JP2004114075A - レーザ加工装置 - Google Patents

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Nichikai Ri
李 日会
Junichi Ogawa
小川 純一
Noriyoshi Kuriyama
栗山 規由
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Abstract

【課題】レーザ光の吸収率が低い被加工物を容易かつ確実に加工できるレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】YAG3倍高調波のレーザ光LBに対して透明な材料にて形成したステージ5上に被加工物Sを固定し、該レーザ光LBを繰り返しパルス照射する。短波長レーザであるので、集光レンズ4にて狭く絞って空間的エネルギー密度を高くでき、表面近傍等に散在する、格子欠陥や表面準位などのバルクからずれたエネルギー準位での光吸収確率を高められるので、レーザ吸収率の低い被加工物やサファイア等の硬くかつ脆性を有する被加工物でも深い溝や貫通孔の形成が容易となる。また、不活性ガスを被加工物Sの表面に流しつつ加工することで、加工部位へのパーティクル等の付着を抑制し、加工効率の低下を防止できる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を用いて微細加工を行う加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、サファイアなど硬度が高く、かつ脆性を有する基板材料や、短波長LD(レーザダイオード)、LED(発光ダイオード)に用いられるバンドギャップの大きい化合物半導体材料の加工は、ダイヤモンドブレードなどによる機械的加工が主流であった。こうした機械的加工の場合、ダイヤモンドブレードなど消耗が著しく、加工コスト抑制の妨げになっていた。また、脆性に起因したチッピング等の不良が生じるという問題もあった。
【0003】
一方、レーザ光を利用した加工技術も広く用いられているが、上記のような材料の場合は、レーザ光の吸収率が小さいことから、主として、スクライブ加工など、レーザ光の照射面から数μm程度までの加工に利用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−163403号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そうしたスクライブ加工を行って基板を分割する場合、分割のための切り代が100μm程度必要であった。一の基板からの取り個数を増やすには、この切り代をより狭くすることが効果的であるが、従来の長波長レーザ加工技術においては、これを実現することは困難であった。
【0006】
また、レーザの吸収率の小さい材料からなる物体に、深くかつ底部が平坦な凹部を形成するザグリ加工や貫通穴を形成する穴空け加工、あるいは物体を切削するダイシング加工などを行うには、非常に高いエネルギーのレーザ光を照射する必要があるが、それに伴って生じる発熱などにより、被加工物に対し与えるダメージが大きいことから、こうした加工の実現は困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、レーザ光の吸収率が低い材料からなる物体を容易かつ確実に加工することができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、被加工物の被加工部位に、レーザ光を集光して照射することによって被加工部位の除去を行うレーザ加工装置であって、前記レーザ光が、210nm〜533nmの波長範囲に属する波長を有し、5nsec〜50nsecの範囲に属するパルス幅で繰り返し照射されるパルスレーザである、ことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のレーザ加工装置であって、前記被加工物を載置するためのステージを備え、前記ステージが、使用するレーザ波長に対して実質的に透明な材料で形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のレーザ加工装置であって、前記レーザ光の集光点付近にアシストガスを供給するアシストガス供給路と、前記集光点付近から前記アシストガスを吸引するアシストガス排気路と、を有する集塵ヘッドが、レーザヘッドの先端付近に付設されている、ことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載のレーザ加工装置であって、前記集塵ヘッドにおいて、集光レンズの被加工物側の直下であって前記被加工部位の直上を前記アシストガスの流路が横切るように、前記アシストガス供給路と前記アシストガス排気路とが設けられることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載のレーザ加工装置であって、前記集塵ヘッドにおいて、前記集光レンズの被加工物側直下であって前記ガス流路の上部位置に、使用するレーザ波長に対して実質的に透明な板材が着脱可能に設けられることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1に記載のレーザ加工装置であって、底部にて前記被加工物を保持する容器と、前記容器に所定の処理液を循環供給する処理液供給手段と、を備え、前記容器に前記処理液を充填した状態で加工を行うことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項6に記載のレーザ加工装置であって、前記レーザ光に対して透明な窓を有し、前記容器に着脱可能な蓋体を備え、前記蓋体を前記容器に装着した状態で前記加工を行うことを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項6に記載のレーザ加工装置であって、前記被加工物を所定のホルダーに装着した状態で前記底部に固定することを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のレーザ加工装置であって、前記レーザとしてYAG第3高調波を用いることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態>
<装置構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレーザ加工装置100の構成を示す図である。レーザ加工装置100は、レーザ光源1からレーザ光LBを発し、鏡筒2内に備わるハーフミラー3にて反射させた後、該レーザ光をステージ5に載置された被加工物Sの被加工部位にて合焦するよう集光レンズ4にて集光し、被加工部位に照射することによって、該被加工部位のアブレーション加工を行う装置である。レーザ加工装置100の動作は、コンピュータ6によって実行されるプログラム10に従って後述する各部の動作が制御されることにより実現される。コンピュータ6には、汎用のパーソナルコンピュータ(PC)を用いることができる。
【0018】
レーザ光源1としては、Nd:YAGレーザを用いるのが好適な態様である。また、レーザ光源1から発せられるレーザ光LBの波長や出力、パルス幅の調整は、コンピュータ6に接続されたコントローラ7により実現される。コンピュータ6から所定の設定信号がコントローラ7に対し発せられると、コントローラ7は、該設定信号に従って、レーザ光LBの照射条件を設定する。本実施の形態においては、レーザ光LBは210nm〜533nmの波長範囲に属する波長を有するが、なかでもNd:YAGレーザの3倍高調波(波長約355nm)を用いるのが好適な態様である。また、パルス幅は、5nsec〜50nsecの中から選択することができる。すなわち、本実施の形態に係るレーザ加工装置100は、紫外線繰返しパルスレーザを用いて加工を行うものである。レーザ光LBは、集光レンズ4によって数μm程度のビーム径に絞られて照射される。これにより、レーザ光LBの照射におけるエネルギー密度はおおよそ100J/cm〜100kJ/cm、ピークパワー密度はおおよそ1GW/cm〜500GW/cmとなる。このようなレーザ光LBを使用することによって、従来では困難であった加工が可能となる理由については後述する。
【0019】
レーザ加工装置100におけるレーザの合焦は、被加工物Sはステージ5に固定し、鏡筒2を高さ方向(z軸方向)に移動させることにより実現される。鏡筒2の移動(高さ調整)は、垂直移動機構Mvと、該垂直移動機構Mvに昇降可能に設けられた鏡筒2とをコンピュータ6に接続された駆動手段8によって駆動することにより実現されている。これにより、垂直移動機構Mvを駆動することによる粗動動作と、垂直移動機構Mvに対し鏡筒2を昇降させることによる微動動作との2段階動作が可能であり、駆動手段8がコンピュータ6からの駆動信号に応答することにより、スピーディかつ高精度の合焦動作が実現される。
【0020】
図2は、ステージ5の上面側の構造を例示的に示す図である。図2に示すステージ5の上面には、同心円状に複数の吸引溝51が設けられており、この吸引溝51の底部には、吸引孔52が放射状に設けられている。被加工物Sをステージ5の上面に載置した状態で、吸引孔52と配管PL1およびPL2にて接続された例えば吸引ポンプなどの吸引手段9を動作させることにより、被加工物Sに対して吸引溝51に沿って吸引力が作用し、被加工物Sがステージ5に固定される。なお、被化合物Sが半導体基板等のように加工後に分割されるようなものの場合、所定のエキスパンドテープを介して固定される。これにより、化合物半導体をサファイア基板にエピタキシャル成長させた被加工物など、反りのある被加工物であっても、反りによる凹凸差がレーザ光LBの焦点位置許容範囲内である数μmから数十μm程度であれば、加工が可能である。
【0021】
また、ステージ5は、例えば石英、サファイア、窒化ガリウム、水晶など、レーザ光LBの波長に対して実質的に透明な材料で形成される。これにより、被加工物を透過したレーザ光LBや被加工物をはずれて照射されたレーザ光(これらを「余剰レーザ光」と称する)がステージ5の表面で吸収されないので、該余剰レーザ光によってステージ5がダメージを受けることがない。
【0022】
さらに、ステージ5は、駆動手段8によってxy2軸方向に駆動される水平移動機構Mhの上に設けられており、コンピュータ6からの駆動信号に応答して駆動手段8が水平移動機構Mhを駆動することにより、被加工物Sの所定の被加工部位を、レーザ光LBの照射位置まで移動させることができるほか、加工時には、レーザ光LBを被加工物Sに対し相対的に走査することができる。
【0023】
一方、加工を行う際、被加工部位の物質が融解あるいは蒸発した後に再固化ししたり、あるいは固体のまま飛散したりすることで生じる、パーティクル等の加工副産物は、被加工物Sの表面や集光レンズ等を汚染する要因となる。そこで、本実施形態に係るレーザ加工装置100には、こうした加工副産物を除去することを目的とする集塵ヘッド11が、支持体111により支持されて垂直移動機構Mvの最下部に付設されている。
【0024】
図3は、集塵ヘッド11を示す図である。図3(a)は集塵ヘッド11および支持体111の上面図、図3(b)および(c)は、集塵ヘッド11の側面図である。集塵ヘッド11は、平板状かつ中空の構造を有する集塵部112と、それぞれが該集塵部112の端部かつ上部に設けられ、集塵部112の内部と通じた吸気口113と排気口114とからなる。
【0025】
集塵部112は、被加工物Sと鏡筒2の最下部に備わる集光レンズ4との間に位置するように設けられる。そして集塵部112には、上面からみた場合に中央部となる位置の上下にそれぞれ、上部開口115および下部開口116が設けられている(図3(b))。これらの上部開口115および下部開口116は、その中心がちょうどレーザ光LBの光軸と一致するように設けられているので、集塵ヘッド11によってレーザ光LBの進路が遮られることはない。また、集塵ヘッド11は、垂直移動機構Mvに付設されているので、垂直移動機構Mvが上下すると共に、集塵ヘッド11、つまりは集塵部112も上下するが、前述したように鏡筒2は単独で上下動することも可能であるので、集塵部112の配置により、レーザ光LBの合焦位置が制限されることもない。
【0026】
吸気口113は、例えばレーザ加工装置100が設置される工場等のユーティリティとして備わる不活性ガス供給手段12と、配管PL3により接続されている。排気口114は、例えば排気ポンプ等により実現される排気手段13と、配管PL4により接続されている。配管PL3およびPL4の途中にはそれぞれ、フィルタ121および131が設けられている。
【0027】
不活性ガス供給手段12は、不活性ガス(例えば窒素ガス)を連続的に供給することができるものである。矢印AR1(図1)のように、不活性ガス供給手段12から供給される不活性ガスは、集塵ヘッド11において吸気口113から矢印AR3のように集塵部112へ供給され、排気手段13の排気動作によって、矢印AR2(図1)およびAR4に示すように、排気口114を経て排気される。よって集塵部112の内部には、矢印AR5のように吸気口113から排気口114へ向けた不活性ガスの流れが生じることになるが、これに伴って、例えば上部開口115や下部開口116の近傍に引圧が発生するので、付近に存在するパーティクル117が、集塵部112へと引き込まれて、矢印AR6のように不活性ガスともども排気口114から排出されることになる。このような態様によって、レーザ加工により発生したパーティクル等の加工副産物が、被加工物Sの表面や、あるいは集光レンズ4に付着することが防止され、加工効率の低下が防止される。いわば、不活性ガスは、加工の際のアシストガスとして作用することになる。
【0028】
あるいは、図3(c)に示すように、例えば石英など、レーザ光LBに対し透明な物質を材質とする蓋体板材118によって、上部開口115を着脱可能に覆う態様をとることにより、集光レンズ4に対するパーティクルの付着を防止する態様をとってもよい。
【0029】
図1に戻り、レーザ加工装置100に備わる、被加工部位の位置決めや、加工中の状況を知るための構成要素について説明する。レーザ加工装置100には、これらの目的のために、照明光源14と、該照明光源14から発せられた照明光ILを反射して被加工物Sに照射するために鏡筒2内に設けられたハーフミラー15と、鏡筒2の上方に設けられ被加工物Sの表面を撮像するCCDカメラ16と、CCDカメラ16により撮影される画像を表示するためのモニタ17とが備わっている。CCDカメラ16とモニタ17とは、コンピュータ6に接続され、該コンピュータ6によって制御される。これらを備えることにより、被加工物Sの表面の状態をモニタ17にて確認しつつ、被加工部位の位置決めを行ったり、あるいは加工中の被加工物表面の状況を知ることが可能となっている。
【0030】
<加工処理例>
以下、本実施の形態に係るレーザ加工装置100における加工処理の代表的な例を説明する。
【0031】
図4は、レーザ加工装置100において、円板状の被加工物S1に対しダイシング加工を施す場合について例示的に示す図である。
【0032】
図4(a)は、レーザ光LBの走査範囲、すなわち、ダイシング加工におけるカットラインCLを、被加工物S1からはみ出させることなく、ダイシング加工を行った場合を示す図である。被加工物S(S1)の配置位置と、サイズ情報(この場合には直径)と、ダイシング間隔とコンピュータ6に入力することにより、各カットラインCLの位置及び走査範囲が定まるので、各カットラインCLごとに、該定められた走査範囲に従って、レーザ光LBを往復走査しつつ照射することにより、被加工物S1からレーザ光LBをはみ出させることなくダイシング加工を行うことが可能である。
【0033】
もちろん、被加工物Sの形状に関わらず、レーザ光LBを一定距離ずつ走査してダイシングする態様も可能である。この場合は、被加工物S2からはみ出した余剰レーザがステージ5に照射される。ステージ5はレーザ光LBに対して透明ではあるので、こうした態様でも著しい不都合はないが、図4(b)に示すように、被加工物S2を該被加工物S2よりも大きな保護板18にいったん固定したうえでステージ5に載置し、加工をする態様をとる方が、より好ましい。
【0034】
図4においては図示を省略したが、上述したように、基板等の被加工物は、エキスパンドテープに貼付したうえでステージ5に固定される。図5は、ダイシング加工の際に、エキスパンドテープに貼付した被加工物の取り扱いについて説明する図である。
【0035】
図5(a)は、エキスパンドテープETに貼付した被加工物Sをダイシング加工した直後の被加工物の状態を示す例である。この状態では、被加工物Sは複数のチップCPにカットされてはいるものの、各チップCPは互いに密接したまま状態であるので、このままではそれぞれを個別にエキスパンドテープETから引きはがすことができない。そこでまず、図5(a)に示すようにエキスパンドテープETの四方に張力Tを作用させて、該エキスパンドテープETを拡張させる。すると図5(a)に示すように、各チップCP同士が離間することになる。その後、図5(c)に示すようにエキスパンドテープETの裏面からUV光を照射すると、エキスパンドテープETの接着力が弱められるので、エキスパンドテープETから各チップCPを容易に離脱できるようになり、チップCPの回収なされることになる。
【0036】
図6は、他の加工例について示す図である。いずれも厚さが330μmのサファイア基板に対し加工を施した例である。
【0037】
図6(a)は、100μmの深さのスクライブ加工を施した例である。前述したように、本実施の形態では数μm程度のビーム径を有するレーザ光LBを照射するので、幅が約30μm以下、深さは数μmから100μm以上の範囲で制御され、従来に比して著しくアスペクト比の高いスクライブ溝を、チッピングを生じさせることなく形成可能である。よって、半導体デバイス製造工程においては、こうしたアスペクト比の高いスクライブ加工を施すことによって、後工程での各チップ分割のための切り代を従来よりも小さくしても、確実に分割を行えることになる。
【0038】
図6(b)および(c)はいずれも、貫通穴加工を施した例である。図6(b)は、縦0.4mm、横1.0mmの矩形断面を有する貫通穴(面貫通穴)を形成した例である。図6(c)は、直径30μmの円形断面を有する貫通穴を形成した例である。それぞれ、矩形ないしは円の周上にレーザ光LBが繰り返し照射されるように水平移動機構Mhを駆動することにより、該貫通穴加工が実現される。
【0039】
図6(d)は、幅50μm、深さ105μmの溝加工を施した例である。この場合、照射ビーム径に比して溝の幅が大きいが、例えばレーザ光LBが長手方向に繰り返しラスター走査されるよう水平移動機構Mhを駆動することにより、該溝加工が実現される。
【0040】
図6(e)は、被加工物上面から230μmの深さまでは縦0.8mm、横1.2mmの矩形断面を有するように、その下方は縦、横ともに周が0.2mmずつ小さい矩形断面を有するように、そして、途中の段差部分は、表面粗さが5μmとなるようにザグリ加工をした例である。こうした深さを制御したザグリ加工などのように、複数の加工条件を組み合わせて複雑な形状を実現することも可能である。
【0041】
<本発明におけるレーザ加工の特徴>
次に、上述したような加工を実現する本実施の形態に係るレーザ加工装置100における加工の特徴について説明する。
【0042】
一般に、サファイヤなどのように硬度が高くかつ脆性な被加工物(以下「ハードマテリアル」)は、被加工部位にかなりのパワーを与えないと加工できない。ところが連続発光のレーザ光を長時間にわたって照射すると、それによって生じる熱が被加工物に蓄積され、それに起因して被加工物にクラックが生じたり溶融したりする。したがって、深い溝や貫通孔の形成は困難である。
【0043】
一方、レーザ加工装置100はパルスレーザを用いて加工するので、エネルギーを時間的に集中させることができ、被加工物のうちレーザ集光点の部位に存在する部分が短時間に蒸発または飛散する。これにより、被加工物がハードマテリアルであっても、被加工部位の周辺に与えるダメージが少ないという利点がある。
【0044】
また、短波長レーザ光を用いていることから、集光レンズを用いて狭く絞ることが可能であり、空間的なエネルギー密度を高めることができることも、ハードマテリアルの加工が可能であることの要因の1つである。
【0045】
レーザ加工装置100においては、被加工物が、レーザ光に対して比較的透明な物質であっても加工が可能であることが、本発明の発明者によって実験的に確認されている。本発明で用いるレーザ光のフォトンエネルギーは被加工物のバンドギャップよりもはるかに小さいことを考慮すると、被加工物において、▲1▼固体(バルク)内の格子欠陥のエネルギーレベル、および▲2▼固体表面のエネルギーレベル、を介した光吸収がなされていることにより、そうした比較的透明な物質の加工が可能であると推察される。例えば被加工物の材質がサファイアであるとき、この被加工物のバルクのバンドギャップは通常9eVであるが、これはもっとも好適なレーザ波長である355nmに相当するエネルギーである3.5eVよりもはるかに大きなエネルギーギャップであるが、本実施形態に係るレーザ加工装置100によって、十分に加工できることが、実験的に判明している。
【0046】
本実施の形態に係るレーザ加工装置100は、こうした特徴を活かしてレーザ光のスポット径やパルス幅、エネルギー等を最適に選択したうえで加工を施すので、上述したような加工例をはじめ、種々の微細加工を施すことが可能である。
【0047】
<第2の実施の形態>
レーザ光を利用した加工の態様は、上述の実施の形態には限定されない。本実施の形態においては、所定の処理液に被加工物を浸漬した状態でレーザ加工を施す態様について説明する。
【0048】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るレーザ加工装置200の構成を示す図である。レーザ加工装置200が備える、第1の実施の形態に係るレーザ加工装置100と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
上述のように、本実施の形態の特徴は、処理液中で被加工物に加工を施すことにある。そのため、レーザ加工装置200においては、所定の処理液LQにて内部を満たした処理容器19を備え、該処理容器19をステージ5にて吸引固定し、被加工物Sを該処理液LQ中に浸漬した状態で加工を施す。
【0050】
図8は、処理容器19の外観斜視図である。また、図9は、処理容器19の構造を示す断面図である。処理容器19は容器本体191と該容器本体191に着脱可能な蓋体192とからなる。
【0051】
容器本体191においては、被加工物Sをホルダー193に固定した後、ホルダー193ごと容器本体191の底部にさらに嵌合することにより、被加工物が保持される。これにより、処理液中であっても被加工物が安定して保持される。また、蓋体192は、窓板194とその外周を補強する外枠195とから構成される。窓板194は、レーザ光LBに対して透明な、例えば石英などを材質として設けられている。レーザ光LBの走査のためにステージ5を駆動したときなどには、その動きに起因して液面に波立ちが生じ、レーザ光LBの乱反射が生じてしまうが、処理液LQの液面を規制する平坦な窓板194が備わることで、これを回避することができ、乱反射に起因した加工効率の低下を防止することができる。なお、容器本体191と蓋体192とは、処理液LQに対して化学的に安定な材質にて形成される。
【0052】
処理液LQは、タンク20に貯留されており、ポンプ21によって矢印AR7およびAR9のように配管PL5を通じて容器本体191へと供給される。なお、配管PL5の途中にはフィルタ22が設けられている。配管PL5は、容器本体191に備わる給液口196と接続されている。また、容器本体191には排液口197が備わり、該排液口197とタンク20とが配管PL6にて接続されている。すなわち、矢印AR8およびAR10のように排液された処理液LQは、タンク20に還流した後、再び容器本体191へと供給される、循環供給が行われるようになっている。
【0053】
本実施の形態を利用する加工としては、例えば、LD素子やLED素子を製造する際のダイシング加工がある。こうした素子の場合、ダイシング加工することにより形成されるダイシング面が、素子の動作時における光出射面となる。ダイシング加工時にレーザ照射に伴って該ダイシング面が高温になると、動作時の素子機能が劣化してしまうことから、例えばKOH(水酸化カリウム)水溶液などを処理液として加工を施すことで、加工部位の温度上昇を抑制しつつ加工を行うことができる。
【0054】
また、処理液として、被加工物Sをエッチングするためのエッチャントとなり得る溶液を用い、レーザ光LBを局所的に被加工物Sに照射することで、レーザ光LBが照射された特定箇所だけのエッチングを促進させる、などの加工も可能である。
【0055】
なお、処理液LQを循環供給しているので、加工により生じた加工副産物は、排水される処理液LQとともに除去されることになり、第1の実施の形態と同様に、被加工物への加工副産物の付着は抑制される。
【0056】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1の発明によれば、被加工物のバンドギャップよりも小さなフォトンエネルギーに対応した波長であっても、繰返しパルスレーザを使用することによりエネルギーを時間的に集中させることができるため、格子欠陥や表面準位などのバルクのバンド構造からずれたエネルギー準位での光吸収など、部分的な光吸収による加工エネルギーの付与であっても、十分に加工を行うことが可能である。そして、このようなエネルギー集中を行うに際して、被加工物のうちレーザ集光点の部位に存在する部分が短時間に蒸発または飛散し、被加工物のうち被加工部位の周辺に与えるダメージが少ない。また、短波長レーザであるために、集光レンズを用いて狭く絞ることが可能であり、空間的なエネルギー密度を高めることができる。これにより、深い溝や貫通孔の形成が容易となる。
【0057】
また、請求項2の発明によれば、照射したレーザのうち、基板を透過した部分や、基板をはずれて照射された余剰レーザが基板載置手段の表面で吸収されないので、余剰レーザによってステージがダメージを受けることがない。
【0058】
また、請求項3の発明によれば、レーザ加工中に生じる加工副産物(パーティクルなど)が、アシストガスの吸引に伴って除去されるため、加工副産物の加工表面への蓄積と、それに伴うレーザ加工の効率低下とを防止できる。集塵ヘッドはレーザヘッドに付設しているため、レーザヘッドと被加工物とを相対的に移動しても、一定の集塵効果を維持することができる。
【0059】
また、請求項4の発明によれば、アシストガスによる加工副産物の除去効率をより高めることができる。
【0060】
また、請求項5の発明によれば、集光レンズに対する加工副産物の付着と、それに伴う加工効率の低下を防止することができる。
【0061】
また、請求項6の発明によれば、加工部位における温度上昇を抑制することができ、被加工物の特性劣化を防ぐことができるほか、基板の被加工部位における処理液と被加工物との化学反応を誘起させて、被加工部位を選択的にエッチングすることができる。
【0062】
また、請求項7の発明によれば、レーザが処理液に直接に照射されないので、処理液の液面の波立ちを抑制でき、レーザが液面で乱反射することに起因する加工効率の低下を防ぐことができる。
【0063】
また、請求項8の発明によれば、基板を安定して保持しつつ加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るレーザ加工装置100の構成を示す図である。
【図2】ステージ5の上面側の構造を例示的に示す図である。
【図3】集塵ヘッド11を示す図である。
【図4】レーザ加工装置100において、円板状の被加工物S1に対しダイシング加工を施す場合について例示的に示す図である。
【図5】ダイシング加工の際に、エキスパンドテープに貼付した被加工物の取り扱いについて説明する図である。
【図6】他の加工例について示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係るレーザ加工装置200の構成を示す図である。
【図8】処理容器19の外観斜視図である。
【図9】処理容器19の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
2 鏡筒
4 集光レンズ
5 ステージ
9 吸引手段
11 集塵ヘッド
12 不活性ガス供給手段
13 排気手段
19 処理容器
20 タンク
21 ポンプ
51 吸引溝
52 吸引孔
100、200 レーザ加工装置
112 集塵部
113 吸気口
114 排気口
115 上部開口
116 下部開口
118、192 蓋体
193 ホルダー
194 窓板
LB レーザ光
LQ 処理液
Mh 水平移動機構
Mv 垂直移動機構
S、S1、S2 被加工物

Claims (9)

  1. 被加工物の被加工部位に、レーザ光を集光して照射することによって被加工部位の除去を行うレーザ加工装置であって、
    前記レーザ光が、
    210nm〜533nmの波長範囲に属する波長を有し、
    5nsec〜50nsecの範囲に属するパルス幅で繰り返し照射されるパルスレーザである、
    ことを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 請求項1に記載のレーザ加工装置であって、
    前記被加工物を載置するためのステージを備え、
    前記ステージが、使用するレーザ波長に対して実質的に透明な材料で形成されていることを特徴とするレーザ加工装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のレーザ加工装置であって、
    前記レーザ光の集光点付近にアシストガスを供給するアシストガス供給路と、
    前記集光点付近から前記アシストガスを吸引するアシストガス排気路と、
    を有する集塵ヘッドが、レーザヘッドの先端付近に付設されている、
    ことを特徴とするレーザ加工装置。
  4. 請求項3に記載のレーザ加工装置であって、
    前記集塵ヘッドにおいて、
    集光レンズの被加工物側の直下であって前記被加工部位の直上を前記アシストガスの流路が横切るように、前記アシストガス供給路と前記アシストガス排気路とが設けられることを特徴とするレーザ加工装置。
  5. 請求項4に記載のレーザ加工装置であって、
    前記集塵ヘッドにおいて、
    前記集光レンズの被加工物側直下であって前記ガス流路の上部位置に、使用するレーザ波長に対して実質的に透明な板材が着脱可能に設けられることを特徴とするレーザ加工装置。
  6. 請求項1に記載のレーザ加工装置であって、
    底部にて前記被加工物を保持する容器と、
    前記容器に所定の処理液を循環供給する処理液供給手段と、
    を備え、
    前記容器に前記処理液を充填した状態で加工を行うことを特徴とするレーザ加工装置。
  7. 請求項6に記載のレーザ加工装置であって、
    前記レーザ光に対して透明な窓を有し、前記容器に着脱可能な蓋体を備え、
    前記蓋体を前記容器に装着した状態で前記加工を行うことを特徴とするレーザ加工装置。
  8. 請求項6に記載のレーザ加工装置であって、
    前記被加工物を所定のホルダーに装着した状態で前記底部に固定することを特徴とするレーザ加工装置。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のレーザ加工装置であって、
    前記レーザとしてYAG第3高調波を用いることを特徴とするレーザ加工装置。
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