JP2004114724A - シートベルト装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】タングとシートベルトとの所定の摩擦を確保できるようにしつつ、構造を簡単にかつ比較的小型に形成でき、しかも使い勝手の良好なタングを備えたシートベルトを提供する。
【解決手段】筒状で可撓性のタング付けカバー8がタング7に取り付けられ、このタング付けカバー8内をシートベルト2の螺婦ベルト2b部分が貫通している。緊急時にラップベルト2bが緊張してタング付けカバー8を乗員に押し付ける。これにより、ラップベルト2bとタング付けカバー8との間に摩擦が生じ、この摩擦でシートベルト2の移動が抑制され、シートベルト2による乗員の拘束がより効果的に行われる。
【選択図】 図2
【解決手段】筒状で可撓性のタング付けカバー8がタング7に取り付けられ、このタング付けカバー8内をシートベルト2の螺婦ベルト2b部分が貫通している。緊急時にラップベルト2bが緊張してタング付けカバー8を乗員に押し付ける。これにより、ラップベルト2bとタング付けカバー8との間に摩擦が生じ、この摩擦でシートベルト2の移動が抑制され、シートベルト2による乗員の拘束がより効果的に行われる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両のシートに付設されて、車両衝突時等の緊急時にシートベルトにより乗員を拘束保護するシートベルト装置の技術分野に属し、特に、車両衝突時等の緊急時に移動しようとするシートベルトに所定の摩擦を確保できるようにされているシートベルト装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
実願昭61−73577号(実開昭62−37569号)のマイクロフィルム特許文献1には、タングプレートの両側部に形成された案内部にピンが摺動自在に保持されるとともに、タングプレートの長孔を貫通したベルトがこのピンに巻回されるとともに、この巻回されたベルトの一方を引き出すことにより、ベルトの長さを調節し、その後、巻回されたベルトの他方を引くことにより、ピンが移動してベルトがこのピンと長孔を形成するタングプレートの内側端面とで挟持されてベルトの引出しが阻止されるようになっている、いわゆるアジャストタングと呼ばれるベルトの長さ調節具が開示されている。
【0003】
【特許文献2】
実願昭58−38338号(実開昭59−143446号)のマイクロフィルム
特許文献2には、ウェビングがタングプレートの2つの穴部に挿通され、またタングプレートの両端部に形成されたロックバーガイドに、チルトロック機構を構成する樹脂製のロックバーがスライド可能に保持されるとともに、このロックバーがウェビングとタングプレートとの間に介在されており、通常時はロックバーのチルトロック機構により、ウェビングをロックバーとタングプレートとの間に挟持することでロックし、衝突等の大荷重がウェビングにかかったときにはロックバーが変形して、この荷重をタングプレートで受け持つようになっている、いわゆるチルトタングと呼ばれるシートベルトのチルトロック付タングプレートが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来のアジャストタングやチルトタングでは、いずれも、タングプレートにピンあるいはロックバーをスライド可能に保持しているため、タングの構造が複雑であるばかりでなく、タングが大型化してしまっている。しかも、通常のシートベルトの装着時や解放時において、タングをシートベルトに対して移動させる必要があるが、タングプレートとピンあるいはロックバーとの間にシートベルトが挟持されてタングとシートベルトとの摩擦が大きいことから、タングの移動に大きな力を入れる必要があるため、使い勝手が良好でないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、緊急時に移動しようとするシートベルトに所定の摩擦を確保できるようにしつつ、構造を簡単にしかつ安価なシートベルト装置を提供することである。
本発明の他の目的は、タングとシートベルトとの所定の摩擦を確保できるようにしつつ、構造を簡単にかつ比較的小型に形成でき、しかも使い勝手が良好で安価なタングを備えたシートベルト装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明は、緊急時に緊張するシートベルトにより乗員を拘束するシートベルト装置において、ベルト装着時に前記シートベルトと乗員との間に介在して、前記シートベルトとの間に摩擦を発生可能な可撓性のシートベルト摩擦部材を備えていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項2の発明は、前記シートベルト摩擦部材が筒状で可撓性のシートベルト摩擦カバーからなり、前記シートベルトがこのシートベルト摩擦カバー内をこのシートベルト摩擦カバーに対して相対移動可能に貫通しており、緊急時に緊張するシートベルトにより前記シートベルト摩擦カバーを乗員に押し付けることで、前記シートベルトと前記シートベルト摩擦カバーとの間に発生する摩擦により前記シートベルトの移動を抑制するようになっていることを特徴としている。
【0008】
更に、請求項3の発明は、前記シートベルト摩擦部材は板状に形成されており、前記シートベルト摩擦部材が少なくとも前記シートベルトの乗員当接部位に設けられており、緊急時に緊張するシートベルトにより前記シートベルト摩擦部材を乗員に押し付けることで、前記シートベルトと前記シートベルト摩擦部材との間に発生する摩擦により前記シートベルトの移動を抑制するようになっていることを特徴としている。
【0009】
更に、請求項4の発明は、前記シートベルト摩擦部材を、前記シートベルトに摺動可能に支持されたタングに取り付けていることを特徴としている。
更に、請求項5の発明は、前記シートベルトが前記タングにより、乗員の上胴部を拘束するショルダーベルトと、乗員の腰部を拘束するラップベルトとに分けられており、前記シートベルト摩擦部材を、前記シートベルトの装着時に前記ショルダーベルトおよび前記ラップベルトの少なくとも一方と乗員との間に介在するように設けていることを特徴としている。
【0010】
【作用】
このように構成された請求項1ないし5の各発明にかかるシートベルト装置においては、車両衝突時等の緊急時に緊張するシートベルトが、可撓性のシートベルト摩擦部材を乗員に押し付けるようになる。これにより、シートベルトとシートベルト摩擦部材との間に摩擦が生じ、この摩擦でシートベルトの移動が抑制されて、シートベルトによる乗員の拘束がより効果的に行われる。
【0011】
特に、請求項2の発明においては、可撓性のシートベルト摩擦部材が筒状のシートベルト摩擦カバーで単に構成され、また、請求項3の発明においては、可撓性のシートベルト摩擦部材が単に板状に形成されているだけであるので、構造が簡単であるとともに、シートベルト摩擦部材が安価に製造されるようになる。
【0012】
また、請求項4の発明においては、シートベルト摩擦部材がタングに単純に取り付けられるようになる、これにより、タングが大型になることはなく、従来のタングがそのまま使用可能となる。しかも、シートベルト摩擦部材が取り付けられたタングの構造も簡単になるとともに、タングの使い勝手が良好になる。
【0013】
更に、請求項5の発明においては、シートベルト摩擦部材が、シートベルトの装着時に、ショルダーベルトおよびラップベルトの少なくとも一方と乗員との間に介在するようになる。これにより、緊急時にタングを回り込むことによるシートベルトの移動の抑制が車種やユーザのニーズ等に応じて柔軟に対応可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の一例を模式的に示す図、図2は図1に示すシートベルト装置におけるタング部分を模式的に示し、(a)は正面図、(b)は(a)におけるIIB−IIB線に沿う断面図、(c)は(a)においてシートベルトを除いたタング部分の斜視図である。
【0015】
図1に示すように、この例のシートベルト装置1は三点式シートベルト装置として構成され、装着時に乗員を拘束保護するシートベルト2と、車両シートの近傍の車体に固定され、通常時にはシートベルト2を巻取引出可能に巻き取り、また車両衝突時等の緊急時にはシートベルト2の引出を阻止するシートベルトリトラクタ3と、このシートベルトリトラクタから延びているシートベルト2を乗員の方へガイドするショルダーアンカ4と、このショルダーアンカー4を貫通したシートベルト2の先端部が、例えば車両シートの外側寄りの車体部分に固定されているラップアンカー5と、例えば車両シートの内側寄りの車体部分に固定されているバックル6と、シートベルト2に摺動自在に設けられ、バックル5と係脱可能なタング7とを備えている。
そして、シートベルト2を乗員の肩、胸および腰に掛け渡されるようにしてタング7をバックル6に係合することにより、シートベルト2が乗員に装着される。その場合、シートベルト2はタング7により、乗員の肩や胸等の上胴部を拘束するショルダーベルト2aと乗員の腰部を拘束するラップベルト2bとに分けられている。
【0016】
シートベルト2の装着状態では、シートベルトリトラクタ3により、通常時にはシートベルト2が巻取引出可能にかつ圧迫感を抱かせない程度に比較的緩く巻き取られて乗員にフィットしており、また、車両衝突等の緊急時に大きな車両減速度が発生し、乗員がその慣性で前方へ移動しようとしても、シートベルトはその引出しが阻止されて、乗員を拘束保護するようになっている。
【0017】
図2(a)ないし(c)に示すように、この例のシートベルト装置1は、タング7の把持部7aに1つの貫通孔7eが設けられており、また、タング7には、ショルダーベルト2a側の開口端がこの貫通孔7eに開口するようにして筒状で可撓性のタング付けカバー(本発明のシートベルト摩擦部材に相当)8が取り付けられている。タング付けカバー8は、その筒状の開口端から延びる第1取付部8aと、タング付けカバー8の筒状の中心に関しこの第1取付部8aと反対側に第2取付部8bとを有している。
【0018】
図2(b)および(c)に示すように、第1取付部8aは、タング7の貫通孔7eを画成する把持部7aの第1被取付部7a1に、この第1被取付部7a1を巻いてその先端が縫合されることで取り付けられている。また、第2取付部8bは、タング7の貫通孔7eを画成する把持部7aの第2被取付部7a2に、例えば接着剤等により接合されることで取り付けられている。なお、第2取付部8bは第2被取付部7a2に接合されずに、フリーにしてもよい。
【0019】
このタング付けカバー8の材質には、金属、樹脂、ナイロン、ポリエステル、ケブラーなどの適宜の摩擦を有する材料が用いられる。なお、金属等の材質は前述の縫合以外の公知の適宜の取付手段でタング7に取り付けられるとともに、前述の縫合を用いることの可能な材質であっても縫合以外の公知の適宜の取付手段を用いることができる。要は、タング付けカバー8のタング7への取付手段には、タング付けカバー8の材質等に応じて公知の適宜の取付手段を用いることができる。
【0020】
この例のシートベルト装置1では、タング付けカバー8はタング7の一側に延設されているが、その場合、タング付けカバー8はシートベルト装着状態でラップベルト2bの方へ延びるように設定されている。つまり、ショルダーアンカー4を貫通したシートベルト2が、タング7の貫通孔7e側からタング付けカバー8内を貫通されている。したがって、タング付けカバー8内にあるシートベルト2はラップベルト2b部分である。
【0021】
このように構成されたこの例のシートベルト装置1においては、その非使用時には、従来のシートベルト装置と同様にタング7がバックル6から解離され、シートベルト2はシートベルトリトラクタ3によって巻き取られている。したがって、タング7およびタング付けカバー8もともに非使用位置となっている。
【0022】
乗員がシートベルト2を装着するために、タング7を持ってシートベルト2をシートベルトリトラクタ3から引き出し、タング7をバックル6に挿入して係合する。その後、乗員がタング7を離すと、余分に引き出されたシートベルト2がシートベルトリトラクタ3によって緊張しない程度に巻き取られて、シートベルト2の弛みが解消され、シートベルト2は乗員にフィットする。このシートベルト装着状態では、図3(a)に示すようにタング付けカバー8が乗員とラップベルト2bの間に介在するようになる。
【0023】
その場合、通常時はシートベルト2が緊張しない程度に保持されているので、ラップベルト2bがタング付けカバー8を乗員に押し付けることはない。このため、ラップベルト2bとタング付けカバー8との間に摩擦がほとんど(実質的に)生じなく、シートベルト装着状態で乗員が所定量動いてシートベルト2の引出しあるいは巻取りが行われても、シートベルト2はタング付けカバー8内とを比較的スムーズに移動するようになる。これにより、シートベルト装着状態での通常時においてシートベルト2の引出しあるいは巻取りがより確実に行われる。
【0024】
乗員が降車のためにシートベルト2の装着を解除する場合は、従来のシートベルト装置と同様にバックル6の解除ボタンが操作されることで、タング7がバックル6から解離され、シートベルト2はシートベルトリトラクタ3によって迅速に巻き取られる。このとき、ラップベルト2bとタング付けカバー8との間に摩擦がほとんど(実質的に)生じていないので、シートベルト2の巻取りが確実にかつ迅速に行われる。
【0025】
シートベルト装着状態で、車両衝突時等の緊急時には、乗員の慣性でシートベルト2が引き出されようとするが、シートベルトリトラクタ3によってシートベルト2の引出しが阻止されるので、シートベルト2が弛むことなく、乗員はシートベルト2によって拘束される。このとき、乗員がシートベルト2に密着しかつこのシートベルト2を押圧するので、シートベルト2は緊張する。このシートベルト2の緊張により、図3(b)に矢印Fで示すようにシートベルト2はタング付けカバー8を乗員に押し付けるようになる。
【0026】
これにより、タング付けカバー8がシートベルト2と乗員との間に挟圧され、シートベルト2とタング付けカバー8との間に摩擦が生じる。この摩擦がシートベルト2のタング付けカバー8に対する相対移動時に抵抗となるので、このシートベルト2がタング付けカバー8によって移動し難くなる。したがって、シートベルト2のラップベルト2bがタング2を回り込んでショルダーベルト2a方向へ移動することが抑制され、また、逆にシートベルト2のショルダーベルト2aがタング2を回り込んでラップベルト2b方向へ移動することが抑制される。その結果、ショルダーベルト2aおよびラップベルト2bがともに互いの方向への移動による弛みが生じなく、シートベルト2による乗員の拘束がより確実となる。
【0027】
この例のシートベルト装置1によれば、前述の緊急時に緊張するラップベルト2bで筒状で可撓性のタング付けカバー8を乗員に押し付けることでラップベルト2bとタング付けカバー8との間に摩擦を生じさせるようにしているので、この摩擦でシートベルト2の移動を抑制でき、シートベルト2による乗員の拘束をより効果的にすることができる。
【0028】
また、タング付けカバー8を単に可撓性の筒状に形成するだけであるので、構造を簡単にできるとともに、タング付けカバー8を安価に製造できる。更に、このタング付けカバー8をタング7に単純に取り付けているだけであるので、タング7を大型にすることなく、従来のタングをそのまま使用することができる。しかも、タング付けカバー8が取り付けられたタング7の構造も簡単にすることができるとともに、タング7の使い勝手を良好にできる。
【0029】
図4(a)は、本発明のシートベルト装置の他の例を示す、図2(b)と同様の図、図4(b)は、本発明のシートベルト装置の更に他の例を示す、図2(b)と同様の図である。
【0030】
前述の例では、タング付けカバー8をラップベルト2bの方へ延びるように設けているが、図4(a)に示す例のシートベルト装置1では、タング付けカバー8をタング7にショルダーベルト2aの方へ延びるようにして設けている。その場合、タング付けカバー8のラップベルト2b側開口端がタング7の貫通孔7eに開口している。
【0031】
この図4(a)に示す例においては、前述の緊急時に緊張するショルダーベルト2aでタング付けカバー8を乗員に押し付けることでショルダーベルト2aとタング付けカバー8との間に摩擦が生じるようになる。これにより、シートベルト2の移動を抑制でき、シートベルト2による乗員の拘束をより効果的にすることができる。この図4(a)に示す例の他の構成および他の作用効果はそれぞれ前述の図2に示す例と実質的に同じである。
【0032】
一方、図4(b)に示す例のシートベルト装置1では、タング付けカバー8をタング7にショルダーベルト2aおよびラップベルト2bのいずれの方にも延びるようにして設けている。その場合、タング付けカバー8と取付部材8cとで把持部7aの第1取付部7a1を挟んだ状態で、取付部材8cの両端部をタング付けカバー8に縫合することにより、タング付けカバー8をタング7に取り付けている。したがって、この例ではタング付けカバー8の両端開口部はタング7の貫通孔7eには開口していない。
【0033】
この図4(b)に示す例においては、前述の緊急時に緊張するショルダーベルト2aおよびランプベルト2bの両方でそれぞれタング付けカバー8を乗員に押し付けることでショルダーベルト2aおよびランプベルト2bとタング付けカバー8との間に摩擦が生じるようになる。したがって、シートベルト2とタング付けカバー8との間の摩擦が前述の2つの例よりも大きくなる。これにより、シートベルト2の移動をより確実に抑制でき、シートベルト2による乗員の拘束をより効果的にすることができる。この図4(b)に示す例の他の構成および他の作用効果はそれぞれ前述の図2に示す例と実質的に同じである。
【0034】
なお、前述の例では、本発明の可撓性のシートベルト摩擦部材として、筒状のタング付けカバー8を用いているが、本発明は本発明はこれに限定されるものではなく、シートベルト摩擦部材を板状に形成することもできる。この場合には、シートベルト摩擦部材を少なくとも前記シートベルトの乗員当接部位に設けるようにする。
【0035】
また、前述の例では、本発明を三点式シートベルト装置のタング7に適用するものとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、前述の緊急時に乗員を拘束するシートベルトを有し、かつこの拘束時にシートベルトが緊張するようになっているシートベルト装置であれば、四点式シートベルト装置や二点式シートベルト装置等の他のシートベルト装置にも適用することができる。
【0036】
更に、本発明は、プリテンショナーにより、前述の緊急時に予めシートベルトを緊張することで、乗員の拘束を迅速にかつ確実に行うことのできるシートベルト装置にも適用することができる。
【0037】
更に、タング付けカバー8の材質を選択することに代えて、筒状のタング付けカバー8や板状のシートベルト摩擦部材等のシートベルト摩擦部材のシートベルトとの摺動面を、緊急時のシートベルト2がタング付けカバー8や板状のシートベルト摩擦部材等のシートベルト摩擦部材を押し付けた際に摩擦が発生するような程度の表面粗さに設定することもできる。また、タング付けカバー8や板状のシートベルト摩擦部材等のシートベルト摩擦部材の材質とシートベルト摩擦部材のシートベルトとの摺動面の表面粗さとを組み合わせて所定の摩擦が発生するようにすることもできる。
【0038】
更に、タング付けカバー8や板状のシートベルト摩擦部材等のシートベルト摩擦部材は、シートベルト2と乗員との間に介在されて、シートベルト2との間に摩擦を発生するように設けられるようにしさえすれば、シートベルト装置1の形式によってはタング7以外の他の場所に設けることもできる。特に、シートベルト摩擦部材を筒状に形成した場合には、単にシートベルト2に摺動自在に支持するようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のシートベルト装置によれば、車両衝突時等の緊急時に緊張するシートベルトで筒状で可撓性のシートベルト摩擦部材を乗員に押し付けることでシートベルトとシートベルト摩擦部材との間に摩擦を生じさせるようにしているので、この摩擦でシートベルトの移動を抑制でき、シートベルトによる乗員の拘束をより効果的にすることができる。
【0040】
特に、請求項2の発明によれば、可撓性のシートベルト摩擦部材を筒状のシートベルト摩擦カバーで単に構成し、また、請求項3の発明によれば、可撓性のシートベルト摩擦部材を単に板状に形成しているだけであるので、構造を簡単にできるとともに、シートベルト摩擦部材を安価に製造できるようになる。
【0041】
また、請求項4の発明によれば、シートベルト摩擦部材をタングに単純に取り付けているだけであるので、タングを大型にすることなく、従来のタングをそのまま使用することができる。しかも、シートベルト摩擦部材が取り付けられたタングの構造も簡単にすることができるとともに、タングの使い勝手を良好にできる。
【0042】
更に、請求項5の発明によれば、シートベルト摩擦部材を、シートベルトの装着時に、ショルダーベルトおよびラップベルトの少なくとも一方と乗員との間に介在するように設けているので、緊急時にタングを回り込むことによるシートベルトの移動の抑制に関して、車種やユーザのニーズ等に応じて柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の一例を模式的に示す図である。
【図2】図1に示すシートベルト装置におけるタング部分を示し、(a)は正面図、(b)は(a)におけるIIB−IIB線に沿う断面図、(c)は(a)においてシートベルトを除いたタング部分の斜視図である。
【図3】図2に示す例におけるシートベルト装着状態を模式的に示し、(a)はシートベルト装着状態での通常時を示す図、を模式的に示す、(b)は(a)における緊急時の状態を部分的示す図である。
【図4】(a)は、本発明のシートベルト装置の他の例を示す、図2(b)と同様の図、(b)は、本発明のシートベルト装置の更に他の例を示す、図2(b)と同様の図である。
【符号の説明】
1…シートベルト装置、2…シートベルト、2a…ショルダーベルト、2b…ラップベルト、3…シートベルトリトラクタ、4…ショルダーアンカー、5…ラップアンカー、6…バックル、7…タング、7a…把持部、7a1…第1被取付部、7a2…第2被取付部、7e…貫通孔、8…タング付けカバー(シートベルト摩擦部材)、8a…第1取付部、8b…第2取付部
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両のシートに付設されて、車両衝突時等の緊急時にシートベルトにより乗員を拘束保護するシートベルト装置の技術分野に属し、特に、車両衝突時等の緊急時に移動しようとするシートベルトに所定の摩擦を確保できるようにされているシートベルト装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
実願昭61−73577号(実開昭62−37569号)のマイクロフィルム特許文献1には、タングプレートの両側部に形成された案内部にピンが摺動自在に保持されるとともに、タングプレートの長孔を貫通したベルトがこのピンに巻回されるとともに、この巻回されたベルトの一方を引き出すことにより、ベルトの長さを調節し、その後、巻回されたベルトの他方を引くことにより、ピンが移動してベルトがこのピンと長孔を形成するタングプレートの内側端面とで挟持されてベルトの引出しが阻止されるようになっている、いわゆるアジャストタングと呼ばれるベルトの長さ調節具が開示されている。
【0003】
【特許文献2】
実願昭58−38338号(実開昭59−143446号)のマイクロフィルム
特許文献2には、ウェビングがタングプレートの2つの穴部に挿通され、またタングプレートの両端部に形成されたロックバーガイドに、チルトロック機構を構成する樹脂製のロックバーがスライド可能に保持されるとともに、このロックバーがウェビングとタングプレートとの間に介在されており、通常時はロックバーのチルトロック機構により、ウェビングをロックバーとタングプレートとの間に挟持することでロックし、衝突等の大荷重がウェビングにかかったときにはロックバーが変形して、この荷重をタングプレートで受け持つようになっている、いわゆるチルトタングと呼ばれるシートベルトのチルトロック付タングプレートが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来のアジャストタングやチルトタングでは、いずれも、タングプレートにピンあるいはロックバーをスライド可能に保持しているため、タングの構造が複雑であるばかりでなく、タングが大型化してしまっている。しかも、通常のシートベルトの装着時や解放時において、タングをシートベルトに対して移動させる必要があるが、タングプレートとピンあるいはロックバーとの間にシートベルトが挟持されてタングとシートベルトとの摩擦が大きいことから、タングの移動に大きな力を入れる必要があるため、使い勝手が良好でないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、緊急時に移動しようとするシートベルトに所定の摩擦を確保できるようにしつつ、構造を簡単にしかつ安価なシートベルト装置を提供することである。
本発明の他の目的は、タングとシートベルトとの所定の摩擦を確保できるようにしつつ、構造を簡単にかつ比較的小型に形成でき、しかも使い勝手が良好で安価なタングを備えたシートベルト装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明は、緊急時に緊張するシートベルトにより乗員を拘束するシートベルト装置において、ベルト装着時に前記シートベルトと乗員との間に介在して、前記シートベルトとの間に摩擦を発生可能な可撓性のシートベルト摩擦部材を備えていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項2の発明は、前記シートベルト摩擦部材が筒状で可撓性のシートベルト摩擦カバーからなり、前記シートベルトがこのシートベルト摩擦カバー内をこのシートベルト摩擦カバーに対して相対移動可能に貫通しており、緊急時に緊張するシートベルトにより前記シートベルト摩擦カバーを乗員に押し付けることで、前記シートベルトと前記シートベルト摩擦カバーとの間に発生する摩擦により前記シートベルトの移動を抑制するようになっていることを特徴としている。
【0008】
更に、請求項3の発明は、前記シートベルト摩擦部材は板状に形成されており、前記シートベルト摩擦部材が少なくとも前記シートベルトの乗員当接部位に設けられており、緊急時に緊張するシートベルトにより前記シートベルト摩擦部材を乗員に押し付けることで、前記シートベルトと前記シートベルト摩擦部材との間に発生する摩擦により前記シートベルトの移動を抑制するようになっていることを特徴としている。
【0009】
更に、請求項4の発明は、前記シートベルト摩擦部材を、前記シートベルトに摺動可能に支持されたタングに取り付けていることを特徴としている。
更に、請求項5の発明は、前記シートベルトが前記タングにより、乗員の上胴部を拘束するショルダーベルトと、乗員の腰部を拘束するラップベルトとに分けられており、前記シートベルト摩擦部材を、前記シートベルトの装着時に前記ショルダーベルトおよび前記ラップベルトの少なくとも一方と乗員との間に介在するように設けていることを特徴としている。
【0010】
【作用】
このように構成された請求項1ないし5の各発明にかかるシートベルト装置においては、車両衝突時等の緊急時に緊張するシートベルトが、可撓性のシートベルト摩擦部材を乗員に押し付けるようになる。これにより、シートベルトとシートベルト摩擦部材との間に摩擦が生じ、この摩擦でシートベルトの移動が抑制されて、シートベルトによる乗員の拘束がより効果的に行われる。
【0011】
特に、請求項2の発明においては、可撓性のシートベルト摩擦部材が筒状のシートベルト摩擦カバーで単に構成され、また、請求項3の発明においては、可撓性のシートベルト摩擦部材が単に板状に形成されているだけであるので、構造が簡単であるとともに、シートベルト摩擦部材が安価に製造されるようになる。
【0012】
また、請求項4の発明においては、シートベルト摩擦部材がタングに単純に取り付けられるようになる、これにより、タングが大型になることはなく、従来のタングがそのまま使用可能となる。しかも、シートベルト摩擦部材が取り付けられたタングの構造も簡単になるとともに、タングの使い勝手が良好になる。
【0013】
更に、請求項5の発明においては、シートベルト摩擦部材が、シートベルトの装着時に、ショルダーベルトおよびラップベルトの少なくとも一方と乗員との間に介在するようになる。これにより、緊急時にタングを回り込むことによるシートベルトの移動の抑制が車種やユーザのニーズ等に応じて柔軟に対応可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の一例を模式的に示す図、図2は図1に示すシートベルト装置におけるタング部分を模式的に示し、(a)は正面図、(b)は(a)におけるIIB−IIB線に沿う断面図、(c)は(a)においてシートベルトを除いたタング部分の斜視図である。
【0015】
図1に示すように、この例のシートベルト装置1は三点式シートベルト装置として構成され、装着時に乗員を拘束保護するシートベルト2と、車両シートの近傍の車体に固定され、通常時にはシートベルト2を巻取引出可能に巻き取り、また車両衝突時等の緊急時にはシートベルト2の引出を阻止するシートベルトリトラクタ3と、このシートベルトリトラクタから延びているシートベルト2を乗員の方へガイドするショルダーアンカ4と、このショルダーアンカー4を貫通したシートベルト2の先端部が、例えば車両シートの外側寄りの車体部分に固定されているラップアンカー5と、例えば車両シートの内側寄りの車体部分に固定されているバックル6と、シートベルト2に摺動自在に設けられ、バックル5と係脱可能なタング7とを備えている。
そして、シートベルト2を乗員の肩、胸および腰に掛け渡されるようにしてタング7をバックル6に係合することにより、シートベルト2が乗員に装着される。その場合、シートベルト2はタング7により、乗員の肩や胸等の上胴部を拘束するショルダーベルト2aと乗員の腰部を拘束するラップベルト2bとに分けられている。
【0016】
シートベルト2の装着状態では、シートベルトリトラクタ3により、通常時にはシートベルト2が巻取引出可能にかつ圧迫感を抱かせない程度に比較的緩く巻き取られて乗員にフィットしており、また、車両衝突等の緊急時に大きな車両減速度が発生し、乗員がその慣性で前方へ移動しようとしても、シートベルトはその引出しが阻止されて、乗員を拘束保護するようになっている。
【0017】
図2(a)ないし(c)に示すように、この例のシートベルト装置1は、タング7の把持部7aに1つの貫通孔7eが設けられており、また、タング7には、ショルダーベルト2a側の開口端がこの貫通孔7eに開口するようにして筒状で可撓性のタング付けカバー(本発明のシートベルト摩擦部材に相当)8が取り付けられている。タング付けカバー8は、その筒状の開口端から延びる第1取付部8aと、タング付けカバー8の筒状の中心に関しこの第1取付部8aと反対側に第2取付部8bとを有している。
【0018】
図2(b)および(c)に示すように、第1取付部8aは、タング7の貫通孔7eを画成する把持部7aの第1被取付部7a1に、この第1被取付部7a1を巻いてその先端が縫合されることで取り付けられている。また、第2取付部8bは、タング7の貫通孔7eを画成する把持部7aの第2被取付部7a2に、例えば接着剤等により接合されることで取り付けられている。なお、第2取付部8bは第2被取付部7a2に接合されずに、フリーにしてもよい。
【0019】
このタング付けカバー8の材質には、金属、樹脂、ナイロン、ポリエステル、ケブラーなどの適宜の摩擦を有する材料が用いられる。なお、金属等の材質は前述の縫合以外の公知の適宜の取付手段でタング7に取り付けられるとともに、前述の縫合を用いることの可能な材質であっても縫合以外の公知の適宜の取付手段を用いることができる。要は、タング付けカバー8のタング7への取付手段には、タング付けカバー8の材質等に応じて公知の適宜の取付手段を用いることができる。
【0020】
この例のシートベルト装置1では、タング付けカバー8はタング7の一側に延設されているが、その場合、タング付けカバー8はシートベルト装着状態でラップベルト2bの方へ延びるように設定されている。つまり、ショルダーアンカー4を貫通したシートベルト2が、タング7の貫通孔7e側からタング付けカバー8内を貫通されている。したがって、タング付けカバー8内にあるシートベルト2はラップベルト2b部分である。
【0021】
このように構成されたこの例のシートベルト装置1においては、その非使用時には、従来のシートベルト装置と同様にタング7がバックル6から解離され、シートベルト2はシートベルトリトラクタ3によって巻き取られている。したがって、タング7およびタング付けカバー8もともに非使用位置となっている。
【0022】
乗員がシートベルト2を装着するために、タング7を持ってシートベルト2をシートベルトリトラクタ3から引き出し、タング7をバックル6に挿入して係合する。その後、乗員がタング7を離すと、余分に引き出されたシートベルト2がシートベルトリトラクタ3によって緊張しない程度に巻き取られて、シートベルト2の弛みが解消され、シートベルト2は乗員にフィットする。このシートベルト装着状態では、図3(a)に示すようにタング付けカバー8が乗員とラップベルト2bの間に介在するようになる。
【0023】
その場合、通常時はシートベルト2が緊張しない程度に保持されているので、ラップベルト2bがタング付けカバー8を乗員に押し付けることはない。このため、ラップベルト2bとタング付けカバー8との間に摩擦がほとんど(実質的に)生じなく、シートベルト装着状態で乗員が所定量動いてシートベルト2の引出しあるいは巻取りが行われても、シートベルト2はタング付けカバー8内とを比較的スムーズに移動するようになる。これにより、シートベルト装着状態での通常時においてシートベルト2の引出しあるいは巻取りがより確実に行われる。
【0024】
乗員が降車のためにシートベルト2の装着を解除する場合は、従来のシートベルト装置と同様にバックル6の解除ボタンが操作されることで、タング7がバックル6から解離され、シートベルト2はシートベルトリトラクタ3によって迅速に巻き取られる。このとき、ラップベルト2bとタング付けカバー8との間に摩擦がほとんど(実質的に)生じていないので、シートベルト2の巻取りが確実にかつ迅速に行われる。
【0025】
シートベルト装着状態で、車両衝突時等の緊急時には、乗員の慣性でシートベルト2が引き出されようとするが、シートベルトリトラクタ3によってシートベルト2の引出しが阻止されるので、シートベルト2が弛むことなく、乗員はシートベルト2によって拘束される。このとき、乗員がシートベルト2に密着しかつこのシートベルト2を押圧するので、シートベルト2は緊張する。このシートベルト2の緊張により、図3(b)に矢印Fで示すようにシートベルト2はタング付けカバー8を乗員に押し付けるようになる。
【0026】
これにより、タング付けカバー8がシートベルト2と乗員との間に挟圧され、シートベルト2とタング付けカバー8との間に摩擦が生じる。この摩擦がシートベルト2のタング付けカバー8に対する相対移動時に抵抗となるので、このシートベルト2がタング付けカバー8によって移動し難くなる。したがって、シートベルト2のラップベルト2bがタング2を回り込んでショルダーベルト2a方向へ移動することが抑制され、また、逆にシートベルト2のショルダーベルト2aがタング2を回り込んでラップベルト2b方向へ移動することが抑制される。その結果、ショルダーベルト2aおよびラップベルト2bがともに互いの方向への移動による弛みが生じなく、シートベルト2による乗員の拘束がより確実となる。
【0027】
この例のシートベルト装置1によれば、前述の緊急時に緊張するラップベルト2bで筒状で可撓性のタング付けカバー8を乗員に押し付けることでラップベルト2bとタング付けカバー8との間に摩擦を生じさせるようにしているので、この摩擦でシートベルト2の移動を抑制でき、シートベルト2による乗員の拘束をより効果的にすることができる。
【0028】
また、タング付けカバー8を単に可撓性の筒状に形成するだけであるので、構造を簡単にできるとともに、タング付けカバー8を安価に製造できる。更に、このタング付けカバー8をタング7に単純に取り付けているだけであるので、タング7を大型にすることなく、従来のタングをそのまま使用することができる。しかも、タング付けカバー8が取り付けられたタング7の構造も簡単にすることができるとともに、タング7の使い勝手を良好にできる。
【0029】
図4(a)は、本発明のシートベルト装置の他の例を示す、図2(b)と同様の図、図4(b)は、本発明のシートベルト装置の更に他の例を示す、図2(b)と同様の図である。
【0030】
前述の例では、タング付けカバー8をラップベルト2bの方へ延びるように設けているが、図4(a)に示す例のシートベルト装置1では、タング付けカバー8をタング7にショルダーベルト2aの方へ延びるようにして設けている。その場合、タング付けカバー8のラップベルト2b側開口端がタング7の貫通孔7eに開口している。
【0031】
この図4(a)に示す例においては、前述の緊急時に緊張するショルダーベルト2aでタング付けカバー8を乗員に押し付けることでショルダーベルト2aとタング付けカバー8との間に摩擦が生じるようになる。これにより、シートベルト2の移動を抑制でき、シートベルト2による乗員の拘束をより効果的にすることができる。この図4(a)に示す例の他の構成および他の作用効果はそれぞれ前述の図2に示す例と実質的に同じである。
【0032】
一方、図4(b)に示す例のシートベルト装置1では、タング付けカバー8をタング7にショルダーベルト2aおよびラップベルト2bのいずれの方にも延びるようにして設けている。その場合、タング付けカバー8と取付部材8cとで把持部7aの第1取付部7a1を挟んだ状態で、取付部材8cの両端部をタング付けカバー8に縫合することにより、タング付けカバー8をタング7に取り付けている。したがって、この例ではタング付けカバー8の両端開口部はタング7の貫通孔7eには開口していない。
【0033】
この図4(b)に示す例においては、前述の緊急時に緊張するショルダーベルト2aおよびランプベルト2bの両方でそれぞれタング付けカバー8を乗員に押し付けることでショルダーベルト2aおよびランプベルト2bとタング付けカバー8との間に摩擦が生じるようになる。したがって、シートベルト2とタング付けカバー8との間の摩擦が前述の2つの例よりも大きくなる。これにより、シートベルト2の移動をより確実に抑制でき、シートベルト2による乗員の拘束をより効果的にすることができる。この図4(b)に示す例の他の構成および他の作用効果はそれぞれ前述の図2に示す例と実質的に同じである。
【0034】
なお、前述の例では、本発明の可撓性のシートベルト摩擦部材として、筒状のタング付けカバー8を用いているが、本発明は本発明はこれに限定されるものではなく、シートベルト摩擦部材を板状に形成することもできる。この場合には、シートベルト摩擦部材を少なくとも前記シートベルトの乗員当接部位に設けるようにする。
【0035】
また、前述の例では、本発明を三点式シートベルト装置のタング7に適用するものとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、前述の緊急時に乗員を拘束するシートベルトを有し、かつこの拘束時にシートベルトが緊張するようになっているシートベルト装置であれば、四点式シートベルト装置や二点式シートベルト装置等の他のシートベルト装置にも適用することができる。
【0036】
更に、本発明は、プリテンショナーにより、前述の緊急時に予めシートベルトを緊張することで、乗員の拘束を迅速にかつ確実に行うことのできるシートベルト装置にも適用することができる。
【0037】
更に、タング付けカバー8の材質を選択することに代えて、筒状のタング付けカバー8や板状のシートベルト摩擦部材等のシートベルト摩擦部材のシートベルトとの摺動面を、緊急時のシートベルト2がタング付けカバー8や板状のシートベルト摩擦部材等のシートベルト摩擦部材を押し付けた際に摩擦が発生するような程度の表面粗さに設定することもできる。また、タング付けカバー8や板状のシートベルト摩擦部材等のシートベルト摩擦部材の材質とシートベルト摩擦部材のシートベルトとの摺動面の表面粗さとを組み合わせて所定の摩擦が発生するようにすることもできる。
【0038】
更に、タング付けカバー8や板状のシートベルト摩擦部材等のシートベルト摩擦部材は、シートベルト2と乗員との間に介在されて、シートベルト2との間に摩擦を発生するように設けられるようにしさえすれば、シートベルト装置1の形式によってはタング7以外の他の場所に設けることもできる。特に、シートベルト摩擦部材を筒状に形成した場合には、単にシートベルト2に摺動自在に支持するようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のシートベルト装置によれば、車両衝突時等の緊急時に緊張するシートベルトで筒状で可撓性のシートベルト摩擦部材を乗員に押し付けることでシートベルトとシートベルト摩擦部材との間に摩擦を生じさせるようにしているので、この摩擦でシートベルトの移動を抑制でき、シートベルトによる乗員の拘束をより効果的にすることができる。
【0040】
特に、請求項2の発明によれば、可撓性のシートベルト摩擦部材を筒状のシートベルト摩擦カバーで単に構成し、また、請求項3の発明によれば、可撓性のシートベルト摩擦部材を単に板状に形成しているだけであるので、構造を簡単にできるとともに、シートベルト摩擦部材を安価に製造できるようになる。
【0041】
また、請求項4の発明によれば、シートベルト摩擦部材をタングに単純に取り付けているだけであるので、タングを大型にすることなく、従来のタングをそのまま使用することができる。しかも、シートベルト摩擦部材が取り付けられたタングの構造も簡単にすることができるとともに、タングの使い勝手を良好にできる。
【0042】
更に、請求項5の発明によれば、シートベルト摩擦部材を、シートベルトの装着時に、ショルダーベルトおよびラップベルトの少なくとも一方と乗員との間に介在するように設けているので、緊急時にタングを回り込むことによるシートベルトの移動の抑制に関して、車種やユーザのニーズ等に応じて柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるシートベルト装置の実施の形態の一例を模式的に示す図である。
【図2】図1に示すシートベルト装置におけるタング部分を示し、(a)は正面図、(b)は(a)におけるIIB−IIB線に沿う断面図、(c)は(a)においてシートベルトを除いたタング部分の斜視図である。
【図3】図2に示す例におけるシートベルト装着状態を模式的に示し、(a)はシートベルト装着状態での通常時を示す図、を模式的に示す、(b)は(a)における緊急時の状態を部分的示す図である。
【図4】(a)は、本発明のシートベルト装置の他の例を示す、図2(b)と同様の図、(b)は、本発明のシートベルト装置の更に他の例を示す、図2(b)と同様の図である。
【符号の説明】
1…シートベルト装置、2…シートベルト、2a…ショルダーベルト、2b…ラップベルト、3…シートベルトリトラクタ、4…ショルダーアンカー、5…ラップアンカー、6…バックル、7…タング、7a…把持部、7a1…第1被取付部、7a2…第2被取付部、7e…貫通孔、8…タング付けカバー(シートベルト摩擦部材)、8a…第1取付部、8b…第2取付部
Claims (5)
- 緊急時に緊張するシートベルトにより乗員を拘束するシートベルト装置において、
ベルト装着時に前記シートベルトと乗員との間に介在して、前記シートベルトとの間に摩擦を発生可能な可撓性のシートベルト摩擦部材を備えていることを特徴とするシートベルト装置。 - 前記シートベルト摩擦部材は筒状で可撓性のシートベルト摩擦カバーからなり、前記シートベルトがこのシートベルト摩擦カバー内をこのシートベルト摩擦カバーに対して相対移動可能に貫通しており、
緊急時に緊張するシートベルトにより前記シートベルト摩擦カバーを乗員に押し付けることで、前記シートベルトと前記シートベルト摩擦カバーとの間に発生する摩擦により前記シートベルトの移動を抑制するようになっていることを特徴とする請求項1記載のシートベルト装置。 - 前記シートベルト摩擦部材は板状に形成されており、前記シートベルト摩擦部材が少なくとも前記シートベルトの乗員当接部位に設けられており、
緊急時に緊張するシートベルトにより前記シートベルト摩擦部材を乗員に押し付けることで、前記シートベルトと前記シートベルト摩擦部材との間に発生する摩擦により前記シートベルトの移動を抑制するようになっていることを特徴とする請求項1記載のシートベルト装置。 - 前記シートベルト摩擦部材を、前記シートベルトに摺動可能に支持されたタングに取り付けていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載のシートベルト装置。
- 前記シートベルトは前記タングにより、乗員の上胴部を拘束するショルダーベルトと、乗員の腰部を拘束するラップベルトとに分けられており、
前記シートベルト摩擦部材を、前記シートベルトの装着時に前記ショルダーベルトおよび前記ラップベルトの少なくとも一方と乗員との間に介在するように設けていることを特徴とする請求項4記載のシートベルト装置。
Priority Applications (1)
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2002
- 2002-09-24 JP JP2002276981A patent/JP2004114724A/ja active Pending
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