JP2004120508A - 水晶板のコンベックス加工方法 - Google Patents

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Manabu Ishikawa
石川 学
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Abstract

【課題】従来の水晶板のコンベックス加工方法では、水晶板を一度に一枚から十数枚を加工する生産性が低い方法や、円筒形の研磨容器内に大量の水晶板を投入してコンベックス加工を施す方法では、装置の大きさ及び重量が非常に大きい必要があり、又、小型の水晶板では加工能率のが悪くなり、更に少量のコンベックス加工は難しいという課題がある。
【解決方法】水晶板主面上にフォトレジスト膜を塗布する工程と、このフォトレジスト膜上より、水晶板の中心から端辺部に向かって露光強度を変化させて露光し、フォトレジスト膜内に凸面状の未感光部分を形成する工程と、フォトレジスト膜の感光部分を現像し、水晶板上に凸面状の表面を有するフォトレジスト膜を形成する工程と、凸面状の表面を有するフォトレジスト膜を主面上に形成した水晶板をエッチングし、水晶板主面の形状を凸面状に相似した形状に加工する工程と、を備えた水晶板のコンベックス加工方法。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、水晶板の外形形状をコンベックス形状に加工するコンベックス加工方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】厚みすべり水晶振動子に使用されるATカット等の水晶板には、通常円板形状や矩形状の水晶板が使用されている。振動周波数が比較的低い(10MHz以下)水晶振動子や、高い安定度を必要とする水晶振動子に使用される水晶板は、エネルギー閉じ込め効果をより向上させ、且つ輪郭振動などの副振動による振動損失を少なくしことによりクリスタルインピーダンス(以下CIという)やQ値等の諸特性を良くするために、外形形状を図2のようなコンベックス形状にしている。尚図2では外形形状が円形状の水晶板を開示したが、他に外形形状が矩形状で且つコンベックス加工を施した水晶板も一般に使用されている。
【0003】
水晶板の外形形状をコンベックス形状にするための加工方法としては、従来では研磨による加工方法がとられている。例えば、球面状の内壁をもつ半球状の研磨容器に、平円板状の水晶板主面をその内壁に押しつけて研磨容器又は水晶板を摺動させ、内壁の曲率を水晶板主面に写すように研磨することでコンベックス形状を得る加工方法が用いられている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
また、内壁に複数の曲率をもつ円筒状の研磨容器に、複数の水晶板及び研磨材等を投入し、研磨容器本体を自公転させ、内壁の曲率を水晶板主面に写すように研磨することでコンベックス形状を得る加工方法も用いられている(例えば特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−205466号公報(第1−3頁、第1図)
【特許文献2】
特開2001−1249号公報(第2−3頁、図1−4)
【0006】
尚、出願人は前記した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を本件出願時までに発見するに至らなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記特許文献1に記載のような装置におけるコンベックス加工では、一回の研磨で一枚から多くても十数枚の水晶板のコンベックス加工しかできず、生産性が著しく低い。又、このような装置によるコンベックス加工では、加工する水晶板にある程度の大きさが必要となり、小型化が進んだ現在使用されているような水晶板では、このような加工方法を用いることは非常に困難である。
【0008】
前記特許文献2に記載の装置におけるコンベックス加工の加工能率は、一般的に加工点に加わる荷重に依存する。即ち、外形形状の小型化が更に進んだ水晶板では、その質量が大幅に減少してしまい、加工能率の著しい低下を引き起こす。
【0009】
このような装置を構成する研磨容器として、一般的に直径が50〜200mm、長さが300〜600mm程度の内径寸法である金属製の研磨容器が用いられており、この研磨容器の強度を確保するために、研磨容器の壁面厚みを厚くすることで重量が重くなってしまう。そのため、この研磨容器を組み込んだ装置自体の強度も非常に高い必要があり、その重量は一般的には約1t以上になり且つ大型となるため、装置の設置スペースも広く且つ重量に耐えうる必要がある。
【0010】
このように研磨容器の重量が重いため、大型のモータを使用しても研磨容器の公転速度は最速でも百数十rpm程度までしか得られない。更にこのような装置における研磨容器の自転運動は、公転運動に伴い研磨容器がそのままの状態を維持しようとするために発生するもので、公転速度と反対方向に同一速度による自転となっている。つまり、自転速度が公転速度に依存するため、公転速度に限界がある装置の加工能率の更なる向上も難しく、現状ではコンベックス加工に数十時間掛かっている。又、このような装置で水晶板をコンベックス加工する場合は、容器内に数千枚単位で水晶板を投入しなければならず、少量ロット時に対応が難しくなる。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記従来技術の課題を鑑みて成されたものであり、水晶板の少なくとも一方の主面の形状を凸面状に形成するコンベックス加工方法において、水晶板主面上に所望の厚さのフォトレジスト膜を塗布する工程と、このフォトレジスト膜上から、水晶板の主面中心から主面端辺部に向かって露光強度を変化させて露光し、フォトレジスト膜内に凸面状の未感光部分を形成する工程と、フォトレジスト膜の感光部分を現像し、水晶板主面上に凸面状の表面を有するフォトレジスト膜を形成する工程と、この凸面状の表面を有するフォトレジスト膜を主面上に形成した水晶板をエッチングし、水晶板主面の形状を凸面状表面に相似した形状に加工する工程と、を備えたことを特徴とする水晶板のコンベックス加工方法である。
【0012】
又、水晶板の外形形状を円板状としたことを特徴とする、前記記載の水晶板のコンベックス加工方法でもある。
【0013】
このような水晶板のコンベックス加工を用いることにより、従来技術のような大規模設備の導入を回避でき、更に同一設備で、少量多品種から大量少品種までのコンベックス加工に対応できるので、コンベックス加工を施した水晶板の製造コストを大幅に抑制することができる作用を奏する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1はこの発明における水晶板のコンベックス加工方法の概略を例示した工程図である。尚、図1において、説明を明りょうにするため構造体の一部を図示せず、また寸法も一部誇張して図示している。
【0015】
即ち、まず後工程においてコンベックス形状を表裏両主面に形成する平円板状の水晶板11を形成する。この水晶板11の表裏両主面はラッピング又はポリッシングにより平面研磨されており、水晶板11自体は純水等により洗浄されている。
【0016】
次に、この水晶板11の表裏両主面上に、フォトレジスト材を所望の厚みでコーティングして、フォトレジスト膜12を形成する。このフォトレジスト膜の厚みは、後工程で形成する凸面状の未感光部分の厚み(コンベックス形状の曲率の厚み)よりも厚くする必要がある。
【0017】
次に、水晶板11の表裏両主面上に形成したフォトレジスト膜12に、水晶板11の中心から水晶板11の周辺端部に向かって、露光強度をレンズ及び/又はフィルタで変化させた紫外線13を照射して、フォトレジスト膜内に感光の有無による凸面状の露光境界域を形成する。本実施例では、水晶板11の中心に照射する紫外線量を最少とし、水晶板11の周辺端部に向かうに従い、照射する紫外線量を増加させている(図1では線量の多少を矢印の線長で表している。)。
【0018】
次に、露光したフォトレジスト膜12を現像する。フォトレジスト膜12を現像すると、露光されていない中心が厚く周辺端部に向かって徐々に薄くなり、表面の形状が凸面状となっているフォトレジスト膜12が水晶板11の表裏主面上に残る。
【0019】
次に、表面形状が凸面状になっているフォトレジスト膜12が形成された水晶板11をドライエッチングする。このドライエッチングで水晶板表裏主面上に形成したフォトレジスト膜はエッチングされ消滅する。同時にフォトレジスト膜の厚みの厚さに応じて水晶板主面もエッチングされる。即ち、水晶板11の周辺端部はフォトレジスト膜が薄いため水晶板11自体のエッチング量が多くなり、水晶板11の中心部はフォトレジスト膜が厚いため水晶板のエッチング量は少なくなる。このことから水晶板表裏主面の形状は、フォトレジスト膜の凸面の形状を転写した形状にエッチングされることで、コンベックス形状になる。
【0020】
尚、上記の加工方法は一個分の水晶板を加工する際の方法を記載したが、実際は一枚の水晶素板から複数の水晶板を形成する方法がとられる。この方法により、小型の水晶板にもコンベックス加工を行うことができる。又、水晶板が少量の場合のコンベックス加工だけではなく、複数の水晶板を形成する水晶素板を、複数枚を同時に前記加工することにより、多量数のコンベックス形状の水晶板製造の場合も簡易に対応できる。
【0021】
又、実施例では水晶板の表裏両主面にコンベックス加工を施す方法を開示したが、勿論水晶板の表裏主面のうち、どちらか一方の主面のみにコンベックス加工を施す場合にも、本発明の加工方法を用いることができる。
【0022】
【発明の効果】本発明の水晶板のコンベックス加工方法おいて、小型化が進んだコンベックス形状の水晶板を効率良く且つ少量多量の枚数を問わず同一工程でコンベックス加工することができ、因ってコンベックス形状の水晶板を使用する水晶振動子等の電子部品を安価に生産性良く提供できる効果を成す。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における水晶板のコンベックス加工方法の概略を示した工程図である。
【図2】図2はコンベックス加工を施した水晶板の一形態あり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
11,水晶板
12,フォトレジスト膜
13,光線

Claims (2)

  1. 水晶板の少なくとも一方の主面の形状を、凸面状に形成するコンベックス加工方法において
    水晶板主面上に所望の厚さのフォトレジスト膜を塗布する工程と、
    該フォトレジスト膜上より、該水晶板の主面中心から主面端辺部に向かって露光強度を変化させて露光し、フォトレジスト膜内に凸面状の未感光部分を形成する工程と、
    該フォトレジスト膜の感光部分を現像し、該水晶板主面上に凸面状の表面を有するフォトレジスト膜を形成する工程と、
    該凸面状の表面を有するフォトレジスト膜を主面上に形成した該水晶板をエッチングし、該水晶板主面の形状を該凸面状に相似した形状に加工する工程と、
    を備えたことを特徴とする水晶板のコンベックス加工方法。
  2. 水晶板の外形形状を円板状としたことを特徴とする請求項1記載の水晶板のコンベックス加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010028317A (ja) * 2008-07-16 2010-02-04 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 水晶振動用素子の製造方法、水晶振動子、及び電子部品

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