JP2004113501A - 椅子の肘掛け装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】操作レバーの上方への回動量が小さくても、それに連係したワイヤの引き代を大としうるようにする。
【解決手段】操作レバー33における枢着部よりも下方に、操作レバー33の先端方向に突出し、かつ少なくとも突出方向の外周面が曲面をなすワイヤ掛け部34を設け、このワイヤ掛け部34の外周面に、ワイヤ21bの端末近傍部を下方より掛け回し、その端末を肘当て4の前端部下面を支持する支持アーム(16)の上端部後面に固定する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子の肘掛け装置に係り、特に、座体の前後位置や高さを調節したり、背凭れ等を傾動させたり、またはその付勢力を調節したりするための、ワイヤに連係された操作レバーを備える肘掛け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、上方を向く肘掛け支柱の後端上部に、前後方向を向く肘当ての後端部を取付けるとともに、この肘当ての前端部下面を、肘掛け支柱の前端上部より前方に向かって延出する支持アームの前端により支持し、かつ支持アームの前端に、座体や背凭れ等の位置、またはそれらの付勢力の調節機構に、ワイヤを介して連係された操作レバーを、肘当ての直下において、上向きに回動操作しうるように設けることにより、操作レバーの操作性を格段に向上させるようにした椅子の肘掛け装置を案出し、先に特許出願している(特願2002−213458号参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した肘掛け装置は、操作レバーを肘当ての直下において、上向きに回動操作することにより、操作レバーの後端部に直接端末を係止したワイヤを引っ張るようにしてあり、従って、ワイヤの引き代は、操作レバーの上方への最大回動量、すなわち、その前端が肘当ての下面と当接する領域までに限られ、大きく引っ張ることはできない。
【0004】
その結果、長期間の使用によりワイヤが伸びたりすると、それに連係された座体や背凭れの位置調節用ロック機構等の移動量が不足し、ロックが解除されなくなる恐れがある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、操作レバーの上方への回動量が小さくても、それに連係したワイヤの引き代を大として、座体や背凭れの位置等を調節するロック機構等の移動ストロークを増大させうるようにした、椅子の肘掛け装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)座体の側方より起立する肘掛け支柱の上部に、前後方向を向く肘当てを設け、該肘当てまたは肘掛け支柱に、座体または背凭れ等の位置もしくは付勢力調節機構に連係された可撓性を有するワイヤの端末を引っ張る操作レバーを、上向きに回動可能に枢着してなる椅子の肘掛け装置において、前記操作レバーにおける枢着部よりも下方に、操作レバーの先端方向に突出し、かつ少なくとも突出方向の外周面が曲面をなすワイヤ掛け部を設け、このワイヤ掛け部の外周面に、前記ワイヤの端末近傍部を下方より掛け回し、その端末を前記肘当てまたは肘掛け支柱に固定する。
【0007】
(2)上記(1)項において、ワイヤ掛け部の外周面に、ワイヤが摺動可能に嵌合される凹溝を設ける。
【0008】
(3)上記(1)または(2)項において、操作レバーを、肘掛け支柱よりも前方に突出させた肘当ての前端部下方において、上向きに回動操作しうるように設ける。
【0009】
(4)上記(3)項において、操作レバーの前端部と対向する肘当ての下面を、上向きに凹ませる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、図示しない椅子の座体に取付けられた左右1対のうちの一方の肘掛け(1)の側面図を示すもので、座体より若干前傾して起立する金属パイプ状の肘掛け支柱(2)と、この中に収容された、肘掛け支柱の一部をなす肘当て支持杆(3)と、この上端に前後方向(以下、図1の左方を前として説明する)を向いて取付けられた肘当て(4)とを備えている。
【0011】
(5)は、肘掛け支柱(2)の上端部外周面を覆う左右2分割構造の支柱カバーである。
上記肘当て(4)は、平面視概ね長方形をなすアルミニウム合金等よりなる肘当て基板(6)の上面に、それよりも若干大きな合成樹脂製の肘当てパッド(7)をねじ止めして形成され、肘当て基板(6)の後端部に穿設された上下方向を向く取付孔(8)を、肘当て支持杆(3)における上端の肘当て支持板(9)の後端に固着された垂直の段付支持軸(10)の小径軸(10a)に嵌合することにより、肘当て(4)の後端部が左右方向に水平回動可能として枢着されている。
【0012】
肘当て基板(6)の上面には、摺動可能とした停止プレート(11)が載置され、停止プレート(11)の後端部は、上記小径軸(10a)の上端部に、ねじ(12)により固定されている。
【0013】
(13)は、停止プレート(11)の前方において肘当て基板(6)の上面に前後方向に移動可能に固定された位置調節プレートで、その後端面には、停止プレート(11)の前端が選択的に係脱しうる複数の係止溝(図示略)が形成されている。この位置調節プレート(13)と上記停止プレート(11)とにより、肘当て(4)の水平位置調節手段が構成されている。
【0014】
肘当て基板(6)の前端部下面の中央部には、上向きの凹入部(14)が形成されている。
【0015】
肘当て(4)の前端部は、肘当て支持板(9)の前端の支持孔(15)に水平回動可能に嵌合された支持アーム(16)により、次のようにして支持されている。
【0016】
支持アーム(16)は、図3の平面図にも示すように、後端下部に上記肘当て支持板(9)の上面に載置可能な円形の基部(16a)を有するとともに、その基部(16a)より斜め上方に向かって延出し、前端部が上向きになだらかに湾曲されたアーム本体(16b)と、その上端部中央に前向きに突設され、前端部上面に上向きの短寸の軸部(16c)を有する補助アーム(16d)と、アーム本体(16b)の前端の左右両側部に前向きに突設され、上端が上記肘当て基板(6)の前端部下面に摺接可能な1対の側板(16e)(16e)とを備え、基部(16a)の下面中央に突設した支軸(17)を、上記肘当て支持板(9)の支持孔(15)に回動可能に嵌合し、ねじ(18)により枢着することにより、支持アーム(16)全体は、支持孔(15)を中心として左右方向に水平回動することができるようになっている。
【0017】
上記両側板(16e)の基部の上端の対向面には、左右1対の凹状をなす支持溝(19)が形成され、この支持溝(19)には、後記する操作レバー(33)の上端が支持されるようになっている。
【0018】
上記補助アーム(16d)における軸部(16c)の上端の前半部には、その軸径よりも大径の半円状の摺動片(20)が突設されている。
【0019】
基部(16a)の後端部とアーム本体(16b)の上面中央には、肘掛け支柱(2)内に収容された、座体の前後位置や高さ調節機構、又は背凭れの傾動操作機構等(いずれも図示略)に連係されたケーブル(21)の上端部を挿通するための挿通孔(22)と挿通溝(23)とが、連通状に形成されている。
【0020】
また、アーム本体(16b)の前端部下面には、ケーブル(21)の端末のねじ部(21a)とワイヤ(21b)の端末を挿入するための上向凹状の挿通溝(24)が形成されている。
【0021】
ケーブル(21)の端末部は、上記両挿通溝(23)(24)の連通部に突設した上向きのコ字状片(25)に挟入したのち、ねじ部(21a)を締付けることにより、固定されている。
【0022】
アーム本体(16b)の前端部における補助アーム(16c)連設部の直下には、上記ワイヤ(21b)の端末の球状係止部(26)が挿通可能な挿通孔(27)が、前後方向を向いて穿設され、また、補助アーム(16c)の下面には、ワイヤ(21b)の端末部が挿入可能なスリット状の逃げ溝(28)が、挿通孔(27)と連続して形成されている。
【0023】
アーム本体(16b)における補助アーム(16c)の連設部の下端部後面には、ワイヤ(21b)の球状係止部(26)を係止保持するための、円弧状断面をなす段部(29)が、下面の一部が逃げ溝(28)と連なるように形成されている。
【0024】
支持アーム(16)は、上述したように、その後端下部の支軸(17)を肘当て支持板(9)の支持孔(15)に、水平回動可能に枢着したのち、前端上部の軸部(16c)を、図4にも示すように、肘当て基板(6)の前端部の上向き膨出部(30)に穿設された、摺動片(20)が挿入可能な大きさの前後方向を向く長孔(31)に遊嵌し、かつ該長孔(31)の左右の対向面における後半部中段に内向きに突設された、対向面間の寸法を軸部(16c)の径よりも大とした左右1対の係止段部(32)(32)の上面に、摺動片(20)の左右両側端部下面を前後方向に摺動可能に係合させることにより、肘当て(4)の上方への動きを規制した状態で、左右方向に水平回動可能に取付けられている。
【0025】
アーム本体(16b)の前端部上面は、上向き膨出部(30)の下面と当接し、肘当て(4)の前端部を支持している。
【0026】
支持アーム(16)の前端部には、上記ケーブル(21)を操作するための操作レバー(33)が、次のようにして取付けられている。
【0027】
操作レバー(33)は、図5及び図6にも示すように、前後寸法が肘当て(4)における支持アーム(16)の前端よりの突出寸法よりも若干短寸のほぼ平板状をなすレバー本体(33a)と、その後端部上面の左右両側端より起立する、上記支持アーム(16)における補助アーム(16d)と左右の側板(16e)との間に挿入可能な左右1対の支持片(33b)とからなり、両支持片(33b)の上端には、支持アーム(16)の上端の支持溝(19)に上方より遊嵌可能な短寸の枢軸(33c)が、外向きに突設されている。
【0028】
レバー本体(33a)の後端部中央の両支持片(33b)間には、操作レバー(33)の後端より前向きに突出する半円形断面のワイヤ掛け部(34)が一体成形され、その外周面の中央には、上記ワイヤ(21b)が摺動可能に嵌合される凹溝(35)が形成されている。
【0029】
ワイヤ掛け部(34)の直前のレバー本体(33a)には、ワイヤ(21b)の端末部を挿通しうる大きさの貫通孔(36)が穿設されている。
【0030】
操作レバー(33)を支持アーム(16)に取付けるには、肘当て(4)を装着する前において、両支持片(33b)の上端の枢軸(33c)を、支持アーム(16)上端の左右の支持溝(19)内に上方より嵌合したのち、肘当て(4)を装着する。
【0031】
すると、図1及び図4に示すように、枢軸(33c)の上端に、肘当て基板(6)における上向き膨出部(30)の下面が当接又は近接することにより、両枢軸(33c)は上方に離脱するのが防止され、かつ操作レバー(33)は、枢軸(33c)を中心として、上向きに回動することができる。
【0032】
操作レバー(33)を取付けたのち、ケーブル(21)のワイヤ(21b)の端末近傍部を、貫通孔(36)に挿通させるようにして、操作レバー(33)のワイヤ掛け部(34)の凹溝(35)内に下方より前向きU字状に掛け回すとともに、端末の球状係止部(26)を、支持アーム(16)の挿通孔(27)を通して、その後面の段部(29)に係止する。
【0033】
このように、ワイヤ(21b)の端末を固定した状態で、操作レバー(33)を上向きに回動操作すると、図2に示すように、ワイヤ掛け部(34)が前方へ移動するのに伴い、その移動量の概ね2倍の長さ分、ワイヤ(21b)は大きく引かれるようになる。この際、操作レバー(33)は、その前端が肘当て基板(6)の前端部下面に形成した凹入部(14)の下面と当接するまで、大きく回動させることができる。
【0034】
なお、操作レバー(33)は、ワイヤ(21b)に作用している張力により、常時下向きに付勢され、かつ後端面がアーム本体(16b)の前端と当接することにより、それ以上下向きに回動するのが阻止される。
【0035】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、操作レバー(33)を、肘当て(4)の前端部下面を支持する、水平回動可能な支持アーム(16)の上端に枢着しているが、このような支持アーム(16)のない、例えば単に肘当て(4)の前後方向の中央部を肘掛け支柱(2)の上端に取付けた肘掛け装置にも適用しうる。
【0036】
この際には、操作レバー(33)を、肘当て(4)の前端部下面または肘掛け支柱(2)の上端部前面等に上向きに回動可能に枢着すればよい。
操作レバー(33)におけるワイヤ掛け部(34)を、左右軸回りに回転する溝付ローラとして、ワイヤ(21b)との摺動抵抗をなくし、操作レバー(33)を円滑に操作させうるようにしてもよい。
【0037】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ワイヤの端末近傍部を、操作レバーに設けたワイヤ掛け部に掛け回し、かつワイヤの端末を肘当てまたは肘掛け支柱に固定してあるため、操作レバーを上向きに回動させた際のワイヤ掛け部の変位量に対し、ワイヤは大きく引っ張られ、十分な引き代が得られる。
従って、ワイヤが伸びるなどしてたるんだ際でも、ワイヤに連係された、座体や背凭れの位置などを調節するロック機構等の移動量は十分となり、ロック解除が不能となるなどの不具合が防止される。
【0038】
請求項2記載の発明によれば、ワイヤがワイヤ掛け部において側方にずれるのが防止されるので、曲がったりすることなく安定して引くことができる。
【0039】
請求項3記載の発明によれば、ワイヤを肘掛け支柱の内部に挿通して配線する際に、その端末部と操作レバーとの連係部が急角度に折曲されることがなく、ワイヤのプッシュプルが円滑に行われる。
【0040】
請求項4記載の発明によれば、操作レバーの上向き回動量が増大するので、ワイヤの引き代も大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の肘掛け装置を、要部を縦断して示す側面図である。
【図2】同じく、操作レバーを上向きに回動した際の要部の縦断側面図である。
【図3】同じく、支持アームの平面図である。
【図4】同じく、肘当ての一部切欠き拡大平面図である。
【図5】同じく、操作レバーの平面図である。
【図6】図5の VI−VI線の縦断正面図である。
【符号の説明】
(1)肘掛け
(2)肘掛け支柱
(3)肘当て支持杆
(4)肘当て
(5)支柱カバー
(6)肘当て基板
(7)肘当てパッド
(8)取付孔
(9)肘当て支持板
(10)段付支持軸
(10a)小径軸
(11)停止プレート
(12)ねじ
(13)位置調節プレート
(14)凹入部
(15)支持孔
(16)支持アーム
(16a)基部
(16b)アーム本体
(16c)軸部
(16d)補助アーム
(16e)側板
(17)支軸
(18)ねじ
(19)支持溝
(20)摺動片
(21)ケーブル
(21a)ねじ部
(21b)ワイヤ
(22)挿通孔
(23)(24)挿通溝
(25)コ字状片
(26)球状係止部
(27)挿通孔
(28)逃げ溝
(29)段部
(30)上向き膨出部
(31)長孔
(32)係止段部
(33)操作レバー
(33a)レバー本体
(33b)支持片
(33c)枢軸
(34)ワイヤ掛け部
(35)凹溝
(36)貫通孔

Claims (4)

  1. 座体の側方より起立する肘掛け支柱の上部に、前後方向を向く肘当てを設け、該肘当てまたは肘掛け支柱に、座体または背凭れ等の位置もしくは付勢力調節機構に連係された可撓性を有するワイヤの端末を引っ張る操作レバーを、上向きに回動可能に枢着してなる椅子の肘掛け装置において、前記操作レバーにおける枢着部よりも下方に、操作レバーの先端方向に突出し、かつ少なくとも突出方向の外周面が曲面をなすワイヤ掛け部を設け、このワイヤ掛け部の外周面に、前記ワイヤの端末近傍部を下方より掛け回し、その端末を前記肘当てまたは肘掛け支柱に固定したことを特徴とする椅子の肘掛け装置。
  2. ワイヤ掛け部の外周面に、ワイヤが摺動可能に嵌合される凹溝を設けてなる請求項1記載の椅子の肘掛け装置。
  3. 操作レバーを、肘掛け支柱よりも前方に突出させた肘当ての前端部下方において、上向きに回動操作しうるように設けた請求項1または2記載の椅子の肘掛け装置。
  4. 操作レバーの前端部と対向する肘当ての下面を、上向きに凹ませてなる請求項3記載の椅子の肘掛け装置。
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