JP2004114280A - ワイヤソー及びワイヤソーでのワーク切断形状制御方法 - Google Patents

ワイヤソー及びワイヤソーでのワーク切断形状制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】切断用ワイヤが巻回されるガイドローラの熱変形は生じさせずにワーク切断形状を正確に制御する。
【解決手段】ガイドローラ16A,16B間に切断用ワイヤWが巻回されることによりワイヤ群が形成され、このワイヤ群に対してワーク30が切断送りされるワイヤソーにおいて、ワーク加工時に支持フレームの適当な部位20を温度変化させて弾性変形させることにより、ワーク30とガイドローラ16A,16Bとの相対位置を前記ワイヤ群の並び方向に変化させてワークの切断形状を所望の形状に制御する。
【選択図】   図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、切断用ワイヤにより構成されたワイヤ群に対して半導体インゴット等のワークを切込み送りすることにより当該ワークを切断するワイヤソーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体インゴットから多数枚のウェハを切り出す手段等として、ワイヤソーが知られている。このワイヤソーは、複数のガイドローラの周囲に切断用ワイヤが多数回巻かれることによりワイヤ群が形成され、その切断用ワイヤが軸方向に高速駆動され、かつ、前記ワイヤ群に対してワークが切込み送りされることにより、このワークが各ワイヤ位置で同時に切断されるようにしたものである。
【0003】
さらに近年は、前記ワイヤソーにより切り出されるウェハの形状を積極的に制御するための手段が開発されている。例えば特許文献1には、ガイドローラの中心軸が軸受部を介して本体フレームに支持されたワイヤソーにおいて、前記軸受部にその摩擦熱を吸収する冷却水を供給するとともに、当該冷却水の供給量を調節することによって前記軸受部の温度ひいては前記ローラ支持軸の熱変形量を変化させ、当該熱変形量の変化によって前記メインローラの位置制御すなわち切断用ワイヤによるワークの各切断位置の制御を実現するようにしたものが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−323741号公報(第4〜5頁、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記文献に示される構造は、ローラ支持軸を支持する軸受部の温度変化によってローラ支持軸の熱変形量を制御し、その結果としてメインローラの軸方向位置を制御するものであるため、当該メインローラを所定量だけ軸方向に変位させるには、その変位量と同じ量だけ前記軸受からローラ側端までのローラ支持軸の軸長Lを変化させなければならない。この軸長L、換言すれば前記軸受からローラ側端までの距離に相当する長さは僅かであり、しかも、ローラ支持軸の熱膨張係数は材質によって決まっているので、前記軸長Lを所望のローラ軸方向変位量と同等の量まで変化させるには、前記軸受の温度を相当大きく変動させなければならない。このような事情から、同文献記載の装置には次のような不都合がある。
【0006】
1)メインローラの目標変位量を確保するために冷却水流量を抑えて軸受部を相当昇温させなければならない場合があり、当該昇温により軸受潤滑用のグリースが劣化する等して軸受寿命が短縮されるおそれが高い。
【0007】
2)軸受部の温度を大きく変動させるために多くのエネルギーを要し、効率が低い。
【0008】
3)軸受部を支持する本体フレームの温度も大きく変動するため、当該温度変動に起因して、前記軸受部が設けられている本体フレームも大きく熱変形する。
【0009】
さらに、前記のようにローラ支持軸を大きく熱変動させると、ガイドローラの熱変動も大きく、当該熱変動に起因してワイヤ間のピッチまで変化してしまうため、ワークを均一な厚みで切断できなくなる不都合も生じる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、ガイドローラはほとんど熱変形させることなくワーク切断形状を正確に制御することができるワイヤソー及びワイヤソーでのワーク形状制御方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、切断用ワイヤが巻回される複数のガイドローラと、ワークを保持するワーク保持部材と、前記各ガイドローラを回転可能に支持するとともに、これらのガイドローラに巻回された切断用ワイヤにより形成されるワイヤ群に対してそのワイヤ軸方向と直交する方向に前記ワークが相対移動可能となるように前記ワーク保持部材を支持する支持フレームとを備えたワイヤソーにおいて、前記ワークの加工時に前記支持フレームの特定部位を温度変化させて当該支持フレームを弾性変形させることにより、前記ワーク保持部材に保持されるワークと前記ガイドローラとの相対位置を前記ワイヤ群の並び方向に変化させてワークの切断形状を所望の形状に制御するものである。
【0012】
この方法では、大きな支持フレームの熱弾性変形を利用してワークをガイドローラに対して相対変位させるので、当該変位を行わせるのに必要な支持フレームの温度変化量は僅かとなる。換言すれば、小さな範囲内で温度調節するだけでもワーク切断形状を制御するのに十分な相対変位量を確保することが可能であり、そのため、過度の温度上昇によってワイヤソー構成要素の寿命をいたずらに短縮するおそれがなく、また温度調節のために要するエネルギーも少なくて済む。
【0013】
さらに、ガイドローラやその支持軸の温度を変化させる必要がないことから、当該ガイドローラ等の温度変化に起因してワイヤ群のピッチが変動するおそれがほとんどなく、ワークを安定した厚みで正確に切断(例えば反り切断)することが可能である。
【0014】
また本発明は、前記方法を実現するワイヤソーであって、切断用ワイヤが巻回される複数のガイドローラと、ワークを保持するワーク保持部材と、前記各ガイドローラを回転可能に支持するとともに、これらのガイドローラに巻回された切断用ワイヤにより形成されるワイヤ群に対してそのワイヤ軸方向と直交する方向に前記ワークが相対移動可能となるように前記ワーク保持部材を支持する支持フレームとを備えるとともに、この支持フレームの内部に冷却液通路が形成され、この冷却液通路に冷却液が供給されることにより前記ワーク保持装置に保持されるワークが前記ガイドローラに対して前記ワイヤ群のワイヤ並び方向と平行な方向に相対変位するように前記支持フレームが熱弾性変形するものである。
【0015】
このワイヤソーでは、支持フレーム内に設けられた冷却液通路への冷却液の供給量を調節することにより、支持フレームの適当な部位を温度変化させてその温度変化分だけ弾性変形させることができ、その弾性変形によって、前記ワーク保持部材に保持されるワークが前記ガイドローラに対して前記ワイヤ群のワイヤ並び方向と平行な方向に相対変位する。この相対変位を利用して、切り出されるワークの形状(切断形状)を自由に制御することができる。
【0016】
前記支持フレームは、前記ガイドローラを支持するローラ支持部と、このローラ支持部上に立設され、前記ガイドローラに巻回される切断用ワイヤにより形成されたワイヤ群の上方の位置に前記ワーク保持部材を昇降可能に支持するワーク支持部とを含むとともに、このワーク支持部の内部に前記冷却液通路を有するものが、より好ましい。この構成によれば、支持フレームにおけるワーク支持部の温度変化によって当該ワーク支持部に支持されるワーク保持部材の位置、ひいては当該ワーク保持部材に保持されるワークのガイドローラに対する相対位置を効果的に変化させることができる。
【0017】
例えば、前記冷却液通路に冷却液を供給する冷却液供給手段と、その供給冷却液の温度を変化させる温度調節手段と、前記ワイヤ群に対するワークの送り位置に応じて前記供給冷却液の温度を変えるように前記温度調節手段を作動させる温度制御手段とを備えることにより、ワークの送り位置に応じて冷却液温度及び支持フレームの熱変形量、ひいてはガイドローラに対するワークの相対位置を加工中に自動制御することができる。
【0018】
前記ワーク支持部に設けられる冷却液通路は単一のものでもよいが、前記ワーク保持部材の近傍に設けられる第1の冷却液通路と、この第1の冷却液通路よりも前記ワーク保持部材から遠い位置に当該第1の冷却液通路と独立して設けられた第2の冷却液通路とを少なくとも含むようにすれば、これら冷却液通路に供給される冷却液温度の差を利用してワーク支持部の熱変形量及びワーク位置をより自在に調節することができる。
【0019】
この場合には、例えば、前記第1の冷却液通路及び第2の冷却液通路に個別に冷却液を供給する冷却液供給手段と、前記第1の冷却液通路及び第2の冷却液通路の各冷却液通路に供給される冷却液の温度を個別に変化させる温度調節手段と、前記ワイヤ群に対するワークの送り位置に応じて前記供給冷却液の温度を変えるように前記温度調節手段を作動させる温度制御手段とを備えるようにすればよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1及び図2に示すワイヤソーは、ベース10を備え、このベース10上に下部コラム12が立設されるとともに、この下部コラム12から前方(図2では左方)に間隔をおいてローラ支持板14が立設されており、これらローラ支持板14と下部コラム12との間に左右一対のガイドローラ16A,16Bが回転可能に配置されている。すなわち、前記ベース10、下部コラム12、及びローラ支持板14によってローラ支持部が構成されている。
【0022】
各ガイドローラ16A,16Bは前後に延びる回転中心軸を有し、この回転中心軸の前端及び後端がそれぞれ前記ローラ支持板14と下部コラム12とに回転可能に支持されている。また、ガイドローラ16Aには、これを回転駆動するためのメインモータ17が連結されている。
【0023】
各ガイドローラ16A,16Bの外周面上にはローラ軸方向に並ぶ多数本の溝が形成され、これらの溝に嵌め込むようにして切断用ワイヤWが両ガイドローラ16A,16B間に巻回されることにより、当該ガイドローラ16A,16B間にローラ軸方向に並ぶワイヤ群が形成されている。
【0024】
前記切断用ワイヤWの一端は図略の繰出しボビンに、他端は図略の巻取りボビンにそれぞれ巻き付けられており、各ボビン及び前記ガイドローラ16Aの駆動によって切断用ワイヤWが前記繰出しボビンから繰り出されて前記巻取りボビンに巻き取られる(すなわち軸方向に高速駆動される)ようになっている。
【0025】
なお、本発明は前記切断用ワイヤWが正逆両方向に往復駆動されるものであってもよい。また、本発明においてガイドローラの本数は2本に限らず、3本以上のガイドローラの周囲に切断用ワイヤWが巻回され、かつ、そのうちの2つのガイドローラの間に形成されたワイヤ群に対してワークが切込み送りされるものであってもよい。
【0026】
前記下部コラム12の上にはワーク支持部である上部コラム20が延設され、両コラム12,20がボルト18で連結されている。前記上部コラム20の前側には左右一対のスライド保持部22が形成され、両スライド保持部22の間にスライダ(ワーク保持部材)24が前記ワイヤ群の上方の位置で上下方向にスライド可能(すなわち昇降可能)となるように支持されている。
【0027】
図3にも示すように、前記スライド保持部22は、上部コラム20の本体から前方に突出し、かつ、上下方向に延びる形状を有しており、その内側面に上下方向のガイドレール26が固定されている。これに対し、スライダ24の左右両外側面には同じく上下方向に延びる突条25が形成され、この突条25が前記ガイドレール26の内側面(案内面)に嵌合されることにより、スライダ24が両スライド保持部22に上下方向にスライド可能となるように保持されている。
【0028】
前記スライダ24の下端には、図1及び図2に示すようなワーク保持部27が設けられている。一方、ワーク30は円柱状をなし、その上面にワーク軸方向に延びるスライスベース32が固着されており、このスライスベース32が前後方向をむく状態(すなわちワーク軸方向が前後方向となる状態)で当該スライスベース32が前記ワーク保持部27に保持されるようになっている。
【0029】
前記上部コラム20の上端にはワーク送りモータ28が固定され、その出力軸に図略の送りねじが連結されるとともに、この送りねじが前記スライダ24側に固定された図略のナットに螺合されている。従って、前記ワーク送りモータ28の駆動によって前記送りねじが回転することにより、前記スライダ24及びそのワーク保持部27に保持されているワーク30が一体に昇降し、これによってワーク30が前記ワイヤ群に対してそのワイヤ軸方向と直交する方向(上下方向)に切込み送りされるようになっている。
【0030】
一方、前記ワークの切断位置から少し離れた位置には、加工用砥粒を含む加工液(スラリ)をワイヤWの表面に供給するスラリ供給手段が設けられ、このようなスラリ供給を伴いながら、ワイヤ群に対してワーク30が下向きに切込み送りされることにより、このワーク30がその軸方向に並ぶ多数の個所で同時切断され、これにより多数枚のウェハが同時に切り出される。
【0031】
次に、このワイヤソーの特徴である冷却液通路について説明する。
【0032】
図3〜図5に示すように、前記上部コラム20の後部の左右方向中央位置には、上下方向に延びる左右一対の上側冷却液入口通路42及び下側冷却液入口通路44が形成され、各上側冷却液入口通路42と下側冷却液入口通路44とは連通口43を通じて上下に相互連通されている。これら通路42,44の左右両外側には、同じく上下方向に延びる下側冷却液出口通路46及び上側冷却液出口通路48が形成され、各下側冷却液出口通路46と上側冷却液出口通路48も連通口47を介して上下に相互連通されている。また、各スライド保持部22には、その後側部分に上下方向に延びる冷却液入口通路52が形成され、前側部分に冷却液出口通路54が形成されている。
【0033】
各冷却液入口通路52の上端には、スライド保持部22の上面から上方に開口する冷却液入口50が設けられ、この冷却液入口50を塞ぐように前記スライド保持部22の上面に蓋板57が固定されており、この蓋板57の中央部に配管接続用のねじ孔57aが設けられている。また、冷却液入口通路52の下端部と冷却液出口通路54の下端部との間には両者を連通する連通孔53が設けられ、冷却液出口通路54の上端は冷却液を排出するための冷却液出口56となっている。
【0034】
従って、図4に示すように、前記蓋板57のねじ孔57aに接続された配管から冷却液入口50を通じて冷却液入口通路52に供給冷却液(例えば冷却水)Bfが導入されると、この冷却液は、連通孔53及び冷却液出口通路54を通って冷却液出口56から外部に使用済冷却液Beとして排出されるようになっている。すなわち、前記スライダ24の近傍に位置するスライド保持部22の内部には、その上端から冷却液が供給され、当該冷却液が下部で折り返して上部から排出される第1の冷却液通路が形成されている。
【0035】
前記冷却液入口通路52と同様に、前記各上側冷却液入口通路42の上端には、スライド保持部22の上面から上方に開口する冷却液入口40が設けられ、この冷却液入口40を塞ぐように前記スライド保持部22の上面に蓋板58が固定されており、この蓋板58の中央部に配管接続用のねじ孔58aが設けられている。また、下側冷却液入口通路44の下端部とその外側の冷却液出口通路46の下端部との間には両者を連通する連通孔45が設けられ、冷却液出口通路48の上端は冷却液を排出するための冷却液出口49となっている。この冷却液出口49についても、同出口49を塞ぐように前記スライド保持部22の上面に蓋板58が固定されており、この蓋板58の中央部に配管接続用のねじ孔58aが設けられている。
【0036】
従って、図5に示すように、前記蓋板58のねじ孔58aに接続された配管から冷却液入口40を通じて冷却液入口通路42に供給冷却液(例えば冷却水)Afが導入されると、この冷却液は、連通孔43→下側冷却液入口通路44→連通孔45→下側冷却液出口通路46→連通孔47→上側冷却液出口通路48を順次通って冷却液出口49から外部に排出冷却液Aeとして排出されるようになっている。すなわち、前記スライド保持部22よりも後方の位置(スライダ24から遠い位置)の上部コラム20の内部には、その上端から冷却液が供給され、当該冷却液が下部で折り返して上部から排出される第2の冷却液通路が前記第1の冷却液通路とは独立して形成されている。
【0037】
前記第1の冷却液通路及び第2の冷却液通路には、これらの通路に対して個別に相互独立して冷却液の給排(循環)を行う装置が各々接続されている。その構成を図6に示す。
【0038】
図において、前記各冷却液入口及び冷却液出口はそれぞれ冷却液供給通路72及び冷却液排出通路74を介して冷却器78に接続されており、前記冷却液供給通路72及び冷却液排出通路74の途中にはヒータ77を内蔵する温度調節器76が設けられている。
【0039】
冷却液排出通路74には、前記温度調節器76と前記上部コラム20の冷却液出口との間の位置に冷却液温度を検出する手段(図例では排出冷却液Ae(Be)の液温を検出する温度センサ80)が設けられるとともに、冷却液供給通路72において前記温度調節器76と前記上部コラムの冷却液入口との間に循環用ポンプ75が設けられ、この循環用ポンプ75の駆動によって、前記冷却液出口から導出された排出冷却液Ae(Be)が冷却液排出通路74→冷却器78→冷却液供給通路72→冷却液入口の順に循環するようになっている。
【0040】
さらに、このワイヤソーでは、前記冷却液の温度制御を行う手段として、NC装置82が装備されている。
【0041】
このNC装置82は、予めワーク送り位置(切込み位置)に対応して設定された冷却液目標温度(ワーク切断位置に対応する温度)をマップ等として記憶するとともに、実際のワーク送り位置に対応する冷却液目標温度と前記温度センサ80で検出された冷却液温度とを比較し、当該冷却液温度を前記目標温度に近付けるように温度調節器76におけるヒータ77の駆動を制御するものである。
【0042】
すなわち、この実施の形態では、前記各供給通路72及び排出通路74と冷却器78とポンプ75とにより、第1の冷却液通路及び第2の冷却液通路に個別に冷却液を供給する冷却液供給手段が構成され、前記温度調節器76により、前記第1の冷却液通路及び第2の冷却液通路の各冷却液通路に供給される冷却液の温度を個別に変化させる温度調節手段が構成され、前記NC装置82により、前記ワイヤ群に対するワークの送り位置に応じて前記供給冷却液の温度を変えるように前記温度調節手段を作動させる温度制御手段が構成されている。
【0043】
次に、このワイヤソーの作用を説明する。
【0044】
ガイドローラ16Aが回転駆動され、切断用ワイヤWが軸方向に駆動されるとともに、当該ワイヤWにスラリが供給された状態で、ワーク送りモータ28が作動し、スライダ24がゆっくり降下することにより、当該スライダ24に保持されているワーク30がワイヤ群に対して切込み送りされる。これにより、ワーク軸方向に並ぶ多数本のワイヤWがワーク30に対して同時に切り込み、多数枚のウェハの切り出しが同時実行されることになる。
【0045】
この切断中、NC装置82は、実際のワーク送り位置(すなわちワーク30の昇降高さ位置)を監視し、そのワーク送り位置に応じた目標温度に温度センサ80の検出温度を近付けるように温度調節器76のヒータ77を作動させる。
【0046】
例えば、現在のワーク送り位置に対応したワーク目標位置が基準位置よりも前側寄りにある場合には、スライド保持部22内に形成された第1の冷却液通路(冷却液入口通路52及び冷却液出口通路54を含む通路)への供給冷却液Bfの温度を上げ(または当該冷却液の供給を止め)、逆に、上部コラム20の後部に形成された第2の冷却液通路(冷却液入口通路42,44及び冷却液出口通路46,48を含む通路)への供給冷却液Afの温度を下げるような温度指令が出される。このような温度指令によって前後の冷却液温度に差が与えられることにより、図7に二点鎖線で示すように、上部コラム20が後ろ向きに反る(すなわち上部コラム上端が後方に変位する)ような弾性変形(曲げ変形)が発生し、その結果、スライド24のワーク保持部27に保持されているワーク30は僅かに傾きながら前側(図7では左側)に変位することとなり、このワーク30に対する各ワイヤWの切込み位置は当該ワーク30において後方にシフトすることになる。
【0047】
逆に、現在のワーク送り位置に対応したワーク目標位置が後ろ寄りにある場合には、スライド保持部22内に形成された第1の冷却液通路(冷却液入口通路52及び冷却液出口通路54を含む通路)への供給冷却液Bfの温度を下げ、かつ、上部コラム20の後部に形成された第2の冷却液通路(冷却液入口通路42,44及び冷却液出口通路46,48を含む通路)への供給冷却液Afの温度を上げる(または当該冷却液の供給を止める)制御が行われる。これにより、上部コラム20は前記と逆向きに反るように弾性変形し、その分ワーク30は後方に変位することとなる。
【0048】
このようなワイヤソーによれば、大きな上部コラム20の熱弾性変形を利用してワーク30をガイドローラ16A,16Bに対して相対変位させるので、冷却液温度を少し変動させるだけでもワーク30をガイドローラ16A,16Bに対して効果的に相対変位させることが可能となる。従って、ワイヤソー構成要素の寿命をいたずらに短縮するおそれがなく、また温度調節のために要するエネルギーも少なくて済む。また、ガイドローラ16A,16Bやその支持軸の温度は殆ど変化しないので、当該温度変化に起因するワイヤ群のピッチの変動を抑え、これにより、ワークを安定した厚みで正確に切断(例えば反り切断)することが可能である。
【0049】
なお、図示の実施形態では、上部コラム20のスライド保持部22とその後部とに相互独立した第1の冷却液通路及び第2の冷却液通路を形成するようにしているが、例えばスライド保持部22にのみ冷却液通路を形成し、その冷却液温度を調節することによっても、当該スライド保持部22の前後方向についての熱伸縮変形を利用して当該スライド保持部22の後端からスライダ24までの距離L(図3)を変化させることにより、当該スライダ24に保持されているワーク30のガイドローラ16A,16Bに対する相対位置を変化させることが可能である。あるいは、前記第1の冷却液通路及び第2の冷却液通路について図6に示す冷却液供給系統を共通化し、同一温度の冷却液が各冷却液通路に供給されるようにしても、ワーク30の位置制御が可能である。ただし、図示のように各冷却液通路に供給される冷却液の温度を個別に制御するようにすれば、その温度差を利用してより効果的にワーク30を変位させることが可能になる。
【0050】
また本発明では、前記上部コラム20のみならず、例えば下部コラム12にも冷却液通路を形成するようにしてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上のように本発明は、支持フレームにガイドローラ及びワーク保持部材が支持されるワイヤソーにおいて、ワークの加工時に前記支持フレームの特定部位を温度変化させて当該支持フレームを弾性変形させることにより、前記ワーク保持部材に保持されるワークと前記ガイドローラとの相対位置を前記ワイヤ群の並び方向に変化させてワークの切断形状を所望の形状に制御するものであるので、ガイドローラはほとんど熱変形させることなくワーク切断形状を正確に制御することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるワイヤソーの全体正面図である。
【図2】前記ワイヤソーの一部断面側面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図4のC−C線断面図である。
【図6】前記ワイヤソーの冷却液供給系統図である。
【図7】前記ワイヤソーの上部コラムが熱弾性変形した状態を示す一部断面側面図である。
【符号の説明】
10 ベース(ローラ支持部)
12 下部コラム(ローラ支持部)
14 ローラ支持板(ローラ支持部)
16A,16B ガイドローラ
20 上部コラム(ワーク支持部)
22 スライド保持部
24 スライダ(ワーク保持部材)
27 ワーク保持部
28 ワーク送りモータ(ワーク送り駆動手段)
30 ワーク
42,44 冷却液入口通路(第2の冷却液通路を構成)
46,48 冷却液出口通路(第2の冷却液通路を構成)
52 冷却液入口通路(第1の冷却液通路を構成)
54 冷却液出口通路(第1の冷却液通路を構成)
72 冷却液供給通路
74 冷却液排出通路
75 循環用ポンプ
76 温度調節器
78 冷却器
80 温度センサ(冷却液温度検出手段)
82 NC装置(温度制御手段)
W 切断用ワイヤ

Claims (6)

  1. 切断用ワイヤが巻回される複数のガイドローラと、ワークを保持するワーク保持部材と、前記各ガイドローラを回転可能に支持するとともに、これらのガイドローラに巻回された切断用ワイヤにより形成されるワイヤ群に対してそのワイヤ軸方向と直交する方向に前記ワークが相対移動可能となるように前記ワーク保持部材を支持する支持フレームとを備えたワイヤソーにおいて、前記ワークの加工時に前記支持フレームの特定部位を温度変化させて当該支持フレームを弾性変形させることにより、前記ワーク保持部材に保持されるワークと前記ガイドローラとの相対位置を前記ワイヤ群の並び方向に変化させてワークの切断形状を所望の形状に制御することを特徴とするワイヤソーでのワーク切断形状制御方法。
  2. 切断用ワイヤが巻回される複数のガイドローラと、ワークを保持するワーク保持部材と、前記各ガイドローラを回転可能に支持するとともに、これらのガイドローラに巻回された切断用ワイヤにより形成されるワイヤ群に対してそのワイヤ軸方向と直交する方向に前記ワークが相対移動可能となるように前記ワーク保持部材を支持する支持フレームとを備えるとともに、この支持フレームの内部に冷却液通路が形成され、この冷却液通路に冷却液が供給されることにより前記ワーク保持装置に保持されるワークが前記ガイドローラに対して前記ワイヤ群のワイヤ並び方向と平行な方向に相対変位するように前記支持フレームが熱弾性変形することを特徴とするワイヤソー。
  3. 請求項2記載のワイヤソーにおいて、前記支持フレームは、前記ガイドローラを支持するローラ支持部と、このローラ支持部上に立設され、前記ガイドローラに巻回される切断用ワイヤにより形成されたワイヤ群の上方の位置に前記ワーク保持部材を昇降可能に支持するワーク支持部とを含むとともに、このワーク支持部の内部に前記冷却液通路を有することを特徴とするワイヤソー。
  4. 請求項3記載のワイヤソーにおいて、前記ワーク支持部に設けられる冷却液通路には、前記ワーク保持部材の近傍に設けられる第1の冷却液通路と、この第1の冷却液通路よりも前記ワーク保持部材から遠い位置に当該第1の冷却液通路と独立して設けられた第2の冷却液通路とが含まれることを特徴とするワイヤソー。
  5. 請求項2または3記載のワイヤソーにおいて、前記冷却液通路に冷却液を供給する冷却液供給手段と、その供給冷却液の温度を変化させる温度調節手段と、前記ワイヤ群に対するワークの送り位置に応じて前記供給冷却液の温度を変えるように前記温度調節手段を作動させる温度制御手段とを備えたことを特徴とするワイヤソー。
  6. 請求項4記載のワイヤソーにおいて、前記第1の冷却液通路及び第2の冷却液通路に個別に冷却液を供給する冷却液供給手段と、前記第1の冷却液通路及び第2の冷却液通路の各冷却液通路に供給される冷却液の温度を個別に変化させる温度調節手段と、前記ワイヤ群に対するワークの送り位置に応じて前記供給冷却液の温度を変えるように前記温度調節手段を作動させる温度制御手段とを備えたことを特徴とするワイヤソー。
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