JP2004118438A - Icカードの処理方法及びicカード処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】不要となったICカードのセキュリティを、券面を損なうことなく確実に確保することが可能である。また、更新手続きに時間を要することがなくなるばかりか、更新したICカードを紛失したり誤って破壊してしまった場合にも、容易に再発行することが可能である。
【解決手段】不要となったICチップC1を有するICカード1の処理で、ICチップC1をICカード1から分離することなく、ICチップC1を破壊する。
【選択図】図2
【解決手段】不要となったICチップC1を有するICカード1の処理で、ICチップC1をICカード1から分離することなく、ICチップC1を破壊する。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ICカードの処理方法及びICカード処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICカードは、銀行カード、クレジットカード、通勤、通学定期カード等、広く利用されている。これらのICカードには、更新などで、使われなくなるものがある。この有効期限切れ等で不要となったICカードは、悪用されたり、偽変造される可能性があるなどの問題がある。
【0003】
このような問題を防止し、不要となったICカードを使用不能とするために、ICチップをカードから分離する方法及びICチップをカードから分離するための装置が開示されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−15287号公報(第5頁〜第6頁、図3〜図6)
【0005】
【特許文献2】
特願2002−96619号明細書(第1頁〜第10頁、図2)
【0006】
【発明の解決しようとする課題】
しかしこれらの従来技術では、ICチップをカードから分離するため、ICカードの券面が損なわれてしまう。
【0007】
特に、ICカードが社員、学生、会員など組織での身元及び身分を証明するために用いられるカードの場合には、本人であることを確認するために、氏名、組織名、部署名、社員(学生、会員)番号といった基本的な個人識別情報などをカードの券面に印字するだけではなく、顔写真も券面に印刷されていることが多い。
【0008】
これらのようなICカードにおいて、ICチップをカードから分離すると、個人識別情報や顔写真などの一部が切り取られることになり、例えば更新によって新たに発行されたICカードを紛失したり誤って破壊してしまい再発行を行う場合、更新により不要となったICカードを所持していても、券面の個人識別情報や顔写真などの一部が欠けているために、本人であることの確認やICチップ内に保存されていたデータの確認に時間を要し、再発行を容易に行うことができないといった問題が生じる。
【0009】
また、ICカードを更新する場合には、新しいICカードのICチップに個人識別情報を新たに入力しなければならず、手続きに時間を要する。
【0010】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、不要となったICカードのセキュリティを、券面を損なうことなく確実に確保することが可能なICカードの処理方法及びICカード処理装置を提供することを目的としている。
【0011】
さらに、更新手続きに時間を要することがなくなるばかりか、更新したICカードを紛失したり誤って破壊してしまった場合にも、容易に再発行することが可能となるICカードの処理方法及びICカード処理装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0013】
請求項1に記載の発明は、不要となったICチップを有するICカードの処理方法であり、
前記ICチップを前記ICカードから分離することなく、前記ICチップを破壊することを特徴とするICカードの処理方法である。
【0014】
この請求項1に記載の発明によれば、ICチップをICカードから分離することなく破壊することで、例えば有効期限切れ等で不要となったICカードのセキュリティを、券面を損なうことなく確実に確保することが可能となる。また、更新したICカードを紛失したり誤って破壊してしまった場合に、容易に再発行することが可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記ICチップを機械的または物理的に破壊することを特徴とする請求項1に記載のICカードの処理方法である。
【0016】
この請求項2に記載の発明によれば、ICチップを機械的または物理的に簡単かつ確実に破壊することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記破壊に先立って、不要となった前記ICカードの前記ICチップに記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカードの処理方法である。
【0018】
この請求項3に記載の発明によれば、破壊に先立って、不要となったICカードのICチップに記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶することで、容易に再発行することが可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、前記ICカードの基材表面に顔画像を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のICカードの処理方法である。
【0020】
この請求項4に記載の発明によれば、ICカードの基材表面に顔画像を有し、再発行を行う場合、本人であることの確認やICチップ内に保存されていたデータの確認に時間を要さず、再発行を容易に行うことができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、前記ICカードが、非接触型であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のICカードの処理方法である。
【0022】
この請求項5に記載の発明によれば、ICカードが、非接触型であり、接触面の劣化や接触不良などが起こらず、ICカードヘの電力供給及びデータ信号の入出力を確実に行なうことができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、前記ICカードが、その所有者の個人識別情報を記録するICチップと、ICチップに接続された通信用コイルとを有する認証カードであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカードの処理方法である。
【0024】
この請求項6に記載の発明によれば、ICカードをキャッシュカード、従業者証、社員証、会員証、学生証、外国人登録証及び各種運転免許証、名刺、ネームプレート、パスポート、診察カード、テレホンカード、定期券等を包含するカードとして広く使用することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、不要となったICチップを有するICカードを処理するICカード処理装置であり、
前記ICチップを前記ICカードから分離することなく前記ICチップを破壊するICチップ破壊手段を有することを特徴とするICカード処理装置である。
【0026】
この請求項7に記載の発明によれば、ICチップをICカードから分離することなく破壊することで、例えば有効期限切れ等で不要となったICカードのセキュリティを、券面を損なうことなく確実に確保することが可能となる。また、更新したICカードを紛失したり誤って破壊してしまった場合に、容易に再発行することが可能となる。
【0027】
請求項8に記載の発明は、前記ICチップ破壊手段は、ICチップを機械的または物理的に破壊することを特徴とする請求項7に記載のICカード処理装置である。
【0028】
この請求項8に記載の発明によれば、ICチップを機械的または物理的に簡単かつ確実に破壊することができる。
【0029】
請求項9に記載の発明は、前記破壊に先立って、不要となった前記ICカードの前記ICチップに記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶させる読取書込手段を設けたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のICカード処理装置である。
【0030】
この請求項9に記載の発明によれば、破壊に先立って、不要となったICカードのICチップに記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶することで、容易に再発行することが可能となる。
【0031】
請求項10に記載の発明は、前記ICカードは、その基材表面に顔画像を有することを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のICカード処理装置である。
【0032】
この請求項10に記載の発明によれば、ICカードの基材表面に顔画像を有し、再発行を行う場合、本人であることの確認やICチップ内に保存されていたデータの確認に時間を要さず、再発行を容易に行うことができる。
【0033】
請求項11に記載の発明は、前記ICカードが、非接触型であることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載のICカード処理装置である。
【0034】
この請求項11に記載の発明によれば、ICカードが、非接触型であり、接触面の劣化や接触不良などが起こらず、ICカードヘの電力供給及びデータ信号の入出力を確実に行なうことができる。
【0035】
請求項12に記載の発明は、前記ICカードが、その所有者の個人識別情報を記録するICチップと、ICチップに接続された通信用コイルとを有する認証カードであることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載のICカード処理装置である。
【0036】
この請求項12に記載の発明によれば、ICカードをキャッシュカード、従業者証、社員証、会員証、学生証、外国人登録証及び各種運転免許証、名刺、ネームプレート、パスポート、診察カード、テレホンカード、定期券等を包含するカードとして広く使用することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のICカードの処理方法及びICカード処理装置の実施の形態を説明する。なお、この発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0038】
この実施の形態のICカードとは、キャッシュカード、従業者証、社員証、会員証、学生証、外国人登録証及び各種運転免許証、名刺、ネームプレート、パスポート、診察カード、テレホンカード、定期券等を包含するカードであって、一般に手札程度の大きさであり、かつ多くの場合携帯して使用するものである。具体的に顔写真の入った非接触型ICカードを適用した、例えば会社の従業員カードの例について説明する。
【0039】
ICカードは、塩化ビニル樹脂の合成樹脂などで作成された基体の一部に設けられた凹部にICユニットを収容したもので、ICと外部回路との電気的な接触の仕方によって接触型と非接触型とがある。しかし、接触型のようにカード表面に接触端子が露出していると、接触面の劣化、接触不良などが起こり、ICカードヘの電力供給及びデータ信号の入出力が行われなくなる等の問題が生じる。
【0040】
そこで、非接触に電気信号を授受するためのアンテナコイルで電磁波を発生及び/又は電磁波を受ける構成を有するICカードが出現している。
【0041】
図1はこのような表面に金属端子のない非接触型のICカードの1例を示す平面図である。図において、ICカード1には、ICチップC1及びR/W(リード/ライト)のための信号授受部としてアンテナコイルC2を有するICユニットCが設けられている。
【0042】
キー情報部C3はICカード1と他のカードを識別するための属性識別情報で、例えばICカード1の表面に付されたコード番号である。また、文字情報部C4はICカード1の表面に付された氏名・職場・発行日などで、画像情報部C5は顔などの画像情報である。
【0043】
顔画像は、昇華型熱転写方式により形成されるのが、比較的簡便に画像を形成できるため好ましい。
【0044】
図2はICカードの層構成を模式的に示す断面図である。第1のシート材10と第2のシート材20の間に介在される接着剤層31,32内にICチップC1及びアンテナコイルC2を有するICユニットCを封入したICカード1の構成である。
【0045】
第2のシート材20上に直接、または接着剤層32を間に挟むようにICユニットCを載置し、その上から更に接着剤層31を介在させた後、第1のシート材10を接着してICカード1を製造する。ICユニットCは、接着剤層31と接着剤層32との間に埋め込まれた形になっている。
【0046】
第1のシート材10の表面側には、受像層が設けられ、第2のシート材20の表面側には、筆記層が設けられており、受像層の上にはさらにホットスタンプ層、UV樹脂層が貼り合わせ後のカード上に設けられる。
【0047】
ここで、第1のシート材10及び第2のシート材20のカード基体、受像層、筆記層に関しては、特開平7−88974号に詳細な記載があり、ICカード1のシート材としては、各種カード基材として使用されているポリエステル樹脂,ABS樹脂,塩化ビニル樹脂等の樹脂シート、熱転写紙,上質紙,アート紙,コート紙等の紙、などを用いることができる。これらの中でも、環境へ与える負荷が比較的少なく、白色度、耐久性の点に優れる白色PETが特に好ましい。
【0048】
ICカード1を更新する際には、機械的にICチップC1がカードから分離されない程度の押圧力をICチップC1にかけて、または物理的に高電圧を印加してもしくは高磁界にさらしてICチップC1を破壊する。
【0049】
このようなICチップC1の機械的または物理的な破壊に先立って、ICカード1に記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶させておくと、更新手続きに時間を要することがなくなるばかりか、更新したICカード1を紛失したり誤って破壊してしまった場合に、容易に再発行することが可能となり好ましい。また、ICチップC1の機械的破壊と物理的破壊は、同時に行ってもよい。
【0050】
図3はICカード処理装置であり、不要になったICカードのICチップC1に記憶されているデータを読み取り、この読み取られたデータを新たなICカード1のICチップないし他の記憶装置41に記憶させる読取書込手段40と、ICチップを機械的または物理的に破壊するICチップ破壊手段42とを有している。
【0051】
読取書込手段40は、例えばリーダライタが用いられ、このリーダライタは、接触型、非接触型、或は接触、非接触共用型があるが特に限定されず周知のものが用いられる。
【0052】
ICチップ破壊手段42によりICチップがカードから分離されない程度の押圧力をICチップにかけて、または物理的に高電圧を印加してもしくは高磁界にさらして機械的または物理的に破壊することで、不要になったICカード1のセキュリティを確実に確保することができる。
【0053】
また、ICチップの機械的または物理的な破壊に先立ち、読取書込手段40によって読み取ったデータを新たなICカードのICチップないし他の記憶装置41に記憶させることにより、更新手続きに時間を要することがなくなるばかりか、更新したICカードを紛失したり誤って破壊してしまった場合に、容易に再発行することが可能となる。
[実施例]
実施例として、ICチップ部の耐圧60N、耐熱190℃、外形が縦3mm、横3mm、厚さ0.2mmのICチップを用い、PETシート間にホットメルト接着剤を充填させることでICチップ及び通信用アンテナコイルを内包し、表面に顔画像を昇華型熱転写方式により形成した、厚み0.76mmの非接触式のICカードを使用した。
【0054】
なお、耐圧は、先端が1mmφの球形状になっているプッシュープルゲージを押し込んで測定した。
【0055】
このICカードに所望の個人情報を書き込んだ。
(実施例1)
前記ICカードを一定期間使用した後、専用のリーダライタを用いて、ICカードに記憶されているデータを読み取り、別の新たなICカードに記憶させた。
【0056】
その後、更新済みで不要となったICカードのICチップ部分に80Nの点圧を与えた。ここで、再度専用のリーダライタを用いてデータを確認しようとしたところ通信不能であり、ICチップは完全に破壊された。この時、ICカードは切れたり破れたりすることなく、券面は損なわれていなかった。
(実施例2)
前記ICカードを一定期間使用した後、ICカード専用のリーダライタを用いて、ICカードに記憶されているデータを読み取り、他の記憶装置に記憶させた。
【0057】
その後、更新済みで不要となったICカードのICチップ部分に、20kVの高電圧を印加した。ここで、再度専用のリーダライタを用いてデータを確認しようとしたところ通信不能であり、ICチップは完全に破壊された。この時、ICカードは切れたり破れたりすることなく、券面は損なわれていなかった。
(実施例3)
前記ICカードのICチップ部分に高電圧を印加しながら70Nの点圧を与えた以外は実施例2と同様にしてICカードの処理を行った。ここで、再度専用のリーダライタを用いてデータを確認しようとしたところ通信不能であり、ICチップは完全に破壊された。この時、ICカードは切れたり破れたりすることなく、券面は損なわれていなかった。
【0058】
【発明の効果】
前記したように、請求項1及び請求項7に記載の発明では、ICチップをICカードから分離することなく破壊することで、例えば有効期限切れ等で不要となったICカードのセキュリティを、券面を損なうことなく確実に確保することが可能となる。また、更新したICカードを紛失したり誤って破壊してしまった場合に、容易に再発行することが可能となる。
【0059】
請求項2及び請求項8に記載の発明では、ICチップを機械的または物理的に簡単かつ確実に破壊することができる。
【0060】
請求項3及び請求項9に記載の発明では、破壊に先立って、不要となったICカードのICチップに記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶することで、容易に再発行することが可能となる。
【0061】
請求項4及び請求項10に記載の発明では、ICカードの基材表面に顔画像を有し、再発行を行う場合、本人であることの確認やICチップ内に保存されていたデータの確認に時間を要さず、再発行を容易に行うことができる。
【0062】
請求項5及び請求項11に記載の発明では、ICカードが、非接触型であり、接触面の劣化や接触不良などが起こらず、ICカードヘの電力供給及びデータ信号の入出力を確実に行なうことができる。
【0063】
請求項6及び請求項12に記載の発明では、ICカードをキャッシュカード、従業者証、社員証、会員証、学生証、外国人登録証及び各種運転免許証、名刺、ネームプレート、パスポート、診察カード、テレホンカード、定期券等を包含するカードとして広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面に金属端子のない非接触型のICカードの1例を示す平面図である。
【図2】ICカードの層構成を模式的に示す断面図である。
【図3】ICカード処理装置であり
【符号の説明】
1 ICカード
10 第1のシート材
20 第2のシート材
31,32 接着剤層
C ICユニット
C1 ICチップ
C2 アンテナコイル
C3 キー情報部
C4 文字情報部
C5 画像情報部
40 読取書込手段
41 記憶装置
42 ICチップ破壊手段
【発明の属する技術分野】
この発明は、ICカードの処理方法及びICカード処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICカードは、銀行カード、クレジットカード、通勤、通学定期カード等、広く利用されている。これらのICカードには、更新などで、使われなくなるものがある。この有効期限切れ等で不要となったICカードは、悪用されたり、偽変造される可能性があるなどの問題がある。
【0003】
このような問題を防止し、不要となったICカードを使用不能とするために、ICチップをカードから分離する方法及びICチップをカードから分離するための装置が開示されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−15287号公報(第5頁〜第6頁、図3〜図6)
【0005】
【特許文献2】
特願2002−96619号明細書(第1頁〜第10頁、図2)
【0006】
【発明の解決しようとする課題】
しかしこれらの従来技術では、ICチップをカードから分離するため、ICカードの券面が損なわれてしまう。
【0007】
特に、ICカードが社員、学生、会員など組織での身元及び身分を証明するために用いられるカードの場合には、本人であることを確認するために、氏名、組織名、部署名、社員(学生、会員)番号といった基本的な個人識別情報などをカードの券面に印字するだけではなく、顔写真も券面に印刷されていることが多い。
【0008】
これらのようなICカードにおいて、ICチップをカードから分離すると、個人識別情報や顔写真などの一部が切り取られることになり、例えば更新によって新たに発行されたICカードを紛失したり誤って破壊してしまい再発行を行う場合、更新により不要となったICカードを所持していても、券面の個人識別情報や顔写真などの一部が欠けているために、本人であることの確認やICチップ内に保存されていたデータの確認に時間を要し、再発行を容易に行うことができないといった問題が生じる。
【0009】
また、ICカードを更新する場合には、新しいICカードのICチップに個人識別情報を新たに入力しなければならず、手続きに時間を要する。
【0010】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、不要となったICカードのセキュリティを、券面を損なうことなく確実に確保することが可能なICカードの処理方法及びICカード処理装置を提供することを目的としている。
【0011】
さらに、更新手続きに時間を要することがなくなるばかりか、更新したICカードを紛失したり誤って破壊してしまった場合にも、容易に再発行することが可能となるICカードの処理方法及びICカード処理装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0013】
請求項1に記載の発明は、不要となったICチップを有するICカードの処理方法であり、
前記ICチップを前記ICカードから分離することなく、前記ICチップを破壊することを特徴とするICカードの処理方法である。
【0014】
この請求項1に記載の発明によれば、ICチップをICカードから分離することなく破壊することで、例えば有効期限切れ等で不要となったICカードのセキュリティを、券面を損なうことなく確実に確保することが可能となる。また、更新したICカードを紛失したり誤って破壊してしまった場合に、容易に再発行することが可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記ICチップを機械的または物理的に破壊することを特徴とする請求項1に記載のICカードの処理方法である。
【0016】
この請求項2に記載の発明によれば、ICチップを機械的または物理的に簡単かつ確実に破壊することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記破壊に先立って、不要となった前記ICカードの前記ICチップに記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカードの処理方法である。
【0018】
この請求項3に記載の発明によれば、破壊に先立って、不要となったICカードのICチップに記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶することで、容易に再発行することが可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、前記ICカードの基材表面に顔画像を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のICカードの処理方法である。
【0020】
この請求項4に記載の発明によれば、ICカードの基材表面に顔画像を有し、再発行を行う場合、本人であることの確認やICチップ内に保存されていたデータの確認に時間を要さず、再発行を容易に行うことができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、前記ICカードが、非接触型であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のICカードの処理方法である。
【0022】
この請求項5に記載の発明によれば、ICカードが、非接触型であり、接触面の劣化や接触不良などが起こらず、ICカードヘの電力供給及びデータ信号の入出力を確実に行なうことができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、前記ICカードが、その所有者の個人識別情報を記録するICチップと、ICチップに接続された通信用コイルとを有する認証カードであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカードの処理方法である。
【0024】
この請求項6に記載の発明によれば、ICカードをキャッシュカード、従業者証、社員証、会員証、学生証、外国人登録証及び各種運転免許証、名刺、ネームプレート、パスポート、診察カード、テレホンカード、定期券等を包含するカードとして広く使用することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、不要となったICチップを有するICカードを処理するICカード処理装置であり、
前記ICチップを前記ICカードから分離することなく前記ICチップを破壊するICチップ破壊手段を有することを特徴とするICカード処理装置である。
【0026】
この請求項7に記載の発明によれば、ICチップをICカードから分離することなく破壊することで、例えば有効期限切れ等で不要となったICカードのセキュリティを、券面を損なうことなく確実に確保することが可能となる。また、更新したICカードを紛失したり誤って破壊してしまった場合に、容易に再発行することが可能となる。
【0027】
請求項8に記載の発明は、前記ICチップ破壊手段は、ICチップを機械的または物理的に破壊することを特徴とする請求項7に記載のICカード処理装置である。
【0028】
この請求項8に記載の発明によれば、ICチップを機械的または物理的に簡単かつ確実に破壊することができる。
【0029】
請求項9に記載の発明は、前記破壊に先立って、不要となった前記ICカードの前記ICチップに記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶させる読取書込手段を設けたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のICカード処理装置である。
【0030】
この請求項9に記載の発明によれば、破壊に先立って、不要となったICカードのICチップに記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶することで、容易に再発行することが可能となる。
【0031】
請求項10に記載の発明は、前記ICカードは、その基材表面に顔画像を有することを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のICカード処理装置である。
【0032】
この請求項10に記載の発明によれば、ICカードの基材表面に顔画像を有し、再発行を行う場合、本人であることの確認やICチップ内に保存されていたデータの確認に時間を要さず、再発行を容易に行うことができる。
【0033】
請求項11に記載の発明は、前記ICカードが、非接触型であることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載のICカード処理装置である。
【0034】
この請求項11に記載の発明によれば、ICカードが、非接触型であり、接触面の劣化や接触不良などが起こらず、ICカードヘの電力供給及びデータ信号の入出力を確実に行なうことができる。
【0035】
請求項12に記載の発明は、前記ICカードが、その所有者の個人識別情報を記録するICチップと、ICチップに接続された通信用コイルとを有する認証カードであることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載のICカード処理装置である。
【0036】
この請求項12に記載の発明によれば、ICカードをキャッシュカード、従業者証、社員証、会員証、学生証、外国人登録証及び各種運転免許証、名刺、ネームプレート、パスポート、診察カード、テレホンカード、定期券等を包含するカードとして広く使用することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のICカードの処理方法及びICカード処理装置の実施の形態を説明する。なお、この発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0038】
この実施の形態のICカードとは、キャッシュカード、従業者証、社員証、会員証、学生証、外国人登録証及び各種運転免許証、名刺、ネームプレート、パスポート、診察カード、テレホンカード、定期券等を包含するカードであって、一般に手札程度の大きさであり、かつ多くの場合携帯して使用するものである。具体的に顔写真の入った非接触型ICカードを適用した、例えば会社の従業員カードの例について説明する。
【0039】
ICカードは、塩化ビニル樹脂の合成樹脂などで作成された基体の一部に設けられた凹部にICユニットを収容したもので、ICと外部回路との電気的な接触の仕方によって接触型と非接触型とがある。しかし、接触型のようにカード表面に接触端子が露出していると、接触面の劣化、接触不良などが起こり、ICカードヘの電力供給及びデータ信号の入出力が行われなくなる等の問題が生じる。
【0040】
そこで、非接触に電気信号を授受するためのアンテナコイルで電磁波を発生及び/又は電磁波を受ける構成を有するICカードが出現している。
【0041】
図1はこのような表面に金属端子のない非接触型のICカードの1例を示す平面図である。図において、ICカード1には、ICチップC1及びR/W(リード/ライト)のための信号授受部としてアンテナコイルC2を有するICユニットCが設けられている。
【0042】
キー情報部C3はICカード1と他のカードを識別するための属性識別情報で、例えばICカード1の表面に付されたコード番号である。また、文字情報部C4はICカード1の表面に付された氏名・職場・発行日などで、画像情報部C5は顔などの画像情報である。
【0043】
顔画像は、昇華型熱転写方式により形成されるのが、比較的簡便に画像を形成できるため好ましい。
【0044】
図2はICカードの層構成を模式的に示す断面図である。第1のシート材10と第2のシート材20の間に介在される接着剤層31,32内にICチップC1及びアンテナコイルC2を有するICユニットCを封入したICカード1の構成である。
【0045】
第2のシート材20上に直接、または接着剤層32を間に挟むようにICユニットCを載置し、その上から更に接着剤層31を介在させた後、第1のシート材10を接着してICカード1を製造する。ICユニットCは、接着剤層31と接着剤層32との間に埋め込まれた形になっている。
【0046】
第1のシート材10の表面側には、受像層が設けられ、第2のシート材20の表面側には、筆記層が設けられており、受像層の上にはさらにホットスタンプ層、UV樹脂層が貼り合わせ後のカード上に設けられる。
【0047】
ここで、第1のシート材10及び第2のシート材20のカード基体、受像層、筆記層に関しては、特開平7−88974号に詳細な記載があり、ICカード1のシート材としては、各種カード基材として使用されているポリエステル樹脂,ABS樹脂,塩化ビニル樹脂等の樹脂シート、熱転写紙,上質紙,アート紙,コート紙等の紙、などを用いることができる。これらの中でも、環境へ与える負荷が比較的少なく、白色度、耐久性の点に優れる白色PETが特に好ましい。
【0048】
ICカード1を更新する際には、機械的にICチップC1がカードから分離されない程度の押圧力をICチップC1にかけて、または物理的に高電圧を印加してもしくは高磁界にさらしてICチップC1を破壊する。
【0049】
このようなICチップC1の機械的または物理的な破壊に先立って、ICカード1に記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶させておくと、更新手続きに時間を要することがなくなるばかりか、更新したICカード1を紛失したり誤って破壊してしまった場合に、容易に再発行することが可能となり好ましい。また、ICチップC1の機械的破壊と物理的破壊は、同時に行ってもよい。
【0050】
図3はICカード処理装置であり、不要になったICカードのICチップC1に記憶されているデータを読み取り、この読み取られたデータを新たなICカード1のICチップないし他の記憶装置41に記憶させる読取書込手段40と、ICチップを機械的または物理的に破壊するICチップ破壊手段42とを有している。
【0051】
読取書込手段40は、例えばリーダライタが用いられ、このリーダライタは、接触型、非接触型、或は接触、非接触共用型があるが特に限定されず周知のものが用いられる。
【0052】
ICチップ破壊手段42によりICチップがカードから分離されない程度の押圧力をICチップにかけて、または物理的に高電圧を印加してもしくは高磁界にさらして機械的または物理的に破壊することで、不要になったICカード1のセキュリティを確実に確保することができる。
【0053】
また、ICチップの機械的または物理的な破壊に先立ち、読取書込手段40によって読み取ったデータを新たなICカードのICチップないし他の記憶装置41に記憶させることにより、更新手続きに時間を要することがなくなるばかりか、更新したICカードを紛失したり誤って破壊してしまった場合に、容易に再発行することが可能となる。
[実施例]
実施例として、ICチップ部の耐圧60N、耐熱190℃、外形が縦3mm、横3mm、厚さ0.2mmのICチップを用い、PETシート間にホットメルト接着剤を充填させることでICチップ及び通信用アンテナコイルを内包し、表面に顔画像を昇華型熱転写方式により形成した、厚み0.76mmの非接触式のICカードを使用した。
【0054】
なお、耐圧は、先端が1mmφの球形状になっているプッシュープルゲージを押し込んで測定した。
【0055】
このICカードに所望の個人情報を書き込んだ。
(実施例1)
前記ICカードを一定期間使用した後、専用のリーダライタを用いて、ICカードに記憶されているデータを読み取り、別の新たなICカードに記憶させた。
【0056】
その後、更新済みで不要となったICカードのICチップ部分に80Nの点圧を与えた。ここで、再度専用のリーダライタを用いてデータを確認しようとしたところ通信不能であり、ICチップは完全に破壊された。この時、ICカードは切れたり破れたりすることなく、券面は損なわれていなかった。
(実施例2)
前記ICカードを一定期間使用した後、ICカード専用のリーダライタを用いて、ICカードに記憶されているデータを読み取り、他の記憶装置に記憶させた。
【0057】
その後、更新済みで不要となったICカードのICチップ部分に、20kVの高電圧を印加した。ここで、再度専用のリーダライタを用いてデータを確認しようとしたところ通信不能であり、ICチップは完全に破壊された。この時、ICカードは切れたり破れたりすることなく、券面は損なわれていなかった。
(実施例3)
前記ICカードのICチップ部分に高電圧を印加しながら70Nの点圧を与えた以外は実施例2と同様にしてICカードの処理を行った。ここで、再度専用のリーダライタを用いてデータを確認しようとしたところ通信不能であり、ICチップは完全に破壊された。この時、ICカードは切れたり破れたりすることなく、券面は損なわれていなかった。
【0058】
【発明の効果】
前記したように、請求項1及び請求項7に記載の発明では、ICチップをICカードから分離することなく破壊することで、例えば有効期限切れ等で不要となったICカードのセキュリティを、券面を損なうことなく確実に確保することが可能となる。また、更新したICカードを紛失したり誤って破壊してしまった場合に、容易に再発行することが可能となる。
【0059】
請求項2及び請求項8に記載の発明では、ICチップを機械的または物理的に簡単かつ確実に破壊することができる。
【0060】
請求項3及び請求項9に記載の発明では、破壊に先立って、不要となったICカードのICチップに記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶することで、容易に再発行することが可能となる。
【0061】
請求項4及び請求項10に記載の発明では、ICカードの基材表面に顔画像を有し、再発行を行う場合、本人であることの確認やICチップ内に保存されていたデータの確認に時間を要さず、再発行を容易に行うことができる。
【0062】
請求項5及び請求項11に記載の発明では、ICカードが、非接触型であり、接触面の劣化や接触不良などが起こらず、ICカードヘの電力供給及びデータ信号の入出力を確実に行なうことができる。
【0063】
請求項6及び請求項12に記載の発明では、ICカードをキャッシュカード、従業者証、社員証、会員証、学生証、外国人登録証及び各種運転免許証、名刺、ネームプレート、パスポート、診察カード、テレホンカード、定期券等を包含するカードとして広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面に金属端子のない非接触型のICカードの1例を示す平面図である。
【図2】ICカードの層構成を模式的に示す断面図である。
【図3】ICカード処理装置であり
【符号の説明】
1 ICカード
10 第1のシート材
20 第2のシート材
31,32 接着剤層
C ICユニット
C1 ICチップ
C2 アンテナコイル
C3 キー情報部
C4 文字情報部
C5 画像情報部
40 読取書込手段
41 記憶装置
42 ICチップ破壊手段
Claims (12)
- 不要となったICチップを有するICカードの処理方法であり、
前記ICチップを前記ICカードから分離することなく、前記ICチップを破壊することを特徴とするICカードの処理方法。 - 前記ICチップを機械的または物理的に破壊することを特徴とする請求項1に記載のICカードの処理方法。
- 前記破壊に先立って、不要となった前記ICカードの前記ICチップに記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICカードの処理方法。
- 前記ICカードの基材表面に顔画像を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のICカードの処理方法。
- 前記ICカードが、非接触型であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のICカードの処理方法。
- 前記ICカードが、その所有者の個人識別情報を記録するICチップと、ICチップに接続された通信用コイルとを有する認証カードであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカードの処理方法。
- 不要となったICチップを有するICカードを処理するICカード処理装置であり、
前記ICチップを前記ICカードから分離することなく前記ICチップを破壊するICチップ破壊手段を有することを特徴とするICカード処理装置。 - 前記ICチップ破壊手段は、ICチップを機械的または物理的に破壊することを特徴とする請求項7に記載のICカード処理装置。
- 前記破壊に先立って、不要となった前記ICカードの前記ICチップに記憶されているデータを読み取り新たなICカードのICチップ及び/または他の記憶装置に記憶させる読取書込手段を設けたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のICカード処理装置。
- 前記ICカードは、その基材表面に顔画像を有することを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のICカード処理装置。
- 前記ICカードが、非接触型であることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載のICカード処理装置。
- 前記ICカードが、その所有者の個人識別情報を記録するICチップと、ICチップに接続された通信用コイルとを有する認証カードであることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載のICカード処理装置。
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JP2008003998A (ja) * | 2006-06-26 | 2008-01-10 | Miyoshi Electronics Corp | Icカード破壊装置 |
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2002
- 2002-09-25 JP JP2002279590A patent/JP2004118438A/ja active Pending
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