JP2004115997A - シールド掘削用繊維補強柱状体 - Google Patents
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Abstract
【課題】FRP補強筋、コンクリート塊などの細片化を促進し、大割れを防止して作業性を向上させることのできる、シールド掘進機により切削可能な繊維補強コンクリート壁体を構成するシールド掘削用繊維補強柱状体を提供する。
【解決手段】軸線方向に延在して成形されたマトリックス材2と、少なくとも軸線方向に延在してマトリックス材2中に配列された繊維補強材3aとを有し、シールド掘進機により切削可能な壁体を構成する細長形状のシールド掘削用繊維補強柱状体1であって、マトリックス材2は、ブロック2aを積み重ねることによって形成される。
【選択図】 図2
【解決手段】軸線方向に延在して成形されたマトリックス材2と、少なくとも軸線方向に延在してマトリックス材2中に配列された繊維補強材3aとを有し、シールド掘進機により切削可能な壁体を構成する細長形状のシールド掘削用繊維補強柱状体1であって、マトリックス材2は、ブロック2aを積み重ねることによって形成される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、地中を掘削するシールド掘進機の発進又は到達のための発進到達部を有するトンネル掘進用立坑におけるシールド掘削用繊維補強壁体の構造に関するものであり、特に、シールド掘進機により切削可能な繊維補強壁体を構成するシールド掘削用繊維補強柱状体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6(A)、(B)に示すように、トンネル掘進用立坑200は鉄筋コンクリート製の壁体201及び底板202などにて構築されるが、立坑200のシールド掘進機203が発進又は到達する開口部分には、シールド掘進機203により掘削が可能なように、繊維補強コンクリート壁体204を使用することが提案され、又実施されている。
【0003】
つまり、立坑200の鉄筋コンクリート製の壁体201は、H型鋼或いは箱形鋼などの鋼部材101とされる打込部材100にて構築されているが、シールド掘進機203により切削可能な繊維補強コンクリート壁体204は、細長形状のシールド掘削用繊維補強コンクリート材1を縦方向に所定の間隔にて配列して構成される。図7に、シールド掘削用繊維補強コンクリート材1の一例を示す。
【0004】
繊維補強コンクリート材1は、図8をも参照すると理解されるように、補強筋3として、炭素繊維、有機繊維などに樹脂を含浸して作製された繊維補強材、即ち、主筋(FRPロッド)3a及びスターラップ筋(FRPスターラップ)3bを、例えば、籠状に組み立て、石灰砕石を粗骨材とするコンクリート、即ち、高強度石灰石コンクリート2に埋設して構成される。このような構造の繊維補強コンクリート材1は、シールド掘進機203による掘削が可能である。
【0005】
通常、繊維補強コンクリート材1は、断面が概略矩形状とされ、主筋3aは、地山側及び掘削側に沿って配置されている。場合によっては、矩形状とする代わりに地山側と掘削側を連結する側面の中央部が凹んだ鼓型とされることもある。
【0006】
また、繊維補強コンクリート材1の上下両端には、立坑200の構成鋼部材101であるH型鋼或いは箱形鋼などに接続するための継手部10が一体に形成される。継手部10は、例えば、図7に示すように、連結金具10a及び定着治具10b等を備え、連結金具10aの一端は、立坑構成鋼部材101に溶接、ボルトなどにより接続され、連結金具10aの他端は、例えば繊維補強コンクリート材1の作製時に一体に成形された定着治具10bの鋼製端板10cに溶接、ボルトなどにより一体に接続される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成のシールド掘削用繊維補強コンクリート材1を使用した繊維補強コンクリート壁体204は、シールド掘進機203により掘削が可能であるという特長を有しているが、次のような問題があることが分かった。
【0008】
つまり、上記構成のシールド掘削用繊維補強コンクリート材1を掘削側から地山側へとシールド掘進機203により切削していった場合に、主筋(FRPロッド)3a及びスターラップ筋(FRPスターラップ)3b等のFRP補強筋3が必ずしもシールド掘進機203により細片状態に切削されるとは限らず、長尺の状態の切り屑が発生し、大割れが生じることが分かった。
【0009】
このような長尺の切り屑は、コンクリート塊と共にシールド掘進機203のチャンバーに取り込まれ、チャンバーから排出される際に、チャンバー部取込口を閉鎖することがある。その場合には、シールド掘進機203を完全に停止し、人手でそのコンクリート塊を取り除くことをしなければならない。
【0010】
また、地盤が軟弱な場合には、シールド掘進機203のチャンバに取り込まれない大割れとなったコンクリート塊がシールド掘進機203の切削用回転盤と一緒に廻ることもあり、地盤の緩み、延いては地盤の沈下を引き起こすこととなり、好ましくない。
【0011】
従って、本発明の目的は、FRP補強筋、コンクリート塊などの細片化を促進し、大割れを防止して作業性を向上させることのできる、シールド掘進機により切削可能な繊維補強コンクリート壁体を構成するシールド掘削用繊維補強柱状体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体にて達成される。要約すれば、本発明は、軸線方向に延在して成形されたマトリックス材と、少なくとも軸線方向に延在して前記マトリックス材中に配列された繊維補強材とを有し、シールド掘進機により切削可能な壁体を構成する細長形状のシールド掘削用繊維補強柱状体であって、
前記マトリックス材は、ブロックを積み重ねることによって形成されることを特徴とするシールド掘削用繊維補強柱状体である。
【0013】
本発明の一実施態様によれば、前記ブロックは、粗骨材として石灰砕石を含むコンクリート、軽量骨材コンクリート、又は、モルタル、又は、発泡樹脂で形成される。
【0014】
本発明の他の実施態様によれば、隣接する前記ブロックの間には充填材が充填される。このとき、前記ブロックの外面には離型剤が塗布されていることが好ましい。また、前記ブロックは、縦(L)30〜120mm、横(W)30〜120mm、高さ(H)50〜400mm、の直方体とすることができる。
【0015】
本発明の他の実施態様によれば、前記マトリックス材は、複数個のブロックを、柱状体の横断面に平行に配列して構成されるブロック層を、軸線方向に所望高さにまで多数積層することによって形成されるか、または、前記マトリックス材は、複数個のブロックを、柱状体の縦断面に平行に配列して構成されるブロック層を、軸線方向に直交する所望幅にまで多数積層することによって形成される。このとき、前記隣接するブロック層の間に仕切り板が配置されるのが好ましい。また、前記仕切り板は、プラスチック板、或いは、強化繊維に樹脂を含浸して形成されるFRP板材で形成することができる。
【0016】
本発明の他の実施態様によれば、前記繊維補強材は、強化繊維に樹脂を含浸して形成されるFRPロッドである。
【0017】
本発明の他の実施態様によれば、少なくとも、前記シールド掘削用繊維補強柱状体の外周の全面に被覆材を巻き付けて、樹脂で接着する。このとき、前記被覆材は、強化繊維を前記シールド掘削用繊維補強柱状体の周方向に整列して配置した一方向配列強化繊維シートであるか、又は、クロス状の強化繊維シートとすることができる。
【0018】
本発明の他の実施態様によれば、前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ビニロン、ポリアセタール、PBО、高強度ポリプロピレン等の有機繊維;から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数種混入したハイブリッドタイプとされる。
【0019】
本発明の他の実施態様によれば、前記樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、又は、MMA等のラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含むことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体を図面に則して更に詳しく説明する。
【0021】
実施例1
図1及び図2に本発明のシールド掘削用繊維補強柱状体1の一実施例を示す。
【0022】
本実施例にて、図3に示すように、シールド掘削用繊維補強柱状体1は、その上下両端に、立坑200の構成鋼部材101であるH型鋼或いは箱形鋼などが接続され、立坑200のシールド掘削用繊維補強コンクリート壁体204を形成する打込部材100を構成する。
【0023】
従って、繊維補強柱状体1の上下両端には、立坑200の構成鋼部材101であるH型鋼或いは箱形鋼などに接続するための継手部10が一体に形成される。継手部10は、従来と同様に、連結金具10a及び定着治具10b等を備え、連結金具10aの一端は、立坑構成鋼部材101に溶接、ボルトなどにより接続され、連結金具10aの他端は、繊維補強柱状体1の作製時に一体に成形された定着治具10bの鋼製端板10cに溶接、ボルトなどにより一体に接続される。継手部10の構造は、これに限定されるものではなく、当業者には周知のその他種々の構造が可能である。
【0024】
本発明の特徴をなす細長形状のシールド掘削用繊維補強柱状体1は、図示するように、軸線方向に延在して配置されたマトリックス材2と、このマトリックス材2中にて軸線方向に延在して配列された芯材としての繊維補強材3aと、を有する。マトリックス材2は、充填材、例えば、コンクリート5を介して多数のブロック2aを積み重ねることによって形成され、細分化されている。通常、シールド掘削用繊維補強柱状体1は、横断面形状が、縦(L0)30〜200cm、横(W0)20〜200cmとされ、高さ(H0)は1〜18mとされる。
【0025】
また、シールド掘削用繊維補強柱状体1は、搬送、取扱中の崩壊防止補強のために、外周が被覆材4にて包囲し、拘束されている。
【0026】
更に説明すると、上述のように、マトリックス材2は、ブロック2aを積み重ねることによって形成され、隣接するブロック2aの間には充填材としてのコンクリート5が充填される。この時、ブロック2aの外面には離型剤が塗布されていることが好ましい。離型剤としては、一般的なコンクリート製作時に型枠に塗布する油、ワックス、油脂等を好適に使用し得る。
【0027】
離型剤を塗布することにより、シールド掘進機203による切削時に、ブロック2aとブロック2a間に充填されたコンクリート5との分離がより容易となり、シールド掘進機203による切削時のマトリックス材2の細分化が促進され、コンクリート壁体204の大割れを防止できる。
【0028】
ブロック2aの寸法形状は、シールド掘削用繊維補強柱状体1の寸法形状、所望される強度などの性能によって種々に設計し得るが、通常、縦(L)30〜120mm、横(W)30〜120mm、高さ(H)50〜400mm、とされる直方体を使用するのが好適である。
【0029】
また、マトリックス材2は、図2に示すように、複数個のブロック2aを平面状に配列して構成されるブロック層2Aを、軸線方向に多数積層することによって形成するのが作業性の点でも好適である。又、軸線方向の各ブロック層2A、2A間にもコンクリート5が充填されるが、図2に示すように、一般的なプラスチック板、或いは、FRP板材などにて作製した仕切り板6を配置することも可能である。仕切り板6を配置することにより、シールド掘進機203による切削時のマトリックス材2の細分化が更に促進される。
【0030】
なお、隣接するブロック2a同士、或いは、ブロック2aと主筋3aとの間隙に充填する材料5としては、コンクリートを使用するものとして説明したが、他の材料として、例えば、モルタル、各種グラウト材、その他無機系、有機系材料を問わず、流動性を持ち、充填完了後に固化し、所定の強度が得られるものであれば、任意の材料を、用いることができる。
【0031】
本実施例にて、繊維補強柱状体1の芯材を構成する繊維補強材としては、図1及び図2では、シールド掘削用繊維補強柱状体1の掘削側及び地山側の側面に沿って、それぞれ主筋(FRPロッド)3aが2本づつ配置されているが、これに限定されるものではない。シールド掘削用繊維補強柱状体1に要求される強度に応じて所望の本数配置することができる。勿論、必要に応じて、主筋3aの他、スターラップ筋(FRPスターラップ)を適宜設けても良い。
【0032】
主筋3aのような繊維補強材は、ブロック2aとブロック2aとの隣接空間部を利用して配置するが、図示するように、ブロック2aに繊維補強材3aのための配置凹部2b、或いは、貫通孔(図示せず)を形成しても良い。図2にて、仕切り板6には、繊維補強材3aの貫通孔6aが形成されている。
【0033】
上記説明にて、主筋(FRPロッド)3a或いはスターラップ筋(FRPスターラップ)であるとした繊維補強材は、これに限定されるものではなく、例えば、FRPの撚線、十字型の格子点を持つ格子筋、その他表面形状に凹凸を設けて表面の付着性能を向上させたものも好適に使用し得る。
【0034】
本実施例にて、上記構成のシールド掘削用繊維補強柱状体1は、強化繊維に樹脂を含浸して形成されたFRPロッド材である繊維補強材3aを、繊維補強柱状体1の成形型枠(図示せず)内に配置し、ブロック2aを積み上げ、コンクリート5、場合によっては仕切り板6を使用して、各ブロック2a、2aの隙間を充填して固化する。この時、必要に応じて、上述したように、定着治具10bなどを繊維補強柱状体1と一体に成形することもできる。
【0035】
本発明におけるマトリックス材2としてのブロック2aは、シールド掘進機203により切削可能なものとされ、従来使用されているような、粗骨材として石灰砕石を含む高強度石灰石コンクリートを好適に使用し得る。このような高強度石灰石コンクリートの配合の一例を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
更に、ブロック2aの成形材料としては、高強度石灰石コンクリートの他に、軽量骨材コンクリート、モルタル、又は、硬質ウレタン樹脂発泡体などの発泡樹脂を使用し得る。
【0038】
また、仕切り板6としてのFRP板材は、限定されるものではないが、その寸法は、縦(L1)10〜200cm、横(W1)が50〜2000mm、厚さ(t)が0.1〜10mm、とされる。仕切り板6としてのFRP板材は、強化繊維の体積含有率が、最大70体積%程度とされる。
【0039】
FRP板材6の強化繊維シートは、織成或いは編成されたクロス状の強化繊維シートを使用することもできる。
【0040】
強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ビニロン、ポリアセタール、PBО、高強度ポリプロピレン等の有機繊維;から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数種混入したハイブリッドタイプとされる。
【0041】
また、マトリクス樹脂としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、又は、MMA等のラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含むものを使用することができる。
【0042】
上記構成のシールド掘削用繊維補強柱状体1は、上述したように、その外周に強化繊維シートなどとされる被覆材4を巻き付け、樹脂で繊維補強柱状体1外周に接着することができる。
【0043】
このように、被覆材4を巻き付け接着することにより、繊維補強柱状体1の強度を増大すると共に、製品としての搬送、取扱中に万一の事故により、繊維補強柱状体1が破損するのを防止し得る。
【0044】
この巻き付け用の強化繊維シート4は、周方向に強化繊維が配列された一方向配列強化繊維シートとし得るが、勿論、クロス状の強化繊維シートを使用しても良い。強化繊維シートを構成する強化繊維及び接着樹脂としては、上記繊維及びマトリックス樹脂を使用することができる。
【0045】
本発明のシールド掘削用繊維補強柱状体1の効果を実証するために、上記表1に示すコンクリートを使用して下記仕様のブロック及び繊維補強柱状体1を作製し、その圧縮強度、弾性係数などの機械的特性を測定した。測定結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
実験例
・ブロック2aの寸法形状
縦(L) 10cm
横(W) 10cm
高さ(H) 20cm
・繊維補強柱状体1寸法形状
ブロック2aを縦方向に7個、横方向に4個配置して構成されるブロック層2Aを高さ方向に23層積み上げ、仕切り板6は使用せず、隣接するブロック2a間の間隙部にはモルタル5を充填した。繊維補強柱状体1の横断面の縦(L0)×横(W0)は、70.5cm×42cm、軸線方向の高さ(H0)は461cmであった。
・繊維補強材3a
直径30mmのFRPロッド材3aをブロック2aの両側面に沿って3本づつ配置した。FRPロッド材3aの強化繊維は炭素繊維、樹脂はエポキシ樹脂を使用し、樹脂含浸量は、60体積%であった。
・被覆材
強化繊維として炭素繊維が一方向に引き揃えられた設計厚み0.167mmの炭素繊維シート(日鉄コンポジット株式会社製「FORCAトウシート」:商品名)を2層、繊維補強柱状体1に巻き付け、エポキシ樹脂を含浸させた。樹脂含浸量は60体積%であった。
【0048】
また、上記構成のシールド掘削用繊維補強柱状体1を使用して、図3に示す打込部材100を作製して、図6に示すようなシールド掘削用繊維補強壁体204を形成した。この壁体204を、直径7Mのシールド掘進機203にて切削した。極めて好適に切削することができ、又、切削した切り屑は細片化されており、繊維補強材3、コンクリート塊などによりシールド掘進機203のチャンバーが詰まることはなかった。
【0049】
実施例2
図4に本発明のシールド掘削用繊維補強柱状体1の他の実施例を示す。
【0050】
実施例1では、柱状体1の横断面にて、ブロック2aが縦横整列して配置されたが、本実施例のように、互い違いに千鳥配置することもできる。他の構成は、実施例1と同様とされるので、説明は省略する。
【0051】
本実施例のシールド掘削用繊維補強柱状体1も、実施例1のものと同様の作用効果を発揮し得る。
【0052】
実施例3
図5に本発明のシールド掘削用繊維補強柱状体1の他の実施例を示す。
【0053】
実施例1では、仕切り板6は、柱状体1の横断面に平行な方向に配置されている。
【0054】
本実施例では、マトリックス材2は、複数個のブロック2aを柱状体1の縦断面に平行に配列して形成されたブロック層2Aを、軸線方向に直交する所望幅(W0)にまで多数積層することによって形成される。従って、本実施例では、仕切り板6は、柱状体1の縦断面に平行な方向に配置することができる。仕切り板6は、これに限定されるものではないが、高さ(H1)が100mm以上、幅(L1)が30mm以上、厚さ(t)が、0.1〜10mmのものが好適に使用される。
【0055】
ただ、仕切り板6は、シールド掘削用繊維補強柱状体1にて壁体204を構成したときに、壁体204に対して平行とならない配置関係にて配置するのが好ましい。
【0056】
本実施例においては、ブロック2aは、縦方向に長さの異なるものを使用し、千鳥配置にすることができる。又、本実施例では、繊維補強材3aが配置された領域のブロック2aと、他の領域のブロック2aの形状が異なるものとされているが、これに限定されるものではなく、図1を参照して説明した実施例1と同様の構成としても良い。
【0057】
他の構成は、実施例1と同様とされるので、説明は省略する。
【0058】
本実施例のシールド掘削用繊維補強柱状体1も実施例1のものと同様の作用効果を発揮することができ、また、仕切り板6を設けることから、切削片の分離に有効である。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のシールド掘削用繊維補強柱状体は、軸線方向に延在して成形されたマトリックス材と、少なくとも軸線方向に延在してマトリックス材中に配列された繊維補強材とを有し、シールド掘進機により切削可能な壁体を構成する細長形状のシールド掘削用繊維補強柱状体であって、マトリックス材は、ブロックを積み重ねることによって形成されるので、繊維補強材、コンクリート塊などの細片化を促進し、大割れを防止して作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体の一実施例の横断面図である。
【図2】本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体の一実施例の斜視図である。
【図3】本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体を使用した打込部材の概略構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体の他の実施例の横断面図である。
【図5】本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体の他の実施例の斜視図である。
【図6】図6(A)は、立坑の概略構成を示す縦断面図であり、図6(B)は、立坑内から見たシールド掘進機により切削可能な繊維補強壁体の構造を示す。
【図7】従来のシールド掘削用繊維補強柱状体の一例の横断面図である。
【図8】従来のシールド掘削用繊維補強柱状体を使用して構成される泥水固化壁の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シールド掘削用繊維補強柱状体
2 マトリックス材
2a ブロック
2A ブロック層
3a 繊維補強材(FRPロッド材)
4 被覆材
5 充填材
6 仕切り板
10 継手部
100 打込部材
101 鋼部材
204 シールド掘削用繊維補強コンクリート壁体
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、地中を掘削するシールド掘進機の発進又は到達のための発進到達部を有するトンネル掘進用立坑におけるシールド掘削用繊維補強壁体の構造に関するものであり、特に、シールド掘進機により切削可能な繊維補強壁体を構成するシールド掘削用繊維補強柱状体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6(A)、(B)に示すように、トンネル掘進用立坑200は鉄筋コンクリート製の壁体201及び底板202などにて構築されるが、立坑200のシールド掘進機203が発進又は到達する開口部分には、シールド掘進機203により掘削が可能なように、繊維補強コンクリート壁体204を使用することが提案され、又実施されている。
【0003】
つまり、立坑200の鉄筋コンクリート製の壁体201は、H型鋼或いは箱形鋼などの鋼部材101とされる打込部材100にて構築されているが、シールド掘進機203により切削可能な繊維補強コンクリート壁体204は、細長形状のシールド掘削用繊維補強コンクリート材1を縦方向に所定の間隔にて配列して構成される。図7に、シールド掘削用繊維補強コンクリート材1の一例を示す。
【0004】
繊維補強コンクリート材1は、図8をも参照すると理解されるように、補強筋3として、炭素繊維、有機繊維などに樹脂を含浸して作製された繊維補強材、即ち、主筋(FRPロッド)3a及びスターラップ筋(FRPスターラップ)3bを、例えば、籠状に組み立て、石灰砕石を粗骨材とするコンクリート、即ち、高強度石灰石コンクリート2に埋設して構成される。このような構造の繊維補強コンクリート材1は、シールド掘進機203による掘削が可能である。
【0005】
通常、繊維補強コンクリート材1は、断面が概略矩形状とされ、主筋3aは、地山側及び掘削側に沿って配置されている。場合によっては、矩形状とする代わりに地山側と掘削側を連結する側面の中央部が凹んだ鼓型とされることもある。
【0006】
また、繊維補強コンクリート材1の上下両端には、立坑200の構成鋼部材101であるH型鋼或いは箱形鋼などに接続するための継手部10が一体に形成される。継手部10は、例えば、図7に示すように、連結金具10a及び定着治具10b等を備え、連結金具10aの一端は、立坑構成鋼部材101に溶接、ボルトなどにより接続され、連結金具10aの他端は、例えば繊維補強コンクリート材1の作製時に一体に成形された定着治具10bの鋼製端板10cに溶接、ボルトなどにより一体に接続される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成のシールド掘削用繊維補強コンクリート材1を使用した繊維補強コンクリート壁体204は、シールド掘進機203により掘削が可能であるという特長を有しているが、次のような問題があることが分かった。
【0008】
つまり、上記構成のシールド掘削用繊維補強コンクリート材1を掘削側から地山側へとシールド掘進機203により切削していった場合に、主筋(FRPロッド)3a及びスターラップ筋(FRPスターラップ)3b等のFRP補強筋3が必ずしもシールド掘進機203により細片状態に切削されるとは限らず、長尺の状態の切り屑が発生し、大割れが生じることが分かった。
【0009】
このような長尺の切り屑は、コンクリート塊と共にシールド掘進機203のチャンバーに取り込まれ、チャンバーから排出される際に、チャンバー部取込口を閉鎖することがある。その場合には、シールド掘進機203を完全に停止し、人手でそのコンクリート塊を取り除くことをしなければならない。
【0010】
また、地盤が軟弱な場合には、シールド掘進機203のチャンバに取り込まれない大割れとなったコンクリート塊がシールド掘進機203の切削用回転盤と一緒に廻ることもあり、地盤の緩み、延いては地盤の沈下を引き起こすこととなり、好ましくない。
【0011】
従って、本発明の目的は、FRP補強筋、コンクリート塊などの細片化を促進し、大割れを防止して作業性を向上させることのできる、シールド掘進機により切削可能な繊維補強コンクリート壁体を構成するシールド掘削用繊維補強柱状体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体にて達成される。要約すれば、本発明は、軸線方向に延在して成形されたマトリックス材と、少なくとも軸線方向に延在して前記マトリックス材中に配列された繊維補強材とを有し、シールド掘進機により切削可能な壁体を構成する細長形状のシールド掘削用繊維補強柱状体であって、
前記マトリックス材は、ブロックを積み重ねることによって形成されることを特徴とするシールド掘削用繊維補強柱状体である。
【0013】
本発明の一実施態様によれば、前記ブロックは、粗骨材として石灰砕石を含むコンクリート、軽量骨材コンクリート、又は、モルタル、又は、発泡樹脂で形成される。
【0014】
本発明の他の実施態様によれば、隣接する前記ブロックの間には充填材が充填される。このとき、前記ブロックの外面には離型剤が塗布されていることが好ましい。また、前記ブロックは、縦(L)30〜120mm、横(W)30〜120mm、高さ(H)50〜400mm、の直方体とすることができる。
【0015】
本発明の他の実施態様によれば、前記マトリックス材は、複数個のブロックを、柱状体の横断面に平行に配列して構成されるブロック層を、軸線方向に所望高さにまで多数積層することによって形成されるか、または、前記マトリックス材は、複数個のブロックを、柱状体の縦断面に平行に配列して構成されるブロック層を、軸線方向に直交する所望幅にまで多数積層することによって形成される。このとき、前記隣接するブロック層の間に仕切り板が配置されるのが好ましい。また、前記仕切り板は、プラスチック板、或いは、強化繊維に樹脂を含浸して形成されるFRP板材で形成することができる。
【0016】
本発明の他の実施態様によれば、前記繊維補強材は、強化繊維に樹脂を含浸して形成されるFRPロッドである。
【0017】
本発明の他の実施態様によれば、少なくとも、前記シールド掘削用繊維補強柱状体の外周の全面に被覆材を巻き付けて、樹脂で接着する。このとき、前記被覆材は、強化繊維を前記シールド掘削用繊維補強柱状体の周方向に整列して配置した一方向配列強化繊維シートであるか、又は、クロス状の強化繊維シートとすることができる。
【0018】
本発明の他の実施態様によれば、前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ビニロン、ポリアセタール、PBО、高強度ポリプロピレン等の有機繊維;から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数種混入したハイブリッドタイプとされる。
【0019】
本発明の他の実施態様によれば、前記樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、又は、MMA等のラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含むことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体を図面に則して更に詳しく説明する。
【0021】
実施例1
図1及び図2に本発明のシールド掘削用繊維補強柱状体1の一実施例を示す。
【0022】
本実施例にて、図3に示すように、シールド掘削用繊維補強柱状体1は、その上下両端に、立坑200の構成鋼部材101であるH型鋼或いは箱形鋼などが接続され、立坑200のシールド掘削用繊維補強コンクリート壁体204を形成する打込部材100を構成する。
【0023】
従って、繊維補強柱状体1の上下両端には、立坑200の構成鋼部材101であるH型鋼或いは箱形鋼などに接続するための継手部10が一体に形成される。継手部10は、従来と同様に、連結金具10a及び定着治具10b等を備え、連結金具10aの一端は、立坑構成鋼部材101に溶接、ボルトなどにより接続され、連結金具10aの他端は、繊維補強柱状体1の作製時に一体に成形された定着治具10bの鋼製端板10cに溶接、ボルトなどにより一体に接続される。継手部10の構造は、これに限定されるものではなく、当業者には周知のその他種々の構造が可能である。
【0024】
本発明の特徴をなす細長形状のシールド掘削用繊維補強柱状体1は、図示するように、軸線方向に延在して配置されたマトリックス材2と、このマトリックス材2中にて軸線方向に延在して配列された芯材としての繊維補強材3aと、を有する。マトリックス材2は、充填材、例えば、コンクリート5を介して多数のブロック2aを積み重ねることによって形成され、細分化されている。通常、シールド掘削用繊維補強柱状体1は、横断面形状が、縦(L0)30〜200cm、横(W0)20〜200cmとされ、高さ(H0)は1〜18mとされる。
【0025】
また、シールド掘削用繊維補強柱状体1は、搬送、取扱中の崩壊防止補強のために、外周が被覆材4にて包囲し、拘束されている。
【0026】
更に説明すると、上述のように、マトリックス材2は、ブロック2aを積み重ねることによって形成され、隣接するブロック2aの間には充填材としてのコンクリート5が充填される。この時、ブロック2aの外面には離型剤が塗布されていることが好ましい。離型剤としては、一般的なコンクリート製作時に型枠に塗布する油、ワックス、油脂等を好適に使用し得る。
【0027】
離型剤を塗布することにより、シールド掘進機203による切削時に、ブロック2aとブロック2a間に充填されたコンクリート5との分離がより容易となり、シールド掘進機203による切削時のマトリックス材2の細分化が促進され、コンクリート壁体204の大割れを防止できる。
【0028】
ブロック2aの寸法形状は、シールド掘削用繊維補強柱状体1の寸法形状、所望される強度などの性能によって種々に設計し得るが、通常、縦(L)30〜120mm、横(W)30〜120mm、高さ(H)50〜400mm、とされる直方体を使用するのが好適である。
【0029】
また、マトリックス材2は、図2に示すように、複数個のブロック2aを平面状に配列して構成されるブロック層2Aを、軸線方向に多数積層することによって形成するのが作業性の点でも好適である。又、軸線方向の各ブロック層2A、2A間にもコンクリート5が充填されるが、図2に示すように、一般的なプラスチック板、或いは、FRP板材などにて作製した仕切り板6を配置することも可能である。仕切り板6を配置することにより、シールド掘進機203による切削時のマトリックス材2の細分化が更に促進される。
【0030】
なお、隣接するブロック2a同士、或いは、ブロック2aと主筋3aとの間隙に充填する材料5としては、コンクリートを使用するものとして説明したが、他の材料として、例えば、モルタル、各種グラウト材、その他無機系、有機系材料を問わず、流動性を持ち、充填完了後に固化し、所定の強度が得られるものであれば、任意の材料を、用いることができる。
【0031】
本実施例にて、繊維補強柱状体1の芯材を構成する繊維補強材としては、図1及び図2では、シールド掘削用繊維補強柱状体1の掘削側及び地山側の側面に沿って、それぞれ主筋(FRPロッド)3aが2本づつ配置されているが、これに限定されるものではない。シールド掘削用繊維補強柱状体1に要求される強度に応じて所望の本数配置することができる。勿論、必要に応じて、主筋3aの他、スターラップ筋(FRPスターラップ)を適宜設けても良い。
【0032】
主筋3aのような繊維補強材は、ブロック2aとブロック2aとの隣接空間部を利用して配置するが、図示するように、ブロック2aに繊維補強材3aのための配置凹部2b、或いは、貫通孔(図示せず)を形成しても良い。図2にて、仕切り板6には、繊維補強材3aの貫通孔6aが形成されている。
【0033】
上記説明にて、主筋(FRPロッド)3a或いはスターラップ筋(FRPスターラップ)であるとした繊維補強材は、これに限定されるものではなく、例えば、FRPの撚線、十字型の格子点を持つ格子筋、その他表面形状に凹凸を設けて表面の付着性能を向上させたものも好適に使用し得る。
【0034】
本実施例にて、上記構成のシールド掘削用繊維補強柱状体1は、強化繊維に樹脂を含浸して形成されたFRPロッド材である繊維補強材3aを、繊維補強柱状体1の成形型枠(図示せず)内に配置し、ブロック2aを積み上げ、コンクリート5、場合によっては仕切り板6を使用して、各ブロック2a、2aの隙間を充填して固化する。この時、必要に応じて、上述したように、定着治具10bなどを繊維補強柱状体1と一体に成形することもできる。
【0035】
本発明におけるマトリックス材2としてのブロック2aは、シールド掘進機203により切削可能なものとされ、従来使用されているような、粗骨材として石灰砕石を含む高強度石灰石コンクリートを好適に使用し得る。このような高強度石灰石コンクリートの配合の一例を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
更に、ブロック2aの成形材料としては、高強度石灰石コンクリートの他に、軽量骨材コンクリート、モルタル、又は、硬質ウレタン樹脂発泡体などの発泡樹脂を使用し得る。
【0038】
また、仕切り板6としてのFRP板材は、限定されるものではないが、その寸法は、縦(L1)10〜200cm、横(W1)が50〜2000mm、厚さ(t)が0.1〜10mm、とされる。仕切り板6としてのFRP板材は、強化繊維の体積含有率が、最大70体積%程度とされる。
【0039】
FRP板材6の強化繊維シートは、織成或いは編成されたクロス状の強化繊維シートを使用することもできる。
【0040】
強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ビニロン、ポリアセタール、PBО、高強度ポリプロピレン等の有機繊維;から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数種混入したハイブリッドタイプとされる。
【0041】
また、マトリクス樹脂としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、又は、MMA等のラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含むものを使用することができる。
【0042】
上記構成のシールド掘削用繊維補強柱状体1は、上述したように、その外周に強化繊維シートなどとされる被覆材4を巻き付け、樹脂で繊維補強柱状体1外周に接着することができる。
【0043】
このように、被覆材4を巻き付け接着することにより、繊維補強柱状体1の強度を増大すると共に、製品としての搬送、取扱中に万一の事故により、繊維補強柱状体1が破損するのを防止し得る。
【0044】
この巻き付け用の強化繊維シート4は、周方向に強化繊維が配列された一方向配列強化繊維シートとし得るが、勿論、クロス状の強化繊維シートを使用しても良い。強化繊維シートを構成する強化繊維及び接着樹脂としては、上記繊維及びマトリックス樹脂を使用することができる。
【0045】
本発明のシールド掘削用繊維補強柱状体1の効果を実証するために、上記表1に示すコンクリートを使用して下記仕様のブロック及び繊維補強柱状体1を作製し、その圧縮強度、弾性係数などの機械的特性を測定した。測定結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
実験例
・ブロック2aの寸法形状
縦(L) 10cm
横(W) 10cm
高さ(H) 20cm
・繊維補強柱状体1寸法形状
ブロック2aを縦方向に7個、横方向に4個配置して構成されるブロック層2Aを高さ方向に23層積み上げ、仕切り板6は使用せず、隣接するブロック2a間の間隙部にはモルタル5を充填した。繊維補強柱状体1の横断面の縦(L0)×横(W0)は、70.5cm×42cm、軸線方向の高さ(H0)は461cmであった。
・繊維補強材3a
直径30mmのFRPロッド材3aをブロック2aの両側面に沿って3本づつ配置した。FRPロッド材3aの強化繊維は炭素繊維、樹脂はエポキシ樹脂を使用し、樹脂含浸量は、60体積%であった。
・被覆材
強化繊維として炭素繊維が一方向に引き揃えられた設計厚み0.167mmの炭素繊維シート(日鉄コンポジット株式会社製「FORCAトウシート」:商品名)を2層、繊維補強柱状体1に巻き付け、エポキシ樹脂を含浸させた。樹脂含浸量は60体積%であった。
【0048】
また、上記構成のシールド掘削用繊維補強柱状体1を使用して、図3に示す打込部材100を作製して、図6に示すようなシールド掘削用繊維補強壁体204を形成した。この壁体204を、直径7Mのシールド掘進機203にて切削した。極めて好適に切削することができ、又、切削した切り屑は細片化されており、繊維補強材3、コンクリート塊などによりシールド掘進機203のチャンバーが詰まることはなかった。
【0049】
実施例2
図4に本発明のシールド掘削用繊維補強柱状体1の他の実施例を示す。
【0050】
実施例1では、柱状体1の横断面にて、ブロック2aが縦横整列して配置されたが、本実施例のように、互い違いに千鳥配置することもできる。他の構成は、実施例1と同様とされるので、説明は省略する。
【0051】
本実施例のシールド掘削用繊維補強柱状体1も、実施例1のものと同様の作用効果を発揮し得る。
【0052】
実施例3
図5に本発明のシールド掘削用繊維補強柱状体1の他の実施例を示す。
【0053】
実施例1では、仕切り板6は、柱状体1の横断面に平行な方向に配置されている。
【0054】
本実施例では、マトリックス材2は、複数個のブロック2aを柱状体1の縦断面に平行に配列して形成されたブロック層2Aを、軸線方向に直交する所望幅(W0)にまで多数積層することによって形成される。従って、本実施例では、仕切り板6は、柱状体1の縦断面に平行な方向に配置することができる。仕切り板6は、これに限定されるものではないが、高さ(H1)が100mm以上、幅(L1)が30mm以上、厚さ(t)が、0.1〜10mmのものが好適に使用される。
【0055】
ただ、仕切り板6は、シールド掘削用繊維補強柱状体1にて壁体204を構成したときに、壁体204に対して平行とならない配置関係にて配置するのが好ましい。
【0056】
本実施例においては、ブロック2aは、縦方向に長さの異なるものを使用し、千鳥配置にすることができる。又、本実施例では、繊維補強材3aが配置された領域のブロック2aと、他の領域のブロック2aの形状が異なるものとされているが、これに限定されるものではなく、図1を参照して説明した実施例1と同様の構成としても良い。
【0057】
他の構成は、実施例1と同様とされるので、説明は省略する。
【0058】
本実施例のシールド掘削用繊維補強柱状体1も実施例1のものと同様の作用効果を発揮することができ、また、仕切り板6を設けることから、切削片の分離に有効である。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のシールド掘削用繊維補強柱状体は、軸線方向に延在して成形されたマトリックス材と、少なくとも軸線方向に延在してマトリックス材中に配列された繊維補強材とを有し、シールド掘進機により切削可能な壁体を構成する細長形状のシールド掘削用繊維補強柱状体であって、マトリックス材は、ブロックを積み重ねることによって形成されるので、繊維補強材、コンクリート塊などの細片化を促進し、大割れを防止して作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体の一実施例の横断面図である。
【図2】本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体の一実施例の斜視図である。
【図3】本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体を使用した打込部材の概略構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体の他の実施例の横断面図である。
【図5】本発明に係るシールド掘削用繊維補強柱状体の他の実施例の斜視図である。
【図6】図6(A)は、立坑の概略構成を示す縦断面図であり、図6(B)は、立坑内から見たシールド掘進機により切削可能な繊維補強壁体の構造を示す。
【図7】従来のシールド掘削用繊維補強柱状体の一例の横断面図である。
【図8】従来のシールド掘削用繊維補強柱状体を使用して構成される泥水固化壁の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シールド掘削用繊維補強柱状体
2 マトリックス材
2a ブロック
2A ブロック層
3a 繊維補強材(FRPロッド材)
4 被覆材
5 充填材
6 仕切り板
10 継手部
100 打込部材
101 鋼部材
204 シールド掘削用繊維補強コンクリート壁体
Claims (14)
- 軸線方向に延在して成形されたマトリックス材と、少なくとも軸線方向に延在して前記マトリックス材中に配列された繊維補強材とを有し、シールド掘進機により切削可能な壁体を構成する細長形状のシールド掘削用繊維補強柱状体であって、
前記マトリックス材は、ブロックを積み重ねることによって形成されることを特徴とするシールド掘削用繊維補強柱状体。 - 前記ブロックは、粗骨材として石灰砕石を含むコンクリート、軽量骨材コンクリート、又は、モルタル、又は、発泡樹脂で形成されることを特徴とする請求項1のシールド掘削用繊維補強柱状体。
- 隣接する前記ブロックの間には充填材が充填されることを特徴とする請求項2のシールド掘削用繊維補強柱状体。
- 前記ブロックの外面には離型剤が塗布されていることを特徴とする請求項3のシールド掘削用繊維補強柱状体。
- 前記ブロックは、縦(L)30〜120mm、横(W)30〜120mm、高さ(H)50〜400mm、とされる直方体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載のシールド掘削用繊維補強柱状体。
- 前記マトリックス材は、複数個のブロックを、柱状体の横断面に平行に配列して構成されるブロック層を、軸線方向に所望高さにまで多数積層することによって形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載のシールド掘削用繊維補強柱状体。
- 前記マトリックス材は、複数個のブロックを、柱状体の縦断面に平行に配列して構成されるブロック層を、軸線方向に直交する所望幅にまで多数積層することによって形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載のシールド掘削用繊維補強柱状体。
- 前記隣接するブロック層の間に仕切り板が配置されることを特徴とする請求項6又は7のシールド掘削用繊維補強柱状体。
- 前記仕切り板は、プラスチック板か、或いは、強化繊維に樹脂を含浸して形成されるFRP板材で形成されることを特徴とする請求項8のシールド掘削用繊維補強柱状体。
- 前記繊維補強材は、強化繊維に樹脂を含浸して形成されるFRPロッド、FRP撚線、又は、格子筋であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載のシールド掘削用繊維補強柱状体。
- 少なくとも、前記シールド掘削用繊維補強柱状体の外周の全面に被覆材を巻き付けて、樹脂で接着したことを特徴とする請求項1〜10のいずれかの項に記載のシールド掘削用繊維補強柱状体。
- 前記被覆材は、強化繊維を前記シールド掘削用繊維補強柱状体の周方向に整列して配置した一方向配列強化繊維シートであるか、又は、クロス状の強化繊維シートであることを特徴とする請求項11のシールド掘削用繊維補強柱状体。
- 前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;チタン、スチール等の金属繊維;アラミド、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ビニロン、ポリアセタール、PBО、高強度ポリプロピレン等の有機繊維;から選択されるいずれかの繊維であるか、或いは、前記繊維を複数種混入したハイブリッドタイプとされることを特徴とする請求項9〜12のいずれかの項に記載のシールド掘削用繊維補強柱状体。
- 前記樹脂は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、常温硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、又は、MMA等のラジカル反応系樹脂を少なくとも一種以上含むことを特徴とする請求項9〜13のいずれかの項に記載のシールド掘削用繊維補強柱状体。
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2002
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