JP2004116550A - 摺動部のシール構造 - Google Patents

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JP2004116550A JP2002276989A JP2002276989A JP2004116550A JP 2004116550 A JP2004116550 A JP 2004116550A JP 2002276989 A JP2002276989 A JP 2002276989A JP 2002276989 A JP2002276989 A JP 2002276989A JP 2004116550 A JP2004116550 A JP 2004116550A
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Shinji Ozaki
尾崎 慎次
Chikashi Imoto
井元 智可至
Etsuro Nakada
中田 悦郎
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KYB Corp
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Kayaba Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】シール機能の低下や摺動性を悪化させる弊害を防止し、加工が容易で、組付けも容易な摺動部のシール構造を提供することである。
【解決手段】固定部材Hまたは可動部材Rに設けた環状溝2と、上記環状溝2内に介装され、一方または両方向から流体圧PSが負荷されるOリング1とにより、固定部材Hと可動部材Rの間をシールする摺動部のシール構造において、上記環状溝2の側面2a、2cの一方または両方が環状溝2内方向に傾斜し、かつ、各側面2a、2cの開口端間の距離がOリング1の直径以上であることを特徴とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、固定部材と可動部材の間に介装されるOリングにより、液体または気体をシールする摺動部のシール構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
シール構造は、密封される流体が外部へ流出すること、またはシール部を境に流体の移動することを防止するために使用され、特に封止部材間にOリングが使用されているのが一般的である。
【0003】
そして、従来のOリングを使用したシール構造は、図9示すものが知られている。具体的には、図9に示すシール構造にあっては、JIS規格で標準化されたものであり、このシール構造はOリング1と環状溝30とで構成され、環状溝の各側面は環状溝の底部30bより環状溝開口部側が広がるように0から5度の傾斜角をもって傾斜している。また、環状溝30は、Oリング1の直径よりも浅くつくられており、封止部材Rと封止部材Hとが当接すると、Oリング1が、環状溝30内で押しつぶされながら封止部材Rおよび封止部材Hと圧接するので、シールされることとなる。
【0004】
したがって、このようなシール構造でも、シールすることは充分可能である。
【0005】
また、図10に示すシール構造の提案(たとえば、非特許文献1参照)もある。このシール構造は、環状溝31が環状溝側面の傾斜角24度前後の蟻溝状になっており、開口部がOリング1の直径より狭くなっている。
【0006】
【非特許文献1】
小宮山 香苗、外4名、“漏洩防止法”、第1版、日本国、誠文堂新光社、昭和40年6月30日、p76−77
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のシール構造にあっては、以下の不具合を生じる恐れがある。
【0008】
すなわち、図9に示したシール構造を摺動部に使用すると、環状溝30内に挿入したOリング1に側面から流体圧PSが負荷された場合には、Oリング1が弾性体であるため、環状溝30の側面30aに押し付けられ変形し、封止部材Rおよび封止部材Hに接触面圧FR,FG2,FG3が発生する。
【0009】
このとき、側面30aは、環状溝の底部30bより環状溝開口部側が広がるように0から5度の傾斜角をもって傾斜しているから、流体圧PSの負荷だけでなく、側面30aから受ける反力も作用する場合もあり、封止部材R側の接触面圧FRがその分高くなる傾向にある。
【0010】
すると、上記接触面圧FRが高くなることにより、封止部材Rが封止部材Hに対して摺動するときに発生する摩擦力が大きくなり、その摺動運動を妨げたり、また、摩擦力が大きいためにOリングそのものを傷つける場合があり、その結果、シール機能の低下や摺動性の悪化させる弊害がある。
【0011】
また、図10に示すシール構造にあっては、Oリング1が環状溝31の開口部を塞いでいるので、Oリング1には側面から流体圧が負荷されにくい構造となっており、結局Oリング1と封止部材Rとの接触面圧は、上記のOリング1側面からの流体圧の影響は受けにくくなる。
【0012】
したがって、封止部材RとOリング1との接触面圧FRは、図9に示したシール構造より低くなるが、開口部が、Oリング1の直径より狭いために、Oリング1を環状溝31に挿入しにくく、また、環状溝31が上述の形状であるから、加工も難しい。
【0013】
そこで、本発明は上記の不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、シール機能の低下や摺動性を悪化させる弊害を防止し、加工が容易で、組付けも容易な摺動部のシール構造を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、第1の課題解決手段は、固定部材または可動部材に設けた環状溝と、上記環状溝内に介装され、一方または両方向から流体圧が負荷されるOリングとにより、固定部材と可動部材の間をシールする摺動部のシール構造において、上記環状溝の側面の一方または両方が環状溝内方向に傾斜し、かつ、各側面の開口端間の距離がOリングの直径以上であることを特徴とする。
【0015】
上記構成により、環状溝の側面が環状溝内方向に傾斜しているので、流体圧がOリング側面負荷されても、固定部材または可動部材とOリングとの接触面圧を従来より低くすることができるので、固定部材に対し可動部材が摺動するときに発生する摩擦力を低く押えることができ、その摺動運動を妨げたり、また、摩擦力が大きいためにOリングそのものを傷つけるという弊害が防止される。その結果、シール機能の低下や摺動性の悪化も防止することができる。
【0016】
さらに、環状溝の各側面の開口端間の距離がOリングの直径以上であるので、Oリングの溝内に挿入が容易となり、かつ、環状溝の開口部が従来より広いので、加工も容易となる。
【0017】
また、第2の課題解決手段は、固定部材または可動部材に設けた環状溝と、上記環状溝内に介装され、一方または両方向から流体圧が負荷されるOリングとにより、固定部材と可動部材の間をシールする摺動部のシール構造において、環状溝開口部であって一方または両方の環状溝側面に、環状溝内方向に向けて突出した勾配部を設け、かつ、勾配部の先端と勾配部を設けていない環状溝側面の開口端との間の距離あるいは各勾配部の先端間距離がOリングの直径以上であることを特徴とする。
【0018】
したがって、この場合も、環状溝側面に勾配部を設けて、その勾配部からの反力が環状溝を設けた部材方向に向いているので、固定部材または摺動部材とOリングとの接触面圧を従来のシール構造よりも低くすることが可能であるので、固定部材に対し可動部材が摺動するときに発生する摩擦力を低く押えることができ、その摺動運動を妨げたり、また、摩擦力が大きいためにOリングそのものを傷つけるという弊害が防止される。その結果、シール機能の低下や摺動性の悪化も防止することができる。
【0019】
さらに、環状溝の開口部の各側面間距離がOリングの直径以上であるので、Oリングの環状溝内に挿入が容易となり、かつ、環状溝の開口部が従来より広いので、加工も容易となる。
【0020】
そして、さらに、第3の課題解決手段は、固定部材または可動部材に設けた環状溝と、上記環状溝内に介装され、一方または両方向から流体圧が負荷されるOリングとにより、固定部材と可動部材の間をシールする摺動部のシール構造において、環状溝開口部であって一方または両方の環状溝側面に、環状溝内方向に向けて突出した彎曲部を設け、かつ、湾局部の先端と彎曲部を設けていない環状溝側面の開口端との間の距離もしくは各彎曲部の先端間距離がOリングの直径以上であることを特徴とする。
【0021】
この場合も、環状溝側面に彎曲部を設けて、その彎曲部からの反力が環状溝を設けた部材方向に向いているので、固定部材または摺動部材とOリングとの接触面圧を従来のシール構造よりも低くすることが可能であるので、固定部材に対し可動部材が摺動するときに発生する摩擦力を低く押えることができ、その摺動運動を妨げたり、また、摩擦力が大きいためにOリングそのものを傷つけるという弊害が防止される。その結果、シール機能の低下や摺動性の悪化も防止することができる。
【0022】
また、環状溝の開口部の各側面間距離がOリングの直径以上であるので、Oリングの環状溝内に挿入が容易となり、かつ、環状溝の開口部が従来より広いので、加工も容易となる。
【0023】
さらに、第4の課題解決手段は、固定部材または可動部材に設けた環状溝と、上記環状溝内に介装され、一方または両方向から流体圧が負荷されるOリングとにより、固定部材と可動部材の間をシールする摺動部のシール構造において、環状溝の側面とOリングとの間に、Oリング側の端面が前記環状溝の開口端に近いほど軸方向肉厚が厚くなるように勾配されたリングを挿入したことを特徴とする。
【0024】
この場合には、環状溝の側面に傾斜を持たせるのではなく、環状溝側面とOリングとの間に勾配した面を有するリングを挿入することにより、第1の課題解決手段と同様の効果を奏することができる。
【0025】
したがって、この場合には、より一層環状溝の加工が容易となり、また、リングを挿入した状態で、リングと他方の環状溝側面との距離をOリングの直径より小さくすることもでき、その場合には、Oリングが環状溝から脱落してしまうのを防止することができる。
【0026】
そして、また、第5の課題解決手段では、固定部材または可動部材に設けた環状溝と、上記環状溝内に介装され、一方または両方向から流体圧が負荷されるOリングとにより、固定部材と可動部材の間をシールする摺動部のシール構造において、環状溝の側面とOリングとの間に、Oリング側の端面であって前記環状溝の内方かつ開口端側に突出した勾配部を設けたリングを挿入したことを特徴とする。
【0027】
この場合にも、第4の課題解決手段と同様の効果を奏することが可能である。
【0028】
そして、さらに、第6の課題解決手段では、固定部材または可動部材に設けた環状溝と、上記環状溝内に介装され、一方または両方向から流体圧が負荷されるOリングとにより、固定部材と可動部材の間をシールする摺動部のシール構造において、環状溝の側面とOリングとの間に、Oリング側の端面であって前記環状溝の内方かつ開口端側に突出した彎曲部を設けたリングを挿入したことを特徴とする。
【0029】
この場合にも、第4の課題解決手段と同様の効果を奏することが可能である。
【0030】
さらに、第7の課題解決手段には、第4および第5の課題解決手段において、環状溝の両側面とOリングとの間、二箇所に、二つのリングを挿入していることを特徴とする。
【0031】
したがって、流体圧が、どちらがわから負荷されても、固定部材または可動部材とOリングとの接触面圧を従来より低くすることができるので、固定部材に対し可動部材が摺動するときに発生する摩擦力を低く押えることができ、その摺動運動を妨げたり、また、摩擦力が大きいためにOリングそのものを傷つけるという弊害が防止される。その結果、シール機能の低下や摺動性の悪化も防止することができる。
【0032】
また、さらに、第8の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、環状溝が、傾斜した環状溝側面を構成する第1部材と、底部および他方の環状溝側面を構成する第2部材とで形成されている請求項1に記載の摺動部のシール構造。環状溝が、傾斜した環状溝側面を構成する第1部材と、底部および他方の環状溝側面を構成する第2部材とで形成されていることを特徴とする。
【0033】
したがって、開口部を巾狭にする加工をしなくとも、環状溝を形成することができるから、環状溝の加工が容易となる。
【0034】
そして、また、第9の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、環状溝が、傾斜した環状溝側面を構成する第1部材と、底部を構成する第2部材と、他方の傾斜した環状溝側面を構成する第3部材とで形成されていることを特徴とする。
【0035】
この場合にも、第8の課題解決手段同様に、開口部を巾狭にする加工をしなくとも、環状溝を形成することができるから、環状溝の加工が容易となる。
【0036】
そして、さらに、第10の課題解決手段は、第2の課題解決手段において、環状溝が、勾配部を設けた環状溝側面を構成する第1部材と、底部および他方の環状溝側面を構成する第2部材とで形成されていることを特徴とする。
【0037】
したがって、開口部を巾狭にする加工をしなくとも、環状溝を形成することができるから、環状溝の加工が容易となる。
【0038】
そして、また、第11の課題解決手段は、第2の課題解決手段において、環状溝が、勾配部を設けた環状溝側面を構成する第1部材と、底部を構成する第2部材と、他方の傾斜した環状溝側面を構成する第3部材とで形成されていることを特徴とする。
【0039】
したがって、開口部を巾狭にする加工をしなくとも、環状溝を形成することができるから、環状溝の加工が容易となる。
【0040】
そして、さらに、第12の課題解決手段は、第3の課題解決手段において、環状溝が、彎曲部を設けた環状溝側面を構成する第1部材と、底部および他方の環状溝側面を構成する第2部材とで形成されていることを特徴とする。
【0041】
したがって、開口部を巾狭にする加工をしなくとも、環状溝を形成することができるから、環状溝の加工が容易となる。
【0042】
そして、また、第13の課題解決手段は、第3の課題解決手段において、環状溝が、彎曲部を設けた環状溝側面を構成する第1部材と、底部を構成する第2部材と、他方の傾斜した環状溝側面を構成する第3部材とで形成されていることを特徴とする。
【0043】
したがって、開口部を巾狭にする加工をしなくとも、環状溝を形成することができるから、環状溝の加工が容易となる。
【0044】
そして、より具体的には、第14の課題解決手段は、固定部材を空圧または油圧緩衝器等のヘッド部材とし、可動部材を空圧または油圧緩衝器等のピストンロッドとしたことを特徴とする。
【0045】
したがって、本発明は、特に、上述のように空圧または油圧緩衝器等の軸受部材とピストンロッドとの間をシールする場合に使用されると高い効果が期待される。
【0046】
また、第15の課題解決手段は、固定部材を空圧または油圧緩衝器等のシリンダとし、可動部材を空圧または油圧緩衝器等のピストンとしたことを特徴とする。
【0047】
したがって、空圧または油圧緩衝器等のシリンダとピストンとの間をシールする場合に使用されると、特に高い効果が期待される。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるシール構造は、図1に示す第1の実施の形態と、図3に示す第2の実施の形態と、図5に示す第3の実施の形態と、図6に示す第4の実施の形態と、図7に示す第5の実施の形態と、図8に示す第6の実施の形態とがある。
【0049】
また、説明の都合上、空圧または油圧緩衝器に本発明が具現化された場合について説明するが、本発明の構成上、およそ摺動部における他のシール部に本発明が具現化可能であることは、本発明の構成上明らかである。
【0050】
第1の実施の形態におけるシール構造は、固定部材たる軸受部材Hと、可動部材たるピストンロッドRと、Oリング1と、軸受部材Hに設けた環状溝2とで構成される。
【0051】
環状溝2は、環状溝内方向に傾斜した環状溝側面2aと、底部2bと、他方の環状溝側面2cとで構成され、この環状溝2内には、Oリング1が挿入される。そして、軸受部材HとピストンロッドRは当接するように配置されている。
【0052】
ここで、詳しく説明はしないが、ピストンロッドRは、たとえば、シリンダ(図示せず)内にピストン(図示せず)を介して移動自在に挿入されており、該シリンダの上端を軸受部材Hが封止しており、シリンダ内には、流体が封入され、軸受部材HがピストンロッドRと摺接している。
【0053】
また、軸受部材HとピストンロッドRが摺接すると環状溝2がOリング1の直径より浅くつくられており、Oリング1もピストンロッドRと摺接することとなる。
【0054】
そして、環状溝2の軸方向の開口部巾は、Oリング1の直径以上の長さであるので、環状溝2内へのOリング1の挿入は容易であるから、摺動部の組付性も良い。
【0055】
つづいて、作用について説明すると、
たとえば、ピストンロッドRの図1中右側にピストンが設けられていて、ピストンロッドRがシリンダ内から突出する場合に、すなわち、ピストンロッドRが図1中左側に移動するとき、軸受部材Hの環状溝2内にはOリング1の図1中右側から、流体圧PSが負荷されるが、このとき、断面が円形のOリング1は、弾性体であるから、図1のように変形する。
【0056】
そうすると、Oリング1は、傾斜した側面2aから、反力を受け、接触面圧FG2を生じる。他方、ピストンロッドRとOリング1との間にも同様に接触面圧FRを生じるが、上述の接触面圧FG2は、側面2aが環状溝内方向に傾斜しているため軸受部材H側に向けて作用するから、Oリングが側面の傾斜していない環状溝内に挿入された場合に比較して、ピストンロッドRとOリング1との接触面圧FRは低くなる。すなわち、本発明にあっては、Oリングに負荷される流体圧を利用して、可動部材または固定部材とOリングとの接触面圧FRを低くすることを意図している点で、図10の従来のシール構造とは、その目的とするところが全く異なることは明らかである。なお、このことは、以下説明する他の実施の形態における発明についても同様である。
【0057】
したがって、従来のシール構造に比較して、ピストンロッドRとOリング1との接触面圧FRは低くなるから、ピストンロッドRとOリング1間の摩擦力も小さくなり、その結果、Oリング1の傷つきを防止できる。
【0058】
すると、Oリングの傷つきが防止できるから、シール機能の低下が防止され、Oリングの長寿命化が図られる。したがって、シール機能が維持されるので、それに伴い、油圧緩衝器等のこのシール構造が採用されるであろう空圧または油圧機器の機能の維持が可能となることは、言うまでもない。
【0059】
さらに、環状溝2の開口部の軸方向巾が、Oリング1の直径以上となっているので、Oリング1の環状溝2への挿入が容易となっていることは、上述したが、また、このような構成としたので、従来のシール構造と比較して、軸受部材への環状溝を形成する加工が容易となる。
【0060】
なお、本実施の形態では、ピストンロッドと軸受部材に本発明を具現化した場合を説明したが、固定部材をシリンダとして、可動部材をピストンとしてもよい。
【0061】
この場合には、図2に示すように、環状溝2の側面2aだけを傾斜するのではなく、他の側面2cをも環状溝2内方向へ傾斜させることが好ましい。すなわち、ピストンはシリンダ内を伸側室と圧側室とに画成するため、図1中左右から、流体圧を受けることがあるので、環状溝の両側の側面を傾斜して、シリンダとOリング1の接触面圧を低くすることが好ましいからである。
【0062】
上述のように、固定部材をシリンダとして、可動部材をピストンとしても、従来のシール構造に比較して、シリンダとOリング1との接触面圧FRは低くなるから、シリンダとOリング1間の摩擦力も小さくなり、その結果、Oリング1の傷つきを防止でき、シール機能の低下が防止され、Oリングの長寿命化が図られる本発明の効果を奏することができ、シール機能が維持されるので、それに伴い、油圧緩衝器等のこのシール構造が採用されるであろう空圧または油圧機器の機能の維持が可能となる。
【0063】
なお、上述のように、環状溝はシールする場所によって、固定部材側に設けてもよいし、逆に可動部材側に設けてもよく、本シール構造を用いる機器や用途によって適宜最適な箇所に環状溝を設けることが好ましい。
【0064】
次に、第2の実施の形態について説明する。図3に示すように、第2の実施の形態におけるシール構造は、固定部材たる軸受部材Hと、可動部材たるピストンロッドRと、Oリング1と、軸受部材Hに設けた環状溝3とで構成される。
【0065】
軸受部材HおよびピストンロッドRおよびOリング1については、第1の実施の形態を同様の構成であるので、その詳しい説明は省略する。
【0066】
環状溝3は、各側面3a、3cと底部3bとで構成され、うち一方の側面3aは、底部から垂直に立ち上がっており、その側面3a上であって、環状溝3の開口部側に開口部に近づくほど肉厚となる勾配部4が設けられている。
【0067】
そして、Oリング1が環状溝3内に挿入され、軸受部材HとピストンロッドRとが、摺接していることは第1の実施の形態と同様である。
【0068】
すなわち、第1の実施の形態で説明したように、ピストンロッドRの図3中右側にピストンが設けられている場合に、シリンダからピストンロッドRが突出する際には、やはり、第1の実施の形態と同様に、Oリング1は右側面からの流体圧PSにより、図3に示すように、弾性変形する。
【0069】
そして、Oリング1には、環状溝3の側面3aの勾配部4から、図3中斜め下向きの接触面圧FG4による反力が働くので、結局、この場合も第1の実施の形態と同様に、接触面圧FRは、従来のシール構造に比べて、低い面圧となる。
【0070】
したがって、第2の実施の形態における作用および効果は、第1の実施の形態と同様となる。
【0071】
また、勾配部4の先端と他の環状溝3の側面3cとの巾は、Oリング1の直径以上であるため、この場合にも、Oリング1の環状溝3への挿入は容易であるので、摺動部の組付性も良い。
【0072】
さらに、この場合におけるシール構造にあっても、固定部材をシリンダとし、可動部材をピストンとしても、同様の効果を奏することが可能である。このときには、やはり、第1の実施の形態を同様に、図4に示すように、環状溝3の各側面3a、3cに勾配部4a、4bを環状溝内方向に突出させて設けることが好ましい。
【0073】
つづいて、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態におけるシール構造は、図5に示すように、固定部材たる軸受部材Hと、可動部材たるピストンロッドRと、Oリング1と、軸受部材Hに設けた環状溝5とで構成される。
【0074】
軸受部材HおよびピストンロッドRおよびOリング1については、第1の実施の形態を同様の構成であるので、その詳しい説明は省略する。
【0075】
環状溝5は、各側面5a、5cと底部5bとで構成され、うち一方の側面5aは、底部から垂直に立ち上がっており、その側面5a上であって、環状溝5の開口部側に開口部に近づくほど肉厚となる彎曲部6が設けられている。
【0076】
そして、Oリング1が環状溝5内に挿入され、軸受部材HとピストンロッドRとが、摺接していることは第1の実施の形態と同様である。
【0077】
すなわち、第1の実施の形態で説明したように、ピストンロッドRの図5中右側にピストンが設けられている場合に、シリンダからピストンロッドRが突出する際には、やはり、第1の実施の形態と同様に、Oリング1は右側面からの流体圧により、図5に示すように、弾性変形する。
【0078】
そして、Oリング1には、環状溝5の側面5aの彎曲部6から、図5中斜め下向きの反力が働くので、結局、この場合も第1の実施の形態と同様に、接触面圧FRは、従来のシール構造に比べて、低い面圧となる。
【0079】
したがって、第3の実施の形態における作用および効果は、第1の実施の形態と同様となる。
【0080】
また、彎曲部6の先端と他の環状溝5の側面5cとの巾は、Oリング1の直径以上であるため、この場合にも、Oリング1の環状溝5への挿入は容易であるので、摺動部の組付性も良い。
【0081】
さらに、この場合におけるシール構造にあっても、固定部材をシリンダとし、可動部材をピストンとしても、同様の効果を奏することが可能である。このときには、やはり、第1の実施の形態を同様に、環状溝5の各側面5a、5cに彎曲部を環状溝方向に突出させて設けることが好ましい。
【0082】
さらに、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態におけるシール構造は、図6に示すように、固定部材たる第1部材H1と第2部材H2とで構成した軸受部材と、勾配部7を設けた環状溝側面8aを構成する第1部材H1と、底部8bおよび他方の環状溝側面8cを構成する第2部材H2とで形成されている環状溝8と、可動部材たるピストンロッドRと、Oリング1とで構成される。
【0083】
環状溝8は、第1部材H1の側面で形成される環状溝側面8aと、第2部材H2に段部を設けて段部の水平面で形成される環状溝底部8bと同じく段部の垂直面で形成される他方の環状溝側面8cとで構成され、第1部材H1側で形成する環状溝側面8aは、第1部材H1底部から垂直に立ち上がっており、その側面8a上であって、環状溝8の開口部側に、環状溝8内に突出する向に、開口部に近づくほど肉厚となる勾配部7が設けられている。
【0084】
ここでは、詳しく説明しないが、第1部材H1と第2部材H2は、たとえば、螺合、圧入されることにより結合されている。
【0085】
したがって、この場合には、第1部材H1と第2部材H2とで、軸受部材が構成されることとなる。
【0086】
そして、環状溝8内には、Oリング1が挿入される。さらに、第1部材H1および第2部材H2は、ピストンロッドRは当接するように配置されている。
【0087】
ここで、詳しく説明はしないが、ピストンロッドRは、たとえば、シリンダ(図示せず)内にピストン(図示せず)を介して移動自在に挿入されており、該シリンダの上端を軸受部材たる第1部材H1と第2部材H2が封止しており、シリンダ内には、流体が封入され、第1部材H1と第2部材H2がピストンロッドRと摺接している。
【0088】
また、軸受部材たる第1部材H1と第2部材H2がピストンロッドRに摺接すると環状溝8がOリング1の直径より浅くつくられており、Oリング1もピストンロッドRと摺接することとなる。
【0089】
そして、環状溝8の軸方向の開口部巾は、Oリング1の直径以上の長さであるので、環状溝8内へのOリング1の挿入は容易であるから、摺動部の組付性も良い。
【0090】
つづいて、作用について説明すると、
たとえば、ピストンロッドRの図6中右側にピストンが設けられていて、ピストンロッドRがシリンダ内から突出する場合に、すなわち、ピストンロッドRが図6中左側に移動するとき、第1部材H1と第2部材H2とで形成する環状溝8内にはOリング1の図6中右側から、流体圧が負荷されるが、このとき、断面が円形のOリング1は、弾性体であるから、第2の実施の形態と同様に、図6のように変形する。
【0091】
そして、Oリング1には、環状溝8の側面8aの勾配部7から、図6中斜め下向きの反力が働くので、結局、この場合も第2の実施の形態と同様に、接触面圧FRは、従来のシール構造に比べて、低い面圧となる。
【0092】
したがって、従来のシール構造に比較して、ピストンロッドRとOリング1との接触面圧FRは低くなるから、ピストンロッドRとOリング1間の摩擦力も小さくなり、その結果、Oリング1の傷つきを防止できる。
【0093】
すると、Oリングの傷つきが防止できるから、シール機能の低下が防止され、Oリングの長寿命化が図られる。したがって、シール機能が維持されるので、それに伴い、油圧緩衝器等のこのシール構造が採用されるであろう空圧または油圧機器の機能の維持が可能となることは、言うまでもない。
【0094】
さらに、環状溝8の開口部の軸方向巾が、Oリング1の直径以上となっているので、Oリング1の環状溝8への挿入が容易となっていることは、上述したが、また、このような構成、すなわち、第1部材H1と第2部材H2とで環状溝8を形成したので、従来のシール構造と比較して、軸受部材に直接環状溝を形成するのではなく、第1部材H1に勾配部7と形成する一方、第2部材に段部を形成するだけでよいので、軸受部材への環状溝を形成する加工が一層容易となる。
【0095】
なお、本実施の形態では、ピストンロッドと軸受部材に本発明を具現化した場合を説明したが、固定部材をシリンダとして、可動部材をピストンとしてもよい。
【0096】
この場合には、第2部材の段部の垂直面で形成する環状溝側面8cにも、環状溝8内方向に突出する勾配部を設けることで、環状溝8の形状は、図4と同様になるので、第3の実施の形態で説明した、両側から流体圧PSを受ける部位にこのシール構造を適用することができ、この場合にも、従来のシール構造に比較して、シリンダとOリング1との接触面圧FRは低くなるから、シリンダとOリング1間の摩擦力も小さくなり、その結果、Oリング1の傷つきを防止でき、シール機能の低下が防止され、Oリングの長寿命化が図られる本発明の効果を奏することができ、シール機能が維持されるので、それに伴い、油圧緩衝器等のこのシール構造が採用されるであろう空圧または油圧機器の機能の維持が可能となる。
【0097】
なお、上述のように、環状溝はシールする場所によって、固定部材側に設けてもよいし、逆に可動部材側に設けてもよく、本シール構造を用いる機器や用途によって適宜最適な箇所に環状溝を設けることが好ましい。
【0098】
また、本実施の形態では、環状溝側面に勾配部を設けているものにつき説明したが、勾配部に替えて第3の実施の形態で説明した彎曲部を設けても良く、さらに、第1の実施の形態で説明した環状溝側面自体を環状溝内方向に傾斜させても良い。
【0099】
さらに、第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態におけるシール構造は、図7に示すように、第1部材H1と第2部材H3と第3部材H4とを有する可動部材たるピストンPと、勾配部9aを設けた環状溝側面10aを構成する第1部材H1と、底部10bを形成する第2部材H3と、他方の勾配部9bを設けた環状溝側面10cを構成する第3部材H4とで形成されている環状溝10と、固定部材たるシリンダSと、Oリング1とで構成される。
【0100】
環状溝10は、第1部材H1の側面で形成される環状溝側面10aと、第2部材H3の外周面で形成される環状溝底部10bと、第3部材H4の側面で形成される他方の環状溝側面10cとで構成され、第1部材H1側で形成する環状溝側面10aは、第1部材H1底部から垂直に立ち上がっており、その側面10a上であって、環状溝10の開口部側に、環状溝10内に突出する向に、開口部に近づくほど肉厚となる勾配部9aが設けられている。さらに、第3部材H4で形成する他方の環状溝側面10cは、第3部材H4底部から垂直に立ち上がっており、その側面10c上であって、環状溝10の開口部側に、環状溝10内に突出する向に、開口部に近づくほど肉厚となる勾配部9bが設けられている。
【0101】
ここでは、詳しく説明しないが、第1部材H1と第2部材H3と第3部材H4は、たとえば、螺合、圧入されることにより結合されている。
【0102】
したがって、この場合には、第1部材H1と第2部材H3と第3部材H4で、ピストンPの全部または一部が構成されることとなる。
【0103】
そして、環状溝10内には、Oリング1が挿入される。さらに、第1部材H1および第2部材H3および第3部材H4は、シリンダSは当接するように配置されている。
【0104】
ここで、詳しく説明はしないが、ピストンPは、たとえば、シリンダS内に移動自在に挿入されたピストンロッド(図示せず)の先端に配在され、シリンダSを圧側室と伸側室に画成している。
【0105】
そして、上述のように第1部材H1と第2部材H3と第3部材H4がピストンPの全部または一部を構成し、シリンダS内には、流体が封入され、第1部材H1と第2部材H3と第3部材H4がシリンダSと摺接している。
【0106】
また、ピストンPの全部または一部たる第1部材H1と第2部材H3と第3部材H4がシリンダSに摺接すると環状溝10がOリング1の直径より浅くつくられており、Oリング1もシリンダSと摺接することとなる。
【0107】
そして、環状溝10の軸方向の開口部巾は、Oリング1の直径以上の長さであるので、環状溝10内へのOリング1の挿入は容易であるから、摺動部の組付性も良い。
【0108】
つづいて、作用について説明すると、たとえば、ピストンPがシリンダS内を図7中右側に移動すると、第1部材H1と第2部材H3と第3部材H4とで形成する環状溝10内にはOリング1の図7中右側から、流体圧が負荷されるが、このとき、断面が円形のOリング1は、弾性体であるから、第2の実施の形態と同様に、図7のように変形する。
【0109】
そして、Oリング1には、環状溝10の側面10aの勾配部9aから、図7中斜め下向きの反力が働くので、結局、この場合も第2の実施の形態と同様に、接触面圧FRは、従来のシール構造に比べて、低い面圧となる。
【0110】
したがって、従来のシール構造に比較して、シリンダSとOリング1との接触面圧FRは低くなるから、シリンダSとOリング1間の摩擦力も小さくなり、その結果、Oリング1の傷つきを防止できる。
【0111】
すると、Oリングの傷つきが防止できるから、シール機能の低下が防止され、Oリングの長寿命化が図られる。したがって、シール機能が維持されるので、それに伴い、油圧緩衝器等のこのシール構造が採用されるであろう空圧または油圧機器の機能の維持が可能となることは、言うまでもない。
【0112】
また、逆にピストンPがシリンダS内を図7中左側に移動したときは、上記した場合とは全く正反対に流体圧PSを受けることとなるが、この場合にも、動作が正反対となるだけで、作用効果はピストンPがシリンダS内を右に移動した場合と同様である。
【0113】
さらに、環状溝10の開口部の軸方向巾が、Oリング1の直径以上となっているので、Oリング1の環状溝10への挿入が容易となっていることは、上述したが、また、このような構成、すなわち、第1部材H1と第2部材H3と第3部材H4で環状溝10を形成したので、従来のシール構造と比較して、軸受部材に直接環状溝を形成するのではなく、第1部材H1および第3部材に勾配部9a、9bを形成するだけでよいので、ピストンへの環状溝を形成する加工が一層容易となる。
【0114】
最後に、第6の実施の形態について説明する。第6の実施の形態におけるシール構造は、図8に示すように、固定部材たる軸受部材H5と、可動部材たるピストンロッドRと、Oリング1と、軸受部材H5に設けた環状溝11と、環状溝の側面11aとOリング1との間に、Oリング1側の端面であって前記環状溝11の内方かつ開口端側に突出した勾配部12aを設けたリング12とで構成される。
【0115】
環状溝11は、軸受部材H5に形成される水平な底部11bと、水平な底部11bに対し垂直な各側面11a、11cとで構成される。そして、この環状溝11内にOリング1が挿入される。
【0116】
さらに、環状溝11内で、環状溝側面11aとOリング1との間に、上述のリング12が勾配部12aをOリング1側に向けて挿入される。このとき、リング12の挿入場所は、Oリング1に流体圧PSが負荷される方と反対側に挿入される。
【0117】
なお、上記リングを低摩擦のPTFE材等でつくる場合には、変形させて環状溝11に挿入可能な場合にはエンドレスリングに、挿入が困難な場合には円周状の1部を切り開くカットリングとするとよい。また、図6、7に示すように環状溝を複数部材で構成する場合にはエンドレスリングとカットリングのいずれも使用可能である。
【0118】
そうしておいて、軸受部材H5とピストンロッドRは当接するように配置されている。
【0119】
ここで、詳しく説明はしないが、ピストンロッドRは、たとえば、シリンダ(図示せず)内にピストン(図示せず)を介して移動自在に挿入されており、該シリンダの上端を軸受部材H5が封止しており、シリンダ内には、流体が封入され、軸受部材HがピストンロッドRと摺接している。
【0120】
また、軸受部材H5とピストンロッドRが摺接すると環状溝11がOリング1の直径より浅くつくられており、Oリング1もピストンロッドRと摺接することとなる。
【0121】
そして、環状溝11の軸方向の開口部巾は、リング12が挿入される分、Oリング1の直径以上の長さに設定されるので、環状溝10内へのOリング1の挿入は容易であるから、摺動部の組付性も良い。
【0122】
さらに、本実施の形態では、リング12を挿入したときに、勾配部12aの先端とリング12が挿入されない方の環状溝側面11cとの距離をOリング1の直径より小さくすると、リング12はOリング1が環状溝11内から脱落することを防止する抜け止めとしても機能する。
【0123】
つづいて、作用について説明すると、たとえば、ピストンロッドRの図8中右側にピストンが設けられていて、ピストンロッドRがシリンダ内から突出する場合に、すなわち、ピストンロッドRが図8中左側に移動するとき、軸受部材Hの環状溝11内にはOリング1の図8中右側から、流体圧が負荷されるが、このとき、断面が円形のOリング1は、弾性体であるから、第2の実施の形態と同様に、図8のように変形する。
【0124】
そうすると、Oリング1は、リング12の勾配部12aから、第2の実施の形態と同様に図8中斜め下向きの反力が働くので、Oリング1が側面の傾斜していない環状溝内に挿入された場合に比較して、ピストンロッドRとOリング1との接触面圧FRは低くなる。
【0125】
したがって、従来のシール構造に比較して、ピストンロッドRとOリング1との接触面圧FRは低くなるから、ピストンロッドRとOリング1間の摩擦力も小さくなり、その結果、Oリング1の傷つきを防止できる。
【0126】
すると、Oリングの傷つきが防止できるから、シール機能の低下が防止され、Oリングの長寿命化が図られる。したがって、シール機能が維持されるので、それに伴い、油圧緩衝器等のこのシール構造が採用されるであろう空圧または油圧機器の機能の維持が可能となることは、言うまでもない。
【0127】
さらに、環状溝11の開口部の軸方向巾が、Oリング1の直径以上となっているので、Oリング1の環状溝11への挿入が容易となっていることは、上述したが、また、このような構成、すなわち、環状溝11を形成するに際し、わざわざ環状溝の側面に傾斜を設けなくてよいので、従来のシール構造と比較して、軸受部材への環状溝を形成する加工が容易となる。
【0128】
なお、本実施の形態では、ピストンロッドと軸受部材に本発明を具現化した場合を説明したが、固定部材をシリンダとして、可動部材をピストンとしてもよい。
【0129】
この場合には、環状溝11の側面11aとOリング1との間にリング12を設けるだけでなく、他の側面11cとOリング1との間にも、Oリング1側に勾配部12aを向けてリング12を挿入する。すなわち、ピストンはシリンダ内を伸側室と圧側室とに画成するため、図中左右から、流体圧を受けることがあるので、Oリング1の両側リング12の勾配部12aから反力を受けることにより、シリンダとOリング1の接触面圧を低くすることが可能である。
【0130】
上述のように、固定部材をシリンダとして、可動部材をピストンとしても、従来のシール構造に比較して、シリンダとOリング1との接触面圧FRは低くなるから、シリンダとOリング1間の摩擦力も小さくなり、その結果、Oリング1の傷つきを防止でき、シール機能の低下が防止され、Oリングの長寿命化が図られる本発明の効果を奏することができ、シール機能が維持されるので、それに伴い、油圧緩衝器等のこのシール構造が採用されるであろう空圧または油圧機器の機能の維持が可能となる。
【0131】
なお、上述のように、環状溝はシールする場所によって、固定部材側に設けてもよいし、逆に可動部材側に設けてもよく、本シール構造を用いる機器や用途によって適宜最適な箇所に環状溝を設けることが好ましい。
【0132】
また、本実施の形態では、リング側面に勾配部を設けているものにつき説明したが、勾配部に替えて彎曲部を設けても良く、さらに、Oリング側の端面が外径側の軸方向巾より内径側の軸方向巾が狭くなるように勾配されたリングにしても良い。
【0133】
【発明の効果】
請求項1、2および3に記載の発明によれば、固定部材または可動部材に環状溝側面を環状溝内方向に傾斜させた環状溝、もしくは勾配部、もしくは彎曲部を設けたので、固定部材または可動部材とOリングとの接触面圧を従来より低くすることができるので、固定部材に対し可動部材が摺動するときに発生する摩擦力を低く押えることができ、その摺動運動を妨げたり、また、摩擦力が大きいためにOリングそのものを傷つけるという弊害が防止される。その結果、シール機能の低下や摺動性の悪化も防止することができる。
【0134】
そして、ひいては、油圧緩衝器等のこのシール構造が採用されるであろう空圧または油圧機器の機能の維持が可能となる。
【0135】
さらに、環状溝の各側面間距離がOリングの直径以上であるので、Oリングの環状溝内に挿入が容易となり、かつ、環状溝の開口部が従来より広いので、加工も容易となる。
【0136】
また、請求項4、5および6の発明によれば、Oリングが挿入される環状溝の側面とOリングとの間に、Oリング側の端面が前記環状溝の開口端に近いほど軸方向肉厚が厚くなるように勾配された、もしくは、Oリング側の端面であって前記環状溝の内方かつ開口端側に突出した勾配部を設けた、もしくは、Oリング側の端面であって前記環状溝の内方かつ開口端側に突出した彎曲部を設けたリングを挿入したので、Oリングの側面に流体圧が負荷されても、固定部材または可動部材とOリングとの接触面圧を従来より低くすることができるので、固定部材に対し可動部材が摺動するときに発生する摩擦力を低く押えることができ、その摺動運動を妨げたり、また、摩擦力が大きいためにOリングそのものを傷つけるという弊害が防止される。その結果、シール機能の低下や摺動性の悪化も防止することができる。
【0137】
そして、ひいては、油圧緩衝器等のこのシール構造が採用されるであろう空圧または油圧機器の機能の維持が可能となる。
【0138】
さらに、環状溝を形成するに際し、わざわざ環状溝の側面に傾斜を設けなくてよいので、従来のシール構造と比較して、軸受部材への環状溝を形成する加工がより一層容易となる。
【0139】
また、リングを挿入した状態で、リングと他方の環状溝側面との距離をOリングの直径より小さくすることもでき、その場合には、Oリングが環状溝から脱落してしまうのを防止することができる。
【0140】
また、請求項7の発明によれば、環状溝内のOリングの両側に勾配部等を備えたリングを設けているので、Oリングの左右どちらから流体圧が負荷されても、Oリングと可動部材または固定部材との接触面圧を低くすることができる。
【0141】
したがって、Oリングの左右どちらがわから流体圧が負荷されても、固定部材に対し可動部材が摺動するときに発生する摩擦力を低く押えることができ、その摺動運動を妨げたり、また、摩擦力が大きいためにOリングそのものを傷つけるという弊害が防止される。その結果、シール機能の低下や摺動性の悪化も防止することができる。
【0142】
さらに、請求項8、10および12に記載の発明によれば、環状溝が、傾斜した、もしくは勾配部を設けた、もしくは彎曲部を設けた環状溝側面を構成する第1部材と、底部および他方の環状溝側面を構成する第2部材とで形成されているので、請求項1、2および3の発明と同様の効果を奏することは勿論のこととして、開口部を巾狭にする加工をしなくとも、環状溝を形成することができるから、環状溝の加工が容易となる。
【0143】
そして、また、請求項9、11および13の発明によれば、環状溝が、傾斜した、もしくは勾配部を設けた、もしくは彎曲部を設けた環状溝側面を構成する第1部材と、底部を構成する第2部材と、他方の傾斜した、もしくは勾配部を設けた、もしくは彎曲部を設けた環状溝側面を構成する第3部材とで形成されているので、請求項1、2および3の発明と同様の効果を奏することは勿論のこととして、開口部を巾狭にする加工をしなくとも、環状溝を形成することができるから、環状溝の加工が容易となる。
【0144】
そして、さらに、請求項14の発明によれば、上述の各効果は、空圧または油圧緩衝器等の軸受部材とピストンロッドとの間をシールする場合に使用される場合に、特に高い効果が期待できる。
【0145】
そして、また、請求項15の発明によれば、上述の各効果は、空圧または油圧緩衝器等のシリンダとピストンとの間をシールする場合に使用されると、特に高い効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態におけるシール構造の縦断面図である。
【図2】第1の実施の形態における両環状溝側面を環状溝内方向に傾斜したシール構造の縦断面図である。
【図3】第2の実施の形態におけるシール構造の縦断面図である。
【図4】第2の実施の形態における両環状溝側面に勾配部を設けたシール構造の縦断面図である。
【図5】第3の実施の形態におけるシール構造の縦断面図である。
【図6】第4の実施の形態におけるシール構造の縦断面図である。
【図7】第5の実施の形態におけるシール構造の縦断面図である。
【図8】第6の実施の形態におけるシール構造の縦断面図である。
【図9】従来のシール構造の縦断面図である。
【図10】従来のシール構造の縦断面図である。
【符号の説明】
1 Oリング
2、3、5、8、10、11 環状溝
2a、2c、3a、3c、5a、5c、8a、8c、10a、10c、11a、2b、3b、5b、8b、10b、11b 底部
4、4a、4b、7、9a、9b、12a 勾配部
6 彎曲部
H、H5 固定部材たる軸受部材
H1 第1部材
H2、H3 第2部材
H4 第3部材
P 可動部材たるピストン
R 可動部材たるピストンロッド
FR、FG2、FG4 接触面積
PS 流体圧

Claims (15)

  1. 固定部材または可動部材に設けた環状溝と、上記環状溝内に介装され、一方または両方向から流体圧が負荷されるOリングとにより、固定部材と可動部材の間をシールする摺動部のシール構造において、上記環状溝の側面の一方または両方が環状溝内方向に傾斜し、かつ、各側面の開口端間の距離がOリングの直径以上であることを特徴とする摺動部のシール構造。
  2. 固定部材または可動部材に設けた環状溝と、上記環状溝内に介装され、一方または両方向から流体圧が負荷されるOリングとにより、固定部材と可動部材の間をシールする摺動部のシール構造において、環状溝開口部であって一方または両方の環状溝側面に、環状溝内方向に向けて突出した勾配部を設け、かつ、勾配部の先端と勾配部を設けていない環状溝側面の開口端との間の距離あるいは各勾配部の先端間距離がOリングの直径以上であることを特徴とする摺動部のシール構造。
  3. 固定部材または可動部材に設けた環状溝と、上記環状溝内に介装され、一方または両方向から流体圧が負荷されるOリングとにより、固定部材と可動部材の間をシールする摺動部のシール構造において、環状溝開口部であって一方または両方の環状溝側面に、環状溝内方向に向けて突出した彎曲部を設け、かつ、湾局部の先端と彎曲部を設けていない環状溝側面の開口端との間の距離もしくは各彎曲部の先端間距離がOリングの直径以上であることを特徴とする摺動部のシール構造。
  4. 固定部材または可動部材に設けた環状溝と、上記環状溝内に介装され、一方または両方向から流体圧が負荷されるOリングとにより、固定部材と可動部材の間をシールする摺動部のシール構造において、環状溝の側面とOリングとの間に、Oリング側の端面が前記環状溝の開口端に近いほど軸方向肉厚が厚くなるように勾配されたリングを挿入したことを特徴とする摺動部のシール構造。
  5. 固定部材または可動部材に設けた環状溝と、上記環状溝内に介装され、一方または両方向から流体圧が負荷されるOリングとにより、固定部材と可動部材の間をシールする摺動部のシール構造において、環状溝の側面とOリングとの間に、Oリング側の端面であって前記環状溝の内方かつ開口端側に突出した勾配部を設けたリングを挿入したことを特徴とする摺動部のシール構造。
  6. 固定部材または可動部材に設けた環状溝と、上記環状溝内に介装され、一方または両方向から流体圧が負荷されるOリングとにより、固定部材と可動部材の間をシールする摺動部のシール構造において、環状溝の側面とOリングとの間に、Oリング側の端面であって前記環状溝の内方かつ開口端側に突出した彎曲部を設けたリングを挿入したことを特徴とする摺動部のシール構造。
  7. 環状溝の両側面とOリングとの間、二箇所に、二つのリングを挿入している請求項4、5または6に記載の摺動部のシール構造。
  8. 環状溝が、傾斜した環状溝側面を構成する第1部材と、底部および他方の環状溝側面を構成する第2部材とで形成されている請求項1に記載の摺動部のシール構造。
  9. 環状溝が、傾斜した環状溝側面を構成する第1部材と、底部を構成する第2部材と、他方の傾斜した環状溝側面を構成する第3部材とで形成されている請求項1に記載の摺動部のシール構造。
  10. 環状溝が、勾配部を設けた環状溝側面を構成する第1部材と、底部および他方の環状溝側面を構成する第2部材とで形成されている請求項2に記載の摺動部のシール構造。
  11. 環状溝が、勾配部を設けた環状溝側面を構成する第1部材と、底部を構成する第2部材と、他方の傾斜した環状溝側面を構成する第3部材とで形成されている請求項2に記載の摺動部のシール構造。
  12. 環状溝が、彎曲部を設けた環状溝側面を構成する第1部材と、底部および他方の環状溝側面を構成する第2部材とで形成されている請求項3に記載の摺動部のシール構造。
  13. 環状溝が、彎曲部を設けた環状溝側面を構成する第1部材と、底部を構成する第2部材と、他方の傾斜した環状溝側面を構成する第3部材とで形成されている請求項3に記載の摺動部のシール構造。
  14. 固定部材を空圧または油圧緩衝器等のヘッド部材とし、可動部材を空圧または油圧緩衝器等のピストンロッドとした請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12に記載の摺動部のシール構造。
  15. 固定部材を空圧または油圧緩衝器等のシリンダとし、可動部材を空圧または油圧緩衝器等のピストンとした請求項項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12に記載の摺動部のシール構造。
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