JP2004113187A - コンバインにおける穀稈搬送装置のレール取付け構造 - Google Patents

コンバインにおける穀稈搬送装置のレール取付け構造 Download PDF

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松林  智也
Ryosuke Hirai
平井 良介
Fumio Furuno
古野 文雄
Makoto Oshitani
押谷 誠
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Abstract

【課題】詰まり解除後の再セット操作を容易迅速に行える挾持レール構造を提供する。
【解決手段】挾持搬送ガイドレール41をコイルスプリング26によって突出付勢する状態でレール支持台44に支持するとともに、レール支持台44を無端回動チェーン23aに近接する作用位置とその無端回動チェーン23aより離間する非作用位置とに亘ってスライド移動可能にスライド台25に支持する。スライド台25にレール支持台44を非作用位置に移動するのを許容する退避姿勢とレール支持台44を作用位置に戻すと共にその位置を保持するカム体28を設け、カム体28に操作レバー19を設けてある。
【選択図】    図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送チェーンとその搬送チェーンに対向する状態で配置される挾持レールとで刈取穀稈を挾持搬送する挾持搬送装置を備えたコンバインにおける穀稈搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
挾持搬送装置では穀稈詰まりが発生することがある。その場合に詰まり穀稈を除去する際に作業能率を向上させる目的より次のような構成を採用している。
つまり、挾持レールを支持するレール支持台を固定フレームに固定した門型の止付ピンを引き抜いて、レール支持台を固定フレームより上方に抜き出し、詰まりを除去する構成のものがある(例えば、特許文献1を参照。)。
また、レール支持台にスライド移動用のブロックを設けてスライド台に取り付けるとともに、スライド台にスライド移動用の長孔を形成し、その長孔を介して突設された止め付けボルトでブロックを係止し、ボルトを緩めてブロックとともにレール支持台を挾持チェーンに近接する作用位置と挾持チェーンより離間する非作用位置とに亘ってスライド移動可能に構成してある(例えば、特許文献2を参照。)。
さらには、スライド台に対してレール支持台を挾持レールとともにスライド移動可能に構成してあり、レール支持台を挾持チェーンに近接する作用位置に維持するロック具を設け、ロック具を解除操作することによって、挾持チェーンより離間する状態に切り替えることができるように構成してある(例えば、特許文献3を参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−225546号公報(段落番号〔0036〕、図3及び図4)
【特許文献2】
特開平11−206226号公報(段落番号〔0023〕、図4及び図5)
【特許文献3】
特開平11−46559号公報(段落番号〔0019〕、図10)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1に記載された従来の技術によるときは、レール支持台をスライド台より取り外す必要があるために、各種の穀稈搬送装置が輻輳して配置構成してある部位での作業となるところから、作業者にかかる負担には大きなものがある。
また、特許文献2に記載された発明においては、レール支持台をスライド移動させることができるので、特許文献1に記載されたもののように、レール支持台をスライド台より取り外す必要はないものの、工具を使用してボルトを固定解除操作する必要があるために、各種の穀稈搬送装置が輻輳して配置構成してあることと相俟って、作業性が悪い点においては同様の問題点を有している。
特許文献3に記載された発明においては、レール支持台を固定かつ移動可能に操作するのに、ロック具を設けており、特許文献2に記載した発明のように工具を使用した固定解除操作は必要ないものであるが、例えば、詰まりを除去操作する為にレール支持台をロック具のロック状態を解除して引き操作し挾持チェーンより離間した位置に引き離した状態で詰まり除去操作を行った後、レール支持台を元の作用位置に戻す場合に、姿勢の定まらないロック具を押し操作することは困難な操作を必要とするので、直接、レール支持台に手を掛けて押し込み操作する必要はあり、作用位置への戻し操作が作業者に負担になる欠点があった。
【0005】
本発明の目的は、詰まり解除性能を向上する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本第1発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0007】
〔特徴〕
前記挾持レールをレール支持台に付勢手段によって前記搬送チェーンに近接する状態に突出付勢する状態にスライド移動自在に支持するとともに、前記レール支持台を前記挾持レールを支持した状態で前記搬送チェーンに近接する作用位置と前記搬送チェーンより離間する非作用位置とにスライド移動自在に固定フレームに取り付け、前記固定フレームに、前記付勢手段の付勢力を受けて前記レール支持台が前記非作用位置に移動することを許容する退避姿勢と前記付勢力に抗して前記レール支持台を前記作用位置に移動させるとともにその作用位置でレール支持台を受け止める受け止め姿勢とに亘って作動するカム体を支持し、前記カム体を前記退避姿勢と前記受け止め姿勢とに切り換え操作する操作レバーを前記カム体より延出するとともに前記カム体を前記受け止め姿勢に維持する取り付け具を設けてある点にある。
【0008】
〔作用〕
レール支持台を作用位置に設定した状態では、挾持チェーンと搬送穀稈を掴んで送る為に、挾持レールはレール支持台に近接する側に押し込まれる。そうすると付勢手段の付勢力によってレール支持台が非作用位置へ移動する反力を受けることになるが、受け止め姿勢に固定されたカム体により受け止められて、レール支持台は作用位置に維持されている。
搬送詰まりが起こった場合には、詰まり穀稈によって挾持レールがレール支持台に近接する状態に押し込められており、そのことによって挾持レールを突出付勢する付勢手段が短縮され、蓄力が保持されている。この状態で、人為的に取り付け具を操作すると、カム体が付勢手段の付勢力を受けているレール支持台の非作用位置への後退移動力を受けてカム体も退避姿勢に切り換わり、レール支持台は非作用位置に押し移動される。
そうすると、挾持チェーンより挾持レールが離間することになって搬送詰まりを容易に除去できる。詰まりを取り除いた状態では、操作ロッドを掴んでカム体を回転操作することによって、レール支持台を作用位置に復帰させることができる。この場合に、カム体より延出された操作レバーの腕を利用してレール支持台を押し込んで行けるので、強い駆動力で操作できるとともにレール支持台より離れた位置でも操作レバーの握り操作が可能であるので、窮屈にならない姿勢で操作することができる操作性のよさがある。
【0009】
〔効果〕
以上のように、レール支持台を作用位置に戻すのに、直接レール支持台に手を添えて押し込み操作をする必要がなく、かつ、作業者が操作に都合のよい作業位置を占めることができるので、作業者への作業操作負担を軽減できるに至った。
【0010】
請求項2に係る本第2発明の特徴、作用、効果は次の通りである。
【0011】
〔特徴〕
上記本第1発明の特徴において、前記カム体における揺動支点位置と先端部との間に、前記レール支持台に突設した係止ピンに当接してレール支持台が前記非作用位置に移動することを規制する当接部を形成し、前記カム体の先端部にそのカム体を前記固定フレームに固定する蝶ボルト用の貫通孔を形成してある点にある。
【0012】
〔作用効果〕
本第2発明によるときは、本第1発明の作用効果に加えて次のような作用効果を奏することができる。レール支持台を作用位置で受け止めるものとして、支点周りで揺動するカム体を導入し、そのカム体の中間位置に設けた当接部においてレール支持台に設けた係止ピンを受け止めるようにしてあるので、揺動支点から当接部より先端部の遠い位置における取り付け具を設けてあるので、着脱操作を必要とする取り付け具に係る荷重の一部を揺動支点に持たせることができ、取り付け具に対する負担を軽減できる。
しかも、レール支持台を作用位置に復帰させる際には、カム体より延出され、係止ピンを受け止める当接部より揺動支点から間隔を隔てた位置にある操作ロッドを握った状態でレール支持台を駆動操作できるので、梃子の原理による大きな操作力をレール支持台に加えることができ、レール支持台の作用位置への復帰操作を円滑に行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、クローラ式走行装置1、搭乗型の運転部2、運転座席の下方に位置する原動部を備えている機体本体の機体フレーム3に脱穀装置4や穀粒タンク5などを搭載し、機体横方向に並ぶ複数の引起装置11aや、この引起装置11aの下端側の後方に位置するバリカン型の刈取装置11bなどを備える前処理部10の前処理部フレームにおけるメインフレーム12の基端部を、前記機体フレーム3の前部に位置する支持部に機体横向きの軸芯Pまわりで回動自在に連結し、前記メインフレーム12に一端側が連結している屈伸自在なリンク機構6と、機体フレーム3とにわたって油圧式のリフトシリンダ7を取付けるとともに、機体本体の原動部から前処理部10に動力伝達するように構成して、コンバインを構成してある。
【0014】
前処理部10は、図1〜図4に示す如く構成してある。
すなわち、機体本体から機体前方に向けて前記軸芯Pまわりで上下揺動自在に延出している伝動ケースで成る前記メインフレーム12、このメインフレーム12の延出端部に中間部が連結している機体横向きの伝動ケース13、この横向き伝動ケース13の両端部から機体前方向きに延出している分草フレーム14、この左右の分草フレーム14の基端部どうしにわたって連結してある刈取りフレーム15、横向き伝動ケース13の一端部に立設してある機体上下向きの伝動ケース16、上下向き伝動ケース16の上端部どうしにわたって連結してある機体横向きの引起伝動ケース17、メイフレーム12の基端部と引起伝動ケース17の中間部とにわたって連結してある搬送フレーム18の各フレームにより、前記前処理部フレームを構成してある。
【0015】
機体横方向に並ぶ前記複数本の分草フレーム14それぞれの先端部に分草具14aを固設し、各分草具14aによって刈取り対象の植立穀稈を前記複数本の分草フレーム14の隣接し合う一対の分草フレーム14どうしの間に位置する引起経路に導入するように構成してある。各引起経路に導入された植立穀稈に各別に作用するように各引起経路に一つずつ対応させて機体横方向に並べた前記複数の引起装置11aを前記分草フレーム14の先端側と前記引起伝動ケース17とにわたって取付け、前記各引起装置11aによって引起こし処理されている植立穀稈の株元を切断する前記刈取装置11bを前記刈取りフレーム15に取付け、刈取装置11の上方で機体横方向に並ぶ複数個の掻込み回転体21を備える掻込み搬送装置20を前記分草フレーム14などに支持させ、この掻込み搬送装置20の後側から前記脱穀装置4の脱穀フィードチェーン4aの前端付近に至る搬送装置30を前記搬送フレーム18などに支持させてある。
【0016】
図4などに示すように、前記掻込み搬送装置20は、前記複数個の駆動回動自在な掻込み回転体21と、各掻込み回転体21の上方に一つずつ位置する状態で機体横方向に並ぶ複数の駆動回動自在な係止搬送ベルト22と、前記複数個の掻込み回転体21の一部の掻込み回転体21の上方に搬送始端部が位置する穀稈挟持搬送用の無端回動チェーン(搬送チェーンの一例)23a,23bと、最も脱穀フィードチェーン側に位置する掻込み回転体21と左右中央に位置する回転体21夫々の後側近くに搬送始端部が位置する穀稈係止搬送用の無端回動チェーン24a、24bとによって構成してあり、引起こし処理される複数条の植立穀稈の株元側を各係止搬送ベルト22の係止爪によって刈取装置11bに掻き込み供給し、刈取装置11bの運転部側に位置する部分によって刈取り処理された複数条の刈取穀稈をこれに対応する掻込み回転体21の係止爪と、係止搬送ベルト22の係止爪とによって刈取装置11bの後方に掻み搬送して前記搬送装置30の始端側に送り込み、刈取装置11bの脱穀フィードチェーン側に位置する部分で刈取り処理された複数条の刈取穀稈をこれに対応する前記掻込み回転体21の係止爪と、係止搬送ベルト22の係止爪とによって刈取装置11bの後方に掻き込み搬送し、さらに前記無端回動チェーン23a,23b,24a,24bによって後方に挾持搬送して前記搬送装置30に供給する。
【0017】
図2などに示すように、前記搬送装置30は、搬送方向に並ぶ3つの無
端回動チェーン31a,32a,33aを備える株元挾持搬送部、この株元側挟持搬送部より高レベルに位置する無端回動チェーン34aを備える穂先係止搬送部34、前記株元挾持搬送部の搬送終端部から脱穀フィードチェーン4aの搬送始端部に延出する案内レール36などを備えて構成してある。
【0018】
前記株元挾持搬送部は、前記3つの無端回動チェーン31a〜33aのうちの最も搬送始端側に位置するとともに穀稈挾持用突起を備えている始端側無端回動チェーン31a、及び、この始端側無端回動チェーン31aの搬送作用部に対向している第1、第2挾持搬送ガイドレール37,38を備える始端側株元挾持搬送部31と、前記3つの無端回動チェーン31a〜33aのうちの搬送中間部に位置するとともに穀稈挾持用突起を備えている中間無端回動チェーン32a、及び、この中間無端回動チェーン32aの搬送作用部に対向している第3挾持搬送ガイドレール39を備える中間株元挾持搬送部32と、前記3つの無端回動チェーン31a〜33aのうち最も搬送終端側に位置するとともに穀稈挾持用突起を備えている終端側無端回動チェーン33a、及び、この終端側無端回動チェーン33aの搬送作用部分に対向している第4挾持搬送ガイドレール40を備える終端側株元挾持搬送部33とによって構成してある。
【0019】
前記始端側株元挾持搬送部31は、前記掻込み搬送装置20の運転部側の2個の掻込み回転体21からの刈取穀稈の株元側を、前記第1挾持搬送ガイドレール37を形成している丸棒部材の一端側で成るガイド部によって始端側無端回動チェーン31aと第1挾持搬送ガイドレール37との間に導入し、この始端側無端回動チェーン31aと第1挾持搬送ガイドレール37とによって挾持して搬送し、かつ、前記掻込み搬送装置20の中央の1個の掻込み回転体21と無端回動チェーン23b、24bとからの刈取穀稈を、前記第2挾持搬送ガイドレール38を形成している丸棒部材の一端側でなるガイド部によって始端側無端回動チェーン31aと第2挾持搬送ガイドレール38との間に導入して第1挾持搬送ガイドレール37からの穀稈に合流させ、合流した穀稈の株元側を始端側無端回動チェーン31aと第2挾持搬送ガイドレール38とによって挾持して搬送し、さらに、前記掻込み搬送装置20の前記無端回動チェーン23a,24aからの刈取穀稈の株元側を、始端側無端回動チェーン31aの搬送終端側に導入して第2挾持搬送ガイドレール38からの穀稈に合流させ、合流した穀稈の株元側を中間株元挟持搬送部32の中間無端回動チェーン32aと第3挾持搬送ガイドレール39とによって受け継いで機体方向でかつ機体横外側に向けて挾持搬送する。終端側株元挾持搬送部33は、中間株元挾持搬送部32からの刈取穀稈の株元側を終端側無端回動チェーン33aと第4 挾持搬送ガイドレール40とによって受け継いで機体後方に脱穀フィードチェーン4aの搬送始端部に向けて搬送する。
【0020】
前記穂先係止搬送部34は、掻込み搬送装置20の最も運転部側の掻込み回転体21の後方で前記株元挾持搬送部よりも高レベルに搬送始端部が位置するとともに係止搬送爪34bが複数箇所に起伏揺動自在に付いている前記無端回動チェーン34aで成り、前記掻込み搬送装置20からの複数条の刈取穀稈の前記株元挾持搬送部が搬送作用する部分よりも穂先側を無端回動チェーン34aの搬送始端側で受け継いで係止搬送爪34bによって係止搬送し、搬送中間部からは、係止搬送爪34bから外れないようにしながら係止搬送爪34bによって係止搬送し、搬送終端部では、係止搬送爪34bが機体内側に向かって移動することにより、穂先側を前記終端側株元挾持搬送部33より機体内側に引き込み作用する。
【0021】
これにより、搬送装置30は、掻込み搬送装置20からの複数条の刈取穀稈を、株元挾持搬送部の始端側株元挾持搬送部31と、穂先側係止搬送部34の搬送始端部とで受け継いで合流させ、この後、株元側挾持搬送部の中間株元挾持搬送部32と、穂先係止搬送部34とによって機体後方でかつ機体横外側に向けて搬送する。そして、終端側株元挾持搬送部33に到達すると、穂先係止搬送部34の係止搬送爪34bが終端側株元挾持搬送部33から機体内側に離れていくことにより、穂先側が株元側より機体内側に位置した倒伏姿勢に姿勢変更し、終端側株元挾持搬送部33から株元側を前記案内レール36の下側に送り込み、この案内レール36によって押圧案内させて脱穀フィードチェーン4aの搬送始端部に供給する。
【0022】
前記中間株元挾持搬送部32は、搬送始端側に位置する軸芯まわりで駆動機構(図示せず)によって揺動調節されて、脱穀装置4での扱き深さ調節を行なうように構成してある。すなわち、中間株元挾持搬送部32の揺動調節が行なわれると、終端側株元挾持搬送部33が中間株元挾持搬送部32から供給される穀稈の挾持する稈身部分が調節前より株元側や穂先側に変化し、脱穀フィードチェーン4aが終端側株元挾持搬送部33から受け継いで挾持する稈身部分が株元側や穂先側に変化し、脱穀装置4の扱室に挿入する刈取穀稈の穂先側長さが変化する。
【0023】
最も脱穀フィードチェーン側に位置する左挾持搬送装置について説明する。この左挾持搬送装置は、前記したように、刈幅左端に位置する掻込み回転体21の上方に搬送始端部が位置する穀稈挟持搬送用の無端回動チェーン(搬送チェーンの一例)23aと、無端回動チェーン23aの上方に配置されている穀稈係止搬送用の無端回動チェーン24aとによって構成してある。ここでは、無端回動チェーン23aに対向して配置され、この無端回動チェーン23aと協働で搬送穀稈を挾持して搬送する挾持搬送ガイドレール(挾持レールの一例)41の支持構造について説明する。
【0024】
図3〜8に示すように、刈取フレーム15に設けた取付フレーム42よりブラケット43を立設するとともに、このブラケット43に対して、後記するレール支持台44をスライド移動可能に支持するスライド台(固定フレームの一例)25をボルト固定してある。レール支持台44は、挾持搬送ガイドレール41に面する前面44Aと反対側の後面44Bの左右側端位置に貫通孔44a、44bを形成し、この貫通孔44a、44bに対して挾持搬送ガイドレール41のレール部41Aより延出される左右一対のスライドロッド41B、41Bを挿通して支持してある。
【0025】
図3〜8に示すように、レール支持台44の内部空間内においてスライドロッド41B夫々に対してコイルスプリング(付勢手段の一例)26を外嵌装着してあり、同じくスライドロッド41Bに外嵌装着した皿状のスプリング受け47、47によってコイルスプリング26を受け止めている。後側のスプリング受け47は後面の貫通孔44bの縁部を内向きに延出した内向きボスに外嵌してレール支持台44の後面44Bに当接され、コイルスプリング26の付勢力を受けている。一方、前側のスプリング受け47は、スライドロッド41Bの前端近くで突設させた受け止めピン41bに当接して、レール支持台44の前面44Aに近接する位置で移動を阻止されている。このように、前後側のスプリング受け47,47の最大間隔が決まっているので、コイルスプリング26をスライドロッド41Bに外嵌装着した状態で挾持搬送ガイドレール41が搬送穀稈に挾持力を作用させない自由長に設定するものである。
前記した自由長の状態より挾持搬送用の無端回動チェーン24aと挾持搬送ガイドレール41とが協働して穀稈を搬送する場合には、搬送穀稈の束径(ボリューム)によって挾持搬送ガイドレール41がコイルスプリング26の付勢力に抗してレール支持台44内に入り込み、コイルスプリング26を短縮する。
【0026】
次ぎに、レール支持台44のスライド構造について説明する。図3、図4に詳しく示すように、レール支持台44の上面44Cに、左右一対のガイド用長孔44c、44cを穿設するとともに、スライド台25の上面25Aに一対のガイド用ボス25a,25aを立設して、スライド台25にレール支持台44を載置した状態でガイド用ボス25a,25aがガイド用長孔44b、44b内に入り込み、レール支持台44の移動を案内する構成が採られている。レール支持台44の前後面44A、44Bには、それぞれ、切欠凹部44D,44Dが形成してあり、この切欠凹部44D,44Dの横幅はスライド台25の横幅より大きくしてあり、レール支持台44がスライド移動する際に、レール支持台44の前後面44A,44Bがスライド台25と干渉しない構成としてある。挾持搬送ガイドレール41のスライドロッド41Bは、レール支持台44に装着された状態で切欠凹部44Dの両側方に位置するので、スライドロッド41Bもスライド台25とは干渉しない。以上により、レール支持台44を、挾持レールを支持した状態で搬送チェーンに近接する作用位置と搬送チェーンより離間する非作用位置とにスライド移動自在に固定フレームに取り付けた状態を示している。
【0027】
レール支持台44を作用位置に戻し操作する操作構造について説明する。図3及び図4に示すように、板状カムの長手方向両端に貫通孔28a、28bを形成し、一方の貫通孔28aを介して止付ピン29で前記した一方のガイド用ボス25aに止め付けるとともに止付ピン29周りで揺動可能に支持して、カム体28を構成する。止付ピン29はカム体28を揺動可能に外嵌するピン部分とその止付ピン29をガイド用ボス25aの内周に形成したメス螺子に螺着するねじ部とからなる。一方の貫通孔28bに対しては手指操作可能な蝶ボルト35を貫通させて前記他方のガイド用ボス25aに固定される。この蝶ボルト35によってカム体28が止付ピン29周りでの揺動を規制する。ここに蝶ボルト35を、カム体28を受け止め姿勢に維持する取り付け具と称する。
【0028】
カム体28における二つの貫通孔28a,28bを形成した両側端の中間位置を凹入する状態に形成し、この凹入部でレール支持台44に突設した係止ピン44dに当接してレール支持台44の無端回動チェーン24bより離間する方向への移動を阻止するように構成する。この凹入部を係止ピン44dに当接する当接部28dと称する。カム体28の先端部にはロッドが固定されて斜め上方に向けて延出してあり、ロッドの先端を握ってカム体28を揺動操作する操作レバー19に構成してある。
【0029】
以上のような構成に基づいてレール支持台44の位置設定を説明する。図4(イ)に示すように、操作レバー19を挾持搬送ガイドレール41に沿った姿勢に設定し、蝶ボルト35でカム体28を取付固定すると、カム体28の当接部28dで係合ピン44dを受け止め、レール支持台44の挾持搬送ガイドレール41から離れる方向への移動が規制される。この状態で穀稈の搬送が行われると、搬送穀稈のボリュームにより挾持搬送ガイドレール41が無端回動チェーン23aより離間するようにレール支持台44内にコイルスプリング26の付勢力に抗して引退する。
【0030】
ここで、搬送詰まり等が起こって詰まりを除去する際には、蝶ボルト35を取り外すと、搬送詰まりによって挾持搬送ガイドレール41が詰まり穀稈により無端回動チェーン23aより離れる方向に押し広げられてスライドロッド41Bがレール支持台44内に押し込められているので、コイルスプリング26に十分に蓄積された付勢力が解放されて、レール支持台44を無端回動チェーン23aより離れる方向に押し移動させる。図4(ロ)に示めすように、レール支持台44が移動することによってコイルスプリング26が伸長するが、それ以上にレール支持台44が無端回動チェーン23aより離間することによって、無端回動チェーン23aと挾持搬送ガイドレール41との間隔が広がって詰まり除去作業が円滑に行える。
ここに、蝶ボルト35を取り外し、カム体28を揺動させて係止ピン44dの移動経路より退出させる位置まで切り換えた状態を、カム体28を退避姿勢に設定するという。
【0031】
詰まり除去作業を終えると、操作ロッド19を操作してカム体28で係止ピン29を押し込み操作し、カム体28を受け止め姿勢に蝶ボルト35で固定するとレール支持台44を所定位置に設定できる。
以上の構成が、請求項に記載の次の部分に該当する。つまり、前記固定フレームに、前記付勢手段の付勢力を受けて前記レール支持台が前記非作用位置に移動することを許容する退避姿勢と前記付勢力に抗して前記レール支持台を前記作用位置に移動させるとともにその作用位置でレール支持台を受け止める受け止め姿勢とに亘って作動するカム体を支持し、前記カム体を前記退避姿勢と前記受け止め姿勢とに切り換え操作する操作レバーを前記カム体より延出するとともに前記カム体を前記受け止め姿勢に維持する取り付け具を設けてあるとする構成に該当する。
【0032】
つぎに、始端側株元挾持搬送部31の第1挾持搬送ガイドレール37の支持構造について説明する。基本的な構成は、前記したレール支持台44と同様の構成を採る。つまり、図10に示めすように、第1挾持搬送ガイドレール37とレール支持台45との取り付け形態は、第1挾持搬送ガイドレール37をレール部37Aとスライドロッド37Bとで形成し、スライドロッド37Bをレール支持台45に収納し、コイルスプリング46、スプリング受け47で第1挾持搬送ガイドレール37を突出付勢する形態である。レール支持台45の前後面には左右一対の貫通孔45a、45aが形成されており、後記するスライドガイド58,58が挿通されて、レール支持台45を無端回動チェーン31aに対して遠近方向にスライド移動自在に構成する。
【0033】
一方、刈取フレーム15より立設された固定フレームにはチャンネル状ブラケット59が相対向する状態で立設してあり、両チャンネル状ブラケット59,59に亘ってリング状の繋ぎ部材48が配置されて、繋ぎ部材48を両チャンネル状ブラケット59,59に連結固定してレール支持台45を支持する構造を形成している。両チャンネル状ブラケット59,59に亘って前記した丸棒状のスライドガイド58,58が架設されており、前記したようにこのスライドガイド58,58にレール支持台45がスライド自在に支持されている。
【0034】
図10及び図11に示すように、レール支持台45の上面にはカム体49を揺動自在に軸支してあり、カム体49の揺動状態を規制して固定する蝶ボルト50が設けてある。カム体49には操作ロッド51が一体的に固定され、上向きに延出してある。
固定フレームより係止ピン52が立ち上げ形成されるとともに、レール支持台45の上下面にガイド用長孔45bを形成し、係止ピン52をガイド用長孔45bに係合させて、レール支持台45のスライドストロークを規制するとともに、カム体49に形成した係合凹部49aを係止ピン52に当接させることによって、レール支持台45を作用姿勢に維持するものである。この場合は、蝶ボルト50によりカム体49をレール支持台45に取り付け固定する必要があり、この状態でのカム体49の姿勢を受け止め姿勢と称する。
この姿勢においては、第1挾持搬送ガイドレール37が搬送穀稈のボリュームを受けてコイルスプリング46の付勢力に抗して無端回動チェーン31aから離間してレール支持台45に反力を及ぼすことになっても、そのレール支持台45は後退しない。
【0035】
このような構成において、搬送詰まりが生じたような場合には、蝶ボルト50を取りはずと、コイルスプリング46に蓄積された蓄力により操作ロッド51を図11における紙面左側に向けて押し回転させながら、又は、操作ロッド51を操作することによって、カム体49を係止ピン52への当接作用から解放し、レール支持台45が非作用位置に退避する。これによって、第1挾持搬送ガイドレール37が無端回動チェーン31aより離間して搬送詰まりの除去を効率的に行うことができる。
【0036】
図2及び図3に示すように、刈幅の中央に位置する掻き込み回転体21によって駆動される株元挾持搬送用の無端回動チェーン23bとその上方に位置する穂先係止搬送用の係止搬送爪が複数箇所に起伏揺動自在に付いている無端回動チェーン24bとを備え、両無端回動チェーン23b、24bとの駆動部を分離連結可能に構成してある。つまり、図13に示すように、株元挾持搬送用の駆動ケース53の上方に穂先係止搬送用の駆動ケース54を配置し、両駆動ケース53,54の連結部位に設けたフランジ53A、54Aをボルトで連結するように構成してある。駆動ケース53,54内に収納してある伝動軸53B、54Bは互いにスプライン嵌合されて伝動連結可能である。一方、株元挾持搬送用の無端回動チェーン23bに対向する状態で挾持レール55が設けてあり、この挾持レール55を突出付勢する状態でレール支持台56に取り付けてある。挾持レール55において搬送詰まりが起こった場合には、穂先係止搬送装置を駆動ケース54毎取り外して詰まり部位の上方を開放できるようにしてある。これにより、詰まり除去作業が容易になる。
【0037】
〔別実施形態〕
(1) 上記実施の形態においては、搬送詰まりを解消するために、レール支持台44をスライド台25に対して、コイルスプリング26に蓄積された蓄力を利用して後退させて、詰まりを解放する構成を採ったが、レール支持台44を非作用姿勢に退避させるのに、挾持搬送ガイドレール41を突出付勢するコイルスプリング26とは別に、スライド台に対してレール支持台44を退避させる専用の退避スプリング(図示せず)を設けてよい。この構成によって、カム体28を受け止め姿勢に固定している蝶ボルト35を取り外すと、前記した専用の退避スプリングによってレール支持台44は挾持搬送ガイドレール41とともに非作用姿勢に退避する。
このような構成によってレール支持台44を退避させる操作を必要としない。これに対して詰まり解消作業を終えた後に、レール支持台44を作用姿勢に戻す際に、前記した退避スプリングの付勢力に抗して行う必要がある。この場合に、カム体28に操作ロッド19を取り付けてあるので、この操作ロッド19を持った梃子の原理により軽く操作を行うことができるので、レール支持台44自体を直接人手で復帰させる場合に比べて操作が容易になる。
【0038】
(2) 上記実施の形態では、レール支持台44,45,56を夫々別個の機能を持つものとして構成してあるが、全てをレール支持台44のように構成してもよい。
(3) 付勢手段としては、コイルスプリング26以外のトーションスプリング、板バネの他にゴム等の他の弾性体を利用してもよい。
(4) 取り付け具35としては、図9に示すように、蝶ボルト以外にピンの軸部分にカムを形成したものであってもよい。そうすると、前記ピン35をレール支持台44に取り付けた状態のままで、(イ)に示すように、カム板28をピン35に向けて揺動させるだけでその係合孔を係合させることができ、(ロ)に示すように、ピン35を90度姿勢変更するようにして、抜け止め構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの前部側面図
【図2】刈取部の概略平面図
【図3】レール支持台を示す分解斜視図
【図4】(イ)レール支持台を挾持チェーンに対向する作用位置に設定した状態を示す斜視図
(ロ) レール支持台を非作用位置に後退させた状態を示す斜視図
【図5】図4における平面図
【図6】図4における背面図
【図7】挾持搬送ガイドレールの取り付け状態を示す縦断側面図
【図8】取り付け具の装着状態を示す縦断側面図
【図9】取り付け具の別実施構造を示す斜視図
【図10】レール支持台の別実施構造を示す分解斜視図
【図11】レール支持台の別実施構造を示す組み立て斜視図
【図12】図10及び図11に示す挾持搬送ガイドレールの取り付け構造を示す横断平面

【図13】穂先係止搬送装置と株元挾持搬送装置との駆動連結部を示し、(イ)は平面図、(ロ)は分解側面図
【符号の説明】
19    操作レバー
23a   搬送チェーン
25    固定フレーム
26    付勢手段
28    カム体
28b   貫通孔
28d   当接部
35    取り付け具
41    挾持レール
44    レール支持台
44d   係止ピン

Claims (2)

  1. 搬送チェーンとその搬送チェーンに対向する状態で配置される挾持レールとで刈取穀稈を挾持搬送する挾持搬送装置を備えたコンバインにおける穀稈搬送装置であって、
    前記挾持レールをレール支持台に付勢手段によって前記搬送チェーンに近接する状態に突出付勢する状態にスライド移動自在に支持するとともに、前記レール支持台を、前記挾持レールを支持した状態で前記搬送チェーンに近接する作用位置と前記搬送チェーンより離間する非作用位置とにスライド移動自在に固定フレームに取り付け、前記固定フレームに、前記付勢手段の付勢力を受けて前記レール支持台が前記非作用位置に移動することを許容する退避姿勢と前記付勢力に抗して前記レール支持台を前記作用位置に移動させるとともにその作用位置でレール支持台を受け止める受け止め姿勢とに亘って作動するカム体を支持し、前記カム体を前記退避姿勢と前記受け止め姿勢とに切り換え操作する操作レバーを前記カム体より延出するとともに前記カム体を前記受け止め姿勢に維持する取り付け具を設けてあるコンバインにおける穀稈搬送装置のレール取付け構造。
  2. 前記カム体における揺動支点位置と先端部との間に、前記レール支持台に突設した係止ピンに当接してレール支持台が前記非作用位置に移動することを規制する当接部を形成し、前記カム体の先端部にそのカム体を前記固定フレームに固定する蝶ボルト用の貫通孔を形成してある請求項1記載のコンバインにおける穀稈搬送装置のレール取付け構造。
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