幅器2,主増幅器5,誤差増幅器10に電源電圧を供給するものであるが、誤差増幅器10では、この電源電圧が供給されただけでは、誤差増幅器10を構成するMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuits:モノリシックマイクロ波集積回路)やFETなどの増幅素子のバイアス電圧が所定値に設定されず、検出部15の検出出力レベルをもとに、起動期間では、誤差増幅器10をこの状態にして電流がほとんど流れないようにする。
【0040】
検出部15の検出出力レベルがメモリ部14bに記憶されている上記の閾値以下になると、制御部14は歪検出ループL1が最適化されたと判定し、メモリ部14bに記憶されている所定のバイアス値を読み取り、これをD/Aコンバータ14cでアナログバイアス値に変換させて誤差増幅器10に供給する。このアナログバイアス値により、電源部14aからの電源電圧とともに、誤差増幅器10を構成する上記のMMICやFETに所定値のバイアス電圧を設定することになり、この誤差増幅器10が動作状態となる。
【0041】
これにより、歪除去ループL2も歪補償動作を開始し、正常の歪補償が行なわれる。このようにして、この第2の実施形態においても、図2に示すように、起動期間での消費電力の低減を実現でき、上記第1の実施形態と同様の効果が得られることになる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電源投入から歪検出ループの最適化までの起動期間では、高レベルの差信号が供給される誤差増幅器の動作を禁止するものであるから、該起動時での消費電力を大幅に低減することができて消費電力の安定化が図れ、また、かかる高レベルの差信号を歪補償に用いないようにしたものであるから、かかる差信号による歪補償動作の不安定化を防止することができ、電源投入時から動作の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるフィードフォワード型歪補償増幅器の制御方法の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示す実施形態の消費電力の時間経過による変化を示す図である。
【図3】図1における誤差増幅器の電源電圧供給制御手段の一具体例を示す回路図である。
【図4】本発明によるフィードフォワード型歪補償増幅器の制御方法の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図5】フィードフォワード型歪補償増幅器の一従来例を示すブロック図である。
【図6】図5に示す従来例の消費電力の時間経過による変化を示す図である。
【符号の説明】
1 入力端子
2 前置増幅器
3 分配器
4 ベクトル調整器
5 主増幅器
6 遅延線
7 分配器
8 遅延線
9 ベクトル調整器
10 誤差増幅器
11,12 分配器
13 出力端子
14 制御部
14a 電源部
14b メモリ部
14c D/Aコンバータ
15 検波器
16 パイロット信号送受信部
Claims (2)
- 入力信号を主増幅器で増幅し、該主増幅器の出力信号から該主増幅器で生じた歪成分を検出する歪検出ループと、減衰量と位相量とを可変とするベクトル調整器で該歪成分の振幅と位相を調整し、該ベクトル調整器から出力される該歪成分を誤差増幅器で増幅し、該誤差増幅器から出力される該歪成分で該主増幅器の出力信号の歪成分を除去する歪除去ループとからなるフィードフォワード型歪補償増幅器において、
電源を投入してから該歪検出ループが最適化するまでの起動期間、該歪除去ループでの該誤差増幅器の動作を停止させることを特徴とするフィードフォワード型歪補償増幅器の制御方法。 - 入力信号を主増幅器で増幅し、該主増幅器の出力信号から該主増幅器で生じた歪成分を検出する歪検出ループと、減衰量と位相量とを可変とするベクトル調整器で該歪成分の振幅と位相を調整し、該ベクトル調整器から出力される該歪成分を誤差増幅器で増幅し、該誤差増幅器から出力される該歪成分で該主増幅器の出力信号の歪成分を除去する歪除去ループとからなるフィードフォワード型歪補償増幅器において、
電源を投入してから該歪検出ループが最適化するまでの起動期間、該誤差増幅器への構成素子のバイアスを抑え、該誤差増幅器を流れる電流を抑制することを特徴とするフィードフォワード型歪補償増幅器の制御方法。
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-
2002
- 2002-09-27 JP JP2002283274A patent/JP2004120545A/ja active Pending
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JP2006279251A (ja) * | 2005-03-28 | 2006-10-12 | Hitachi Kokusai Electric Inc | フィードフォワード増幅器 |
JP4590035B2 (ja) * | 2005-03-28 | 2010-12-01 | 株式会社日立国際電気 | フィードフォワード増幅器 |
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