JP2004115735A - 耐塩素水性ゴム組成物、水シール材および水道用ホース - Google Patents
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Abstract
【課題】エチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物の耐塩素水性能を改善し、耐久性の高い水廻り用途の耐塩素水性ゴム組成物を提供する。
【解決手段】エチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物とすることで、耐久性の高い水廻り用途の耐塩素水性ゴム組成物を提供する。これはジエン成分を含有しないエチレン・プロピレン共重合ゴムを用い、これにホワイトカーボンを補強剤として加え、さらに架橋剤に有機過酸化物を配合することで、従来のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物に多く含まれていた水中での塩素による劣化反応の起こり易い化学構造を改善し、耐久性の高い水廻りの耐塩素水性ゴム組成物を提供することを可能としたものである。
【解決手段】エチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物とすることで、耐久性の高い水廻り用途の耐塩素水性ゴム組成物を提供する。これはジエン成分を含有しないエチレン・プロピレン共重合ゴムを用い、これにホワイトカーボンを補強剤として加え、さらに架橋剤に有機過酸化物を配合することで、従来のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物に多く含まれていた水中での塩素による劣化反応の起こり易い化学構造を改善し、耐久性の高い水廻りの耐塩素水性ゴム組成物を提供することを可能としたものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐塩素水性ゴム組成物に関する。更に詳しくは、耐塩素水性にすぐれたエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン・プロピレン系共重合ゴムの中で最も良く用いられているエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムは、その優れた耐水性、耐熱性により、耐水性あるいは耐熱性のシール材の成形材料として幅広く用いられている。
【0003】しかしながら、近年水源の水質悪化に伴う水道水中の塩素量の増加により、水廻りに用いられているエチレン・プロピレン系共重合ゴム製のシール材、ホース、チューブ等の塩素による劣化が発生、ゴム片が剥離し水道水中への混入が起こるなど、問題となっている。
【0004】これらの対策として従来ではエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムに水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴムをブレンドし、過酸化物架橋剤を併用することで耐塩素水性能の向上を図ることが行われてきた(例えば特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、水中での塩素による劣化はゴム分子中のジエン成分に含まれる二重結合部分や、補強剤として用いられるカーボンブラックの表面に存在する化学的活性点に発生し易いため、ブレンドゴムを用いた手法は耐塩素水性能の大きな向上には至っていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−60198号公報
【特許文献2】
特開平9−157464号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物の耐塩素水性能を改善し、耐久性の高い水廻り用途の耐塩素水性ゴム組成物を提供することにある。 従来技術にあるようなエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムを用いた水廻り用途のゴム組成物においては、ゴム中に含まれるジエン成分に存在する炭素原子同士の二重結合部分が水中での塩素による劣化反応を起こし易く、結果として水シール成形品における水シール不良や、ホース、チューブ類のゴム片が剥離して水道水へ混入するなどの不具合が生じている。また従来技術のエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムを用いた水廻り用途のゴム組成物は、ほとんどが充填剤としてカーボンブラックを用いている。このカーボンブラックは粒子表面の化学的活性が高いために他の物質との反応性が高く、水道水中においては、カーボンブラック粒子表面の化学的活性点が塩素の攻撃を受け易い。このため、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム組成物の塩素による劣化を促進する原因の一つとなっており、結果として水シール成形品における水シール不良や、ホース、チューブ類のゴム片が剥離して水道水へ混入するなどの不具合が生じている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはジエン成分を含有しないエチレン・プロピレン共重合ゴムを用い、これにホワイトカーボンを補強剤として加え、さらに架橋剤に有機過酸化物を配合することで、従来のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物に多く含まれていた水中での塩素による劣化反応の起こり易い化学構造を改善し、耐久性の高い水廻りの耐塩素水性ゴム組成物を提供することを可能としたものである。
【0008】本発明で使用するエチレン・プロピレン共重合ゴムは、一般によく使用されているエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムのような第三成分であるジエン成分(エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等)を含んでいない。ジエン成分には炭素原子同士の二重結合が含まれており、水道水中ではこの部分が塩素による劣化を受け易く、早期劣化の要因の一つとなっている。
【0009】補強剤として一般によく使用されるカーボンブラックは補強効果が高い反面、粒子表面の化学的活性点が多く、塩素による劣化反応の開始点となり易い。その他の補強剤として炭酸カルシウムやタルク、クレー、炭酸マグネシウム、マイカなどの無機充填剤があるが、これらは補強効果に乏しく、十分なゴム強度が得られにくい。本発明の用途には化学的活性点が少ないホワイトカーボンが好適となる。配合されるホワイトカーボンとしては、BET法による比表面積が50〜300m2/gのもの、好ましくは70〜200m2/gのものが、エチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部当り15〜95重量部、好ましくは30〜60重量部の割合で用いられる。比表面積がこれよりも大きなものを用いると、ゴム製品製造時のゴムコンパウンド粘度が高くなり混練が困難となる。また、これ以下の比表面積ものを用いると、ゴム製品としての強度物性が低下する。配合割合がこれ以下ではゴム製品の十分な補強効果が得られず、これ以上の割合で用いられるとゴムコンパウンドの粘度が高くなり、加工混練性が低下してしまう。
【0010】有機過酸化物としては、第3ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ジ(第3ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ジ(第3ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシベンゾエート、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n−ブチル−4,4−ジ(第3ブチルパーオキシ)バレレート等が用いられる。
【0011】これらの有機過酸化物は、エチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部当り2〜10重量部、好ましくは3〜7重量部の割合で用いられる。これ以下の配合割合では、十分なる架橋密度が得られず、耐水性や圧縮永久歪性能が劣るようになり、これ以上の割合で用いられると、ゴム弾性や強度・伸びの低下が起きてしまう。
【0012】組成物中には、以上の必須成分以外に、タルク、クレー、グラファイト、ケイ酸カルシウム等の充填剤、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の受酸剤、可塑剤、老化防止剤などゴム工業で一般的に用いられている配合剤が、必要に応じて適宜添加されて用いられる。
【0013】ゴム組成物の調製は、インターミックス、ニーダ、バンバリーミキサ等の混練機またはオープンロールなどを用いて混練することによって行われ、それの加硫は加硫プレス、圧縮成形機、射出成形機等を用いて、一般に150〜200℃に3〜60分間程度加熱することによって行われ、必要に応じて120〜200℃で1〜24時間オーブン加硫(二次加硫)することも行われる。
【0014】第一の発明として、エチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物は二重結合部分が無く、化学的活性点も少ないため、本発明の目的である耐塩素水性能に優れたゴム組成物を提供することができる。
【0015】第二の発明としてエチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を水シール成形材料に用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない水シール成形材料を提供することができる。
【0016】第三の発明としてエチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を水シール用途のO−リング、平パッキン、U−パッキンなどの固定または運動用成形シール材料として用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない水シール用途の固定または運動用成形シール材料を提供することができる。
【0017】水栓金具内部に用いられる水シール材の成形材料として用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない、水栓金具の水シール成形材料を提供することができる。
【0018】第四の発明としてエチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を水道用ホース、チューブの成形材料として用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない、水道用ホース、チューブの成形材料を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、実施例について本発明を具体的に説明する。
【0020】(実施例1) エチレン・プロピレン共重合ゴム(日本合成ゴム製品EP11) 100重量部、 ホワイトカーボン(比表面積100m2/g) 50重量部 、酸化亜鉛 3重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン1重量部、ジクミルパーオキサイド 5重量部、以上の各配合成分をニーダおよびオープンロールで混練し、混練物について170℃、20分間のプレス加硫を行ない、加硫シート(200*150*2mm)を加硫成形した。
【0021】(実施例2) エチレン・プロピレン共重合ゴム(住友化学工業製品ESPRENE201) 100重量部、 ホワイトカーボン(比表面積100m2/g) 50重量部 、酸化亜鉛 3重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン1重量部、ジクミルパーオキサイド 5重量部、以上の各配合成分をニーダおよびオープンロールで混練し、混練物について170℃、20分間のプレス加硫を行ない、加硫シート(200*150*2mm)を加硫成形した。
【0022】得られた加硫シートについてJIS K−6251準拠の3号ダンベル片を作成、常態物性評価(JIS K−6251準拠)および耐塩素水性評価(50℃・50ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に500hr浸漬後のJIS K−6251準拠の物性評価)を行った。
【0023】(比較例1)実施例1において、エチレン・プロピレン共重合ゴムがエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(日本合成ゴム製品EP33)に変更された。
【0024】(比較例2)実施例1において、ホワイトカーボンがFEFカーボンブラックに変更された。
【0025】(比較例3)実施例1において、エチレン・プロピレン共重合ゴムがエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(日本合成ゴム製品EP33)に変更、さらにホワイトカーボンがFEFカーボンブラックに変更された。
【0026】以上の実施例および各比較例における測定結果は、次の表1に示
される。
【0027】
【表1】
表1
【0028】表1の結果から本発明の実施例1、2は比較例1,2,3との比較から塩素水浸漬後の物性変化が少なく、ゴム組成物表面の荒れの程度もわずかであることが判明した。これらのことより本発明のゴム組成物における耐塩素水性能の向上効果が確認された。
【0029】
【発明の効果】第一の発明として、エチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を用いることにより、本発明の目的である耐塩素水性能に優れたゴム組成物を提供することができる。
【0030】第二の発明としてエチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を水シール成形材料に用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない水シール成形材料を提供することができる。
【0031】第三の発明としてエチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を水シール用途のO−リング、平パッキン、U−パッキンなどの固定または運動用成形シール材料として用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない水シール用途の固定または運動用成形シール材料を提供することができる。
【0032】水栓金具内部に用いられる水シール材の成形材料として用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない、水栓金具の水シール成形材料を提供することができる。
【0033】第四の発明としてエチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を水道用ホース、チューブの成形材料として用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない、水道用ホース、チューブの成形材料を提供することができる。
【発明の属する技術分野】本発明は、耐塩素水性ゴム組成物に関する。更に詳しくは、耐塩素水性にすぐれたエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン・プロピレン系共重合ゴムの中で最も良く用いられているエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムは、その優れた耐水性、耐熱性により、耐水性あるいは耐熱性のシール材の成形材料として幅広く用いられている。
【0003】しかしながら、近年水源の水質悪化に伴う水道水中の塩素量の増加により、水廻りに用いられているエチレン・プロピレン系共重合ゴム製のシール材、ホース、チューブ等の塩素による劣化が発生、ゴム片が剥離し水道水中への混入が起こるなど、問題となっている。
【0004】これらの対策として従来ではエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムに水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴムをブレンドし、過酸化物架橋剤を併用することで耐塩素水性能の向上を図ることが行われてきた(例えば特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、水中での塩素による劣化はゴム分子中のジエン成分に含まれる二重結合部分や、補強剤として用いられるカーボンブラックの表面に存在する化学的活性点に発生し易いため、ブレンドゴムを用いた手法は耐塩素水性能の大きな向上には至っていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−60198号公報
【特許文献2】
特開平9−157464号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物の耐塩素水性能を改善し、耐久性の高い水廻り用途の耐塩素水性ゴム組成物を提供することにある。 従来技術にあるようなエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムを用いた水廻り用途のゴム組成物においては、ゴム中に含まれるジエン成分に存在する炭素原子同士の二重結合部分が水中での塩素による劣化反応を起こし易く、結果として水シール成形品における水シール不良や、ホース、チューブ類のゴム片が剥離して水道水へ混入するなどの不具合が生じている。また従来技術のエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムを用いた水廻り用途のゴム組成物は、ほとんどが充填剤としてカーボンブラックを用いている。このカーボンブラックは粒子表面の化学的活性が高いために他の物質との反応性が高く、水道水中においては、カーボンブラック粒子表面の化学的活性点が塩素の攻撃を受け易い。このため、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム組成物の塩素による劣化を促進する原因の一つとなっており、結果として水シール成形品における水シール不良や、ホース、チューブ類のゴム片が剥離して水道水へ混入するなどの不具合が生じている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはジエン成分を含有しないエチレン・プロピレン共重合ゴムを用い、これにホワイトカーボンを補強剤として加え、さらに架橋剤に有機過酸化物を配合することで、従来のエチレン・プロピレン系共重合ゴム組成物に多く含まれていた水中での塩素による劣化反応の起こり易い化学構造を改善し、耐久性の高い水廻りの耐塩素水性ゴム組成物を提供することを可能としたものである。
【0008】本発明で使用するエチレン・プロピレン共重合ゴムは、一般によく使用されているエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴムのような第三成分であるジエン成分(エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等)を含んでいない。ジエン成分には炭素原子同士の二重結合が含まれており、水道水中ではこの部分が塩素による劣化を受け易く、早期劣化の要因の一つとなっている。
【0009】補強剤として一般によく使用されるカーボンブラックは補強効果が高い反面、粒子表面の化学的活性点が多く、塩素による劣化反応の開始点となり易い。その他の補強剤として炭酸カルシウムやタルク、クレー、炭酸マグネシウム、マイカなどの無機充填剤があるが、これらは補強効果に乏しく、十分なゴム強度が得られにくい。本発明の用途には化学的活性点が少ないホワイトカーボンが好適となる。配合されるホワイトカーボンとしては、BET法による比表面積が50〜300m2/gのもの、好ましくは70〜200m2/gのものが、エチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部当り15〜95重量部、好ましくは30〜60重量部の割合で用いられる。比表面積がこれよりも大きなものを用いると、ゴム製品製造時のゴムコンパウンド粘度が高くなり混練が困難となる。また、これ以下の比表面積ものを用いると、ゴム製品としての強度物性が低下する。配合割合がこれ以下ではゴム製品の十分な補強効果が得られず、これ以上の割合で用いられるとゴムコンパウンドの粘度が高くなり、加工混練性が低下してしまう。
【0010】有機過酸化物としては、第3ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ジ(第3ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ジ(第3ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシベンゾエート、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n−ブチル−4,4−ジ(第3ブチルパーオキシ)バレレート等が用いられる。
【0011】これらの有機過酸化物は、エチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部当り2〜10重量部、好ましくは3〜7重量部の割合で用いられる。これ以下の配合割合では、十分なる架橋密度が得られず、耐水性や圧縮永久歪性能が劣るようになり、これ以上の割合で用いられると、ゴム弾性や強度・伸びの低下が起きてしまう。
【0012】組成物中には、以上の必須成分以外に、タルク、クレー、グラファイト、ケイ酸カルシウム等の充填剤、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の受酸剤、可塑剤、老化防止剤などゴム工業で一般的に用いられている配合剤が、必要に応じて適宜添加されて用いられる。
【0013】ゴム組成物の調製は、インターミックス、ニーダ、バンバリーミキサ等の混練機またはオープンロールなどを用いて混練することによって行われ、それの加硫は加硫プレス、圧縮成形機、射出成形機等を用いて、一般に150〜200℃に3〜60分間程度加熱することによって行われ、必要に応じて120〜200℃で1〜24時間オーブン加硫(二次加硫)することも行われる。
【0014】第一の発明として、エチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物は二重結合部分が無く、化学的活性点も少ないため、本発明の目的である耐塩素水性能に優れたゴム組成物を提供することができる。
【0015】第二の発明としてエチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を水シール成形材料に用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない水シール成形材料を提供することができる。
【0016】第三の発明としてエチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を水シール用途のO−リング、平パッキン、U−パッキンなどの固定または運動用成形シール材料として用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない水シール用途の固定または運動用成形シール材料を提供することができる。
【0017】水栓金具内部に用いられる水シール材の成形材料として用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない、水栓金具の水シール成形材料を提供することができる。
【0018】第四の発明としてエチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を水道用ホース、チューブの成形材料として用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない、水道用ホース、チューブの成形材料を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、実施例について本発明を具体的に説明する。
【0020】(実施例1) エチレン・プロピレン共重合ゴム(日本合成ゴム製品EP11) 100重量部、 ホワイトカーボン(比表面積100m2/g) 50重量部 、酸化亜鉛 3重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン1重量部、ジクミルパーオキサイド 5重量部、以上の各配合成分をニーダおよびオープンロールで混練し、混練物について170℃、20分間のプレス加硫を行ない、加硫シート(200*150*2mm)を加硫成形した。
【0021】(実施例2) エチレン・プロピレン共重合ゴム(住友化学工業製品ESPRENE201) 100重量部、 ホワイトカーボン(比表面積100m2/g) 50重量部 、酸化亜鉛 3重量部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン1重量部、ジクミルパーオキサイド 5重量部、以上の各配合成分をニーダおよびオープンロールで混練し、混練物について170℃、20分間のプレス加硫を行ない、加硫シート(200*150*2mm)を加硫成形した。
【0022】得られた加硫シートについてJIS K−6251準拠の3号ダンベル片を作成、常態物性評価(JIS K−6251準拠)および耐塩素水性評価(50℃・50ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に500hr浸漬後のJIS K−6251準拠の物性評価)を行った。
【0023】(比較例1)実施例1において、エチレン・プロピレン共重合ゴムがエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(日本合成ゴム製品EP33)に変更された。
【0024】(比較例2)実施例1において、ホワイトカーボンがFEFカーボンブラックに変更された。
【0025】(比較例3)実施例1において、エチレン・プロピレン共重合ゴムがエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(日本合成ゴム製品EP33)に変更、さらにホワイトカーボンがFEFカーボンブラックに変更された。
【0026】以上の実施例および各比較例における測定結果は、次の表1に示
される。
【0027】
【表1】
表1
【0028】表1の結果から本発明の実施例1、2は比較例1,2,3との比較から塩素水浸漬後の物性変化が少なく、ゴム組成物表面の荒れの程度もわずかであることが判明した。これらのことより本発明のゴム組成物における耐塩素水性能の向上効果が確認された。
【0029】
【発明の効果】第一の発明として、エチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を用いることにより、本発明の目的である耐塩素水性能に優れたゴム組成物を提供することができる。
【0030】第二の発明としてエチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を水シール成形材料に用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない水シール成形材料を提供することができる。
【0031】第三の発明としてエチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を水シール用途のO−リング、平パッキン、U−パッキンなどの固定または運動用成形シール材料として用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない水シール用途の固定または運動用成形シール材料を提供することができる。
【0032】水栓金具内部に用いられる水シール材の成形材料として用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない、水栓金具の水シール成形材料を提供することができる。
【0033】第四の発明としてエチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有するエチレン・プロピレン共重合ゴム組成物を水道用ホース、チューブの成形材料として用いることにより、耐久性能が高く、漏水の心配やゴム劣化片の混入の少ない、水道用ホース、チューブの成形材料を提供することができる。
Claims (4)
- エチレン・プロピレン共重合ゴム100重量部、比表面積が50〜300m2/gのホワイトカーボン15〜95重量部および有機過酸化物2〜10重量部を含有してなる耐塩素水性ゴム組成物。
- 請求項1記載の耐塩素水性ゴム組成物から成形された水シール材。
- 請求項2に記載の耐塩素水性ゴム組成物から成形された水シール用途の O−リング、平パッキン、U−パッキンなどの固定または運動用成形水シール材。
- 請求項1記載の耐塩素水性ゴム組成物から形成された水道用ホース。
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JP2002284280A JP2004115735A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 耐塩素水性ゴム組成物、水シール材および水道用ホース |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002284280A JP2004115735A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 耐塩素水性ゴム組成物、水シール材および水道用ホース |
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2002
- 2002-09-27 JP JP2002284280A patent/JP2004115735A/ja active Pending
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