JP2004114577A - インクジェットヘッドの駆動制御方法、これを実現させるためのプログラム、記録媒体およびインクジェットプリンタ - Google Patents

インクジェットヘッドの駆動制御方法、これを実現させるためのプログラム、記録媒体およびインクジェットプリンタ Download PDF

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Abstract

【課題】環境条件が変動しても良好な印刷品位を保持することができるインクジェットヘッドの駆動制御方法、これを実現させるためのプログラム、記録媒体およびインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【解決手段】インクを吐出するインクジェットヘッドの駆動制御方法であって、インクジェットヘッド41が使用される環境の気圧に関する気圧情報を取得し、この気圧情報に基づいて、インクを吐出させるための駆動力を基準駆動力に対して補正するものである。又、インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドが使用される環境の気圧に関する気圧情報を取得する気圧情報取得手段と、気圧情報に基づき、インクを吐出させるための駆動力を基準駆動力に対して補正する駆動力補償手段とを有する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッドの駆動制御方法、これを実現させるためのプログラム、記録媒体およびインクジェットプリンタに関するものである。特に、インクを吐出する圧力を発生する圧力発生部が気圧の影響を受けるインクジェットヘッドおよびインクジェットプリンタに最適な駆動制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタでは、環境条件が変動しても印刷品位を常に良好に保つべく、インクの単位吐出量、吐出速度および吐出タイミングなどのインク吐出特性を安定させることが好ましい。そこで、インクジェットヘッドの連続稼働による温度上昇に伴った単位吐出量の増加を無くすため、ヘッド温度を検出し、その検出結果に応じてインクを吐出させるための駆動力を補正する装置が公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−52921号公報(第3−7頁、第1,4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インク吐出特性に影響を与えるのは、温度だけではなく、その他の要因によっても印刷品位が変動することが知られている。例えばバブル吐出方式(熱を加えることによりインクにバブルを発生し、その圧力でインクを吐出する)の場合は、気圧(標高)の変化によって単位吐出量が変動する。具体的には、標高(海抜)の高い場所、すなわち気圧が低くなるとインク沸点が下がるため、平地と同じ駆動力でインクを吐出させると、吐出量が多くなってしまう。このため、標高の高い場所では、平地に比べて画像が濃くなるといった問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、環境条件が変動しても良好な印刷品位を保持することができるインクジェットヘッドの駆動制御方法、これを実現させるためのプログラム、記録媒体およびインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェットヘッドの駆動制御方法は、インクを吐出するインクジェットヘッドの駆動制御方法であって、インクジェットヘッドが使用される環境の気圧に関する気圧情報を取得する気圧情報取得工程と、気圧情報に基づき、インクを吐出させるための駆動力を基準駆動力に対して補正する駆動力補償工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のインクジェットプリンタは、インクを吐出するインクジェットヘッドを用いたインクジェットプリンタであって、インクジェットヘッドが使用される環境の気圧に関する気圧情報を取得する気圧情報取得手段と、気圧情報に基づき、インクを吐出させるための駆動力を基準駆動力に対して補正する駆動力補償手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、例えば、熱によってバブルを発生し、その圧力によってインクを吐出するタイプのバブル吐出方式におけるインクジェットヘッドを使用した場合、インクジェットプリンタが設置された環境の気圧が下がると、インク沸点も下降し、吐出量が増加する傾向があるが、気圧に基づいて、インクを吐出させるための駆動力を補正するため、気圧の変化によって印刷品位(濃度など)が変動することがない。すなわち、環境条件が変動しても良好な印刷品位を保持することができる。
【0009】
これらの構成によれば、複雑な計算処理を必要とすることなく、ルックアップテーブルを参照するだけで、駆動力や補正係数を読み出すことができる。
【0010】
この場合、気圧情報取得工程では、圧力センサによって検出した気圧情報を取得することが好ましい。
【0011】
また、この場合、気圧情報取得手段は、圧力センサによって検出した気圧情報を取得することが好ましい。
【0012】
これらの構成によれば、圧力センサにより、容易に気圧情報を取得することができる。
【0013】
気圧情報取得工程では、ユーザの入力に基づいて、気圧情報を取得することも可能である。
【0014】
この場合、気圧情報取得手段は、ユーザの入力に基づいて、気圧情報を取得することが好ましい。
【0015】
これらの構成によれば、高価な圧力センサを用いることなく、ユーザの入力によって、気圧情報を取得することができる。
【0016】
この場合、気圧情報取得工程では、複数の場所と、各場所における平均気圧との関係が格納されたデータベースを有するサーバから、ネットワークを介して気圧情報を取得することが好ましい。
【0017】
また、この場合、気圧情報取得手段は、複数の場所と、各場所における平均気圧との関係が格納されたデータベースを有するサーバから、ネットワークを介して気圧情報を取得することが好ましい。
【0018】
これらの構成によれば、標高だけでなく気候・天気なども考慮したリアルタイムの気圧情報を、取得することができる。
【0019】
これらの場合、駆動力補償工程では、気圧と駆動力との関係を示したルックアップテーブル、若しくは気圧と基準駆動力に対する気圧毎に定められた補正係数との関係を示したルックアップテーブルを参照して、駆動力を補正することが好ましい。
【0020】
また、これらの場合、駆動力補償手段は、気圧と駆動力との関係を示したルックアップテーブル、若しくは気圧と基準駆動力に対する気圧毎に定められた補正係数との関係を示したルックアップテーブルを参照して、駆動力を補正することが好ましい。
【0021】
これらの構成によれば、複雑な計算処理を必要とすることなく、ルックアップテーブルを参照するだけで、駆動力や補正係数を読み出すことができる。
【0022】
これらの場合、インクジェットヘッドのヘッド温度を検出するヘッド温度検出工程を更に備え、駆動力補償工程では、気圧情報およびヘッド温度に基づいて、駆動力を補正することが好ましい。
【0023】
また、これらの場合、インクジェットヘッドのヘッド温度を検出するヘッド温度検出手段を更に備え、駆動力補償手段は、気圧情報およびヘッド温度に基づいて、駆動力を補正することが好ましい。
【0024】
これらの構成によれば、ヘッド温度が環境温度や連続稼働の影響によって上昇した場合、インクの粘度が低くなり吐出量が増加する傾向があるが、このヘッド温度も考慮することで、より適切にインクを吐出させるための駆動力を補正することができる。
【0025】
この場合、インクは、インクカートリッジから供給されており、当該インクカートリッジ近傍の温度を検出するインク温度検出工程を更に備え、駆動力補償工程では、気圧情報、ヘッド温度およびインク温度に基づいて、駆動力を補正することが好ましい。
【0026】
また、この場合、インクは、インクカートリッジから供給されており、当該インクカートリッジ近傍の温度を検出するインク温度検出手段を更に備え、駆動力補償手段は、気圧情報、ヘッド温度およびインク温度に基づいて、駆動力を補正することが好ましい。
【0027】
これらの構成によれば、気圧、ヘッド温度およびインク温度に基づいて駆動力が補正されるため、より適切に駆動力を補正することができる。つまり、インクジェットヘッドの連続稼働による温度上昇があっても、インクカートリッジ近傍の温度は低いままであるような場合、インクの粘度が高いまま吐出されることが考えられる。このような場合に、インク温度も考慮することで適切に駆動力を補正することができる。
【0028】
これらの場合、駆動力補償工程では、駆動電圧のパルス幅を補正する工程が含まれることが好ましい。
【0029】
また、これらの場合、駆動力補償手段は、駆動電圧のパルス幅を補正する手段が含まれることが好ましい。
【0030】
これらの構成によれば、インクを吐出するための駆動力の一要素である駆動電圧のパルス幅を補正することによって、気圧の変化による印刷品位の変動を抑えることができる。
【0031】
この場合、駆動力補償工程では、駆動電圧のパルス信号波形の前縁位置を変化させることにより、パルス幅を補正することが好ましい。
【0032】
また、この場合、駆動力補償工程は、駆動電圧のパルス信号波形の前縁位置を変化させることにより、パルス幅を補正することが好ましい。
【0033】
これらの構成によれば、気圧(標高)の変動によるドットの着弾位置のずれを無くすことができる。具体的には、標高が高い場所、すなわち気圧が低い場所では沸点が下がり、且つ空気抵抗が減少するため、吐出タイミングに影響を受ける。つまり、高地では、平地と同じパルスを印加しても沸点に達する時間が早くなるため、インクが早いタイミングで吐出され、低地より早く印刷対象物にインクが到着することになり、ドットは、通常の位置からキャリッジの移動方向において手前側にシフトする。そこで、高地では、パルス信号の前縁を後方にずらすことで、無駄なエネルギを消耗せず、結果として連続稼働を行った際のヘッドの温度上昇を抑制することができると共に、ドットの着弾位置のずれを無くすことができる。特に、気圧の影響を受けるバブル吐出タイプのインクジェットヘッドに有効な方法、および構成を提供できる。
【0034】
これらの場合、駆動力補償工程では、駆動電圧のピーク値を補正する工程が含まれることが好ましい。
【0035】
また、これらの場合、駆動力補償手段は、駆動電圧のピーク値を補正する手段が含まれることが好ましい。
【0036】
これらの構成によれば、インクを吐出するための駆動力の一要素である駆動電圧のピーク値を補正することによって、気圧の変化による印刷品位の変動を抑えることができる。
【0037】
本発明のプログラムは、上記に記載のインク消費量算出方法をコンピュータに実現させることを特徴とする。
【0038】
この構成によれば、環境条件が変動しても印刷品位を良好に保持し得るプログラムを提供することができる。
【0039】
本発明の記録媒体は、上記に記載のプログラムを記録し、コンピュータ読み取り可能であることを特徴とする。
【0040】
この構成によれば、環境条件が変動しても印刷品位を良好に保持し得る記録媒体を提供することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの駆動制御方法、これを実現させるためのプログラム、記録媒体およびインクジェットプリンタについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は、インクジェットヘッドが使用される環境における気圧情報を取得し、これに基づいてヘッドの駆動力(駆動電圧のパルス幅)を補正することにより、環境条件、特に気圧の変化に伴うインク沸点の変動(図3(a)参照)に関わらず、印刷品位(濃度など)を良好に保持することができるものである。そこで、以下、主にホストコンピュータから送信された印刷データに基づいて印刷を行う、オンデマンド方式のインクジェットプリンタを例に挙げて説明する。
【0042】
図1に示すように、本発明のインクジェットプリンタ10は、ホストコンピュータ5から送信された各種指令や印刷データを入力すると共に、インクジェットプリンタ10内部における処理状況等に関するデータをホストコンピュータ5に対して出力するデータ入出力部20と、圧力センサ31、インク量センサ32および吐出回数カウンタ33を有し各種検出を行う検出部30と、複数のインクジェットヘッド41を有し記録紙に対してカラー印刷を行う印刷部40と、インクカートリッジ71内のインク残量を表示するインク残量表示器51および種々のエラーを表示するエラー表示器52を有し各種表示を行う表示部50と、キャリッジモータ61および記録紙モータ62を有し主走査方向および副走査方向へのキャリッジと記録紙との相対移動、並びに記録紙の搬送を行う搬送部60と、複数のインクカートリッジ71を装着可能なカートリッジ装着部70と、ヘッドドライバ81、インク残量表示器ドライバ82、エラー表示器ドライバ83、キャリッジモータドライバ84、記録紙モータドライバ85を有し各部を駆動する駆動部80と、電源ユニット91を有し各部に電源を供給する電源部90と、各部と接続されインクジェットプリンタ10全体を制御する制御部100とによって構成されている。
【0043】
制御部100は、CPU110、ROM120、キャラクタジェネレータROM(CG−ROM)130、RAM140および入出力制御装置(IOC:Input Output Controller)150を備え、互いに内部バス160により接続されている。ROM120は、CPU110で処理する制御プログラムを記憶する制御プログラムブロック121と、インクジェットヘッド41に印加する駆動電圧のパルス幅を補正するための「標高(気圧)−パルス幅ルックアップテーブル(LUT)」(図5(a)参照)などを含む制御データを記憶する制御データブロック122とを有している。また、CG−ROM130は、文字等のフォントデータを記憶しており、文字等を特定するコードデータが与えられたときに対応するフォントデータを出力する。
【0044】
RAM140は、フラグ等として使用される各種ワークエリアブロック141の他、ホストコンピュータ5から送信された印刷データを記憶する印刷データブロック142と、圧力センサ31で検出した気圧を記憶する気圧ブロック143と、吐出回数カウンタ33でカウントされた吐出回数を記憶する吐出回数ブロック144と、インクジェットヘッド41が使用される環境の気圧に基づき「標高(気圧)−パルス幅LUT(ルックアップテーブル)」(図5(a)参照)から得られたパルス幅を記憶するパルス幅ブロック145と、吐出回数カウンタ33のカウント結果と予め定められた単位吐出量とに基づいて算出されたインク消費量を記憶するインク消費量ブロック146と、インク消費量とインクカートリッジ71の初期インク量とに基づき算出された、インクカートリッジ71のインク残量を記憶するインク残量ブロック147とを有し、制御処理のための作業領域として使用される。また、RAM140は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくように常にバックアップされている。
【0045】
なお、「標高(気圧)−吐出量LUT(ルックアップテーブル)」(図5(a)参照)に示すように、バブル吐出方式のインクジェットヘッドを使用した場合、一般に標高(海抜)が高くなると、気圧が下がり(図6(a)参照)、気圧が下がるとインク沸点も下がるため、高地において平地と同じ駆動力が印加されると、吐出量が増加する傾向にある。したがって、本実施形態では、気圧の下降(標高の上昇)に伴う吐出量の増加を考慮して駆動力(駆動電圧のパルス幅)を補正し(図6(b)参照)、補正した駆動力によってインクの吐出を行う。パルス幅の補正制御については、後に詳述する。なお、図5のテーブルに示した数値は、バブル吐出方式のインクジェットヘッドを使用した場合の任意の条件における一例を示したものであり、インクジェットヘッド41の方式やインク種類、また気圧以外の環境条件(温度や湿度など)によって変化するものである。
【0046】
ここで、バブル吐出方式とは、インクが沸点に達するまで熱を加えることによってインクにバブルを発生し、その圧力でインクを吐出する方式であり、印加エネルギの可変により、容易にインク吐出量を制御することができるといった利点を有する。なお、バブル吐出方式のインクジェットヘッドの構成は従来の構成と同様のものを用いることができるため、ここでは説明を省略する。
【0047】
図1の制御ブロック図の説明に戻る。入出力制御装置(IOC)150には、CPU110の機能を補うと共に各種周辺回路とのインターフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。このため、IOC150は、検出部30の圧力センサ31、インク量センサ32および吐出回数カウンタ33と接続され、検出部30からの各種検出信号およびホストコンピュータ5からの各種指令や印刷データなどをそのまま或いは加工して内部バス160に取り込むと共に、CPU110と連動して、CPU110から内部バス160に出力されたデータや制御信号を、そのまま或いは加工して駆動部80に出力する。また、IOC150は、カートリッジ装着部70と接続され、インクカートリッジ71の装着・非装着に関する情報等を取り込む。
【0048】
そして、CPU110は、上記の構成により、ROM120内の制御プログラムに従って、IOC150を介してインクジェットプリンタ10内の各部から各種信号・データを入力し、CG−ROM130からのフォントデータ、RAM140内の各種データを処理し、IOC150を介してインクジェットプリンタ10内の各部に、各種信号・データを出力することにより、パルス幅の補正やインク消費量およびインク残量の算出制御を行う。
【0049】
ここで、主にCPU110による、インク消費量およびインク残量の算出制御について、簡単に説明する。上記のとおり、RAM140内のインク消費量ブロック146では、吐出回数カウンタ33のカウント結果と予め定められた単位吐出量とに基づいて算出されたインク消費量を記憶するが、吐出回数カウンタ33は、インク量センサ32により、インク残量がニアエンド状態となったことを検出した後、カウントを開始する。すなわち、ニアエンド状態となるまでは、インク消費量の算出制御は行われず、インク量センサ32によりインク残量が検出される。そして、インク残量がニアエンド状態となったとき、予め定められた吐出回数となるまで(インク残量がリアルエンド状態となるまで)吐出回数のカウントが行われ、そのカウント結果に基づいてインク消費量を算出する。また、インク残量ブロック147では、ニアエンド状態となったときのインク量からインク消費量を減算することで得られるインク残量を記憶する。そして、インク残量がリアルエンド状態となると(カウント値が予め定められた吐出回数となると)、CPU110によりリアルエンドと判断され、印刷の続行が中止される。
【0050】
続いて、主にCPU110による、パルス幅の補正制御について、図2の機能ブロック図を参照して説明する。同図に示すように、インクジェットプリンタ10は、インクジェットプリンタ10が設置された場所の気圧を検出する気圧検出部210と、検出した気圧に基づいてインクを吐出するための駆動力(駆動電圧のパルス幅)を補正するパルス幅補正部220と、ホストコンピュータ5から送信された印刷データを取得する印刷データ取得部230と、取得した印刷データに基づき、補正されたパルス幅にてインクを吐出し、印刷を実行する印刷実行部240とを備えている。
【0051】
気圧検出部220では、圧力センサ31によってインクジェットプリンタ10が設置された場所の気圧、言い換えればインクジェットヘッド41が使用される環境の気圧を検出する。圧力センサ31は、インクジェットプリンタ筐体内の所定の位置に配置され、その出力波形は上記のとおりIOC150を介してCPU110に供給される。なお、圧力センサ31としては、圧力変化を抵抗値の変化に変換する抵抗変化型センサ、圧力変化を静電容量の変化に変換する静電容量型センサ、圧力変化を発振周波数の変化に変換する水晶発振周波数型センサなどを用いることができる。また、圧力センサ31を圧力検出回路に内蔵し、これを制御部100に組み込んでも良い。この構成によれば、気圧検出時のノイズや浮遊容量に起因する検出誤差を小さくすることができる。
【0052】
また、パルス幅補正部220では、検出した気圧に基づき、図5に示す「標高(気圧)−パルス幅LUT」を参照して、その気圧におけるパルス幅を読み出すことにより、パルス幅の補正を行う。ここで、パルス幅の補正制御について、図3を参照し、詳細に説明する。図3(a)は、印加する駆動電圧のパルス幅と、そのパルス幅で駆動電圧を印加した場合のインクジェットヘッド41の発熱要素となるヒータの温度との関係を示したものである。上記のとおり、バブル吐出方式のインクジェットヘッドを使用した場合は、一般に標高が高くなると、気圧が下がり(図6(a)参照)、気圧が下がるとインク沸点も下がるため、図3(a)に示すように、高地での沸点温度T1は、平地での沸点温度T2よりも低くなっている。したがって、同図に示すように、インクが沸点に達するため(インクを吐出するため)には、平地において印加する駆動電圧のパルス幅PW2よりも高地において印加する駆動電圧のパルス幅PW1を短く設定する必要がある。仮に平地において印加する駆動電圧のパルス幅PW2と、高地において印加する駆動電圧のパルス幅PW1とを同じ長さに設定してしまうと、高地ではインク吐出量が多くなり、画像が濃くなってしまうためである。そこで、標高(気圧)によらず、均一なインク吐出量を実現するために設定するパルス幅の具体的な値を示したものが、図5(a)に示す「標高(気圧)−パルス幅LUT」である。但し、この場合の駆動電圧値(ピーク値Vp)は同じ値に設定されている(パルス幅の補正に代えて、駆動電圧値を補正するようにしても良い;詳細については後述する)。
【0053】
また、高地においてパルス幅を短く補正する際には、図3(b)に示すように、パルス信号波形の前縁位置を後方にずらすことが好ましい(補正した場合のパルス信号の前縁は点線にて図示)。これは、標高が高い場所、すなわち気圧が低い場所では沸点が下がり、且つ空気抵抗が減少するため、吐出速度と吐出タイミングに影響を受けるためである。つまり、高地では、平地と同じパルスを印加しても沸点に達する時間が早くなるため、インクが早いタイミングで吐出され、更に吐出速度との相乗効果で、低地より早く印刷対象物にインクが到着することになり、ドットは、通常の位置からキャリッジの移動方向において手前側にシフトするためである。このため、ドットを通常の位置に着弾させるためには、吐出速度と吐出タイミングを補正する必要があるが、吐出速度の変化は吐出タイミングの変化に比べて微々たるものであるため、吐出タイミング(パルスの印加タイミング)のみを補正すればよい。したがって、図3(b)に示すようにパルス信号の前縁を後方にずらすことで、無駄なエネルギを消耗せず、結果として連続稼働を行った際のヘッドの温度上昇を抑制することができると共に、ドットの着弾位置のずれを無くすことができる。
【0054】
また、パルス幅の補正は、インクジェットヘッド41別に設定されることが好ましい。上記のとおり、本発明のインクジェットプリンタ10はカラー印刷が可能であり、色別に6つのインクジェットヘッド41(M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)、LM(ライトマゼンタ)、LC(ライトシアン)、K(ブラック))を備えている。したがって、パルス幅の補正は、色別に、すなわち各色のインク沸点の違い等を考慮して行われることが好ましい。このように、各色のインク種類やその特性を考慮することにより、より適切にパルス幅の補正を行うことができる。なお、インクジェットヘッド41の構成は、これに限らず、ヘッド数を増やして、更に多色の印刷を行い得るよう構成しても良いし、ヘッド数を減らして1色若しくは2色のみの印刷を行う構成としても良い。
【0055】
また、インクを吐出するための駆動力の補正は、パルス幅の補正に代えて、駆動電圧値(ピーク値Vp)を補正するようにしても良い。さらに、パルス幅と、駆動電圧値との両方を補正するようにしても良い。すなわち、図3(a)に示すように、高地での沸点温度T1は、平地での沸点温度T2よりも低くなっているため、高地における駆動電圧のピーク値Vpを下げれば平地と同じパルス幅PW2でも、到達する沸点温度を下げる(すなわちT1とする)ことは可能である。したがって、パルス幅と駆動電圧値(ピーク値Vp)とのいずれにおいても駆動力の補正は可能である。但し、駆動電圧値(ピーク値Vp)を補正する場合においても、ドットの着弾位置のずれを無くすため、図3(b)に示すように、高地においては、パルス信号の立ち上がり(前縁)を後方にずらすことが好ましい。なお、以下では、駆動力の補正としてパルス幅のみを補正するものとして説明を続ける。
【0056】
続いて、上記のとおり構成されたインクジェットプリンタ10における印刷処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。まず、ユーザにより電源がオンされることによって印刷処理が開始されると、カートリッジ装着部70にインクカートリッジ71が装着されているか否かを判断する(S11)。インクカートリッジ71が装着されていない場合(S11:No)は、エラー表示器52によって「カートリッジ装着」を指示するエラー報知を行う(S12)。
【0057】
続いて、圧力センサ31により、インクジェットヘッド41が使用される環境の気圧の検出を行い(S13)、その検出結果に応じてパルス幅を補正する(S14)。パルス幅は、上記のとおり「標高(気圧)−パルス幅LUT」を参照することによって補正する(図5(a)参照)。
【0058】
続いて、ホストコンピュータ5から印刷データを取得し(S15)、これに基づいて印刷を実行する(S16)。そして、印刷終了か否か(例えば最終頁、最終行の印刷であるか否か)を判断し(S17)、最終頁(または最終行)の印刷でない場合(S17:No)は印刷を続行し、最終頁(または最終行)の印刷である場合(S17:Yes)は、印刷処理を終了する(S18)。
【0059】
このように、本発明では、標高(気圧)に応じて、インクを吐出させるための駆動力(パルス幅)を補正するため、環境条件が変動しても印刷品位が損なわれることがない。また、高地においてパルス幅を短く補正する際には、パルス信号の前縁を後方にずらすため、気圧(標高)の変動によるドットの着弾位置のずれを無くすことができる。
【0060】
なお、上記の例では、「標高(気圧)−パルス幅LUT」(図5(a)参照)を参照することによって、パルス幅を補正するものとしたが、「標高(気圧)−パルス幅補正係数LUT」(図5(b)参照)から、パルス幅補正係数を読み出し、これに基準パルス幅(4.00(μs))を乗算することによってパルス幅の値を算出するようにしても良い。なお、パルス幅補正係数とは、標高(気圧)の変化に関わらず均一なインク吐出量を確保し、印刷品位(例えば濃度)を一定に保つために定められたパルス幅の基準パルス幅に対する比を言うものである。
【0061】
また、図5に示すルックアップテーブルに代えて、一次曲線、二次曲線などの関数を記憶しておき、この関数を参照することによって、パルス幅またはパルス幅補正係数を取得できるようにしても良い。
【0062】
また、上記の例では、圧力センサ31によって、インクジェットヘッド41が使用される環境の気圧に関する気圧情報を取得するものとしたが、ユーザの入力に基づいて、気圧情報を取得するようにしても良い。この構成によれば、高価な圧力センサを用いることなく、ユーザの入力によって、気圧情報を取得することができる。また、この場合、ユーザがインクジェットプリンタ10を直接操作することなく、ホストコンピュータ5から、キーボードやマウス等を用いて気圧情報を入力できることが好ましい。さらに、この場合、ホストコンピュータに組み込まれたプリンタドライバ内のユーティリティ実行プログラムによって実行される設定画面において、気圧情報が入力されることが好ましい。この構成によれば、プリンタドライバのインストール時において、ユーザが設定画面に気圧情報を入力することで、インクジェットプリンタ10の設置された環境に応じて適切にパルス幅を補正することができる。
【0063】
また、インターネット等のネットワークを介して、特定のサーバから気圧情報を取得するようにしても良い。すなわち、特定のサーバには、複数の場所と、各場所における平均気圧との関係が格納されたデータベースが備えられており、ユーザが設定画面520にインクジェットプリンタ10の設置場所を入力すると、その入力情報に基づいて、その場所における気圧情報(平均気圧)をデータベースから読み出し、これをホストコンピュータ5に送信するようにしても良い。また、予めサーバに対してインクジェットプリンタ10の設置場所を設定しておき、一定時間毎、若しくは電源オン時にその時の設定場所における平均気圧を自動的に受信し、その受信した平均気圧に基づいてパルス幅が随時更新されるようにしても良い。これらの構成によれば、圧力センサ31やCD−ROM507等の記録媒体を用意する必要が無いため、圧力センサ31または記録媒体に必要なコストの削減を図ることができる。また、後者の場合は、標高だけでなく気候・天気なども考慮した最新のより正確な気圧情報を取得することができる。
【0064】
続いて、本発明の第2実施形態にかかるインクジェットヘッドの駆動制御方法およびインクジェットプリンタについて説明する。上記の第1実施形態では、気圧(標高)に基づいて駆動力(パルス幅)を補正するものとしたが、本実施形態では、気圧の他にインクジェットヘッド41のヘッド温度も考慮してパルス幅を補正するものである。
【0065】
図8(a)のグラフに示すように、一般に温度が上昇するとインク粘度が低くなるため、温度の上昇にしたがって吐出量が増加する傾向にある。したがって、本実施形態では、温度の上昇に伴う吐出量の増加を抑制するため、同図(b)のグラフに示すように、温度の上昇にしたがってパルス幅を短くするように補正する。パルス幅の補正は、温度の上昇に伴う吐出量の増加を考慮して算出されたパルス幅補正係数(図7(b)参照)に基づいて行う。すなわち、ここでのパルス幅補正係数とは、均一なインクと出量を実現するための、基準パルス幅(4.00(μs))に対する、任意の温度におけるパルス幅の比を言うものであり、この値は実測値から求められたものである。
【0066】
そこで、本実施形態では、標高1000(m)(気圧899(hPa))、ヘッド温度30(℃)の場合を例に挙げて説明する。まず、図5(b)の「標高(気圧)−パルス幅補正係数LUT」に示すように、標高1000(m)の場合のパルス幅補正係数は、0.97である。また、図7(b)の「温度−パルス幅補正係数LUT」に示すように、ヘッド温度30(℃)の場合のパルス幅補正係数は、0.94である。ここで、これらのパルス幅補正係数を乗算すると、約0.91となるが、この値が気圧とヘッド温度とに基づいて算出されたパルス幅補正係数となる。したがって、標高1000(m)、ヘッド温度30(℃)の場合のパルス幅は、算出されたパルス幅補正係数(0.91)と基準パルス幅(4.00(μs))とを乗算して、約3.65(μs)と求めることができる。
【0067】
なお、図7(a)の「温度−パルス幅LUT」は、基準気圧(1013(hPa))におけるパルス幅を示したものであり、このようなテーブルを気圧別に用意することによって(すなわち、気圧とヘッド温度とパルス幅とを関連づけたテーブルを用意することによって)、上記のような計算処理を行うことなくパルス幅を取得することも可能である。
【0068】
このように、本発明の第2実施形態によれば、気圧の他に、インクジェットヘッド41のヘッド温度も考慮してパルス幅の補正を行うため、環境条件の変動によらず、より適切なパルス幅を求めることができる。
【0069】
続いて、本発明の第3実施形態にかかるインクジェットヘッドの駆動制御方法およびインクジェットプリンタについて説明する。上記の第2実施形態では、気圧とインクジェットヘッド41のヘッド温度とに基づいてパルス幅を補正するものとしたが、本実施形態では、これらに加えて、更にインクカートリッジ71近傍のインク温度も考慮してパルス幅の補正を行うものである。
【0070】
本実施形態は、特に発熱エネルギを駆動源とするバブル吐出方式のように、ヘッドの温度が急激に上昇するようなインクジェットヘッド41を用いた場合に有効である。また、POSシステムにおいて使用されるインクジェットプリンタ(POSプリンタ)など、店舗内の温度管理が行き届いていない場所や屋外での使用により、環境条件が変動し易い状況におかれることが想定される場合は、ヘッドとインク温度との差が生じやすいため、本実施形態の適用がより好ましい。そこで、ここでは、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0071】
本実施形態では、標高1000(m)(気圧899(hPa))、ヘッド温度40(℃)、インク温度が20(℃)の場合を例にあげて説明する。ここで、インク温度とは、インクカートリッジ71近傍の温度を指すものであるが、これはすなわち環境温度とほぼ等しいと考えられるため、インク温度に代えて環境温度を用いても良い。また、この場合、環境温度は、インクジェットプリンタ10の筐体内に設けられた温度計で測定されることが好ましい。
【0072】
そこで、まず、ヘッド温度とインク温度との平均温度を求める。この平均温度とは、例えばバブル吐出方式のインクジェットヘッド41のように連続稼働によって急激にヘッド温度が上昇するような場合であって、且つインク温度が低い場合、インクカートリッジ71から供給されたインクがヘッドの中を移動する間に温度が上昇し、最終的に到達するであろうと考えられる温度を言うものである。したがって、ヘッド温度が40(℃)であって、且つインク温度が20(℃)の場合、これらの平均温度30(℃)((40+20)/2=30)まで、インク温度が上昇する(ヘッドの駆動熱によって10℃だけインク温度が上昇する)ものとして、パルス幅補正係数を算出する。
【0073】
ここで、図7(b)に示す「温度−パルス幅補正係数LUT」を参照すると、温度30℃のときのパルス幅補正係数は、0.94であることが読み出される。これは、つまり20℃のインクがヘッド駆動熱の影響を受けて30℃まで上昇する(ヘッド温度40℃まで上昇しない)ことを想定したため、インク温度を考慮しない場合のヘッド温度40℃におけるパルス幅補正係数0.88よりも大きな値となっている。
【0074】
一方、標高1000(m)(気圧899(hPa))のときの、パルス幅補正係数は、0.97であるから(図5(b)参照)、このパルス幅補正係数0.97と、上記の温度に基づいて読み出されたパルス幅補正係数0.94とを乗算することにより、気圧とヘッド温度とインク温度とに基づく吐出量係数を算出することができる。したがって、その算出結果は、約0.91となり、この値と、基準パルス幅(4.00(μs))とを乗算することにより、標高1000(m)(気圧899(hPa))、ヘッド温度40(℃)、インク温度が20℃の場合のパルス幅を約3.65(μs)と求めることができる。
【0075】
このように、本発明の第3実施形態によれば、気圧とヘッド温度との他に、インクカートリッジ71近傍のインク温度も考慮してパルス幅を補正するため、ヘッド温度の連続稼働による急激な温度変化に影響されず、より適切なパルス幅を求めることができる。
【0076】
なお、本実施形態では、パルス幅を計算式によって算出するものとしたが、気圧、ヘッド温度、インク温度とパルス幅とを関連づけたテーブル、若しくは気圧、平均温度(ヘッド温度とインク温度の平均温度)とパルス幅とを関連づけたテーブルから、パルス幅を読み出すようにしても良い。
【0077】
また、上記第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態では、パルス幅の補正制御は、インクジェットプリンタ10内の制御部100によって行われるものとしたが、これらの制御プログラムを記録媒体に格納し、この記録媒体をインクジェットプリンタ10やホストコンピュータ5に読み込ませてパルス幅の補正制御を行うようにしても良い。記録媒体としては、ハードディスク、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、コンパクトディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
【0078】
また、パルス幅の補正制御を、ホストコンピュータ5に組み込まれたプリンタドライバ、並びにホストコンピュータ5内のアプリケーションで実行することも当然可能である。
【0079】
以上、説明したとおり、本発明のインクジェットヘッドの駆動制御方法、これを実現させるためのプログラム、記録媒体およびインクジェットプリンタによれば、インクジェットプリンタ10が設置された環境の気圧が下がると、インク沸点も下降し、吐出量が増加する傾向があるが、取得した気圧情報に基づいて、インクを吐出させるための駆動力を補正するため、気圧の変化によって印刷品位(濃度など)が変動することがない。すなわち、環境条件が変動しても良好な印刷品位を保持することができる。
【0080】
また、本発明の第2実施形態では、ヘッド温度が環境温度や連続稼働の影響によって上昇した場合、インクの粘度が低くなり吐出量が増加する傾向があるが、このヘッド温度も加味することで、より適切に駆動力を補正することができる。
【0081】
また、本発明の第3実施形態では、バブル吐出方式を用いた場合、インクジェットヘッド41の連続稼働により、ヘッド温度が急激に上昇することがあるが、気圧、ヘッド温度に加え、インクカートリッジ71近傍のインク温度を加味することで、より適切に駆動力を補正することができる。
【0082】
なお、上記の例では、インクジェットプリンタ10として、バブル吐出方式のインクジェットヘッド41を使用した場合について説明したが、インクを吐出するアクチュエータの駆動に静電気力を用いた静電アクチュエータ方式(振動板と対向電極の間に電圧を印加することにより発生する静電気力を利用し、振動板の振動に応じてインクを吐出する方式)のインクジェットヘッドを使用した場合にも、本発明は適用可能である。この構成によれば、静電アクチュエータ方式のインクジェットヘッドの製造は、半導体技術によるエッチングを主要工程としているため、比較的安価でインクジェットヘッドを製造することができる。
【0083】
但し、静電アクチュエータ方式を用いる場合は、標高の高い場所、すなわち気圧が下がると駆動力(電圧値)を大きくする必要が生じるため、バブル吐出方式を用いた場合とは逆の特性となる。これは、静電アクチュエータ方式の場合、気圧が下がると、ダイヤフラムが内外部の気圧差の影響を受けて外側に膨らむ影響を受け、静電気を与えても、低地と同じ電圧では振動板が対向電極に引きつけられず、電圧値を高くしなければならないためである。したがって、静電アクチュエータ方式を用いる場合は、図5に示すルックアップテーブルの値は全く異なったものとなる。なお、静電アクチュエータ方式のインクジェットヘッドを用いる場合であって、且つパルス幅と駆動電圧値(ピーク値)の双方を補正する場合は、駆動電圧値は温度の変化に対応して逆方向に可変させ、パルス幅は温度の変化に対して正方向に可変させることが好ましい。
【0084】
また、インクを吐出するアクチュエータの駆動にピエゾ素子を用いたピエゾ方式のインクジェットヘッドを使用した場合にも、本発明は適用可能である。この構成によれば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いることで、インクの吐出量を細かく制御することができる。但し、ピエゾ方式を用いた場合は、気圧の変化による単位吐出量の変動は小さく、且つ吐出速度は標高が高い場所、すなわち気圧が下がると幾分早くなると考えられるため、駆動力(パルス幅)の印加タイミング補正のみに留めても良い。
【0085】
また、上述したインクジェットプリンタの例によらず、インクジェットヘッドの方式や装置構成、その他、駆動力を補正するための計算式等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【0086】
【発明の効果】
上述のように、本発明のインクジェットヘッドの駆動制御方法、これを実現させるためのプログラム、記録媒体およびインクジェットプリンタによれば、環境条件によらず、良好な印刷品位を保持することができるなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェットプリンタの制御ブロック図である。
【図2】本発明のインクジェットプリンタの機能ブロック図である。
【図3】本発明のインクジェットヘッドの駆動制御方法によるパルス幅の補正制御の説明図である。
【図4】本発明のインクジェットプリンタにおける印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明のインクジェットヘッドの駆動制御方法に用いられるルックアップテーブルの一部を示す図である。
【図6】標高と平均気圧、および標高とパルス幅の対応関係を示すグラフである。
【図7】本発明の第2実施形態および第3実施形態にかかるインクジェットヘッドの駆動制御方法に用いられるルックアップテーブルの一部を示す図である。
【図8】温度とインク粘度、および温度とパルス幅の対応関係を示すグラフである。
【符号の説明】
5    ホストコンピュータ
10    インクジェットプリンタ
20    データ入出力部
21    インターフェース
30    検出部
31    圧力センサ
32    インク量センサ
33    吐出回数カウンタ
40    印刷部
41    インクジェットヘッド
50    表示部
51    インク残量表示器
52    エラー表示器
60    搬送部
61    キャリッジモータ
62    記録紙モータ
70    カートリッジ装着部
71    インクカートリッジ
80    駆動部
81    ヘッドドライバ
82    インク残量表示器ドライバ
83    エラー表示器ドライバ
84    キャリッジモータドライバ
85    記録紙モータドライバ
90    電源部
91    電源ユニット
100    制御部
110    CPU
120    ROM
130    CG−ROM
140    RAM
150    IOC
160    内部バス
210    気圧検出部
220    パルス幅補正部
230    印刷データ取得部
240    印刷実行部

Claims (23)

  1. インクを吐出するインクジェットヘッドの駆動制御方法であって、
    前記インクジェットヘッドが使用される環境の気圧に関する気圧情報を取得する気圧情報取得工程と、
    前記気圧情報に基づき、インクを吐出させるための駆動力を基準駆動力に対して補正する駆動力補償工程と、
    を備えたことを特徴とするインクジェットヘッドの駆動制御方法。
  2. 前記気圧情報取得工程では、圧力センサによって検出した気圧情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの駆動制御方法。
  3. 前記気圧情報取得工程では、ユーザの入力に基づいて、前記気圧情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの駆動制御方法。
  4. 前記気圧情報取得工程では、複数の場所と、各場所における平均気圧との関係が格納されたデータベースを有するサーバから、ネットワークを介して前記気圧情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの駆動制御方法。
  5. 前記駆動力補償工程では、前記気圧と前記駆動力との関係を示したルックアップテーブル、若しくは前記気圧と前記基準駆動力に対する前記気圧毎に定められた補正係数との関係を示したルックアップテーブルを参照して、前記駆動力を補正することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1に記載のインクジェットヘッドの駆動制御方法。
  6. 前記インクジェットヘッドのヘッド温度を検出するヘッド温度検出工程を更に備え、
    前記駆動力補償工程では、前記気圧情報および前記ヘッド温度に基づいて、前記駆動力を補正することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1に記載のインクジェットヘッドの駆動制御方法。
  7. 前記インクは、インクカートリッジから供給されており、当該インクカートリッジ近傍の温度を検出するインク温度検出工程を更に備え、
    前記駆動力補償工程では、前記気圧情報、前記ヘッド温度および前記インク温度に基づいて、前記駆動力を補正することを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッドの駆動制御方法。
  8. 前記駆動力補償工程では、駆動電圧のパルス幅を補正する工程が含まれることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1に記載のインクジェットヘッドの駆動制御方法。
  9. 前記駆動力補償工程では、前記駆動電圧のパルス信号波形の前縁位置を変化させることにより、前記パルス幅を補正することを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッドの駆動制御方法。
  10. 前記駆動力補償工程では、駆動電圧のピーク値を補正する工程が含まれることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1に記載のインクジェットヘッドの駆動制御方法。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1に記載のインクジェットヘッドの駆動制御方法をコンピュータに実現させるためのプログラム。
  12. 請求項11に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  13. インクを吐出するインクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタにおいて、
    前記インクジェットヘッドが使用される環境の気圧に関する気圧情報を取得する気圧情報取得手段と、
    前記気圧情報に基づき、インクを吐出させるための駆動力を基準駆動力に対して補正する駆動力補償手段と、
    を備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。
  14. 前記気圧情報取得手段は、圧力センサによって検出した気圧情報を取得することを特徴とする請求項13に記載のインクジェットプリンタ。
  15. 前記気圧情報取得手段は、ユーザの入力に基づいて、前記気圧情報を取得することを特徴とする請求項13に記載のインクジェットプリンタ。
  16. 前記気圧情報取得手段は、複数の場所と、各場所における平均気圧との関係が格納されたデータベースを有するサーバから、ネットワークを介して前記気圧情報を取得することを特徴とする請求項13に記載のインクジェットプリンタ。
  17. 前記駆動力補償手段は、前記気圧と前記駆動力との関係を示したルックアップテーブル、若しくは前記気圧と前記基準駆動力に対する前記気圧毎に定められた補正係数との関係を示したルックアップテーブルを参照して、前記駆動力を補正することを特徴とする請求項13ないし16のいずれか1に記載のインクジェットプリンタ。
  18. 前記インクジェットヘッドのヘッド温度を検出するヘッド温度検出手段を更に備え、
    前記駆動力補償手段は、前記気圧情報および前記ヘッド温度に基づいて、前記駆動力を補正することを特徴とする請求項13ないし17のいずれか1に記載のインクジェットプリンタ。
  19. 前記インクは、インクカートリッジから供給されており、当該インクカートリッジ近傍の温度を検出するインク温度検出手段を更に備え、前記駆動力補償手段は、前記気圧情報、前記ヘッド温度および前記インク温度に基づいて、前記駆動力を補正することを特徴とする請求項18に記載のインクジェットプリンタ。
  20. 前記駆動力補償手段は、駆動電圧のパルス幅を補正する手段が含まれることを特徴とする請求項13ないし19のいずれか1に記載のインクジェットプリンタ。
  21. 前記駆動力補償手段は、前記駆動電圧のパルス信号波形の前縁位置を変化させることにより、前記パルス幅を補正することを特徴とする請求項20に記載のインクジェットプリンタ。
  22. 前記駆動力補償手段は、駆動電圧のピーク値を補正する手段が含まれることを特徴とする請求項13ないし21のいずれか1に記載のインクジェットプリンタ。
  23. 前記インクジェットヘッドが、熱を加えることによりインクにバブルを発生し、その圧力でインクを吐出するバブル吐出方式のインクジェットであることを特徴とする請求項13ないし22のいずれか1に記載のインクジェットプリンタ。
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