JP2004116307A - スクロール式流体機械 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対を成す圧縮室25a,25bのうち、旋回スクロールラップ18の内側に位置して押し退け容積が小さいB室25bの設計容積比を、旋回スクロールラップ18の外側に位置して押し退け容積が大きいA室25aよりも小さくする。こうして、設計点付近での各圧縮室の圧力比を略同等にして、設計点付近における過圧縮を低減し、圧縮機性能を向上させる。さらに、吐出脈動を小さくして軸振動を低減し、圧縮機の振動および騒音を低減する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷媒,空気およびその他の作動流体を対象にしたエネルギー効率の向上に好適なスクロール式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクロール式流体機械のスクロールラップは、対称ラップ形式と非対称ラップ形式との2種に大別できる。前者の場合には、スクロールラップ内外に形成される一対の密閉空間(以下、圧縮室と言う)における吸込完了時の圧縮室内容積が略同一になる。一方、後者の場合には、吸込完了時の上記一対の圧縮室内容積が互いに異なって、旋回スクロールラップの外側に形成される圧縮室をA室とする一方、内側に形成される圧縮室をB室とすると、後者の場合には上記A室がB室よりも吸込完了時の圧縮室内容積が大きくなる特徴がある。
【0003】
上記A室およびB室の設計容積比が略同一である非対称スクロール圧縮機の高性能化を図る技術として特許文献1がある。ここで、上記「設計容積比」とは、吸込完了時の圧縮室内容積(以下、「押し退け容積」と言う)と圧縮室外空間への連通直前の圧縮室内容積との比である。上記特許文献1は、吐出過程における吐出流路面積変化に変曲点を持たせることによる上記B室の過圧縮を防止する発明に関する。すなわち、A室およびB室の設計容積比が略同一のもとで、ラップ形状および吐出ポート面積の拡大によって吐出流路面積速度の向上を実現するスクロール圧縮機が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8‐21381号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の非対称スクロール圧縮機には、以下のような問題がある。すなわち、非対称スクロール圧縮機において、一つの圧縮室(a室)に着目し、このa室とその周囲の圧縮室(b室〜d室)との概略配置図を図9に示す。図9においては、実際には湾曲している圧縮室外形を水平方向に拡張して図示している。ここで、図9におけるb室はa室と対を成す他方の圧縮室であり、c室はb室よりも1回転前に圧縮が開始される圧縮室であり、d室はb室よりも1回転後に圧縮が開始される(または、圧縮開始直前の)圧縮室である。
【0006】
上記非対称スクロール圧縮機では、一対の圧縮室を構成するA室とB室とにおける吸込完了のタイミングが異なるために、一方の圧縮室が他方より早く昇圧する。そのため、上記A室とB室とでの軸方向隙間(つまり、固定スクロールラップの下端面および旋回スクロールラップの上端面の隙間)からの内部漏洩方向が異なることになる。
【0007】
図10に、図9において、上記着目圧縮室であるa室の押し退け容積が対となるb室の押し退け容積よりも大きい(つまり、a室がA室である)場合の内部漏洩方向を示す。ここで、各圧縮室内圧をPi(i=a,b,c,d)で表すと、Pc>Pa>Pb>Pdなる関係があるため、着目するa室に関する上記軸方向隙間からの内部漏洩方向は、図10に示すようになるのである。一方、図11には、上記a室がb室の押し退け容積よりも小さい(つまり、a室がB室である)場合の内部漏洩方向を示す。図10の場合と異なって、各圧縮室内圧にはPc>Pb>Pa>Pdなる関係があるため、a室に関する上記軸方向隙間からの内部漏洩方向は、図11のようになる。
【0008】
図12には、対称スクロール圧縮機及び非対称スクロール圧縮機におけるクランク軸の回転角度に対する圧縮室内圧の変化を示す。つまり、図12では、対称ラップと非対称ラップとの上記「設計容積比」が略同一の下における同一作動流体の断熱圧縮過程を示している。その際に、対称ラップにおける一対の圧縮室の吸込完了と非対称ラップにおけるB室の吸込完了とのタイミングを揃えてある。
【0009】
図12において、上記対称ラップの場合には、A室とB室との吸込完了のタイミングおよび押し退け容積が略同一であるために、圧力変化は同一曲線となる。これに対して、上記非対称ラップの場合には、B室の吸込完了を回転角度の基準とすると、その時点ではA室は既に圧縮過程に移行しているために、A室の圧力変化曲線はB室の圧力変化曲線の上側に位置することになる。
【0010】
そして、上記非対称ラップでは、上記a室が押し退け容積の大きい方の圧縮室(A室)の場合には、同一回転角度でのa室内圧Paが上記対称ラップの場合よりも高くなるためにc室からの洩込量が減少するものの、b室内圧Pbおよびd室内圧Pdが対称ラップの場合と略同レベルであるためにa室(A室)からの洩出量が増大する。一方、a室が押し退け容積の小さい方の圧縮室(B室)の場合には、同一回転角度でのc室内圧Pcおよびd室内圧Pdが対称ラップと同レベルのためにa室からd室への漏出量やc室からa室への漏込量は同程度であるが、b室内圧Pbが対称ラップに比べて高くなるためにb室からa室(B室)への洩込量が増大する。
【0011】
以上のことから、上記非対称ラップの場合には、対称ラップに比べて押し退け容積の大きいA室から押し退け容積の小さいB室への内部漏洩が増大することが分る。したがって、B室がA室よりも相対的に圧力変化曲線が膨らみ易いにも拘らず、A室とB室との設計容積比が略同一の下ではB室が過圧縮になり、圧縮機の性能が大幅に低下するのである。また、対称ラップにおける圧縮室の内圧分布は点対称であるが、非対称ラップでは上記対称性が崩れるために内圧分布のバランスが対称ラップより悪化する。そのため、圧力変動が拡大して軸振動が大きくなる傾向がある。
【0012】
そこで、この発明の第1の目的は、エネルギー効率の向上を実現することができる非対称スクロール圧縮機を提供することにある。また。第2の目的は、過圧縮防止によってクランク軸の軸振動を低減し、低振動・低騒音化を実現する非対称スクロール圧縮機を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、端板および上記端板上に形成された渦巻状の固定スクロールラップを含んで構成された固定スクロール部材と、端板および上記端板上に形成された渦巻状の旋回スクロールラップを含んで構成された旋回スクロール部材とを備え、上記固定スクロールラップと旋回スクロールラップとを互いに歯合させて組み合せることによって、上記旋回スクロールラップの内側と外側とに吸込完了時の内容積である押し退け容積が互いに異なる一対の密閉空間を形成したスクロール式流体機械において、上記一対の密閉空間に関する上記押し退け容積と吐出直前の内容積である吐出直前容積との比の値を、互いに異なるように設定したことを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、旋回スクロールラップの内側と外側とに形成される一対の密閉空間に関する押し退け容積と吐出直前容積との比の値を、互いに異なるように設定している。したがって、非対称スクロール式流体機械の場合に過圧縮になる旋回スクロールラップ内側の密閉空間における上記比の値を、上記旋回スクロールラップ外側の密閉空間よりも小さく設定すれば、上記過圧縮が低減されて圧縮性能が向上され、エネルギー効率の向上が図られる。さらに、上記過圧縮防止によって旋回スクロール部材駆動用のクランク軸の軸振動が低減され、低振動・低騒音化が実現される。
【0015】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に掛る発明のスクロール式流体機械において、上記旋回スクロールラップの内側に形成された密閉空間における上記比の値を、上記旋回スクロールラップの外側に形成された密閉空間よりも小さく設定したことを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、非対称スクロール式流体機械の場合に過圧縮になる旋回スクロールラップ内側の密閉空間における上記比の値が、上記旋回スクロールラップ外側の密閉空間よりも小さく設定されている。したがって、上記過圧縮が低減されて圧縮性能が向上され、エネルギー効率の向上が図られる。さらに、上記過圧縮防止によって旋回スクロール部材駆動用のクランク軸の軸振動が低減され、低振動・低騒音化が実現される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0018】
・第1実施の形態
図1は、本実施の形態のスクロール流体機械としてのスクロール圧縮機の縦断面図である。本スクロール圧縮機は、主に圧縮部と駆動部とに分類される。上記圧縮部は、固定スクロール部材2,旋回スクロール部材3およびハウジング4によって概略構成されており、ハウジング4は密閉容器1内に固定されている。また、旋回スクロール部材3を旋回駆動する上記駆動部は、ロータ5およびステータ6を含む電動機,クランク軸7,オルダムリング8,支持部材9,スライド部材10および給油ポンプ11によって概略構成されている。
【0019】
ここで、駆動源は必ずしも電動機である必要はない。また、支持部材9は、旋回スクロール部材3とクランク軸7の偏芯ピン部7’とをクランク軸7の軸方向であるスラスト方向に移動可能に且つ回転自在に係合させると共に、旋回スクロール部材3を支持する。この支持部材9は、旋回スクロール部材3の径方向運動を可能にするスライドブッシュ10を介してクランク軸7に固定されている。また、給油ポンプ11は、内部に給油穴が設けられたクランク軸7の下部に固定されている。また、ハウジング4の上端面にはオルダムリング8のキー部の収容溝を水平方向2箇所に設ける一方、旋回スクロール部3の背面にも同様な溝をハウジング4の上記収容溝に直交して2箇所設けている。そして、上記溝内をオルダムリング8のキーが滑動することによって、旋回スクロール部材3の自転を防止するのである。尚、12は吸込パイプ、13は吐出空間、14は吐出パイプである。
【0020】
図2は、上記固定スクロール部材2における図1中下から見た平面図である。固定スクロール部材2は、渦巻き状の固定スクロールラップ(以下、単にラップと言う場合もある)15,上記端板としての鏡板16および吐出ポート17を含んで構成されている。そして、固定スクロールラップ15の外形は、インボリュート曲線もしくはインボリュート曲線に近似された曲線と複数円弧との組み合わせで形成されている。
【0021】
図3は、上記旋回スクロール部材3における図1中上から見た平面図である。旋回スクロール部材3は、旋回スクロールラップ(以下、単にラップと言う場合もある)18,上記端板としての鏡板19および座ぐり部20を含んで構成されている。そして、旋回スクロールラップ18の外形は、インボリュート曲線もしくはインボリュート曲線に近似された曲線と複数円弧との組み合わせで形成されている。
【0022】
図3に示すように、上記旋回スクロール部材3のラップ外側線は、円弧端点21から中央に向かう途中までをインボリュート曲線もしくはインボリュート曲線に近似された曲線で構成している。さらに、曲線端点22から円弧端点23までを円弧eで構成している。また、上記円弧端点23と円弧端点24とをインボリュート曲線もしくはそれに近似された曲線で連結して、ラップ内側線を構成している。そして、ラップ最外周の端部において、ラップ外側線とラップ内側線とを円弧fで連結している。尚、上記吐出ポート17および座ぐり部20は、少なくとも1種以上の円弧で構成すればよい。
【0023】
上記固定スクロール部材2と旋回スクロール部材3とは、固定スクロールラップ15形成側と旋回スクロールラップ18形成側とを向い合わせ、固定スクロールラップ15間に旋回スクロールラップ18を嵌合させて、上記圧縮部を形成している。図4は、互いに噛み合わせられた固定スクロールラップ15および旋回スクロールラップ18の横断面を示す。尚、図4は、ラップの噛み合いによって形成された中央付近に位置する圧縮室の拡大図であり、実際には図示した以外に複数の圧縮室が存在する。以後、図4において、互いに近傍に位置して対を成す圧縮室25,25のうち、旋回スクロールラップ18の外側に位置する圧縮室25aをA室と称する一方、旋回スクロールラップ18の内側に位置する圧縮室25bをB室と称する。
【0024】
上記A室25aには、上記固定スクロールラップ15の内側面と旋回スクロールラップ18の外側面とによって形成された中央側の狭小隙間gと外側の狭小隙間hとが存在する。同様に、B室25bにも、固定スクロールラップ15の外側面と旋回スクロールラップ18の内側面によって形成された中央側の狭小隙間iと外側の狭小隙間jとが存在する。
【0025】
図5に、吸込完了時における上記A室25aを斜線で示す。この時のA室25aの上記押し退け容積をVSAとする。同様に、図6に、吸込完了時におけるB室25bを斜線で示し、押し退け容積をVSBとする。ここで、本実施の形態においては、A室25aの押し退け容積VSAをB室25bの押し退け容積VSBよりも大きくなるよう構成している。また、図7および図8には、吐出空間13への連通直前(つまり、吐出直前)におけるA室25aおよびB室25bを示す。この時のA室25aにおける吐出直前の内容積(以下、「吐出直前容積」と言う)をVDAとし、B室25bの吐出直前容積をVDBとする。
【0026】
上記A室25a内においては、図5から図7まで、固定スクロールラップ15の内側面と旋回スクロールラップ18の外側面とによって狭小隙間gおよび狭小隙間hを形成維持し、各狭小隙間g,hで各ラップ側面が油膜を介して接触している。そして、旋回スクロール部材3の旋回運動に伴って、各狭小隙間g,hはスクロール中央へ移動して行く。B室25bにおいても同様に、狭小隙間i,jがスクロール中央へ移動して行く。
【0027】
本実施の形態においては、上記A室25aが狭小隙間gの間隔を概略維持しながら移動し、A室25aの吐出直前容積がVDAに到達した直後にA室25a内の圧縮ガスが吐出空間13へ流出可能な位置に吐出ポート17を設けるのである。そして、A室25a内が吐出ポート17を介して吐出空間13に連通された後に、旋回スクロール部材3の回転に従って中央部に近いA室25aの狭小隙間gの間隔が拡大して行くのである。
【0028】
一方、上記B室25b側では、吐出直前容積がVDBに至った直後に旋回スクロール部材3の回転に従って中央部に近いB室25bの狭小隙間iの間隔が拡大して行くように固定スクロールラップ15のラップ外側線と旋回スクロールラップ18のラップ内側線とを構成する。また、旋回スクロール部材3における狭小隙間iの間隔拡大の開始と略同時にB室25b内に入り始める位置に座ぐり部20を設けるのである。
【0029】
その場合、上記吐出ポート17および座ぐり部20を、B室25bに関する設計容積比VSB/VDBがA室25aに関する設計容積比VSA/VDAよりも小さくなるような位置に設けるのである。
【0030】
以下、本実施の形態における上記固定スクロール部材2および旋回スクロール部材3の動作および作用を説明する。電動機のロータ5はステータ6が発生する回転磁界から回転力を受けて回転し、ロータ5に固定されたクランク軸7を回転駆動する。旋回スクロール部材3はスラスト方向へ移動可能に且つ回転自在にクランク軸7の偏芯ピン部7’に係合されており、クランク軸7の回転運動はオルダムリング8の自転防止機構によって旋回スクロール部材3の旋回運動に変換される。
【0031】
そして、上記旋回スクロール部材3の旋回運動に従って、作動流体が吸込パイプ12を介して上記A室25aおよびB室25b内に吸い込まれる。ここで、B室25bの吸込完了を回転基準に考えると、A室25aはB室25bより早く吸込過程を完了して直後から圧縮過程に移行する。そして、旋回スクロール部材3の旋回運動に従ってその容積が減じられて行く。こうして、A室25aの圧縮過程途中にB室25bが吸込過程を完了し、B室25bも同様に圧縮過程に移行する。
【0032】
上述したように、本実施の形態のような非対称スクロール圧縮機においては、対称スクロール圧縮機の場合とは異なり、A室25aからB室25bへの内部漏洩が増大する傾向がある。そのために、B室25bでは、A室25sから高温高圧の作動流体が漏れ込みながら尚且つ容積が減じられて圧縮されることになる。こうして、旋回スクロール部材3の旋回運動に伴って、A室25aの狭小隙間gおよび狭小隙間hが中央部へ移動して圧縮過程が進行して行く。
【0033】
そして、吐出過程移行直後のA室25aにおいては、固定スクロール部材2の中央部付近の狭小隙間gの間隔は吐出過程移行直前の間隔を略維持しているが、A室25aが吐出ポート17を介して吐出空間13に連通するためにA室25a内の圧縮ガスは吐出される。さらに、吐出ポート17が開口した後、旋回スクロール部材3の回転に従って狭小隙間gの間隔が次第に拡大して行く。
【0034】
一方、少し遅れてもしくは略同時に、上記B室25bも吐出過程に移行する。すなわち、B室24bは、吐出開始直後から固定スクロール部材2の中央部に近い狭小隙間iの間隔が拡大して吐出ポート17に連通する。さらに、略同時にB室24b内が、旋回スクロール部材3の中央底部に設けられた座ぐり部20を介して吐出ポート17に連通されて、圧縮ガスが吐出空間13に吐出されて行く。こうして、A室25aおよびB室25bの各圧縮室から吐出空間13に吐出された圧縮ガスは、密閉容器1内上方に設けられた吐出管14を通って、圧縮機外に流れて行く。
【0035】
複数存在するA室25a間においては、その内圧差によりラップ側面隙間およびラップ端面隙間を介して圧縮ガスが漏洩する。さらに、本実施の形態における非対称スクロール圧縮機では、A室25aからラップ端面隙間を介してB室25bへ圧縮ガスが漏洩し易い。一方、B室25b間においても同様に内圧差によって圧縮ガスが漏洩するが、さらに上述のごとくA室25aから圧縮ガスが流入するため、A室25aよりも昇圧し易い傾向がある。
【0036】
以上のごとく、本実施の形態においては、非対称スクロール圧縮機に特有なラップ端面隙間を介したA室25aからB室25bへの内部漏洩に着目して、B室25bの設計容積比をA室25aよりも小さくしている。したがって、設計容積比付近で各圧縮室とも略同等の圧力比を得ることができるのである。
【0037】
すなわち、本実施の形態によれば、設計容積比付近における過圧縮を低減できるため、圧縮機性能を向上させることができる。さらに、吐出脈動が小さくなるために軸振動が低減し、圧縮機の振動および騒音を低減することができるのである。
【0038】
・第2実施の形態
本実施の形態においては、上記第1実施の形態における固定スクロールラップ15の内側線および旋回スクロールラップ18の外側線の形状を、A室25aの吐出ポート17への連通と略同時に、固定スクロール部材2の中央部付近の狭小隙間gの間隔が旋回スクロール部材3の回転に従って拡大するように構成している。それ以外は、上記第1実施の形態と同様である。したがって、以下においては、上記第1実施の形態と同じ部材番号および同じ図を用いて説明する。
【0039】
本実施の形態においては、上記A室25aの吐出過程到達直後から狭小隙間gの隙間が旋回スクロール部材3の回転に従って拡大するため、上記第1実施の形態の場合に比べて吐出流路面積が拡大する。したがって、本実施の形態においては、上記第1の実施の形態の場合よりも過圧縮を低減して、さらに圧縮機の性能向上を実現することができるのである。
【0040】
・第3実施の形態
本実施の形態においては、以下の点において上記第1実施の形態及び第2実施の形態とは異なり、それ以外は上記第1実施の形態と同様である。したがって、以下においては、上記第1実施の形態と同じ部材番号および同じ図を用いて説明する。
【0041】
本実施の形態においては、B室25bに関して、吐出過程到達直後から旋回スクロール部材3の回転に従って固定スクロール部材2の中央部付近で狭小隙間iが拡大するタイミングと、旋回スクロール部材3の座グリ部20がB室25b内に到達するタイミングとを異ならせるように、固定スクロールラップ15の外側線と旋回スクロールラップ18の内側線を構成し、もしくは、座繰り部20を設けるのである。
【0042】
こうすることによって、上記B室25bの吐出流路面積速度が低下するため、上記第1実施の形態および第2実施の形態の場合よりもB室25bの過圧縮が増加し、本発明の効果が縮小する。
【0043】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1に係る発明のスクロール式流体機械は、旋回スクロールラップの内側と外側とに形成された上記押し退け容積が互いに異なる一対の密閉空間に関して、上記押し退け容積と吐出直前容積との比の値を互いに異なるように設定したので、非対称スクロール式流体機械の場合に過圧縮になる旋回スクロールラップ内側の密閉空間における上記比の値を、上記旋回スクロールラップ外側の密閉空間よりも小さく設定することが可能になる。
【0044】
したがって、このように上記一対の密閉空間における上記比の値を設定することによって、過圧縮損失を低減して圧縮性能を向上し、エネルギー効率の向上を図ることができる。さらに、上記過圧縮防止によってクランク軸の軸振動を低減し、低振動・低騒音化を実現することができる。
【0045】
また、請求項2に係る発明のスクロール式流体機械は、非対称スクロール式流体機械の場合に過圧縮になる上記旋回スクロールラップの内側に形成された密閉空間における上記比の値を、上記旋回スクロールラップの外側に形成された密閉空間よりも小さく設定したので、過圧縮損失を低減して圧縮性能を向上し、エネルギー効率の向上を図ることができる。さらに、上記過圧縮防止によってクランク軸の軸振動を低減し、低振動・低騒音化を実現することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のスクロール流体機械の一例としてのスクロール圧縮機における縦断面図である。
【図2】図1における固定スクロール部材の平面図である。
【図3】図1における旋回スクロール部材の平面図である。
【図4】互いに噛み合わせられた固定スクロールラップおよび旋回スクロールラップの横断面を示す図である。
【図5】吸込完了時におけるA室を示す図である。
【図6】吸込完了時におけるB室を示す図である。
【図7】吐出直前におけるA室を示す図である。
【図8】吐出直前におけるB室を示す図である。
【図9】非対称スクロール圧縮機での着目圧縮室とその周囲の圧縮室との配置を示す模式図である。
【図10】着目圧縮室(a室)の押し退け容積が対のb室よりも大きい場合の内部漏洩方向を示す図である。
【図11】着目圧縮室(a室)の押し退け容積が対のb室よりも小さい場合の内部漏洩方向を示す図である。
【図12】対称スクロール圧縮機および非対称スクロール圧縮機におけるクランク軸の回転角度に対する圧縮室内圧の変化を示す図である。
【符号の説明】
1…密閉容器、
2…固定スクロール部材、
3…旋回スクロール部材、
4…ハウジング、
5…ロータ、
6…ステータ、
7…クランク軸、
7’…偏芯ピン部、
8…オルダムリング、
9…支持部材、
10…スライド部材、
11…給油ポンプ、
12…吸込パイプ、
13…吐出空間、
14…吐出パイプ、
15…固定スクロールラップ、
16,19…鏡板、
17…吐出ポート、
18…旋回スクロールラップ、
20…座ぐり部、
25a…A室、
25b…B室。
Claims (2)
- 端板(16)および上記端板(16)上に形成された渦巻状の固定スクロールラップ(15)を含んで構成された固定スクロール部材(2)と、端板(19)および上記端板(19)上に形成された渦巻状の旋回スクロールラップ(18)含んで構成された旋回スクロール部材(3)とを備え、上記固定スクロールラップ(15)と旋回スクロールラップ(18)とを互いに歯合させて組み合せることによって、上記旋回スクロールラップ(18)の内側と外側とに吸込完了時の内容積である押し退け容積が互いに異なる一対の密閉空間を形成したスクロール式流体機械において、
上記一対の密閉空間に関する上記押し退け容積と吐出直前の内容積である吐出直前容積との比の値を、互いに異なるように設定したことを特徴とするスクロール式流体機械。 - 請求項1に記載のスクロール式流体機械において、
上記旋回スクロールラップ(18)の内側に形成された密閉空間における上記比の値を、上記旋回スクロールラップ(18)の外側に形成された密閉空間よりも小さく設定したことを特徴とするスクロール式流体機械。
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2002
- 2002-09-24 JP JP2002277231A patent/JP2004116307A/ja active Pending
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