JP2004114536A - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット記録特性が良好であるだけでなく、高い光沢感と共に、記録画像の耐光性が良好であるインクジェット記録媒体を提供する
【解決手段】顔料と結着剤から構成されるインク受理層を支持体上に少なくとも1層以上設けたインクジェット記録媒体であって、前記インク受理層のうち、少なくとも最外層のインク受理層中の前記顔料がカチオン性顔料であると共に、該インク受理層中に、蛍光染料を合成樹脂中に固溶させてなる蛍光顔料が含有され、前記蛍光顔料の平均粒子径が3〜5μmでありかつ配合量がカチオン性顔料100重量部に対して0.5重量部〜10重量部配合する。
【選択図】 なし
【解決手段】顔料と結着剤から構成されるインク受理層を支持体上に少なくとも1層以上設けたインクジェット記録媒体であって、前記インク受理層のうち、少なくとも最外層のインク受理層中の前記顔料がカチオン性顔料であると共に、該インク受理層中に、蛍光染料を合成樹脂中に固溶させてなる蛍光顔料が含有され、前記蛍光顔料の平均粒子径が3〜5μmでありかつ配合量がカチオン性顔料100重量部に対して0.5重量部〜10重量部配合する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はインクジェット記録媒体に関し、特に染料および顔料インクでの印字に適し、連続操業性にも優れると共に、銀塩写真並の光沢感が得られるインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来技術】
一般にインクジェット記録方式は、種々の機構によりインクの小滴を吐出し、記録媒体上に付着させることにより、ドットを形成し記録を行うものであるが、ドットインパクトタイプの記録方式に比べて騒音がなく、またフルカラー化が容易である上、高速印字が可能であるなどの利点がある。一方、インクジェット記録に使用されるインクは、通常直接染料や酸性染料などを用いた水性インクであるため乾燥性が悪いという欠点がある。
【0003】
最近では高解像度のデジタルビデオ、デジタルカメラ、スキャナーおよびパーソナルコンピューターの普及により高精細の画像を取り扱う機会が多くなり、これらのハードコピーをインクジェットプリンターで出力する事が多くなっている。これに伴い記録媒体に対しても要求特性が多様化してきており、中でも銀塩写真並の光沢感を有すると共に画像部の保存性の良い記録媒体の要望が高くなってきている。
【0004】
このようなインクジェット記録方式に用いられるインクジェット記録媒体に要求される特性として、インク乾燥速度が速いこと、記録濃度が高いこと、インクの溢れや滲みがないこと、更に、インクを吸収することにより用紙が波打ちしないこと等が挙げられる。これらの特性を満たした高画質のインクジェット記録媒体を、キャストコート法により製造する方法は既に提案されている(特開昭62−95285号、同63−264391号、特開平2−274587号、同5−59694号各公報等)。
【0005】
これらの製造方法は、何れも合成シリカを主成分とする顔料、及び結着剤とからなる記録層を、未乾燥の湿潤状態にあるうちに、加熱された鏡面仕上げ面に圧着して鏡面を写し取ると同時に乾燥させ、高光沢のキャストコート紙を得るものであるが、最表層の光沢感が低く、銀塩写真並の光沢感を得ることが出来なかった。
【0006】
また、一般にアルミナゾルと呼ばれるアルミナ水和物を含むカチオン性顔料を用いた記録媒体として、例えば特開平5−124330号公報、特開平6−79967号公報、特開平11−91238号公報に開示されている。しかしながら、カチオン性顔料を使用すると非カチオン性顔料と比較して高い光沢感を得ることが容易になるだけでなく、インクジェット記録に使用されるインクは一般的にアニオン性の染料を使用しているため、カチオン性顔料を使用するとインクの定着性が良好であるという特徴がある。一方、インクジェット記録媒体の白色度を向上させる蛍光増白剤も一般的にアニオン性であるので、高い白色度を得ることを目的としてインク受理層用塗工液にアニオン性蛍光増白剤を添加すると、塗工液中のカチオン性顔料が凝集し、塗工液の安定性が著しく低下してインクジェット記録媒体を得ることが困難になるという問題があった。また、カチオン性顔料とアニオン性蛍光増白剤を併用すると、インクジェット記録による記録画像の耐光性が低下し、記録画像の変色が大きくなるという欠点があった。
【0007】
【特許文献1】特開昭62−95285号公報
【特許文献2】特開昭63−264391号公報
【特許文献3】特開平2−274587号公報
【特許文献4】特開平5−59694号各公報
【特許文献5】特開平5−124330号公報
【特許文献6】特開平6−79967号公報
【特許文献7】特開平11−91238号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく顔料及び蛍光増白剤について鋭意研究した結果、少なくとも最外層のインク受理層にカチオン性顔料と特定の構造を有するカチオン性蛍光増白剤とを併用することにより、得られたインクジェット記録媒体が高い光沢感と共に、記録画像の耐光性が良好であるインクジェット記録媒体を得ることに成功し、本発明に到達した。
従って、本発明の目的は、インクジェット記録特性が良好であるだけでなく、高い光沢感と共に、記録画像の耐光性が良好であるインクジェット記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は顔料と結着剤から構成されるインク受理層を支持体上に少なくとも1層以上設けたインクジェット記録媒体であって、前記インク受理層のうち、少なくとも最外層のインク受理層中の前記顔料がカチオン性顔料であると共に、該インク受理層中に、蛍光染料を合成樹脂中に固溶させてなる蛍光顔料が含有され、前記蛍光顔料の平均粒子径が3〜5μmでありかつ配合量がカチオン性顔料100重量部に対して0.5重量部〜10重量部配合したことを特徴とするインクジェット記録媒体である。
【0010】
本発明においては蛍光顔料に含有される樹脂がベンゾグアナミン樹脂であることが好ましく、前記最外層のインク受理層におけるカチオン性顔料がアルミナ化合物で、前記最外層のインク受理層における結着剤がポリビニルアルコールを含有することが好ましい。また透気性を有する支持体上に、顔料と結着剤および蛍光顔料を含有する塗工液を塗布して記録層を設け、前記記録層が湿潤状態にあるうちに前記記録層上に水系バインダーを凝固する作用を持つ処理液を塗布した後、記録層が湿潤状態にある内に加熱した鏡面ドラムの表面に前記記録層を圧着して乾燥することで、記録層表面に光沢を付与する事が好ましい。
【0011】
【本発明の実施の形態】
(支持体)
本発明で使用される支持体としては透気性を有すれば、いずれのものを使用することができるが、好ましくは紙(塗工紙、未塗工紙等)を用いる。前記紙の原料パルプとして、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。
また、 前記紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。また、紙中に填料を含有させると、紙の不透明度が向上する傾向があるため、填料を含有させることが好ましく、填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。
【0012】
(顔料)
本発明におけるインク受理層に含まれる顔料としては、アルミナやアルミナ水和物、アルミナゾル、コロイダルアルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛等のカチオン性顔料や非カチオン性顔料が挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができるが、少なくとも最外層のインク受理層に含まれる顔料は、得られたインクジェット記録媒体が高い光沢感を有するように、アルミナやアルミナ水和物、アルミナゾル、コロイダルアルミナ等のカチオン性顔料である必要がある。また、シリカ等の非カチオン性顔料も、顔料分散液中にカチオン性物質を添加した後、再分散するなどしてカチオン性を付与することにより、カチオン性顔料として使用することができる。なお、カチオン性顔料とは、水に分散するとそのスラリーがカチオン性となる顔料を意味する。
【0013】
カチオン性顔料としては、前記したアルミナやアルミナ水和物に代表されるアルミナ化合物が好ましく、特にキャストコート法により高い光沢感を得ることが容易であるγ型結晶形のアルミナが好ましい。本発明でいうγ型結晶形アルミナは、公知の方法で製造された擬ベーマイトまたはベーマイトを400℃〜900℃の温度で加熱、焼成することによって得られる。このようにして製造されたγ型結晶形アルミナは、粉砕及び分級により、所望の粒径を有し所望の粒度分布範囲に入るように調整される。
【0014】
γ型結晶形アルミナの結晶構造は微少な鱗片状であるため、キャストコート法において加熱した鏡面ドラムとの密着性が高く、ドラム表面の鏡面を写し取ることが容易である。また、透明性が高いのでインクジェット記録した際の発色性が高くなる。本発明に使用されるγ型結晶形アルミナの平均粒子径は8μm以下であることが好ましく、更に好ましくは1.0μm〜3.5μm、特に好ましくは2.0μm〜3.0μmである。平均粒子径が8μmを越えると、キャストコート法において加熱した鏡面ドラム表面の鏡面を十分に写し取ることが出来なくなり、光沢感の高い記録媒体を得ることが出来なくなることがある。また、平均粒子径が1.0μm未満であると、光沢感の高い記録媒体を得ることは可能であるが、インクジェットプリンターで記録した際のインク吸収性が低下する傾向がある。なお、上記の平均粒子径はレーザー回析・散乱法で測定する。
【0015】
(蛍光顔料)
蛍光顔料とは色剤工学ハンドブック(朝倉書店発行:(社)色剤協会 編集)300頁〜302頁掲載されるように、蛍光染料を合成樹脂中に固溶させたものの粉体であることを意味する。本発明におけるインク受理層に含まれる蛍光顔料はビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クマリン誘導体、アミノクマリン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ピラジン誘導体等、公知の蛍光染料を含有するアクリル樹脂微粒子またはアミノ樹脂微粒子を分散して成るもので、好ましくはアミノ樹脂、例えばユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂が代表的な樹脂として掲げられるが、特にベンゾグアナミン樹脂が好適である。該蛍光顔料の平均粒子径は3〜5μmである。平均粒子径が5μmを越える場合には、インクジェット記録した際の画像部の耐光性は良好であるが、記録濃度が低下するため鮮明な画像を得ることが出来ない。また、平均粒子径が3μmより小さい場合にはインクジェット記録した際の画像部の耐光性が不十分となる。インク受理層に含まれる蛍光顔料の配合量はカチオン性顔料100重量部に対して0.5重量部〜10重量部であることが好ましい。配合量を多くした場合には配合量に応じた増白効果が得られず、大幅なコストアップになる。また、少ない場合には画像部の耐光性が低下する傾向がある。
【0016】
(結着剤)
本発明におけるインク受理層に含まれる結着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体、スチレン−ブタジエン樹脂ラテックス、アクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、尿素樹脂エマルジョン、アルキッド樹脂エマルジョン及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらを単独又は併用して用いることができる。
【0017】
特に、インク受理層が湿潤状態にあるうちに結着剤を凝固させる作用を持つ処理液を塗布した後、該インク受理層を加熱した鏡面に圧着し、光沢を付与するキャストコート法によりインク受理層を設ける場合には、結着剤としてはポリビニルアルコールを使用することが好ましい。この場合、本発明の効果を損なわない程度に他の結着剤を併用することもできる。ポリビニルアルコールは前記処理液と十分に反応すれば良く、その範囲で鹸化度や重合度を適宜選択して用いることが出来る。
また、インク受理層中の結着剤の配合量は、顔料100重量部に対して、5重量部〜30重量部であることが好ましいが、必要なインク受理層強度が得られる限り、特に限定されるものではない。
【0018】
(凝固液)
本発明においてインク受理層は湿潤状態の内に結着剤を凝固する作用を持つ処理液を塗布後加熱した鏡面に圧着し、光沢を付与することが好ましい。処理液を塗布する際に記録層が乾燥状態であると鏡面ドラム表面を写し取ることが難しく、表面の微小な凹凸が多くなり銀塩写真並の光沢感を得にくい。
【0019】
結着剤としてポリビニルアルコールを使用した場合の凝固液は、ポリビニルアルコールを凝固させる作用を持つ化合物を含有する水溶液であればいずれのものも使用することができるが、特に、ホウ酸とホウ酸塩とを含有する処理液が好ましい。混合して用いることにより、適度な固さの凝固を得ることが容易となり、良好な光沢感を有するインクジェット記録用のキャストコート紙を得ることが出来る。また、ホウ酸塩及びホウ酸を混合した場合、ホウ酸単独の場合よりも水に対するホウ酸の溶解度が向上し、ポリビニルアルコールの凝固状態の調整がしやすくなる。
【0020】
処理液中にはホウ酸塩とホウ酸を配合比が0.25/1〜2/1の間で用いることが特に好ましい。ホウ砂/ホウ酸の配合比が0.25未満ではホウ酸の割合が多くなりすぎて、塗工層中のポリビニルアルコールとの凝固が柔らかくなりすぎるため、凝固液付与ロールに軟凝固の塗工層が付着し、良好な湿潤状態の塗工層を得ることが出来ない。一方、ホウ砂/ホウ酸の配合比が2を越える場合には塗工層中のポリビニルアルコールとの凝固が固くなるため、キャストコート紙表面の光沢感が低くなると共に、光沢ムラを生じる。
【0021】
本発明で用いられるホウ酸塩としては例えばホウ砂、オルトホウ酸塩、二ホウ酸塩、メタホウ酸塩、五ホウ酸塩、および八ホウ酸塩があるが、特に限定されるものではない。入手しやすいことと低コストの点でホウ砂を用いることが好ましい。処理液中のホウ酸塩及びホウ酸の濃度は必要に応じて適宜調整できる。処理液中のホウ酸塩及びホウ酸の濃度が高くなるとポリビニルアルコールの凝固が強くなり、光沢が劣る傾向にあると共に、処理液中に結晶が析出しやすくなり、処理液の安定性が悪くなる。
【0022】
(剥離剤)
記録層および凝固液には必要に応じて剥離剤を添加することが出来る。添加する剥離剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記の範囲においては剥離剤の融点が鏡面仕上げの金属表面温度とほぼ同等であるため、剥離剤としての能力が最大限に発揮される。剥離剤は上記特性を有していれば特に限定されるものではない。
特に好ましい剥離剤としてはポリエチレン系のワックスエマルジョンがあげられる。
【0023】
(助剤)
本発明で使用する記録層を形成する塗工液、凝固液には、必要に応じて顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。
【0024】
支持体上に塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の公知の塗工機を用いた塗工する方法の中から適宜選択して使用することができる。処理液を塗布する方法としてはロール、スプレー、カーテン方式等があげられるが、特に限定されない。
【0025】
(塗工量)
記録層の塗工量は、原紙の表面を覆い、かつ十分なインク吸収性が得られる範囲で任意に調整することができるが、記録濃度及びインク吸収性を両立させる観点から、片面当たり、固形分換算で5〜30g/m2 であることが好ましい。30g/m2 を超えると、鏡面ドラムからの剥離性が低下し塗工層が鏡面ドラムに付着するなどの問題を生じる。塗工量を多く必要とする場合には支持体とインク受理層の間にアンダー層を設けても良い。
【0026】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録媒体は、銀塩写真並の光沢感を有し、高い白色度を有するするのみならず、インクジェット記録特性に優れ、しかも記録画像の耐光性も良好である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。又、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
実施例1
叩解度285mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−にタルク10重量部、硫酸アルミニウム1.0重量部、合成サイズ剤0.1重量部、歩留向上剤0.02重量部を添加した支持体を抄紙機で抄紙するに際し、デンプンを両面に片面当り固形分で2.5g/m2となるように塗布して、坪量142g/m2の原紙を得た。この原紙に塗工液Aをブレードコーターで片面に塗工量が8g/m2となるように塗工して140℃で送風乾燥した。次いでさらに塗工液Aを塗工した面にロールコーターで塗工液Bを20g/m2塗工し、塗工層が湿潤状態にあるうちに、凝固液Cを用いて、凝固させ、次いでプレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に圧着して鏡面を写し取り、170g/m2のインクジェット記録用媒体を得た。
【0028】
塗工液A:顔料として、合成シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ社製の商品名)100部にラテックス(LX438C:住友化学工業株式会社製の商品名)5部及びポリビニールアルコール(PVA117:株式会社クラレ社製の商品名)、サイズ剤(ポリマロン360:荒川化学工業株式会社製の商品名)5部配合して濃度20%の水性塗工液を調製した。
【0029】
塗工液B:
顔料としてアルミナ(AKP−G015:住友化学工業株式会社製の商品名)100部、バインダーとしてポリビニールアルコール(クラレ224:クラレ株式会社製の商品名) 6部、バインダーとしてカチオン性ポリウレタン(F8570 D2:第一工業製薬株式会社製の商品名)5部、蛍光顔料としてC.I.Fluorescent Brightener184をベンゾグアナミン樹脂に含有するもの(エポカラーFP101:株式会社日本触媒製の商品名)0.5部、
消泡剤 0.2部を配合して濃度28%の塗工液を調整した。
【0030】
凝固液C: ホウ砂/ホウ酸の配合比を0.5、Na2B4O7およびH3BO3換算で濃度を4%とし、離型剤(FL−48C:東邦化学工業社製の商品名)0.2%を配合して凝固液を調整した。
【0031】
実施例2
実施例1において、塗工液Bで用いたエポカラーFP101を1.0部とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を得た。
実施例3
実施例1において、塗工液Bで用いたエポカラーFP101を2.5部とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を得た。
【0032】
実施例4
実施例1において、塗工液Bで用いたエポカラーFP101を5.0部とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を得た。
実施例5
実施例1において、塗工液Bで用いたエポカラーFP101を10.0部とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を得た。
【0033】
比較例1
実施例1において、塗工液Bで用いた蛍光顔料の配合量を0.1部とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を得た。
比較例2
実施例1において、塗工液Bで用いた蛍光顔料の配合量を15部とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を得た。
【0034】
比較例3
実施例1において、塗工液Bで用いた蛍光顔料を、アニオン性蛍光増白剤(カヤホールPASリキッド:日本化薬株式会社製の商品名)を2.5部としたところ、塗工液Bの増粘が著しく、塗工が不可能であったためインクジェット記録媒体を得ることができなかった。
比較例4
実施例1において、塗工液Bで用いた蛍光顔料を、アニオン性蛍光増白剤(Leucophor NS Liquid:クラリアントジャパン株式会社製の商品名)を2.5部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0035】
比較例5
実施例1における塗工液Bで用いた蛍光顔料を、カチオン性蛍光増白剤(Uvitex BAC Liquid:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製の商品名)を5部用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0036】
実施例1〜5、比較例1〜5で得られたインクジェット記録用媒体の光沢感、白色度、並びにインクジェット記録試験を、以下の方法で行った。結果は表1にまとめた通りである。なお、表中の評価記号が○〜△である場合は、特に問題なく使用することが可能である。
【0037】
(1)光沢感
JIS Z8741の方法に準じて、インクジェット記録媒体のインク受理層表面の20度鏡面光沢度を測定した。20度鏡面光沢度が15%以上であれば高い光沢感を有している。
(2)白色度
JIS P8148の方法に準じて、インクジェット記録媒体のインク受理層表面のISO白色度を測定した。ISO白色度が90%以上であれば、高い白色度を有している。なお、試験片への照射光に含まれる紫外光量はCIEイルミナントCに相当するように調整し、紫外光を含む測定における測定値をISO白色度とした。
【0038】
(3)インクジェット記録試験
記録試験は、インクジェットプリンター(BJF−900:キヤノン株式会社製の商品名)を用いて所定のパターンを記録し、下記の基準によって評価した。
a 記録濃度
ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像パターンの濃度をマクベス濃度計(RD915:Macbeth社製の商品名)で測定し、測定値の合計を記録濃度とした。
【0039】
b インク吸収性(ブリーディング)
レッド(マゼンタとイエローの混色)とグリーン(シアンとイエローの混色)のベタ画像が隣接するパターンを印字し、その境界部における滲み(ブリード)を、下記の基準によって目視で評価した。レッドとグリーンの境界部の滲み(ブリード)は黒色となり、より厳密な評価ができる。
○:境界部で滲みが全く認められない
△:境界部で滲みが多少認められる
×:境界部で滲みが著しく認められる
【0040】
c 記録画像耐光性
マゼンタのベタ画像パターンを、キセノンウェザーメーター(SC−700−WN:スガ試験機株式会社製の商品名)を用いて24時間処理した後の濃度をマクベス濃度計(RD915:Macbeth社製の商品名)で測定し、処理前の濃度を基準とした残存率を、下記の基準によって評価した。
○:濃度残存率80%以上
△:濃度残存率70%以上80%未満
×:濃度残存率70%未満
【0041】
【表1】
【産業上の利用分野】
本発明はインクジェット記録媒体に関し、特に染料および顔料インクでの印字に適し、連続操業性にも優れると共に、銀塩写真並の光沢感が得られるインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来技術】
一般にインクジェット記録方式は、種々の機構によりインクの小滴を吐出し、記録媒体上に付着させることにより、ドットを形成し記録を行うものであるが、ドットインパクトタイプの記録方式に比べて騒音がなく、またフルカラー化が容易である上、高速印字が可能であるなどの利点がある。一方、インクジェット記録に使用されるインクは、通常直接染料や酸性染料などを用いた水性インクであるため乾燥性が悪いという欠点がある。
【0003】
最近では高解像度のデジタルビデオ、デジタルカメラ、スキャナーおよびパーソナルコンピューターの普及により高精細の画像を取り扱う機会が多くなり、これらのハードコピーをインクジェットプリンターで出力する事が多くなっている。これに伴い記録媒体に対しても要求特性が多様化してきており、中でも銀塩写真並の光沢感を有すると共に画像部の保存性の良い記録媒体の要望が高くなってきている。
【0004】
このようなインクジェット記録方式に用いられるインクジェット記録媒体に要求される特性として、インク乾燥速度が速いこと、記録濃度が高いこと、インクの溢れや滲みがないこと、更に、インクを吸収することにより用紙が波打ちしないこと等が挙げられる。これらの特性を満たした高画質のインクジェット記録媒体を、キャストコート法により製造する方法は既に提案されている(特開昭62−95285号、同63−264391号、特開平2−274587号、同5−59694号各公報等)。
【0005】
これらの製造方法は、何れも合成シリカを主成分とする顔料、及び結着剤とからなる記録層を、未乾燥の湿潤状態にあるうちに、加熱された鏡面仕上げ面に圧着して鏡面を写し取ると同時に乾燥させ、高光沢のキャストコート紙を得るものであるが、最表層の光沢感が低く、銀塩写真並の光沢感を得ることが出来なかった。
【0006】
また、一般にアルミナゾルと呼ばれるアルミナ水和物を含むカチオン性顔料を用いた記録媒体として、例えば特開平5−124330号公報、特開平6−79967号公報、特開平11−91238号公報に開示されている。しかしながら、カチオン性顔料を使用すると非カチオン性顔料と比較して高い光沢感を得ることが容易になるだけでなく、インクジェット記録に使用されるインクは一般的にアニオン性の染料を使用しているため、カチオン性顔料を使用するとインクの定着性が良好であるという特徴がある。一方、インクジェット記録媒体の白色度を向上させる蛍光増白剤も一般的にアニオン性であるので、高い白色度を得ることを目的としてインク受理層用塗工液にアニオン性蛍光増白剤を添加すると、塗工液中のカチオン性顔料が凝集し、塗工液の安定性が著しく低下してインクジェット記録媒体を得ることが困難になるという問題があった。また、カチオン性顔料とアニオン性蛍光増白剤を併用すると、インクジェット記録による記録画像の耐光性が低下し、記録画像の変色が大きくなるという欠点があった。
【0007】
【特許文献1】特開昭62−95285号公報
【特許文献2】特開昭63−264391号公報
【特許文献3】特開平2−274587号公報
【特許文献4】特開平5−59694号各公報
【特許文献5】特開平5−124330号公報
【特許文献6】特開平6−79967号公報
【特許文献7】特開平11−91238号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく顔料及び蛍光増白剤について鋭意研究した結果、少なくとも最外層のインク受理層にカチオン性顔料と特定の構造を有するカチオン性蛍光増白剤とを併用することにより、得られたインクジェット記録媒体が高い光沢感と共に、記録画像の耐光性が良好であるインクジェット記録媒体を得ることに成功し、本発明に到達した。
従って、本発明の目的は、インクジェット記録特性が良好であるだけでなく、高い光沢感と共に、記録画像の耐光性が良好であるインクジェット記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は顔料と結着剤から構成されるインク受理層を支持体上に少なくとも1層以上設けたインクジェット記録媒体であって、前記インク受理層のうち、少なくとも最外層のインク受理層中の前記顔料がカチオン性顔料であると共に、該インク受理層中に、蛍光染料を合成樹脂中に固溶させてなる蛍光顔料が含有され、前記蛍光顔料の平均粒子径が3〜5μmでありかつ配合量がカチオン性顔料100重量部に対して0.5重量部〜10重量部配合したことを特徴とするインクジェット記録媒体である。
【0010】
本発明においては蛍光顔料に含有される樹脂がベンゾグアナミン樹脂であることが好ましく、前記最外層のインク受理層におけるカチオン性顔料がアルミナ化合物で、前記最外層のインク受理層における結着剤がポリビニルアルコールを含有することが好ましい。また透気性を有する支持体上に、顔料と結着剤および蛍光顔料を含有する塗工液を塗布して記録層を設け、前記記録層が湿潤状態にあるうちに前記記録層上に水系バインダーを凝固する作用を持つ処理液を塗布した後、記録層が湿潤状態にある内に加熱した鏡面ドラムの表面に前記記録層を圧着して乾燥することで、記録層表面に光沢を付与する事が好ましい。
【0011】
【本発明の実施の形態】
(支持体)
本発明で使用される支持体としては透気性を有すれば、いずれのものを使用することができるが、好ましくは紙(塗工紙、未塗工紙等)を用いる。前記紙の原料パルプとして、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。
また、 前記紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。また、紙中に填料を含有させると、紙の不透明度が向上する傾向があるため、填料を含有させることが好ましく、填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。
【0012】
(顔料)
本発明におけるインク受理層に含まれる顔料としては、アルミナやアルミナ水和物、アルミナゾル、コロイダルアルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛等のカチオン性顔料や非カチオン性顔料が挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができるが、少なくとも最外層のインク受理層に含まれる顔料は、得られたインクジェット記録媒体が高い光沢感を有するように、アルミナやアルミナ水和物、アルミナゾル、コロイダルアルミナ等のカチオン性顔料である必要がある。また、シリカ等の非カチオン性顔料も、顔料分散液中にカチオン性物質を添加した後、再分散するなどしてカチオン性を付与することにより、カチオン性顔料として使用することができる。なお、カチオン性顔料とは、水に分散するとそのスラリーがカチオン性となる顔料を意味する。
【0013】
カチオン性顔料としては、前記したアルミナやアルミナ水和物に代表されるアルミナ化合物が好ましく、特にキャストコート法により高い光沢感を得ることが容易であるγ型結晶形のアルミナが好ましい。本発明でいうγ型結晶形アルミナは、公知の方法で製造された擬ベーマイトまたはベーマイトを400℃〜900℃の温度で加熱、焼成することによって得られる。このようにして製造されたγ型結晶形アルミナは、粉砕及び分級により、所望の粒径を有し所望の粒度分布範囲に入るように調整される。
【0014】
γ型結晶形アルミナの結晶構造は微少な鱗片状であるため、キャストコート法において加熱した鏡面ドラムとの密着性が高く、ドラム表面の鏡面を写し取ることが容易である。また、透明性が高いのでインクジェット記録した際の発色性が高くなる。本発明に使用されるγ型結晶形アルミナの平均粒子径は8μm以下であることが好ましく、更に好ましくは1.0μm〜3.5μm、特に好ましくは2.0μm〜3.0μmである。平均粒子径が8μmを越えると、キャストコート法において加熱した鏡面ドラム表面の鏡面を十分に写し取ることが出来なくなり、光沢感の高い記録媒体を得ることが出来なくなることがある。また、平均粒子径が1.0μm未満であると、光沢感の高い記録媒体を得ることは可能であるが、インクジェットプリンターで記録した際のインク吸収性が低下する傾向がある。なお、上記の平均粒子径はレーザー回析・散乱法で測定する。
【0015】
(蛍光顔料)
蛍光顔料とは色剤工学ハンドブック(朝倉書店発行:(社)色剤協会 編集)300頁〜302頁掲載されるように、蛍光染料を合成樹脂中に固溶させたものの粉体であることを意味する。本発明におけるインク受理層に含まれる蛍光顔料はビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クマリン誘導体、アミノクマリン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ピラジン誘導体等、公知の蛍光染料を含有するアクリル樹脂微粒子またはアミノ樹脂微粒子を分散して成るもので、好ましくはアミノ樹脂、例えばユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂が代表的な樹脂として掲げられるが、特にベンゾグアナミン樹脂が好適である。該蛍光顔料の平均粒子径は3〜5μmである。平均粒子径が5μmを越える場合には、インクジェット記録した際の画像部の耐光性は良好であるが、記録濃度が低下するため鮮明な画像を得ることが出来ない。また、平均粒子径が3μmより小さい場合にはインクジェット記録した際の画像部の耐光性が不十分となる。インク受理層に含まれる蛍光顔料の配合量はカチオン性顔料100重量部に対して0.5重量部〜10重量部であることが好ましい。配合量を多くした場合には配合量に応じた増白効果が得られず、大幅なコストアップになる。また、少ない場合には画像部の耐光性が低下する傾向がある。
【0016】
(結着剤)
本発明におけるインク受理層に含まれる結着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体、スチレン−ブタジエン樹脂ラテックス、アクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル樹脂エマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、尿素樹脂エマルジョン、アルキッド樹脂エマルジョン及びこれらの誘導体等が挙げられ、これらを単独又は併用して用いることができる。
【0017】
特に、インク受理層が湿潤状態にあるうちに結着剤を凝固させる作用を持つ処理液を塗布した後、該インク受理層を加熱した鏡面に圧着し、光沢を付与するキャストコート法によりインク受理層を設ける場合には、結着剤としてはポリビニルアルコールを使用することが好ましい。この場合、本発明の効果を損なわない程度に他の結着剤を併用することもできる。ポリビニルアルコールは前記処理液と十分に反応すれば良く、その範囲で鹸化度や重合度を適宜選択して用いることが出来る。
また、インク受理層中の結着剤の配合量は、顔料100重量部に対して、5重量部〜30重量部であることが好ましいが、必要なインク受理層強度が得られる限り、特に限定されるものではない。
【0018】
(凝固液)
本発明においてインク受理層は湿潤状態の内に結着剤を凝固する作用を持つ処理液を塗布後加熱した鏡面に圧着し、光沢を付与することが好ましい。処理液を塗布する際に記録層が乾燥状態であると鏡面ドラム表面を写し取ることが難しく、表面の微小な凹凸が多くなり銀塩写真並の光沢感を得にくい。
【0019】
結着剤としてポリビニルアルコールを使用した場合の凝固液は、ポリビニルアルコールを凝固させる作用を持つ化合物を含有する水溶液であればいずれのものも使用することができるが、特に、ホウ酸とホウ酸塩とを含有する処理液が好ましい。混合して用いることにより、適度な固さの凝固を得ることが容易となり、良好な光沢感を有するインクジェット記録用のキャストコート紙を得ることが出来る。また、ホウ酸塩及びホウ酸を混合した場合、ホウ酸単独の場合よりも水に対するホウ酸の溶解度が向上し、ポリビニルアルコールの凝固状態の調整がしやすくなる。
【0020】
処理液中にはホウ酸塩とホウ酸を配合比が0.25/1〜2/1の間で用いることが特に好ましい。ホウ砂/ホウ酸の配合比が0.25未満ではホウ酸の割合が多くなりすぎて、塗工層中のポリビニルアルコールとの凝固が柔らかくなりすぎるため、凝固液付与ロールに軟凝固の塗工層が付着し、良好な湿潤状態の塗工層を得ることが出来ない。一方、ホウ砂/ホウ酸の配合比が2を越える場合には塗工層中のポリビニルアルコールとの凝固が固くなるため、キャストコート紙表面の光沢感が低くなると共に、光沢ムラを生じる。
【0021】
本発明で用いられるホウ酸塩としては例えばホウ砂、オルトホウ酸塩、二ホウ酸塩、メタホウ酸塩、五ホウ酸塩、および八ホウ酸塩があるが、特に限定されるものではない。入手しやすいことと低コストの点でホウ砂を用いることが好ましい。処理液中のホウ酸塩及びホウ酸の濃度は必要に応じて適宜調整できる。処理液中のホウ酸塩及びホウ酸の濃度が高くなるとポリビニルアルコールの凝固が強くなり、光沢が劣る傾向にあると共に、処理液中に結晶が析出しやすくなり、処理液の安定性が悪くなる。
【0022】
(剥離剤)
記録層および凝固液には必要に応じて剥離剤を添加することが出来る。添加する剥離剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記の範囲においては剥離剤の融点が鏡面仕上げの金属表面温度とほぼ同等であるため、剥離剤としての能力が最大限に発揮される。剥離剤は上記特性を有していれば特に限定されるものではない。
特に好ましい剥離剤としてはポリエチレン系のワックスエマルジョンがあげられる。
【0023】
(助剤)
本発明で使用する記録層を形成する塗工液、凝固液には、必要に応じて顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。
【0024】
支持体上に塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の公知の塗工機を用いた塗工する方法の中から適宜選択して使用することができる。処理液を塗布する方法としてはロール、スプレー、カーテン方式等があげられるが、特に限定されない。
【0025】
(塗工量)
記録層の塗工量は、原紙の表面を覆い、かつ十分なインク吸収性が得られる範囲で任意に調整することができるが、記録濃度及びインク吸収性を両立させる観点から、片面当たり、固形分換算で5〜30g/m2 であることが好ましい。30g/m2 を超えると、鏡面ドラムからの剥離性が低下し塗工層が鏡面ドラムに付着するなどの問題を生じる。塗工量を多く必要とする場合には支持体とインク受理層の間にアンダー層を設けても良い。
【0026】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録媒体は、銀塩写真並の光沢感を有し、高い白色度を有するするのみならず、インクジェット記録特性に優れ、しかも記録画像の耐光性も良好である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。又、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
実施例1
叩解度285mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−にタルク10重量部、硫酸アルミニウム1.0重量部、合成サイズ剤0.1重量部、歩留向上剤0.02重量部を添加した支持体を抄紙機で抄紙するに際し、デンプンを両面に片面当り固形分で2.5g/m2となるように塗布して、坪量142g/m2の原紙を得た。この原紙に塗工液Aをブレードコーターで片面に塗工量が8g/m2となるように塗工して140℃で送風乾燥した。次いでさらに塗工液Aを塗工した面にロールコーターで塗工液Bを20g/m2塗工し、塗工層が湿潤状態にあるうちに、凝固液Cを用いて、凝固させ、次いでプレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に圧着して鏡面を写し取り、170g/m2のインクジェット記録用媒体を得た。
【0028】
塗工液A:顔料として、合成シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ社製の商品名)100部にラテックス(LX438C:住友化学工業株式会社製の商品名)5部及びポリビニールアルコール(PVA117:株式会社クラレ社製の商品名)、サイズ剤(ポリマロン360:荒川化学工業株式会社製の商品名)5部配合して濃度20%の水性塗工液を調製した。
【0029】
塗工液B:
顔料としてアルミナ(AKP−G015:住友化学工業株式会社製の商品名)100部、バインダーとしてポリビニールアルコール(クラレ224:クラレ株式会社製の商品名) 6部、バインダーとしてカチオン性ポリウレタン(F8570 D2:第一工業製薬株式会社製の商品名)5部、蛍光顔料としてC.I.Fluorescent Brightener184をベンゾグアナミン樹脂に含有するもの(エポカラーFP101:株式会社日本触媒製の商品名)0.5部、
消泡剤 0.2部を配合して濃度28%の塗工液を調整した。
【0030】
凝固液C: ホウ砂/ホウ酸の配合比を0.5、Na2B4O7およびH3BO3換算で濃度を4%とし、離型剤(FL−48C:東邦化学工業社製の商品名)0.2%を配合して凝固液を調整した。
【0031】
実施例2
実施例1において、塗工液Bで用いたエポカラーFP101を1.0部とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を得た。
実施例3
実施例1において、塗工液Bで用いたエポカラーFP101を2.5部とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を得た。
【0032】
実施例4
実施例1において、塗工液Bで用いたエポカラーFP101を5.0部とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を得た。
実施例5
実施例1において、塗工液Bで用いたエポカラーFP101を10.0部とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を得た。
【0033】
比較例1
実施例1において、塗工液Bで用いた蛍光顔料の配合量を0.1部とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を得た。
比較例2
実施例1において、塗工液Bで用いた蛍光顔料の配合量を15部とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用媒体を得た。
【0034】
比較例3
実施例1において、塗工液Bで用いた蛍光顔料を、アニオン性蛍光増白剤(カヤホールPASリキッド:日本化薬株式会社製の商品名)を2.5部としたところ、塗工液Bの増粘が著しく、塗工が不可能であったためインクジェット記録媒体を得ることができなかった。
比較例4
実施例1において、塗工液Bで用いた蛍光顔料を、アニオン性蛍光増白剤(Leucophor NS Liquid:クラリアントジャパン株式会社製の商品名)を2.5部とした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0035】
比較例5
実施例1における塗工液Bで用いた蛍光顔料を、カチオン性蛍光増白剤(Uvitex BAC Liquid:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製の商品名)を5部用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0036】
実施例1〜5、比較例1〜5で得られたインクジェット記録用媒体の光沢感、白色度、並びにインクジェット記録試験を、以下の方法で行った。結果は表1にまとめた通りである。なお、表中の評価記号が○〜△である場合は、特に問題なく使用することが可能である。
【0037】
(1)光沢感
JIS Z8741の方法に準じて、インクジェット記録媒体のインク受理層表面の20度鏡面光沢度を測定した。20度鏡面光沢度が15%以上であれば高い光沢感を有している。
(2)白色度
JIS P8148の方法に準じて、インクジェット記録媒体のインク受理層表面のISO白色度を測定した。ISO白色度が90%以上であれば、高い白色度を有している。なお、試験片への照射光に含まれる紫外光量はCIEイルミナントCに相当するように調整し、紫外光を含む測定における測定値をISO白色度とした。
【0038】
(3)インクジェット記録試験
記録試験は、インクジェットプリンター(BJF−900:キヤノン株式会社製の商品名)を用いて所定のパターンを記録し、下記の基準によって評価した。
a 記録濃度
ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのベタ画像パターンの濃度をマクベス濃度計(RD915:Macbeth社製の商品名)で測定し、測定値の合計を記録濃度とした。
【0039】
b インク吸収性(ブリーディング)
レッド(マゼンタとイエローの混色)とグリーン(シアンとイエローの混色)のベタ画像が隣接するパターンを印字し、その境界部における滲み(ブリード)を、下記の基準によって目視で評価した。レッドとグリーンの境界部の滲み(ブリード)は黒色となり、より厳密な評価ができる。
○:境界部で滲みが全く認められない
△:境界部で滲みが多少認められる
×:境界部で滲みが著しく認められる
【0040】
c 記録画像耐光性
マゼンタのベタ画像パターンを、キセノンウェザーメーター(SC−700−WN:スガ試験機株式会社製の商品名)を用いて24時間処理した後の濃度をマクベス濃度計(RD915:Macbeth社製の商品名)で測定し、処理前の濃度を基準とした残存率を、下記の基準によって評価した。
○:濃度残存率80%以上
△:濃度残存率70%以上80%未満
×:濃度残存率70%未満
【0041】
【表1】
Claims (5)
- 顔料と結着剤から構成されるインク受理層を支持体上に少なくとも1層以上設けたインクジェット記録媒体であって、前記インク受理層のうち、少なくとも最外層のインク受理層中の前記顔料がカチオン性顔料であると共に、該インク受理層中に、蛍光染料を合成樹脂中に固溶させてなる蛍光顔料が含有され、前記蛍光顔料の平均粒子径が3〜5μmでありかつ配合量がカチオン性顔料100重量部に対して0.5重量部〜10重量部配合したことを特徴とするインクジェット記録媒体。
- インク受理層中の蛍光顔料が、蛍光染料をベンゾグアナミン樹脂中に固溶させてなる蛍光顔料である請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
- 最表のインク受理層がアルミナ化合物と結着剤からなる請求項1又は2に記載されたインクジェット記録媒体。
- 最表に設けられたインク受理層中に、結着剤としてポリビニルアルコールを含有する請求項1〜3の何れかに記載されたインクジェット記録媒体。
- 透気性を有する支持体上に、顔料と結着剤と、蛍光染料を合成樹脂中に固溶させてなる蛍光顔料とを含有する塗工液を塗布して記録層を設け、前記記録層が湿潤状態にあるうちに前記記録層上に前記結着剤を凝固する作用を持つ処理液を塗布した後、前記記録層が湿潤状態にある内に加熱した鏡面ドラムの表面に前記記録層を圧着して乾燥することで、前記記録層表面に光沢を付与した請求項1〜4のいずれかに記載されたインクジェット記録媒体。
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Cited By (2)
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US7896485B2 (en) | 2005-11-16 | 2011-03-01 | Gerber Scientific International, Inc. | Light cure of cationic ink on acidic substrates |
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