JP2004114217A - ボルトの締付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のボルトを用いた締結において、軸力ばらつきを抑制しつつ、目標とする締付け力で迅速かつ良好に締結することのできるボルトの締付け方法を提供する。
【解決手段】ナットランナー制御部30は、各ボルト22を順次所定の目標値(目標軸力)が生じるように締付け完了状態に近い状態まで締付ける。その後、ナットランナー制御部30は、各ボルト22に対して、現実の目標値締付けによって生じた軸力を測定し、その軸力と目標軸力の差異を解消するように軸力修正を順次行う。
【選択図】 図1
【解決手段】ナットランナー制御部30は、各ボルト22を順次所定の目標値(目標軸力)が生じるように締付け完了状態に近い状態まで締付ける。その後、ナットランナー制御部30は、各ボルト22に対して、現実の目標値締付けによって生じた軸力を測定し、その軸力と目標軸力の差異を解消するように軸力修正を順次行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルトの締付け方法、特に、複数本のボルトの締付けにより締結が行われる被締結部品において、各ボルトによる締付けのばらつきの抑制が可能なボルトの締付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に部材(被締結部品)の相互締結を行う場合には、複数のボルトが用いられる。例えば、車両用等のエンジンにおいて、シリンダブロックにオイルパンを装着固定する場合には、10本程度、またはそれ以上のボルトを用いて両者の締結固定を行っている。この場合、ボルトは、オイルパンの外周に沿って配置されるのが一般的である。このように複数のボルトにより締結を行う場合、多軸同時締付け、すなわち、各ボルトの締結位置に対応した複数セットの締付け装置(例えばナットランナー)を有する多軸締付け装置を用い、同時に全てのボルトの締め込みを行っている。このような多軸同時締付けの場合、全体の締付け作業時間の短縮を行うことができるが、シリンダブロックやオイルパン等のワークの形状に応じた専用の締付け設備が必要になり汎用性に欠けるという問題がある。
【0003】
そのため、汎用性を重視して1軸毎の締付け、つまり、1つの締付け装置を順次移動させながらボルトの締付け作業を行う方法が考えられる。しかし、1本ずつ締付けを行う場合、先行して締め付けたボルトが後から締め付けられたボルトの締結力の影響を受け緩んでしまうという問題が生じる。この時、できるだけバランスのよい締付け作業を行うように、全部のボルトに対し、仮締め(締結完了となる目標のトルクに対して1/3程度のトルクでの締付け)を行い、その後、本締め(目標トルクでの増し締め)を行うようにしている。しかし、一般には仮締めと本締めのトルク差を大きくする必要がある。締付け力の変化が大きい場合、前述したような他のボルトの本締めの影響による緩みという問題は依然として存在してしまう。前述した締め込みトルクを小さくしなければならない理由は以下の通りである。すなわち、ボルトの本締めをトルクで管理している場合、仮締め完了により一度静止したボルトには、静止摩擦が働いているため本締めのために、再度トルクを付与する場合、静止摩擦に打ち勝つトルクで増し締めを開始しなければならない。この時、仮締めを目標トルク付近まで行っていると、目標トルクを大きくオーバーしてしまい、ワークあるいはボルトの破損を招きかねない。そのため仮締めは、目標トルクより十分に小さなトルク(1/3程度)で完了させておく必要があった。また、増し締め直後のボルトが回り出す時の摩擦は不安定であるため正確な増し締めトルクの管理を行うことができないということも、仮締めトルクを小さく設定しなければ成らない要因である。
【0004】
さらに、トルク管理の場合、トルクを継続して付与している場合にトルクの大きさの把握を行うことができるが、一度トルク付与を中断してしまった後は、正確なトルクの大きさ、つまり、締付け力を把握できなくなってしまうので、本締めを長く行う必要があり、仮締めトルクを小さく設定しなければ成らない要因である。
【0005】
一方、締付け作業が中断してもボルトの締付け状態を継続して把握できるものとして、軸力を用いた管理方法がある。
【0006】
この軸力を用いた締結方法において、安定した締結状態を得る方法として、様々なものが提案されている。例えば、締結後の各ボルトの軸力のばらつきを少なくするように、締付け角度(締付け量)を最適な目標値に選定することが行われている。具体的には、ボルトの回転角度とトルクと軸力との関係を予め測定しておき、締結後のボルトの軸力のばらつきが少なくなるような平均的な締付け角度(締付け量)を算出することにより、締付け力の安定化を図ろうとするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−158355号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の軸力を考慮した管理の方法は、複数のボルトに関し、データを収集して、その平均値より、最適な回転角度とトルク及び軸力の関係を定めて、ボルトの最適な締付け角度を算出しているのみで、現実に複数のボルトの締付けを行った場合に隣接するボルトを含む他のボルトの増し締めにより発生するボルトの緩みに関しては考慮されていない。つまり、理想的な締付けを行った場合の軸力のばらつきの低減は可能であるが、現実の締付けに対応した十分な軸力ばらつきの排除、つまり安定した目標締付け力での締結を行うことはできない。また、従来の締付け作業は、全体の締付けバランスを確保したいという思想に基づき、目標より遙かに少ない値で仮締めを行い、その後本締めを行うという作業形態であることが一般的であり、締付け作業に軸力での管理を導入したとしても、現実に締付けを行うと、やはり、仮締めと本締めとの締付け力のギャップが大きく、上述したような他のボルトの締付けの影響を受けて、大きな緩みが発生し最終的に締付け力が大きくばらついてしまうという問題を有しているのが現状であり、1軸締めにおいても多軸締めと同様に締付け力のばらつきのない安定した締結を行いたいという要望がある。
【0009】
また、締結装置の汎用性を重視しつつも、全ボルトに対する全体の締結作業時間の短縮化を図りたいという要望もある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、複数のボルトを用いた締結において、軸力ばらつきを抑制しつつ、目標とする締付け力で迅速かつ良好に締結することのできるボルトの締付け方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明は、同一の締付け装置により複数本のボルトの締付けを順次行うことにより被締結部品の締結を行うボルトの締付け方法であって、各ボルトに対し所定の目標軸力で締付けを順次行う目標値締付けステップと、被締結部品の全てのボルトに対し目標値締付けが完了した後、個々のボルトの目標値締付け後の軸力を測定し、前記目標軸力との差異に基づいてボルトの軸力修正を行う補正ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
ボルトは、まず所定の目標値(目標軸力)が生じるように締付け完了状態に近い状態まで締付けられる。その後、現実の締付けによって生じた軸力を測定し、その軸力と目標軸力の差異を解消するように修正を行う。この修正は、現実の軸力が目標軸力より少ない場合には増し締めとなり、現実の軸力が目標軸力より大きい場合には、軸力を下げる方向、すなわち緩み方向の調整となる。
【0013】
この構成によれば、最初の段階で、目標値付近まで締付けが行われ、その後の修正で極僅かな増し締めまたは、緩めが行われるので、修正時の軸力変化は小さく、軸力変化による他のボルトへの影響を抑制し、各ボルトを目標とする軸力で正確に迅速に締め付けることができる。また、最初の段階で、目標値に近い軸力で締付けが行われるので、先行して締め付けたボルトは強固に締結されている。
従って後続のボルトの締付けによる緩み影響を受けにくくなっている。そして、前述したように、後から行われる修正は極僅かな量しか行われないので、その修正作業による他のボルトへの緩み影響は無視し得る程度となり、最終的な軸力ばらつきを迅速に抑制することができる。
【0014】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、前記目標値締付けは、高速締付け作業で行い、軸力修正は、高速締付け作業より遅い低速締付け作業で行うことを特徴とする。
【0015】
修正を前提にした目標値締付けを高速で行い、正確に目標値と一致させるための修正は低速で行うので、補正による正確な軸力による締結を行いつつ、複数のボルトを用いた全体の締結作業の時間を短縮化することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0017】
図1には、本実施形態のボルトの締付け方法を実現するボルト締付け装置10の構成概念図が示されている。図1は、1基の締結装置(例えばナットランナー)12を作業空間内を任意の方向に移動させて、所定の締結位置で順次ボルトの締め込み作業を行う装置の例を示す。
【0018】
ナットランナー12は、例えばモータ駆動方式や圧縮エアー駆動方式のものが使用可能である。このナットランナー12を支持するホルダー12aは、図中X方向に伸びるガイドレール14X上を移動可能なガイドレール14Yに取り付けられ、当該ホルダー12aはガイドレール14Yの延設方向に移動可能になっている。従って、ナットランナー12は、ガイドレール14X,14Yによって構成されるXY移動機構14によって、X−Y平面内で任意の位置に移動可能になっている。さらに、ホルダー12aは図中Z軸方向の伸縮機構を有している。従って、ナットランナー12は、締結を行うボルトの直上位置に移動し、その後降下することにより、ボルトの締結作業を行うことができる。
【0019】
なお、締結を行うワークの大きさや形状にもよるが、ワーク側を移動させる構成としてもよい。すなわちワークを支持するベッド16をX−Y平面内で移動可能とし、ナットランナー12側はZ軸方向の昇降機構のみとしてもよい。この場合、図1に示すようにナットランナー12を支持する大きな枠体18を設ける必要がなくなる。なお、図1において、XY移動機構14はラック&ピニオン機構をモータ駆動によって制御したり、ベルトドライブ等の任意の駆動機構を利用可能であり、具体的な位置決め制御は、位置決め装置20に格納された位置制御プログラムに従って行う。
【0020】
一方、ナットランナー12は図2に示すように、ボルト22のボルト頭部22aのほぼ全体を包含しボルト22を回転させて締め付け及び緩めを行うソケット24と、当該ソケット24と接続されソケット24を所定方向に回転させる駆動機構(モータやギア等で構成される)を内臓した本体部26とで構成されている。ソケット24の内部には、ボルト22の軸力を測定するためのデータを収集するための超音波送受信手段(例えば、超音波探触子)28が配置され、ボルト頭部22aから軸方向に超音波パルスを送信し、また、ボルト先端部22bで反射した反射パルスを受信している。
【0021】
この超音波探触子28は、ソケット24がボルト頭部22aにセットされた状態で、ボルト頭部22aの上端面に接触するようになっている。なお、超音波パルスは、伝搬経路中に音響インピーダンスが著しく異なる層、例えば空気層等が存在すると著しく減衰してしまうので、ボルト頭部22aの頂部端面は研磨して、超音波探触子28と密着するようにすることが望ましい。また、音響整合剤(例えばゼリー状のものや油等)を接触面に塗布しておくことが望ましい。また、スプリング等により付勢力を付与して、超音波探触子28とボルト頭部22aとを密着させることも好適である。また、ボルト先端部22b(ネジ側端面)も超音波パルスの良好な反射を得るために研磨することが望ましい。
【0022】
超音波探触子28で収集されたデータ、具体的には、あるタイミングでボルト頭部22aに対して送信された超音波パルスがボルト先端部22bで反射し戻ってくるまでの往復時間は、ナットランナー制御部30(図1参照)に提供され、締結作業時のボルト22の軸力の測定に使用される。
【0023】
ナットランナー制御部30内部には、超音波パルスの送受信制御を行う超音波送受信部、超音波送受信部で取得した超音波パルスの往復時間に基づいて、実際の軸力を算出する軸力算出部等が内蔵されている。一般に、軸力が増加するとボルトの軸方向の長さが増加すると共に、ボルト22内部を伝搬する超音波パルスの伝搬速度が低下する。つまり、超音波パルスの往復時間の変化と軸力の変化とが比例関係を有する。そのため、この関係テーブルを予め準備しておけば、例えば、軸力が発生していない無負荷状態でのボルトの軸方向の超音波パルスの往復時間(軸力0の状態)と、軸力が発生している任意のタイミングの超音波パルスの往復時間との差分を算出すれば、任意のタイミングで発生している軸力を得ることができる。この軸力算出処理を軸力算出部内で行っている。
【0024】
この他、ナットランナー制御部30には、軸力を測定しながら予め設定された軸力の目標値(目標軸力)まで、ナットランナー12を駆動するランナー駆動制御部、ナットランナー12の駆動状態や現在の軸力を表示する表示制御部等が含まれている。
【0025】
本実施形態の特徴的事項は、複数のボルトを用いてワークの締結を行う場合に、まず、各ボルトに対し所定の目標軸力で締付けを順次行い、全てのボルトに対し目標値締付けが完了した後、個々のボルトの締付け後の軸力を測定し、目標軸力との差異に基づいてボルトの軸力修正を行っているところである。
【0026】
具体的な締結作業手順を以下に示す。
【0027】
まず、位置決め装置20によって、ナットランナー12は所望のボルト締結位置に移動する。位置決め装置20には予め締結を行うワークの形状情報やボルト22の締結位置、締結順番等のデータが入力されており、締結作業スタートと共にXY移動機構14を介してナットランナー12を所定位置に移動させる。続いて、ナットランナー制御部30は、ナットランナー12をソケット24とボルト22のボルト頭部22aが良好に係合する位置まで降下させる。
【0028】
この状態、つまり、ボルト22の締め込み前の状態で、ナットランナー制御部30は、超音波送受信部を制御し、超音波パルスの送受信を行い、軸力が発生していない状態のボルト22の超音波パルスの往復時間を収集する。
【0029】
続いて、ナットランナー制御部30は、ランナー駆動制御部を介して、ナットランナー12を回転駆動する。ランナー駆動制御部は、ボルト22が予め設定された軸力を発生するまで高速でナットランナー12を回転駆動する(目標値締付けステップ)。
【0030】
前述したように、軸力は、ボルト22の締め込みによって生じる軸方向の伸びにより変化する超音波パルスの伝搬速度の変化と密接な関係を有し比例して増加する。従って、締め込み前の無負荷状態のボルト22の超音波パルスの往復時間(初期値)を基準に、任意の締め込みタイミングで同じボルト22に対して送受信した超音波パルスの往復時間の差分を得ることにより現実の軸力の大きさを算出することができる。
【0031】
従って、ランナー駆動制御部は、初期値を基準に常時軸力の監視を行い、目標軸力になった時点で制御を停止すればよい。なお、この場合、正確に目標軸力と一致するようにナットランナー12を回転駆動する必要はなく、目標軸力到達時点で制御を停止する、つまり目標軸力をオーバーした状態で停止させてもよいし、駆動停止後のオーバーランを考慮して目標軸力到達直前で制御を停止させてもよい。
【0032】
このような目標値締付けを全てのボルト22に対して行う。例えば、図3に示すように、ボルト22−1〜22−12の順に高速締付け駆動による締付けを行う。なお、この締付けの順番は任意であり、図3に示すように、隣接する個々のボルト22を順に締め込んでいけば、ナットランナー12の移動量を最小にして作業時間を短縮することができる。また、全体の締付けバランスを考慮する場合には、対角線上に存在するボルト22を順次締め込むように順番を決定するようにすれば、締付けに伴うワークの傾きや変形を抑制することができる。
【0033】
ところで、前述したように、複数のボルト22を順次締付けて行くと、後続のボルト22の締め込みを行うことにより、先行して締め付けたボルト22の軸力が低下するという現象が起きる。図4には、3本のボルト22−1〜22−3の軸力変化を例示している。前述したように、ボルト22−1から順に目標軸力Aで高速締付け作業を行うと、ボルト22−1の軸力は、ボルト22−2の締付け作業によって低下する(P−1)。また、ボルト22−2の軸力は、ボルト22−3の締付け作業によって低下する(P−2)。以下同様にボルト22−3の軸力は、後続のボルト締付け作業によって低下する(P−3)。
【0034】
本実施形態において、全てのボルト22に対して目標締付け作業が終了したら、次に軸力修正を行う。位置決め装置20は、XY駆動機構14を制御し、ナットランナー12を再度ボルト22−1の直上に位置決めし、さらに降下させることにより、ボルト22−1のボルト頭部22aとソケット24とを密着させる。
そして、他のボルトの締付け作業により影響受けたボルト22−1の現在の軸力を測定する。つまり、現状の締付け状態における超音波パルスの往復時間を測定し往復時間の変化分に基づいて軸力を算出する。そして、ナットランナー制御部30は目標軸力と現在の軸力との差異を算出し、この差異を解消するように低速でボルト22−1の軸力修正を行う。この場合、図4に示すように、現在の軸力が設定された目標軸力より小さい場合には、増し締め処理を行い目標軸力に一致させる(P−4)。また、現在の軸力が設定された目標軸力より大きい場合には、目標軸力までボルト22−1を低速で緩めることにより目標軸力に一致させる。
【0035】
同様に、ボルト22−2以降のボルトに対しても修正作業を順次行う。この修正作業においても軸力が多少でも増加するので後続のボルトの軸力修正が先行の修正済みボルトの軸力に影響を与える。しかしながら、最初の目標値締付けで最終目標値に近い軸力で締め込みを行っているので、後続のボルト締付けに伴う軸力低下が発生したとしても、目標軸力に到達させるための軸力修正量は僅かである。従って、後続のボルトの軸力修正が行われても、既に軸力修正が完了している先行ボルトの軸力を大きく低下させることはない。つまり、1回の修正作業により各ボルト22を目標軸力にほぼ一致させることができる。
【0036】
なお、実施形態においては、先行して行う目標軸力に向かって、目標値締付けステップで高速締付けを行うので、全体のボルト締付け作業時間の低減に寄与することができる。
【0037】
このように、本実施形態によれば、複数のボルトの締結を1基のナットランナーで順次行うようにしても、多軸締めと同様に軸力ばらつきの少ない締結を迅速に実現することが可能となる。
【0038】
前述したように、本実施形態のボルトの締付け方法によれば、1軸による順次締付けでも多軸締めと同様に、安定した締付け力を迅速に得ることができる。
【0039】
なお、本実施形態においては、軸力修正は、1回で終了する例を示したが、さらに修正作業を追加することにより、目標軸力に実際の軸力を接近させることができる。また、1基の締付け装置で順次複数本のボルトの締め込みを行う構成であれば、例えば、2基、3基の締結装置を平行して使用してもよい。この場合、被締結部品に対する汎用性を考慮しつつ作業効率を向上し、かつ締め込み力(軸力)のばらつきの少ない締結作業を行うことができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、最初の段階で、目標値付近まで締付けが行われ、その後の修正で極僅かな増し締めまたは、緩めが行われるので、修正時の軸力変化は小さく、軸力変化による他のボルトへの影響を抑制し、各ボルトを目標とする軸力で正確に迅速に締め付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るボルトの締付け方法を実現するボルト締付け装置の構成概念図を説明する説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係るボルト締付け装置に使用可能なナットランナーの構成を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係るボルトの締付け方法により目標値締付け及び軸力修正を行う順番例を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係るボルトの締付け方法において、複数のボルトの締め込みを行った場合の軸力の変動を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 ボルト締付け装置、12 ナットランナー、12a ホルダー、14 XY移動機構、14X,14Y ガイドレール、16 ベッド、18 枠体、20 位置決め装置、22 ボルト、22a ボルト頭部、22b ボルト先端部、24 ソケット、26 本体部、28 超音波探触子、30 ナットランナー制御部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルトの締付け方法、特に、複数本のボルトの締付けにより締結が行われる被締結部品において、各ボルトによる締付けのばらつきの抑制が可能なボルトの締付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に部材(被締結部品)の相互締結を行う場合には、複数のボルトが用いられる。例えば、車両用等のエンジンにおいて、シリンダブロックにオイルパンを装着固定する場合には、10本程度、またはそれ以上のボルトを用いて両者の締結固定を行っている。この場合、ボルトは、オイルパンの外周に沿って配置されるのが一般的である。このように複数のボルトにより締結を行う場合、多軸同時締付け、すなわち、各ボルトの締結位置に対応した複数セットの締付け装置(例えばナットランナー)を有する多軸締付け装置を用い、同時に全てのボルトの締め込みを行っている。このような多軸同時締付けの場合、全体の締付け作業時間の短縮を行うことができるが、シリンダブロックやオイルパン等のワークの形状に応じた専用の締付け設備が必要になり汎用性に欠けるという問題がある。
【0003】
そのため、汎用性を重視して1軸毎の締付け、つまり、1つの締付け装置を順次移動させながらボルトの締付け作業を行う方法が考えられる。しかし、1本ずつ締付けを行う場合、先行して締め付けたボルトが後から締め付けられたボルトの締結力の影響を受け緩んでしまうという問題が生じる。この時、できるだけバランスのよい締付け作業を行うように、全部のボルトに対し、仮締め(締結完了となる目標のトルクに対して1/3程度のトルクでの締付け)を行い、その後、本締め(目標トルクでの増し締め)を行うようにしている。しかし、一般には仮締めと本締めのトルク差を大きくする必要がある。締付け力の変化が大きい場合、前述したような他のボルトの本締めの影響による緩みという問題は依然として存在してしまう。前述した締め込みトルクを小さくしなければならない理由は以下の通りである。すなわち、ボルトの本締めをトルクで管理している場合、仮締め完了により一度静止したボルトには、静止摩擦が働いているため本締めのために、再度トルクを付与する場合、静止摩擦に打ち勝つトルクで増し締めを開始しなければならない。この時、仮締めを目標トルク付近まで行っていると、目標トルクを大きくオーバーしてしまい、ワークあるいはボルトの破損を招きかねない。そのため仮締めは、目標トルクより十分に小さなトルク(1/3程度)で完了させておく必要があった。また、増し締め直後のボルトが回り出す時の摩擦は不安定であるため正確な増し締めトルクの管理を行うことができないということも、仮締めトルクを小さく設定しなければ成らない要因である。
【0004】
さらに、トルク管理の場合、トルクを継続して付与している場合にトルクの大きさの把握を行うことができるが、一度トルク付与を中断してしまった後は、正確なトルクの大きさ、つまり、締付け力を把握できなくなってしまうので、本締めを長く行う必要があり、仮締めトルクを小さく設定しなければ成らない要因である。
【0005】
一方、締付け作業が中断してもボルトの締付け状態を継続して把握できるものとして、軸力を用いた管理方法がある。
【0006】
この軸力を用いた締結方法において、安定した締結状態を得る方法として、様々なものが提案されている。例えば、締結後の各ボルトの軸力のばらつきを少なくするように、締付け角度(締付け量)を最適な目標値に選定することが行われている。具体的には、ボルトの回転角度とトルクと軸力との関係を予め測定しておき、締結後のボルトの軸力のばらつきが少なくなるような平均的な締付け角度(締付け量)を算出することにより、締付け力の安定化を図ろうとするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−158355号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の軸力を考慮した管理の方法は、複数のボルトに関し、データを収集して、その平均値より、最適な回転角度とトルク及び軸力の関係を定めて、ボルトの最適な締付け角度を算出しているのみで、現実に複数のボルトの締付けを行った場合に隣接するボルトを含む他のボルトの増し締めにより発生するボルトの緩みに関しては考慮されていない。つまり、理想的な締付けを行った場合の軸力のばらつきの低減は可能であるが、現実の締付けに対応した十分な軸力ばらつきの排除、つまり安定した目標締付け力での締結を行うことはできない。また、従来の締付け作業は、全体の締付けバランスを確保したいという思想に基づき、目標より遙かに少ない値で仮締めを行い、その後本締めを行うという作業形態であることが一般的であり、締付け作業に軸力での管理を導入したとしても、現実に締付けを行うと、やはり、仮締めと本締めとの締付け力のギャップが大きく、上述したような他のボルトの締付けの影響を受けて、大きな緩みが発生し最終的に締付け力が大きくばらついてしまうという問題を有しているのが現状であり、1軸締めにおいても多軸締めと同様に締付け力のばらつきのない安定した締結を行いたいという要望がある。
【0009】
また、締結装置の汎用性を重視しつつも、全ボルトに対する全体の締結作業時間の短縮化を図りたいという要望もある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、複数のボルトを用いた締結において、軸力ばらつきを抑制しつつ、目標とする締付け力で迅速かつ良好に締結することのできるボルトの締付け方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明は、同一の締付け装置により複数本のボルトの締付けを順次行うことにより被締結部品の締結を行うボルトの締付け方法であって、各ボルトに対し所定の目標軸力で締付けを順次行う目標値締付けステップと、被締結部品の全てのボルトに対し目標値締付けが完了した後、個々のボルトの目標値締付け後の軸力を測定し、前記目標軸力との差異に基づいてボルトの軸力修正を行う補正ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
ボルトは、まず所定の目標値(目標軸力)が生じるように締付け完了状態に近い状態まで締付けられる。その後、現実の締付けによって生じた軸力を測定し、その軸力と目標軸力の差異を解消するように修正を行う。この修正は、現実の軸力が目標軸力より少ない場合には増し締めとなり、現実の軸力が目標軸力より大きい場合には、軸力を下げる方向、すなわち緩み方向の調整となる。
【0013】
この構成によれば、最初の段階で、目標値付近まで締付けが行われ、その後の修正で極僅かな増し締めまたは、緩めが行われるので、修正時の軸力変化は小さく、軸力変化による他のボルトへの影響を抑制し、各ボルトを目標とする軸力で正確に迅速に締め付けることができる。また、最初の段階で、目標値に近い軸力で締付けが行われるので、先行して締め付けたボルトは強固に締結されている。
従って後続のボルトの締付けによる緩み影響を受けにくくなっている。そして、前述したように、後から行われる修正は極僅かな量しか行われないので、その修正作業による他のボルトへの緩み影響は無視し得る程度となり、最終的な軸力ばらつきを迅速に抑制することができる。
【0014】
上記のような目的を達成するために、本発明は、上記構成において、前記目標値締付けは、高速締付け作業で行い、軸力修正は、高速締付け作業より遅い低速締付け作業で行うことを特徴とする。
【0015】
修正を前提にした目標値締付けを高速で行い、正確に目標値と一致させるための修正は低速で行うので、補正による正確な軸力による締結を行いつつ、複数のボルトを用いた全体の締結作業の時間を短縮化することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0017】
図1には、本実施形態のボルトの締付け方法を実現するボルト締付け装置10の構成概念図が示されている。図1は、1基の締結装置(例えばナットランナー)12を作業空間内を任意の方向に移動させて、所定の締結位置で順次ボルトの締め込み作業を行う装置の例を示す。
【0018】
ナットランナー12は、例えばモータ駆動方式や圧縮エアー駆動方式のものが使用可能である。このナットランナー12を支持するホルダー12aは、図中X方向に伸びるガイドレール14X上を移動可能なガイドレール14Yに取り付けられ、当該ホルダー12aはガイドレール14Yの延設方向に移動可能になっている。従って、ナットランナー12は、ガイドレール14X,14Yによって構成されるXY移動機構14によって、X−Y平面内で任意の位置に移動可能になっている。さらに、ホルダー12aは図中Z軸方向の伸縮機構を有している。従って、ナットランナー12は、締結を行うボルトの直上位置に移動し、その後降下することにより、ボルトの締結作業を行うことができる。
【0019】
なお、締結を行うワークの大きさや形状にもよるが、ワーク側を移動させる構成としてもよい。すなわちワークを支持するベッド16をX−Y平面内で移動可能とし、ナットランナー12側はZ軸方向の昇降機構のみとしてもよい。この場合、図1に示すようにナットランナー12を支持する大きな枠体18を設ける必要がなくなる。なお、図1において、XY移動機構14はラック&ピニオン機構をモータ駆動によって制御したり、ベルトドライブ等の任意の駆動機構を利用可能であり、具体的な位置決め制御は、位置決め装置20に格納された位置制御プログラムに従って行う。
【0020】
一方、ナットランナー12は図2に示すように、ボルト22のボルト頭部22aのほぼ全体を包含しボルト22を回転させて締め付け及び緩めを行うソケット24と、当該ソケット24と接続されソケット24を所定方向に回転させる駆動機構(モータやギア等で構成される)を内臓した本体部26とで構成されている。ソケット24の内部には、ボルト22の軸力を測定するためのデータを収集するための超音波送受信手段(例えば、超音波探触子)28が配置され、ボルト頭部22aから軸方向に超音波パルスを送信し、また、ボルト先端部22bで反射した反射パルスを受信している。
【0021】
この超音波探触子28は、ソケット24がボルト頭部22aにセットされた状態で、ボルト頭部22aの上端面に接触するようになっている。なお、超音波パルスは、伝搬経路中に音響インピーダンスが著しく異なる層、例えば空気層等が存在すると著しく減衰してしまうので、ボルト頭部22aの頂部端面は研磨して、超音波探触子28と密着するようにすることが望ましい。また、音響整合剤(例えばゼリー状のものや油等)を接触面に塗布しておくことが望ましい。また、スプリング等により付勢力を付与して、超音波探触子28とボルト頭部22aとを密着させることも好適である。また、ボルト先端部22b(ネジ側端面)も超音波パルスの良好な反射を得るために研磨することが望ましい。
【0022】
超音波探触子28で収集されたデータ、具体的には、あるタイミングでボルト頭部22aに対して送信された超音波パルスがボルト先端部22bで反射し戻ってくるまでの往復時間は、ナットランナー制御部30(図1参照)に提供され、締結作業時のボルト22の軸力の測定に使用される。
【0023】
ナットランナー制御部30内部には、超音波パルスの送受信制御を行う超音波送受信部、超音波送受信部で取得した超音波パルスの往復時間に基づいて、実際の軸力を算出する軸力算出部等が内蔵されている。一般に、軸力が増加するとボルトの軸方向の長さが増加すると共に、ボルト22内部を伝搬する超音波パルスの伝搬速度が低下する。つまり、超音波パルスの往復時間の変化と軸力の変化とが比例関係を有する。そのため、この関係テーブルを予め準備しておけば、例えば、軸力が発生していない無負荷状態でのボルトの軸方向の超音波パルスの往復時間(軸力0の状態)と、軸力が発生している任意のタイミングの超音波パルスの往復時間との差分を算出すれば、任意のタイミングで発生している軸力を得ることができる。この軸力算出処理を軸力算出部内で行っている。
【0024】
この他、ナットランナー制御部30には、軸力を測定しながら予め設定された軸力の目標値(目標軸力)まで、ナットランナー12を駆動するランナー駆動制御部、ナットランナー12の駆動状態や現在の軸力を表示する表示制御部等が含まれている。
【0025】
本実施形態の特徴的事項は、複数のボルトを用いてワークの締結を行う場合に、まず、各ボルトに対し所定の目標軸力で締付けを順次行い、全てのボルトに対し目標値締付けが完了した後、個々のボルトの締付け後の軸力を測定し、目標軸力との差異に基づいてボルトの軸力修正を行っているところである。
【0026】
具体的な締結作業手順を以下に示す。
【0027】
まず、位置決め装置20によって、ナットランナー12は所望のボルト締結位置に移動する。位置決め装置20には予め締結を行うワークの形状情報やボルト22の締結位置、締結順番等のデータが入力されており、締結作業スタートと共にXY移動機構14を介してナットランナー12を所定位置に移動させる。続いて、ナットランナー制御部30は、ナットランナー12をソケット24とボルト22のボルト頭部22aが良好に係合する位置まで降下させる。
【0028】
この状態、つまり、ボルト22の締め込み前の状態で、ナットランナー制御部30は、超音波送受信部を制御し、超音波パルスの送受信を行い、軸力が発生していない状態のボルト22の超音波パルスの往復時間を収集する。
【0029】
続いて、ナットランナー制御部30は、ランナー駆動制御部を介して、ナットランナー12を回転駆動する。ランナー駆動制御部は、ボルト22が予め設定された軸力を発生するまで高速でナットランナー12を回転駆動する(目標値締付けステップ)。
【0030】
前述したように、軸力は、ボルト22の締め込みによって生じる軸方向の伸びにより変化する超音波パルスの伝搬速度の変化と密接な関係を有し比例して増加する。従って、締め込み前の無負荷状態のボルト22の超音波パルスの往復時間(初期値)を基準に、任意の締め込みタイミングで同じボルト22に対して送受信した超音波パルスの往復時間の差分を得ることにより現実の軸力の大きさを算出することができる。
【0031】
従って、ランナー駆動制御部は、初期値を基準に常時軸力の監視を行い、目標軸力になった時点で制御を停止すればよい。なお、この場合、正確に目標軸力と一致するようにナットランナー12を回転駆動する必要はなく、目標軸力到達時点で制御を停止する、つまり目標軸力をオーバーした状態で停止させてもよいし、駆動停止後のオーバーランを考慮して目標軸力到達直前で制御を停止させてもよい。
【0032】
このような目標値締付けを全てのボルト22に対して行う。例えば、図3に示すように、ボルト22−1〜22−12の順に高速締付け駆動による締付けを行う。なお、この締付けの順番は任意であり、図3に示すように、隣接する個々のボルト22を順に締め込んでいけば、ナットランナー12の移動量を最小にして作業時間を短縮することができる。また、全体の締付けバランスを考慮する場合には、対角線上に存在するボルト22を順次締め込むように順番を決定するようにすれば、締付けに伴うワークの傾きや変形を抑制することができる。
【0033】
ところで、前述したように、複数のボルト22を順次締付けて行くと、後続のボルト22の締め込みを行うことにより、先行して締め付けたボルト22の軸力が低下するという現象が起きる。図4には、3本のボルト22−1〜22−3の軸力変化を例示している。前述したように、ボルト22−1から順に目標軸力Aで高速締付け作業を行うと、ボルト22−1の軸力は、ボルト22−2の締付け作業によって低下する(P−1)。また、ボルト22−2の軸力は、ボルト22−3の締付け作業によって低下する(P−2)。以下同様にボルト22−3の軸力は、後続のボルト締付け作業によって低下する(P−3)。
【0034】
本実施形態において、全てのボルト22に対して目標締付け作業が終了したら、次に軸力修正を行う。位置決め装置20は、XY駆動機構14を制御し、ナットランナー12を再度ボルト22−1の直上に位置決めし、さらに降下させることにより、ボルト22−1のボルト頭部22aとソケット24とを密着させる。
そして、他のボルトの締付け作業により影響受けたボルト22−1の現在の軸力を測定する。つまり、現状の締付け状態における超音波パルスの往復時間を測定し往復時間の変化分に基づいて軸力を算出する。そして、ナットランナー制御部30は目標軸力と現在の軸力との差異を算出し、この差異を解消するように低速でボルト22−1の軸力修正を行う。この場合、図4に示すように、現在の軸力が設定された目標軸力より小さい場合には、増し締め処理を行い目標軸力に一致させる(P−4)。また、現在の軸力が設定された目標軸力より大きい場合には、目標軸力までボルト22−1を低速で緩めることにより目標軸力に一致させる。
【0035】
同様に、ボルト22−2以降のボルトに対しても修正作業を順次行う。この修正作業においても軸力が多少でも増加するので後続のボルトの軸力修正が先行の修正済みボルトの軸力に影響を与える。しかしながら、最初の目標値締付けで最終目標値に近い軸力で締め込みを行っているので、後続のボルト締付けに伴う軸力低下が発生したとしても、目標軸力に到達させるための軸力修正量は僅かである。従って、後続のボルトの軸力修正が行われても、既に軸力修正が完了している先行ボルトの軸力を大きく低下させることはない。つまり、1回の修正作業により各ボルト22を目標軸力にほぼ一致させることができる。
【0036】
なお、実施形態においては、先行して行う目標軸力に向かって、目標値締付けステップで高速締付けを行うので、全体のボルト締付け作業時間の低減に寄与することができる。
【0037】
このように、本実施形態によれば、複数のボルトの締結を1基のナットランナーで順次行うようにしても、多軸締めと同様に軸力ばらつきの少ない締結を迅速に実現することが可能となる。
【0038】
前述したように、本実施形態のボルトの締付け方法によれば、1軸による順次締付けでも多軸締めと同様に、安定した締付け力を迅速に得ることができる。
【0039】
なお、本実施形態においては、軸力修正は、1回で終了する例を示したが、さらに修正作業を追加することにより、目標軸力に実際の軸力を接近させることができる。また、1基の締付け装置で順次複数本のボルトの締め込みを行う構成であれば、例えば、2基、3基の締結装置を平行して使用してもよい。この場合、被締結部品に対する汎用性を考慮しつつ作業効率を向上し、かつ締め込み力(軸力)のばらつきの少ない締結作業を行うことができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、最初の段階で、目標値付近まで締付けが行われ、その後の修正で極僅かな増し締めまたは、緩めが行われるので、修正時の軸力変化は小さく、軸力変化による他のボルトへの影響を抑制し、各ボルトを目標とする軸力で正確に迅速に締め付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るボルトの締付け方法を実現するボルト締付け装置の構成概念図を説明する説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係るボルト締付け装置に使用可能なナットランナーの構成を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係るボルトの締付け方法により目標値締付け及び軸力修正を行う順番例を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係るボルトの締付け方法において、複数のボルトの締め込みを行った場合の軸力の変動を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 ボルト締付け装置、12 ナットランナー、12a ホルダー、14 XY移動機構、14X,14Y ガイドレール、16 ベッド、18 枠体、20 位置決め装置、22 ボルト、22a ボルト頭部、22b ボルト先端部、24 ソケット、26 本体部、28 超音波探触子、30 ナットランナー制御部。
Claims (2)
- 同一の締付け装置により複数本のボルトの締付けを順次行うことにより被締結部品の締結を行うボルトの締付け方法であって、
各ボルトに対し所定の目標軸力で締付けを順次行う目標値締付けステップと、被締結部品の全てのボルトに対し目標値締付けが完了した後、個々のボルトの目標値締付け後の軸力を測定し、前記目標軸力との差異に基づいてボルトの軸力修正を行う補正ステップと、
を含むことを特徴とするボルトの締付け方法。 - 請求項1記載の方法において、
前記目標値締付けは、高速締付け作業で行い、軸力修正は、高速締付け作業より遅い低速締付け作業で行うことを特徴とするボルトの締付け方法。
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- 2002-09-25 JP JP2002279889A patent/JP2004114217A/ja active Pending
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