JP2004114572A - 分離照合可能な印刷用紙、同印刷用紙セットおよび同印刷用紙セットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】印刷用紙(P)の分離予定位置に沿って分離用のミシン目(4)を形成する。また印刷用紙(P)の少なくとも片面に、文字、図形、記号又はこれらの組み合せからなる少なくとも1つの分離照合用印字要素(10)を地模様として設ける。前記少なくとも1つの分離照合用印字要素(10)を前記分離予定位置(4)を境に視覚的又は観念的に連続性が認められる態様で配置する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば注文書と注文請書のように分離使用を前提としその分離後に照合が要求されるような伝票類その他を印刷するために用いられる印刷用紙、同印刷用紙セットおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば注文書と注文請書、請求領収書と請求領収書控等のように、同じ内容の伝票が複数枚必要な場合がある。この種の伝票は、その分離予定位置にミシン目が設けられた用紙にレーザープリンタ等で印刷を施し、その後ミシン目に跨るように手作業で割印することによって、分離された複数枚の伝票の同一性を確保することが行われている。しかしながら、この種の伝票が多数ある場合にはその割印を押す作業が些か面倒であり、ひいては事務処理の効率低下を招くものであった。このような不都合を解消すべく、従来、例えば伝票内容を印刷する際に同時に割印イメージをも印刷する機能を備えたプリンタ(例えば、特許文献1参照。)や伝票印字システム(例えば、特許文献2参照。)、あるいは割印処理用のプリンタ(例えば、特許文献3参照。)や画像形成装置(例えば、特許文献4参照。)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−343796号公報(第1〜4頁、第4図(c))
【特許文献2】
特開2001−180088号公報(第1〜6頁、第9図)
【特許文献3】
特開平7−30742号公報(第1〜6頁、第2図)
【特許文献4】
特開平11−136497号公報(第1〜7頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記提案によれば、確かに多量の割印押捺作業の手間を省くことができるものの、上記機能を備えた専用のプリンタないしはシステムを導入しなければならず、従来の汎用プリンタをそのまま使用することができないため新たな設備投資が必要になるという難があった。
【0005】
この発明は、上述の背景に鑑みてなされたものであって、従来のプリンタ装置をそのまま使用するものでありながら分離された複数の伝票類が同時に印刷されたものであることの信頼性を向上させることができる分離使用を前提とした伝票類の印刷用の用紙として用いられる分離照合用印刷用紙を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、従来の提案、即ちプリンタ側を工夫することによって伝票類の印刷時に如何にして分離予定位置に割印イメージを形成するかという発想から、印刷用の用紙自体に工夫するという発想の転換を図り、印刷用紙自体に予め分離照合可能な地模様を設けるようにしたものである。
【0007】
即ち、この発明に係る分離照合可能な印刷用紙は、分離予定位置に沿って分離されることを前提とした分離照合可能な印刷用紙であって、
前記印刷用紙の少なくとも片面に、文字、図形、記号、模様又は色彩若しくはこれらの組み合せからなる少なくとも1つの分離照合用印字要素が地模様として設けられると共に、
前記少なくとも1つの分離照合用印字要素が、前記分離予定位置を境に視覚的又は観念的に連続性が認められる態様で配置されていることを特徴とするものである。
【0008】
この印刷用紙は、上述のとおり、印刷用紙の少なくとも片面に少なくとも1つの分離照合用印字要素が地模様として設けられ、該印字要素が前記分離予定位置を境に視覚的又は観念的に連続性が認められる態様で配置されているものである。換言すると、注文書/注文請書のような本来のプリント内容をプリントする以前の状態の印刷用紙自体が既に分離照合可能なものであるので、この用紙に従来のプリンタで従来どおり伝票類を印刷するだけで、割印を押捺することなく分離照合を可能とすることができる。従って、新たな専用プリンタを準備することなく従来のプリンタをそのまま使いつつも、分離された複数枚の個別伝票類が同時に印刷されたものであるという信頼性を安価にしかも確実に獲得することができる。また分離照合用印字要素が地模様として設けられたものであるから、本来のプリント内容を何ら支障なく視認することができるのはもとより、プリント内容の改ざん等の偽造を効果的に防止することが可能となる。なお、この明細書において「地模様」とは本来印刷すべき印字内容とは別に用紙自体に予め下地として形成された各種模様を意味するものとする。
【0009】
前記分離予定位置に沿ってミシン目等の破断容易部を形成するものとすることが望ましい。この場合、鋏やカッター等の切断具を用いることなく容易に分離することができる。あるいはこれに代えて切取線を印刷したものであっても良い。
【0010】
複数の分離照合用印字要素を、印刷用紙の裏面の全面に亘って所定間隔毎に繰り返し配置状態に設けるようにしても良い。印刷用紙の裏面側に分離照合用印字要素を設けることにより、表面側への本来のプリントを何ら支障なく行うことができるのはもとより、一見して割印のような分離照合機能がないようにも見えながらも同機能を確実に備えたものとすることができる。
【0011】
複数の分離照合用印字要素を、前記分離予定位置上にその長さ方向に沿って配置しても良い。この場合、複数の分離照合用印字要素が用紙分離時に割印としての機能を果たすので分離照合の精度が向上する。
【0012】
複数の前記分離照合用印字要素を、分離予定位置を境に線対称に配置するものとしても良い。この場合、分離された用紙どおしを分離縁部を合致させた状態で重ね合わせて透かして見ることにより、照合作用が可能となる。
【0013】
分離照合用印字要素は、例えば社名やスローガン等の所定の意味を有する文字の組合せ、あるいは例えば123456789+1234×4321=128788903のような数式からなるものであって、これを分離予定位置に交差する態様で設けるようにしても良い。この場合、分離予定位置を境に文字の組合せあるいは数式が観念的に連続するものとなるので分離照合機能を果たすことができる。また観念的な連続性を有するものであるので、これらの分離照合用印字要素の一部が分離予定位置上に位置しない場合、換言すると割印に相当する分離照合用印字要素部分が存在しない場合であっても、分離照合機能を果たすことができる。
【0014】
分離照合用印字要素は、透かしで構成されたものであっても良い。この場合、偽造をより一層効果的に防止することができる。
【0015】
上記印刷用紙はその裏面に貼着剤層が形成されると共に、該貼着剤層を介して剥離紙が貼着されたものであっても良い。この場合、照合可能なラベルとして活用することができる。
【0016】
この発明に係る分離照合可能な印刷用紙セットは、上述したいずれかの分離照合可能な印刷用紙であってその複数枚がロット単位を構成するものであり、しかもそのロット単位内において分離照合用印字要素の形態が印刷用紙毎に全て異なるものとなされたものである。即ち、分離照合用印字要素で構成された地模様の形態がロット単位内で各印刷用紙毎に全て異なるものである。従って、上述の分離照合機能を各印刷用紙がそれぞれ奏するのはもとより、同一の地模様の用紙を入手することが事実上極めて困難になるので偽造を効果的に防止することができる。
【0017】
この発明に係る他の分離照合可能な印刷用紙セットは、上述したいずれかの分離照合可能な印刷用紙であってその複数枚がロット単位を構成するものであり、しかもそのロット単位内において分離照合用印字要素の配置が印刷用紙毎に全て異なるものとなされたものである。即ち、分離照合用印字要素で構成された地模様の配置がロット単位内で各印刷用紙毎に全て異なるものである。従って、上述の分離照合機能を各印刷用紙がそれぞれ奏するのはもとより、同一の地模様の用紙を入手することが事実上極めて困難になるので偽造を効果的に防止することができる。
【0018】
この発明に係る分離照合可能な印刷用紙セットの製造方法は、上述の分離照合用印字要素で構成された地模様の配置がロット単位内で各印刷用紙毎に全て異なる印刷用紙セットを製造する方法であって、ロール状に巻き取られた原紙を巻き戻しながら印刷用ドラムを用いて前記分離照合用印字要素を含む地模様を連続的に印刷する工程と、前記地模様が印刷された用紙の所定の分離予定位置に沿って分離用のミシン目を形成する工程と、前記地模様が印刷されると共に分離用のミシン目が形成された用紙を前記印刷用ドラムの周囲長又はこれを複数に等分した長さと異なる長さ毎に連続して裁断する工程とを含むことを特徴とするものである。この製造方法によれば、従来の印刷装置をそのまま用いるものでありながら、ロット単位内で相互に地模様の配置が全て異なる印刷用紙を得ることができる。従って、製造コストの著しい増大を招くこともない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示実施例に基づいて説明する。図1および図2はこの発明を注文書(2)及び注文請書(3)が上下一対に分離可能な状態で連接された書面(1)に適用した実施例を示すものである。
【0020】
上記注文書(2)および注文請書(3)には、表題および宛名等の書誌的事項を除いて同一内容がプリントされたものであり、その一方を発注者、他方を受注者がそれぞれ保管するものである。この実施例に係る書類(1)は、全体がA3サイズ、即ち縦420mm×横297mmのサイズであり、その上下方向の中間部の分離予定位置に上下に分離するためのミシン目(4)が形成されている。而して、このミシン目(4)に沿って上下に2分割して使用に供されるのである。
【0021】
而してこの種の分離タイプの書面は、分離後に内容を改ざんした偽造書面を作成するという不正を防止するために分離前にミシン目(4)に沿って割印を押捺する慣行があった。即ち、この割印によって、分離された書面どおしを突き合わせることにより同時に作成された真正書類であるかどうかを判定していたのである。しかしこの実施例に係る書類(1)は、予め紙面の裏面側に図2に示すような地模が印刷された印刷用紙(P)を用い、この印刷用紙(P)の表面側に図1に示される内容が通常のプリンタ(レーザープリンタ等)を用いてプリントされたものである。
【0022】
この注文書類(1)の印刷用紙(P)に予め印刷された地模様は、図2に示すように、花形の円形枠内にロゴがデザインされた図形(10)が縦横に所定間隔を隔てて配列されたものである。これら図形(10)は、用紙の左側から右側に向かって漸次的に大きく形成され、これら図形列が上下方向に合計7段に亘って形成されている。なお、最上段および最下段の図形(10)は半分のみ印刷された状態となされている。また、中段に位置する複数の図形(10)は、ミシン目(4)上にこれを跨る態様で印刷されている。また、この地模様はミシン目(4)を境に線対称になっている。従って、この注文書類(1)をミシン目(4)に沿って分離した後、突き合わせて照合することにより、あるいは更にまたミシン目(4)どおしを一致させた状態で重ね合わせて透かして見ることにより、両者がミシン目(4)で分離された真正書類であるかを判定することができる。換言すると、これら中段のミシン目(4)上に沿って配置された図形(10)は割印と同様の分離照合機能を奏すと共に、他の図形(10)も同時に分離照合機能を奏するものであって、いずれもこの発明における分離照合用印字要素を構成するものである。
【0023】
上述のとおり、この実施例の印刷用紙(P)では、その裏面側のみに分離照合用印字要素からなる地模様が予め印刷されているので、印刷用紙の表面へのプリントを何ら支障なく行うことができる。また裏面側に分離照合用印字要素が設けられているので、あたかも分離照合機能を備えていない単なる印刷用紙に見えながらも分離照合を確実に行うことができるので、偽造を容易に見分けることができる。
【0024】
次に、この発明に係る分離照合可能な印刷用紙セットについて説明する。
【0025】
この実施例においては、上述した分離照合可能な印刷用紙(P)を例えば数千枚で構成されるロット単位内で分離照合用印字要素の配置が印刷用紙(P)毎にそれぞれ全て異なるものとしている。更に具体的には、図2に示す地模様を有する印刷用紙(P)においては、地模様全体を1枚毎に左右方向に沿って少しずつずらした状態とすることによってロット単位内で全て地模様の位置が異なる印刷用紙(P)となって、事実上全ての用紙に一枚ずつ地模様の異なるものを提供することができる。このようにロット単位が数千枚で構成される場合は、同一地模様の用紙を入手することが事実上不可能になることから、疑偽造防止効果により一層優れたものとすることができる。ロット単位、ひいては印刷用紙セットを構成する用紙の枚数は、必ずしも限定されるものではないが出来るだけ多い方が偽造防止効果を向上させることができる。
【0026】
なお、上述の同一の地模様の位置のみをずらすという方法のみでは、ロット単位で製造可能な枚数には限界がある。更に枚数を増加させるためには、ロット別に印刷用インクの色彩を変えることにより容易に達成することができる。このように印刷用インクの色彩をロット毎に少しずつ変えることにより、地模様の異なる印刷用紙を事実上無限に製造することができる。
【0027】
以下、1ロット数千枚程度のロット単位内で地模様の位置がそれぞれ全て異なる用紙を得る具体的な方法について説明する。
【0028】
図5は印刷用紙へ地模様を印刷するための印刷機ユニットの概要を示すものであり、汎用のオフセット印刷装置をそのまま用いてロール紙に上述の地模様を印刷するものである。この印刷装置は、図5において左端から順に、アンワインドユニット、印刷ユニット、加工ユニットおよびリワインドユニットを有する。アンワインドユニットでは、ロール状に巻き取られた幅約431.8mm、全長3000mの原紙(20)が順次巻き戻されるようになされている。印刷ユニットには、凸版用印刷ロール(21)とオフセット印刷用ロール(22)が設けられている。この実施例ではオフセット印刷用ロール(22)のみを用いて地模様を印刷するようにしている。加工ユニットには、マージナルパンチ穿設用ロール(23)、横ミシン目形成ロール(24)および縦ミシン目形成ロール(25)が設けられている。この実施例では、マージナルパンチ穿設用ロール(23)および横ミシン目形成ロール(24)を使用せず、縦ミシン目形成ロール(25)のみを使用して用紙の幅方向の中央に全長に亘ってミシン目(4)を形成している。リワインドユニットは、巻取ロール(26)が設けられており、このロールに所定の地模様が印刷され、かつミシン目(4)が形成された用紙が順次巻き取られるようになされている。
【0029】
このように印刷機ユニットの構成および印刷方法等は従来どおりである。前述のオフセット印刷用ロール(22)には、この実施例では36インチドラムが用いられている。図6に示すように、その周面には図2に示した地模様に対応する印刷製版が形成されており、その地模様を形成する各図形(10)は周方向に漸次的に大きく形成されている。而して、図6に示すように、用紙の長さ方向に沿って漸次的に大きさの異なる図形(10)がドラム(22)が1回転する毎に繰り返し印刷されるようになっている。
【0030】
次に、このようにして所定の地模様が印刷されると共にミシン目(4)が形成されたのちリワインドユニットの巻取ドラム26に巻き取られた用紙(P)を、巻き戻しつつ、裁断機(図示略)によってその幅方向の両端部が、図6に示すY1−Y1線およびY2−Y2線に沿って、A3サイズの縦寸法に相当する幅寸法420mmとなるように切り揃えると共に、用紙の先端から297mmの間隔で、図6に示すX−X線に沿って、順次裁断する。これにより図2に示すような、全体がA3サイズであり、その長手方向の中間部に分離用のミシン目(4)が形成された、地模様(10)を有する約9000枚の印刷用紙(P)であって、相互に全て地模様の位置が異なったものが順次得られる。
【0031】
而して、この実施例では約9000枚をロット単位とし、地模様の配置がすこしずつ異なるものが得られるが、ロット毎に印刷インクの色を変えればほぼ無限に、あるいは同一販売時には相互に全て異なる印刷用紙セットを提供することが可能である。
【0032】
上記印刷用紙セットを構成する用紙の枚数は、36インチ以上の印刷ドラムを用いれば更に増大させることが可能である。この実施例においては、従来の印刷装置をそのまま利用して裁断のみを工夫したものであるから、印刷コストの増大という不都合を招くことがなく、それでいて分離照合可能な実用的な地模様を確実に確保することができるとりう利点を有する。もっとも、このように地模様の配置が少しずつ異なるものに代えて、公知のコンピュータ制御印刷技術を駆使して一枚毎に分離照合用印字要素自体が異なる地模様を印刷するものとしてもよい。
【0033】
図3は別の実施例を示すものであり、図2に対応する印刷用紙の裏面図である。この実施例においては、ジグソーパズルのような線図(11)(分離照合用印字要素10)からなる地模様が用紙(P)の裏面全体に形成されている。図中、(4)はミシン目である。この地模様もミシン目(4)を跨ぐ態様で連続し、ミシン目(4)を境に線対称に形成されている。この実施例に係る印刷用紙(P)においても、前記実施例と同様に分離照合が可能である。他の構成およびその製造方法は第1実施例と同様である。
【0034】
図4は更に他の実施例を示すものであり、図2に対応する印刷用紙の裏面図である。この実施例においては、ミシン目(4)と直交する態様で数式が右端部分に印刷されている。この数式は、ミシン目(4)を跨る態様で印刷されて上下の用紙で完結している。従って、相互に分離した用紙を突き合わせることによって数式が成立するか否かを判断することによって上下に分離された用紙の連続性を確認することができる。なお、数式を構成する数字、記号自体はこの実施例ではミシン目(4)で分離されないものとなされている。換言すると、図2および図3の実施例の場合のように視覚的に分離照合を行うのではなく、観念的に分離照合を行うものである。従って、数式に変えて、一定の意味を有する文字等の組合せであっても良い。他の構成およびその製造方法は第1実施例と同様である。
【0035】
図7は、この発明に係る印刷用紙をラベルに応用した実施例を示す。例えば、このラベルは、食品の包装上に貼着される製造年月日、賞味期限、食品添加物等の表示を記載したラベル、あるいは宅配便の包装上に貼着される伝票類で分離照合が要求されるような場合(代金引換書とその領収書等)におけるラベルとして好適に用いられるものである。
【0036】
この実施例に係るラベルは、図7に示すように、印刷用紙(P)が2カ所の切目(分離予定位置)(14)(14)で3分割(P1)(P2)(P3)されており、該用紙の裏面に貼着剤層(13)が形成され、該貼着剤層を介して剥離紙(15)が貼着されたものである。前記印刷用紙(P)の表面側には、前述の実施例で説明したような分離照合用印字要素(10)が予め薄く印刷されており、これにより分離後の照合が可能となっている。而して、このラベルにあっては、剥離紙(15)から各用紙(P1)(P2)(P3)を剥がして使用するものである。
各用紙はその裏面に貼着剤層(13)を有するものであるから、例えば包装容器や保存台帳などに貼着することができる。
【0037】
なお、上記いずれの実施例においても、用紙の片面のみに地模様を形成しているが、この発明においては、表裏両面に地模様を形成するものとしても良い。なお、表面側に地模様を形成する場合には、後にプリントした文字等の視認を妨げない程度に薄い色彩のものとすることが必要である。また、地模様としては、いわゆる透かしであっても良い。また用紙自体の素材は問われるものではなく、通常の紙はもとより、例えば感熱紙や感圧紙、あるいは合成樹脂製シートやフィルム等、あるいはこれらの積層物等からなるものであっても良い。
【0038】
また上記第1実施例においては、全体をA3サイズとし、A4サイズに上下に2分割するようにしたものを例示したが、この発明においては用紙のサイズ、分割数、分割位置等については特に限定されるものではない。例えば、A4サイズを上下に3分割したり、B5サイズを上下左右に4分割したり、あるいは更に定形外サイズの用紙を必要に応じて適宜分割したものであっても良い。また、建築業界で用いられる注文書と注文請負書との組合せを例示したが、勿論これに限定されることもない。
【0039】
2分割の場合、注文書/発注書、請求領収書/請求領収書控、発注書/発注請け書、契約書/その控え、見積書/その控えなどを例示することができる。3又は4分割の場合には、納品書/請求書/受領書、納品書/納品控え書/請求書、納品書/納品控え書/請求書/受領書、受注書/納品書/受領書/請求書などを例示することができる。
【0040】
また、適用される分野としては特に限定されるものではなく、プリンタを用いて書類を発行する業界の全ての分野で適用可能である。具体的には、食品業界においてラベルプリンターで製造年月日、賞味期限、食品添加物等のシールの原本を保存する場合、薬局関係おいて薬物の説明書の原本を保存する場合、運送業界においてレーザープリンタで宅配便伝票(代金引換書と領収書)等の整合性を確保する必要がある場合、官公庁において申請書類の申請者控えを確保する場合、法令関係において内容証明用紙を必要とする場合等を例示することができる。
【0041】
また、上記各実施例においては、用紙に印刷すべき書誌的事項を含む全ての内容をプリンタによってプリントするものを示したが、例えば注文書や注文請書のような表題、発行者の名称、住所等の書誌的事項であって各用紙に共通な事項を予め印刷しておき、それ以外の個別に相違する例えば単価、数量等の事項のみをプリンタによってプリントするようにしても良い。
【0042】
【発明の効果】
この発明に係る分離照合可能な印刷用紙は、上述のとおり、印刷用紙の少なくとも片面に少なくとも1つの分離照合用印字要素が地模様として設けられ、該印字要素が前記分離予定位置を境に視覚的又は観念的に連続性が認められる態様で配置されているものである。換言すると、印刷用紙自体が分離照合可能なものであるので、この用紙に従来のプリンタで従来どおり伝票類の内容を印刷するだけで、割印を押すことなく分離照合を可能とすることができる。従って、新たな専用プリンタを準備することなく従来のプリンタをそのまま使いつつも、分離された複数枚の個別伝票類が同時に印刷されたものであるという信頼性を安価にしかも確実に向上させることができる。また分離照合用印字要素が地模様として設けられたものであるから、本来のプリントを何ら支障なく行うことができるのはもとより、数値、内容の改ざん等の偽造を困難にする効果がある。
【0043】
前記分離予定位置に沿ってミシン目等の破断容易部を形成するものとした場合、鋏やカッター等の切断具を用いることなく容易に分離することができる。また、切取線を印刷したものにあっては、これに沿って切断することによって所期する分離照合機能を奏することができる。
【0044】
複数の分離照合用印字要素が、印刷用紙の裏面の全面に亘って所定間隔毎に繰り返し配置状態に設けられている場合には、表面側への本来のプリントを何ら支障なく行うことができるのはもとより、一見して割印のような分離照合機能がないようにも見えながらも同機能を確実に備えたものとすることができる。
【0045】
複数の分離照合用印字要素を、前記分離予定位置上にその長さ方向に沿って配置した場合には、複数の分離照合用印字要素が用紙分離時に割印としての機能を果たすので分離照合の精度が向上する。
【0046】
複数の前記分離照合用印字要素を、分離予定位置を境に線対称に配置した場合には、分離された用紙どおしを分離縁部どおしを合わせた状態で重ね合わせて透かして見ることにより、照合が行うことができる。
【0047】
分離照合用印字要素が所定の意味を有する文字の組合せあるいは数式からなるものであって、これを分離予定位置に交差する態様で設けるようにした場合には、分離予定位置を境に文字の組合せあるいは数式が観念的に連続するものとなるので分離照合機能を果たすことができる。また観念的な連続性を有するものであるので、これらの分離照合用印字要素の一部が分離予定位置上に位置しない場合、換言すると割印に相当する分離照合用印字要素部分が存在しない場合であっても、分離照合機能を果たすことができる。
【0048】
分離照合用印字要素が透かし模様である場合には、偽造をより一層効果的に防止することができる。
【0049】
上記印刷用紙が、その裏面に貼着剤層が形成されると共に、該貼着剤層を介して剥離紙が貼着されたものである場合、照合可能なラベルとして活用することができる。
【0050】
この発明に係る分離照合可能な印刷用紙セットは、上述したいずれかの分離照合可能な印刷用紙であってその複数枚がロット単位を構成するものであり、しかもそのロット単位内において分離照合用印字要素の形態又は配置が印刷用紙毎に全て異なるものとなされたものである。即ち、分離照合用印字要素で構成された地模様の形態又は配置がロット単位内で各印刷用紙毎に全て異なるものである。従って、上述の分離照合機能を各印刷用紙が奏するのはもとより、同一の地模様の用紙を入手することが事実上極めて困難になるので偽造を効果的に防止することができる。
【0051】
この発明に係る分離照合可能な印刷用紙セットの製造方法によれば、上述の印刷用紙セットを極めて容易かつ安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る印刷用紙に注文書/注文請書をプリントした状態を示す平面図である。
【図2】図1に示す印刷用紙の裏面図である。
【図3】他の実施例に係る印刷用紙の図2に対応する裏面図である。
【図4】更に他の実施例に係る印刷用紙の図2に対応する裏面図である。
【図5】印刷工程の概要を示す説明図である。
【図6】印刷ドラムおよび該ドラムによって印刷された直後の用紙を示す斜視図である。
【図7】この発明をラベルに応用した実施例を示す、一部を省略した拡大断面図である。
【符号の説明】
4・・・ミシン目(分離予定位置)
10・・・ 分離照合用印字要素
13・・・貼着剤層
14・・・切目(分離予定位置)
15・・・剥離紙
22・・・印刷用ドラム
P・・・印刷用紙
Claims (13)
- 分離予定位置に沿って分離されることを前提とした分離照合可能な印刷用紙であって、
前記印刷用紙の少なくとも片面に、文字、図形、記号、模様又は色彩若しくはこれらの組み合せからなる少なくとも1つの分離照合用印字要素が地模様として設けられると共に、
前記少なくとも1つの分離照合用印字要素が、前記分離予定位置を境に視覚的又は観念的に連続性が認められる態様で配置されていることを特徴とする、分離照合可能な印刷用紙。 - 前記分離予定位置に沿ってミシン目等の破断容易部が形成されている、請求項1に記載の分離照合可能な印刷用紙。
- 前記分離予定位置に沿って切取線が印刷されている、請求項1に記載の分離照合可能な印刷用紙。
- 複数の前記分離照合用印字要素が、前記印刷用紙の裏面の全面に亘って所定間隔毎に繰り返し配置状態に設けられている、請求項1ないし3のいずれか1に記載の分離照合可能な印刷用紙。
- 複数の前記分離照合用印字要素が、前記分離予定位置上にその長さ方向に沿って配置されている、請求項1ないし4のいずれか1に記載の分離照合可能な印刷用紙。
- 複数の前記分離照合用印字要素が、前記分離予定位置を境に線対称に配置されている、請求項1ないし5のいずれか1に記載の分離照合可能な印刷用紙。
- 前記分離照合用印字要素が、所定の意味を有する文字の組合せ又は数式からなるものであって前記分離予定位置に交差する態様で設けられている、請求項1ないし4のいずれか1に記載の分離照合可能な印刷用紙。
- 前記分離照合用印字要素が、透かし模様である、請求項1ないし7のいずれか1に記載の分離照合可能な印刷用紙。
- 裏面に貼着剤層が形成されると共に、該貼着剤層を介して剥離紙が貼着されている、請求項1、2、4ないし8のいずれか1に記載の分離照合可能な印刷用紙。
- 前記分離予定位置に沿って相互に分離されると共に、裏面に貼着剤層が形成され、該貼着剤層を介して剥離紙が貼着されている、請求項1、4ないし8のいずれか1に記載の分離照合可能な印刷用紙。
- 請求項1ないし10のいずれか1に記載の分離照合可能な印刷用紙の複数枚がロット単位を構成し、該ロット単位内において前記分離照合用印字要素の形態が前記印刷用紙毎に全て異なるものとなされた、分離照合可能な印刷用紙セット。
- 請求項1ないし10のいずれか1に記載の分離照合可能な印刷用紙の複数枚がロット単位を構成し、該ロット単位内において前記分離照合用印字要素の配置が前記印刷用紙毎に全て異なるものとなされた、分離照合可能な印刷用紙セット。
- 請求項12に記載の分離照合可能な印刷用紙セットの製造方法であって、
ロール状に巻き取られた原紙を巻き戻しながら印刷用ドラムを用いて前記分離照合用印字要素を含む地模様を連続的に印刷する工程と、
前記地模様が印刷された用紙を前記印刷用ドラムの周囲長又はこれを複数に等分した長さと異なる長さ毎に連続して裁断する工程と
を含むことを特徴とする、分離照合可能な印刷用紙セットの製造方法。
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