JP4997029B2 - ワイヤソー - Google Patents

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Description

本発明は、ガイドローラ間に掛け渡された切断用ワイヤによりワークを多数枚の薄片に切断するワイヤソーに関するものである。
半導体インゴットからウエハを切り出す手段としてワイヤソーが一般に知られている。このワイヤソーでは、切断用ワイヤが多数本並んだ状態で張設され、かつその軸方向に高速駆動された状態で、この軸方向と直交する方向に半導体インゴット等のワークが切断送りされることにより、このワークから多数枚の薄片が同時に切り出される。
このワイヤソーには、ワイヤを案内する多数のガイド溝をもった多溝ローラ(ガイドローラ)が設けられるが、このガイドローラの支持構造としては、例えば特許文献1のような構造が用いられている。
図5は、その構造を示している。同図に示すように、ガイドローラ102は、側壁100に支持された固定軸101の周囲に軸受を介して回転可能に支持されている。具体的には、ガイドローラ102のうち、ガイド溝が設けられる部分103(ガイド部103という)の両端とガイドローラ102の後端部分とがそれぞれ転がり軸受104,106を介して固定軸101に支持されている。これらの軸受104,106のうち、ガイドローラ後端部分の軸受106は、内輪と外輪との軸方向変位が不能な玉軸受とされている。他方、ガイド部103の両端の軸受104は、外輪と内輪との軸方向の相対変位が可能なコロ軸受とされ、これにより固定軸101に対するガイドローラ102の軸方向変位が可能となっている。すなわち、ローラ後端部分でガイドローラ102と固定軸101との軸方向変位を規制することによりガイドローラ102の軸方向の振れ(変動)を抑えて安定的な回転を担保しつつ、ガイド部103の部分ではガイドローラ102と固定軸101との軸方向変位を可能とし、これによって熱膨張に伴うガイドローラ102の伸縮(熱変位)を可能として熱応力の発生を抑制するように構成されている。
特開2004−114235号公報
しかし、上記従来の構成では以下のような課題がある。すなわち、切断中は、切断熱による熱膨張によりワーク110側も軸方向に延びる(伸縮する)が、その際、ワーク110は、図5中に矢印で示すように、その軸方向中間部M2を固定点として前後に延びることとなる。これに対して、ガイドローラ102は、その後端部分で固定軸101に対して軸方向に拘束されているため、当該後端部分(図中の符号M1の位置)を固定点として主に前側に伸びることとなる。従って、ワーク110の軸方向中間部を基準としてその前側ではワーク110の延び方向とガイドローラ102の伸び方向(つまり、ガイドローラ102に掛け渡されたワイヤの変位方向)とが一致するものの後側ではこれが逆方向となり、その結果、ワーク110から切り出される薄片の反り量が大きくしかもワーク前後でばらつくということが生じている。従って、ワイヤソーの切断品質を高める上では、この点を改善して、切断される薄片の反り量をより小さく、かつ均一にすることが望まれる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ワークから切断される薄片の反り量をより小さく、かつ均一にできるワイヤソーを提供することを特徴とするものである。
上記の課題を解決するために、本発明のワイヤソーは、ワークをその軸方向に並ぶ複数の箇所で同時に切断するためのワイヤソーであって、互いに平行に配置される複数の固定軸と、各固定軸の周囲に回転可能に支持される複数のガイドローラと、これらのガイドローラの間に、当該ガイドローラの軸方向に並ぶ複数の位置にわたって掛け渡される切断用ワイヤと、前記固定軸と前記ガイドローラとの間に介在する複数の軸受と、前記ワークを、その軸方向と前記ガイドローラの軸方向とが略平行となる姿勢で保持しながら、複数本の前記切断用ワイヤが並ぶ切断領域に対して前記ワークを切断送りすることにより前記切断用ワイヤに前記ワークを切断させるワーク送り手段とを備え、前記軸受には、前記固定軸に対する前記ガイドローラの軸方向の相対変位を許容しながら当該ガイドローラの両端部をそれぞれ支持する第1の軸受と、これら第1の軸受同士の間の位置であって前記切断領域内の位置で前記固定軸に対する前記ガイドローラの軸方向の相対変位を規制しながら当該ガイドローラの中間部を支持する第2の軸受とが含まれるものである。より具体的に、前記第1の軸受は、前記ガイドローラのうち前記切断領域の両端部分を支持するものである。
この構成によると、ガイドローラは、第2の軸受による支持位置を固定点としてその軸方向両側に熱変位(伸縮)する。従って、ガイドローラの軸方向の熱変位がその一端側で規制される従来装置に比べ、ガイドローラの熱変位の向きとワークの熱変位の向きとの整合性が高まる。
特に、前記ワーク送り手段に保持されるワークの軸方向中間部と、前記第2の軸受により支持されるガイドローラの前記中間部とが当該ガイドローラの軸方向の同じ位置にあるように構成されたものによれば、ガイドローラおよびワークが、ガイドローラの軸方向において同じ位置を基準として熱変位するため、ガイドローラの熱変位の向きとワークの熱変位の向きとが一致したものとなる。従って、前記切断領域にある切断用ワイヤが、その並び方向においてワークの熱変位に追従するように変位することとなる。
なお、固定軸に対してガイドローラの軸方向変位を可能とするには、前記第1の軸受として内輪と外輪との相対的な軸方向変位が可能な円筒コロ軸受を適用するようにしてもよいし、また、前記第1の軸受として上記以外の転がり軸受を適用し、この転がり軸受けの内輪若しくは外輪がその取付面と接触する部材に対して軸方向に相対変位可能となるように構成してもよい。
また、上記ワイヤソーは、前記ガイドローラの内部に流体通路が形成され、この通路に、前記ガイドローラの温度調整用の流体が供給可能に構成されているのが好適である。
このような構成によれば、ガイドローラの熱変位量(伸縮量)を制御することが可能となる。そのため、例えばワークの熱変位量とガイドローラの熱変位量とが等しくなるように、当該ガイドローラの変位量を制御することで、前記切断領域にある切断用ワイヤを、その並び方向においてワークの熱変位に良好に追従させることが可能となる。
なお、熱変位はガイドローラのみならず固定軸においても発生し得るため、上記ワイヤソーにおいては、前記固定軸の内部に流体通路が形成され、この通路に、前記固定軸の温度調整用の流体が供給可能に構成されているものであってもよい。
この構成によれば、固定軸の熱変位量を制御することが可能となる。そのため、例えば固定軸の熱変位によるガイドローラとワークとの当該ガイドローラの軸方向における相対変位(位置ずれ)を補正すること等が可能となる。
また、上記のようにガイドローラや固定軸に対して温度調整用の流体を供給可能な構成においては、前記流体通路に供給される流体の温度調整を可能とする温調手段がさらに設けられているものであってもよい。
この構成によれば、流体の温度を適宜調整することによりガイドローラや固定軸の熱変位量の制御の柔軟性が高まる。
本発明に係るワイヤソーによると、従来装置に比べ、ガイドローラの熱変位の向きとワークの熱変位の向きとの整合性が高まるため、切断領域にある切断用ワイヤを、その並び方向においてワークの熱変位により良好に追従させることが可能となる。従って、ワークから切り出される薄片の反り量が大きくしかもワーク前後でばらつくといった従来装置の問題を解消して、薄片の反り量をより小さく、かつ均一にすることができる。
本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るワイヤソーの全体構成図である。この図に示すワイヤソーは、一対のワイヤ繰出し・巻取り装置10A,10B、ガイドプーリ12A,12B、ガイドプーリ14A,14B、ガイドプーリ16A,16B、ワイヤ張力調節装置18A,18B、ガイドプーリ22A,22B、及び4つのガイドローラ24A,24B,26A,26Bを備えている。
ガイドローラ24A,24Bは互いに同じ高さ位置に配され、ガイドローラ26A,26Bはそれぞれガイドローラ24A,24Bの下方の位置に配されており、ガイドローラ26Aが後に詳しく説明するように駆動モータ25によって回転駆動されるようになっている。
各ワイヤ繰出し・巻取り装置10A,10Bは、切断用のワイヤWが巻かれるボビン9A,9Bと、これを回転駆動するボビン駆動モータ11A,11Bとを備えている。一方のワイヤ繰出し・巻取り装置10Aのボビン9Aから繰り出されたワイヤWは、ガイドプーリ12A,14A,16A、ワイヤ張力調節装置18Aのプーリ20A、及びガイドプーリ22Aの順に掛けられ、さらにガイドローラ24A,24B,26B,26Aの外周面のガイド溝(図示省略)に嵌め込まれながらこれらガイドローラの外側に多数回螺旋状に巻回された(巻き掛けられた)後、ガイドプーリ22B、ワイヤ張力調節装置18Bのプーリ20B、ガイドプーリ16B,14B,12Bの順に掛けられ、他方のワイヤ繰出し・巻取り装置10Bのボビン9Bに巻き取られており、両ワイヤ張力調節装置18A,18BによってワイヤWに適当な張力が与えられている。そして、駆動モータ25によるガイドローラ26Aの回転駆動方向と、各ボビン駆動モータ11A,11Bによるボビン9A,9Bの回転駆動方向が正逆に切換えられることにより、ワイヤWがボビン9Aから繰り出されてボビン9Bに巻き取られる状態と、ワイヤWがボビン9Bから繰り出されてボビン9Aに巻き取られる状態とに切換えられるようになっている。
すなわち、このワイヤソーにおいては、ガイドローラ24A,24Bの間に多数本のワイヤWが互いに平行な状態で張られながらその軸方向に往復駆動されるようになっている。
このガイドローラ24A,24B間に張られたワイヤWの上方には、円柱状のワーク(例えば半導体インゴット)28を移動させるワーク送り装置30(本発明のワーク送り手段に相当する)が設けられている。このワーク送り装置30は、ワーク保持部32と、ワーク送りモータ34とを備えている。ワーク保持部32は、上記ワーク28をその軸方向とワイヤ並び方向とが合致する向きに保持するものであり、ワーク送りモータ34は、図略のボールネジとの組み合わせにより、上記ワーク保持部32とワーク28とを一体に昇降させる(すなわち切断送りする)ものである。
ガイドローラ24A,24B間に張られたワイヤWの上方において、ワーク28の左右両側の位置には、砥粒供給装置36A,36Bが設けられている。これらの砥粒供給装置36A,36Bは、高速駆動される各ワイヤWに対し、加工用砥粒が混合された加工液(スラリー)を同時供給し、ワイヤWの表面に付着させるものである。
従って、このワイヤソーでは、ガイドローラ24A,24B間に張られた多数本のワイヤWがその長手方向に同時高速駆動され、かつこれらのワイヤWに砥粒供給装置36A,36Bからスラリーが供給されながら、複数本の前記ワイヤWが並ぶ切断領域に対してワーク28が下方に切断送りされることにより、このワーク28から一度に多数枚のウエハ(薄片)が同時に切り出される。
次に、ガイドローラ24A,24B,26A,26Bの構成及びこれらの支持構造等について説明する。なお、この実施の形態では、これらガイドローラ24A,24B,26A,26Bの構成等は略共通するため、以下、ガイドローラ26Aを例として説明する。
図2に示すように、ガイドローラ26Aの前後両側(同図では左右両側)には、支持部材38F,38Rが立設されている。そして、これら支持部材38F,38Rに亘って前後方向に延びる固定軸40が支持され、この固定軸40の周囲に前記ガイドローラ26Aが回転可能に支持されている。
固定軸40は、その両端部分が支持部材38F,38Rに形成された挿通穴39F,39Rに挿入され、その後端部分だけが後側の支持部材38Rに対して固定されている。つまり、固定軸40の前端部は、前側の支持部材38Fに対して軸方向に変位可能な状態で挿入されており、これにより熱膨張に伴う固定軸40の伸縮が可能となっている。
ガイドローラ26Aは、金属製の本体部41の外周面に合成樹脂製のガイド部42が積層されたものである。ガイド部42の外周面には前記ガイド溝(図示省略)が全周に亘って形成され、これらガイド溝に前記ワイヤWが嵌め込まれるようになっている。
このガイドローラ26Aは複数の転がり軸受を介して前記固定軸40の周囲に回転可能に支持されている。具体的には、ガイドローラ26Aの両端部分、詳しくはワイヤWが掛け渡される領域である前記ガイド部42の両端部分が円筒コロ軸受44F,44R(適宜、前側軸受44F、後側軸受44Rという;本発明の第1の軸受に相当する)により支持されるとともに、ガイドローラ26Aの中間部分、詳しくは前記軸受44F,44Rの中間部(ガイド部42の中間部M1)が一対の玉軸受45(適宜、中間軸受45という;本発明に係る第2の軸受に相当する)により支持されている。
これらの軸受44F,44R,45は、その外輪が前記本体部41の内周面に内嵌される一方、内輪が前記固定軸40に外嵌されており、これによりガイドローラ26Aと固定軸40との間に介設されている。
ガイドローラ26Aの前記本体部41の内周面のうち、前側軸受44Fと中間軸受45との間の部分には、周方向に亘って突条部41aが設けられており、前側軸受44Fの外輪が、この突条部41aと前記本体部41の前端面に固定される規制板50との間に挟まれた状態で固定されている。中間軸受45の外輪と後側軸受44Rの外輪との間、および後軸受44Rの外輪のさらに後側には、前記本体部41の内側に嵌入されたスペーサ48,49が配置されており、これら外輪及びスペーサ48,49が前記突条部41aと前記本体部41の後端面に固定される規制板52との間に挟まれた状態で固定されている。これにより軸受44F,44R,45の各外輪がガイドローラ26Aに対して固定されている。
一方、上記固定軸40の外周面のうち、中間軸受45と後側軸受44Rとの間の部分には、周方向に亘って突条部40aが設けられており、後側軸受44Rの内輪が、この突条部40aと固定軸40に外嵌固定された固定用リング58との間に挟まれた状態で固定されている。中間軸受45の内輪と前側軸受44Fの内輪との間には、固定軸40に外嵌されたスペーサ47が配置されており、これらの内輪及びスペーサ47が前記突条部40aと固定軸40に外嵌固定された固定用リング部材56との間に挟まれた状態で固定されている。これにより軸受44F,44R,45の各内輪が固定軸40に対して固定されている。なお、図中符号56a(58a)は、固定用リング部材56(58)と軸受44F(44R)との間に介在する調整用スペーサである。
ここで、上記軸受44F,44Rは、所謂鍔無し円筒コロ軸受からなり、内輪と外輪との相対的な軸方向変位が可能に構成されている。詳しくは、図3に示すように、軸受44F(44R)の内輪61には鍔61aが径方向外側に突設され、これら鍔61a同士の間にコロ60が挟み込まれることにより、これらコロ60と内輪61との軸方向変位が規制されている。これに対して、外輪62には上記のような鍔は無く、コロ60と外輪62との軸方向変位が可能となっており、これにより上記軸受44F,44Rは、外輪と内輪との軸方向変位が可能となっている。
従って、軸受44F,44R,45による固定軸40の支持位置のうち、前側軸受44F及び後側軸受44Rの位置では、これら軸受44F,44Rの外輪がガイドローラ26Aに、内輪が固定軸40にそれぞれ固定されるものの、各軸受44F,44Rの外輪と内輪との軸方向変位が上記の通り可能なことから、当該位置では、固定軸40に対するガイドローラ26Aの軸方向の相対変位が可能となっている。他方、中間軸受45の位置では、軸受45の外輪がガイドローラ26Aに、内輪が固定軸40にそれぞれ固定され、しかも軸受45における外輪と内輪との軸方向変位が規制されており、従って当該位置では、固定軸40に対するガイドローラ26Aの軸方向の相対変位が不能となっている。
なお、ガイドローラ26Aのうち固定軸40に対して軸方向変位が規制される位置は、上述した通り前記ガイド部42の軸方向中間部M1とされているが、このワイヤソーでは、この位置が、前記ワーク保持部32に保持されるワーク28の軸方向中間部M2と一致するように、ワーク保持部32とガイドローラ26Aの前後方向の相対的な位置関係が設定されている。
ガイドローラ26Aにおける前記本体部41の後端部には、図2に示すように、取付板54を介して駆動プーリ55が固定されている。この駆動プーリ55には、前記駆動モータ25の出力軸に組付けられたプーリ66との間に駆動ベルト67が掛け渡されており、これによって上記ワイヤWの走行に同期して前記ガイドローラ26Aが回転駆動されるようになっている。なお、この駆動プーリ55は、他のガイドローラ24A,24B,26Bには設けられていない。
ガイドローラ26Aを支持する前記固定軸40には、その内部に冷却水を流通させるための通路が形成されている。詳しく説明すると、固定軸40の内部には、軸方向に延びる円形断面を有する中空部40bが略全域に亘って形成されており、筒状のスリーブ71を有した流路構成部材70が、前記スリーブ71を前記中空部40bに挿入した状態で固定軸40の後端部に固定されている。この流路構成部材70には、冷却水の導入用及び導出用の各ポート70a,70bと、導入用ポート70aに供給される冷却水をスリーブ71の内側に案内する通路72と、スリーブ71の外周面と中空部40bの内周面との隙間部分を前記導出用ポート70bに連通する通路73とが形成されている。これによりスリーブ71の内外に固定軸40の先端部分で互いに連通して軸方向に延びる冷却水通路が形成され、図2中に矢印で示すように、冷却水が導入用ポート70a→通路72→スリーブ71の内側→スリーブ71の外側→通路73→導出用ポート70bの経路に沿って流通するように構成されている。
なお、冷却水の供給系統は、ポンプ77の駆動により供給通路74を通じて導入用ポート70aに冷却水を供給し、固定軸40を巡って導出用ポート70bから導出される冷却水を、排出通路75を通じて再度前記ポンプ77に案内するように構成されている。つまり、固定軸40に対して冷却水を循環させるように冷却水の供給系統が構成されている。
前記ポンプ77は、詳しく図示していないが、冷却水の冷却部および加熱部を備えた温度調節装置76に組み込まれている。そして、排出通路75の途中部分に設けられた水温計81による冷却水の検出温度に基づいてこの温度調節装置76の作動(冷却水の流量や温度等)が制御装置80によって制御されることにより、固定軸40に供給される冷却水の温度や流量が調整されるように構成されている。つまり、ワイヤソーの稼働中は、軸受44F,44R,45の摩擦熱により固定軸40が熱膨張し、これに伴いガイドローラ26Aが軸方向に変位するが、上記の通り固定軸40に供給される冷却水の温度や流量が調整されることにより、ガイドローラ26Aの変位量が制御されるようになっている。
以上のようなワイヤソーによると、ワイヤWがその長手方向に同時高速駆動されることにより、これに伴いガイドローラ26Aが固定軸40回りに回転する。この際、ガイドローラ26Aは、中間軸受45を介して固定軸40に対する軸方向変位が規制されているので、軸方向の振れ(変動)を伴うことなく安定的に回転することとなる。
また、ガイドローラ26Aは、中間軸受45の位置でのみ固定軸40に対する軸方向変位が規制されおり、その両側への熱変位、すなわち熱膨張に伴うガイドローラ26Aの軸方向の伸縮が可能となっている。従って、熱膨張発生時の熱応力の発生が効果的に抑制されることとなる。
しかも、ガイドローラ26Aのうちその軸方向変位を規制する位置はガイド部42の中間部M1とされ、さらにこの規制位置とワーク28の軸方向中間部M2とが一致するようにワーク保持部32とガイドローラ26Aとの位置関係が設定されているので、上記のようなガイドローラ26Aの熱変位に際しては、ワーク28の熱変位の向きとガイドローラ26Aの熱変位の向きとが一致することとなる。すなわち、ワーク28は切断熱によりその軸方向中間部M2を固定点としてその前後両側に延びるが(図2中の白抜き矢印参照)、ガイドローラ26Aも同様にワーク28の中間部M2を基準としてその前後両側に延びることとなる(図2中の白抜き矢印参照)。従って、ガイドローラ26Aに巻回されたワイヤWは、ワーク28の中間部M2を基準としてその前後で、当該ワーク28の熱変位に追従するように変位することとなる。従って、ワーク28から切断される薄片の反り量が大きく、しかもワーク前後で不均一になるといった従来装置の不都合を解消して、薄片の反り量をより小さく、かつ均一にすることができる。
特に、このワイヤソーでは、固定軸40に対する冷却水の供給により、ガイドローラ26Aの熱変位量が制御可能な構成となっているので、例えばワーク切断中、ガイドローラ26Aとワーク28との軸方向の位置関係が適正に保たれるようにガイドローラ26Aの変位量を制御することにより、ワーク28の中間部M2に対するガイドローラ26Aの固定点(ガイド部42の中間部M1)の軸方向のずれを抑えることが可能となる。従って、この場合には、ワーク28の熱変位にワイヤWをより精度よく追従させることが可能となり、切断される薄片の反り量をより一層小さく、かつ均一にすることができる。
次に、本発明に係るワイヤソーの第2の実施形態について図4を用いて説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態のワイヤソーにおいて上記ガイドローラ26A(24A,24B,26B)の内部に冷却用のエアが供給可能に構成されたものである。すなわち、ガイドローラ26Aの前記本体部41の内部には、軸方向に貫通する複数の貫通穴43が周方向に等間隔で設けられおり、前記固定軸40の前端部に設けられる導入用ポート82に供給されるエアを、固定軸40等に形成される通路を通じて各貫通穴43に導入する構成となっている。
エアを供給するための通路は、固定軸40の外周面にその全周に亘って形成される溝83と、前記溝83内部と前記導入用ポート82とを連通する固定軸側の通路84と、規制板50の内周面に開口部を有し、各貫通穴43に個別に連通する規制板側の複数の通路50aとにより構成されている。ここで、規制板50の内周面は固定軸40の外周面に摺接しており、前記溝83に対向するようにこの内周面に前記各通路50aの前記開口部が設けられている。この構成により、導入用ポート82に供給されるエアを、固定軸40側の通路84,溝83、規制板50側の各通路50aを通じてガイドローラ26Aの各貫通穴43に導入するようになっている。
一方、前記本体部41後端に固定される上記取付板54には、各貫通穴43に個別に連通し、取付板54の外周面に開口部を有する排気用の通路54aが形成されており、各貫通穴43に導入されたエアが、この通路54aを通じて排出されるようになっている。
なお、エアの供給系統は、コンプレッサ等のエア供給源87で生成される高圧エアを温度調節装置86で所定温度に温度調整した後に、供給通路85を通じて固定軸40の前記導入用ポート82に供給するように構成されている。温度調節装置86は、詳しく図示していないが、エアの冷却部及び加熱部を有するとともに流量制御用の電磁バルブ等を含んでおり、前記制御装置80による制御に基づき前記エアの温度や流量の調整を行うように構成されている。
このような第2実施形態の構成によれば、エアの供給により、ガイドローラ26Aの軸方向の熱変位量を制御することが可能となる。従って、例えば切断中、ワーク28およびガイドローラ26Aの各変位量(伸び量)をセンサで検出し、ワーク28の変位量とガイドローラ26Aの変位量とが等しくなるようにガイドローラ26Aの変位量を制御するようにすれば、薄片の反り量およびばらつきを効果的に抑えることができるようになる。
以上、ガイドローラ26Aについてのその構成および支持構造について作用効果と共に説明したが、この点は、上述した通り他のガイドローラ24A,24B,26Bについても同様である。
ところで、以上説明したワイヤソーは、本発明に係るワイヤソーの好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記各実施形態では、前側軸受44F及び後側軸受44Rとして鍔無し円筒ころ軸受が適用されており、これによって熱膨張に伴うガイドローラ26Aの軸方向変位が可能な構成となっているが、軸受44F,44Rとして上記以外の転がり軸受、例えば中間軸受45と同様の玉軸受を用い、この玉軸受の内輪若しくは外輪をその取付面と接触する部材(すなわち、固定軸40やガイドローラ26Aの本体部41)に対して軸方向に相対変位可能に構成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、温度調整用の流体として冷却水を固定軸40の内部に供給する構成となっているが、第2実施形態のようにエア等の気体を用いることも可能である。同様に、第2実施形態においては、ガイドローラ26Aの温度調整用の流体としてエアに代えて液体を用いることも可能である。その場合、固定軸40の場合と同様に、液体をガイドローラ26Aに対して循環させるように構成してもよい。また、実施形態では、冷却水やエアの供給系統に温度調節機能が組み込まれ、冷却水等の温度が調整可能となっているが、このような機能を省略し、予め定められた特定温度の冷却水やエアを供給する構成としてもよい。
本発明に係るワイヤソー(第1の実施形態)の全体構成を示す概略図である。 ワイヤソーの要部(ガイドローラの支持構造)を示す断面図である。 ガイドローラの要部を示す断面拡大図である。 本発明に係るワイヤソー(第2の実施形態)の全体構成を示す概略図である。 従来のワイヤソーの要部(ガイドローラの支持構造)を示す断面図である。
符号の説明
24A,24B,26A,26B ガイドローラ
28 ワーク
32 ワーク保持部
38F,38R 支持部材
40 固定軸
44F,44R,45 軸受
W ワイヤ

Claims (8)

  1. ワークをその軸方向に並ぶ複数の箇所で同時に切断するためのワイヤソーであって、
    互いに平行に配置される複数の固定軸と、
    各固定軸の周囲に回転可能に支持される複数のガイドローラと、
    これらのガイドローラの間に、当該ガイドローラの軸方向に並ぶ複数の位置にわたって掛け渡される切断用ワイヤと、
    前記固定軸と前記ガイドローラとの間に介在する複数の軸受と、
    前記ワークを、その軸方向と前記ガイドローラの軸方向とが略平行となる姿勢で保持しながら、複数本の前記切断用ワイヤが並ぶ切断領域に対して前記ワークを切断送りすることにより前記切断用ワイヤに前記ワークを切断させるワーク送り手段とを備え、
    前記軸受には、前記固定軸に対する前記ガイドローラの軸方向の相対変位を許容しながら当該ガイドローラの両端部をそれぞれ支持する第1の軸受と、これら第1の軸受同士の間の位置であって前記切断領域内の位置で前記固定軸に対する前記ガイドローラの軸方向の相対変位を規制しながら当該ガイドローラの中間部を支持する第2の軸受とが含まれることを特徴とするワイヤソー。
  2. 請求項1に記載のワイヤソーにおいて、
    前記第1の軸受は、前記ガイドローラのうち切断用ワイヤが掛け渡される領域の両端部分を支持することを特徴とするワイヤソー。
  3. 請求項1又は2に記載のワイヤソーにおいて、
    前記ワーク送り手段に保持されるワークの軸方向中間部と、前記第2の軸受により支持されるガイドローラの前記中間部とが当該ガイドローラの軸方向の同じ位置となるように構成されていることを特徴とするワイヤソー。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載のワイヤソーにおいて、
    前記第1の軸受は、内輪と外輪との相対的な軸方向変位が可能な円筒コロ軸受からなることを特徴とするワイヤソー。
  5. 請求項1乃至3の何れか一項に記載のワイヤソーにおいて、
    前記第1の軸受は、転がり軸受からなり、この転がり軸受けの内輪若しくは外輪がその取付面と接触する部材に対して軸方向に相対変位可能に構成されていることを特徴とするワイヤソー。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載のワイヤソーにおいて、
    前記ガイドローラの内部に流体通路が形成され、この通路に、前記ガイドローラの温度調整用の流体が供給可能に構成されていることを特徴とするワイヤソー。
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載のワイヤソーにおいて、
    前記固定軸の内部に流体通路が形成され、この通路に、前記固定軸の温度調整用の流体が供給可能に構成されていることを特徴とするワイヤソー。
  8. 請求項6又は7に記載のワイヤソーにおいて、
    前記流体通路に供給される流体の温度調整を可能とする温調手段がさらに設けられていることを特徴とするワイヤソー。
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