JP2004114548A - インクジェット磁気複合記録シートおよびその基紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気ヘッドと磁気記録層の密着性が向上し、優れた磁気特性及びインクジェット特性を有するインクジェット磁気複合記録シートを提供する。
【解決手段】主として木材パルプからなり、厚さムラをフィルム用厚さ計により連続的に測定し、その測定信号を周波数解析装置により解析して求めたときの波長1〜12.5mmにおけるパワースペクトルの積分値(PY値)が0.8〜5.0μmである基紙上に、磁気記録層とインクジェット記録層を設けたインクジェット磁気複合記録シート。基紙密度が0.9〜1.25g/cm3、基紙の光学的表面粗さが0.6〜5.0μm、コッブサイズ度が1.0〜15g/m2であることが好ましい。基紙にブレイカースタック、スムーサーロール、熱カレンダー処理を施すと好ましい製造方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】主として木材パルプからなり、厚さムラをフィルム用厚さ計により連続的に測定し、その測定信号を周波数解析装置により解析して求めたときの波長1〜12.5mmにおけるパワースペクトルの積分値(PY値)が0.8〜5.0μmである基紙上に、磁気記録層とインクジェット記録層を設けたインクジェット磁気複合記録シート。基紙密度が0.9〜1.25g/cm3、基紙の光学的表面粗さが0.6〜5.0μm、コッブサイズ度が1.0〜15g/m2であることが好ましい。基紙にブレイカースタック、スムーサーロール、熱カレンダー処理を施すと好ましい製造方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動改札用磁気切符、駐車券、ユニット投票券、各種プリペイドカード、入場券等の各種自動システム用カードなどに利用されるインクジェット磁気複合記録シートに関し、更に詳しくは磁気記録情報の一部または全部をインクジェットプリンターにより印字することで可視化することが出来ると同時に、磁気記録層、インクジェット記録層共に表面性が優れており、磁気特性及びインクジェット記録特性に優れたインクジェット磁気複合記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、テレフォンカード等の急速な普及によってプリペイドカードがにわかに注目を集めている。このような磁気記録材料の普及は磁気記録層の情報記憶容量の大きいこと、書き込み情報の読み取りが簡便であり、かつ正確であること、自動改札装置あるいは販売装置により容易に処理することが出来ること、かつ省力化に有効であることなどの理由による。しかし、これらの磁気カードは基紙が主としてPET等のフィルムであり、再利用、焼却等の廃棄に難点があるため紙ベースでの磁気記録材料の要望が高まっている。
【0003】
また、紙ベースの磁気記録材料の表示方式として、従来、パンチ孔方式、インクを用いる印刷方式、感熱記録方式、熱転写記録方式等種々の方式が採用されている。パンチ孔方式は、正確な残高がカードのみでは把握できないため、利用履歴が明確でなく、かつリーダー/ライター内にパンチ屑がたまるという欠点がある。また、インクによる印刷は大型装置の必要性、感熱記録方式は不所望な加熱による地肌部分の発色、熱転写記録方式はドナーシートの廃棄処理に伴うコスト及び環境面の問題がある。
【0004】
一方、最近になって表示方式としてインクジェット記録が広範に使用されるようになった。この方式は上記のような欠点を有さず、小型化、省力化、カラー化が容易であり磁気記録材料の表示方式としての応用が期待されている。しかし、装置の高速化・高精細化或はフルカラー化等インクジェット記録装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、記録シートに対してもより高度な特性が要求されるようになった。即ち、当該記録シートとしては、これらの特性に対する要求は次第に高度になり、厳しくなる一方で、インクジェット記録装置が安価でしかも鮮鋭性や色彩性といった画像再現性や色再現性に優れた画像をパーソナルコンピューターレベルで簡単に得ることができるようになったことから、インクジェット記録装置は、特定の人に使用される特殊な記録装置から汎用の記録装置に変遷してきており、又、画像も印刷物や写真に匹敵するような品質のものが得られることから、自作の絵はがきやデジタル写真のプリンタとしての用途にも使われるようになっている。この場合は絵はがきや写真プリントのもつ質感や触感が要求されるようにもなった。従って、これらの特性を確保することがインクジェット記録装置やインクジェット記録シートの必要条件となっているのが現状である。
【0005】
磁気記録シートとインクジェット記録シートを複合した特殊な情報記録シートは種々のものが開示されている。しかしながら、これらは複合シートが開示されているだけで、塗工層に特徴があり、基紙は全く検討されていない(例えば、特許文献1〜3)。基紙を検討した技術としては、基紙上にカチオン性樹脂を付着させ、坪量80g/m2を基準とするステキヒトサイズ度が20秒以下に規定し、画像の耐水性、フェザリングを改善する方法が開示されている(例えば、特許文献4)。しかしながら、基紙の平滑性は検討されていない。また、基紙ではなくポリオレフィン樹脂と無機顔料との混合物を主成分として含み、かつ、二軸延伸された多層構造樹脂フィルムからなるシート状支持体を使用し、カールに優れた効果をなすものが開示される(例えば、特許文献5)が、インクの影響を受け難い支持体であり、インクにより支持体は、変形し難く平滑性は維持できるため、木材パルプを主成分とした基紙の平滑性は全く考慮されていない。さらに、基紙のガレー剛度を1000〜3000mgf、かつ基紙の厚みを200〜350μmの範囲に制御し、表面強度を改善する手段が開示される(例えば、特許文献6)が基紙の平滑性を改善する手段は考慮されていない。
【0006】
また、自動改札機には、複数枚の媒体である乗車券と特急券、乗車券と定期券などを同時に投入することができる複数枚対応型のタイプがある。このような複数枚対応型の自動改札機においては、媒体を同時に複数枚投入しても、磁気情報の読取り、書込み、あるいは印字を行うには、媒体をそれぞれ一枚ずつ処理する必要がある。そして、複数枚同時に媒体が投入された場合、一枚ずつ媒体を処理するために重なり合った複数枚の媒体を分離する必要がある。
【0007】
複数枚の媒体を分離する機構としては、媒体が搬送される方向に回転する下側に位置する搬送ローラと、該搬送ローラと一定のギャップを有するよう搬送ローラの上方に位置する分離ローラとで構成された分離機構が知られている。搬送ローラと分離ローラとのギャップは、媒体一枚分の厚さ以上で2枚分の厚さ以下となるように設定されている。分離ローラは、搬送ローラの回転に対して逆の回転を行っていることが開示されている(例えば、特許文献7)。
【0008】
ところが、切符にインクジェット記録適性を設けるだけでは、インクジェット記録時にインクの溶剤のため、基紙自体が、木材パルプを主成分とする紙であるため、基紙のインクジェット印字部分が膨潤し、表面に小さな凹凸が発生(コックリングと言う)して、切符自体の搬送性が悪くなるだけでなく、磁気ヘッドと空隙が発生してしまい、磁気強度が情報検出時に減衰して、エラーが起こることになり、自動検札機としての機能が著しく劣る結果となり問題となる。
【0009】
この分離機構は、一枚の媒体が搬送ローラと分離ローラ間に進入してくると、両者間のギャップは媒体一枚以上であるため、該媒体は、搬送ローラによってそのまま搬送されるが、2枚の媒体が重なり合って同時に進入してくると、ギャップは媒体2枚以下であるため、上方にある媒体は分離ローラと接触し、該分離ローラの逆回転により、媒体の搬送方向と逆の方向に搬送され、2枚の媒体は分離されるようになっている。
【0010】
さらに、このような分離機構において、媒体の先端部分が角折れ状態になっている場合、この媒体の先端部分は、媒体一枚以上の厚さとなるため、分離ローラの逆回転作用により、該媒体は搬送されずに券詰り(ジャム)状態となる。
このように券詰りが生じた場合、ジャムが発生したと認識して従来の自動改札機においては停止状態になり、警報を発するようになっている。従って、駅員は、いちいち自動改札機の上カバーを開けて、ジャムした媒体を取り除いた後、自動改札機を稼働状態にしなければならず、非常に面倒である。特に、ラッシュ時においては、自動改札機の稼働効率が落ちると、自動改札機の通行に乱れが生じ、スムーズな改札できないという問題を有する。これらの問題は、前記特許文献1〜6には開示されていない。
【0011】
【特許文献1】
特許第2849171号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献2】
特許第2857227号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献3】
特開平7−257022号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献4】
特開平9−290554号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献5】
特開平7−257021号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献6】
特開平7−172040号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献7】
特開昭60−204543号公報(第1頁、図1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、磁気情報記録が可能で、磁気出力変動が少なく、また、反対面にインクジェット方式のプリンターを用いて高画質の画像を高速でプリントでき、コックリングが非常に軽減され、さらには、自動改札機での捌き性が改良されたインクジェット磁気複合記録用シートを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者が前記の目的を達成するために、基紙の表面形状とインクジェット磁気複合記録シートの磁気特性及びインクジェット記録特性の関係について検討した結果、木材パルプを主原料とする基紙が、特定の表面平滑度を有する場合に、磁気出力変動が小さくなり、インクジェット記録における画質の向上することが認められた。そこで、木材パルプを主原料とする基紙の厚さムラをフィルム用厚さ計により連続的に測定し、その測定信号を周波数解析機により解析して求めたとき、波長1〜12.5mmにおけるパワースペクトルの積分値(パーシャルオーバー値:PY値)が0.8〜5.0μmであるような基紙を使用すると、優れた磁気特性とインクジェット記録特性を有するインクジェット磁気複合記録シートの得られることが判明し、本発明を完成するに至った。
【0014】
また、本発明のインクジェット磁気複合記録シートにおいて、該基紙が、0.90g/cm3〜1.25g/cm3のシート密度を有することが好ましい。該基紙が、光学的表面粗さ(Rp値)が0.6〜5.0μmであることが好ましい。さらに該基紙が、JIS P8140に記載されるコブサイズ度法吸水試験によるコブサイズ度が1.0g/m2〜15.0g/m2であることが好ましい。
【0015】
本発明のインクジェット磁気複合記録シート基紙においては、該基紙抄造時に、磁気記録層が設けられる側の表面にあたるロールが、少なくとも1回、 ショアD型硬度で70゜〜100°のブレーカスタックロールを用い、線圧が15〜80kg/cmで処理されるインクジェット磁気複合記録シート基紙の製造方法である。また、磁気記録層が設けられる側の表面にあたるロールが、JISスプリング式硬さ試験器A型で90゜以上のスムーザーロールを用い、線圧が15〜80kg/cmで処理するインクジェット磁気複合記録シート基紙の製造方法である。
【0016】
また、本発明のインクジェット磁気複合記録シート基紙においては、該基紙の絶乾水分が2〜9%であり、0.3S以下の平滑な金属ロールで加圧して熱カレンダー処理が温度120〜250℃、線圧50〜100kg/cmの条件であるインクジェット磁気複合記録シート基紙の製造方法である。
【0017】
【発明の実施形態】
本発明の実施に用いられる基紙中には、紙料スラリー調製時に各種の添加剤を含有せしめる。サイズ剤として、脂肪酸金属塩あるいは脂肪酸、アルキルケテンダイマー乳化物あるいはエポキシ化高級脂肪酸アミド、アルケニルまたはアルキルコハク酸無水物乳化物、ロジン誘導体等を単独または併用して比較的多量に添加することが、本発明のコブサイズ度を持つ基紙をうるためには有利である。その他、乾燥紙力増強剤として、アニオン性、カチオン性あるいは両性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉、植物性ガラクトマンナン等、湿潤紙力増強剤として、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂等、填料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン等、定着剤として、塩化アルミニウム、硫酸バン土等の水溶性アルミニウム塩等、pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸等を、その他着色顔料、着色染料、蛍光増白剤などを適宜組み合せて含有せしめるのがより有利である。
【0018】
本発明において、基紙は木材パルプを主原料とするが、広葉樹、針葉樹及びそれらの混合木材をクラフト法、サルファイト法、ソーダ法などの方法により蒸解して得られた晒及び未晒の木材パルプが使用可能である。また、基紙中には必要に応じて合成パルプ、合成繊維などの繊維状物質、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、焼成カオリン、二酸化チタン、シリカなどの無機填料やプラスチックピグメントなどの有機填料などを添加することができる。さらに、基紙中には必要に応じて本発明の所望の効果を損なわない範囲で一般的に使用されている各種の歩留まり向上剤、ろ水性向上剤、紙力向上剤、内添サイズ剤、染料、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などの抄紙用内添助剤を添加することができる。
【0019】
本発明において、木材パルプを主原料とする基紙を製造するためには、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機などが使用可能であるが、地合がよくPY値の小さい基紙が得られるため、コンビネーション抄紙機の使用が好ましい。
【0020】
本発明において、基紙のPY値はフィルム厚さ計(株式会社アンリツ製、フィルム厚さ測定装置)を用いて基紙の厚さムラを連続的に測定し、得られた測定信号を周波数解析装置(株式会社小野測器製、CF−940デュアルチャンネルFFTアナライザ)を用いて周波数解析し、波長1〜12.5mmにおけるパワースペクトルの積分値を求めることにより得られる。ここで、PY値は電圧(Vrms)値として表されるので、これを厚さムラに換算するには、この電圧値に変換係数28.8μm/Vを乗ずればよい。
【0021】
本発明の第1の発明において、基紙のPY値は0.8〜5.0μmであることが好ましく、3.0μm未満であることがさらに好ましい。PY値が5.0μmを越える基紙を使用してインクジェット磁気複合記録シートを製造した場合には、磁気ヘッドと磁気記録層のクリアランスが大きくなるため磁気出力変動が大きくなるほか、インクジェット記録の画質が低下する。
【0022】
本発明のクッション性を有するには、紙基体については、パルプの種類、パルプの叩解方法、あるいは、抄造条件により適宜調整される。パルプの種類については、天然パルプが主に使用されるが、必要に応じて天然パルプ以外の合成パルプ、合成繊維を用いても良く、また、これらを混合して用いても良い。さらに、故紙パルプを使用しても良く、剛度が低下しない程度に、発泡樹脂を含有してクッション性を調整しても構わない。
【0023】
本発明のクッション性を得るためには、紙基体の密度は、0.90〜1.25g/cm3程度が好ましい。クッション性だけ必要であれば、0.90cm3以下の紙基体も使用可能であるが、インク受理層や磁気記録層を塗工した際に、コックリングが大きくなり、所定の表面形状よりも粗くなり、また、剛度が低下するので好ましくない。また、本発明では、インクジェット記録すると、表面にコックリングが発生しないように、クッション性だけではなく、上記範囲の密度で紙基体を抄造することが好ましい。また、クッション性を得る抄造条件としては、マシンカレンダーを使用するよりも、その前段階、つまり湿紙の段階で、多段階にプレスされることが好ましい。この理由は2つあり、ひとつは、インク受理層または磁気記録層を設ける際に、基紙の戻りが大きく、コックリングが発生することであり、もう一つは、プレス後のスムーサーやカレンダーとのニップバランスが崩れ、強度低下あるいは、剛度低下を引き起こすからである。
【0024】
本発明の基紙抄造には、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、丸網抄紙機など通常用いられる抄紙機、あるいは、長網抄紙機とツインワイヤー型抄紙機を組み合わせたオントップ型抄紙機等、どのような抄紙機でも使用可能であるが、インク受理層を設ける面側の表面の平滑性の点から、オントップ型抄紙機が好ましい。また、クッション性を調整するため、基紙中に、発泡樹脂を含有しても構わない。さらに、インク受理層のインク吸収性を阻害しない範囲で、または磁気記録層の磁気記録性を阻害しない範囲で、クッション性を与えるため、発泡樹脂を含有しても構わない。
【0025】
本発明において、Rp値とは、紙にプリズムを圧着した時の、紙の表面凹凸の形態を光学的に測定した光学的表面粗さであり、測定原理は、「光学的接触法を中心とした紙の印刷平滑度測定方法」稲本真平著、大蔵省印刷局研究所報告第29巻第9号613〜627頁(昭和52年9月)に記載されている。装置としては、パーカー社製「印刷平滑度測定装置」が使用できる。本発明のインクジェット磁気記録複合シートは、インク受理層、磁気記録層を設ける基紙のRp値が0.6〜5.0μmであることが必要である。基紙は、平滑性も必要であるが、自動改札機内の分離装置で、搬送ロール面とインク受理層および磁気記録層面との密着性も重要である。基紙のRp値が5.0μmを超えると、ロールでニップされた際に、基紙のクッション性で表面の粗さを吸収することができず、平滑性が失われる結果、基紙自体の凹凸が発生するので、密着性が得られなくなり、部分的に搬送ロール面とインク受理層および磁気記録層面との密着性が低下する結果、分離・捌き性の性能にムラが発生して、部分的に発生するため、分離・捌き性の効果が低下してしまう。なお、本発明におけるRp値は基紙へのプリズム圧力を5kg/cm2で測定した値である。
【0026】
本発明において、使用する天然パルプとしては、短繊維で平滑性の出やすい広葉樹パルプを多く用いる。具体的には、広葉樹パルプを60質量%以上、好ましくは75質量%以上用いると良い。また、パルプの叩解条件としては、叩解機により長繊維分がなるべく少なくなるようにカッティング叩解し、濾水度200〜330ml(CSF)になるように調整すると好ましい。
【0027】
本発明では、内添薬品を添加した紙料スラリーに適切な抄紙方法を採用して長網抄紙機により均一な地合が得られるように基紙を抄造し、ウェットパートでは多段のウェットプレス、好ましくは3段以上のウェットプレスを行い、プレスパートの最終段にはスムージングロールを設ける。湿紙の乾燥途中に緊度プレスを用いる。本発明においては、緊度プレスとして、ブレイカースタックロール、または、スムーザーロールが使用することができる。
【0028】
本発明におけるブレイカースタックロールおよびスムーザーロールについて簡単に説明する。本発明では、平滑性を向上させるため、基紙はカレンダー処理される。カレンダー処理とは、ロールを用いて基紙をプレスすることであり、さらに、カレンダー処理の名称は、カレンダー処理を行う場所によって詳しく分類される。サイズプレスやコーティングユニットの前工程の僅かの空間にロールがある場合、これをスムージングプレスと呼び、この場所で用いるロールをスムージングロールと称する。これが、2つのドライヤーセクション間に設置されているときは、ブレイカースタックと呼ばれ、そこに用いるロールをブレイカースタックロールと称し、通常ドライヤーセクションの約1/3の部分に設置される。これは、まだ十分に水分が残存している基紙の表面を平滑化するためにプレスを行うので、その効果は顕著である。この結果、基紙密度、破裂強さ、仕上げ状態などが著しく向上するが、ブレーカースタックで行われる仕上げの永続性は、カレンダー処理で行われる場合よりも優れている。
【0029】
本発明のブレイカースタックロールには、鋳造の金属ロール、あるいは、炭素鋼の金属ロールを用いることができるが、 ショア硬度D型で70゜〜100°でなければならない。また、本発明のスムーザーロールには、ゴムロールとストーンロールの組合せで用いることができ、ストーンロールに関しては適宜選択することが可能であり、また、人造ストーンロールを用いることも可能である。しかしながら、ゴムロールに関しては、JIS硬度90゜以上のスムーザーロールを用いなければならない。さらに、本発明のスムーザーロールに用いられるゴム材質としては、天然ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスチレン化ポリエチレンゴム、ポリウレタンゴムが用いられる。好ましく用いられるゴム材質としては、ウレタンゴムである。この理由は、一般に、キャスティング(流し込み)で製作されることが多いので、ロール表面を研磨方法では得られない鏡面仕上が可能であるため好んで使用される。
【0030】
次に、本発明のロール硬度測定法について簡単に説明する。ショア硬さ試験器とは、試料を一定高さから、ハンマーを落下させ、そのはね上がる高さから硬さを求めるものであり、簡単な操作で比較的信頼度の高い結果が得られるので、工場の簡易試験用として普及している。D型では、ハンマーの重さ36.2g、落下の高さ19mmである。 指示計の目盛は硬さ数に合わせて目盛ってあるから、ショア硬さを直接知ることができる。これらの測定は、JIS B 7727、また、JIS B 7776に定義されている。また、JISのスプリング式硬さ試験機については、JIS K 6301に定義されている。スプリング式硬さ試験機は、ゴム試料の表面に計器の加圧面を押し付け、軽く接触させると、加圧面の中心の穴からバネ圧力で出ている針が押し戻されて、指針が硬度を示すことになる。
【0031】
本発明に規定されたRp値、PY値を有する基紙を得るためには、基紙の磁気記録層が塗布される側の表面に、少なくとも1回、 ショア硬度D型で70゜〜100°のブレーカースタックロール、あるいは、 JIS硬度A型で90゜以上のスムーザーロールを用いて、15〜80kg/cmの線圧で処理することで得られる。
【0032】
ショア硬度D型で70゜未満のブレーカースタックロール、 あるいは、JIS硬度A型で90゜未満のスムーザーロールを用いて処理された基紙は、表面のうねり成分による凹凸が大きくなり、目的のRp値、PY値を得ることはできない。この基紙の両面にインク受理層およびインク受理層を設けて得られたインクジェット磁気複合記録シートは、均一塗布性が得られず、実用に耐えない。
【0033】
また、ショア硬度D型で70゜〜100°のブレーカースタックロール、また、 JIS硬度A型で90゜以上のスムーザーロールを用いても、 線圧が80kg/cmを越えて処理されると基紙表面のうねり成分の凹凸はかえって小さくなり難く、PY値はあまり低下しないようになる。これは、基紙への過剰な応力は、基紙内に歪みが残存し、これらの基紙の両面にインク受理層と磁気記録層を塗布すると、塗液溶剤の浸み込みにより、基紙が膨潤してしまい、表面の平滑性が失われ、インク受理層においては、発色濃度が低下し、磁気記録層においては、磁気記録密度が低下する致命的な欠陥が有し、実用性は失われる。
また、線圧が15kg/cm未満になると、表面の凹凸が大きくなり、PY値は大きくなる。これらの基紙に、これらの基紙の両面にインク受理層と磁気記録層を塗布すると、塗液溶剤の浸み込みにより、基紙が膨潤してしまい、表面の平滑性が失われ、インク受理層においては、発色濃度が低下し、磁気記録層においては、磁気記録密度が低下する重大な故障欠点発生する結果、実用性は失われる。
【0034】
基紙中あるいは基紙上に、各種の水溶性ポリマー、親水性コロイドあるいはポリマーラテックスを含有あるいは塗設せしめる。具体的には、基紙中あるいは基紙上に各種の水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドあるいはポリマーラテックスをサイズプレスもしくはタブサイズプレスあるいはブレード塗工、エアーナイフ塗工などの塗工によって固形塗布量として1.0g/m2以上含有あるいは塗設せしめるのが好ましい。
表面サイズ処理は、熱カレンダー処理の前及びまたは後に組合わせても良い。表面サイズ剤として変性ポリビニルアルコール、変性澱粉、またはラテックス等のバインダーや食塩または硫酸ナトリウム等の無機電解質及び蛍光剤を付与することができる。表面サイズ処理は、好ましくは表面サイズ処理後熱カレンダー処理を行う方が僅かに良い平滑性な面が得られるので良い。
【0035】
本発明の第2の発明では、基紙を抄紙後マシンカレンダー、金属ロール−金属ロール間からなる熱カレンダー装置等を用いてカレンダー処理を行う。但し、弾性ロールと加熱された金属ロールから構成されるソフトカレンダー処理では、本発明の効果は得られ難い。
本発明の方法において熱カレンダー処理される紙の絶乾水分は2〜9%、好ましくは4〜7%である。絶乾水分が2%未満であると熱カレンダー処理の効果が少ないため面質不良となり目的を達成することが出来ない。また、10%を越えると熱カレンダー処理により水分が飛散し面質不良となり目的を達成することができない。
【0036】
また、本発明において熱カレンダーの処理温度は120〜250℃である。120℃未満では従来のカレンダー処理と同様に基紙の表面の凹凸が大きく平滑な面が得られず目的を達成することが出来ない。また、250℃を越えると紙べこの発生による平滑性の悪化と紙焼けの問題が生じて目的を達成することが出来ない。本発明において熱カレンダー処理された基紙は、熱カレンダー処理により基紙の水分が僅かではあるが変化するので、必要に応じて熱カレンダー処理後水分調節を行い更に前段より低い温度で熱カレンダー処理またはマシンカレンダー処理が行われても良い。
【0037】
さらに、本発明において熱カレンダーの処理線圧は50〜100kg/cm、好ましくは60〜80kg/cmである。50kg/cm未満では平滑な面質が得られず目的を達成することが出来ない。100kg/cmを越えると紙層が潰れ過ぎ腰が低下する。また、熱カレンダーに振動が発生し横段ムラが発生し平滑な面質が得られず目的を達成することができない。
【0038】
本発明におけるカレンダー処理すべき位置は、抄紙機のサイズプレス前でも良いし、またサイズプレス後アフタードライヤーを通過した後に設置されてもよい。通常アフタードライヤー後にはマシンカレンダーが設置され基紙が巻取られるが、該マシンカレンダーに替えて行っても良いし、マシンカレンダーの前、および/また、後に連結してもよい。また、抄紙機で巻取られた基紙巻取りをオフマシンで処理してもよい。更にインク受理層や磁気記録層を設ける工程において、塗液を塗布直前でカレンダー処理されると戻りが少なくより効果的である。
【0039】
本発明におけるカレンダーの金属ロールは磁気記録層が塗布される側の基紙面に当てられる方法が好ましい。しかし、場合によってはその反対でも良い。また、本発明の熱カレンダーを必要により複数段処理にしても良く、この場合、基紙の同一面が金属ロール面に限定されて処理され、同一面が金属ロール面の次に、金属ロール面が当たる様に、逐次複数回処理しても構わない。なお、金属ロールは加熱された金属ロールの他に、本発明の特性を損なわない範囲で加熱されない金属ロールと組合せても良い。
【0040】
また、走行する基紙はニップ圧に対して直角に入ることが好ましい。本願発明において、熱カレンダー処理される原紙の水分はほぼ紙として品質が安定している最終水分であり、12%以下、好ましくは9%以下、更に好ましくは8%以下である。
【0041】
しかしながら、前述の通り、弾性ロールと加熱された金属ロールから構成される熱ソフトカレンダー処理において、ニップ時、基紙は弾性ロールと同じ堅さになるまで加圧されるが、それ以上の圧力では、基紙は潰されることなく弾性ロールが変形してしまう。言い換えれば、ニップ初期の加圧により、基紙の大きなうねりの凹凸がある程度小さくなり、さらに、大きなうねりの凹凸が潰しきれずに基紙に残っているにもかかわらず、ニップ圧は均一に掛かるため、基紙表面の大きなうねりの凹凸に存在している微細な凹凸を減少させることができる。このとき、抄造された基紙を、弾性ロールと加熱された金属ロールから構成される熱ソフトカレンダー処理を行っても、基紙密度がより均一であるためロールと同じ堅さに潰すまでに使われるエネルギーが少なくなる。従って加圧と加熱を少なくすることにより、初期の基紙の剛度を維持しつつ加熱された平滑な金属ロール表面上で、アイロン掛け効果により、表面の微細な凹凸を効率よく潰し、全体に嵩高い平滑な基紙が得られるが、インク受理層や磁気記録層を設ける際に、通常は水性塗工液が使用するため、基紙の表面は密度が高く均一であるものの、基紙内部には密度ムラが存在し、塗液塗工時に、戻りが発生して平滑性は維持できない。
【0042】
本発明の実施に用いられる基紙を構成するパルプとしては、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素漂白の通常の漂白処理並びにアルカリ抽出もしくはアルカリ処理および必要に応じて過酸化水素、酸素などによる酸化漂白処理など、およびそれらの組み合わせ処理を施した針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パルプが用いられ、また、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプなどの各種のものを用いることができる。
【0043】
本発明において、木材パルプを主原料とする基紙のPY値を5.0μm未満に抑えるためには、以下の方法を採用することが好ましい。まず、パルプの濾水度は、カナダ標準濾水度で200〜400mlであることが好ましく、250〜350mlであることがさらに好ましい。また、平均繊維長は1.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがさらに好ましい。そして、基紙は3〜4ニップのウェットプレス処理後、スムーザープレス処理することが好ましい。さらに、基紙は乾燥後カレンダーロールにより平滑化処理することが好ましく、中でも120℃以上に加熱された金属−金属ロール間で加圧し、平滑化処理することが好ましい。
【0044】
上記の方法によって十分に低い基紙のPY値が得られない場合には、基紙表面に下引層を設けて凹凸を減少させたのち、磁気記録層あるいはインクジェット記録層を設けることも可能である。このような下引層には、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、天然シリカ、合成シリカ、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂粒子、セルロース繊維などの顔料;デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体/アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性接着剤;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの合成樹脂エマルジョン;メラミン/ホルマリン樹脂、エチレン/尿素樹脂、ポリアミド/ポリ尿素樹脂などの架橋剤;無水マレイン酸系、スチレン/アクリル系などのサイズ剤;ポリエチレングリコールやポリオキシエチレンポリグリセリルエーテルなどの湿潤剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩やアルキルコハク酸塩などの界面活性剤などを適宜組み合わせて使用できる。
【0045】
下塗層は、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ロッドコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーターなどの塗工方式により、基紙に塗布される。
【0046】
本発明のインクジェット磁気複合記録シートは、塗工タイプのインクジェット磁気複合記録シートであり、前記基紙の上に、インクジェット記録層が設けられる。本発明で言うインクジェット記録層とは、インク中の溶媒を浸透させ、保持または吸収するような空隙を構成する主として顔料とバインダーからなる層や、インク中の溶媒に溶解または膨潤する主として高分子物質からなる層等を指す。これらの層は単層でもそれぞれの層が1層以上多層でも、また顔料層と高分子層の組合わせでも本発明のインクジェット記録層としてなんら問題はない。
【0047】
これらのインクジェット記録層を前記基紙の上に設けた場合は、平滑、且つ均一なインクジェット記録層とすることができる。インクジェット記録層が均一に塗工されている場合、インクジェットプリンターを使用してインクジェット記録層面にインクが与えられたとき、インクジェット記録層面が均一に塗工されているため、インクのインクジェット記録層面方向の広がりが均一で、真円に近い記録ドットを表現することができ、これは余剰インクがインクジェット記録層面から基紙の厚さ方向に均等に浸透していくためであると考えられる。一方、本発明の範囲外の基紙では、インクジェット記録層面に塗工ムラを生じやすく、インクが記録面方向に広がる比率が不均一になり、結果として記録ドットは真円からはずれ、場所による広がり方が異なるため画像の鮮明性が悪くなる。更に、基紙への浸透も不規則となり、周辺の滑らかさが悪くなるため画像の鮮明性が損なわれる。
【0048】
主として顔料とバインダーからなるインクジェット記録層を有する1つの態様では、顔料として従来公知の如何なるものも用いることができる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ、非晶質シリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム、更にスチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等を挙げることができる。
【0049】
これら無機顔料の中でも、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカ、または多孔性アルミナ水和物が好ましく使用できる。無機顔料が非多孔性であっても塗工液調製時に凝集したり、塗工乾燥時に更に凝集し、多孔性の塗工面が形成されることで本発明のインクジェット記録層用顔料として使用出来、これらの併用をすることはなんら問題がない。
【0050】
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール等;無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或いはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性バインダー;ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダーを挙げることができ、少なくとも1種以上で使用することができる。又、従来公知の染料を定着する目的として添加するカチオン性樹脂を併用することもできる。
【0051】
バインダーの総量は、目的とするインクジェット磁気複合記録シートの特性に合わせて、適宜調整することが出来るが、一般には、顔料100質量%に対して、5〜60質量%である。更に、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することもできる。
【0052】
インク中の溶媒に溶解または膨潤する主として高分子物質からなるインクジェット記録層を有する態様では、高分子物質として例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、アクリル系ポリマー、ポリビニルアセタール系ポリマー等種々のインク吸収性ポリマーが挙げられる。これらの混合物や多重の層も本発明のインクジェット記録層として使用可能である。
【0053】
インクジェット記録層を塗工する方法としては、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドコータ、ゲートロールコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、グラビアコータ、フレキソグラビアコータ、サイズプレス、スライドホッパー方式等の各種装置をオンマシン或はオフマシンで用いることができる。
【0054】
また、塗工後には、マシンカレンダー、熱カレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げても良い。
【0055】
インクジェット記録層の厚さとしては特に制限はないが、塗工量としては0.5g/m2〜50g/m2が好ましい。
【0056】
本発明では基紙の片面に磁気記録層が形成される。この磁気記録層は、磁性粉末とバインダー樹脂を含むものである。磁性粉末としてはγ−酸化鉄、コバルト変性γ−酸化鉄、バリウムフェライト、酸化クロム等を使用することが出来る。またバインダー樹脂としては、ポリビニルアルコール及びその誘導体、カゼイン等の蛋白質、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−メチルメタアクリレート共重合体、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等のラテックス又はエマルジョン、あるいはポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、塩ビ−酢ビ共重合体等を使用することができる。
【0057】
そしてこれら磁性粉末と結着剤とを主成分とする磁性塗料は、水系あるいは有機溶剤系のいずれかを用いて調製されるが、水系のほうが経済的で好ましい。有機溶剤としてはトルエン、キシレン、メチルエチルケトン等を使用することができる。
【0058】
本発明では磁気記録層の紙層への浸透による磁気特性の悪化を防止するため、必要により基紙と磁気記録層の間に浸透防止層を設けることができる。浸透防止層の組成はポリビニルアルコール、デンプン等の水溶性高分子、或いはポリエチレン、ポリプロピレン等々の合成樹脂が代表的なものであるが、本願発明では限定されるものではない。
【0059】
本発明の磁気記録層を設けるための塗工は、グラビアコーター、ロールコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、ダイコーター、カーテンコーター等の公知の塗工設備が応用され、更に磁気特性の向上のために一般的に行われる反発対向磁石或いは電磁石等による磁場配向処理を行っても良い。
【0060】
本発明で云うインクとは、下記の着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料或は食品用色素等の水溶性染料や分散染料及び着色顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
【0061】
インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコール、モノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。その他の添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が挙げられる。
【0062】
本発明におけるインクジェット磁気複合記録シートは、水性インク用のインクジェット磁気複合記録シートとしての使用に留まらず、記録時に液状であるインクを使用するどのような記録シートとして用いることもできる。例えば、熱溶融性インクを加熱溶融して微小液滴化、飛翔記録するインクジェット磁気複合記録シート、油溶性染料を溶媒に溶解したインクを用いたインクジェット磁気複合記録シート、着色顔料を有機溶媒に分散したインクを用いたインクジェット磁気複合記録シートに対応するインクジェット磁気複合記録シート等が挙げられる。
【0063】
これらの記録シートの共通点は、記録時にインクが液体状態である点である。液状インクは、硬化、固化又は定着までに、記録シートのインクジェット記録層の深さ方向又は水平方向に対して浸透又は拡っていく。上述した各種記録シートは、それぞれの方式に応じた吸収性を必要とするもので、本発明のインクジェット磁気複合記録シートを上述した各種の記録シートとして利用しても何ら制限しない。更に、複写機・プリンター等に広く使用されている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する記録シートとして、本発明におけるインクジェット磁気複合記録シートを使用することもできる。
【0064】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の部及び%は全て質量換算である。
【0065】
実施例1〜16、比較例1〜3
広葉樹漂白クラフトパルプ85質量%、及び針葉樹漂白サルファイトパルプ15質量%から成る混合パルプを叩解度320CSFになるように叩解後、パルプ100質量部に対して、カチオン化澱粉3質量部、アニオン化ポリアクリルアミド0.2質量部、アルキルケテンダイマー乳化物(ケテンダイマー分として)0.1質量部〜0.5質量部、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂0.4質量部を添加して紙料スラリーを調製した。その後、紙料スラリーを長網抄紙機で紙匹を形成し、ウェットパートで3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートで2段の緊度プレスを行った後、乾燥した。その後、乾燥の途中でカルボキシ変性ポリビニルアルコール溶液でサイズプレスし、固形分付着量を2.0g/m2とし、最終的に得られる基紙水分が絶乾水分で8質量%になるように乾燥し、マシンカレンダー処理して、坪量160g/m2のインクジェット磁気複合記録シート用の基紙を製造した。これらの結果を表1にまとめる。なお、実施例15及び比較例3は、基紙上に下塗層を設けた後の結果である。
【0066】
実施例15及び比較例3は、さらに、得られた基紙の上に、下記配合の下塗層を設けた。
(下塗層塗液の作製)
下記配合の固形分50%の下塗層塗液を調製した。
ポリアクリル酸系分散剤 0.24部
カオリン 100部
SBRラテックス 15部
リン酸エステル化澱粉 10部
【0067】
【表1】
【0068】
(磁気記録層塗液の作製)
下記配合の塗液をボールミルで一昼夜分散し、磁気記録層塗液を調製した。
バリウムフェライト(保磁力2700エルステッド) 100部
ウレタン・アクリル系樹脂 30部
ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量20万) 5部
パラフィンワックス 5部
水 200部
【0069】
(インクジェット記録層塗液の作製)
擬ベーマイト粉末 15部
ポリビニルアルコール 2部
水 100部
【0070】
表1に記載の基紙の片面に、上記の磁気記録層塗液を乾燥塗工量が30g/m2になるようにエアーナイフコーターで塗布後、磁場配向させて乾燥した。つぎに、他方の面に上記のインクジェット記録層塗液を乾燥塗工量が15g/m2になるようにエアーナイフコーターで塗布、乾燥し、実施例1〜16、比較例1〜3のインクジェット磁気複合記録シートを得た。
【0071】
実施例17〜23
広葉樹材晒クラフトパルプ(LBKP)100部をカナディアンスタンダードフリーネスで320mlまで叩解し、このパルプスラリーに、サイズ材としてアルキルケテンダイマーを対パルプ固形分で0.5質量%、 強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0質量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0質量%、ポリアミドエピクロロヒドリンを対パルプ0.5質量%添加し、 水で希釈後1%スラリーとし長網抄紙機で抄紙した。尚、この場合各試料のブレーカースタックロールの硬度、またはスムサーロールの硬度及び線圧は表2に示す条件で行った。
【0072】
【表2】
【0073】
実施例1〜16と同様に、磁気記録層、インク受理層を設けて、実施例17〜23のインクジェット磁気複合記録シートを得た。
【0074】
実施例24〜28
針葉樹材晒サルファイトパルプ(NBSP)20質量部、広葉樹材晒サルファイトパルプLBSP50質量部及び広葉樹材晒クラフトパルプ(LBKP)30質量部に配合したパルプを濾水度300mlcsfに叩解し、そのパルプスラリーにサイズ剤としてアルキルケテンダイマー、強度剤としてポリアクリドアミド樹脂及びポリアミドエピクロルヒドリン樹脂を、紙匹中の含有量としてそれぞれパルプに対して0.5質量%、2質量%及び0.5質量%に成るように添加し、坪量150g/m2に紙匹を形成し絶乾水分1.8%に乾燥した。更に表面サイズ剤として変性ポリビニルアルコール水溶液を使用して表面サイズ処理し、絶乾水分6%にした基紙を表3に記載の温度、線圧に制御して熱カレンダー処理したインクジェット磁気複合記録シート用の基紙を製造した。
【0075】
【表3】
【0076】
実施例1〜16と同様に、磁気記録層、インク受理層を設けて、実施例24〜28のインクジェット磁気複合記録シートを得た。
【0077】
これらのインクジェット磁気複合記録シートは、下記の方法で磁気特性及びインクジェット記録特性の評価を行った。
【0078】
(PY値の測定)
上記の紙を50cm(MD方向)×5cm(CD方向)に裁断し、フィルム厚さ計(株式会社アンリツ製、フィルム厚さ測定装置)で厚さムラを測定し、周波数解析装置(小野測器株式会社製、CF−940デュアルチャンネルFFTアナライザー)で周波数解析を行った。なお、厚さムラ測定条件と周波数解析条件は次の通りである。(厚さムラ測定条件)フィルム送り装置(株式会社アンリツ製)試料送り速度:25mm/secプローブ:φ5mm金属球加圧:36g/チップマイクロメーター(株式会社アンリツ製、K−360C)感度:±15μmレコーダー(株式会社アンリツ製、K−310B)感度:0.5V/cm(周波数解析条件)周波数解析装置(小野測器株式会社製、CF−940デュアルチャンネルFFTアナライサ゛)入力信号:DC2Vデータ数:1024点/dual上記条件による測定及び解析の結果として、周波数解析装置から得られる波長1〜12.5mmにおけるパワースペクトルの積分値に相当する電圧に換算係数(28.8μm/V)を乗じて上記の紙のPY値を求めたところ、4.5μmであった。
【0079】
(磁気出力変動)
プリペイドカード用磁気特性分析機(210BPI書き込みFM方式)により、出力変動を測定し、変動率を%で示した。変動率は、11.0%以下であれば、実用性があるが、10.0%以下が好ましい。
【0080】
(インクジェット記録画質)
(画質)
画質は、色相、明度の範囲が広く、高精細な写真画像を描画し、目視結果を次のような5段階で評価した。2以上が実用的に使用できる。
5:画質が非常に良好
4:画質が良好
3:画像がやや良好
2:画質が通常(市販品の平均レベル)
1:画質が不良
【0081】
(塗布層均一性)
塗布層均一性は、720dpiの黒インクの50%網点を印画した面のムラを目視で次のような5段階に判定した。
5:塗布ムラが全くない。
4:塗布ムラがほとんどない。
3:塗布ムラが少し認められる。
2:ある程度の塗布ムラが認められるが、実用上問題ない。
1:塗布ムラが認められ、実用上問題がある。
【0082】
(捌き性)
本発明の捌き性評価は、一括投入できる自動改札機においても、乗車券に記録されているデータの読取り又は書込み、あるいは印字やパンチ処理は、乗車券1枚毎に行われるので、一括投入された乗車券は、自動改札機の本体内に設けられた乗車券分離装置において1枚ずつに分離されるように構成されている一般のものを使用する。なお、分離装置としては、積層された乗車券のうち、最上側又は最下側の乗車券のみに回転ローラで搬送力を付与して1枚ずつに分離するもの、あるいは、乗車券1枚分の厚さのギャップを利用して1枚ずつに分離するものを使用できる。
特開平10−188057号や特開2001−216537等で提案した乗車券1枚分の厚さのギャップを利用した乗車券分離装置を使用した。この乗車券分離装置を詳細に説明すると、自動改札機の本体Aの投入口の内側に設けられた取込ローラを備えた取込搬送路と、乗車券を搬送する途中、乗車券の一辺を基板に当接させて乗車券の姿勢を一定に整える整列搬送路との間に設けられている。
本発明の裁断したインクジェット記録磁気複合記録シートを2枚重ねにして、1000枚連続で、乗車券分離装置に通して、インクジェット記録磁気複合記録シートの分離状況の評価を行った。
5:全く問題なく、連続的、滑らかに分離できる。
4:詰まりはないが、時折詰まり気味に挙動することがある。
3:詰まり気味で稼働するが、詰まり発生なし。
2:詰まりが1回発生したが、実用性限度。
1:詰まりが発生し、実用性不可。
【0083】
(コックリング)
画像記録後の波打ちは、色相、明度の範囲が広く、高精細な写真画像を描画し、1日放置して乾燥後の記録面の波打ちを目視で次のような5段階で評価した。
5:画像記録後の波打ちが非常に良好
4:画像記録後の波打ちがかなり良好
3:画像記録後の波打ちが良好
2:画像記録後の波打ちがやや不良
1:画像記録後の波打ちが不良
【0084】
以上、表1〜3の結果に基づき、インクジェット記録磁気記録複合シートの評価結果を以下の表4〜6にまとめる。
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
実施例1〜17については、PY値が5.0μm未満の木材パルプを主原料とする基紙を使用したため、磁気特性及びインクジェット記録特性の良好なインクジェット磁気複合記録シートが得られた。
また、実施例1〜4を比較すると基紙密度が特定の範囲にある場合、コックリングが良いことがわかる。実施例5〜8を比較すると、Rp値が特定の範囲にある場合、捌き性が向上することがわかる。実施例8〜12を比較すると、コッブサイズ度が特定の範囲にある場合、コックリングが向上することがわかる。さらに、実施例13〜16と実施例1〜12を比較すると、コックリング、捌き性が相乗効果的に改善することがわかる。
比較例1〜3については、基紙のPY値が5.0μm以上であったため、磁気ヘッドと磁気記録層の密着性が低下し、磁気出力変動の増大やインクジェット記録層の画質の低下が認められた。
また、実施例17〜23からわかるように、湿紙の状態で、ブレーカースタックまたはスムーザーロールの特定のロール硬度と線圧で処理することにより、捌き性が向上することがわかる。
さらに、実施例24〜28からわかるように、基紙に熱カレンダー処理を施すことにより、磁気出力変動が向上し、捌き性、塗布層の均一性も向上することがわかる。
【0089】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、高密度磁気記録に使用可能で、インクジェット記録層が画質に優れ、しかも優れた磁気特性を有するインクジェット磁気複合記録シートが得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動改札用磁気切符、駐車券、ユニット投票券、各種プリペイドカード、入場券等の各種自動システム用カードなどに利用されるインクジェット磁気複合記録シートに関し、更に詳しくは磁気記録情報の一部または全部をインクジェットプリンターにより印字することで可視化することが出来ると同時に、磁気記録層、インクジェット記録層共に表面性が優れており、磁気特性及びインクジェット記録特性に優れたインクジェット磁気複合記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、テレフォンカード等の急速な普及によってプリペイドカードがにわかに注目を集めている。このような磁気記録材料の普及は磁気記録層の情報記憶容量の大きいこと、書き込み情報の読み取りが簡便であり、かつ正確であること、自動改札装置あるいは販売装置により容易に処理することが出来ること、かつ省力化に有効であることなどの理由による。しかし、これらの磁気カードは基紙が主としてPET等のフィルムであり、再利用、焼却等の廃棄に難点があるため紙ベースでの磁気記録材料の要望が高まっている。
【0003】
また、紙ベースの磁気記録材料の表示方式として、従来、パンチ孔方式、インクを用いる印刷方式、感熱記録方式、熱転写記録方式等種々の方式が採用されている。パンチ孔方式は、正確な残高がカードのみでは把握できないため、利用履歴が明確でなく、かつリーダー/ライター内にパンチ屑がたまるという欠点がある。また、インクによる印刷は大型装置の必要性、感熱記録方式は不所望な加熱による地肌部分の発色、熱転写記録方式はドナーシートの廃棄処理に伴うコスト及び環境面の問題がある。
【0004】
一方、最近になって表示方式としてインクジェット記録が広範に使用されるようになった。この方式は上記のような欠点を有さず、小型化、省力化、カラー化が容易であり磁気記録材料の表示方式としての応用が期待されている。しかし、装置の高速化・高精細化或はフルカラー化等インクジェット記録装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、記録シートに対してもより高度な特性が要求されるようになった。即ち、当該記録シートとしては、これらの特性に対する要求は次第に高度になり、厳しくなる一方で、インクジェット記録装置が安価でしかも鮮鋭性や色彩性といった画像再現性や色再現性に優れた画像をパーソナルコンピューターレベルで簡単に得ることができるようになったことから、インクジェット記録装置は、特定の人に使用される特殊な記録装置から汎用の記録装置に変遷してきており、又、画像も印刷物や写真に匹敵するような品質のものが得られることから、自作の絵はがきやデジタル写真のプリンタとしての用途にも使われるようになっている。この場合は絵はがきや写真プリントのもつ質感や触感が要求されるようにもなった。従って、これらの特性を確保することがインクジェット記録装置やインクジェット記録シートの必要条件となっているのが現状である。
【0005】
磁気記録シートとインクジェット記録シートを複合した特殊な情報記録シートは種々のものが開示されている。しかしながら、これらは複合シートが開示されているだけで、塗工層に特徴があり、基紙は全く検討されていない(例えば、特許文献1〜3)。基紙を検討した技術としては、基紙上にカチオン性樹脂を付着させ、坪量80g/m2を基準とするステキヒトサイズ度が20秒以下に規定し、画像の耐水性、フェザリングを改善する方法が開示されている(例えば、特許文献4)。しかしながら、基紙の平滑性は検討されていない。また、基紙ではなくポリオレフィン樹脂と無機顔料との混合物を主成分として含み、かつ、二軸延伸された多層構造樹脂フィルムからなるシート状支持体を使用し、カールに優れた効果をなすものが開示される(例えば、特許文献5)が、インクの影響を受け難い支持体であり、インクにより支持体は、変形し難く平滑性は維持できるため、木材パルプを主成分とした基紙の平滑性は全く考慮されていない。さらに、基紙のガレー剛度を1000〜3000mgf、かつ基紙の厚みを200〜350μmの範囲に制御し、表面強度を改善する手段が開示される(例えば、特許文献6)が基紙の平滑性を改善する手段は考慮されていない。
【0006】
また、自動改札機には、複数枚の媒体である乗車券と特急券、乗車券と定期券などを同時に投入することができる複数枚対応型のタイプがある。このような複数枚対応型の自動改札機においては、媒体を同時に複数枚投入しても、磁気情報の読取り、書込み、あるいは印字を行うには、媒体をそれぞれ一枚ずつ処理する必要がある。そして、複数枚同時に媒体が投入された場合、一枚ずつ媒体を処理するために重なり合った複数枚の媒体を分離する必要がある。
【0007】
複数枚の媒体を分離する機構としては、媒体が搬送される方向に回転する下側に位置する搬送ローラと、該搬送ローラと一定のギャップを有するよう搬送ローラの上方に位置する分離ローラとで構成された分離機構が知られている。搬送ローラと分離ローラとのギャップは、媒体一枚分の厚さ以上で2枚分の厚さ以下となるように設定されている。分離ローラは、搬送ローラの回転に対して逆の回転を行っていることが開示されている(例えば、特許文献7)。
【0008】
ところが、切符にインクジェット記録適性を設けるだけでは、インクジェット記録時にインクの溶剤のため、基紙自体が、木材パルプを主成分とする紙であるため、基紙のインクジェット印字部分が膨潤し、表面に小さな凹凸が発生(コックリングと言う)して、切符自体の搬送性が悪くなるだけでなく、磁気ヘッドと空隙が発生してしまい、磁気強度が情報検出時に減衰して、エラーが起こることになり、自動検札機としての機能が著しく劣る結果となり問題となる。
【0009】
この分離機構は、一枚の媒体が搬送ローラと分離ローラ間に進入してくると、両者間のギャップは媒体一枚以上であるため、該媒体は、搬送ローラによってそのまま搬送されるが、2枚の媒体が重なり合って同時に進入してくると、ギャップは媒体2枚以下であるため、上方にある媒体は分離ローラと接触し、該分離ローラの逆回転により、媒体の搬送方向と逆の方向に搬送され、2枚の媒体は分離されるようになっている。
【0010】
さらに、このような分離機構において、媒体の先端部分が角折れ状態になっている場合、この媒体の先端部分は、媒体一枚以上の厚さとなるため、分離ローラの逆回転作用により、該媒体は搬送されずに券詰り(ジャム)状態となる。
このように券詰りが生じた場合、ジャムが発生したと認識して従来の自動改札機においては停止状態になり、警報を発するようになっている。従って、駅員は、いちいち自動改札機の上カバーを開けて、ジャムした媒体を取り除いた後、自動改札機を稼働状態にしなければならず、非常に面倒である。特に、ラッシュ時においては、自動改札機の稼働効率が落ちると、自動改札機の通行に乱れが生じ、スムーズな改札できないという問題を有する。これらの問題は、前記特許文献1〜6には開示されていない。
【0011】
【特許文献1】
特許第2849171号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献2】
特許第2857227号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献3】
特開平7−257022号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献4】
特開平9−290554号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献5】
特開平7−257021号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献6】
特開平7−172040号公報(第1頁−第2頁)
【特許文献7】
特開昭60−204543号公報(第1頁、図1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、磁気情報記録が可能で、磁気出力変動が少なく、また、反対面にインクジェット方式のプリンターを用いて高画質の画像を高速でプリントでき、コックリングが非常に軽減され、さらには、自動改札機での捌き性が改良されたインクジェット磁気複合記録用シートを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者が前記の目的を達成するために、基紙の表面形状とインクジェット磁気複合記録シートの磁気特性及びインクジェット記録特性の関係について検討した結果、木材パルプを主原料とする基紙が、特定の表面平滑度を有する場合に、磁気出力変動が小さくなり、インクジェット記録における画質の向上することが認められた。そこで、木材パルプを主原料とする基紙の厚さムラをフィルム用厚さ計により連続的に測定し、その測定信号を周波数解析機により解析して求めたとき、波長1〜12.5mmにおけるパワースペクトルの積分値(パーシャルオーバー値:PY値)が0.8〜5.0μmであるような基紙を使用すると、優れた磁気特性とインクジェット記録特性を有するインクジェット磁気複合記録シートの得られることが判明し、本発明を完成するに至った。
【0014】
また、本発明のインクジェット磁気複合記録シートにおいて、該基紙が、0.90g/cm3〜1.25g/cm3のシート密度を有することが好ましい。該基紙が、光学的表面粗さ(Rp値)が0.6〜5.0μmであることが好ましい。さらに該基紙が、JIS P8140に記載されるコブサイズ度法吸水試験によるコブサイズ度が1.0g/m2〜15.0g/m2であることが好ましい。
【0015】
本発明のインクジェット磁気複合記録シート基紙においては、該基紙抄造時に、磁気記録層が設けられる側の表面にあたるロールが、少なくとも1回、 ショアD型硬度で70゜〜100°のブレーカスタックロールを用い、線圧が15〜80kg/cmで処理されるインクジェット磁気複合記録シート基紙の製造方法である。また、磁気記録層が設けられる側の表面にあたるロールが、JISスプリング式硬さ試験器A型で90゜以上のスムーザーロールを用い、線圧が15〜80kg/cmで処理するインクジェット磁気複合記録シート基紙の製造方法である。
【0016】
また、本発明のインクジェット磁気複合記録シート基紙においては、該基紙の絶乾水分が2〜9%であり、0.3S以下の平滑な金属ロールで加圧して熱カレンダー処理が温度120〜250℃、線圧50〜100kg/cmの条件であるインクジェット磁気複合記録シート基紙の製造方法である。
【0017】
【発明の実施形態】
本発明の実施に用いられる基紙中には、紙料スラリー調製時に各種の添加剤を含有せしめる。サイズ剤として、脂肪酸金属塩あるいは脂肪酸、アルキルケテンダイマー乳化物あるいはエポキシ化高級脂肪酸アミド、アルケニルまたはアルキルコハク酸無水物乳化物、ロジン誘導体等を単独または併用して比較的多量に添加することが、本発明のコブサイズ度を持つ基紙をうるためには有利である。その他、乾燥紙力増強剤として、アニオン性、カチオン性あるいは両性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉、植物性ガラクトマンナン等、湿潤紙力増強剤として、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂等、填料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン等、定着剤として、塩化アルミニウム、硫酸バン土等の水溶性アルミニウム塩等、pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸等を、その他着色顔料、着色染料、蛍光増白剤などを適宜組み合せて含有せしめるのがより有利である。
【0018】
本発明において、基紙は木材パルプを主原料とするが、広葉樹、針葉樹及びそれらの混合木材をクラフト法、サルファイト法、ソーダ法などの方法により蒸解して得られた晒及び未晒の木材パルプが使用可能である。また、基紙中には必要に応じて合成パルプ、合成繊維などの繊維状物質、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、焼成カオリン、二酸化チタン、シリカなどの無機填料やプラスチックピグメントなどの有機填料などを添加することができる。さらに、基紙中には必要に応じて本発明の所望の効果を損なわない範囲で一般的に使用されている各種の歩留まり向上剤、ろ水性向上剤、紙力向上剤、内添サイズ剤、染料、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などの抄紙用内添助剤を添加することができる。
【0019】
本発明において、木材パルプを主原料とする基紙を製造するためには、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機などが使用可能であるが、地合がよくPY値の小さい基紙が得られるため、コンビネーション抄紙機の使用が好ましい。
【0020】
本発明において、基紙のPY値はフィルム厚さ計(株式会社アンリツ製、フィルム厚さ測定装置)を用いて基紙の厚さムラを連続的に測定し、得られた測定信号を周波数解析装置(株式会社小野測器製、CF−940デュアルチャンネルFFTアナライザ)を用いて周波数解析し、波長1〜12.5mmにおけるパワースペクトルの積分値を求めることにより得られる。ここで、PY値は電圧(Vrms)値として表されるので、これを厚さムラに換算するには、この電圧値に変換係数28.8μm/Vを乗ずればよい。
【0021】
本発明の第1の発明において、基紙のPY値は0.8〜5.0μmであることが好ましく、3.0μm未満であることがさらに好ましい。PY値が5.0μmを越える基紙を使用してインクジェット磁気複合記録シートを製造した場合には、磁気ヘッドと磁気記録層のクリアランスが大きくなるため磁気出力変動が大きくなるほか、インクジェット記録の画質が低下する。
【0022】
本発明のクッション性を有するには、紙基体については、パルプの種類、パルプの叩解方法、あるいは、抄造条件により適宜調整される。パルプの種類については、天然パルプが主に使用されるが、必要に応じて天然パルプ以外の合成パルプ、合成繊維を用いても良く、また、これらを混合して用いても良い。さらに、故紙パルプを使用しても良く、剛度が低下しない程度に、発泡樹脂を含有してクッション性を調整しても構わない。
【0023】
本発明のクッション性を得るためには、紙基体の密度は、0.90〜1.25g/cm3程度が好ましい。クッション性だけ必要であれば、0.90cm3以下の紙基体も使用可能であるが、インク受理層や磁気記録層を塗工した際に、コックリングが大きくなり、所定の表面形状よりも粗くなり、また、剛度が低下するので好ましくない。また、本発明では、インクジェット記録すると、表面にコックリングが発生しないように、クッション性だけではなく、上記範囲の密度で紙基体を抄造することが好ましい。また、クッション性を得る抄造条件としては、マシンカレンダーを使用するよりも、その前段階、つまり湿紙の段階で、多段階にプレスされることが好ましい。この理由は2つあり、ひとつは、インク受理層または磁気記録層を設ける際に、基紙の戻りが大きく、コックリングが発生することであり、もう一つは、プレス後のスムーサーやカレンダーとのニップバランスが崩れ、強度低下あるいは、剛度低下を引き起こすからである。
【0024】
本発明の基紙抄造には、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、丸網抄紙機など通常用いられる抄紙機、あるいは、長網抄紙機とツインワイヤー型抄紙機を組み合わせたオントップ型抄紙機等、どのような抄紙機でも使用可能であるが、インク受理層を設ける面側の表面の平滑性の点から、オントップ型抄紙機が好ましい。また、クッション性を調整するため、基紙中に、発泡樹脂を含有しても構わない。さらに、インク受理層のインク吸収性を阻害しない範囲で、または磁気記録層の磁気記録性を阻害しない範囲で、クッション性を与えるため、発泡樹脂を含有しても構わない。
【0025】
本発明において、Rp値とは、紙にプリズムを圧着した時の、紙の表面凹凸の形態を光学的に測定した光学的表面粗さであり、測定原理は、「光学的接触法を中心とした紙の印刷平滑度測定方法」稲本真平著、大蔵省印刷局研究所報告第29巻第9号613〜627頁(昭和52年9月)に記載されている。装置としては、パーカー社製「印刷平滑度測定装置」が使用できる。本発明のインクジェット磁気記録複合シートは、インク受理層、磁気記録層を設ける基紙のRp値が0.6〜5.0μmであることが必要である。基紙は、平滑性も必要であるが、自動改札機内の分離装置で、搬送ロール面とインク受理層および磁気記録層面との密着性も重要である。基紙のRp値が5.0μmを超えると、ロールでニップされた際に、基紙のクッション性で表面の粗さを吸収することができず、平滑性が失われる結果、基紙自体の凹凸が発生するので、密着性が得られなくなり、部分的に搬送ロール面とインク受理層および磁気記録層面との密着性が低下する結果、分離・捌き性の性能にムラが発生して、部分的に発生するため、分離・捌き性の効果が低下してしまう。なお、本発明におけるRp値は基紙へのプリズム圧力を5kg/cm2で測定した値である。
【0026】
本発明において、使用する天然パルプとしては、短繊維で平滑性の出やすい広葉樹パルプを多く用いる。具体的には、広葉樹パルプを60質量%以上、好ましくは75質量%以上用いると良い。また、パルプの叩解条件としては、叩解機により長繊維分がなるべく少なくなるようにカッティング叩解し、濾水度200〜330ml(CSF)になるように調整すると好ましい。
【0027】
本発明では、内添薬品を添加した紙料スラリーに適切な抄紙方法を採用して長網抄紙機により均一な地合が得られるように基紙を抄造し、ウェットパートでは多段のウェットプレス、好ましくは3段以上のウェットプレスを行い、プレスパートの最終段にはスムージングロールを設ける。湿紙の乾燥途中に緊度プレスを用いる。本発明においては、緊度プレスとして、ブレイカースタックロール、または、スムーザーロールが使用することができる。
【0028】
本発明におけるブレイカースタックロールおよびスムーザーロールについて簡単に説明する。本発明では、平滑性を向上させるため、基紙はカレンダー処理される。カレンダー処理とは、ロールを用いて基紙をプレスすることであり、さらに、カレンダー処理の名称は、カレンダー処理を行う場所によって詳しく分類される。サイズプレスやコーティングユニットの前工程の僅かの空間にロールがある場合、これをスムージングプレスと呼び、この場所で用いるロールをスムージングロールと称する。これが、2つのドライヤーセクション間に設置されているときは、ブレイカースタックと呼ばれ、そこに用いるロールをブレイカースタックロールと称し、通常ドライヤーセクションの約1/3の部分に設置される。これは、まだ十分に水分が残存している基紙の表面を平滑化するためにプレスを行うので、その効果は顕著である。この結果、基紙密度、破裂強さ、仕上げ状態などが著しく向上するが、ブレーカースタックで行われる仕上げの永続性は、カレンダー処理で行われる場合よりも優れている。
【0029】
本発明のブレイカースタックロールには、鋳造の金属ロール、あるいは、炭素鋼の金属ロールを用いることができるが、 ショア硬度D型で70゜〜100°でなければならない。また、本発明のスムーザーロールには、ゴムロールとストーンロールの組合せで用いることができ、ストーンロールに関しては適宜選択することが可能であり、また、人造ストーンロールを用いることも可能である。しかしながら、ゴムロールに関しては、JIS硬度90゜以上のスムーザーロールを用いなければならない。さらに、本発明のスムーザーロールに用いられるゴム材質としては、天然ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスチレン化ポリエチレンゴム、ポリウレタンゴムが用いられる。好ましく用いられるゴム材質としては、ウレタンゴムである。この理由は、一般に、キャスティング(流し込み)で製作されることが多いので、ロール表面を研磨方法では得られない鏡面仕上が可能であるため好んで使用される。
【0030】
次に、本発明のロール硬度測定法について簡単に説明する。ショア硬さ試験器とは、試料を一定高さから、ハンマーを落下させ、そのはね上がる高さから硬さを求めるものであり、簡単な操作で比較的信頼度の高い結果が得られるので、工場の簡易試験用として普及している。D型では、ハンマーの重さ36.2g、落下の高さ19mmである。 指示計の目盛は硬さ数に合わせて目盛ってあるから、ショア硬さを直接知ることができる。これらの測定は、JIS B 7727、また、JIS B 7776に定義されている。また、JISのスプリング式硬さ試験機については、JIS K 6301に定義されている。スプリング式硬さ試験機は、ゴム試料の表面に計器の加圧面を押し付け、軽く接触させると、加圧面の中心の穴からバネ圧力で出ている針が押し戻されて、指針が硬度を示すことになる。
【0031】
本発明に規定されたRp値、PY値を有する基紙を得るためには、基紙の磁気記録層が塗布される側の表面に、少なくとも1回、 ショア硬度D型で70゜〜100°のブレーカースタックロール、あるいは、 JIS硬度A型で90゜以上のスムーザーロールを用いて、15〜80kg/cmの線圧で処理することで得られる。
【0032】
ショア硬度D型で70゜未満のブレーカースタックロール、 あるいは、JIS硬度A型で90゜未満のスムーザーロールを用いて処理された基紙は、表面のうねり成分による凹凸が大きくなり、目的のRp値、PY値を得ることはできない。この基紙の両面にインク受理層およびインク受理層を設けて得られたインクジェット磁気複合記録シートは、均一塗布性が得られず、実用に耐えない。
【0033】
また、ショア硬度D型で70゜〜100°のブレーカースタックロール、また、 JIS硬度A型で90゜以上のスムーザーロールを用いても、 線圧が80kg/cmを越えて処理されると基紙表面のうねり成分の凹凸はかえって小さくなり難く、PY値はあまり低下しないようになる。これは、基紙への過剰な応力は、基紙内に歪みが残存し、これらの基紙の両面にインク受理層と磁気記録層を塗布すると、塗液溶剤の浸み込みにより、基紙が膨潤してしまい、表面の平滑性が失われ、インク受理層においては、発色濃度が低下し、磁気記録層においては、磁気記録密度が低下する致命的な欠陥が有し、実用性は失われる。
また、線圧が15kg/cm未満になると、表面の凹凸が大きくなり、PY値は大きくなる。これらの基紙に、これらの基紙の両面にインク受理層と磁気記録層を塗布すると、塗液溶剤の浸み込みにより、基紙が膨潤してしまい、表面の平滑性が失われ、インク受理層においては、発色濃度が低下し、磁気記録層においては、磁気記録密度が低下する重大な故障欠点発生する結果、実用性は失われる。
【0034】
基紙中あるいは基紙上に、各種の水溶性ポリマー、親水性コロイドあるいはポリマーラテックスを含有あるいは塗設せしめる。具体的には、基紙中あるいは基紙上に各種の水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドあるいはポリマーラテックスをサイズプレスもしくはタブサイズプレスあるいはブレード塗工、エアーナイフ塗工などの塗工によって固形塗布量として1.0g/m2以上含有あるいは塗設せしめるのが好ましい。
表面サイズ処理は、熱カレンダー処理の前及びまたは後に組合わせても良い。表面サイズ剤として変性ポリビニルアルコール、変性澱粉、またはラテックス等のバインダーや食塩または硫酸ナトリウム等の無機電解質及び蛍光剤を付与することができる。表面サイズ処理は、好ましくは表面サイズ処理後熱カレンダー処理を行う方が僅かに良い平滑性な面が得られるので良い。
【0035】
本発明の第2の発明では、基紙を抄紙後マシンカレンダー、金属ロール−金属ロール間からなる熱カレンダー装置等を用いてカレンダー処理を行う。但し、弾性ロールと加熱された金属ロールから構成されるソフトカレンダー処理では、本発明の効果は得られ難い。
本発明の方法において熱カレンダー処理される紙の絶乾水分は2〜9%、好ましくは4〜7%である。絶乾水分が2%未満であると熱カレンダー処理の効果が少ないため面質不良となり目的を達成することが出来ない。また、10%を越えると熱カレンダー処理により水分が飛散し面質不良となり目的を達成することができない。
【0036】
また、本発明において熱カレンダーの処理温度は120〜250℃である。120℃未満では従来のカレンダー処理と同様に基紙の表面の凹凸が大きく平滑な面が得られず目的を達成することが出来ない。また、250℃を越えると紙べこの発生による平滑性の悪化と紙焼けの問題が生じて目的を達成することが出来ない。本発明において熱カレンダー処理された基紙は、熱カレンダー処理により基紙の水分が僅かではあるが変化するので、必要に応じて熱カレンダー処理後水分調節を行い更に前段より低い温度で熱カレンダー処理またはマシンカレンダー処理が行われても良い。
【0037】
さらに、本発明において熱カレンダーの処理線圧は50〜100kg/cm、好ましくは60〜80kg/cmである。50kg/cm未満では平滑な面質が得られず目的を達成することが出来ない。100kg/cmを越えると紙層が潰れ過ぎ腰が低下する。また、熱カレンダーに振動が発生し横段ムラが発生し平滑な面質が得られず目的を達成することができない。
【0038】
本発明におけるカレンダー処理すべき位置は、抄紙機のサイズプレス前でも良いし、またサイズプレス後アフタードライヤーを通過した後に設置されてもよい。通常アフタードライヤー後にはマシンカレンダーが設置され基紙が巻取られるが、該マシンカレンダーに替えて行っても良いし、マシンカレンダーの前、および/また、後に連結してもよい。また、抄紙機で巻取られた基紙巻取りをオフマシンで処理してもよい。更にインク受理層や磁気記録層を設ける工程において、塗液を塗布直前でカレンダー処理されると戻りが少なくより効果的である。
【0039】
本発明におけるカレンダーの金属ロールは磁気記録層が塗布される側の基紙面に当てられる方法が好ましい。しかし、場合によってはその反対でも良い。また、本発明の熱カレンダーを必要により複数段処理にしても良く、この場合、基紙の同一面が金属ロール面に限定されて処理され、同一面が金属ロール面の次に、金属ロール面が当たる様に、逐次複数回処理しても構わない。なお、金属ロールは加熱された金属ロールの他に、本発明の特性を損なわない範囲で加熱されない金属ロールと組合せても良い。
【0040】
また、走行する基紙はニップ圧に対して直角に入ることが好ましい。本願発明において、熱カレンダー処理される原紙の水分はほぼ紙として品質が安定している最終水分であり、12%以下、好ましくは9%以下、更に好ましくは8%以下である。
【0041】
しかしながら、前述の通り、弾性ロールと加熱された金属ロールから構成される熱ソフトカレンダー処理において、ニップ時、基紙は弾性ロールと同じ堅さになるまで加圧されるが、それ以上の圧力では、基紙は潰されることなく弾性ロールが変形してしまう。言い換えれば、ニップ初期の加圧により、基紙の大きなうねりの凹凸がある程度小さくなり、さらに、大きなうねりの凹凸が潰しきれずに基紙に残っているにもかかわらず、ニップ圧は均一に掛かるため、基紙表面の大きなうねりの凹凸に存在している微細な凹凸を減少させることができる。このとき、抄造された基紙を、弾性ロールと加熱された金属ロールから構成される熱ソフトカレンダー処理を行っても、基紙密度がより均一であるためロールと同じ堅さに潰すまでに使われるエネルギーが少なくなる。従って加圧と加熱を少なくすることにより、初期の基紙の剛度を維持しつつ加熱された平滑な金属ロール表面上で、アイロン掛け効果により、表面の微細な凹凸を効率よく潰し、全体に嵩高い平滑な基紙が得られるが、インク受理層や磁気記録層を設ける際に、通常は水性塗工液が使用するため、基紙の表面は密度が高く均一であるものの、基紙内部には密度ムラが存在し、塗液塗工時に、戻りが発生して平滑性は維持できない。
【0042】
本発明の実施に用いられる基紙を構成するパルプとしては、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素漂白の通常の漂白処理並びにアルカリ抽出もしくはアルカリ処理および必要に応じて過酸化水素、酸素などによる酸化漂白処理など、およびそれらの組み合わせ処理を施した針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パルプが用いられ、また、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプなどの各種のものを用いることができる。
【0043】
本発明において、木材パルプを主原料とする基紙のPY値を5.0μm未満に抑えるためには、以下の方法を採用することが好ましい。まず、パルプの濾水度は、カナダ標準濾水度で200〜400mlであることが好ましく、250〜350mlであることがさらに好ましい。また、平均繊維長は1.5mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがさらに好ましい。そして、基紙は3〜4ニップのウェットプレス処理後、スムーザープレス処理することが好ましい。さらに、基紙は乾燥後カレンダーロールにより平滑化処理することが好ましく、中でも120℃以上に加熱された金属−金属ロール間で加圧し、平滑化処理することが好ましい。
【0044】
上記の方法によって十分に低い基紙のPY値が得られない場合には、基紙表面に下引層を設けて凹凸を減少させたのち、磁気記録層あるいはインクジェット記録層を設けることも可能である。このような下引層には、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、天然シリカ、合成シリカ、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂粒子、セルロース繊維などの顔料;デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体/アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性接着剤;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの合成樹脂エマルジョン;メラミン/ホルマリン樹脂、エチレン/尿素樹脂、ポリアミド/ポリ尿素樹脂などの架橋剤;無水マレイン酸系、スチレン/アクリル系などのサイズ剤;ポリエチレングリコールやポリオキシエチレンポリグリセリルエーテルなどの湿潤剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩やアルキルコハク酸塩などの界面活性剤などを適宜組み合わせて使用できる。
【0045】
下塗層は、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ロッドコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーターなどの塗工方式により、基紙に塗布される。
【0046】
本発明のインクジェット磁気複合記録シートは、塗工タイプのインクジェット磁気複合記録シートであり、前記基紙の上に、インクジェット記録層が設けられる。本発明で言うインクジェット記録層とは、インク中の溶媒を浸透させ、保持または吸収するような空隙を構成する主として顔料とバインダーからなる層や、インク中の溶媒に溶解または膨潤する主として高分子物質からなる層等を指す。これらの層は単層でもそれぞれの層が1層以上多層でも、また顔料層と高分子層の組合わせでも本発明のインクジェット記録層としてなんら問題はない。
【0047】
これらのインクジェット記録層を前記基紙の上に設けた場合は、平滑、且つ均一なインクジェット記録層とすることができる。インクジェット記録層が均一に塗工されている場合、インクジェットプリンターを使用してインクジェット記録層面にインクが与えられたとき、インクジェット記録層面が均一に塗工されているため、インクのインクジェット記録層面方向の広がりが均一で、真円に近い記録ドットを表現することができ、これは余剰インクがインクジェット記録層面から基紙の厚さ方向に均等に浸透していくためであると考えられる。一方、本発明の範囲外の基紙では、インクジェット記録層面に塗工ムラを生じやすく、インクが記録面方向に広がる比率が不均一になり、結果として記録ドットは真円からはずれ、場所による広がり方が異なるため画像の鮮明性が悪くなる。更に、基紙への浸透も不規則となり、周辺の滑らかさが悪くなるため画像の鮮明性が損なわれる。
【0048】
主として顔料とバインダーからなるインクジェット記録層を有する1つの態様では、顔料として従来公知の如何なるものも用いることができる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ、非晶質シリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、擬ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム、更にスチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等を挙げることができる。
【0049】
これら無機顔料の中でも、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカ、または多孔性アルミナ水和物が好ましく使用できる。無機顔料が非多孔性であっても塗工液調製時に凝集したり、塗工乾燥時に更に凝集し、多孔性の塗工面が形成されることで本発明のインクジェット記録層用顔料として使用出来、これらの併用をすることはなんら問題がない。
【0050】
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール等;無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或いはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性バインダー;ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダーを挙げることができ、少なくとも1種以上で使用することができる。又、従来公知の染料を定着する目的として添加するカチオン性樹脂を併用することもできる。
【0051】
バインダーの総量は、目的とするインクジェット磁気複合記録シートの特性に合わせて、適宜調整することが出来るが、一般には、顔料100質量%に対して、5〜60質量%である。更に、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することもできる。
【0052】
インク中の溶媒に溶解または膨潤する主として高分子物質からなるインクジェット記録層を有する態様では、高分子物質として例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、アクリル系ポリマー、ポリビニルアセタール系ポリマー等種々のインク吸収性ポリマーが挙げられる。これらの混合物や多重の層も本発明のインクジェット記録層として使用可能である。
【0053】
インクジェット記録層を塗工する方法としては、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドコータ、ゲートロールコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、グラビアコータ、フレキソグラビアコータ、サイズプレス、スライドホッパー方式等の各種装置をオンマシン或はオフマシンで用いることができる。
【0054】
また、塗工後には、マシンカレンダー、熱カレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げても良い。
【0055】
インクジェット記録層の厚さとしては特に制限はないが、塗工量としては0.5g/m2〜50g/m2が好ましい。
【0056】
本発明では基紙の片面に磁気記録層が形成される。この磁気記録層は、磁性粉末とバインダー樹脂を含むものである。磁性粉末としてはγ−酸化鉄、コバルト変性γ−酸化鉄、バリウムフェライト、酸化クロム等を使用することが出来る。またバインダー樹脂としては、ポリビニルアルコール及びその誘導体、カゼイン等の蛋白質、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−メチルメタアクリレート共重合体、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等のラテックス又はエマルジョン、あるいはポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、塩ビ−酢ビ共重合体等を使用することができる。
【0057】
そしてこれら磁性粉末と結着剤とを主成分とする磁性塗料は、水系あるいは有機溶剤系のいずれかを用いて調製されるが、水系のほうが経済的で好ましい。有機溶剤としてはトルエン、キシレン、メチルエチルケトン等を使用することができる。
【0058】
本発明では磁気記録層の紙層への浸透による磁気特性の悪化を防止するため、必要により基紙と磁気記録層の間に浸透防止層を設けることができる。浸透防止層の組成はポリビニルアルコール、デンプン等の水溶性高分子、或いはポリエチレン、ポリプロピレン等々の合成樹脂が代表的なものであるが、本願発明では限定されるものではない。
【0059】
本発明の磁気記録層を設けるための塗工は、グラビアコーター、ロールコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、ダイコーター、カーテンコーター等の公知の塗工設備が応用され、更に磁気特性の向上のために一般的に行われる反発対向磁石或いは電磁石等による磁場配向処理を行っても良い。
【0060】
本発明で云うインクとは、下記の着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料或は食品用色素等の水溶性染料や分散染料及び着色顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
【0061】
インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコール、モノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。その他の添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が挙げられる。
【0062】
本発明におけるインクジェット磁気複合記録シートは、水性インク用のインクジェット磁気複合記録シートとしての使用に留まらず、記録時に液状であるインクを使用するどのような記録シートとして用いることもできる。例えば、熱溶融性インクを加熱溶融して微小液滴化、飛翔記録するインクジェット磁気複合記録シート、油溶性染料を溶媒に溶解したインクを用いたインクジェット磁気複合記録シート、着色顔料を有機溶媒に分散したインクを用いたインクジェット磁気複合記録シートに対応するインクジェット磁気複合記録シート等が挙げられる。
【0063】
これらの記録シートの共通点は、記録時にインクが液体状態である点である。液状インクは、硬化、固化又は定着までに、記録シートのインクジェット記録層の深さ方向又は水平方向に対して浸透又は拡っていく。上述した各種記録シートは、それぞれの方式に応じた吸収性を必要とするもので、本発明のインクジェット磁気複合記録シートを上述した各種の記録シートとして利用しても何ら制限しない。更に、複写機・プリンター等に広く使用されている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する記録シートとして、本発明におけるインクジェット磁気複合記録シートを使用することもできる。
【0064】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の部及び%は全て質量換算である。
【0065】
実施例1〜16、比較例1〜3
広葉樹漂白クラフトパルプ85質量%、及び針葉樹漂白サルファイトパルプ15質量%から成る混合パルプを叩解度320CSFになるように叩解後、パルプ100質量部に対して、カチオン化澱粉3質量部、アニオン化ポリアクリルアミド0.2質量部、アルキルケテンダイマー乳化物(ケテンダイマー分として)0.1質量部〜0.5質量部、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂0.4質量部を添加して紙料スラリーを調製した。その後、紙料スラリーを長網抄紙機で紙匹を形成し、ウェットパートで3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートで2段の緊度プレスを行った後、乾燥した。その後、乾燥の途中でカルボキシ変性ポリビニルアルコール溶液でサイズプレスし、固形分付着量を2.0g/m2とし、最終的に得られる基紙水分が絶乾水分で8質量%になるように乾燥し、マシンカレンダー処理して、坪量160g/m2のインクジェット磁気複合記録シート用の基紙を製造した。これらの結果を表1にまとめる。なお、実施例15及び比較例3は、基紙上に下塗層を設けた後の結果である。
【0066】
実施例15及び比較例3は、さらに、得られた基紙の上に、下記配合の下塗層を設けた。
(下塗層塗液の作製)
下記配合の固形分50%の下塗層塗液を調製した。
ポリアクリル酸系分散剤 0.24部
カオリン 100部
SBRラテックス 15部
リン酸エステル化澱粉 10部
【0067】
【表1】
【0068】
(磁気記録層塗液の作製)
下記配合の塗液をボールミルで一昼夜分散し、磁気記録層塗液を調製した。
バリウムフェライト(保磁力2700エルステッド) 100部
ウレタン・アクリル系樹脂 30部
ポリエチレンオキサイド(重量平均分子量20万) 5部
パラフィンワックス 5部
水 200部
【0069】
(インクジェット記録層塗液の作製)
擬ベーマイト粉末 15部
ポリビニルアルコール 2部
水 100部
【0070】
表1に記載の基紙の片面に、上記の磁気記録層塗液を乾燥塗工量が30g/m2になるようにエアーナイフコーターで塗布後、磁場配向させて乾燥した。つぎに、他方の面に上記のインクジェット記録層塗液を乾燥塗工量が15g/m2になるようにエアーナイフコーターで塗布、乾燥し、実施例1〜16、比較例1〜3のインクジェット磁気複合記録シートを得た。
【0071】
実施例17〜23
広葉樹材晒クラフトパルプ(LBKP)100部をカナディアンスタンダードフリーネスで320mlまで叩解し、このパルプスラリーに、サイズ材としてアルキルケテンダイマーを対パルプ固形分で0.5質量%、 強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0質量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0質量%、ポリアミドエピクロロヒドリンを対パルプ0.5質量%添加し、 水で希釈後1%スラリーとし長網抄紙機で抄紙した。尚、この場合各試料のブレーカースタックロールの硬度、またはスムサーロールの硬度及び線圧は表2に示す条件で行った。
【0072】
【表2】
【0073】
実施例1〜16と同様に、磁気記録層、インク受理層を設けて、実施例17〜23のインクジェット磁気複合記録シートを得た。
【0074】
実施例24〜28
針葉樹材晒サルファイトパルプ(NBSP)20質量部、広葉樹材晒サルファイトパルプLBSP50質量部及び広葉樹材晒クラフトパルプ(LBKP)30質量部に配合したパルプを濾水度300mlcsfに叩解し、そのパルプスラリーにサイズ剤としてアルキルケテンダイマー、強度剤としてポリアクリドアミド樹脂及びポリアミドエピクロルヒドリン樹脂を、紙匹中の含有量としてそれぞれパルプに対して0.5質量%、2質量%及び0.5質量%に成るように添加し、坪量150g/m2に紙匹を形成し絶乾水分1.8%に乾燥した。更に表面サイズ剤として変性ポリビニルアルコール水溶液を使用して表面サイズ処理し、絶乾水分6%にした基紙を表3に記載の温度、線圧に制御して熱カレンダー処理したインクジェット磁気複合記録シート用の基紙を製造した。
【0075】
【表3】
【0076】
実施例1〜16と同様に、磁気記録層、インク受理層を設けて、実施例24〜28のインクジェット磁気複合記録シートを得た。
【0077】
これらのインクジェット磁気複合記録シートは、下記の方法で磁気特性及びインクジェット記録特性の評価を行った。
【0078】
(PY値の測定)
上記の紙を50cm(MD方向)×5cm(CD方向)に裁断し、フィルム厚さ計(株式会社アンリツ製、フィルム厚さ測定装置)で厚さムラを測定し、周波数解析装置(小野測器株式会社製、CF−940デュアルチャンネルFFTアナライザー)で周波数解析を行った。なお、厚さムラ測定条件と周波数解析条件は次の通りである。(厚さムラ測定条件)フィルム送り装置(株式会社アンリツ製)試料送り速度:25mm/secプローブ:φ5mm金属球加圧:36g/チップマイクロメーター(株式会社アンリツ製、K−360C)感度:±15μmレコーダー(株式会社アンリツ製、K−310B)感度:0.5V/cm(周波数解析条件)周波数解析装置(小野測器株式会社製、CF−940デュアルチャンネルFFTアナライサ゛)入力信号:DC2Vデータ数:1024点/dual上記条件による測定及び解析の結果として、周波数解析装置から得られる波長1〜12.5mmにおけるパワースペクトルの積分値に相当する電圧に換算係数(28.8μm/V)を乗じて上記の紙のPY値を求めたところ、4.5μmであった。
【0079】
(磁気出力変動)
プリペイドカード用磁気特性分析機(210BPI書き込みFM方式)により、出力変動を測定し、変動率を%で示した。変動率は、11.0%以下であれば、実用性があるが、10.0%以下が好ましい。
【0080】
(インクジェット記録画質)
(画質)
画質は、色相、明度の範囲が広く、高精細な写真画像を描画し、目視結果を次のような5段階で評価した。2以上が実用的に使用できる。
5:画質が非常に良好
4:画質が良好
3:画像がやや良好
2:画質が通常(市販品の平均レベル)
1:画質が不良
【0081】
(塗布層均一性)
塗布層均一性は、720dpiの黒インクの50%網点を印画した面のムラを目視で次のような5段階に判定した。
5:塗布ムラが全くない。
4:塗布ムラがほとんどない。
3:塗布ムラが少し認められる。
2:ある程度の塗布ムラが認められるが、実用上問題ない。
1:塗布ムラが認められ、実用上問題がある。
【0082】
(捌き性)
本発明の捌き性評価は、一括投入できる自動改札機においても、乗車券に記録されているデータの読取り又は書込み、あるいは印字やパンチ処理は、乗車券1枚毎に行われるので、一括投入された乗車券は、自動改札機の本体内に設けられた乗車券分離装置において1枚ずつに分離されるように構成されている一般のものを使用する。なお、分離装置としては、積層された乗車券のうち、最上側又は最下側の乗車券のみに回転ローラで搬送力を付与して1枚ずつに分離するもの、あるいは、乗車券1枚分の厚さのギャップを利用して1枚ずつに分離するものを使用できる。
特開平10−188057号や特開2001−216537等で提案した乗車券1枚分の厚さのギャップを利用した乗車券分離装置を使用した。この乗車券分離装置を詳細に説明すると、自動改札機の本体Aの投入口の内側に設けられた取込ローラを備えた取込搬送路と、乗車券を搬送する途中、乗車券の一辺を基板に当接させて乗車券の姿勢を一定に整える整列搬送路との間に設けられている。
本発明の裁断したインクジェット記録磁気複合記録シートを2枚重ねにして、1000枚連続で、乗車券分離装置に通して、インクジェット記録磁気複合記録シートの分離状況の評価を行った。
5:全く問題なく、連続的、滑らかに分離できる。
4:詰まりはないが、時折詰まり気味に挙動することがある。
3:詰まり気味で稼働するが、詰まり発生なし。
2:詰まりが1回発生したが、実用性限度。
1:詰まりが発生し、実用性不可。
【0083】
(コックリング)
画像記録後の波打ちは、色相、明度の範囲が広く、高精細な写真画像を描画し、1日放置して乾燥後の記録面の波打ちを目視で次のような5段階で評価した。
5:画像記録後の波打ちが非常に良好
4:画像記録後の波打ちがかなり良好
3:画像記録後の波打ちが良好
2:画像記録後の波打ちがやや不良
1:画像記録後の波打ちが不良
【0084】
以上、表1〜3の結果に基づき、インクジェット記録磁気記録複合シートの評価結果を以下の表4〜6にまとめる。
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
実施例1〜17については、PY値が5.0μm未満の木材パルプを主原料とする基紙を使用したため、磁気特性及びインクジェット記録特性の良好なインクジェット磁気複合記録シートが得られた。
また、実施例1〜4を比較すると基紙密度が特定の範囲にある場合、コックリングが良いことがわかる。実施例5〜8を比較すると、Rp値が特定の範囲にある場合、捌き性が向上することがわかる。実施例8〜12を比較すると、コッブサイズ度が特定の範囲にある場合、コックリングが向上することがわかる。さらに、実施例13〜16と実施例1〜12を比較すると、コックリング、捌き性が相乗効果的に改善することがわかる。
比較例1〜3については、基紙のPY値が5.0μm以上であったため、磁気ヘッドと磁気記録層の密着性が低下し、磁気出力変動の増大やインクジェット記録層の画質の低下が認められた。
また、実施例17〜23からわかるように、湿紙の状態で、ブレーカースタックまたはスムーザーロールの特定のロール硬度と線圧で処理することにより、捌き性が向上することがわかる。
さらに、実施例24〜28からわかるように、基紙に熱カレンダー処理を施すことにより、磁気出力変動が向上し、捌き性、塗布層の均一性も向上することがわかる。
【0089】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、高密度磁気記録に使用可能で、インクジェット記録層が画質に優れ、しかも優れた磁気特性を有するインクジェット磁気複合記録シートが得られる。
Claims (7)
- 木材パルプを主体とする基紙の片面に磁性粉末とバインダー樹脂を主成分とする磁気記録層、他面にインクジェット記録層を設けてなるインクジェット磁気複合記録シートにおいて、フィルム用厚さ計により連続的に測定される厚さムラの測定信号を周波数解析装置により解析し、波長1〜12.5mmにおけるパワースペクトルの積分値であるPY値を求めたとき、前記基紙のPY値が0.8〜5.0μmであることを特徴とするインクジェット磁気複合記録シート。
- 該基紙が、0.90g/cm3〜1.25g/cm3のシート密度を有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット磁気複合記録シート。
- 該基紙が、光学的表面粗さ(Rp値)が0.6〜5.0μmであることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット磁気複合記録シート。
- 該基紙が、JIS P8140に記載されるコブサイズ度法吸水試験によるコブサイズ度が1.0g/m2〜15.0g/m2であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のインクジェット磁気複合記録シート。
- 該基紙の磁気記録層が設けられる側の表面にあたるロールが、少なくとも1回、 ショアD型硬度で70゜〜100°のブレーカスタックロールを用い、線圧が15〜80kg/cmで処理されたことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のインクジェット磁気複合記録シート用基紙の製造方法。
- 該基紙の磁気記録層が設けられる側の表面にあたるロールが、JISスプリング式硬さ試験器A型で90゜以上のスムーザーロールを用い、線圧が15〜80kg/cmで処理されたことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のインクジェット磁気複合記録シート基紙の製造方法。
- 該基紙の絶乾水分が2〜9%であり、0.3S以下の平滑な金属ロールで加圧して熱カレンダー処理が温度120〜250℃、線圧50〜100kg/cmの条件である請求項5または6記載のインクジェット磁気複合記録シート基紙の製造方法。
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CN106758531A (zh) * | 2015-11-20 | 2017-05-31 | 宋庆春 | 保护视力书写纸及其制造方法 |
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2002
- 2002-09-27 JP JP2002282244A patent/JP2004114548A/ja active Pending
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